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JP2007114209A - 溶液用核磁気共鳴分析装置 - Google Patents

溶液用核磁気共鳴分析装置 Download PDF

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JP2007114209A
JP2007114209A JP2006330102A JP2006330102A JP2007114209A JP 2007114209 A JP2007114209 A JP 2007114209A JP 2006330102 A JP2006330102 A JP 2006330102A JP 2006330102 A JP2006330102 A JP 2006330102A JP 2007114209 A JP2007114209 A JP 2007114209A
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Michiya Okada
道哉 岡田
Takeshi Wakuta
毅 和久田
Shigeru Kadokawa
滋 角川
Yutaka Morita
裕 森田
Katsuzo Aihara
勝蔵 相原
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Abstract

【課題】近年のタンパク質研究の進展とともに、分子量の大きな複雑な化合物の構造解析のニーズが高まっている。そのため、NMRに要求される性能は年々高まっており、検出感度向上のため、NMRの中心磁場は上昇している。既存の方式では、感度向上の限界に達しつつあり、磁場強度に依存しない新しい検出方法が求められていた。
【解決手段】検出コイルの形状を従来の鳥籠型27から、より感度の高いソレノイド方式4とする。そのために、超電導磁石を従来の多層空心ソレノイド28,29,30ではなく、左右に分割され、水平方向に11T、好ましくは14.1T 以上を発生する超電導磁石1,2,3によるスプリットマグネットで構成。磁場均一度を0.001ppm以下、時間安定度で0.001ppm以下とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、タンパク質やタンパク質と相互作用する基質,リガンド等の有機物分子の構造並びに相互作用を溶液中において分析するに好適な核磁気共鳴分析装置に関する。
核磁気共鳴を利用した有機物の分析方法は、近年急速な進歩を遂げつつある。特に、強力な超電導磁石技術と組み合わされることによって、複雑な分子構造をもつタンパク質などの有機化合物を原子レベルで効率よく構造解析することが可能になってきた。本発明の対象とするのは、微量のタンパク質を溶解した水溶液中のタンパク質分子の原子レベルの構造と相互作用を解析するに必要なNMR分光計であって、いわゆるミリメートル級の画像分解能を必要とする人体の断層撮影を目的とした医療用MRI画像診断装置とは、磁場強度で1桁以上高く、磁場均一度は4桁、安定度についても3桁高い性能が要求され、全く異なる設計技術,装置製作技術が要求される特殊なエネルギー分光装置である。従来の高分解能核磁気共鳴分析装置に関する詳細は「タンパク質のNMR」33ページから54ページ、荒田洋治著、共立出版、1996年に記載されている。NMRをタンパク質の解析に利用する場合の典型的な装置構成に関連する最近の発明には、超伝導磁石に関わる発明として、多層空芯ソレノイドコイルの典型的な構成として特開2000−147082号等があり、また、信号検出技術に関連する発明として、鳥かご型超伝導検出コイルを開示した米国特許6121776号、従来の鞍型コイル、或いは、鳥かご型コイルによる信号検出技術を開示した例として、特開2000−266830号,特開平6−237912号などがある。これらの報告によれば、従来のタンパク質解析用の高感度な核磁気共鳴分析装置は、全て鉛直方向の磁場を発生するソレノイドコイルの組み合わせによって構成された超電導磁石装置を用い、400〜900MHzの電磁波を試料に照射し、試料から発せられる共鳴波を鞍形または鳥籠型の検出コイルを利用して検出している。また、米国特許6121776号の例にあるように、受信時の熱ノイズを低減するために低温に冷却された検出器を利用し、S/N感度比を改善する工夫がなされている場合もある。
歴史的にみて、高感度な核磁気共鳴装置は、基本的にはアンテナ及び磁石等のシステムの基本構成を同一に保ち、超電導磁石の中心磁場強度を高める方法によって感度向上を果たしてきた。従い、現在迄に報告されている最高のNMR測定感度は900MHzのNMR装置により得られ、中心磁場21.1 テスラの大型超電導磁石が利用されているが、装置の基本構成は特開2000−147082のような従来技術と何ら変わっていない。溶液を用いたタンパク質の解析において、中心磁場向上は、感度の向上と、化学シフトの分離を明確にする効果がある。
検出コイル形状による感度向上効果については、荒田洋治著、「NMRの書」2000年、丸善、p326に記載されているように、従来、検出コイルとしてソレノイドコイルを利用すれば、鞍形、あるいは鳥籠型に比較して様々な利点があることが知られていた。たとえば、インピーダンスのコントロール容易性,フィリングファクタ,RF磁場の効率などの点で優れているなどである。同著によれば、しかし、従来の超電導磁石の構成では、水溶液中に微量に溶解したタンパク質の計測用途等の、感度を重視する場合には、磁場に対して垂直に置かれたサンプル管の周りにソレノイドコイルを巻くことは実際には不可能であり、一般には利用されていない。特に例外的に、微量のサンプル溶液を用いて感度よく測定する場合に限り利用される場合があり、特別にデザインしたミクロサンプル管を利用して、特別のプローブを用いて計測する方法が知られていた。
また、特殊な例では、最近では特開平11−248810号のように、高温超電導のバルク磁石を水平方向に着磁し、ソレノイドコイルでNMR信号を検出する方法が考案されている。また、特開平7−240310では、装置の天井高さの制約を取り除くための一般的なNMR用途に適した超電導磁石と冷却容器の構成方法を開示しているが、タンパク質の解析に必要な検出感度の向上方法や磁場均一度、磁場の時間安定度に対する技術的な対応方法等については知られていない。
近年、タンパク質の研究に対するニーズの高まりとともに、タンパク質の水への溶解度が小さい試料の分析ニーズが高まり、NMRの測定感度を向上させる必要が生じている。このようなニーズに核磁気共鳴分析装置を適合させるには、従来同等の試料空間を維持したまま、測定感度の向上をはかる必要があり、長時間のデータ積分時間中での超伝導磁場の安定性の確保も必須である。測定感度の向上は、また、同程度の溶解度の試料であれば、測定時間の短縮ばかりでなく、サンプル量の低減が可能になる利点が特に大きく、溶解度の小さなタンパク質の解析が可能になる効果がある。従い、タンパク質の解析に用いられるNMR分析装置は、従来のNMRと比較して特段に優れた検出感度と安定性が要求されるほか、1週間以上の長時間にわたる正確で、かつ、安定的なNMRシグナルの検出が必要である。これは計測中に磁場が変動すると、NMRシグナルのピークが移動してしまうためであり、特に相互作用の計測では、ピークの移動が、相互作用によるものか、或いは、磁場の不安定性に起因するものか、判別ができなくなるためである。また、磁場が不均一であれば、所望のピークが重なってしまい、相互作用の判別が困難になるなどの課題を生じる。よって、タンパク質の様々な解析を目的とした今後のNMR技術は、従来の一般的なNMR装置の単純な延長上にはない新たな技術開発が必要であることにまず留意しておく必要がある。
一例をあげると、一般的なNMR装置の磁場均一度の仕様は、試料空間で0.01ppm、時間安定度で0.01ppm/hである。これを一般的な用途の600MHzのプロトンNMRで換算すると、6Hzの許容誤差になる。しかしながら、前述したタンパク質の相互作用解析の場合では、少なくとも、1.0Hz 以下の空間、及び、時間分解能が必要であり、望ましくは0.5Hz 以下が必要である。これらの磁場均一度と磁場の時間的安定度を実現可能な方法で、超伝導磁石や検出コイルを最適に構成する必要がある。従い、従来一般的に利用されていたNMR装置の性能では不十分であり、従来より、1桁以上高い安定性と磁場均一度が要求される。
従来技術は、主として、磁場強度の向上に頼って感度向上したため、装置が大型化し、漏洩磁界の課題と床強度の課題から、専用の建物を必要とするなど、設置性の課題も新たに生じた。さらに、超電導磁石のコストが増大するなどの課題を生じた。また、この方法による感度向上は、超電導材料の臨界磁界による制約で概ね21Tの上限に達し、これ以上の感度向上のためには、磁場強度に頼ることのない新たな手段による検出感度向上技術が望まれていた。
前述したように、ソレノイドコイルを利用した高感度測定の方法は、極く微量の特別のサンプル管と特別の検出プローブで利用可能であったが、およそ10cc程度の一般的なタンパク質溶液による解析には適用できなかった。また、特開平11−248810号の例にあるように、強力な磁石によって水平方向に磁場を発生し、ソレノイドコイルでNMR信号を検出する方式では、高温超電導体の表面で10T未満の磁場を発生できるのみであって、試料部分の磁場は高々数テスラ程度であって、タンパク質の解析に必要な11テスラ以上の磁場、好ましくは14.1 テスラ以上の磁場を所望の試料空間に発生することはこの方法では不可能であった。また、この方法では、タンパク質の解析に必要な時間安定度1.0Hz/時 以下を達成することは、高温超伝導体の磁束クリープ現象の効果で実質的に困難であった。また、タンパク質の解析に必要な、磁場均一度についても、直径10mm×長さ20mmの空間でプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz 以内の磁場均一度を達成することは、高温超電導バルク体材料の製造プロセスに起因した不均質性から困難であった。
このように、従来技術は、タンパク質の解析ニーズに対応するためのブレークスルー技術の開発が求められている一方で、磁場による感度向上の限界に達してしまった現在、さらなる感度向上のための新しい解決方法が求められていた。
今後ニーズが高まると考えられる溶液中におけるタンパク質と基質,リガンド等の低分子の相互作用を効率よくかつ精度良く解析する場合には、経験的には、600〜900
MHz、中心磁場で14〜21T程度で、適切なサンプル量で測定できることが望ましく、現状より計測感度を高め、スループットを高めることが望まれている。また、一般に、800MHz以上の装置では、超電導特性を極限まで利用するため、4.2K の液体ヘリウムを減圧し、1.8K と過冷却して運転する。このため、装置運転上の煩雑さが増すほか、メンテナンスも大変である。また、磁石装置が大型化するため、漏洩磁界大きく、通常は専用の建物を必要とする。特に、装置の設置性の観点では、従来方式では、中心磁界の増大と共に、鉛直方向に漏洩磁界が増大し、たとえば、900MHz級の装置では高さ方向に5mもの漏洩磁界を生じるため、天井高さの高い建築物を必要とする。そのため、建築コストが増大する課題があった。また、従来の900MHz超電導磁石の大きさは、アイ・トリプルイ−・トランザクションズ・アップライド・スーパーコンダクティビティー IEEE. Transactions on Applied Superconductivity Vol.11 No.1 p2438に記載されているように、磁石部分の大きさだけで幅直径1.86m 高さは数メートルであった。
本発明では、主として通常の5〜10mm径のサンプル管を用い試料溶液をを概ね30mm高さ充填した状態で、600MHz(14.1T) 程度でNMRシグナルの計測感度を従来の少なくとも40%以上高め、かつ、タンパク質の解析に必要な超伝導磁石の時間的安定度及び空間的均一度を提供可能な新規な核磁気共鳴分析装置を提供することにある。なお、本発明の構成は、システムの運転温度を4.2K と定めるものではない。なお、本発明を応用して、極限性能を目指すことも可能であり、用途によっては、従来の磁場限界であった、21.1Tすなわち900MHzで1.8Kで運転する事があってもよく、その場合、従来の方式と比較して40%の感度向上が可能であり、従来の不可能であった磁場強度による検出感度限界を大きくうち破ることが初めて可能になった。
発明者らは、鋭意研究を重ねることによって、現状の核磁気共鳴装置に共通する課題とその対策法を考案した。現状の核磁気共鳴装置は、コストと設置性を両立させるために、磁場均一度の優れた多層空心ソレノイドコイルの中心に、溶液試料をおき、鞍型または鳥籠式のアンテナで検出する方法で発展してきた。歴史的には、400MHz未満の低い磁界から、計測技術と解析法の進歩によってNMRが発展するにつれ、この基本的な形式を守ったまま、中心磁場の強大化によって計測感度を向上させてきた。また、最近は熱ノイズを減らすために超電導式の鳥籠型アンテナを用いる例も報告されている。我々は、磁場強度を同一としたまま、従来よりも著しく信号強度を高める方法について鋭意検討を重ねてきた。その結果、以下に述べる本発明の特徴によれば、この課題を解決できることを見いだした。
本発明の一つの特徴は、試料空間として直径で5〜10mmで、高さ20mmの溶液NMRに適する400MHz以上の磁場、好ましくは600MHz〜900MHz程度で、検出コイルを通常のNMR研究用のサンプル管がそのまま利用できる5〜10mm、高さ20mm程度で、ソレノイド方式の検出コイルを適用することによって感度向上を図るものである。原理的には、検出コイルの形状因子の差によって少なくとも1.4(√2)倍の感度向上が期待でき、その他の因子によって更に向上が期待でき、データの積算時間は1/2以下に短縮することができる。溶液状のサンプルは直径5〜10mmサンプル管に高さ20〜
30mm程度、挿入され上部から鉛直方向に挿入される。鉛直方向を巻軸としたソレノイドコイルでNMR信号を感度よく検出するには、超電導磁石で発生する磁場を水平方向に配置し、その磁界中心に、容易に着脱できる溶液サンプルを配置できるようにする必要がある。そのため、超電導磁石の構成は、従来の単純なソレノイド磁石と異なり、左右に分割された一対のスプリットマグネットで構成する必要が生じる。ここで、溶液中に溶解したタンパク質の解析という特殊な分析用途に対応するためには、先に述べたように、時間安定度でプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz /時(h)、試料空間の空間的な均一度で1.0Hz 以下に超伝導磁石を最適設計・製作する必要がある。これは従来より一桁以上厳しい設計であって、公知の技術を単純に組み合わせただけで構成できる範囲内にはない。そのため、各スプリットマグネットは、計算機上では有効桁数の限界である0.000
ppm の高精度の磁場を発生できるよう十分な設計検討を行った後、Nb3Sn 等の高磁場超電導線からなるコイルとNbTi超電導線からなる低磁界用超伝導コイルの最適な配置と組み合わせで構成する。スプリットマグネットを使った汎用の溶液タンパク質分析用
NMR装置構成の例はない。発明者らは、鋭意研究を重ねて、世界で初めてタンパク質の解析に適用できる時間安定度と空間的な安定度、すなわち、プロトン核磁気共鳴周波数で、試料空間内で1.0Hz以内、1時間あたり1.0Hz以内を、本装置構成で達成できることを見いだした。我々が鋭意蓄積したマグネット最適化技術によって、従来困難であった複雑なスプリットコイルシステム系の均一磁界の設計を可能とした。低温容器を含めた磁石部分の大きさは、1台あたり、概ね幅1m,高さ1m程度でまとめることが可能であって、漏洩磁場を低く抑えながら、省スペースで集積度の高い実験装置を構成でき、データの積算時間は概ね2倍の高スループットな溶液NMR装置構成を提供できることを見いだした。
すなわち、溶液中に溶解されたタンパク質等の試料が鉛直方向上部から挿入され、直径で5〜10mmのサンプル管に該試料が高さ10〜30mm程度挿入され、超電導磁石,高周波発信コイル及び受信コイルからなる溶液用核磁気共鳴分析装置において、該超電導磁石の発生する定常磁場が11T以上、好ましくは14.1T以上であり、該超電導磁石の発生する磁場方向が水平方向であって、かつ、定常磁場の変動によるプロトン核磁気共鳴周波数の1時間あたりの変動が1.0Hz 以下であって、試料空間の磁場均一度はプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz 以下であって、該溶液状の試料が概ね鉛直方向に上部から挿入され配置され、該受信コイルが装置下部から磁場中心付近に設置されてたソレノイドコイルとすることで、直径5〜10mmのサンプル管に挿入された微量のタンパク質を感度よく分析できる。
また、本発明は溶液中に溶解されたタンパク質等の試料が鉛直方向上部から挿入され、直径で5〜10mmのサンプル管に該試料が高さ10〜30mm程度挿入され、超電導磁石,高周波発信コイル及び受信コイルからなる核磁気共鳴分析装置において、該超電導磁石の発生する定常磁場が11T以上、好ましくは14.1T 以上であり、該超電導磁石の発生する磁場方向が水平方向であって、かつ、定常磁場の変動によるプロトン核磁気共鳴周波数の1時間あたりの変動が1.0Hz 以下であって、試料空間の磁場均一度はプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz 以下であって、該溶液状の試料を概ね鉛直方向上部から磁場中心に設置し、該受信コイルを超電導材料で構成されたソレノイドコイルとし、装置下部から配置した構成であって、超電導発現温度以下に冷却することによって達成できる。
また、該有機物試料が、高分子有機化合物,タンパク質,リガンドであることがのぞましい。
また、該超電導磁石が水平方向に磁場を発生する1対のスプリットマグネットであることがのぞましい。
また、超電導磁石が水平に配置されたトロイダルマグネットであることで達成できる。
更に本発明は溶液中に溶解されたタンパク質等の試料が鉛直方向上部から挿入され、直径で5〜10mmのサンプル管に該試料が高さ10〜30mm程度挿入され、超電導磁石,高周波発信コイル及び受信コイルからなる核磁気共鳴分析装置において、該超電導磁石の発生する定常磁場が11T以上、好ましくは14.1T 以上であり、該超電導磁石が水平方向に配置されたトロイダルマグネットであって、かつ、定常磁場の変動によるプロトン核磁気共鳴周波数の1時間あたりの変動が1.0Hz 以下であって、試料空間の磁場均一度はプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz 以下であって、複数の該溶液状の試料がトロイダルコイルの円周状に概ねと等間隔の場所に配置され、各試料に対応した該受信コイルが超電導材料で構成されたソレノイドコイルであって、装置下部から配置され、超電導発現温度以下に冷却することで達成できる。
また、超電導磁石が水平に配置されたトロイダルマグネットであって、隣接する複数の試料から発生する核磁気共鳴信号を明確に区別できるように、試料に印加される磁場強度が調整されていることで達成できる。
また、本発明の構成の特徴は、溶液用核磁気共鳴分析装置において、溶液試料を装置上部から磁場中心に配置する構成とし、検出コイルをソレノイドコイルとし装置下部から磁場中心に配置し、磁場方向を水平方向とし、超電導磁石は左右に分割された構成である溶液用核磁気共鳴分析装置にある。
本発明の上記した特徴及びその他の特徴は、上記記述に限定されるものではなく、以下において更に説明される。
本発明によれば、主として通常の5〜10mm径のサンプル管を用い試料溶液を概ね30mm高さ充填した状態で、600MHz(14.1T)程度でNMRシグナルの計測感度を従来の少なくとも40%以上高め、かつ、タンパク質の解析に必要な超伝導磁石の時間的安定度及び空間的均一度を提供可能な新規な核磁気共鳴分析装置を提供できる。さらに、
21.1Tすなわち900MHzで1.8Kで運転する場合、従来の方式と比較して40%の感度向上が可能であり、従来の不可能であった磁場強度による検出感度限界を大きくうち破ることが初めて可能になった。
(実施例1)
本発明の第1の実施例を図1に示す。超電導磁石1,2,3は試料に近い内側ほど、超電導臨界磁界の高い材料でコイルが形成されている。たとえば、1はNb3Al 、2は
Nb3Sn 、3はNbTiであるが、必要に応じて組み合わせコイルの発生磁場と均一度が所望の値となるように最適な組み合わせをしてもよい。たとえば、Bi2Sr2CaCu2O9 等のBi系やY1Ba2Cu37系等の超電導材料を用いたり、MgB2 などを用いても良い。これらの組み合わせからなる超電導磁石は磁場発生方向は水平方向である。図1において、直径5〜10mmで水と同等の磁気的性質を持つガラス製のサンプル管に30mm高さ充填された水溶液に溶解されたタンパク質試料4は装置上部から磁場中心に挿入され鉛直方向
に置かれており、磁場は試料に横方向から印加される。従って、おのおのの超電導磁石は、水平方向を巻き軸としてソレノイド状に巻かれ、左右対称に配置されている。磁石の最大幅は400mm、最大高さは700mmであって、コンパクトに集約されている。磁石中心部では、磁場の均一度は0.001ppm以下、プロトン核磁気共鳴周波数で表記すると0.5以下に調整され、時間安定度は0.001ppm/h以下、プロトン核磁気共鳴周波数で表記すると0.5Hz/時 以下であった。この場合、必要に応じて、磁場中心付近に均一度調整用のコイルが配置されてもよい。調整には常温部で導線を用いて調整するか、或いは、低温部で別の超電導線を用いて調整するか、或いは両者を組み合わせて調整しても良い。たとえば、プロトン核磁気共鳴周波数で600MHzのNMRとして用いる場合には、中心磁場は概ね14.1T で磁場均一度は18mm球でプロトン核磁気共鳴周波数で表記すると0.5Hz以下とする。この条件では、コイルの運転温度を4.2Kとし、液体ヘリウムのポンピングは不要であり簡便に運転できる。試料は鉛直方向から挿入される。
本方式によれば、水平方向に磁場を発し、鉛直方向上部から試料を挿入するため、試験管内に納めた溶液がこぼれる心配がない。また、検出コイルを下部から挿入する構成であるため、試料スペースを十分に確保することができ、タンパク質の分析に感度を必要とする測定に対して試料空間を最大限有効に活用することができる。また、測定条件によっては試料は回転させても良い。また、検出コイル系を低温に冷却する場合であっても、このような配置によって連続的に試料の濃度や添加物を変化させることができるため、タンパク質の相互作用研究における各種の条件変更を容易に実施することができる。NMR信号の検出には、常温に保持された銅製のソレノイドコイル、または、10〜20Kに冷却されたY系又はMgB2 からなるソレノイドコイルが用いられ、アンテナ用検出コイル5として、装置下部から磁場中心に挿入され、試料溶液の入ったガラス管の周囲に配置され、信号ケーブル6を介して、検出された信号を外部に送る構成になっている。装置下部から挿入することで、サンプルスペースを広くとれるほか、計測系からの試料に対する振動ノイズを低減できる。超電導磁石は永久電流スイッチ9によって永久電流モードに保持されており、磁場の時間的な変動は1時間あたり0.5Hz 以下に調整されている。超電導磁石は、液体ヘリウム7に浸漬され低温に保持され、外側を液体窒素8で覆う二重構造とすることによって、ヘリウムの消費を節約する低温容で構成されている。液体ヘリウムで冷却する代わりに、パルス管冷凍機など、振動の課題がない冷凍機を用いて、超電導磁石を直接冷却しても良い。なお、磁石周囲の漏洩磁界を低減することは、装置の設置性,安全性の観点から重要であり、設置条件に合わせた磁気シールドを付与したマグネット構成とすることができる。
以上述べたように、本実施例では、このような構成により、中心磁場は14.1T でプロトン核磁気共鳴周波数で600MHzを得たが、図7の比較例に示すような従来構成のNMRシステムと比較して、シグナル・ノイズ比(S/N)比で比較して、概ね1.4 倍に向上でき、同一試料濃度の分子量20Kのタンパク質を溶解した試料のNMR信号積算計測で比較した場合には、同水準のデータ積算時間が2倍に高速化された。これは、同じ実験を840MHz相当のNMR装置で観測した場合と同等の計測時間性能であった。また、磁気シールドを施すことによって、装置周辺の他の分析機器との干渉が減るため、機器の設置密度を向上できる効果が認められた。
なお、600MHzの場合、装置からの漏洩磁場の5ガウスラインは、垂直方向に2m、水平方向には最大で3mであった。これにより、840MHzと同品質のNMRデータを、特殊な専用建築物を利用しないで設置が可能になった。
(実施例2)
本発明の第2の実施例を図2に示す。本実施例では、第1の実施例と構成は概ね同一であるが、低温容器が、左右の超電導磁石で分割されており、ユーザーの利用空間に解放性を持たせている。すなわち、従来の密封型の試料空間と異なり、サンプル室の周辺に開放空間があるため、たとえば、試料に光照射,レーザ光照射などを容易に行いながら、ダイナミックなタンパク質の挙動を計測することができる。このようなダイナミックなNMR信号を観察できるので、たとえば、タンパク質のシグナル伝達や、光合成反応などを調べることができる。なお、このような特殊な実験の場合には、超電導磁石は、液体ヘリウムをポンピングして冷却し、1.8K で運転することによって、900MHz程度の中心磁場(21.1T) で運転することができる。この場合の検出感度は、図7の従来方式のNMR装置に換算すると1.26GHzのNMRと同等であり、29.6Tの強大な磁場に匹敵し、従来の超電導材料の臨界磁界を大きく上回る。そのため、従来方式ではこのような検出感度は到達不可能であったが、本発明によれば、従来技術で到達できない、高水準の検出感度を900MHz(21.1T) の磁場強度で実現できる。この場合でも、従来の900MHz級のNMR装置と比較して、装置の鉛直方向の漏洩磁界に大きな違いがあり、本発明の場合には、鉛直方向で3m、水平方向で、コイル軸方向で最大で4.5mであった。
(実施例3)
本発明の第3の実施例を図3に示す。本実施例では、8対の超電導磁石11を水平方向のトロイダル状に配置することで、漏洩磁場を低減でき、装置の集約度を高めた構成例である。すなわち、液体ヘリウムに冷却された1つの低温容器の中に、8台のNMR分析装置が並立して設置されている。各8対のスプリットマグネットの構成の詳細は、おのおのが第1の実施例と同様であっても良く、たとえば、概ね600MHzを発生するが、好ましくは、600MHzを基準として、隣接するNMR装置のおのおの10Hzずつ周波数を変えていることが望ましい。たとえば、610,620,630MHz等々である。これにより、たとえ試料12が同一であっても、異なる装置間の互いのNMR共鳴信号を区別できる効果がある。このような構成によって、直径で5m〜10mの空間に、高度に集積したNMR分析装置を集約可能であるため、設置性とメンテナンスコストの低い、経済効果の大きなハイスループットNMR分析システムを提供できる。
(実施例4)
本発明の第4の実施例を図4に示す。本実施例では、本発明のNMRシステム構成の一例を示す。試料は、溶液試料の自動供給装置13を用い、たとえば、フローセルなどを利用して連続的に任意の濃度、或いは基質,リガンド,金属元素などの添加物を付与できる構成である。これにより、タンパク質の相互作用研究に適した装置構成とする事が可能である。NMR信号は、プリアンプ14を経由して、アナライザ15に送られ、ワークステーション16で制御される。NMR信号取得には各種のパルスシーケンスが適用される。必要に応じて、パルスが発信され、パルスシーケンスは傾斜磁場と組み合わせることもできる。なお、信号の熱ノイズを低減するため、プリアンプ14を液体窒素温度程度に冷却して使用することもできる。
(実施例5)
本発明の第5の実施例を図5に示す。図5は、本発明の検出プローブ構成の詳細を示す。試料4は水溶液に溶解されたタンパク質である。試料4は水と同等の性質をもつ直径5〜10mmのガラス管に挿入され、装置下部から磁場中心には位置される。ソレノイド状の検出コイル17は、材質としては銅又は超電導線が用いられる。超電導線の場合には、概ね10〜20Kにヘリウムガス25で冷却される。銅線の場合には常温度に保持される。試料は、必要に応じて回転される。
3軸の傾斜磁場コイル19,20,21,22,23,24の組み合わせで、任意の方向に任意の磁場勾配を印加でき、パルスシーケンスと組み合わせて分析に利用される。検出された信号は、リード線18によって、プリアンプに送られる。
本発明によれば、超電導線を用いた検出コイルを用いなくても、感度向上が図れるため、メンテナンス性に優れるほか、実施例2で述べたような光照射実験なども可能になる効果がある。また、検出コイルをソレノイド形状でかつ超電導にすることで、従来の40%以上の感度向上でき、たとえば、900MHz(21.1T)で応用すれば、従来の1.26GHz(29.6T) 相当の検出感度が得られるため、従来到達不可能であった検出感度を実現できる効果がある。
(実施例6)
本発明の第6の実施例を図6に示す。基本構成は、本発明の実施例2と同一である。漏洩磁界を小さくするために、鉄製の磁気シールドと組み合わせている。鉄を用いたリターンヨーク26と組み合わせることで、周辺への漏洩磁界を2m以内に低減できる効果がある。なお、磁気シールドには、必要に応じて超電導磁石を利用したアクティブシールドを利用してもよい。鉄に比べて重量が軽くなるメリットがある。また、鉄とアクティブシールドを組み合わせて利用することもできる。
(比較例1)
本発明の比較例のNMR装置構成として、600MHz級のNMR装置の構成を図7に示す。中心磁場は14.1T である。鳥籠形状の受信コイル27と超電導磁石28,29,30が多層空心ソレノイドコイルである。この検出方法で本発明と同等に感度を向上するには、中心磁場を高めるしか方法はないが、現時点では21Tが限界であって、同一の周波数(中心磁場強度)であれば、本発明と比較して検出感度は40%程度劣る。磁場の均一度と時間安定度は、タンパク質の解析に必要な0.5Hz以下であった。
(比較例2)
本発明の比較例のNMR装置構成として、鳥籠プローブ27の構成を図8に示す。鞍形コイルを用いる場合もあるが、感度的には比較例1との組み合わせによる方法では、本発明の実施例1と同一の検出感度を得ることは不可能である。この検出方法で感度を向上するには、温度を下げる以外に方法はなく、現状では超電導を利用する方法も提案されているが、コスト増とメンテナンス性の課題が生じる。また、本発明のソレノイド式検出コイルに比較して、検出感度が概ね40%低い。
(比較例3)
本発明の比較例を図9に示す。水平方向に均一磁場を発生する汎用のNMR用ソレノイドコイル用い、水平磁場型の配置として、比較例2の鳥かご型検出コイルと組み合わせ、タンパク質の水溶液を、水平方向の連通孔から試験管を計測部に挿入した。計測部位の磁場によって概ね400MHzの核磁気共鳴信号を得たが、試料空間の直径10mm,長さ
20mmでは、4Hzの誤差を誤差に相当する磁場の空間的な不均一さを生じた。また、1時間あたりの磁場の不均一は3Hz/hであった。これらの値は、汎用NMR装置としては標準的な値であるが、本発明の目的とするタンパク質の相互作用解析には不十分であった。また、測定中に試験管の中の溶液液面が水平方向に動いてしまい、安定な計測ができなくなることがしばしばであった。
(比較例4)
本発明の比較例を図10に示す。水平方向に均一磁場を発生する汎用のNMR用ソレノイドコイル用い、水平磁場型の配置として、装置上部から、計測部位まで、連通孔を通して、比較例2の鳥かご型検出コイルと組み合わせ、タンパク質の水溶液を試験管に挿入した。上部から計測器を挿入したため、連通孔の最大直径で200mmと大型化した。結果として中心磁場強度が低下した。磁場強度を鋭意調整しても磁場中心では300MHzの核磁気共鳴信号までしかとれなかった。また、試料空間の直径10mm,長さ20mmでは、5Hzの誤差を誤差に相当する磁場不均一であった。これらの値は、汎用NMR装置としては標準的な値であるが、タンパク質の相互作用解析には不十分であった。
(比較例5)
本発明の比較例を図11に示す。垂直方向に均一磁場を発生する汎用の18T級のNMR用ソレノイドコイルを2台用い、水平磁場型の配置と組み合わせた。そして、装置上部から、計測部位まで、直径70mmの連通孔を通し、本発明のソレノイド型検出コイルと組み合わせ、タンパク質の水溶液を試験管に挿入した。上部から、全ての計測器及び溶液試料を挿入した。その結果、試料の有効スペースは、直径1mm,長さ20mmと狭まってしまった。これは、通常の溶液NMR装置に用いられる、直径5〜10mmの試料管と比較して、試料の体積で1/25〜1/100しかとることができず、試料からの信号強度が1/
25〜1/100に低下してしまい、感度向上を目指したにもかかわらず、逆に、大幅な感度低下を招くことになった。一方、2つの磁石システムの中心軸方向で、おのおのの磁石の最高磁場は18Tであった。また、磁場の時間安定度は0.001ppm/h程度であった。しかし、試料空間の定常磁場強度は、7.5T であり、試料空間磁場の均一度は100
ppm 以下であり、タンパク質解析に用いることができるNMRとして、計測に利用できない水準であった。
(比較例6)
本発明の比較例を図12に示す。垂直方向に磁場を発生する高温超伝導バルク磁石32と組み合わせたソレノイド巻き線された検出コイル31を用いて、タンパク質の水溶液のNMR計測を構成した例である。ソレノイドコイルが磁場均一領域から大きくはみ出して巻き線されていることが特徴で、広範囲の磁束の変化をとらえる反面、均一な磁界内に検出コイルが配置された場合に比較して、測定精度に欠ける。また、バルク磁石では、磁石の最高磁場は10Tであったが、試料空間での最高磁場は4Tであった。磁場の均一度は、高温超伝導体の不均一性によって、200〜500ppm 以下であった。また、磁場の時間安定度は、高温超伝導体の磁束クリープ現象によって、20〜100ppm/h 程度であった。これらによって、タンパク質解析に用いることができるNMRとして、計測には全く利用できないシステムであった。
以上のように、近年のタンパク質研究の進展とともに、分子量の大きな複雑な化合物の構造解析のニーズが高まっている。そのため、NMRに要求される性能は年々高まっており、検出感度向上のため、NMRの中心磁場は上昇している。検出感度は、原理的には磁場の1.7 乗に比例して上昇するが、実際には比例程度で向上している。既存の超電導材料では、感度向上の限界に達しつつあり、磁場強度に依存しない新しい検出方法や検出装置が求められていた。本発明では、タンパク質解析用の溶液NMRにおいて、中心磁場強度を高めることなく、従来比で少なくとも40%の検出感度向上を提供する。その方法として、溶液試料を装置上部から、検出コイルをソレノイドコイルとして装置下部から磁場中心に配置し、磁場方向を水平方向とした。また、磁場をタンパク質解析に必要なプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz毎時以下の時間安定度、試料空間での均一度を1.0Hz以下とした。超電導磁石は左右に分割された。即ち、検出コイルの形状を従来の鳥籠型
27から、より感度の高いソレノイド方式4とする。そのために、超電導磁石を従来の多層空心ソレノイド28,29,30ではなく、左右に分割され、水平方向に11T、好ましくは14.1T 以上を発生する超電導磁石1,2,3によるスプリットマグネットで構成。磁場均一度を0.001ppm以下、時間安定度で0.001ppm以下とした。検出コイルをソレノイド式とすることで、同一の中心磁場(共鳴周波数)で、従来比1.4 倍の高感度測定が可能になり、ハイスループットでかつ、従来不可能であった、1.26GHz,29.6T相当のNMR検出感度を900MHz(21.1T)で実現できる。
本発明によって、タンパク質間の相互作用解析が可能になるほか、従来比40%増の超高感度のNMR測定が可能になる。たとえば、中心磁場を現在の超電導技術の最高水準である900MHz(21.1T)で運転すれば、従来の1.26GHz(29.6T) 相当の検出感度が得られるため、従来の磁場強度に頼った感度向上方法では到達不可能であった超高感度な検出感度に初めて到達できる効果がある。
また、本発明は、タンパク質の相互作用スクリーニング研究に適する。今後、ポストゲノム時代において、タンパク質の構造解析競争が進むと考えられ、構造が明らかになったタンパクを利用する時代を迎えるとき、既知のタンパク質の相互の関係、すなわち、相互作用スクリーニングに対するニーズが高まると期待される。具体的には、テイラーメイド創薬,バイオ産業,食品,医療分野などで広く応用される。5〜10年後の近い将来、タンパク質の立体構造解明が進んだ状況下において、その構造情報を積極的に活用した新薬開発(いわゆる創薬研究)が進むと予測される。本発明のNMR計測技術を利用することで、このような時代における新薬開発において、構造が既知となったタンパク質とリガンド、或いは低分子化合物との間の未知の相互作用の発見を効率的に推進できる。新薬の創生には、NMRで見いだされた新しい相互作用を基点として、計算シミュレーションなどと組み合わせた分子設計支援を経ながら、先端バイオテクノロジーを駆使した最適な新薬開発が進められる。これらの手法によって、人体に効果的に作用する新薬の開発コスト,期間が大幅に短縮される。このような波及効果が我が国、及び世界人類に及ぼす波及効果は計り知れない。技術的側面から見た場合、本発明のNMR技術によれば、検出感度が従来比で40%以上に向上するため、積算時間が1/2に短縮できる。従い、上述した相互作用検出のほか、生体に及ぼす微量金属の影響なども効率よく研究できる。具体例としては、生体内と同濃度の金属元素がタンパク質の存在状態に及ぼす影響や生体内での標識されたタンパク質や微量元素の動態をリアルタイムに追跡することで、生体内の微量元素やタンパク質が関わっている数多くの疾患、例えば、アルツハイマー症などの治療法開発や発病前の慢性・難治療性疾患の早期診断(糖尿病やクロイツェフトヤコブ病等)にも応用できる可能性がある。また、本計測技術によれば、計測機器としてのメンテナンス性や、設置性を大きく改善でき、導入メリットが大きい。特に、比較的小規模の実験施設でも
900MHz級の大型実験装置に近い高品位なデータ取得が可能になる。
本発明のNMR分析システム構成例。 本発明の開放型NMR分析システム構成例。 本発明のトロイダル式NMR分析システム構成例。 本発明のNMR信号検出システム構成例。 本発明のNMR検出コイルシステム構成例。 本発明のNMR分析システムの磁気遮蔽構成例。 比較例のNMR分析システム構成。 比較例の検出コイル構成。 比較例のNMRシステム組み合わせ構成。 比較例のNMRシステム組み合わせ構成。 比較例のNMRシステム組み合わせ構成。 比較例のNMRシステム組み合わせ構成。
符号の説明
1…磁場の発生方向が水平方向なNb3Al 超電導磁石、2…磁場の発生方向が水平方向なNb3Sn 超電導磁石、3…磁場の発生方向が水平方向なNbTi超電導磁石、4…水溶液に溶解したタンパク質試料、5…ソレノイド式NMR信号検出コイル、6…信号線、10…開放空間、11…トロイダル式超電導磁石、12…試料及び検出プローブ、14…プリアンプ、15…アナライザ、17…ソレノイド式検出コイル、26…漏洩磁気シールド。

Claims (8)

  1. 溶液中に溶解されたタンパク質等の試料が直径で5〜10mmのサンプル管に保持され概ね鉛直方向から挿入される構成であって、超電導磁石,高周波発信コイル及び受信コイルからなる溶液用核磁気共鳴分析装置において、該超電導磁石の発生する定常磁場が11T以上であり、該超電導磁石の発生する定常磁場の方向が水平方向であって、かつ、該定常磁場の変動によるプロトン核磁気共鳴周波数の1時間あたりの変動が1.0Hz 以下であって、かつ、試料空間の該定常磁場の均一度はプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz 以下であって、該溶液状の試料が概ね鉛直方向上部から磁場中心に挿入され、該受信コイルが装置下部から磁場中心に挿入されたソレノイドコイルであることを特徴とする溶液用核磁気共鳴分析装置。
  2. 溶液中に溶解されたタンパク質等の試料が直径で5〜10mmのサンプル管に保持され概ね鉛直方向から挿入される構成であって、超電導磁石,高周波発信コイル及び受信コイルからなる核磁気共鳴分析装置において、該超電導磁石の発生する定常磁場が11T以上、該超電導磁石の発生する定常磁場の方向が水平方向であって、かつ、該定常磁場の変動によるプロトン核磁気共鳴周波数の1時間あたりの変動が1.0Hz 以下であって、試料空間の該定常磁場の均一度はプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz 以下であって、該溶液状の試料が概ね鉛直方向上部から該磁場中心に挿入され、該受信コイルが超電導材料で構成されたソレノイドコイルであって、装置下部から磁場中心に挿入され、超電導発現温度以下に冷却されていることを特徴とする溶液用核磁気共鳴分析装置。
  3. 請求項1又は2において、該有機物試料が、高分子有機化合物,タンパク質,リガンドであることを特徴とする溶液用核磁気共鳴分析装置。
  4. 請求項1又は2において、超電導磁石が水平方向に磁場を発生する1対のスプリットマグネットであることを特徴とする溶液用核磁気共鳴分析装置。
  5. 請求項1又は2において、超電導磁石が水平に配置されたトロイダルマグネットであることを特徴とする溶液用核磁気共鳴分析装置。
  6. 溶液中に溶解されたタンパク質等の試料が直径で5〜10mmのサンプル管に保持され、概ね鉛直方向上部から挿入される構成であって、超電導磁石,高周波発信コイル及び受信コイルからなる核磁気共鳴分析装置において、該超電導磁石の発生する定常磁場が11T以上、該超電導磁石が水平方向に配置されたトロイダルマグネットであって、かつ、定常磁場の変動によるプロトン核磁気共鳴周波数の1時間あたりの変動が1.0Hz 以下であって、試料空間の磁場均一度はプロトン核磁気共鳴周波数で1.0Hz 以下であって、複数の該溶液状の試料がトロイダルコイルの円周状に概ね等間隔の場所に配置され、各試料に対応した該受信コイルが超電導材料で構成されたソレノイドコイルであって、装置下部から該磁場中心に挿入され、超電導発現温度以下に冷却されていることを特徴とする溶液用核磁気共鳴分析装置。
  7. 請求項6において、超電導磁石が水平に配置されたトロイダルマグネットであって、隣接する複数の試料から発生する核磁気共鳴信号を明確に区別できるように、試料に印加される磁場強度が調整されていることを特徴とする溶液用核磁気共鳴分析装置。
  8. 溶液用核磁気共鳴分析装置において、溶液試料を装置上部から磁場中心に配置する構成とし、検出コイルをソレノイドコイルとし装置下部から磁場中心に配置し、磁場方向を水平方向とし、超電導磁石は左右に分割された構成である溶液用核磁気共鳴分析装置。
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