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JP2007183032A - 環境制御用ロボット装置及びシステム - Google Patents

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JP2007183032A
JP2007183032A JP2006000761A JP2006000761A JP2007183032A JP 2007183032 A JP2007183032 A JP 2007183032A JP 2006000761 A JP2006000761 A JP 2006000761A JP 2006000761 A JP2006000761 A JP 2006000761A JP 2007183032 A JP2007183032 A JP 2007183032A
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Kazunori Iwabuchi
一徳 岩渕
Minoru Iino
穣 飯野
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Toshiba Corp
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Abstract

【課題】空気調和機器や照明機器などの環境調整用機器を運用する上で、有効な環境情報を収集できるようにして、快適性と省エネルギー化の両立を図ることが可能な環境制御用ロボット装置を提供することにある。
【解決手段】空気調和機器31などの環境調整用機器を制御するホームロボット10が開示されている。ホームロボット10は、室内を移動し、室内環境状態を計測した計測結果に基づいた室内環境情報を収集して記憶メモリ12に格納する。ホームロボット10は、室内環境情報に基づいて制御情報を空気調和機器31に送信する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、一般的には環境制御用ロボット装置に関し、特に、家庭内の環境を調整するホームロボット装置に関する。
近年、地球温暖化対策が求められる中で、民生部門においては、住宅や建築物の断熱性および通気性の向上、電気機器の低消費電力化、熱利用の効率化などの観点から省エネルギー化が推進されている。
一般に、家庭にあるエアコンなどの空気調和機器は、その使用者(居住者)がリモートコントローラによる遠隔操作により、温度や風向などの制御設定値を指示することで運用される。このような方法では、例えば冷房時に、使用者が暑いと感じてエアコンの設定温度を下げた場合に、その後に多少冷えすぎた状態になっても、温度設定がそのままに維持されることが考えられる。また、室内の温度分布によっては、使用者が居る地点によっては、エアコンの温度設定に見合った快適性が得られないこともある。上記に示すような理由から、空気調和機器の運用における省エネルギー化には、その支援が必要とされている。
このような課題を解決するものとして、人体検知や室内温度分布を計測する機能を有する空気調和装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この空気調和装置は、建物内の壁面や床面の表面温度分布に関する計測情報を利用して、温度、風量、及び風向の設定を行なうことが可能な高度の制御機能を有する。
特開2001−304655号公報
前述の空気調和装置では、室内温度分布を計測するために、室内温度の検知を行う温度センサが搭載されている。このため、空気調和装置の設置場所や、家具の配置などの室内の様態によっては、温度センサによる温度検知機能の発揮が限定される場合がある。
また、居住者が感じる快適性は、温度だけでなく、湿度、気流速度、輻射温度などの複数の要素に左右される。さらに、温度については、床面から離れた空間の温度分布も影響する。例えば、夏季には高湿度環境により不快感を受けやすく、また頭と足下の温度差が、3℃以上であると快適感を損なうことが確認されている。
したがって、エアコン、加湿器、除湿器、扇風機、空気洗浄機、床暖房設備などの空気調和機器において、その運用方法による快適性と省エネルギー化の両立を追求するには、居住者により近い場所から、温度や湿度などの室内環境情報を収集する仕組みが望まれる。
また、照明機器及び映像表示機器において、室内照度を明るくし過ぎると、むしろ映像表示機器の映像が見えにくくなったりする。従って、室内照度状況に応じた照明の灯数や映像表示機器の輝度などを適切化することで、省エネルギー化を図るには、居住者により近い場所から照度や輝度情報を収集する仕組みが求められる。
そこで、本発明の目的は、空気調和機器や照明機器などの環境調整用機器を運用する上で、有効な環境情報を収集できるようにして、快適性と省エネルギー化の両立を図ることが可能な環境制御用ロボット装置を提供することにある。
本発明の観点に従った環境制御用ロボット装置は、装置本体が建物内を移動するための移動手段と、前記建物内の環境状態を計測する計測手段を有し、当該計測手段から出力される計測結果に基づいた環境情報を収集する情報収集手段と、前記情報収集手段により収集した前記環境情報に基づいて、前記建物内の環境を適正にするために、前記建物内に設置された環境調整用機器に対して、当該環境調整用機器を制御するための制御情報を伝達する伝達手段とを備えた構成である。
本発明によれば、例えば家庭内に設置した空気調和機器や照明機器などの環境調整用機器を運用する上で、有効な環境情報を収集できる環境制御用ロボット装置を提供することができる。この環境制御用ロボット装置を使用することにより、特に室内環境における快適性と省エネルギー化の両立を図ることが可能となる。
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に関する環境制御用ロボット装置(以下、ホームロボットと表記する)の要部を示すブロック図である。
本実施形態のホームロボット10は、図1に示すように、制御処理部11と、記憶メモリ12と、演算処理部13と、センシング部14と、機器制御設定送信部15と、インターネット接続装置16と、表示装置17と、位置検出装置18と、走行装置19とを有する。これらの要素以外に、ホームロボット10は、図示しない入力装置及び電源用電池を主要な要素として備えている。
制御処理部11は、ホームロボット10の各構成要素を制御するメイン制御部である。記憶メモリ12は、制御処理部11の制御処理および演算処理部13の演算処理に必要なプログラムや、演算式、定数配列などを格納する。さらに、記憶メモリ12は、演算処理部13、センシング部14、インターネット接続装置16、位置検出装置18、及び図示しない入力装置から伝送される計測データや、設定定数の変更情報、及び室内のレイアウト情報などを記録する。
センシング部14は、図2に示すように、床面からの高さが異なる複数のセンシング部141,142からなる。即ち、上側のセンシング部141は、ホームロボット10において、床面から相対的に高い位置(例えば、床面からの高さが約60cm)に配置されている。また、下側のセンシング部142は、床面から相対的に低い位置(床面の近傍)に配置されている。センシング部141,142はそれぞれ、1つまたは複数のセンサを含む。
機器制御設定送信部15は、家電機器(31〜33)の設定情報を遠隔操作するためのリモートコントローラ(以下、リモコンと表記する)である。インターネット接続装置16は、ワイヤレスLANのインタフェースを備え、室内に設置された中継モデムルータ(図示せず)を介してインターネット160との接続処理を行う。位置検出装置18は、ホームロボット10に付属する超音波発信器および超音波受信器を有する。位置検出装置18は、室内200に少なくとも3個設置された超音波受信器180との通信機能とを有する。
この位置検出装置18により、ホームロボット10は、室内における自身の位置検出と障害物検知を行なう。ホームロボット10は、位置検出装置18からの位置検出情報を使用して、ホームロボット10の移動を担う走行装置19の制御と、空気調和機器に含まれるエアコン31の風向設定を実行する。なお、位置検出精度としては、20〜30cm程度の誤差を含む場合でも、省エネルギー化支援機能を実現するための実用上での問題は生じない。
ここで、本実施形態では、ホームロボット10は、図2に示すように、家電機器としてエアコン31、照明機器32、映像機器33が設置されている室内200の環境を制御する。
エアコン31は換気機能を有し、リモコン15からの設定情報により温度、風向の上下左右、換気量の設定についての遠隔操作が可能である。また、リモコン15からの設定情報により、エアコン31は、湿度、送風量、ヒータの発熱量、送風ファンの回転数などの設定についても遠隔操作が可能である。照明機器32は、例えば2本の蛍光灯を有し、各蛍光灯のそれぞれをリモコン15により遠隔操作が可能である。
ホームロボット10は、リモコン15によりエアコン31、照明機器32、映像機器33の各家電機器を操作する。ホームロボット10では、上側のセンシング部141は、温度、湿度、微風速、輻射温度、および照度を計測する各センサを有する。また、下側のセンシング部142は、床面の近傍の温度を計測するセンサを備える。なお、上側のセンシング部141は、臭気強度、ほこり粒子の濃度、または二酸化炭素濃度のそれぞれを計測するための各センサを有する構成でもよい。
ここで、図2に示すような室内設置の家電機器としては、多くの様態が考えられる。従って、本実施形態のホームロボット10は、当該設置家電機器に応じた他種のセンサに変更されて、またリモコン操作を可能にするための機器制御データおよび使用センサの利用を可能にするドライバプログラムを、電子媒体またはインターネット接続装置16を介して導入することができる。
(ホームロボットの動作)
本実施形態のホームロボット10は、図6のフローチャートに示すように、大別して室内環境調整機能、異常監視機能、及び機器操作機能の各機能を選択的に実現する(ステップS1)。即ち、室内環境調整機能が選択された場合には、ホームロボット10は、例えば室内の温度変化を測定又は予測し、エアコン31などの環境調整用機器を制御する(ステップS3,S4)。この室内環境調整機能については、詳細を後述する。
また、異常監視機能が選択された場合には、ホームロボット10は、例えば室内の発熱源を検知し、発熱温度が異常(例えば火災)である場合には異常を通知する処理を実行する(ステップS5,S6)。さらに、機器操作機能が選択された場合には、ホームロボット10は、室内に設置された家電機器の動作状態を認識し、例えばタイマにより指定の時刻になった時点で家電機器を起動するように操作する(ステップS7,S8)。
以下さらに、図2から図5、図7、及び図8を参照して、本実施形態のホームロボット10の室内環境調整機能について説明する。
まず、ホームロボット10は、図2に示すように、室内200において予め設定された計測地点を含むコース(点線)を、走行装置19により移動しながら、環境情報を収集する。計測地点としては、ある程度均等に区分けされた室内200の6地点以上が適当である。
ホームロボット10は、位置検出装置18により検出した位置情報、及びセンシング部14の各センサで計測した温度、湿度、気流速度、輻射温度、照度の計測データを収集し、記憶メモリ12に記録する。記憶メモリ12には、例えば図3に示すように、室内環境に関する計測データ及び位置情報が記録される。なお、室内環境に関する計測データ(室内環境情報)には、臭気強度、ほこり粒子の濃度、または二酸化炭素濃度が含まれていてもよい。
ここで、センシング部14は、上側のセンシング部141で取得した温度、湿度、風速、及び輻射温度の計測データを演算処理部13にも転送する。演算処理部13は、代謝量および着衣量の仮設定値(代謝量は例えば1.2met、着衣量は例えば0.7clo)を加えて、快適性指標PMV(Predicted Mean Vote)の推定値を演算し、その結果を記憶メモリ12に追記する(図3を参照)。
以上のように記憶メモリ12には、図3に示すように、計測時刻、2次元位置情報、上側のセンシング部141からの温度、湿度、気流速度、輻射温度、PMV推定値以外に、下側のセンシング部142で取得された温度及び照度を含む室内環境の計測データが格納される。演算処理部13は、記憶メモリ12に格納された計測データを使用して、室内PMV分布、機器制御設定値、及びCO2排出削減量などの室内環境情報170を作成して、表示装置17に送信して表示させる。
図5は、当該室内PMV分布の2次元分布の表示例である。図5において、符号310はエアコン31の設置位置を示す。また、エリア310A〜310Dの順で、PMVが小さい値を示し、居住者にとって快適であることを意味する。即ち、エアコン31の近傍であるエリア310Aは、快適性が最も高いことを示している。
次に、図7及び図8のフローチャートを参照して、省エネルギー化支援に関するホームロボット10の処理手順を説明する。これらの処理は、演算処理部13が、記憶メモリ12に格納された室内環境情報を使用して行なう処理である。
図7は、冷房時のエアコン31を制御する際に、省エネルギー化設定を導出する処理の手順を示すフローチャートである。
まず、演算処理部13は、PMVの基準値PMVrefを例えば「+0.50」と設定し、かつPMVの判定値PMVdelの幅を例えば「0.30」と設定する(ステップS11)。さらに、演算処理部13は、後述するように、記憶メモリ12に確保したアドレスPMVmodを初期化する(ステップS12)。
次に、演算処理部13は、記憶メモリ12に格納された室内環境情報から室内PMV分布情報(PMVn)を求める(ステップS13)。演算処理部13は、当該室内PMV分布情報(PMVn)から最大値PMVmax(快適度が最も低い)を求める(ステップS14)。
演算処理部13は、最大値PMVmaxと基準値PMVrefとを比較し、PMVmaxがPMVref(+0.50)より小さければ、室内の快適性が十分に確保されていると判定する(ステップS15のYES)。即ち、演算処理部13は、省エネルギー化運用を行なう余裕があると判断し、例えばエアコン31の温度設定を1℃だけ上昇させて、その設定情報をアドレスPMVmodに格納する(ステップS16)。
一方、演算処理部13は、PMVmaxがPMVrefより大きくなれば、快適性を維持するために、例えばエアコン31の温度設定を1℃だけ減少させる、または戻す(ステップS15のNO,S18)。ここで、PMVdelは、温度設定が振動しながら頻繁に替わることがないように導入したPMVの判定値の幅である。演算処理部13は、PMVmaxがPMVrefより大きい場合に、当該判定値PMVdelの幅に基づいた判定を行う(ステップS17)。この場合、「PMVmod>0」の条件は、省エネルギー化支援処理により消費エネルギーを増加させる温度設定を制限するためのものである。
以上のような冷房時のエアコン31の制御に伴う省エネルギー化支援処理により、室内快適性の低い地点を管理しながら、過度のエアコン31の出力を抑制できる温度設定を求めることができる。なお、暖房時には、PMVが大きい方が暖かく快適となるため、演算処理部13は、ステップS15の処理において、室内PMV分布の最小値と基準値PMVrefとの比較による判定処理を実行することになる。
図8は、照明機器32を制御する際に、省エネルギー化設定を導出する処理の手順を示すフローチャートである。
演算処理部13は、照度の基準値Irefを例えば「700ルクス」と設定し、かつ照度の判定値Idelの幅を例えば「100ルクス」と設定する(ステップS21)。さらに、演算処理部13は、後述するように、記憶メモリ12に確保したアドレスImodを初期化する(ステップS22)。
次に、演算処理部13は、記憶メモリ12に格納された室内環境情報から室内照度分布情報(In)を求める(ステップS23)。演算処理部13は、当該室内照度分布情報(In)から最小値Imin(明るさが最も低い)を求める(ステップS24)。
演算処理部13は、最小値Iminと基準値Irefとを比較し、IminがImin(700ルクス)を超えていれば、室内の照度が十分に確保されていると判定する(ステップS26のYES)。即ち、演算処理部13は、省エネルギー化運用を行なう余裕があると判断し、例えば照明機器32の1蛍光灯を消灯する省エネルギー化モードを設定し、その設定情報をアドレスImod(フラグ1)に格納する(ステップS27)。
一方、演算処理部13は、IminがIrefより小さくなれば、快適性を維持するために、例えば照明機器32の2蛍光灯を点灯させて、省エネルギー化モードを解除する(ステップS26のNO,S29)。ここで、Idelは、省エネモード設定と解除が頻繁に切り替わることがないように導入した照度の判定値の幅である。演算処理部13は、IminがIrefより小さい場合に、当該判定値Idelの幅に基づいた判定を行う(ステップS28)。
以上のような照明機器32の制御に伴う省エネルギー化支援処理により、室内照度の低い地点を管理しながら、照明機器32の出力が過度である条件を求めることができる。なお、照明機器32の設定情報(照明制御情報)としては、前記照明機器の灯数だけでなく、インバータ設定周波数でもよい。
また、エアコン31の風向設定は、快適性の改善を図るため、PMVによる快適性の低いエリアに向けるように設定される。演算処理部13は、計測地点における上側のセンシング部141と下側のセンシング部142とで計測した温度の差異から、温度差を小さくするように風向の上下を調整するための演算処理を実行する。
エアコン31の換気設定については、外気温とエアコン設定温度との温度差が例えば8℃以上または外湿度が60%以上であるときは、換気量を減らす設定とする。これにより、エアコン31に掛かる熱負荷を減らして、省エネルギー化を図る。ここで、ホームロボット10は、インターネット接続装置16を介してインターネット160から気象情報を取得して、当該気象情報から外気温および外湿度に関する情報を取得する。
演算処理部13は、これらの省エネルギー化設定情報、その経過時間、及び家電機器の省エネルギー化データから省エネルギー化電力量の見積りを演算する。さらに、演算処理部13は、電力料金の削減分および二酸化炭素排出削減量に換算する。ここで用いる時刻、家電機器の省エネルギー化データ、及び省エネルギー化換算係数は、インターネット接続装置16を介して、インターネット160から定期的に取得して更新する。演算処理部13は、これらの省エネルギー化に関する情報を、例えば図4に示すように、記憶メモリ12に格納する。演算処理部13は、記憶メモリ12に格納された省エネルギー化設定情報及び二酸化炭素排出削減量の換算値を表示装置17に送信して表示させる。
なお、省エネルギー化に関する情報としては、電力料金、二酸化炭素排出量、原油量のいずれかに換算した情報でもよい。また、省エネルギー化に関する情報を換算するために、インターネット160からエネルギーの料金単価、二酸化炭素排出係数、原油換算係数のいずれかを入手してもよい。
また、ホームロボット10は、上記の一連の省エネルギー化支援処理を、10〜30分に1度の頻度で実行する。また、快適性指標PMVの代わりに、逆の意味を持つ不満足率PPD(Predicted Percentage of Dissatisfied)を用いても同様の機能を実現できる。
さらに、本実施形態のホームロボット10は、障害物を回避しながら室内を巡回する移動機能や、室内の家電機器を遠隔操作するリモコン機能を有する既存のロボット装置を適用し、これに本実施形態の省エネルギー化支援機能を実装することで実現することが可能である。
以上のように本実施形態によれば、室内200を巡回移動可能なホームロボット10を利用して、室内の快適性(PMV)情報や照度の室内分布情報を収集し、これらの情報に基づいてエアコン31などの空気調和機器や、照明機器32に過度なエネルギー消費を抑える設定を指示すると共に、室内200の快適性を維持および管理しながら、効果的な省エネルギー化支援機能を実現することができる。
ここで、快適性をはかる指標としてPMVの推定値を利用することにより、温度だけではなく、人が感じる快適性に影響を与える湿度、気流速度、輻射温度を反映した室内環境情報を取得することができる。この室内環境情報の分布を表示することにより、室内環境の状況を容易に認識することが可能となる。
また、インターネット160から気象情報を入手することにより、外気の気温や湿度に基づいたエアコン31などの空気調和機器の換気制御を行うことができる。省エネルギー化効果の見積りを、電力料金およびCO2排出削減量の換算値として表示することにより、家庭における温暖化対策の意識向上に役立てる効果もある。
[第2の実施形態]
次に、図9から図11を参照して、第2の実施形態に関するホームロボット10の構成及び動作を説明する。
本実施形態のホームロボット10の構成は、基本的には、前述の第1の実施形態に関する図1及び図2に示すものと同様である。従って、同一構成については説明を省略する。一方、本実施形態のホームロボット10は、図1及び図2には図示していない人体検出装置を構成要素として備えている。この人体検出装置は、画像認識により使用者の居場所を確認するためのCCDカメラなどを有する。さらに、上側のセンシング部141には、液晶テレビなどの映像機器33に対する垂直面照度を計測するセンサが追加されている。
本実施形態のホームロボット10は、人体検出装置により検出した室内200に存在する人体の周囲を、走行装置19により移動を行いながら、例えば3地点以上の計測点での計測処理を実行して環境情報を収集する。計測処理には、前述の第1の実施形態で説明したようなPMV及び照度の計測と共に、映像機器33に対する垂直面照度の計測処理が含まれる。ホームロボット10は、収集した環境情報を記憶メモリ12に格納する。
次に、図9及び図10のフローチャートを参照して、省エネルギー化支援に関するホームロボット10の処理手順を説明する。これらの処理は、演算処理部13が、記憶メモリ12に格納された室内環境情報を使用して行なう処理である。
図9は、冷房時のエアコン31を制御する際に、省エネルギー化設定を導出する処理の手順を示すフローチャートである。
まず、演算処理部13は、PMVの基準値PMVrefを例えば「+0.30」と設定し、かつPMVの判定値PMVdelの幅を例えば「0.30」と設定する(ステップS31)。さらに、演算処理部13は、後述するように、記憶メモリ12に確保したアドレスPMVmodを初期化する(ステップS32)。
次に、演算処理部13は、記憶メモリ12に格納された室内環境情報から、室内に存在する人体の周囲のPMV分布情報(PMVn)を求める(ステップS33)。演算処理部13は、当該PMV分布情報(PMVn)から人体周囲のPMVの平均値PMVavgを求める(ステップS34)。
演算処理部13は、平均値PMVavgと基準値PMVrefとを比較し、PMVavg がPMVref(+0.30)より小さければ、室内の快適性が十分に確保されていると判定する(ステップS35のYES)。即ち、演算処理部13は、省エネルギー化運用を行なう余裕があると判断し、例えばエアコン31の温度設定を1℃だけ上昇させて、その設定情報をアドレスPMVmodに格納する(ステップS36)。
一方、演算処理部13は、PMVavgがPMVrefより大きくなれば、快適性を維持するために、例えばエアコン31の温度設定を1℃だけ減少させる、または戻す(ステップS35のNO,S38)。ここで、PMVdelは、温度設定が振動しながら頻繁に替わることがないように導入したPMVの判定値の幅である。演算処理部13は、PMVavgがPMVrefより大きい場合に、当該判定値PMVdelの幅に基づいた判定を行う(ステップS37)。この場合、「PMVmod>0」の条件は、省エネルギー化支援処理により消費エネルギーを増加させる温度設定を制限するためのものである。
以上のような冷房時のエアコン31の制御に伴う省エネルギー化支援処理により、居住者周辺の快適性の平均値を管理しながら、過度のエアコン31の出力を抑制できる温度設定を求めることができる。なお、暖房時には、PMVが大きい方が暖かく快適となるため、演算処理部13は、ステップS35の処理において、PMVavgとPMVrefとの比較処理を反転した処理を実行することになる。
図10は、照明機器32及び液晶テレビなどの映像機器33を制御する際に、省エネルギー化設定を導出する処理の手順を示すフローチャートである。
演算処理部13は、居住者の周囲照度の基準値Irefを例えば「800ルクス」と設定し、かつ照度の判定値Idelの幅を例えば「100ルクス」と設定する(ステップS41)。また、演算処理部13は、映像機器3の映像表示における垂直面照度分布の基準値Lrefを例えば「600ルクス」と設定し、かつその判定値Ldelの幅を例えば「80ルクス」と設定する。
さらに、演算処理部13は、後述するように、記憶メモリ12に確保したアドレスImod及びアドレスLmodを初期化する(ステップS42)。
次に、演算処理部13は、記憶メモリ12に格納された室内環境情報から、居住者の周囲照度分布情報(In)を求める(ステップS43)。演算処理部13は、当該周囲照度分布情報(In)から周囲照度分布の中央値(メジアン)Imedを求める(ステップS44)。同様に、演算処理部13は、記憶メモリ12に格納された室内環境情報から、居住者の周囲の垂直面照度分布情報(Ln)を求める(ステップS45)。演算処理部13は、当該周囲垂直面照度分布情報(Ln)から周囲垂直面照度分布の中央値(メジアン)Lmedを求める(ステップS46)。
演算処理部13は、中央値Imedと基準値Irefとを比較し、ImedがIref(800ルクス)を超えていれば、居住者の周囲照度が十分に確保されていると判定する(ステップS48のYES)。即ち、演算処理部13は、省エネルギー化運用を行なう余裕があると判断し、例えば照明機器32の1蛍光灯を消灯する省エネルギー化モードを設定し、その設定情報をアドレスImod(フラグ1)に格納する(ステップS49)。即ち、照度のメジアンを比較対象とすることで、照度の計測時に、人体の陰になる異常データが万一含まれた場合の影響を低減する。
一方、演算処理部13は、ImedがIrefを下回れば、例えば照明機器32の2蛍光灯を点灯させて、省エネルギー化モードを解除する(ステップS48のNO,S54)。ここで、Idelは、省エネモード設定と解除が頻繁に切り替わることがないように導入した照度の判定値の幅である。演算処理部13は、ImedがIrefより小さい場合に、当該判定値Idelの幅に基づいた判定を行う(ステップS53)。
同様に、演算処理部13は、映像表示の垂直面照度分布の中央値Lmedと基準値Lrefとを比較し、LmedがLref(600ルクス)を超えていれば、居住者の周囲の垂直面照度が十分に確保されていると判定する(ステップS51のYES)。即ち、演算処理部13は、省エネルギー化運用を行なう余裕があると判断し、例えば映像機器における液晶画面の輝度を15%下げる省エネルギー化モードを設定し、その設定情報をアドレスLmod(フラグ1)に格納する(ステップS52)。
一方、演算処理部13は、LmedがLrefを下回れば、例えば液晶画面の輝度を元に戻して、省エネルギー化モードを解除する(ステップS51のNO,S56)。ここで、Ldelは、省エネモード設定と解除が頻繁に切り替わることがないように導入した照度の判定値の幅である。演算処理部13は、LmedがLrefより小さい場合に、当該判定値Idelの幅に基づいた判定を行う(ステップS55)。
なお、一般的に、図11に示すように、室内照度が高いと、映像機器33における適度な表示輝度も高くなることが確認されている。このため、ステップS55の処理において、照度の判定条件「Imed<Iref」は、映像機器33での液晶画面の輝度の省エネルギー化設定に制約を設けたものである。
以上のような照明機器32及び映像機器33の制御に伴う省エネルギー化支援処理により、平均的な室内照度や液晶テレビなどの映像機器33に対する垂直面照度を管理しながら、照明機器32の出力及び映像機器33の液晶画面輝度が過度である条件を求めることができる。
さらに、本実施形態のホームロボット10は、障害物を回避しながら室内を巡回する移動機能や、室内の家電機器を遠隔操作するリモコン機能、カメラによる視覚やマイクによる音声認識などの手法に基づいて特定の人を認識する機能を有する既存のロボット装置を適用し、これに本実施形態の省エネルギー化支援機能を実装することで実現することが可能である。
以上のように本実施形態によれば、室内200を巡回移動可能なホームロボット10を利用して、居住者の周囲の快適性(PMV)情報や照度分布情報を収集し、これらの情報に基づいてエアコン31などの空気調和機器や、照明機器32、映像機器33に過度なエネルギー消費を抑える設定を指示すると共に、居住者の快適性を維持および管理しながら、効果的な省エネルギー化支援機能を実現することができる。
[第3の実施形態]
次に、図12及び図13を参照して、第3の実施形態に関するホームロボット10の構成及び動作を説明する。なお、図1及び図2に示す第1の実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態のホームロボット10は、図13に示すように、機器制御設定送信部15の代わりに、各種の家電機器31〜33と通信を行なうための家電通信接続装置150を備えている。この家電通信接続装置150は、家電機器31〜33との相互通信を可能とするインターフェースを含み、例えば無線LAN方式の構成である。なお、家電通信接続装置150は、無線LAN機能を含むインターネット接続装置16と一体化された装置でもよい。
以下、本実施形態のホームロボット10と、空気調和機器であるエアコン31とからなる環境調整システムを想定し、当該システムの省エネルギー化支援処理を説明する。
まず、エアコン31は通信機能を使用して、ホームロボット10に対して室内環境情報(PMVなど)の提示を要求する。ホームロボット10は家電通信接続装置150を介してエアコン31からの要求を受け付けると、前述の第1の実施形態と同様の計測処理と推定演算処理を実行し、PMV分布情報を含む室内環境情報を求めて記憶メモリ12に格納する。ホームロボット10は家電通信接続装置150を介して、記憶メモリ12に格納された室内環境情報をエアコン31に送信する。
あるいは、ホームロボット10は家電通信接続装置150を介してエアコン31からの要求を受け付けると、前述の第2の実施形態と同様の計測処理と推定演算処理を実行し、居住者周囲のPMV情報を含む環境情報を求めて記憶メモリ12に格納する。ホームロボット10は家電通信接続装置150を介して、記憶メモリ12に格納された居住者周囲のPMV情報を含む環境情報をエアコン31に送信する。
エアコン31は、ホームロボット10から提供された環境情報に基づいて、温度、風向、換気量などの省エネルギー化設定を実行し、当該設定による駆動を行なう。
また、エアコン31だけでなく、照明機器32または液晶テレビなどの映像機器33は、通信機能を使用して、ホームロボット10に対して照度や垂直面照度の情報提示を要求する。ホームロボット10は家電通信接続装置150を介して照明機器32または映像機器33からの要求を受け付けると、前述の第2の実施形態と同様の計測処理と推定演算処理を実行し、照度分布情報を含む環境情報を求めて記憶メモリ12に格納する。
ホームロボット10は家電通信接続装置150を介して、記憶メモリ12に格納された環境情報を照明機器32または映像機器33に送信する。照明機器32は、提供された環境情報に基づいた照度による省エネルギー化制御を実行する。また、映像機器33は、提供された環境情報に基づいた垂直面照度による省エネルギー化制御を実行する。
なお、ホームロボット10と家電機器との間の通信機能の代わりに、ホームサーバなどを中継して、ホームロボット10と家電機器とが連携して、省エネルギー化支援機能を有する環境調整システムを実現してもよい。
以上のように本実施形態によれば、エアコン31などの空気調和機器、照明機器32、映像機器33は、ホームロボット10からの快適性や照度の室内分布情報などの環境情報の提示に基づいて、省エネルギー化制御を実行することができる。このため、室内の快適性を維持および管理しながら効果的な省エネ支援機能を提供することができる。
ここで、快適性をはかる指標としてPMVの推定値を利用することにより、温度だけではなく、人が感じる快適性に影響を与える湿度、気流速度、輻射温度を反映した室内環境情報を取得することができる。この室内環境情報の分布を表示することにより、室内環境の状況を容易に認識することが可能となる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の第1の実施形態に関するロボット装置の要部を示すブロック図。 本実施形態に関するロボット装置の動作を説明するための図。 本実施形態に関するロボット装置の記憶メモリの格納内容の一例を示す図。 本実施形態に関する同記憶メモリの格納内容の一例を示す図。 本実施形態に関する室内環境情報に含まれる室内PMV分布の表示例。 本実施形態に関するロボット装置の機能を説明するためのフローチャート。 本実施形態に関するエアコン制御に関する手順を示すフローチャート。 本実施形態に関する照明制御に関する手順を示すフローチャート。 第2の実施形態に関するエアコン制御に関する手順を示すフローチャート。 第2の実施形態に関する照明制御に関する手順を示すフローチャート。 第2の実施形態に関する室内照度と映像表示輝度との関係を示す図。 第3の実施形態に関するロボット装置の動作を説明するための図。 第3の実施形態に関するロボット装置の要部を示すブロック図。
符号の説明
10…ホームロボット、11…制御処理部、12…記憶メモリ、
13…演算処理部、14…センシング部、15…機器制御設定送信部、
16…インターネット接続装置、17…表示装置、18…位置検出装置、
19…走行装置、31…エアコン、32…照明機器、33…映像機器、
150…家電通信接続装置、180…超音波受信器。

Claims (15)

  1. 装置本体が建物内を移動するための移動手段と、
    前記建物内の環境状態を計測する計測手段を有し、当該計測手段から出力される計測結果に基づいた環境情報を収集する情報収集手段と、
    前記情報収集手段により収集した前記環境情報に基づいて、前記建物内の環境を適正にするために、前記建物内に設置された環境調整用機器に対して、当該環境調整用機器を制御するための制御情報を伝達する伝達手段と
    を具備したことを特徴とする環境制御用ロボット装置。
  2. 前記建物内に存在する人体を認識する認識手段を有し、
    前記情報収集手段は、前記認識手段により認識された人体の周囲における前記環境情報を収集することを特徴とする請求項1に記載の環境制御用ロボット装置。
  3. 前記環境調整用機器には空気調和機器が含まれて、
    前記伝達手段は、前記環境情報に基づいて前記空気調和機器を制御するための空調制御情報を伝達することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の環境制御用ロボット装置。
  4. 前記環境情報は、温度、湿度、気流速度、輻射温度、臭気強度、ほこり粒子の濃度、二酸化炭素濃度のうち1つ以上の計測結果を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の環境制御用ロボット装置。
  5. 前記環境情報は、温度、湿度、気流速度、輻射温度のうち2つ以上の計測結果から推定した快適性指標PMVであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の環境制御用ロボット装置。
  6. 前記計測手段は、前記建物内の床面からの高さが異なる2点以上の位置で計測する複数のセンサ手段を含み、
    前記情報収集手段は、前記複数のセンサ手段からの計測結果に基づいた前記環境情報を収集することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の環境制御用ロボット装置。
  7. 前記制御情報は、空気調和機器の温度、湿度、送風量、送風の向き、換気量、ヒータの発熱量、送風ファンの回転数のうち1つ以上の設定情報を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の環境制御用ロボット装置。
  8. 前記環境調整用機器には照明機器が含まれて、
    前記情報収集手段は、前記建物内の照度分布の計測結果に基づいた環境情報を収集し、
    前記伝達手段は、前記環境情報に基づいて前記照明機器を制御するための照明制御情報を伝達することを特徴とする請求項1に記載の環境制御用ロボット装置。
  9. 前記建物内に存在する人体を認識する認識手段を有し、
    前記情報収集手段は、前記認識手段により認識された人体の周囲における照度情報を前記環境情報として収集することを特徴とする請求項8に記載の環境制御用ロボット装置。
  10. 前記照明制御情報は、前記照明機器の灯数またはインバータ設定周波数のいずれかであることを特徴とする請求項8また請求項9のいずれか1項に記載の環境制御用ロボット装置。
  11. 前記情報収集手段は、前記建物内に設置された映像機器の垂直面照度を計測する計測手段を有し、当該計測手段から出力される計測結果に基づいた垂直面照度情報を前記環境情報として収集し、
    前記伝達手段は、前記環境情報に基づいて前記映像機器の表示輝度を制御するための輝度制御情報を伝達することを特徴とする請求項1に記載の環境制御用ロボット装置。
  12. 前記建物内に存在する人体を認識する認識手段を有し、
    前記情報収集手段は、前記認識手段により認識された人体の周囲における垂直面照度情報を前記環境情報として収集することを特徴とする請求項11に記載の環境制御用ロボット装置。
  13. 前記環境情報の分布を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の環境制御用ロボット装置。
  14. インターネットから気象情報を入手する手段を有し、
    前記情報収集手段は、前記気象情報から前記環境情報として利用可能な情報を取得す手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の環境制御用ロボット装置。
  15. 空気調和機器とホームロボットとが相互に通信して、省エネルギー化支援機能を有する環境調整システムにおいて、
    前記ホームロボットは、前記空気調和機器からの室内環境情報の提示要求に応じて、室内環境情報を収集して前記空気調和機器に送信する手段を有し、
    前記空気調和機器は、前記ホームロボットから送信された前記室内環境情報に基づいて省エネルギー化制御を実行する手段を含むことを特徴とする環境調整システム。
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