以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、図1ないし図10にロッカーの施錠装置の第1の実施の形態を示す。
図3および図4に、施錠装置を適用するロッカー装置を示す。
ロッカー装置11は、1台の集中制御部ユニット12と、この集中制御部ユニット12の側部に並設される複数台の収容室ユニット13とを備えている。
集中制御部ユニット12は、箱形状の本体14を有し、この本体14の上下方向中間域に利用者が操作する操作部としての集中制御部15が配置され、この集中制御部15の上下部に荷物を入れる収容室16が形成されている。
各収容室ユニット13は、集中制御部ユニット12の本体14と同様に箱形状の本体14を有し、この本体14に集中制御部ユニット12の収容室16と同様の収容室16が上下方向に複数段形成されている。
集中制御部15の正面には、表示部および操作部であるタッチパネル部17、硬貨を投入する硬貨投入部18、紙幣を投入する紙幣投入部19、例えば非接触式ICカードなどによる荷物預入取出を可能とするカードR/W部(カードリーダライタ部)20、荷物預入時に解錠コードなどを印字したレシートを発行するレシート発行部21、釣銭を払い出す釣銭払出口22などが設けられ、また、集中制御部15の内部には、CPUやメモリを有する制御手段23(図2参照)や、プリンタ、電源ボックスなどが配置されている。
各収容室16は、箱形状の本体14の前面に開口形成され、その前面開口を開閉する扉24が一側である左側部のヒンジ25によって片開き可能に設けられ、ヒンジ25に装着されたばねで閉まる方向に付勢されている。扉24の他側である右側面部には略U字形のフック26が突設され、本体14における収容室16の他側である右側面部には電気錠としての施錠ユニット27が設置され、扉24のフック26が施錠ユニット27に係合することにより扉24を閉じた状態で施錠可能としている。
各収容室16の施錠ユニット27は、集中制御部15の制御手段23に電気的に接続され、この制御手段23により集中的に制御される。そして、施錠ユニット27と制御手段23とにより施錠装置28が構成されている。
次に、図5ないし図10に、施錠装置28における施錠ユニット27の構造を示す。
施錠ユニット27は、本体14の右側面部の前面に設置されるパネル31、このパネル31の後面に固定されるベース32を有している。ベース32は、パネル31の後面に固定される前板部33とこの前板部33の一側から後方へ向けて折曲された側板部34とを有するL字形に形成されている。
パネル31およびベース32には、扉24を閉じたときにフック26が挿入される開口部35,36が形成されている。
パネル31の前面には施錠確認手段としての施錠レバー37が配置され、パネル31およびベース32の前板部33には施錠レバー37の軸部37aが挿通するスライド孔38,39が上下方向に沿って形成されている。この施錠レバー37は、軸部37aが挿通するスライド孔38,39に沿って上下方向に移動可能とし、軸部37aがスライド孔38,39の上端または下端に当接することで上下方向の移動が規制され、上部位置にあるときを解錠位置とし、下部位置にあるときを施錠位置としている。
パネル31の前面上部には、ロッカー装置11の管理者が持つ鍵を用いて手動解錠するためのシリンダ錠40が設けられている。
また、ベース32の側板部34には、ロック部材44が、支軸45によって下方に回動した施錠角度と上方に回動した解錠角度との間で上下方向に回動可能に軸支されているとともに、側板部34側との間に張設されたばね46によって上方の解錠角度方向に向けて付勢されている。ロック部材44の上方の解錠角度方向への回動は、後述するスライド板61により規制される。
ロック部材44の前端部側には閉じた扉24のフック26に係脱可能に係合する溝部48が形成されている。図10(a)に示すように、扉24が開かれていて、ロック部材44が上方の解錠角度にあると、溝部48の後側の縁部が開口部35,36内に斜めに突出配置されるとともに、溝部48の前側の縁部が開口部35,36の上方に配置され、解錠状態にある。一方、扉24を閉じ、扉24のフック26を開口部35,36に挿入したとき、フック26が溝部48の後側の縁部に係合して押圧することにより、ロック部材44が下方の施錠角度に回動する。図10(b)または図10(c)に示すように、ロック部材44が下方の施錠角度に回動すると、溝部48の前側の縁部がフック26の前側に位置し、ロック部材44でフック26を施錠する施錠状態となる。したがって、ロック部材44の溝部48の形状は、収容室16の扉24を閉じるときのフック26でロック部材44が下方の施錠方向に回動し、収容室16の扉24を開けるときのフック26でロック部材44が上方の解錠方向に回動するように形成されている。なお、ロック部材44でフック26を施錠する施錠状態にあるとき、ロック部材44を上方の解錠角度に付勢する付勢力よりヒンジ25に組み込まれたばねで扉24を閉じる方向に付勢する付勢力の方が大きく、ロック部材44でフック26を施錠する施錠状態が保持される。
ロック部材44の前端部側近傍の上部には、当接片49が折曲形成されている。
また、図6に示すように、施錠ユニット27は、扉24の開閉を検知する扉開閉検知手段53を備えている。この扉開閉検知手段53はロック部材44と平行に配置された開閉検知レバー54を有し、この開閉検知レバー54が、ロック部材44と干渉しないようにベース32の側板部34に取り付けられた取付板55に前後方向に沿ってスライド可能に支持されているとともに、取付板55との間に張設されたばね56で前方へ向けて付勢されている。
開閉検知レバー54の前端部はロック部材44の前端部とともに開口部35,36に臨んで配置され、開口部35,36から挿入されたフック26により押されて後方にスライドする。開閉検知レバー54が後方にスライドすることによりマイクロスイッチ57の検知片を押す。このマイクロスイッチ57のオン、オフにより扉24の開閉を検知する。
そして、扉開閉検知手段53をロック部材44とは独立に設けたことにより、扉24を開けた状態でロック部材44が施錠角度に回動されるなどの異常状態を検知できる。
また、図6ないし図8、図10に示すように、ベース32の側板部34には、常にロック部材44の上部に載置される状態で上下方向にスライド可能とするスライド板61が取り付けられている。このスライド板61の基板部62には上下方向に長い2つの長孔63が平行に形成され、これら各長孔63がベース32の側板部34に突設された2つのピン64に係合されてCリングなどで外れ止めされており、スライド板61がベース32の側板部34に対して上下方向にスライド可能に取り付けられている。スライド板61は、下方にスライドした位置を施錠位置とし、上方にスライドした位置を解錠位置としている。
スライド板61の後辺にはロック部材44の当接片49の上面に当接する折曲片65が折曲形成され、スライド板61の前辺下部には起立片66が折曲形成されている。
スライド板61の上辺後部には規制部67が突出形成され、上辺前部には規制部67より下方に位置する解錠許容部68が形成されている。
スライド板61の側部には、このスライド板61の上下方向のスライドを補助するガイド片69が配置されている。
また、図6、図7、図9、図10に示すように、ベース32の側板部34には、スライド板61の上方位置に、駆動手段としてのソレノイド72がプランジャ73の移動方向を前後方向に向けて固定されている。このソレノイド72は、駆動パルスの入力により、プランジャ73が後方へ突出移動した施錠位置とプランジャ73が前方へ没入突出した解錠位置のいずれかの状態に変位し、永久磁石の働きにより無通電でいずれかの状態を保持する双安定自己保持形のラッチングソレノイドである。
このソレノイド72に対して、ソレノイド72のプランジャ73の進退に連動して前後方向に移動するストッパ体74が設けられている。このストッパ体74は、プランジャ73に直結された主動部材75とこの主動部材75の動作に従動する従動部材76とを備えている。
主動部材75には、ソレノイド72の下側に配置される平板状の基板部77、およびこの基板部77の後端から上方へ折り曲げられてソレノイド72の後側に配置される固定片78が形成され、この固定片78の中央にはプランジャ73の後端に結合される結合孔79が穿孔されている。基板部77には前後方向に長い2つの長孔80が平行に形成され、これら各長孔80にスライド可能に係合するスライド部材81を通じてビス82をソレノイド72のフレームに止めることにより、主動部材75がソレノイド72に対して前後方向にスライド可能に取り付けられている。さらに、基板部77の一側縁には、従動部材76に当接してその従動部材76を後方へ向けて強制的に押動する押動片83、および従動部材76との間に張設する付勢手段としてのばね84の一端を引っ掛ける鉤片85が形成されている。
従動部材76には、ソレノイド72の側部に配置される基板部86、およびこの基板部86の前端から折り曲げられてソレノイド72の前側に配置される作動片87が形成されている。基板部86には前後方向に長い2つの長孔88が形成され、これら各長孔88にスライド可能に係合するスライド部材89を通じてビス90をソレノイド72のフレームに止めることにより、従動部材76がソレノイド72に対して前後方向にスライド可能に取り付けられている。基板部86の下辺後部には主動部材75の押動片83と当接する突出部91が形成され、この突出部91にはばね84の他端を引っ掛ける孔部92が穿孔されている。
従動部材76の作動片87の下辺には、前方へ折り曲げられるとともに左端がスライド板61の上方域に突出される係止片93が形成されている。この係止片93は、従動部材76が後方へ移動した位置でスライド板61の上辺後部の規制部67の上方域に位置し、規制部67との当接でスライド板61の上方への移動を規制してロック部材44を施錠角度に保持し、一方、従動部材76が前方へ移動した位置でスライド板61の上辺前部の解錠許容部68の上方域に位置し、スライド板61の上方への移動を許容してロック部材44を解錠角度への回動を許容する。
そして、ソレノイド72に制御手段23から施錠信号が送出されたときには、プランジャ73が後方へ突出移動し、主動部材75も一体に後方へ移動するとともに主動部材75の押動片83を介して従動部材76も一体に後方へ移動する。これら主動部材75および従動部材76が後方に移動した位置は、従動部材76の係止片93がスライド板61の規制部67の上方域に位置し、スライド板61の上方への移動を規制してロック部材44を施錠角度に保持する施錠位置となる。一方、ソレノイド72に制御手段23から解錠信号が送出されたときには、プランジャ73が前方へ没入移動し、主動部材75も一体に前方へ移動するが、このとき従動部材76はプランジャ73や主動部材75には直接押動されず、主動部材75と従動部材76とに架け渡されたばね84の付勢力により前方へ移動する。これら主動部材75および従動部材76が前方に移動した位置は、従動部材76の係止片93がスライド板61の解錠許容部68の上方域に位置してスライド板61の上方への移動を許容する解錠位置となる。また、無通電の状態のソレノイド72により、施錠位置または解錠位置に主動部材75および従動部材76を保持する。
作動片87の上部にはやや後方に傾斜した傾斜片94が形成されている。ソレノイド72が施錠状態にあるとき、シリンダ錠40を操作することにより、ベース32の側板部34に上下方向にスライド可能に取り付けられた解錠板95が上昇し、この解錠板95から突設されたピン96(図10(a)参照)で傾斜片94を前方に押し、従動部材76および押動片83を介して主動部材75を前方の解錠位置に一体に移動させるとともにソレノイド72を解錠位置に切り換え、施錠状態を解除する手動解錠の機能を果たす。
主動部材75および従動部材76の位置は、それぞれマイクロスイッチ97,98により検知する。マイクロスイッチ97のオン、オフによりソレノイド72の動作状態を検知し、このマイクロスイッチ98のオン、オフにより従動部材76が施錠位置にあるか解錠位置にあるかを検知する。
したがって、ロック部材44、スライド板61、ストッパ体74の主動部材75および従動部材76などによって、ソレノイド72の駆動によりロック部材44で扉24のフック26を施錠する施錠状態となる施錠手段99が構成されている。
また、図6、図8、図10に示すように、ベース32の前板部33には、施錠レバー37の軸部37aと結合されて上下方向にスライドするレバーブラケット102が配置されている。
レバーブラケット102は、脚部103を有する基部104と、ベース32の側板部34と平行となるように基部104の側片を垂直に折り曲げた係止部105とを備えている。基部104の中央には施錠レバー37の軸部37aが連結される連結孔106と、上下方向に長い複数の長孔107が形成されている。レバーブラケット102は、各長孔107に係合するビス109をベース32の前板部33に止めることにより、上下方向にスライド可能に取り付けられている。
レバーブラケット102は、施錠レバー37と一体に上下方向に移動し、つまり上方の解錠位置と下方の施錠位置との間で移動する。このレバーブラケット102には、施錠レバー37およびレバーブラケット102が常時は解錠位置を保つように上方に付勢するばね110がベース32の前板部33との間に張設されている。
施錠レバー37を施錠位置に下降させたときに、一体に施錠位置する下降するレバーブラケット102の脚部103がマイクロスイッチ111の検知片を押す。このマイクロスイッチ111のオン、オフにより施錠レバー37が解錠位置にあるのか施錠位置に操作されたかを検知する。
基部104の脚部103の付根付近には、スライド板61の起立片66に当接する折曲片112が形成されている。施錠レバー37を施錠位置に下降させたとき、この折曲片112がスライド板61を押し下げてロック部材44を施錠角度の下限位置まで下降させ、フック26とロック部材44の溝部48との係合をより確実なものとする。
係止部105には従動部材76の係止片93が挿入配置される開口部113が形成され、この開口部113の後縁上下部に係止片93が係合可能とするスリット状の係止溝114,115が形成されている。施錠レバー37が上方の解錠位置にある状態で、従動部材76が後方の施錠位置に移動したとき、従動部材76の係止片93が下側の係止溝115に係合し、施錠レバー37が下方の施錠位置にある状態で、従動部材76が後方の施錠位置に移動したときは上側の係止溝114に係合する。これにより、施錠状態では、施錠レバー37は、いずれの位置にあっても操作不能とされる。
したがって、係止片93を有する従動部材76や係止溝114,115を有するレバーブラケット102などによって、施錠レバー37が施錠位置または解錠位置にあって施錠手段99が施錠状態になったとき、施錠レバー37の上下方向の移動を規制する保持手段116が構成されている。また、スライド板61やレバーブラケット102などによって、ロック部材44と従動部材76との間にこのロック部材44の回動に連動して従動部材76の移動方向に対して交差する方向に移動可能に配置され、施錠位置の従動部材76に当接してロック部材44を施錠角度に保持する連動体117が構成されている。
また、図2に、施錠装置28の制御手段23のブロック図を示す。制御手段23は、扉開閉検知手段53のマイクロスイッチ57、および施錠レバー37の施錠位置への操作を検知するマイクロスイッチ111からの検知信号を入力するとともにタイマ120からの時間情報を入力し、施錠ユニット27のソレノイド72の駆動を制御する。
制御手段23は、施錠レバー37が施錠位置にあることを条件としてソレノイド72を駆動させて施錠ユニット27を施錠状態とする通常の使用モードである第1のモードの機能、施錠レバー37の位置によらずソレノイド72を駆動させて施錠ユニット27を施錠状態とする一斉施錠用の第2のモードの機能を有している。
さらに、制御手段23は、第1のモードにおいて、扉開閉検知手段53により扉24が開状態となってから閉状態となったことを検知したことを条件として、施錠レバー37の操作により施錠ユニット27を施錠させる機能、施錠レバー37の操作により施錠ユニット27を施錠させた後、集中制御部15により所定時間の間に預入手続きが完了しないときには施錠ユニット27を解錠させる機能を有している。この集中制御部15により所定時間の間に預入手続きが完了しないときとは、集中制御部15を操作しても預入手続きが完了しないまま最後に操作してから所定時間(例えば20秒)が経過したとき、あるいは施錠レバー37を操作してから集中制御部15で操作がないまま所定時間が経過したときなど、預入手続きが進行しないときをいう。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
まず、図1のフローチャート、図3および図4において、ロッカー装置11の使用についての概要を説明する。
荷物預入動作では、通常、収容室16の扉24は施錠されていないが閉じた状態となっている。利用者が収容室16の扉24を開き、荷物を収容室16に入れ、扉24を閉める。これにより、扉開閉検知手段53のマイクロスイッチ57で扉24が一旦開かれてから再び閉じられたことを検知し(ステップ1、2)、制御手段23は、収容室16に荷物が預け入れられたと判断する。
利用者が施錠レバー37を施錠位置に引き下げる。これにより、マイクロスイッチ111で施錠レバー37が施錠位置に引き下げられたことを検知し(ステップ3)、制御手段23は、利用者が荷物を預け入れたうえで施錠を要求していると判断する。
ステップ1〜3の条件が整うと、制御手段23は、該当する施錠ユニット27に施錠信号を送信し、施錠ユニット27のソレノイド72を駆動して扉24を施錠する(ステップ4)。同時に、施錠レバー37を下方の施錠位置に保持する。
このとき、制御手段23は、収容室16は仮施錠の状態であると認識しているが、施錠ユニット27の機構的には通常の施錠状態と変わりはない。
したがって、ロッカー装置11の制御手段23は、扉24が開状態となってから閉状態となったことをもって、収容室16に荷物が預け入れられたとみなし、その後の施錠レバー37の操作により扉24を仮施錠する。そのため、扉24の開閉が検知されないまま、施錠レバー37を施錠位置に引き下げても、施錠ユニット27は施錠せず、施錠レバー37は上方の解錠位置に戻る。これにより、例えば、荷物を預け入れる前に誤って施錠レバー37を操作してしまったというケースでは、扉24の開閉を行う前に施錠レバー37を操作した場合が多いと考えられるから、このような場合には施錠を行わずに、即座に荷物の預け入れが行える状態を維持することができる。また、荷物を預け入れる意志なく施錠レバー37を操作するような行為がなされたケースでも、扉24の開閉を行う前に施錠レバー37を操作した場合が多いと考えられるから、同様に施錠を行わずに、即座に正規の利用者に供する状態を維持できる。
荷物を収容室16に入れて施錠レバー37を施錠位置に引き下げて扉24を仮施錠した後、利用者が集中制御部15にて、預け入れた収容室16の確認、貨幣投入、解錠コードを印字したレシートの受取などの所定の預入手続きを行う。この預入手続きが正常に完了すると(ステップ5)、制御手段23は、該当する収容室16を預入状態とし、本施錠の状態であると認識する。このとき、施錠ユニット27の機構的な変化はない。
一方、集中制御部15により預入中止を操作したとき、または集中制御部15を操作しても預入手続きが完了しないまま最後に操作してから所定時間(例えば20秒)が経過したとき、あるいは施錠レバー37を操作してから集中制御部15で操作がないまま所定時間が経過したときなど、集中制御部15により預入手続きが完了しないときには、制御手段23は該当する施錠ユニット27に解錠信号を送信し、施錠ユニット27のソレノイド72を駆動して扉24の仮施錠を解除する(ステップ6)。この解錠に伴って解錠レバー37は上方の解錠位置に移動し、扉24を開放できる待機状態に戻る。したがって、預け入れ意志がないにも拘わらず扉24を開閉して施錠レバー37を操作することがあっても、集中制御部15で所定時間の間に預入手続きが完了しない場合には、扉24を解錠できる。
また、荷物取出動作では、利用者が集中制御部15により荷物を取り出す収容室16の指定、解錠コードの入力、超過料金が発生している場合は追加料金支払いなどの所定の取出手続きを行う。
取出手続きが正常に完了すると(ステップ7)、制御手段23は該当する施錠ユニット27に解錠信号を送信し、施錠ユニット27のソレノイド72を駆動して扉24を解錠する(ステップ6)。この解錠に伴って解錠レバー37は上方の解錠位置に移動する。
利用者は、扉24を開け、収容室16から荷物を取り出し、扉24を閉める。
また、一斉施錠について説明する。
ロッカー装置11の管理者が集中制御部15にて一斉施錠の設定を行う。
制御手段23は、解錠状態(空き状態)の収容室16を検索してそれらの施錠ユニット27に施錠信号を送信し、施錠ユニット27を施錠する。
利用中であって施錠状態の収容室16はそのままとし、荷物が取り出されたあとで施錠ユニット27を施錠する。
次に、施錠ユニット27の動作を説明する。
図10(a)には、施錠ユニット27が解錠状態でかつ扉24が開放されている状態を示す。
ソレノイド72はプランジャ73が前方に移動した解錠状態にあり、ストッパ体74の主動部材75および従動部材76とも前方の解錠位置に位置し、従動部材76の係止片93がスライド板61の解錠許容部68の上方に位置する。ロック部材44はばね46の付勢で上方の解錠角度に回動し、従動部材76の係止片93に解錠許容部68が臨んで上方への移動が許容されているスライド板61が上方の解錠位置に位置する。施錠レバー37およびレバーブラケット102はばね110の付勢で上方の解錠位置に位置する。
また、扉24を閉じると、扉24のフック26がロック部材44の溝部48に係合し、フック26による押圧でロック部材44がばね46の付勢に抗して下方の施錠角度に回動するとともに、ロック部材44に連動してスライド板61も下方の施錠位置に移動する。この状態から扉24を開ければ、フック26が前方へ移動することによってロック部材44が上方の解錠角度に回動するとともに、スライド板61も上方の解錠位置に移動する。
次に、ロッカー装置11の通常の使用モードである第1のモードについて、図10(b)などを参照して説明する。
利用者が荷物を入れたい空き収容室16の扉24を開け、荷物を収容室16に入れて扉24を閉じると、扉24のフック26がロック部材44の溝部48に係合し、フック26による押圧でロック部材44がばね46の付勢に抗して下方の施錠角度に回動するとともに、ロック部材44に連動してスライド板61も下方の施錠位置に移動する。扉24のフック26で開閉検知レバー54を後方に押し、マイクロスイッチ57がオンし、扉開閉検知手段53により扉24が閉止状態にあることを検知する。
さらに、利用者が施錠レバー37を下方の施錠位置に引き下げることにより、施錠レバー37と一体にレバーブラケット102がばね110の付勢に抗して下方の施錠位置に下降し、レバーブラケット102でマイクロスイッチ111をオンし、施錠レバー37が施錠位置に移動したことを検知する。このとき、レバーブラケット102の折曲片112がスライド板61の起立片66に当接してより下方へ押し下げ、このスライド板61を介してロック部材44を施錠位置におけるより下方の下限位置まで下降させ、フック26とロック部材44の溝部48との係合をより確実なものにする。
扉開閉検知手段53のマイクロスイッチ57で扉24が開状態となってから閉状態となったことを検知するとともに扉24が閉止状態にあることを検知しており、かつマイクロスイッチ111で施錠レバー37が施錠位置に移動したことを検知することにより、制御手段23はソレノイド72を駆動し、施錠ユニット27を仮施錠する。すなわち、ソレノイド72を駆動してプランジャ73を後方の施錠位置へ突出移動させると、ストッパ体74の主動部材75および従動部材76が一体に後方の施錠位置に移動し、従動部材76の係止片93が下方の施錠位置に移動しているスライド板61の規制部67の上方に移動し、スライド板61が上方の解錠位置に上昇するのを規制し、フック26に係合するロック部材44を施錠状態のまま仮施錠する。
同時に、従動部材76の係止片93が下方の施錠位置に移動しているレバーブラケット102の上側の係止溝114にも係合し、レバーブラケット102がばね110の付勢で上方の解錠位置に移動するのを規制し、施錠レバー37を施錠位置に保持する。この施錠レバー37を施錠位置に保持することにより、その収容室16が使用中であることが一目で確認できる。
さらに、利用者が集中制御部15にて所定の預入手続きを正常に完了すると、施錠ユニット27は施錠状態を維持して本施錠となる。なお、仮施錠の状態と本施錠の状態とは機構的に同一の状態である。
このように、第1のモードでの施錠時は、扉24の開閉、施錠レバー37の施錠位置への操作を施錠条件とするため、利用者に対して確実に施錠を確認させることができ、利用者の意図しない施錠を防止でき、さらに、このとき、施錠レバー37を施錠位置に保持する保持手段116を設けたので、施錠レバー37の位置により施錠状態を容易に確認できる。
さらに、第1のモードでの施錠時は、レバーブラケット102の折曲片112がスライド板61の起立片66に当接してより下方へ押し下げ、このスライド板61を介してロック部材44を施錠位置におけるより下方の下限位置まで下降させるため、フック26とロック部材44の溝部48との係合をより確実なものにできる。
さらに、1つのソレノイド72により、ロック部材44の施錠状態の保持と、施錠レバー37の施錠位置への保持との両機能を実現できる。そのため、施錠装置28を簡易な構成にできる。
また、荷物取出動作時において、利用者による所定の取出手続きが正常に完了すると、制御手段23はソレノイド72を駆動し、施錠ユニット27を解錠する。すなわち、ソレノイド72を駆動してプランジャ73を前方の解錠位置へ没入移動させると、ストッパ体74の主動部材75および従動部材76が前方の解錠位置に移動し、従動部材76の係止片93がスライド板61の解錠許容部68の上方に移動し、スライド板61が上方の解錠位置に上昇するのを許容し、施錠ユニット27を解錠する。
同時に、従動部材76の係止片93がレバーブラケット102の上側の係止溝114から外れ、レバーブラケット102および施錠レバー37がばね110の付勢で上方の解錠位置に移動し、解錠されたことを確認できる。
そのため、施錠ユニット27が解錠された扉24は開くことが可能となり、この扉24を開く方向に移動させれば、フック26が前方へ移動することによってロック部材44が上方の解錠角度に回動するとともにスライド板61も上方の解錠位置に移動し、扉24を開くことができる。
次に、ロッカー装置11の一斉施錠モードである第2のモードについて、図10(c)などを参照して説明する。
ロッカー装置11の運用においては、例えば、特別な警戒態勢の必要により、しばらくの間、荷物の預入を禁止する必要が生じる場合がある。このようなときは、ロッカー装置11の管理者が集中制御部15を操作し、空き収容室16の施錠ユニット27を一斉施錠する操作をする。
このロッカー装置11の一斉施錠モードである第2のモードでは、マイクロスイッチ57の検知により扉24が閉止状態にあることが検知されると、施錠レバー37の位置にかかわりなく、制御手段23は、ソレノイド72を駆動し、施錠ユニット27を施錠する。すなわち、ソレノイド72を駆動してプランジャ73を後方の施錠位置へ突出移動させると、ストッパ体74の主動部材75および従動部材76が一体に後方の施錠位置に移動し、従動部材76の係止片93が下方に施錠位置に移動しているスライド板61の規制部67の上方に移動し、スライド板61が上方の解錠位置に上昇するのを規制し、フック26に係合するロック部材44を施錠状態のまま保持して施錠する。ただし、使用中の収容室16の施錠ユニット27については、既に施錠状態にあるので除外する。
このとき、通常、施錠レバー37は上方の解錠位置にあるから、従動部材76の係止片93がレバーブラケット102の下側の係止溝115に係合し、レバーブラケット102を介して施錠レバー37を解錠位置に保持する。これにより、一斉施錠された施錠ユニット27の施錠レバー37がいたずらに操作されることを防ぐことができる。
また、使用中の収容室16については、利用者の操作による施錠ユニット27の解錠、荷物の取り出し、扉24の閉止後に、上述と同様に施錠ユニット27を施錠する。
このように、第2のモードでの施錠時は、施錠レバー37の操作の有無にかかわらず、自動施錠できる。特に、施錠レバー37が、施錠手段99の近傍に設けられていて、集中制御部15から離れた位置にあるため、施錠レバー37の操作の有無にかかわらず自動施錠できることは、施錠レバー37を操作しに行く手間を省くことができ、一斉施錠を容易にできる。
さらに、施錠レバー37が解錠位置にあるときも、この施錠レバー37の移動を規制して解錠位置に保持するので、施錠レバー37の不必要な操作を防止でき、故障や誤動作を防止できる。
また、ロッカー装置11の管理者が集中制御部15を操作し、一斉施錠を解除する操作をすると、制御手段23はソレノイド72を駆動し、施錠ユニット27を解錠する。すなわち、ソレノイド72を駆動してプランジャ73を前方の解錠位置へ没入移動させると、ストッパ体74の主動部材75および従動部材76が前方の解錠位置に移動し、従動部材76の係止片93がスライド板61の解錠許容部68の上方に移動し、スライド板61が上方の解錠位置に上昇するのを許容し、施錠ユニット27を解錠する。
同時に、従動部材76の係止片93がレバーブラケット102の下側の係止溝115から外れ、レバーブラケット102および施錠レバー37の移動を許容する。
そのため、施錠ユニット27が解錠された扉24は開くことが可能となり、この扉24を開く方向に移動させれば、フック26が前方へ移動することによってロック部材44が上方の解錠角度に回動するとともにスライド板61も上方の解錠位置に移動し、扉24を開くことができる。
次に、図11にロッカーの施錠装置の第2の実施の形態を示す。
制御手段23は、扉開閉検知手段53のマイクロスイッチ57により扉24が開状態となってから閉状態となったことを検知してから予め定められた所定時間(例えば30秒)の間のみ、施錠レバー37の操作により施錠ユニット27を施錠させる機能を有している。
そして、荷物預入動作では、通常、収容室16の扉24は施錠されていないが閉じた状態となっている。利用者が収容室16の扉24を開き、荷物を収容室16に入れ、扉24を閉める。これにより、扉開閉検知手段53のマイクロスイッチ57で扉24が一旦開かれてから再び閉じられたことを検知し(ステップ11、12)、制御手段23は、収容室16に荷物が預け入れられたと判断する。
扉開閉検知手段53のマイクロスイッチ57により扉24が開状態となってから閉状態となったことを検知した時点で、タイマ120による経過時間の計時を開始する(ステップ13)。
予め定めた所定時間(例えば30秒)が経過するまでに、利用者により施錠レバー37が施錠位置に引き下げられたことをマイクロスイッチ111で検知すると(ステップ14)、制御手段23は、利用者が荷物を預け入れたうえで正常な預入処理が開始されると判断し、次のステップ15に進む。
予め定めた所定時間(例えば30秒)が経過しても、施錠レバー37が操作されないときには、制御手段23は、預入意志なしと判断し、ステップ1lの初期状態に戻る。
この実施の形態では、施錠ユニット27が施錠されるのは、扉24が開状態から閉状態に変化し、かつ、所定時間内に施錠レバー37が操作されたときのみであるから、前記第1の実施の形態の効果に加えて、次の効果を奏する。
荷物取出時には、必ず扉24の開閉が行われる。そして、通常、ロッカー装置11は、1つの収容室16に対して、預け入れと取り出しが継続的に行われる。よって、第1の実施形態では、預け入れ状態でない待機時には、ステップ3で施錠レバー37の操作を待つ状態となっている場合がほとんどである。このとき、荷物預け入れの意志なく施錠レバー37が操作されると、ステップ3で正規の施錠レバー37の操作であると判断して施錠してしまう。
これに対し、第2の実施の形態では、扉24が閉状態となってから所定時間だけ施錠レバー37を有効とするから、荷物取出時に扉24の開閉が行われても、所定時間の経過でステップ1lの初期状態に戻るため、再度扉24の開閉が無ければ施錠レバー37は有効とならない。よって、荷物の預け入れの意志なく施錠レバー37が操作される多くの場合について、無用の施錠を回避することができる。
一旦荷物を取り出して、続けて新たに荷物を預け入れる場合は、所定時間の経過前に施錠レバー37が操作されれば、正常な預け入れ処理としてステップ15以降の処理に進むことができる。
ステップ15〜18の処理については、上述した第1の実施の形態のステップ4〜7の処理と同じであり省略する。
なお、第1のモードにおいて、レバーブラケット102の折曲片112によりロック部材44を施錠位置の下限位置まで下降させ、フック26とロック部材44の溝部48との係合をより確実なものとするようにしているが、レバーブラケット102に折曲片112を形成しない場合であっても、従動部材76がスライド板61の上昇を規制しているので、施錠状態を十分維持することができる。
また、施錠ユニット27の駆動手段は、ソレノイド72に限らず、例えば停止位置でロックがかかるパルスモータなどを用いてもよい。
また、施錠操作手段は、施錠レバー37に限らず、例えば回転式のつまみでもよい。