JP2007119259A - 有機−無機複合型塗膜養生剤およびそれを使用したモルタルまたはコンクリートならびにその処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂、膨潤性粘土鉱物および抗菌剤を含有する有機−無機複合型塗膜養生剤であり、抗菌剤が抗菌金属を含有し、膨潤性粘土鉱物が合成フッ素雲母であることが好ましい。前記有機−無機複合型塗膜養生剤でコーティングしたモルタルまたはコンクリート、さらに、モルタルまたはコンクリートが耐酸材料で作製された前記モルタルまたはコンクリートである。また、前記有機−無機複合型塗膜養生剤を1m2当たり50〜500g使用してコーティングするモルタルまたはコンクリートの処理方法である。
【選択図】なし
Description
しかしながら、これまでに開発された耐酸モルタルや耐酸コンクリートは充分なものではなかった。しかも、耐酸モルタルや耐酸コンクリートは塩基度が小さいため、むしろ、細菌の活動が活発になりやすいものであった。
銀、銅、亜鉛、ニッケル、カドミウム、鉛等の金属が抗菌・抗カビ性を有することは古くから知られており、ゼオライト、無定形アルミノケイ酸塩、又はアパタイトに銀や銅などの抗菌性金属を担持させたものや、銀や銅などの抗菌性金属を含有する溶解性ガラス等が提案されている(特許文献2〜特許文献8)。これらの抗菌・抗カビ剤は、それ自身を単独に、あるいは樹脂組成物や繊維などに配合して、例えば、水処理分野、船舶・漁業分野、および塗料・プラスチック分野等に広範に利用されている。
しかしながら、これらの抗菌・抗カビ剤は水硬性を示さない上に、水硬性材料の水和を阻害するので、モルタルやコンクリートに混和すると、強度低下を生じ、凝結・硬化を阻害するなどの課題があった。また、モルタルやコンクリートに混和して使用する場合には、使用量が多くなり、不経済でもあった。
本発明は、ひび割れの抑制効果に優れ、耐酸性や抗菌・抗カビ効果を有する有機−無機複合型塗膜養生剤およびそれを使用したモルタルまたはコンクリートならびにその処理方法を提供するものである。
ここで、乳化重合は、重合すべき単量体を混合し、これに乳化剤や重合開始剤などを加え水系で行なう一般的な乳化重合方法である。
また、膨潤性粘土鉱物との配合安定性を得るには、アンモニア、アミン類またはカセイソーダなどの塩基性物質を使用し、pH5以上に調整したものが好ましい。
さらに、合成樹脂水性分散体の粒子径は、一般的に100〜300nmであるが、60〜100nm程度の小さい粒子径のものが好ましい。
水溶性樹脂は、純水への溶解度が常温で1%以上であれば良く、樹脂単位質量当たりの水素結合性基またはイオン性基が10〜60%であることが好ましい。また、平均分子量は2000〜1000000が好ましい。
水溶性樹脂の使用量は、合成樹脂水性分散体の固形分100部に対して、固形分換算で0.05〜200部が好ましい。0.05部未満では防湿性が低下する場合があり、200部を超えると防湿性が著しく低下する場合がある。
中でも、抗菌性金属を担持させたゼオライトは、抗菌性の持続効果に優れ、比較的廉価な抗菌剤であるため好ましい。さらに、銀と銅を担持したゼオライトがより好ましい。また、焼成コレマナイトは、カビ類とイオウ酸化細菌の双方に抑制効果を持つため好ましい。
そのうち、日本ベントナイト工業会、標準試験方法 JBAS−104−77に準じた方法での膨潤力が20ml/2g以上の粘土鉱物、特に、合成フッ素雲母やベントナイトが好ましい。また、イオン交換当量が100g当たり、10ミリ当量以上ものが好ましく、60〜200ミリ当量以上ものがより好ましい。さらに、そのアスペクト比が50〜5000のものが好ましい。アスペクト比とは、電顕写真により求めた層状に分散した粘土鉱物の長さ/厚みの比である。
膨潤性粘土鉱物の使用量は、合成樹脂水性分散体の固形分100部に対して、固形分で1〜50部が好ましい。1部未満では防湿性が低下しブロッキングが生じやすくなる場合があり、50部を超えると有機−無機複合型塗膜養生剤の膜の変形能力が低下する場合がある。
架橋剤の使用量は、合成樹脂水性分散体と水溶性樹脂の合計の固形分100部に対して、固形分で0.01〜30部が好ましい。0.01部未満では防湿性が低下する場合があり、30部を超えると防湿性やブロッキング防止性が頭打ちになる。
本発明の有機−無機複合型塗膜養生剤は、モルタルまたはコンクリートが硬化した後に施すことが好ましい。ここで、硬化とは、モルタルまたはコンクリートが凝結した時点を意味する。モルタルまたはコンクリートが凝結する前に塗膜養生剤を被覆した場合には、本発明のひび割れ低減効果は得られない。また、撒水などの水に関する養生が終了後、できるだけ早い時期に被覆することがひび割れ低減効果を得るために好ましい。
セメント:市販の普通ポルトランドセメント
細骨材:新潟県姫川産、比重2.62
有機−無機複合型塗膜養生剤:東亞合成社製商品名「CA212」、アクリル樹脂−フッ素雲母の複合型
抗菌剤イ:市販のゼオライト系抗菌剤、銀と銅を担持したゼオライト
抗菌剤ロ:市販のニッケル系抗菌剤
抗菌剤ハ:市販の焼成コレマナイト
水:水道水
従来の塗膜養生剤:市販のEVA系塗膜養生剤
ひび割れ抵抗性試験:1m2当たり、2本を超えてひび割れが発生した場合は×。ひび割れが1〜2本発生した場合は△、ひび割れの発生がない場合は○とした。
耐酸性試験(硫酸浸透深さ):10φ×20cmの供試体を作製し、材齢28日まで水中養生を行った後、塗膜剤を塗布した。この供試体を下水処理施設に1年間にわたり暴露した。供試体を暴露した場所は、年間平均のH2Sガス濃度が50ppm以上の腐食環境である。暴露後の供試体を切断し、切断面にフェノールフタレインの1%濃度アルコール溶液を噴霧し、赤変しなかった部分を硫酸浸透深さと見なして、ノギスで8点測定し、平均値を求めた。
カビ抵抗性試験:縦30×横30×高さ3cmのモルタル硬化体を作製し、材齢28日まで水中養生を行った後、塗膜剤を塗布した。このモルタル硬化体表面に、カビ種A(クラドスポリウム・クラドスポリオイデス)とカビ種B(アスペルギルス・ニゲル)の胞子懸濁液を塗布し、4週間にわたってカビ抵抗性試験をJIS Z 2911に準じて行った。カビ抵抗性の×は1/3を超える面積にわたってカビ発生、△は1/3以下の面積においてカビ発生、○はカビの発生なし。
耐酸モルタルA:市販のセメント-スラグ-ポゾラン系耐酸モルタル
耐酸モルタルB:市販のアルミナセメント-スラグ系耐酸モルタル
粗骨材:市販の粗骨材、Gmax25mm
Claims (6)
- 合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂、膨潤性粘土鉱物および抗菌剤を含有する有機−無機複合型塗膜養生剤。
- 抗菌剤が抗菌金属を含有する請求項1に記載の有機−無機複合型塗膜養生剤。
- 膨潤性粘土鉱物が合成フッ素雲母である請求項1または2に記載の有機−無機複合型塗膜養生剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機−無機複合型塗膜養生剤でコーティングしたモルタルまたはコンクリート。
- モルタルまたはコンクリートが耐酸材料で作製されたものであることを特徴とする請求項4に記載のモルタルまたはコンクリート。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機−無機複合型塗膜養生剤を1m2当たり50〜500g使用してコーティングするモルタルまたはコンクリートの処理方法。
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