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JP2007193249A - 成形部品の製造方法 - Google Patents

成形部品の製造方法 Download PDF

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Toshinari Noda
俊成 野田
Katsuya Morinaka
克也 森仲
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Abstract

【課題】本発明は光の波長以下の周期で、アスペクト比が大きい微細周期構造を有する成形部品の製造方法において、その生産性を高めることを目的とする。
【解決手段】エッチングマスクに球状の微粒子を用いることで、リソグラフィ工程を削減し、簡易な工程でマスクの形成ができ、微粒子の粒径で周期間隔を高精度に制御することが可能になるとともに、微粒子の材料により基材との選択比を自由に制御でき、格子高さを高精度に制御することができる製造方法としたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、微細周期構造を有する成形部品の製造方法に関するものである。
従来より、ガラス、プラスチック等からなる、光を透過させる光学素子においては、表面反射を抑制するために反射防止膜が表面に設けられている。この反射防止膜としては、例えば光学素子表面上に、光学素子よりも低屈折率の材料からなる誘電体薄膜を、透過光の中心波長の1/4程度の厚みで作製したものが用いられている。しかし、1層からなる反射防止膜では、中心波長以外の波長では十分な反射防止効果が得られないという課題がある。
広い波長範囲で反射防止効果を得るためには、低屈折率材料からなる誘電体薄膜と高屈折率材料からなる誘電体薄膜を、交互に形成したものが用いられている。これらの薄膜は、真空蒸着法やスパッタ法といった、真空成膜装置により形成されている。
しかし、これらの反射防止膜の形成には真空設備を利用する必要があり、さらに多層膜を形成する場合には、各層で層厚や屈折率が異なる誘電体薄膜を積層する必要があるため、作製に長時間を要するとともに、コストが高くなるという課題がある。
近年、これらの誘電体薄膜に変わる反射防止構造として、光学素子の表面に、傾斜面を有する、波長以下のサイズの微細な凹凸からなる微細周期構造が提案されている。一般に、凹凸が形成されていないときの、光学素子表面での反射は、入射側の媒質と光学素子との間で屈折率が急激に変化することによって生じる。光学素子の表面に波長以下のサイズの傾斜した凹凸が存在すると、光は凹凸の頂部から底部にかけて、入射側の媒質の屈折率n1から光学素子の屈折率n2へと連続的に変化しているように振舞うため、従来の反射防止膜と異なり、無反射構造を実現することが可能である。光の波長をλとすると、凹凸の周期間隔kが、
k ≦ λ / n2
の条件を満たす場合、凹凸は波長がλ以上の光に対しては回折格子として作用せず、光学素子はその凹凸の配列ピッチによって定まる波長以上の全ての光に対して、反射防止効果を有する。このような微細周期構造は、蛾の眼の表面に形成されているサブミクロンオーダの大きさの凹凸構造の反射率を測定することにより発見されたためモス・アイ(Moth eye)構造もしくはサブ波長構造と呼ばれている。
このような微細周期構造を有する成形部品の製造方法として、以下のような発明が提案されている。
図4および図5を用いて、従来の微細周期構造を有する成形部品の製造工程について説明する。
図4は従来の微細周期構造を有する成形部品の製造工程における、マスクの形成過程を示す工程図であり、図5は従来の微細周期構造を有する成形部品の製造工程における、反応性イオンエッチング(RIE)の過程を示す工程図である。
図4において、11は基材、12は電子線レジスト、13は電子線、14は金属、15は金属マスクを示している。
まず、図4(a)に示すように、基材11の表面に、ポジ型の電子線レジスト12をスピンコートし、矢印で示した電子線13によって、2次元配列のマスクパターンを描画する。このマスクパターンの直径DおよびピッチPが、金属マスク15の直径Dおよび配列ピッチPとなる。次いで、図4(b)に示すように、描画した円形の部分を現像により除去する。さらに、図4(c)に示すように、Cr、Al等の金属14を蒸着する。このとき、電子線レジスト12が除去されて露出した基材11の表面と、残存する電子線レジスト12の上に、金属14が蒸着される。最後に、リフトオフ法によって、電子線レジスト12と共に電子線レジスト12上の金属14を除去する。これで、図4(d)に示すように、基材11上にのみ金属14が残り、これが金属マスク15となる。金属マスク15が薄すぎると、金属マスク15の直径があるうちに、厚さ方向のエッチングによって金属マスク15が消滅して、基材11の凸部が円錐ではなく円錐台になる。また、逆に金属マスク15が厚すぎると、金属マスク15の直径の減少速度が遅くなり、処理能率が低下する。金属マスク15の縁の断面形状に制約はなく、図4(d)に示したように、矩形になっていても良い。
次に、図5に示すようにRIEにより基材11への凹凸加工を行う。凹凸の間に傾斜を形成する原理としては、エッジ効果と呼ばれる現象を用いる。これは、反応性イオンエッチングにおいては、角張った部分に電場が集中して、その部分が選択的にエッチングされ易くなる、というものである。エッチングされ得る材料でマスクを形成する場合は、マスクの縁にもエッジ効果が現れる。マスクが処理対象物よりも遅い速度でエッチングされる場合のエッジ効果の様子を図5に模式的に示す。この場合は、処理対象物が相対的に高速でエッチングされるため、マスクの大きさは次第に減少していき、これに伴って、基材11のエッチングは、深さ方向に加えて横方向に進行する。その結果、基材11の凹部と凸部の間には傾斜面が現れる。以上のような方法で、基材上に微細な周期構造を形成している。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2004−107765号公報
しかしながら、上記の製造方法では電子線描画、金属蒸着、RIEという3回の真空プロセスを必要とするため、工程が複雑になるという問題点を有していた。また、RIEはエッチングガスの直進性が低く、基材がランダムな方向からエッチングされるため、所望の形状を得るのが非常に困難であり、絶縁性の基材に対しては、基材がチャージアップするためダメージを受けてしまう、という工程上の問題点を有していた。
そこで、本発明はこのような問題点を解決し、精度向上と工程の簡略化を図った微細周期構造を有する成形部品の製造方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
本発明は、特に、基材上に、粒径の揃った略球状の微粒子を配設する工程と、前記基材表面に対して垂直方向に、加速された粒子ビームを照射し、基材をエッチングする工程からなることを特徴とするものである。
本発明によれば、エッチングマスクに球状の微粒子を用いたため、リソグラフィ工程を必要とせず簡易な工程でマスクの形成ができ、微粒子の粒径で周期間隔を高精度に制御することが可能になるとともに、微粒子の材料により基材との選択比を自由に制御でき、格子高さを高精度に制御することができるという効果を奏するものである。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。
図1は微細周期構造を有する成形部品の製造工程図である。本実施の形態では、被処理基材として、表面にプラチナ(Pt)−イリジウム(Ir)合金薄膜を成膜した超硬材料を用い、その表面に微細周期構造を形成するものである。
まず、基材1上に、図1(b)に示すように直径が150nm程度の酸化アルミ(Al23)微粒子2を設置する。本製造方法では、微粒子2の直径で微細周期構造の周期が決定する。微粒子2を基材1上に設置するプロセスとしては、例えば以下に示すようなディップコート法が用いられる。
Al23微粒子2をエタノールやイソプロピルアルコール(IPA)等に代表される有機溶媒からなるスラリー中に分散させる。次に、微粒子2を分散させた有機溶媒からなる液槽に、基材1を浸漬させた後、基材1を一定速度で引き上げることにより、基材1上に微粒子2をアレイ状に設置することができる。次いで、アレイ状に微粒子2が設置された基材1を60〜80℃程度のオーブンに投入することにより、溶媒が揮発し、微粒子2のみを基材1上に設置することができる。スラリーとしては、上述したエタノール、イソプロピルアルコール以外にも、水や他の有機溶媒を用いてもよい。微粒子2の設置プロセスとしては、上記のディッピング法に加えて、スピンコート法、スプレーコート法、またはバーコート法といった種々の公知のコート方法を用いることができる。
次に、図1(c)に示すように、微粒子2をマスクとして用い、基材1に垂直な方向から高速原子ビーム3を照射して、基材1のエッチングを行う。高速原子ビーム3は、中性粒子を照射するためチャージアップすることがなく、基材1が導電体、絶縁体どちらの場合でも同様に加工を行うことができる。また、ビームの直進性が非常に高いため、高アスペクト比の加工や、垂直性が必要とされる加工ができる。さらに、イオンビームではクーロン力によりビームが若干広がってしまうという欠点があるため、比較すると高速原子ビーム3はより微細で高精度な加工ができる。高速原子ビーム3のプロセスガスとしては、アルゴンガスを用いた。アルゴンガスを用いることにより、高速にスパッタエッチングを行うことが可能となる。
次いで、図1(d)に示すように、微粒子2からなるマスクが除去されるまでエッチングを行うことにより、表面に微細周期構造が形成された基材4が形成される。アルゴンガスをプロセスガスとした高速原子ビーム3による、Al23微粒子2と表面にPt−Ir合金薄膜を成膜した基材1とのエッチング量は、
Figure 2007193249
であるため、ピッチ150nm、高さ360nmという、可視光の中心波長よりも十分小さい周期で、アスペクト比の大きい微細周期構造を作製することができる。
本実施の形態では、図1を用いて、基材1の表面が平面である場合の微細周期構造を有する成形部品の製造方法について説明したが、基材1の表面形状は平面に限定されるものではなく、例えば図2に示すように基材1の表面が曲面の場合でも同様に、微細周期構造を形成することが可能であり、曲面形状は用途に合わせて球面、非球面、自由曲面等を自由に選択することができる。
本実施の形態では、微粒子2の径は150nmのものを用いたが、屈折率n2の光学素子に入射する光の波長光の波長をλとすると、微粒子2の直径k(すなわち、微細周期構造の周期間隔)が、
k ≦ λ/n2
の条件を満たす場合、反射防止効果が得られる。したがって、例えば光学素子の屈折率が1.50であり、可視光に対する反射防止効果を得ようとした場合には、可視光の中心波長を600nmと考えると、
k ≦ 600nm/1.5 = 400nm
となることから、400nm以下の粒径の微粒子であれば、どのような大きさの微粒子でも良い。ただし、微細周期構造の凹凸の高さについては、高さが低ければ低いほど、光線の入射方向での屈折率の変化が急激になるため、十分な反射防止効果が得られなくなる場合がある。したがって、微粒子2の粒径が小さい場合には、基材1との選択比が高いものを選択すれば良い。
また、微粒子2として球状のものを用いた場合について説明したが、半球状の微粒子を用いても、同様の微細周期構造を得ることができる。さらに、三角錐、四角錐、円錐といった、錐体の微粒子を用いて加工した微細周期構造についても、同様の効果を得ることができるため、このような微粒子を用いても良い。
なお、本実施の形態においては、微粒子2の材料としてAl23を用いたが、本材料に限らず、基材1とエッチングの選択比により種々の材料を選択することができる。例えば、アルゴンガスをプロセスガスとした高速原子ビームにより、Ptに対して選択比が1以上とれる材料としては、Pt、Pd、Si、Ti、W、Ta、Nb、C、Mo、Zr、V、Os、Be、Ru、Hf、Al23、MgO等が挙げられる。
なお、本実施の形態においては、光学素子をプレス成形する金型表面のPt−Irコーティングに微細周期構造を形成する方法について説明したが、コーティング膜種はPt−Ir合金に限定されるものではなく、微粒子2との選択比を考慮することで、Niのような金属、SiO2、Al23といった酸化物、TiN、CrNといった窒化物や、SiCといった炭化物、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の様々なコーティング膜に用いることができる。
また、金型のコーティングへの加工のみに限定されるものではなく、WCやSiC、グラッシーカーボンといった様々な金型材料や、各種光学ガラス、Si、Geといった光学部品上に直接微細周期構造を形成する場合にも用いることができる。
さらに、本実施の形態においては、エッチングを行う粒子ビームとして高速原子線を用いたが、クラスターイオンビーム、イオンビームといった、他の高速粒子ビームを用いてもよい。クラスターイオンビームは、クラスター状の粒子により加工を行うため、エッチング速度が速いという特徴がある。また、イオンビームは従来からエッチングに用いられており、比較的装置が安価で、低コスト化を実現できるという特徴がある。
(実施の形態2)
以下、実施の形態2について図面を用いて説明する。
図3は微細周期構造を有するプレス成形用の成形部品(金型)を用いて、微細周期構造を有する光学素子を製造する工程図である。
5は微細周期構造を有する上金型、6は下金型、7はガラスである。まず図3(a)に示すように、下金型6上に成形するガラス7を設置する。その後に、ヒーター8で上金型5および下金型6を加熱する。次に、上金型5および下金型6が、設置したガラス7のガラス転移点以上の温度になったら、図3(b)に示すように上金型5を下金型6の方に押し付けて、ガラス7をプレスする。次いで、上金型5および下金型6を徐冷し、室温近くになったら上金型5および下金型6からガラス7を取り出す。以上の工程により、表面に微細周期構造が形成されたガラス製の光学素子9を作製できる。この光学素子9は、表面に波長以下の周期で、アスペクト比が2以上と大きい微細周期構造が表面に形成されているため、従来の誘電体薄膜による反射防止コート等を必要とせずに、従来以上の反射防止機能を持つ。この製造方法を用いて光学素子9上に微細周期構造を形成することで、小型高性能なコンパクトデジタルカメラやモバイルカメラ等に代表される各種電子機器に用いる反射防止機能付きレンズの用途として有用である。
以上のように本発明の微細周期構造を有する成形部品の製造方法は、簡易な工程で高精度な微細周期構造を製造することが可能であり、各種機器に用いる反射防止機能の用途として有用である。
本発明の実施の形態1における、平面上の微細周期構造を有する成形部品の製造工程図 本発明の実施の形態1における、曲面上に微細周期構造を有する成形部品の製造工程図 本発明の実施の形態2における、微細周期構造を有する光学素子の製造工程図 従来の微細周期構造を有する成形部品の製造工程における、マスクの形成過程を示す工程図 同成形部品の製造工程における、反応性イオンエッチング(RIE)の過程を示す工程図
符号の説明
1 基材
2 微粒子
3 高速原子ビーム
4 微細周期構造形成済み基材
5 上金型
6 下金型
7 ガラス
8 ヒーター
9 光学素子
11 基材
12 電子線レジスト
13 電子線
14 金属
15 金属マスク

Claims (17)

  1. 基材上に、粒径の揃った微粒子を配設する工程と、前記基材表面に対して垂直方向に、加速された粒子ビームを照射し、基材をエッチングする工程からなることを特徴とする、微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  2. 微粒子が略球状、または略半球状であることを特徴とする、請求項1に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  3. 少なくとも基材上の微粒子が消失するまで、加速された粒子ビームを照射し、基材をエッチングすることを特徴とする、請求項1に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  4. エッチングが主にスパッタにより進行することを特徴とする、請求項3に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  5. 微粒子を配設する工程において、スラリーに分散させた微粒子を基材上に塗布した後に、前記スラリーを除去することを特徴とする、請求項1に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  6. 微粒子を基材上に塗布する方法として、スピンコート法、またはスプレーコート法、またはバーコート法、またはディップコート法を用いることを特徴とする、請求項5に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  7. スラリーが水または有機溶媒であることを特徴とする、請求項6に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  8. 粒子ビームが原子ビームであることを特徴とする、請求項1に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  9. 粒子ビームがクラスターイオンビームであることを特徴とする、請求項1に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  10. 粒子ビームがイオンビームであることを特徴とする、請求項1に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  11. 基材が光学素子、または光学素子を成型するための金型、または光学素子を成型するための金型表面のコーティング膜であることを特徴とする、請求項1に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  12. 基材が貴金属、または貴金属合金、または貴金属を表面にコーティングした金型、または貴金属合金を表面にコーティングした金型であることを特徴とする、請求項11に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  13. 基材がPt、Ir、またはPt、Irの少なくとも一方を含む合金、またはこれらを表面にコーティングした金型であることを特徴とする、請求項12に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  14. 微粒子の粒径が、使用する波長を光学素子の屈折率で割った値以下であることを特徴とする、請求項1に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  15. 微粒子の粒径が、400nm以下であることを特徴とする、請求項14に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  16. 粒子ビームに対する、微粒子と基材のエッチング選択比が、
    Figure 2007193249
    であることを特徴とする、請求項1に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
  17. 微粒子がPt、Pd、Si、Ti、W、Ta、Nb、C、Mo、Zr、V、Os、Be、Ru、Hf、またはこれらのうち少なくとも一つを含む合金、またはこれらのうち少なくとも一つを含む酸化物、またはこれらのうち少なくとも一つを含む窒化物、またはこれらのうち少なくとも一つを含む炭化物、またはアルミ酸化物、またはマグネシウム酸化物、のいずれかであることを特徴とする、請求項16に記載の微細周期構造を有する成形部品の製造方法。
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