JP2007195126A - 帯域通過フィルタおよびこれを用いた無線通信機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】UWBにおいて広い通過帯域を持ち、狭い周波数幅で急峻な減衰特性が得られる小型の帯域通過フィルタおよびこれを用いた無線通信機器を提供する。
【解決手段】基本的にλ/4長さである6個の共振器を同一の誘電体層上に、それぞれの前記接地端が積層方向から見て同一方向に並設し、第一の共振器1及び第六の共振器6の非接地端が容量素子またはインダクタ素子を介してそれぞれ入力端子電極、出力端子電極に接続され、第二の共振器2から第五の共振器5までの隣り合う共振器間が磁界結合され、第一の共振器1と第二の共振器2、第一の共振器1と第三の共振器3、第六の共振器6と第四の共振器4、第六の共振器6と第五の共振器5の非接地端同士がそれぞれ容量形成部により電界結合され、第一の共振器1乃至第六の共振器6の全ての共振器の非接地端とこの非接地端に接続される容量形成部との距離が積層方向から見て略等しい。
【選択図】図1
【解決手段】基本的にλ/4長さである6個の共振器を同一の誘電体層上に、それぞれの前記接地端が積層方向から見て同一方向に並設し、第一の共振器1及び第六の共振器6の非接地端が容量素子またはインダクタ素子を介してそれぞれ入力端子電極、出力端子電極に接続され、第二の共振器2から第五の共振器5までの隣り合う共振器間が磁界結合され、第一の共振器1と第二の共振器2、第一の共振器1と第三の共振器3、第六の共振器6と第四の共振器4、第六の共振器6と第五の共振器5の非接地端同士がそれぞれ容量形成部により電界結合され、第一の共振器1乃至第六の共振器6の全ての共振器の非接地端とこの非接地端に接続される容量形成部との距離が積層方向から見て略等しい。
【選択図】図1
Description
本発明は、無線通信分野のUWB(Ultra Wide Band)に好適に使用される、広帯域な通過特性でかつ急峻な減衰特性を持つ帯域通過フィルタおよびこれを用いた無線通信機器に関するものである。UWBは、外付け記憶装置、プリンタ、スキャナなどのPC周辺機器のデータ伝送媒体として、あるいはデジタルテレビ、プロジェクタ、デジタルスチールカメラ、デジタルビデオカメラ等のデータ通信媒体としての利用が予想される。
近年、新しい通信手段として、UWB(Ultra Wide Band)が着目されている。このUWBは、データ通信手段の一つとして用いられる無線ローカルエリアネットワーク(以下、W−LANという)とは、通信距離とデータ転送速度の点で異なっている。W−LANの規格の一つであるIEEE802.11.bでは、通信距離30〜100m、送信電力500mW、通信速度約11Mbpsである。一方、UWBでは帯域が3.1〜4.9GHzの場合、通信距離は10mと短いが、送信電力は100mWと低消費電力であり、通信速度は、通信距離10m前後で100Mbps、通信距離2m以下では480Mbpsであり、W−LANに比して高速のデータ通信が可能となる。
このように、UWBの特徴の一つとしては、広帯域を用いることにより、高い伝送レートを実現することである。その比帯域(帯域幅/中心周波数)は、40%以上であり、場合により110%以上となる。また、UWBの他の特徴としては、UWBの平均送信電力密度が−41.25dBm/MHz未満と低い値に規定されていることである。ここで、−41.25dBm/MHzは、波源から3mの距離において、電界強度54dBμV=500μV/mを発生する放射電力に相当する。
屋外環境下におけるスペクトルマスクの一例をあげると、3.16GHzから4.75GHzまでを無線機器の帯域通過を基準(0dB)にして、3.1GHzで−20dB未満、1.61GHzで−30dB未満となるように規定されている。また、実質的な使用条件においては、W−LAN(IEEE802.11.a/b/g)との間での干渉を防止する必要があり、2.48GHz、5.15GHzのそれぞれで減衰特性が要求されている。
以上のことから、UWBの無線通信機器において、送受信信号の通過経路に挿入される帯域通過フィルタは、広帯域(比帯域が40%以上)であること、低損失かつ高減衰をとることが要求される。
従来より、狭帯域において低損失かつ高減衰の帯域通過フィルタとして、高いQ値が得られる水晶や圧電磁器をベース材料としたSAWフィルタやBAWフィルタが用いられている。これらの比帯域は中心周波数2GHzにおいて3〜4%以下であり、通過帯域は0.06〜0.08GHzと、UWBの帯域幅と比べて2桁ほど狭い。これらの材料における帯域幅は、水晶や圧電基板の電気機械結合係数より決まっており、この帯域幅を広げて広帯域の帯域通過フィルタとすることは材料的観点から困難であった。
そこで、一般に2〜5GHzの周波数帯域において、急峻な減衰特性をもつ帯域通過フィルタを得る手法として、Q値に優れる誘電体共振器を複数個組み合わせた誘電体フィルタを用いることが知られている。しかし、誘電体フィルタでは、中心周波数3.98GHz、通過帯域1.6GHz、W−LANのある2.48GHz及び5.15GHzで−30dB未満の減衰特性を持たせる場合、サイズは約10×3×1.5mmとかなり大きくなるという問題点がある。このように、誘電体フィルタでは、広帯域化と小型化を両立できない。
また、リング共振器を3段接続して直流成分カット用のλ/4共振器を6段接続した構成によって、UWB用の帯域通過フィルタを形成することも知られている(非特許文献1参照)。この帯域通過フィルタによると、伝送線路中にノッチを発生させるリング共振器を形成するために良好な減衰特性が得られる。しかし、この帯域通過フィルタにおいても、共振器形状がリング形状であるために小型化が難しい。
「UWB用広帯域バンドパスフィルタの開発」 2004年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会 pp.84
「UWB用広帯域バンドパスフィルタの開発」 2004年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会 pp.84
本発明は、UWBにおいて広い通過帯域を持ち、狭い周波数幅で急峻な減衰特性が得られる小型の帯域通過フィルタおよびこれを用いた無線通信機器を提供することを目的とする。
本発明は、複数の誘電体層からなる積層体の表面または裏面に入力端子電極および出力端子電極を有し、前記積層体の内部に、一端が接地端としてそれぞれ接地され、信号伝搬方向の長さが通過帯域の略中心周波数における前記誘電体層内部の伝搬波長をλとすると基本的にλ/4である導体パターンからなる6個の共振器を有してなり、該6個の共振器は、同一の誘電体層上に、それぞれの前記接地端が積層方向から見て同一方向に配置されて、第一の共振器から第六の共振器まで順に並設されており、前記第一の共振器の非接地端が容量素子またはインダクタ素子を介して前記入力端子電極に接続され、前記第六の共振器の非接地端が容量素子またはインダクタ素子を介して前記出力端子電極に接続され、前記第二の共振器から前記第五の共振器までの隣り合う共振器間が磁界結合し、前記第一の共振器および前記第二の共振器の非接地端同士、前記第一の共振器および前記第三の共振器の非接地端同士、前記第六の共振器および前記第四の共振器の非接地端同士、前記第六の共振器および前記第五の共振器の非接地端同士がそれぞれ容量形成部を介して接続されることにより電界結合し、前記第一の共振器乃至前記第六の共振器の全ての共振器の非接地端と該非接地端に接続される容量形成部との距離が積層方向から見て略等しいことを特徴とする帯域通過フィルタである。
ここで本発明の帯域通過フィルタは、前記第一の共振器および前記第六の共振器の接地端が、これらに並設された前記第二の共振器乃至前記第五の共振器における接地端の位置よりも非接地端側に所定距離ずらした位置に配置されているとともに、前記第一の共振器における非接地端に近接する部位が前記第二の共振器に向かって屈曲し、かつ前記第六の共振器における非接地端に近接する部位が前記第五の共振器に向かって屈曲しているのが好ましい。
これによれば、第一の共振器乃至第六の共振器の全ての共振器の非接地端とこの非接地端に接続される容量形成部(第一の容量形成部乃至第四の容量形成部)との距離を最短にすることが出来、帯域の周波数調整及び減衰極の周波数調整が容易になる。なお、第一の共振器と第二の共振器との間の磁界結合と、第五の共振器と第六の共振器間の磁界結合は弱いため、第一の共振器と第六の共振器の長さを変えずに、接地端を非接地端側にずらしても、帯域フィルタの特性上大きな影響はない。
また本発明の帯域通過フィルタは、前記第二の共振器における非接地端に近接する部位が第一の共振器に向かって屈曲し、かつ前記第五の共振器における非接地端に近接する部位が前記第六の共振器に向かって屈曲しているのが好ましい。さらに前記第三の共振器における非接地端に近接する部位が前記第一の共振器に向かって屈曲し、かつ前記第四の共振器における非接地端に近接する部位が前記第六の共振器に向かって屈曲しているのが好ましい。
これにより、それぞれの容量形成部(第一の容量形成部乃至第四の容量形成部)の配置を任意に調整でき、帯域通過フィルタの特性制御が容易になる。また、第一の容量形成部を第一の共振器と第二の共振器との間に、第二の容量形成部を第一の共振器と第三の共振器との間に、第三の容量形成部を第四の共振器と第六の共振器との間に、第四の容量形成部を第五の共振器と第六の共振器との間に形成でき、通過帯域フィルタの小型化が実現できる。
さらに本発明の帯域通過フィルタでは、前記容量形成部は、異なる誘電体層上に対向するように設けられた導体パターンによって積層方向に容量が形成されてなるものであり、前記第一の共振器の非接地端に接続される導体パターンと前記第二の共振器の非接地端に接続される導体パターンとの間で第一の容量形成部が形成され、前記第一の共振器の非接地端に接続される導体パターンと前記第三の共振器の非接地端に接続される導体パターンとの間で第二の容量形成部が形成され、前記第六の共振器の非接地端に接続される導体パターンと前記第四の共振器の非接地端に接続される導体パターンとの間で第三の容量形成部が形成され、前記第六の共振器の非接地端に接続される導体パターンと前記第五の共振器の非接地端に接続される導体パターンとの間で第四の容量形成部が形成されているのが好ましい。
第一の容量形成部乃至第四の容量形成部を第一の共振器乃至第六の共振器を構成する層と異なる層に形成することで、容量形成部と共振器との間での電磁界結合の発生を抑えることが出来、良好な特性を得られる。また、ビアホール導体を介することによって、第一の容量形成部乃至第四の容量形成部を複数層に構成できるため、任意の静電容量を形成でき、帯域通過フィルタの通過帯域制御及び減衰極の制御が容易になる。
特に本発明の帯域通過フィルタでは、前記第一の共振器の非接地端に接続される導体パターンの上下に前記第二の共振器の非接地端に接続される導体パターンを配置して前記第一の容量形成部が形成されるとともに、前記第一の共振器の非接地端に接続される導体パターンの上下に前記第三の共振器の非接地端に接続される導体パターンを配置して前記第二の容量形成部が形成され、前記第六の共振器の非接地端に接続される導体パターンの上下に前記第四の共振器の非接地端に接続される導体パターンを配置して前記第三の容量形成部が形成され、前記第六の共振器の非接地端に接続される導体パターンの上下に前記第五の共振器の非接地端に接続される導体パターンを配置して前記第四の容量形成部が形成されているのが好ましい。
これにより、第二の共振器から第五の共振器の結合を強めることが出来、広帯域の実現が容易になる。
さらに本発明の帯域通過フィルタは、前記第一の共振器乃至前記第六の共振器および前記第一の容量形成部乃至前記第四の容量形成部を積層方向上下から挟むように、上側グランド層および下側グランド層が設けられているのが好ましい。
上下をグランド層にて挟むことで、外部からくるノイズとの電磁界結合を防ぐことができ、さらに帯域通過フィルタが外部への干渉源とならない、強い構造を持った帯域通過フィルタを実現できる。
さらに本発明の帯域通過フィルタは、前記入力端子電極と前記出力端子電極とが容量部を介して接続されることにより電界結合しているのが好ましい。具体的には、前記容量部は異なる誘電体層上に対向するように設けられた導体パターンによって積層方向に容量が形成されてなるものであり、前記入力端子電極に接続された導体パターンが設けられている層および前記出力端子電極に接続された導体パターンが設けられている層とは異なる層に、独立した導体パターンが設けられているのが好ましい。
このように、独立した導体パターンを入力端子電極に接続された導体パターンおよび出力端子電極に接続された導体パターンと対向させて、それぞれの間に発生する容量の直列接続を実現することで、独立した導体パターンが単一パターンで作製できることから簡易かつ積層ずれに強い構造の帯域通過フィルタとすることができる。
さらに本発明は、前記帯域通過フィルタを具備する無線通信機器である。これによれば、受信感度の向上、広帯域通信、低消費電力、かつ無線LANなどその他無線通信機器との相互干渉の防止が実現できる。
本発明によれば、第二の共振器から第五の共振器までの隣り合う共振器間が磁界結合されることによって、広帯域(通過帯域3.16GHz〜4.75GHzの約1.6GHzでかつ比帯域40%以上)にて、低損失かつ高減衰が実現できている。
ここで、第一の共振器と第二の共振器との間の強い電界結合及び弱い磁界結合の並列共振現象と、第六の共振器と第五の共振器との間の強い電解結合及び弱い磁界結合の並列共振現象によって、通過帯域の低域側に急峻な減衰極を形成できている。
また、第一の共振器と第二の共振器との間に設けられる容量形成部(第一の容量形成部)および第二の共振器と第三の共振器との間の磁界結合(インダクタンスと擬制)および第二の共振器の構成により、また第一の共振器と第三の共振器との間に設けられる容量形成部(第二の容量形成部)および第三の共振器と第四の共振器との間の磁界結合(インダクタンスと擬制)および第三の共振器の構成により、通過帯域の高域側に急峻な減衰特性を実現できている。
また、入力端子電極と出力端子電極とが容量部により電界結合されることで、この容量部を通過する信号と、入力容量から第一の共振器乃至第六の共振器、第一の容量形成部乃至第四の容量形成部および出力容量で構成される回路を通過する信号との位相が180°異なる周波数においてそれぞれの信号が打ち消しあって減衰極が形成される。この作用によって、低域側の減衰極を帯域側に移動させ、高域側の減衰極の一部を帯域側に移動させることができ、より急峻な減衰特性を得ることができる。
さらに、第一の共振器乃至第六の共振器の全ての共振器の非接地端と該非接地端に接続される容量形成部との距離が積層方向から見て略等しくなっていることによって、第一の共振器から第六の共振器まで計6個ある共振器の長さが、第一の容量形成部から前記第四の容量形成部を第一の共振器から第六の共振器へそれぞれ接続する導体線路の長さを含めて略等しくなり、第一共振器乃至第六の共振器の共振周波数を変えること無く、パターン化することができる。したがって、第二の共振器から第五の共振器までの隣り合う共振器間が磁界結合されることによって発生する通過帯域を、3.16GHzから4.75GHzに集めることができる。また、前記第二の共振器乃至前記第五の共振器及び前記第一の容量形成部乃至前記第四の容量形成部の組合せと入力電極端子及び出力電極端子の間に形成される容量部によって高域側の減衰極を5.3GHz付近に集中させることができる。なお、低域側では2.3GHz付近に減衰極を形成できるため、UWBで要求される通過特性及び減衰特性を高性能で実現できる。この作用により、2.48GHzのW−LAN及び5.15GHzのW−LANとの干渉による通信品質の劣化を軽減できる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明の帯域通過フィルタの一実施形態を積層方向から見た透視図であって、複数の誘電体層からなる積層体の異なる層に形成された導体パターンを重ねて図示したものである。また、図2および図3は、図1に示す帯域通過フィルタを誘電体層の各層毎に展開した説明図であり、図2は表層から8層目までを示し、図3は9層目から12層目および裏面を示している。
図1は本発明の帯域通過フィルタの一実施形態を積層方向から見た透視図であって、複数の誘電体層からなる積層体の異なる層に形成された導体パターンを重ねて図示したものである。また、図2および図3は、図1に示す帯域通過フィルタを誘電体層の各層毎に展開した説明図であり、図2は表層から8層目までを示し、図3は9層目から12層目および裏面を示している。
本発明の帯域通過フィルタは、例えば誘電率5.0〜60程度、厚み0.03〜0.1mmの複数の誘電体層17が積層された積層体中に、各誘電体層を貫通するビアホール導体や各誘電体層17の上に形成された導体パターンを含む構成からなるものである。図2および図3に示すように、本例では12層の誘電体層になっている。
積層体の表面(表層の誘電体層上)には、入力端子電極13および出力端子電極15が設けられるとともに、上側グランド層としての接地パターン14が設けられている。一方、積層体の裏面には、下側グランド層としての接地パターン16が設けられている。
そして、一端が接地端としてそれぞれ接地され、信号伝搬方向の長さが通過帯域の略中心周波数における誘電体層内部の伝搬波長をλとすると基本的にλ/4の長さの導体パターンからなる6個の共振器(第一の共振器1、第二の共振器2、第三の共振器3、第四の共振器4、第五の共振器5、第六の共振器6)が、積層体内部の同一の誘電体層上(第7層目の誘電体層上)に形成されており、これらの6個の共振器は、それぞれの接地端が積層方向から見て同一方向に配置されて、第一の共振器1から第六の共振器6まで順に並設されている。すなわち、第一の共振器1、第二の共振器2、第三の共振器3、第四の共振器4、第五の共振器5、第六の共振器6の順に設けられている。なお、信号伝搬方向の長さが基本的にλ/4であるとは、非接地端のグランド面に対する容量である短縮容量を変化させることにより、λ/4よりも短くなる場合があるのを含むことを意味している。
第一の共振器1の一端(接地端)は、ビアホール導体28を介して積層体の表面に形成された接地パターン14および積層体の裏面に形成された接地パターン16に接続されている。また、第一の共振器1の非接地端は、容量素子を介して入力端子電極13に接続されている。具体的には、図2および図3に示すように、第一の共振器1の非接地端がこれと同一の7層目の誘電体層上に形成された導体パターン11に導体線路26を介して接続され、さらにこの7層目の誘電体層上の導体パターン11がビアホール導体を介して9層目の誘電体層上の導体パターン11に接続されている。一方、入力端子電極13がビアホール導体を介して6層目と8層目と10層目の誘電体層上の導体パターン11に接続されている。それぞれの層上に形成された導体パターン11は積層方向から見て対向するようになっている(重なり合っている)ことから、積層方向に容量を形成する容量素子(入力容量)として機能するようになっている。
第六の共振器6の一端(接地端)は、ビアホール導体30を介して積層体の表面に形成された接地パターン14および積層体の裏面に形成された接地パターン16に接続されている。また、第六の共振器6の非接地端は、容量素子を介して出力端子電極15に接続されている。具体的には、図2および図3に示すように、第六の共振器6の非接地端がこれと同一の7層目上に形成された導体パターン12に導体線路27を介して接続され、さらにこの7層目の誘電体層上の導体パターン12がビアホール導体を介して9層目の誘電体層上の導体パターン12に接続されている。一方、出力端子電極15がビアホール導体を介して6層目と8層目と10層目の誘電体層上の導体パターン12に接続されている。それぞれの層上に形成された導体パターン12は積層方向から見て対向するようになっている(重なり合っている)ことから、積層方向に容量を形成する容量素子(出力容量)として機能するようになっている。
入力容量および出力容量の形成においては、積層方向に容量を形成する様々な構造が採用できるが、本実施形態のように入力端子電極13および出力端子電極15に接続される導体パターンが最上下面に配置されて容量が形成される構造であるのが好ましい。なお、容量素子に限らず、インダクタ素子を介して接続することもできる。
第二の共振器2乃至第五の共振器5の一端(接地端)は相互に接続されて、ビアホール導体29を介して積層体の裏面に形成された接地パターンに接続されている。また、第二の共振器2乃至第五の共振器5は、隣り合う共振器間が主たる結合として磁界結合されるような間隔に配置されているのに対し、第一の共振器1と第二の共振器2との間および第五の共振器5と第六の共振器6との間の間隔は、第二の共振器2から第五の共振器5までの隣り合う共振器間の間隔よりも広い間隔となっていて、これらの間の結合は弱い磁界結合となっている。
そして、第一の共振器1および第二の共振器2の非接地端同士は、第一の容量形成部を介して接続されることにより電界結合されている。具体的には、第一の共振器1の非接地端がビアホール導体で5層目と3層目の誘電体層上の導体線路18に接続され、さらにこの導体線路18が第一の容量形成部を構成する導体パターン7に接続されている。一方、第二の共振器2の非接地端は、ビアホール導体で2層目と4層目と6層目の誘電体層上の導体線路19に接続され、さらにこの導体線路19が第一の容量形成部を構成する導体パターン7に接続されている。このように、第一の容量形成部は、異なる誘電体層上に対向するように設けられた導体パターンによって積層方向に容量が形成されているのが好ましく、本例では第一の共振器1の非接地端に接続される3層目の誘電体層上の導体パターン7の上下に第二の共振器2の非接地端に接続される2層目および4層目の誘電体層上の導体パターン7を配置するとともに、第一の共振器1の非接地端に接続される5層目の誘電体層上の導体パターン7の上下に第二の共振器2の非接地端に接続される4層目および6層目の誘電体層上の導体パターン7を配置したような構造になっている。
同様に、第一の共振器1および第三の共振器3の非接地端同士は、第二の容量形成部を介して接続されることにより電界結合されている。具体的には、第一の共振器1の非接地端は、ビアホール導体で9層目と11層目の誘電体層上の導体線路20に接続され、さらにこの導体線路20が第二の容量形成部を構成する導体パターン8に接続されている。一方、第三の共振器3の非接地端は、ビアホール導体で8層目と10層目と12層目の誘電体層上の導体線路21に接続され、さらにこの導体線路21が第二の容量形成部を構成する導体パターン8に接続されている。このように、第二の容量形成部は、異なる誘電体層上に対向するように設けられた導体パターンによって積層方向に容量が形成されているのが好ましく、本例では第一の共振器1の非接地端に接続される9層目の誘電体層上の導体パターン8の上下に第三の共振器3の非接地端に接続される8層目および10層目の誘電体層上の導体パターン8を配置するとともに、第一の共振器1の非接地端に接続される11層目の誘電体上の導体パターン8の上下に第三の共振器3の非接地端に接続される10層目および12層目の誘電体層上の導体パターン8を配置したような構造になっている。
第六の共振器6および第四の共振器4の非接地端同士は、第三の容量形成部を介して接続されることにより電界結合されている。具体的には、第六の共振器6の非接地端は、ビアホール導体で9層目と11層目の誘電体層上の導体線路22に接続され、さらにこの導体線路22が第三の容量形成部を構成する導体パターン9に接続されている。一方、第四の共振器4の非接地端は、ビアホール導体で8層目と10層目と12層目の誘電体層上の導体線路23に接続され、さらにこの導体線路23が第三の容量形成部を構成する導体パターン9に接続されている。このように、第三の容量形成部は、異なる誘電体層上に対向するように設けられた導体パターンによって積層方向に容量が形成されているのが好ましく、本例では第六の共振器6の非接地端に接続される9層目の誘電体層上の導体パターン9の上下に第四の共振器4の非接地端に接続される8層目および10層目の誘電体層上の導体パターン9を配置するとともに、第六の共振器6の非接地端に接続される11層目の誘電体層上の導体パターン9の上下に第四の共振器4の非接地端に接続される10層目および12層目の誘電体層上の導体パターン9を配置したような構造になっている。
第六の共振器6および第五の共振器5の非接地端同士は、第四の容量形成部を介して接続されることにより電界結合されている。具体的には、第六の共振器6の非接地端は、ビアホール導体で5層目と3層目の誘電体層上の導体線路24に接続され、さらにこの導体線路24が第四の容量形成部を構成する導体パターン10に接続されている。一方、第五の共振器5の非接地端は、ビアホール導体で2層目と4層目と6層目の誘電体層上の導体線路25に接続され、さらにこの導体線路25が第四の容量形成部を構成する導体パターン10に接続されている。このように、第四の容量形成部は、異なる誘電体層上に対向するように設けられた導体パターンによって積層方向に容量が形成されているのが好ましく、本例では第六の共振器6の非接地端に接続される3層目の誘電体層上の導体パターン10の上下に第五の共振器5の非接地端に接続される2層目および4層目の誘電体層上の導体パターン10を配置するとともに、第六の共振器6の非接地端に接続される5層目の誘電体層上の導体パターン10の上下に第五の共振器5の非接地端に接続される4層目および6層目の誘電体層上の導体パターン10を配置したような構造になっている。
このように、第一の容量形成部乃至第四の容量形成部は、第一の共振器1または第六の共振器6の非接地端に接続される2枚の導体パターンを第二の共振器2乃至第五の共振器5の非接地端に接続される3枚の導体パターンで上下から挟むような構造、すなわち第二の共振器乃至第五の共振器の非接地端に接続される導体パターンを最上下面に配置して、積層方向から見て重なり合わせた構造となっていて、これにより、これらの導体パターンの間でより多くの容量を形成することができるとともに、接地パターン14および接地パターン16との関係で第二の共振器2乃至第五の共振器5の短縮容量を形成する効果が得られている。なお、この積層数については特に限定はなく、適宜決定される。
そして、第二の共振器2乃至第五の共振器5の接地端は、長手方向に対して略同列上(長手軸に垂直な線上)になるように配置されており、第一の共振器1および第六の共振器6の接地端が、これらに並設された第二の共振器2乃至第五の共振器5における接地端の位置よりも非接地端側に所定距離ずらした位置に配置されている。また、第一の共振器1における非接地端に近接する部位が第二の共振器2に向かって屈曲し、かつ第六の共振器6における非接地端に近接する部位が第五の共振器5に向かって屈曲している。さらに、図に示す本実施形態においては、第二の共振器2における非接地端に近接する部位が第一の共振器1に向かって屈曲し、かつ第五の共振器5における非接地端に近接する部位が第六の共振器6に向かって屈曲していて、第三の共振器3における非接地端に近接する部位が第一の共振器1に向かって屈曲し、かつ第五の共振器5における非接地端に近接する部位が第六の共振器6に向かって屈曲している。このような構造にすることにより、第一の共振器1乃至第六の共振器6の全ての共振器の非接地端と、この非接地端に接続される容量形成部との距離が積層方向から見て略等しくなっている。すなわち、導体線路18、導体線路19、導体線路20、導体線路21、導体線路22、導体線路23、導体線路24、導体線路25の長さが略等しくなっている。ここで、これらの距離が積層方向から見て略等しいことにより、第一の容量形成部から第四の容量形成部を第一の共振器から第六の共振器へそれぞれ接続する導体線路の長さを含めて略等しくなり、第一共振器乃至第六の共振器の共振周波数を変えること無く、パターン化することができるという効果がある。なお、非接地端とは、共振器の非接地側となる先端から200μm接地側までのパターン領域のことをいう。また、長さが略等しいとは、各導体線路の長さの最大長さと最小長さの差が100μm以下であることをいう。
なお、全ての導体線路の長さが略等しいのであれば、第二の共振器2乃至第五の共振器5は屈曲していなくてもよいが、このように屈曲させることにより、それぞれの容量形成部(第一の容量形成部乃至第四の容量形成部)の配置を任意に調整でき、帯域通過フィルタの特性制御が容易になる。また、第一の容量形成部を第一の共振器と第二の共振器との間に、第二の容量形成部を第一の共振器と第三の共振器との間に、第三の容量形成部を第四の共振器と第六の共振器との間に、第四の容量形成部を第五の共振器と第六の共振器との間に形成でき、通過帯域フィルタの小型化が実現できる。
なお、本実施形態においては、第一の共振器1乃至第六の共振器6および第一の容量形成部乃至第四の容量形成部は、上側グランド層としての接地パターン14と下側グランド層としての接地パターン16との間に挟まれる領域に形成されている。このように、上下をグランド層にて挟むことで、外部からくるノイズとの電磁界結合を防ぐことができ、さらに帯域通過フィルタが外部への干渉源とならないという効果がある。また本実施形態では、第一の容量形成部乃至第四の容量形成部は、第二の共振器2乃至第五の共振器5の非接地端に接続される側の導体パターンを、接地パターン14及び接地パターン16に対向するように形成することで、短縮容量電極を兼用させ、導体パターンの簡略化を図っている。
このような構造により、第二の共振器から第五の共振器の結合を強めることが出来、広帯域の実現が容易になっている。以下に理由を述べる。
帯域通過フィルタの通過帯域は、共振器間の結合係数の大きさに決まる。チェビシェフ関数を用いた理論計算によると、通過帯域3.1〜4.9GHzの帯域通過フィルタを作成する場合、結合係数は0.4必要であった。結合係数は同じ層に配置された共振器同士の間隔によって制御することができ、この間隔を狭めることで、結合係数を上げることが出来る。図10に等価回路を示す誘電率9.4、厚み0.9mmのセラミック基板中に、幅0.1mm、長さ3.2mmのλ/4ストリップライン共振器31、32を2本同じ層に作成して、共振器同士の間隔dを0.075mm〜0.125mmまで変えた場合の結合係数変化を測定した。なお、2本のストリップライン共振器は、入出力電極に対して弱く磁界結合させた。
その結果、図11に示すように、結合係数は最も共振器間の間隔が狭い0.075mmで0.04程度しか得られないことがわかった。結合を強めるために、共振器同士の間隔dを0.075mm未満とすることが上げられるが、共振器同士の間隔dを狭めた場合、製造面からみて間隔の精度に対する要求が厳しくなる問題がある。
一方、結合を強める別の手法として、共振器の非接地端のグランド面に対する容量である短縮容量を大きくすることが上げられる。短縮容量を大きくすると、共振器単体の電界成分が短縮容量を介してグランド面に集中することで、共振器同士の磁界による結合が強くなり結合係数が増加する。Ansoft社の電磁界シミュレータHFSSを用いて、同層に配置したλ/4ストリップライン共振器の短縮容量を変えた場合の結合係数変化を、固有値解析にてシミュレーションした。等価回路を図12に示す。共振器33と共振器34の非接地端には、それぞれ短縮容量C13と短縮容量C14が接続される。シミュレーションの条件として、誘電率9.4、厚み0.9mm、共振器幅0.1mm、共振器長さ3.2mm、共振器同士の間隔dを0.1mmとした。ここで、短縮容量C13、C14は、電極面積とGND面との距離で求まる平行平板の容量計算式によって算出した。
その結果、図13に示すように、短縮容量C13、C14を増やすことで、結合係数を上げることが出来、0.2pF程度の短縮容量で、結合係数0.4が得られることがわかった。
本発明においては、主たる結合が磁界結合である、第二の共振器乃至第五の共振器に短縮容量を接続することとしたが、上記構造をとることで、第一の容量形成部を構成する導体パターンとグランドとの間で第二の共振器の短縮容量が形成され、第二の容量形成部を構成する導体パターンとグランドとの間で第三の共振器の短縮容量が形成され、第三の容量形成部を構成する導体パターンとグランドとの間で第四の共振器の短縮容量が形成され、第四の容量形成部を構成する導体パターンとグランドとの間で第五の共振器の短縮容量が形成される。即ち、第二の共振器乃至第五の共振器に短縮容量を接続することとしたが、上記構造をとることで、第一の容量形成部が第二の共振器の短縮容量になり、第二の容量形成部が第三の共振器の短縮容量になり、第三の容量形成部が第四の共振器の短縮容量になり、第四の容量形成部が第五の共振器の短縮容量となる。これにより、作製が容易となる。さらにこの構造をとることで、第一の共振器に接続される第一の容量形成部と第二の容量形成部、第六の共振器に接続される第三の容量形成部と第四の容量形成部が、それぞれ他の電極パターンと電磁界結合することを防ぐことが出来る。
このような帯域通過フィルタは、図4に示す等価回路で表すことができる。本発明の帯域通過フィルタは、第一の共振器1から第六の共振器6までの6本の共振器を有しており、これらの共振器の一端を接地端としてグランドに接地させている。第二の共振器2乃至第五の共振器5は、隣り合う共振器間で強い磁界結合Mにより結合されている。第一の共振器1は入力容量C5を介して入力端子INに接続されており、第六の共振器6は出力容量C6を介して出力端子OUTに接続されている。第一の共振器1と第二の共振器2の非接地端同士は第一の容量形成部C1を介して接続され、第一の共振器1と第三の共振器3の非接地端同士は第二の容量形成部C2を介して接続され、第六の共振器6と第四の共振器4の非接地端同士は第三の容量形成部C3を介して接続され、第六の共振器6と第五の共振器5の非接地端同士は第四の容量形成部C4を介して接続されている。また、第二の共振器2の非接地端は短縮容量C7を介して接地され、第三の共振器3の非接地端は短縮容量C8を介して接地され、第四の共振器4の非接地端は短縮容量C9を介して接地され、第五の共振器5の非接地端は短縮容量C10を介して接地されている。このような構造により、第二の共振器2乃至第五の共振器5の磁界結合Mが強められ、結合係数が高くなる。
さらに、図5に示す等価回路は、入力端子INと出力端子OUTとが容量部C11を介して接続されることにより電界結合している。このものは、図4に示す等価回路の入力端子INと出力端子OUTとの間を容量部C11を介して接続したものである。
この構成による機能としては、入力容量C5から第一の共振器1乃至第六の共振器6、段間容量C1乃至段間容量C4および出力容量C6までで形成される回路を通過する信号と、容量C11を通過する信号との位相が180°異なる周波数においてそれぞれの信号が打ち消しあって減衰極を形成することができる。共振器1および共振器2の磁界結合Mと容量C1との並列共振現象により発生する低域側の減衰極を通過帯域寄りに動かし、容量C1と共振器2および共振器3の磁界結合Mと共振器2との共振現象、容量C2と共振器3および共振器4の磁界結合Mと共振器3との共振現象によって形成される高域の減衰極を通過帯域寄りに動かすことができる。従って、より急峻な減衰特性を得ることが出来る。
この容量部C11は、異なる誘電体層上に対向するように設けられた導体パターンによって積層方向に容量が形成されてなるものである。具体的には、入力端子電極に接続された導体パターンが設けられている層および出力端子電極に接続された導体パターンが設けられている層とは異なる層に独立した導体パターンを設けることで、独立した導体パターンを入力端子電極に接続された導体パターンおよび出力端子電極に接続された導体パターンと対向させて、それぞれの間に発生する容量の直列接続を実現するものである。
この一例として、図6には積層方向から見た透視図であって、複数の誘電体層からなる積層体の異なる層に形成された導体パターンを重ねたものを図示している。また、図7には図6に示す帯域通過フィルタを誘電体層の各層毎に展開した説明図であって、9層目から12層目および裏面を示している。なお、図6に示す帯域通過フィルタの1層目から8層目までは図2に示すものと同じものであるので、省略している。
図7に示すように、10層目の導体パターン11及び10層目の導体パターン12と電界結合するように、11層目に導体パターン31が配置されている。なお、前記の独立した導体パターンとは、この導体パターン99のように他の導体パターンと電気的に接続されていないことをいう。10層目の導体パターン11は入力端子電極13にビアホール導体を介して接続され、10層目の導体パターン12は出力端子電極15にビアホール導体を介して接続されるため、11層目の導体パターン31によって、入力端子電極13及び出力電極端子15間を容量部で結合したことと等しくなる。このときの静電容量は、導体パターン11と導体パターン99で形成される容量と、導体パターン12と導体パターン99で形成される容量の直列接続となる。
本発明の帯域通過フィルタの製造は、例えば、誘電体層は低温焼成用のセラミックス(LTCC: Low Temperature Co-fired Ceramics)で形成され、各誘電体層に形成される導体層は銅や銀などの低抵抗導体によって形成される。このような多層基板は、周知の多層セラミック技術によって形成されるもので、例えば、セラミックグリーンシートの表面に導体ペーストを塗布して、各共振器、各容量形成部を構成する導体パターンをそれぞれ形成した後、積層し、所用の圧力と温度の下で熱圧着し焼成して形成されている。また、各誘電体層には、複数の層にわたって、上下の導体層を接続するために必要なビアホール導体が適宜形成される。
また、本発明の無線通信機器は、例えば、ベースバンド信号を処理するベースバンドIC、高周波信号を処理するRFIC、平衡信号と不平衡信号を変換するバラン、上述の帯域通過フィルタ、送受信を切り替える高周波スイッチ、アンテナがこの順で接続されてなる構成からなるもので、帯域通過フィルタによりUWBの帯域内送受信信号を通過させ、帯域外の信号を急峻に減衰させるようになっている。この無線通信機器としては、携帯電話や、無線通信に対応した外付け記憶装置、プリンタ、スキャナなどのPC周辺機器、デジタルテレビ、プロジェクタ、デジタルスチールカメラ、デジタルビデオカメラ等が挙げられる。
図2および図3に示す配線パターンにて形成した帯域通過フィルタの通過特性S21及び反射特性S11を、アジレント−テクノロジーズ(Agilent Technologies)社製のベクトルネットワークアナライザ8719ESを用いて測定した。このとき誘電率として9.0のセラミックスを用いており、誘電体層の1層厚みは75um、12層構成とした。このとき誘電体のサイズは4.5×3.2mmとした。この結果を図8に示す。
また、同様の条件で、図7に示すように導体パターン99を追加して、入力端子電極と出力端子電極とを容量部を介して接続した構造の帯域通過フィルタの通過特性S21及び反射特性S11を測定した。この結果を図9に示す。
図8に示す結果によれば、3.16GHz(m1で示す)から4.75GHz(m2で示す)の約1.5GHzの帯域内での通過損失が1.5dB未満であった。また、W−LANのIEEE802.11b/gが存在する2.48GHz(m3で示す)での減衰は30dB以上が得られた。一方、W−LANのIEEE802.11aが存在する5.15GHzで、約32dBの減衰特性が得られた。
また、図9に示す結果によれば、3.16GHz(m1で示す)から4.75GHz(m2で示す)の通過損失は1.5dB未満、2.48GHz(m3で示す)での減衰は30dB以上が得られており、図8に示す結果と同じである。さらに5.15〜5.35GHzの減衰量は30dB以上となっており、図5の例と比べて8dB以上改善された。
なお、ここでは通過帯域として、UWBの一方式であるMB−OFDM方式を例にしてあげたが、別の方式であるDS−CDMA方式の低周波側の通過帯域である3.1GHzから4.9GHzにおいても同様に議論できる。本発明の帯域通過フィルタの、第一の共振器から第六の共振器の長さ、幅、間隔、第一の容量形成部から第四の容量形成部の容量を調整することによって、DS−CDMA方式のUWBにおいても用いることが可能になる。
1:第一の共振器
2:第二の共振器
3:第三の共振器
4:第四の共振器
5:第五の共振器
6:第六の共振器
7:第一の容量形成部を構成する導体パターン
8:第二の容量形成部を構成する導体パターン
9:第三の容量形成部を構成する導体パターン
10:第四の容量形成部を構成する導体パターン
11:入力容量を構成する導体パターン
12:出力容量を構成する導体パターン
13:入力端子電極
15:出力端子電極
14、16:接地パターン
17:誘電体層
18〜27:導体線路
28〜30:ビアホール導体
C1:第一の容量形成部
C2:第二の容量形成部
C3:第三の容量形成部
C4:第四の容量形成部
C5:入力容量
C6:出力容量
C7:第二の共振器の短縮容量
C8:第三の共振器の短縮容量
C9:第四の共振器の短縮容量
C10:第五の共振器の短縮容量
C11:容量部
31〜34:共振器
C13〜C14:短縮容量
2:第二の共振器
3:第三の共振器
4:第四の共振器
5:第五の共振器
6:第六の共振器
7:第一の容量形成部を構成する導体パターン
8:第二の容量形成部を構成する導体パターン
9:第三の容量形成部を構成する導体パターン
10:第四の容量形成部を構成する導体パターン
11:入力容量を構成する導体パターン
12:出力容量を構成する導体パターン
13:入力端子電極
15:出力端子電極
14、16:接地パターン
17:誘電体層
18〜27:導体線路
28〜30:ビアホール導体
C1:第一の容量形成部
C2:第二の容量形成部
C3:第三の容量形成部
C4:第四の容量形成部
C5:入力容量
C6:出力容量
C7:第二の共振器の短縮容量
C8:第三の共振器の短縮容量
C9:第四の共振器の短縮容量
C10:第五の共振器の短縮容量
C11:容量部
31〜34:共振器
C13〜C14:短縮容量
Claims (11)
- 複数の誘電体層からなる積層体の表面または裏面に入力端子電極および出力端子電極を有し、前記積層体の内部に、一端が接地端としてそれぞれ接地され、信号伝搬方向の長さが通過帯域の略中心周波数における前記誘電体層内部の伝搬波長をλとすると基本的にλ/4である導体パターンからなる6個の共振器を有してなり、
該6個の共振器は、同一の誘電体層上に、それぞれの前記接地端が積層方向から見て同一方向に配置されて、第一の共振器から第六の共振器まで順に並設されており、
前記第一の共振器の非接地端が容量素子またはインダクタ素子を介して前記入力端子電極に接続され、
前記第六の共振器の非接地端が容量素子またはインダクタ素子を介して前記出力端子電極に接続され、
前記第二の共振器から前記第五の共振器までの隣り合う共振器間が磁界結合し、
前記第一の共振器および前記第二の共振器の非接地端同士、前記第一の共振器および前記第三の共振器の非接地端同士、前記第六の共振器および前記第四の共振器の非接地端同士、前記第六の共振器および前記第五の共振器の非接地端同士がそれぞれ容量形成部を介して接続されることにより電界結合し、
前記第一の共振器乃至前記第六の共振器の全ての共振器の非接地端と該非接地端に接続される容量形成部との距離が積層方向から見て略等しいことを特徴とする帯域通過フィルタ。 - 前記第一の共振器および前記第六の共振器の接地端が、これらに並設された前記第二の共振器乃至前記第五の共振器における接地端の位置よりも非接地端側に所定距離ずらした位置に配置されているとともに、
前記第一の共振器における非接地端に近接する部位が前記第二の共振器に向かって屈曲し、かつ前記第六の共振器における非接地端に近接する部位が前記第五の共振器に向かって屈曲していることを特徴とする請求項1に記載の帯域通過フィルタ。 - 前記第二の共振器における非接地端に近接する部位が前記第一の共振器に向かって屈曲し、かつ前記第五の共振器における非接地端に近接する部位が前記第六の共振器に向かって屈曲していることを特徴とする請求項2に記載の帯域通過フィルタ。
- 前記第三の共振器における非接地端に近接する部位が前記第一の共振器に向かって屈曲し、かつ前記第四の共振器における非接地端に近接する部位が前記第六の共振器に向かって屈曲していることを特徴とする請求項3に記載の帯域通過フィルタ。
- 前記第一の共振器乃至前記第六の共振器を積層方向上下から挟むように、上側グランド層および下側グランド層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の帯域通過フィルタ。
- 前記容量形成部は、異なる誘電体層上に対向するように設けられた導体パターンによって積層方向に容量が形成されてなるものであり、
前記第一の共振器の非接地端に接続される導体パターンと前記第二の共振器の非接地端に接続される導体パターンとの間で第一の容量形成部が形成され、
前記第一の共振器の非接地端に接続される導体パターンと前記第三の共振器の非接地端に接続される導体パターンとの間で第二の容量形成部が形成され、
前記第六の共振器の非接地端に接続される導体パターンと前記第四の共振器の非接地端に接続される導体パターンとの間で第三の容量形成部が形成され、
前記第六の共振器の非接地端に接続される導体パターンと前記第五の共振器の非接地端に接続される導体パターンとの間で第四の容量形成部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の帯域通過フィルタ。 - 前記第一の共振器の非接地端に接続される導体パターンの上下に前記第二の共振器の非接地端に接続される導体パターンを配置して前記第一の容量形成部が形成されるとともに、前記第一の共振器の非接地端に接続される導体パターンの上下に前記第三の共振器の非接地端に接続される導体パターンを配置して前記第二の容量形成部が形成され、
前記第六の共振器の非接地端に接続される導体パターンの上下に前記第四の共振器の非接地端に接続される導体パターンを配置して前記第三の容量形成部が形成され、前記第六の共振器の非接地端に接続される導体パターンの上下に前記第五の共振器の非接地端に接続される導体パターンを配置して前記第四の容量形成部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の帯域通過フィルタ。 - 前記第一の容量形成部乃至前記第四の容量形成部が、前記上側グランド層および前記下側グランド層で挟まれる領域に形成されていることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の帯域通過フィルタ。
- 前記入力端子電極と前記出力端子電極とが容量部を介して接続されることにより電界結合していることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の帯域通過フィルタ。
- 前記容量部は異なる誘電体層上に対向するように設けられた導体パターンによって積層方向に容量が形成されてなるものであり、
前記入力端子電極に接続された導体パターンが設けられている層および前記出力端子電極に接続された導体パターンが設けられている層とは異なる層に、独立した導体パターンが設けられていることを特徴とする請求項9に記載の帯域通過フィルタ。
前記容量部 - アンテナと、該アンテナで送受信される送受信信号を通過させる請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の帯域通過フィルタと、前記送受信信号を処理するRFICと、ベースバンド信号を処理するベースバンドICとを具備する無線通信機器。
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