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JP2007125537A - 有機無機複合膜が形成された物品の製造方法 - Google Patents

有機無機複合膜が形成された物品の製造方法 Download PDF

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JP2007125537A
JP2007125537A JP2006024742A JP2006024742A JP2007125537A JP 2007125537 A JP2007125537 A JP 2007125537A JP 2006024742 A JP2006024742 A JP 2006024742A JP 2006024742 A JP2006024742 A JP 2006024742A JP 2007125537 A JP2007125537 A JP 2007125537A
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輝幸 佐々木
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Abstract

【課題】熔融ガラス並みの硬度を有する有機無機複合膜が形成された物品を提供する。
【解決手段】シリコンアルコキシド、強酸、水、沸点が100℃以下のアルコールおよび沸点が100℃を超える有機溶媒を含むとともに、親水性有機ポリマーを強酸の少なくとも一部として、または別の成分としてさらに含み、シリコンアルコキシドの濃度が、SiO2濃度により表示して3質量%を超え、強酸の濃度が、プロトンの質量モル濃度により表示して0.001〜0.2mol/kgの範囲にあり、水のモル数が、シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子の総モル数の4倍以上である形成溶液を、雰囲気の相対湿度を40%未満に保持しながら基材に塗布し、基材を400℃以下の温度に保持しながら、塗布された形成溶液に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去して、有機無機複合膜を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材上に有機無機複合膜が形成されてなる物品の製造方法に関し、詳しくは、ゾルゲル法を用いて、クラックの発生を抑制しつつ有機無機複合膜を基材上に形成した物品の製造方法に関する。
ガラス材料は一般に硬質であり、基材を被覆する膜の形態でも利用される。しかし、ガラス質の膜(シリカ系膜)を得ようとすると、熔融法では高温処理が必要になるため、基材および膜を構成する材料が制限される。
ゾルゲル法は、金属の有機または無機化合物の溶液を出発原料とし、溶液中の化合物の加水分解反応および重縮合反応によって、溶液を金属の酸化物または水酸化物の微粒子が溶解したゾルとし、さらにゲル化させて固化し、このゲルを必要に応じて加熱して酸化物固体を得る方法である。
また、ゾルゲル法は、低温でのシリカ系膜の製造を可能とする。ゾルゲル法によりシリカ系膜を形成する方法は、例えば特開平11−269657号公報に開示されている。
一般に、ゾルゲル法により形成したシリカ系膜は、熔融法により得たガラス質の膜と比較すると、機械的強度、特に耐摩耗性に劣る。
特開平11−269657号公報には、シリコンアルコキシドおよびその加水分解物(部分加水分解物を含む)の少なくとも1つがシリカ換算で0.010〜3重量%、酸0.0010〜1.0規定、および水0〜10重量%を含有するアルコール溶液をコーティング液として基材に塗布してシリカ系膜を形成する方法、が開示されている。
この方法により得られたシリカ系膜は、乾布摩耗試験に耐える程度の強度を有し、十分であるとは言えないまでも、ゾルゲル法により得られた膜としては、良好な耐摩耗性を有する。しかし、特開平11−269657号公報が開示する方法により成膜できるシリカ系膜は、実用に耐える外観を確保しようとすると、その膜厚が最大でも250nmに制限される。ゾルゲル法により形成されるシリカ系膜の厚さは、通常、100〜200nm程度である。
コーティング液を複数回に渡って塗付し多層膜を形成することで、シリカ系膜をさらに厚膜化することができる。しかし、各層の界面の密着性が低くなり、シリカ系膜の耐摩耗性が低下する場合がある。また、シリカ系膜の製造プロセスが複雑化するという問題もある。
以上のような事情から、ゾルゲル法により、膜厚が250nmを超える程度に厚く、かつ耐摩耗性に優れたシリカ系膜を得ることは困難であった。
ゾルゲル法により、無機物と有機物とを複合させた有機無機複合膜を形成する技術が提案されている。ゾルゲル法は、低温での成膜を特徴とするため、有機物を含むシリカ系膜の成膜を可能とする。ゾルゲル法による有機無機複合膜は、例えば、特開平3−212451号公報、特開平3−56535号公報、特開2002−338304号公報に開示されている。
ゾルゲル法によるシリカ系膜の耐摩耗性を向上させるには、シリカ系膜を450℃以上で熱処理することが望ましい。しかし、有機無機複合膜をこの程度の高温で熱処理すると、膜中の有機物が分解してしまう。有機物が分解しない範囲で熱処理しなければならないという制約は、ゾルゲル法以外の液相成膜法においても、形成する膜の耐摩耗性の向上を制限している。このため、有機物を含む場合には、耐摩耗性に優れたシリカ系膜を厚く形成することが困難であると考えられてきた。
ここで、特開2001−10844号公報において、クラックの発生を抑制するとともに200℃以下の低温で硬化させることが可能なコーティング剤の技術が提案されている。この技術では、シリコンアルコキシドの溶媒として、水を使用せず、ヘキサン、シクロヘキサン及びベンゼンからなる非水有機溶媒の使用を必須としている。また、塗布前にコーティング液を加熱して有機溶媒等を揮発させることによって、基板上への塗布に必要な所定の粘度を得ている。それゆえ、コーティング剤の安全性や取り扱い性が悪く、また成膜にかかる工程が煩雑であるという問題がある。
また、特開平4−342135号公報において、クラックの発生を抑制することを目的として、シリコンアルコキシドに対する溶媒成分よりも沸点が高く、また表面張力が所定値以下である溶質が添加されたコーティング溶液を用いて、半導体装置における絶縁膜を形成する技術が提案されている。しかし、この技術によって得られる絶縁膜の耐摩耗性は必ずしも十分でない。詳しくは後述するが、シリコンアルコキシドがシラノール状態で安定性よく存在できるように、コーティング溶液が調整されていないためである。
特開平11−269657号公報 特開平3−212451号公報 特開平3−56535号公報 特開2002−338304号公報 特開2001−10844号公報 特開平4−342135号公報
本発明は、クラックの発生が抑制されるとともに、有機物を含みながらも耐摩耗性に優れたシリカ系膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、基材と、前記基材の表面に形成された有機物および無機酸化物を含む有機無機複合膜とを含み、前記有機無機複合膜が前記無機酸化物としてシリカを含み、前記有機無機複合膜が前記シリカを主成分とする、有機無機複合膜が形成された物品の製造方法であって、前記基材の表面に前記有機無機複合膜の形成溶液を塗布する塗布工程と、前記基材に塗布された形成溶液から当該形成溶液に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去する除去工程と、を含み、前記形成溶液が、シリコンアルコキシド、強酸、水、沸点が100℃以下のアルコールおよび沸点が100℃を超える有機溶媒を含み、前記形成溶液が、前記強酸の少なくとも一部として、または前記強酸とは別の成分として、前記有機物の少なくとも一部となる親水性有機ポリマーをさらに含み、前記シリコンアルコキシドの濃度が、当該シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子をSiO2に換算したときのSiO2濃度により表示して3質量%を超え、前記強酸の濃度が、前記強酸からプロトンが完全に解離したと仮定したときのプロトンの質量モル濃度により表示して0.001〜0.2mol/kgの範囲にあり、前記水のモル数が、前記シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子の総モル数の4倍以上であり、前記塗布工程では、雰囲気の相対湿度を40%未満に保持しながら、前記形成溶液を前記基材に塗布し、前記除去工程では、前記基材を400℃以下の温度に保持しながら、前記基材に塗布された形成溶液に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去する、有機無機複合膜が形成された物品の製造方法を提供する。なお、本明細書において、主成分とは、含有率が最も高い成分をいう。
本発明の製造方法によれば、ゾルゲル法により、膜の耐摩耗性に優れた有機無機複合膜を、クラックの発生を抑制しつつ、膜厚が250nmを超える程度に厚く形成することができる。本発明により形成される有機無機複合膜は、有機物を含むにもかかわらず、熔融法により得たガラス板に匹敵する程度に優れた耐摩耗性を発揮しうる。
また、本発明の製造方法によれば、上記有機無機複合膜を、形成溶液の一度の塗布により形成することができる。
まず、ゾルゲルプロセスについて説明する。
シリコンアルコキシドを出発原料とするゾルゲル法の場合、膜のコーティング液(以下、形成溶液と呼ぶ)に含まれるシリコンアルコキシドは、形成溶液中において、水と触媒との存在の下、加水分解反応および脱水縮合反応により、シロキサン結合を介したオリゴマーとなり、ゾル状態となる。
ゾル状態となった形成溶液を基材に塗布すると、形成溶液から、水や、アルコール等の有機溶媒が揮発する。これにより、オリゴマーは濃縮され、脱水縮合反応が進行して分子量が大きくなり、やがて溶液は流動性を失い、半固形状のゲルとなる。ゲル化直後は、シロキサン結合のネットワークの隙間に、有機溶媒や水が満たされた状態にある。このゲルが乾燥して水や溶媒が揮発すると、シロキサンポリマーが収縮し、固化が起こる。
従来のゾルゲル法では、固化したゲルにおいて、有機溶媒や水が満たされていた隙間は、400℃程度までの熱処理を行っても、完全に埋まることはなく、細孔として残存するため、膜の耐摩耗性は十分に高くはならない。それゆえ、従来は、硬質な膜を得るために、さらに高温、例えば500℃以上での熱処理を必要としていた。
ゾルゲル法によるシリカ系膜の熱処理における、反応と温度との関係についてさらに詳しく述べる。まず、約100〜150℃の温度域において、形成溶液に含まれている溶媒や水が蒸発する。続いて、約250〜400℃の温度域において、原料に有機材料が含まれていると、その有機材料が分解し、蒸発する。なお、400℃を超える温度で熱処理すると、通常、膜には有機材料が残らない。さらに、約500℃以上の温度域になると、ゲル骨格の収縮が起こり、膜が緻密になる。
上述したように、通常のゾルゲル反応では、ゲル化後の状態で、形成されたネットワークの隙間に、有機溶媒や水が満たされている。この隙間の大きさは、溶液中でのシリコンアルコキシドの重合の形態に依存することが知られている。
また、重合の形態は、溶液のpHによって大きく変化する。酸性の液中では、シリコンアルコキシドのオリゴマーは直鎖状に成長しやすい。このような液を基材に塗布すると、直鎖状のオリゴマーが折り重なって網目状組織を形成し、得られる膜は比較的隙間の小さい緻密な膜となる。しかし、直鎖状のポリマーが折り重なった状態で固化されるため、ミクロ構造は強固ではなく、隙間から溶媒や水が揮発する際にクラックが入りやすい。
一方、アルカリ性の液中では、球状のオリゴマーが成長しやすい。このような液を基板に塗布すると、球状のオリゴマーが互いにつながった構造を形成し、比較的大きな隙間を有する膜となる。この隙間は、球状のオリゴマーが結合し成長して形成されるため、隙間から溶媒や水が揮発する際にクラックは入りにくい。
本発明者らは、比較的緻密な膜ができる酸性領域で、強酸の濃度、水分量等を適切に調整すると、ある条件下では、厚膜としても緻密でクラックのない膜を形成できるという知見を見出し、さらにこの知見を発展させることにより、本発明を完成した。
ここで、シラノールの等電点は2であることが知られている。これは、形成溶液のpHが2であると、液中においてシラノールが最も安定に存在できる、ということを示している。つまり、加水分解されたシリコンアルコキシドが溶液中に多量に存在する場合においても、溶液のpHが2程度であれば、脱水縮合反応によりオリゴマーが形成される確率が非常に低くなる。この結果、加水分解されたシリコンアルコキシドが、モノマーまたは低重合の状態で、形成溶液中に存在し易くなる。
また、pHが2程度の領域では、シリコンアルコキシドは、1分子当たり1個のアルコキシル基が加水分解され、シラノールとなった状態で安定化される。例えば、テトラアルコキシシランには4つのアルコキシル基があるが、そのうちの1つのアルコキシル基が加水分解され、シラノールとなった状態で安定化されるのである。
ゾルゲル溶液に、強酸を添加し、強酸のプロトンが完全に解離したとしたときのプロトンの質量モル濃度(以下、単に「プロトン濃度」と称することがある)で、0.001〜0.2mol/kg、好ましくは0.001〜0.1mol/kg程度となるようにすると、溶液のpHは3〜1程度となる。この範囲にpHを調整すると、形成溶液中において、シリコンアルコキシドがモノマーまたは低重合のシラノールとして安定して存在できる。
本発明の形成溶液は、水、沸点が100℃以下のアルコールおよび沸点が100℃を超える有機溶媒の混合溶媒であり、必要に応じて他の溶媒を添加することが可能であるが、そのような混合溶媒の場合にも、強酸を用い、かつ強酸からプロトンが完全に解離したと仮定したときのプロトンの質量モル濃度を上記範囲となるようにすることで、pH2前後の液とすることができる。
プロトンの質量モル濃度の計算に当たっては、使用する酸の水中での酸解離指数が、4以上のプロトンを考慮する必要はない。例えば、弱酸である酢酸の水中での酸解離指数は4.8であるから、形成溶液に酢酸を含ませた場合にも、酢酸のプロトンは前記プロトン濃度には含めない。
また例えば、リン酸の解離段は3段であり、一分子に付き3つのプロトンを解離する可能性がある。しかし、1段目の解離指数は2.15であり強酸とみなせるが、2段目の解離指数は7.2であり、3段目の解離指数はさらに大きい値となる。したがって、強酸からの解離を前提とする前記プロトン濃度は、リン酸1分子からは、1個のプロトンしか解離しないものとして計算すればよい。1個のプロトンが解離した後のリン酸は強酸ではなく、2段目以降のプロトンの解離を考慮する必要はない。本件明細書において、強酸とは、具体的には、水中での酸解離指数が4未満のプロトンを有する酸をいう。
なお、上述のように、プロトン濃度を強酸のプロトンが完全に解離したとしたときの濃度として規定する理由は、有機溶媒と水との混合液中では、強酸の解離度を正確に求めることが困難だからである。
このように形成溶液のpHを1〜3程度に保ち、これを基材表面に塗布して乾燥させると、低重合状態にあるシリコンアルコキシドが密に充填されるため、細孔が小さく、かなり緻密な膜が得られる。
この膜は緻密ではあるが、シリコンアルコキシドの加水分解が不十分であることに起因して、200〜300℃での低温度域での加熱では、ある硬度以上にはならない。そこで、シリコンアルコキシドの加水分解を形成溶液の塗布後において容易に進行するように、水を、シリコンアルコキシドに対して過剰に添加する。加水分解が進行しやすい状態とすると、高温に加熱しなくても膜が硬くなる。具体的には、シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子の総モル数に対し、加水分解に必要とされる最大のモル数、すなわち4倍以上のモル数の水を添加しておく。水の添加量の上限は例えば20倍とすることができる。
形成溶液の乾燥時には、溶媒の揮発と並行して水も蒸発する。これを考慮すると、水のモル数は、上記シリコン原子の総モル数に対し、4倍を超える程度、例えば5〜20倍とすることが好ましい。
なお、シリコンアルコキシドでは、1つのシリコン原子について最大4つのアルコキシル基が結合しうる。アルコキシル基の数が少ないアルコキシドでは、加水分解に必要な水のモル数は少なくなる。また、4つのアルコキシル基がシリコン原子に結合したテトラアルコキシシランであっても、その重合体(例えば、コルコート製「エチルシリケート40」などとして市販されている)では、加水分解に必要な水の総モル数は、シリコン原子の4倍よりも少ない(重合体のSiのモル数をnとすると(n≧2)、化学量論的に加水分解に必要な水のモル数は、(2n+2)モルとなる)。重合度の高いアルコキシシラン原料を使うほど、加水分解に必要な水のモル数は少なくなる。したがって、現実には、シリコンアルコキシドの加水分解に必要な水のモル数は、シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子の総モル数の4倍を下回ることもあるが、過剰な水の添加がむしろ好ましいことを考慮し、本発明では、シリコン原子の総モル数の4倍以上、好ましくは4倍を超える、さらに好ましくは5倍以上のモル数の水を添加することとした。
化学量論的に加水分解に必要なモル数を超える水を添加すると、乾燥工程における水の蒸発に伴う毛管収縮が大きく、シリコンアルコキシドの拡散および濃縮が起こりやすくなり、十分な加水分解、脱水縮合反応が促進される。溶媒の揮発および水の蒸発に伴って、塗布された液におけるpHが上記の範囲から変動することも、加水分解が促進される要因の一つとなる。こうして、緻密な膜を形成し、かつ加水分解および脱水縮合反応を十分に進行させると、硬質の膜が形成される。その結果、従来よりも低温の熱処理により、耐摩耗性に優れた膜を得ることができる。
この方法を用いると、厚くても耐摩耗性に優れたシリカ系膜を得ることができる。厚い膜を得るためには、シリコンアルコキシドの濃度が比較的高くなるように、例えばシリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子を、SiO2に換算したときのSiO2濃度により表示して3質量%を超えるように、形成溶液を調製するとよい。
シリコンアルコキシドとしては、テトラエトキシシラン、テトラエトキシシランの多量体(Sinn-1(OC252n+2)であるエチルシリケート(例えば、コルコート製のエチルシリケート40、エチルシリケート48)、テトラメトキシシラン、テトラメトキシシランの多量体(Sinn-1(OCH32n+2)であるメチルシリケート等を用いるとよい。
エトキシシランとメトキシシランでは、エトキシ基の分子の大きさがメトキシ基のそれと比べると嵩高くなるため、SiO結合への水の攻撃が阻害されやすくなる。そのため、速い反応性を必要とする場合にはメトキシシラン、それより遅い反応性を必要とする場合にはエトキシシランを用いるとよい。また、それらシリコンアルコキシドの多量体であるエチルシリケートやメチルシリケートは、単量体と比較し、1分子に存在するアルコキシ基が増大するため、疎水性が強くなり、SiO結合への進入がされにくくなる。シリコンアルコキシドの多量体を用いる場合には、単量体と比べると必要とされる反応時間が長くなるため、単量体と合わせて用いることで反応時間の制御がしやすく、加水分解した単量体が親水化し、基材に塗布しやすくなる。好ましくは、人体への影響、さらに形成溶液の加水分解の反応性制御の観点から、シリコンアルコキシドとしては、テトラエトキシシラン、またはテトラエトキシシランおよびその多量体を用いるとよい。また、テトラエトキシシランを用いずに、多量体のみを用いた場合、耐摩耗性が僅かながら低下する。しかし、これを用いた膜においても、耐摩耗試験後にも剥離は見られないことから多量体のみを用いてもかまわない。さらに、反応性すなわち極性を高めるために、メトキシ基またはエトキシ基の一部をブトキシ基などに置換したアルコキシドを用いてもよい。
シリコンアルコキシドを加水分解する温度は水の凝固点を超える温度とするとよい。分子や粒子は低温になればなるほど、運動エネルギーが低下し、粒子同士がくっつき合う傾向にあり、凝集傾向が強くなる。凝固点以下ではシリカ分子の凝集を引き起こし、さらに加水分解反応もしにくくなるため、好ましくない。温度を上げることで、粒子の運動エネルギーは増大し、さらにお互いにぶつかり合うことでそのエネルギーを増す傾向となり、その結果粒子は次第にばらばらになり、分散状態がより安定化されるのである。しかし逆の効果として、相互作用が弱いもの同士が結合している場合には、それらの結合を切ってしまう可能性があるため、弱い結合がなくなった不安定な状態になれば、そのときにもまた凝集体を引き起こす可能性がある。また、溶媒の蒸発速度より高い温度では反応制御が困難となるため、好ましくない。反応制御に適した温度は、好もしくは5℃以上50℃以下、さらに好ましくは15℃以上40℃以下であり、撹拌もしくは放置し、形成溶液として用いるのがよい。撹拌もしくは放置する際、超音波や電界、圧力を与えてもかまわない。
またさらに、本発明では、クラックの発生を招く溶媒および水の蒸発による過剰な膜の収縮を抑えるため、親水性有機ポリマーを添加することとした。親水性有機ポリマーは、塗布した形成溶液に含まれる液体成分の蒸発に伴って、生じることのあるクラックの発生を抑制する。また、液中に生成したシリカ粒子の間に介在し、液体成分の蒸発に伴う膜収縮の影響を緩和する。親水性有機ポリマーを添加すると、膜の硬化収縮を低減することができるため、膜中の応力が緩和されると考えられる。本発明では、膜の収縮を抑制しつつ、膜の耐摩耗性を保持する役割を果たす。
本発明の方法では、従来よりも低温で膜を加熱すれば足りるため、加熱後も親水性有機ポリマーは膜に残存する。本発明によれば、さらに厚膜化しても、親水性有機ポリマーが膜中に存在した状態で、耐摩耗性に優れた膜を得ることが可能となる。
この形成溶液から形成した有機無機複合膜では、有機物と無機物とが分子レベルで複合化していると考えられる。
種々の実験結果を参照すると、親水性有機ポリマーは、ゾルゲル反応によって形成されるシリカ粒子の成長を抑制し、膜の多孔質化を抑制しているようでもある。
親水性有機ポリマーとしては、ポリオキシアルキレン基(ポリアルキレンオキシド構造)を含むもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエーテル系のポリマー等を用いることができる。また、ポリビニルピロリドン系、ポリビニルカプロラクタム系のポリマー等を用いることもできる。これらの親水性有機ポリマーは、単独で、または複数種を組み合わせて用いてもよい。
以上のようなゾルゲル法の改善により、本発明によれば、有機物を含むにも拘わらず、JIS R 3212に規定されたテーバー摩耗試験を適用しても、基材から剥離しない有機無機複合膜が、クラックが発生することなしに形成された物品、が提供される。
JIS R 3212によるテーバー摩耗試験は、市販のテーバー摩耗試験機を用いて実施できる。この試験は、上記JISに規定されているとおり、500g重の荷重を印加しながら行う、回転数1000回の摩耗試験である。
有機無機複合膜の膜厚は、250nmを超え5μm以下であり、好ましくは300nmを超え5μm以下であり、さらに好ましくは500nm以上5μm以下であり、特に好ましくは1μm以上5μm以下である。有機無機複合膜の膜厚は4μm以下であってもよい。
本発明によれば、テーバー摩耗試験の後に測定した、当該テーバー摩耗試験を適用した部分のヘイズ率を4%以下、さらには3%以下、とすることもできる。これは、熔融法により得たガラス質膜に相当する耐摩耗性である。
本発明による有機無機複合膜では、有機物の含有量が、有機無機複合膜の総質量に対して0.1〜60%、好ましくは2〜60%である。
本発明の方法では、シリコンアルコキシド、強酸、水、沸点が100℃以下のアルコール、沸点が100℃を超える有機溶媒、および親水性有機ポリマーを含む形成溶液を用いる。親水性有機ポリマーは、通常、強酸とは別の成分として添加されるが、強酸として機能するポリマー、例えばリン酸エステル基を含むポリマー、を強酸の少なくとも一部として添加してもよい。
シリコンアルコキシドは、テトラアルコキシシランおよびその重合体の少なくとも一方が好適である。シリコンアルコキシドおよびその重合体は、加水分解されたアルコキシル基を含んでいてもよい。なお、詳しくは後述するが、本発明では、3官能シラン(R’Si(OR)3)等の4官能シラン以外のシリコンアルコキシドを用いずとも、膜の耐摩耗性に優れた有機無機複合膜を、クラックの発生を抑制しつつ、膜厚が250nmを超える程度に厚く形成することもできる。
シリコンアルコキシドの濃度は、当該シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子をSiO2に換算したときのSiO2濃度により表示して、3質量%を超えて30質量%以下の範囲にあることが望ましく、3質量%を超えて13質量%未満の範囲にあることが好ましく、3質量%を超えて9質量%以下の範囲にあることがより好ましい。形成溶液におけるシリコンアルコキシドの濃度が高すぎると、基材から剥離するようなクラックが膜中に発生することがある。
親水性有機ポリマーの総濃度は、シリコンアルコキシドの濃度をSiO2濃度により表示した場合、当該SiO2に対して60質量%以下とすることが好ましく、40質量%以下とすることがより好ましい。残存量が多くなると、加熱硬化後の膜強度が低下してしまう場合があるからである。他方、親水性有機ポリマーの濃度が低すぎると、硬化時の収縮による膜応力を緩和することができずクラックが発生することがある。それゆえ、親水性有機ポリマーの総濃度は、上記SiO2に対して0.1質量%以上、特に5質量%以上、とすることが好ましい。
親水性有機ポリマーは、スズドープ酸化インジウム(ITO)やアンチモンドープ酸化スズ(ATO)の酸に対する凝集を抑制する分散剤としても機能する。特に、リン酸エステル基およびポリオキシアルキレン基を含むリン酸系界面活性剤は、その分散性に優れている。本発明の方法では、形成溶液が金属複合酸化物微粒子を含んでいてもよい。金属複合酸化物微粒子は、具体的には、ITOおよび/またはATOとするとよい。
上記強酸としては、塩酸、硝酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸を例示できる。強酸のうち、揮発性の酸は、加熱時に揮発して硬化後の膜中に残存することがないので、好ましく用いることができる。硬化後の膜中に酸が残ると、無機成分の結合が妨げられ、膜硬度が低下してしまうことがある。
本発明の製造方法に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール等を例示できる。
本発明の製造方法に用いる上記有機溶媒としては、ともに溶媒として用いる水および沸点100℃以下のアルコールと相溶性を有するような極性溶媒を用いることが好ましい。また、沸点が100℃を超えて180℃以下の範囲にあるものを用いることが好ましく、100℃を超えて140℃以下の範囲にあるものを用いることがさらに好ましい。
沸点が180℃を超える有機溶媒を用いると、本発明で行うような低温度域での加熱では十分な耐摩耗性が得られない場合がある。この理由は明確ではないが、例えば以下のように考えられる。膜中に沸点が180℃を超える有機溶媒が存在すると、低温度域での加熱では、多量の溶媒が膜中に残存しやすく、水が効率よく加水分解重縮合に寄与できず、反応が十分に進行しない結果、膜中に空孔(ポア)が発生して緻密化が阻害されることに起因するものと考えられる。なお、この場合、緻密化する目的でさらに高温で加熱すると、親水性有機ポリマーが分解して、急激な膜収縮および膜構造の再配列が起こり、クラックが発生することがあるため好ましくない。
このような有機溶媒としては、炭素数3〜6、好ましくは3〜5、より好ましくは3または4の、アルコール、エーテルおよびケトンからなる群から選択される少なくとも1つを用いることができる。具体的には、イソブチルアルコール、1−ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。
本発明の方法における塗布工程では、雰囲気の相対湿度を40%未満に保持しながら、有機無機複合膜の形成溶液を基材上に塗布する。相対湿度を40%未満に制御しない場合には、雰囲気中の水分の過剰な吸い込みにより、成膜後のシリカ系膜が緻密な構造体となりにくく、優れた耐摩耗性が得られない。なお、シリカ系膜の耐摩耗性を向上させる観点からは、当該相対湿度を30%以下に制御することが好ましい。塗布工程における雰囲気の相対湿度の下限値は特に限定されないが、形成溶液の取り扱い性(塗布性)を高める観点からは、その相対湿度を、例えば15%以上、さらには20%以上に制御することが好ましい。湿度が上記範囲となるように制御された雰囲気下で形成溶液を塗布することは、良好な耐摩耗性を実現する上で重要である。
本発明の方法における除去工程では、基材上に塗布された形成溶液の液体成分、例えば水、沸点が100℃以下のアルコールおよび沸点が100℃を超える有機溶媒、の少なくとも一部、好ましくは実質的に全部、が除去される。
上記除去工程は、有機物の分解温度等を鑑み、基材の温度を、400℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下に保持して行う。下限温度としては、要求される膜の硬度に応じて、適宜選択すればよい。例えば、熱処理温度は、100℃以上、さらには150℃以上、場合によっては180℃以上であってよい。
除去工程は、室温(25℃)下での風乾工程と、風乾工程に続いて行われる、室温よりも高温かつ400℃以下の雰囲気下、例えば100℃以上400℃以下の雰囲気下での熱処理工程とにより行うとよい。風乾工程は、相対湿度が40%未満、さらには30%以下に制御された雰囲気下で行うことが好ましい。雰囲気の相対湿度を当該範囲に制御しないと、膜にクラックが発生しやすくなる。なお、風乾工程における雰囲気の相対湿度の下限値は特に限定されない。例えば15%、さらには20%であってよい。
なお、水より低い沸点の溶媒を主溶媒として用いている場合には、風乾時間が長くなると、風乾中に溶媒とともに水が蒸発し、空隙を形成する。さらに風乾した膜を加熱することで膜が収縮し、空隙を埋めようとする方向に力が働く。その結果、より膜内に応力が集中し、クラックが発生しやすくなる。これを回避するため、本発明では、形成溶液に沸点が100℃を超える有機溶媒を添加することとした。例えば、風乾時間が短い場合には、沸点が低い、イソブチルアルコール、1−ブタノール等を上記有機溶媒として用いることが好ましく、風乾時間が長くなる場合には沸点が高い、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等を用いることが好ましい。
本発明の方法では、有機無機複合膜の形成溶液中におけるシリコンアルコキシドの加水分解や重合状態を、当該形成溶液のpH調整や、親水性有機ポリマーの添加により制御している。また、乾燥や加熱時に十分な膜収縮力が得られるように水分量を調整しつつ、過剰な膜収縮を抑制するため、親水性有機ポリマーを添加している。これにより、有機無機複合膜の形成溶液を塗布する塗布工程と、塗布された当該形成溶液に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去する除去工程と、をそれぞれ1回ずつ実施することにより、低温度域の熱処理によって、耐摩耗性に優れるとともに、膜厚が250nmを超え5μm以下である程度に厚い有機無機複合膜を形成することができる。
本発明による有機無機複合膜は、上述のように、比較的低温の熱処理で、熔融法により得たガラス板に匹敵する程度に優れた耐摩耗性を有している。この有機無機複合膜を、自動車用あるいは建築用の窓ガラスに適用しても、十分実用に耐える。しかし、厚さが0.1mm以下であるフィルム、特に樹脂フィルムを、有機無機複合膜を形成する基材に用いると、基材自体の強度が十分でなく容易に変形するために、有機無機複合膜の耐摩耗性が低下する。これを考慮し、本発明では、厚さが0.1mmを超える基材を用いることが望ましい。また、厚さが0.3mm以上、さらには0.4mm以上、特に0.5mm以上の基材を用いることが好ましい。場合によっては2mm以上、さらには3mm以上であってよい。基材厚の上限値は特に限定されないが、例えば20mm、さらには10mmであってよい。
基材の材料としては、無機物、例えば、ガラスを用いることが好ましい。有機無機複合膜と基材との密着性が一層向上するためである。また、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、ナイロン等の樹脂を用いることもできる。
本発明により成膜できる有機無機複合膜をマトリクスとして、有機分子、有機高分子、無機イオン、無機微粒子等の機能性材料を導入することができる。機能性材料として用いうる有機物微粒子は、200〜300℃の温度で分解が始まるものが多い。無機物であっても、例えば、酸化物であるITO(インジウム錫酸化物)微粒子は、250℃を超えた範囲での加熱で熱遮蔽能が低下する。本発明では、200℃程度の加熱であっても、有機無機複合膜を十分に硬化させることが可能であるため、機能性材料の機能を損なわずに、これらの熱的に不安定な機能性材料を有機無機複合膜中に導入することができる。また、本発明の方法では形成溶液中に親水性有機ポリマーを含有するため、これら機能性材料を膜中に均一に分散させることも容易である。なお、ポリエーテル基を有するリン酸系界面活性剤は、特に分散性に優れている。また、本発明では、分散剤をさらに添加してもよく、必要に応じて界面活性剤をさらに添加してもよい。
なお、上記有機無機複合膜の形成溶液には、有機修飾された金属アルコキシドを、その金属アルコキシドの金属原子のモル数が、有機修飾されていないシリコンアルコキシドのシリコン原子のモル数の10%以下の量となるように、添加してもよい。
Si以外の金属酸化物をシリコン酸化物の質量分率を超えない範囲で添加し、複合酸化物としてもよい。その際に、シリコンアルコキシドの反応性に、影響を与えない方法で添加することが望ましい。
水あるいはアルコールに溶解する金属化合物、特に、単純に電離して溶解するもの、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、コバルト、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、亜鉛等の金属の、塩化物、酸化物、硝酸塩等を必要量添加してもよい。
ボロンに関しては、ホウ酸あるいはホウ素のアルコキシドをアセチルアセトン等のβ−ジケトンでキレート化して添加することが可能である。
チタン、ジルコニウムに関しては、オキシ塩化物、オキシ硝酸化物、あるいはアルコキシドをβ−ジケトンでキレート化して添加することが可能である。
また、アルミニウムに関しても、アルコキシドをβ−ジケトンでキレート化して添加することが可能である。
以下、本発明の実施形態について、例を挙げて説明する。なお、本発明は下記に限定されない。
(実施例1)
実施例1は、沸点が100℃を超える有機溶媒として、エチレングリコールモノメチルエーテル(エチルセロソルブ)を用い、親水性有機ポリマーとして、ポリエーテルリン酸エステル系界面活性剤およびポリエチレングリコールを用いて、有機無機複合膜を形成した例である。なお、ポリエーテルリン酸エステル系界面活性剤は、リンの原料でもある。
エチルアルコール(片山化学製)14.35gに、テトラエトキシシラン(信越化学製)6.25g、純水5.86g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)0.03g、エチレングリコールモノエチルエーテル(片山化学製)0.99g、ポリエーテルリン酸エステル系界面活性剤(日本ルーブリゾール製:ソルスパース41000)0.23g、ポリエチレングリコール200(関東化学製)0.04gを添加、20℃で4時間撹拌し、混合溶液を得た。さらに、この混合溶液にITO微粒子分散液(三菱マテリアル製:ITOを40質量%含むエチルアルコール溶液)2.25gを加え、20℃で30時間撹拌して、形成溶液を得た。
形成溶液中のシリコンアルコキシド(シリカ換算)、プロトン濃度および水の含有量は、表1に示す通りである。なお、水の含有量は、エチルアルコール中に含まれる水分を、0.35質量%として加え、計算している(以下同様)。
Figure 2007125537
次いで、洗浄したソーダ石灰珪酸塩ガラス基板(300×300mm、厚さ:3.1mm)上に、相対湿度(以下、単に「湿度」という)30%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま、室温で約3時間程度、風乾した後、予め200℃に昇温したオーブンに投入し22分加熱し、その後冷却した。得られた膜は、1500nm厚のクラックのない透明度の高い膜であった。
さらに、膜の硬さの評価は、JIS R 3212に準拠した摩耗試験によって行った。すなわち、市販のテーバー摩耗試験機(TABER INDUSTRIES社製 5150 ABRASER)を用い、500gの荷重で1000回摩耗を行い、摩耗試験前後のヘイズ率の測定を行った。膜厚、クラックの有無、テーバー試験前後のヘイズ率およびテーバー試験後の膜剥離の有無を表2に示す。なお、ブランクとして、熔融ガラス板におけるテーバー試験前後のヘイズ率も表2に示す。
Figure 2007125537
テーバー試験後のヘイズ率は2.4%と低く、熔融ガラス板に匹敵する硬度を有していることが分かった。当該シリカ膜付きガラス板は、自動車用あるいは建築用の窓ガラスとしても、十分に実用性を有している。なお、自動車用の窓ガラスでは、テーバー試験後のヘイズ率は4%以下が求められている。
(実施例2)
実施例2は、実施例1におけるエチレングリコールモノメチルエーテルに代えて、イソブチルアルコールを用いた例である。
エチルアルコール(片山化学製)14.84gに、テトラエトキシシラン(信越化学製)6.25g、純水5.86g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)0.03g、イソブチルアルコール(片山化学製)0.50g、ポリエーテルリン酸エステル系界面活性剤(日本ルーブリゾール製:ソルスパース41000)0.23g、ポリエチレングリコール200(関東化学製)0.04gを添加、20℃で4時間撹拌し、混合溶液を得た。さらに、この混合溶液にITO微粒子分散液(三菱マテリアル製:ITOを40質量%含むエチルアルコール溶液)2.25gを加え、20℃で5分撹拌し、30分静置して、形成溶液を得た。この形成溶液中の種々の組成については、表1に示す通りである。
次いで、洗浄したソーダ石灰珪酸塩ガラス基板(300×300mm、厚さ:3.1mm)上に、湿度30%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま、室温で約5分程度乾燥した後、予め250℃に昇温したオーブンに投入し、14分加熱し、その後冷却した。得られた膜は、1200nm厚のクラックのない透明度の高い膜であった。
膜の硬さの評価を、実施例1と同様に行った。表2に示すように、テーバー試験後のヘイズ率は2.1%と低く、熔融ガラス板に匹敵する硬度を有していた。
(実施例3)
実施例3は、実施例2における水の添加量を削減した例である。
エチルアルコール(片山化学製)15.96gに、テトラエトキシシラン(信越化学製)6.25g、純水4.78g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)0.03g、イソブチルアルコール(片山化学製)0.50g、ポリエーテルリン酸エステル系界面活性剤(日本ルーブリゾール製:ソルスパース41000)0.23g、ポリエチレングリコール200(関東化学製)0.04gを添加、20℃で1分撹拌し、30分静置し、混合溶液を得た。さらに、この混合溶液にITO微粒子分散液(三菱マテリアル製:ITOを40質量%含むエチルアルコール溶液)2.25gを加え、20℃で30分撹拌して、形成溶液を得た。この形成溶液中の種々の組成については、表1に示す通りである。
次いで、洗浄したソーダ石灰珪酸塩ガラス基板(100×100mm、厚さ:3.1mm)上に、湿度30%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま、室温で約10分程度乾燥した後、予め200℃に昇温したオーブンに投入し12分加熱し、その後冷却した。得られた膜は、1000nm厚のクラックのない透明度の高い膜であった。
膜の硬さの評価を、実施例1と同様に行った。表2に示すように、テーバー試験後のヘイズ率は2.8%と低く、熔融ガラス板に匹敵する硬度を有していた。
(実施例4)
実施例4は、実施例1におけるエチレングリコールモノメチルエーテルに代えて、1−メトキシ−2−プロパノールを用いた例である。
エチルアルコール(片山化学製)14.35gに、テトラエトキシシラン(信越化学製)6.25g、純水5.86g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)0.03g、1−メトキシ−2−プロパノール(キシダ化学製)0.99g、ポリエーテルリン酸エステル系界面活性剤(日本ルーブリゾール製:ソルスパース41000)0.23g、ポリエチレングリコール200を0.04g添加、20℃で1分撹拌し、24時間静置して、混合溶液を得た。さらに、この混合溶液にITO微粒子分散液(三菱マテリアル製:ITOを40質量%含むエチルアルコール溶液)2.25gを加え、20℃で1時間撹拌して、形成溶液を得た。この形成溶液中の種々の組成については、表1に示す通りである。
次いで、洗浄したソーダ石灰珪酸塩ガラス基板(300×300mm、厚さ:3.1mm)上に、湿度30%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま、室温で約60分程度乾燥した後、予め200℃に昇温したオーブンに投入し12分加熱し、その後冷却した。得られた膜は、1100nm厚のクラックのない透明度の高い膜であった。
膜の硬さの評価を、実施例1と同様に行った。表2に示すように、テーバー試験後のヘイズ率は2.9%と低く、熔融ガラス板に匹敵する硬度を有していた。
(実施例5)
実施例5は、実施例4におけるエタノールとともにメチルエチルケトンを用いた例である。
ポリエーテルリン酸エステル系界面活性剤(日本ルーブリゾール製:ソルスパース41000)0.23gに、純水5.86g、エチルアルコール(片山化学製)9.35g、メチルエチルケトン5.00g、1−メトキシ−2−プロパノール(キシダ化学製)0.99g、ポリエチレングリコール200を0.04g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)0.03g、テトラエトキシシラン(信越化学製)6.25gを添加、20℃で4時間撹拌し、混合溶液を得た。さらに、この混合溶液にITO微粒子分散液(三菱マテリアル製:ITOを40質量%含むエチルアルコール溶液)2.25gを加え、20℃で30分撹拌して、形成溶液を得た。この形成溶液中の種々の組成については、表1に示す通りである。
次いで、洗浄したソーダ石灰珪酸塩ガラス基板(300×300mm、厚さ:3.1mm)上に、湿度20%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま、室温で約10分程度乾燥した後、予め250℃に昇温したオーブンに投入し12分加熱し、その後冷却した。得られた膜は、1000nm厚のクラックのない透明度の高い膜であった。
膜の硬さの評価を、実施例1と同様に行った。表2に示すように、テーバー試験後のヘイズ率は2.7%と低く、熔融ガラス板に匹敵する硬度を有していた。
なお、実施例1〜5で得られた膜は、ITO微粒子を含有していることから、太陽光に含まれる赤外線をカットし、通常のガラスを通して太陽光が肌に当たった場合に感じる暑さを低減する機能を有している。
ITO微粒子は、大気中で200℃を超える温度に長時間曝されると、酸化されることにより赤外線をカットする機能が失われてしまうことが知られている。本発明では、200〜250℃という低い焼成温度で、かつ冷却過程を含めても70分以内の加熱とすることで、実用的に十分な硬度を有するシリカ膜を得ることができ、ITO微粒子の機能を損なうことがない。この結果、十分な実用性を持ち、しかもITO微粒子を用いた赤外線カット機能を有する膜とすることが可能となった。
(実施例6)
実施例6は、実施例2におけるITO微粒子を用いない例である。
ポリエーテルリン酸エステル系界面活性剤(日本ルーブリゾール製:ソルスパース41000)0.08gに、純水1.95g、エチルアルコール(片山化学製)5.77g、イソブチルアルコール0.10g、ポリエチレングリコール200を0.01g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)0.01g、テトラエトキシシラン(信越化学製)2.08gを添加、20℃で6時間撹拌し、形成溶液を得た。この形成溶液中の種々の組成については、表1に示す通りである。
次いで、洗浄したソーダ石灰珪酸塩ガラス基板(100×100mm、厚さ:3.1mm)上に、湿度20%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま、室温で約10分程度乾燥した後、予め200℃に昇温したオーブンに投入し18分加熱し、その後冷却した。得られた膜は、900nm厚のクラックのない透明度の高い膜であった。
膜の硬さの評価を、実施例1と同様に行った。表2に示すように、テーバー試験後のヘイズ率は2.2%と低く、熔融ガラス板に匹敵する硬度を有していた。
(実施例7)
実施例7は、実施例6におけるシリコンアルコキシド原料であるテトラエトキシシランに加え、その多量体であるエチルシリケートを用いた例である。
ポリエーテルリン酸エステル系界面活性剤(日本ルーブリゾール製:ソルスパース41000)0.08gに、純水1.93g、エチルアルコール(片山化学製)6.25g、イソブチルアルコール0.10g、ポリエチレングリコール200を0.01g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)0.01g、テトラエトキシシラン(信越化学製)0.42g、エチルシリケート40(コルコート製)1.20gを添加、20℃で4時間撹拌し、形成溶液を得た。この形成溶液中の種々の組成については、表1に示す通りである。
次いで、洗浄したソーダ石灰珪酸塩ガラス基板(100×100mm、厚さ:3.1mm)上に、湿度20%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま、室温で約10分程度乾燥した後、予め200℃に昇温したオーブンに投入し18分加熱し、その後冷却した。得られた膜は、900nm厚のクラックのない透明度の高い膜であった。
膜の硬さの評価を、実施例1と同様に行った。表2に示すように、テーバー試験後のヘイズ率は2.4%と低く、熔融ガラス板に匹敵する硬度を有していた。
(実施例8)
実施例8は、実施例7におけるシリコンアルコキシド原料であるテトラエトキシシランに加え、その多量体であるエチルシリケート、さらにITOを用いた例である。
ポリエーテルリン酸エステル系界面活性剤(日本ルーブリゾール製:ソルスパース41000)0.08gに、純水1.93g、エチルアルコール(片山化学製)5.43g、イソブチルアルコール0.10g、ポリエチレングリコール200を0.01g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)0.01g、テトラエトキシシラン(信越化学製)0.42g、エチルシリケート40(コルコート製)1.20gを添加、20℃で4時間撹拌し、混合溶液を得た。さらに、この混合溶液にITO微粒子分散液(三菱マテリアル製:ITOを40質量%含むエチルアルコール溶液)0.75gを加え、20℃で30分撹拌して、形成溶液を得た。この形成溶液中の種々の組成については、表1に示す通りである。
次いで、洗浄したソーダ石灰珪酸塩ガラス基板(100×100mm、厚さ:3.1mm)上に、湿度20%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま、室温で約10分程度乾燥した後、予め200℃に昇温したオーブンに投入し18分加熱し、その後冷却した。得られた膜は、1100nm厚のクラックのない透明度の高い膜であった。
膜の硬さの評価を、実施例1と同様に行った。表2に示すように、テーバー試験後のヘイズ率は2.8%と低く、熔融ガラス板に匹敵する硬度を有していた。
(実施例9)
実施例9は、実施例1におけるエチレングリコールモノメチルエーテルに代えて、イソブチルアルコールを用い、さらにテトラエトキシシランを用いず、その多量体のみを用いた例である。ITOも加えていない。
エチルアルコール(片山化学製)5.28gに、エチルシリケート40(コルコート製)2.00g、純水2.39g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)0.01g、イソブチルアルコール(片山化学製)0.09g、ポリエーテルリン酸エステル系界面活性剤(日本ルーブリゾール製:ソルスパース41000)0.11g、ポリエチレングリコール200(関東化学製)0.02gを添加、20℃で4時間撹拌して、形成溶液を得た。この形成溶液中の種々の組成については、表1に示す通りである。
次いで、洗浄したソーダ石灰珪酸塩ガラス基板(100×100mm、厚さ:3.1mm)上に、湿度30%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま、室温で約5分程度乾燥した後、予め200℃に昇温したオーブンに投入し、18分加熱し、その後冷却した。得られた膜は、1300nm厚のクラックのない透明度の高い膜であった。
膜の硬さの評価を、実施例1と同様に行った。表2に示すように、テーバー試験後のヘイズ率は3.1%と低く、熔融ガラス板に匹敵する硬度を有していた。
(比較例1)
比較例1は、沸点が100℃を超える有機溶媒および親水性有機ポリマー、ITOを用いないこと以外は実施例1とほぼ同様にして有機無機複合膜の形成を試みた例である。
エチルアルコール(片山化学製)27.49gに、テトラエトキシシラン(信越化学製)45.14g、純水27.16g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)0.10g、リン酸(85質量%、関東化学製)0.11gを添加、20℃で4時間撹拌し、形成溶液を得た。この形成溶液中の種々の組成については、表1に示す通りである。
次いで、洗浄したソーダ石灰珪酸塩ガラス基板(100×100mm、厚さ:3.1mm)上に、湿度30%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま、室温で約30分程度乾燥した後、予め200℃に昇温したオーブンに投入し40分加熱し、その後冷却した。その結果、剥離を伴ったクラックが発生し、膜として成立しなかった。
(比較例2)
比較例2は、沸点が100℃を超える有機溶媒を用いないこと以外は実施例1と同様にして有機無機複合膜の形成を試みた例である。
エチルアルコール(片山化学製)15.59gに、テトラエトキシシラン(信越化学製)6.25g、純水5.86g、濃塩酸(35質量%、関東化学製)0.03g、ポリエーテルリン酸エステル系界面活性剤(日本ルーブリゾール製:ソルスパース41000)0.23gを添加、20℃で4時間撹拌し、混合溶液を得た。さらに、この溶液にITO微粒子分散液(三菱マテリアル製:ITOを40質量%含むエチルアルコール溶液)2.25gを加え、20℃で30分撹拌して、形成溶液を得た。この形成溶液中の種々の組成については、表1に示す通りである。
次いで、洗浄したソーダ石灰珪酸塩ガラス基板(600×600mm、厚さ:3.1mm)上に、湿度30%、室温下でこの形成溶液をフローコート法にて塗布した。そのまま、室温で約3時間程度、風乾した後、予め200℃に昇温したオーブンに投入し30分加熱し、その後冷却した。
膜の硬さの評価を、実施例1と同様に行った。表2に示すように、テーバー試験後のヘイズ率は2.6%と低く、数値的には熔融ガラス板に匹敵する硬度を有していた。また、厚さが約2500nmであった。しかしながら、膜にはクラックが発生しており、実用には適さない膜であった。
本発明の製造方法によれば、有機物を含むにも拘わらず、熔融法により得たガラス板に匹敵する程度に優れた耐摩耗性を発揮しうる耐摩耗性に優れた有機無機複合膜を、クラックの発生を抑制しつつ、膜厚が250nmを超える程度に厚く形成することができるため、耐摩耗性に優れた機能性膜を必要とする各分野において多大な利用価値を有する。

Claims (18)

  1. 基材と、前記基材の表面に形成された有機物および無機酸化物を含む有機無機複合膜とを含み、前記有機無機複合膜が前記無機酸化物としてシリカを含み、前記有機無機複合膜が前記シリカを主成分とする、有機無機複合膜が形成された物品の製造方法であって、
    前記基材の表面に前記有機無機複合膜の形成溶液を塗布する塗布工程と、
    前記基材に塗布された形成溶液から当該形成溶液に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去する除去工程と、を含み、
    前記形成溶液が、シリコンアルコキシド、強酸、水、沸点が100℃以下のアルコールおよび沸点が100℃を超える有機溶媒を含み、
    前記形成溶液が、前記強酸の少なくとも一部として、または前記強酸とは別の成分として、前記有機物の少なくとも一部となる親水性有機ポリマーをさらに含み、
    前記シリコンアルコキシドの濃度が、当該シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子をSiO2に換算したときのSiO2濃度により表示して3質量%を超え、
    前記強酸の濃度が、前記強酸からプロトンが完全に解離したと仮定したときのプロトンの質量モル濃度により表示して0.001〜0.2mol/kgの範囲にあり、
    前記水のモル数が、前記シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子の総モル数の4倍以上であり、
    前記塗布工程では、雰囲気の相対湿度を40%未満に保持しながら、前記形成溶液を前記基材に塗布し、
    前記除去工程では、前記基材を400℃以下の温度に保持しながら、前記基材に塗布された形成溶液に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去する、
    有機無機複合膜が形成された物品の製造方法。
  2. 前記除去工程において、前記基材を300℃以下の温度に保持しながら、前記液体成分の少なくとも一部を除去する、請求項1に記載の物品の製造方法。
  3. 前記除去工程において、前記基材を250℃以下の温度に保持しながら、前記液体成分の少なくとも一部を除去する、請求項1に記載の物品の製造方法。
  4. 前記有機溶媒の沸点が、100℃を超えて180℃以下の範囲にある、請求項1に記載の物品の製造方法。
  5. 前記有機溶媒の沸点が、100℃を超えて140℃以下の範囲にある、請求項1に記載の物品の製造方法。
  6. 前記有機溶媒が、炭素数3〜6の、アルコール、エーテルおよびケトンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の物品の製造方法。
  7. 前記有機溶媒が、炭素数3または4の、アルコール、エーテルおよびケトンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の物品の製造方法。
  8. 前記シリコンアルコキシドが、テトラエトキシシラン、またはテトラエトキシシランおよびその多量体である、請求項1に記載の物品の製造方法。
  9. 前記シリコンアルコキシドがテトラエトキシシランの多量体である、請求項1に記載の物品の製造方法。
  10. 前記基材の厚さが0.1mmを超える、請求項1に記載の物品の製造方法。
  11. 前記基材が無機物からなる、請求項1に記載の物品の製造方法。
  12. 前記基材がガラス基板または樹脂基板である、請求項1に記載の物品の製造方法。
  13. 前記水のモル数が、前記シリコンアルコキシドに含まれるシリコン原子の総モル数の20倍以下である請求項1に記載の物品の製造方法。
  14. 前記シリコンアルコキシドの濃度が前記SiO2濃度により表示して30質量%以下である、請求項1に記載の物品の製造方法。
  15. 前記親水性有機ポリマーがポリオキシアルキレン基を含む、請求項1に記載の物品の製造方法。
  16. 前記形成溶液が金属複合酸化物微粒子を含む、請求項1に記載の物品の製造方法。
  17. 前記金属複合酸化物微粒子が、スズドープ酸化インジウム微粒子および/またはアンチモンドープ酸化スズ微粒子である、請求項16に記載の物品の製造方法。
  18. 前記塗布工程と、前記除去工程と、をそれぞれ1回ずつ実施することにより、膜厚が250nmを超え5μm以下である前記有機無機複合膜を形成する、請求項1に記載の物品の製造方法。
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