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JP2007172694A - 光ディスク装置の記録パワー制御方法及び光ディスク装置 - Google Patents

光ディスク装置の記録パワー制御方法及び光ディスク装置 Download PDF

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JP2007172694A
JP2007172694A JP2005366075A JP2005366075A JP2007172694A JP 2007172694 A JP2007172694 A JP 2007172694A JP 2005366075 A JP2005366075 A JP 2005366075A JP 2005366075 A JP2005366075 A JP 2005366075A JP 2007172694 A JP2007172694 A JP 2007172694A
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Hidenori Ishibashi
英典 石橋
Yasuhiro Wada
康弘 和田
Toshiya Akagi
俊哉 赤木
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】レーザ光源のボトムレベルを正確に設定して、レーザの熱による発光パワー変動を抑制し、情報記録を正確に行うことが可能な光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光ディスクに記録を行う、発光強度が高いピークレベルと発光強度レベルの低いボトムレベルで構成されるマルチパルス部と、ピークレベルとボトムレベルの中間であって記録された情報を消去するためのイレース部とからなる発光強度パターンでレーザ光を光ディスクに照射して情報の記録再生を行う光ディスク装置において、記録中におけるマルチパルス部の平均電流iAVEとイレース部の電流iBSをiAVE=iBSとして制御することによりマルチパルス部とイレース部のLD(レーザダイオード)の温度変化を低減させる。ボトムパワーを0mW以下にすることにより、ボトム電流iBTを閾値電流iTH以下に定めることにより記録中のLDの温度によるパワー変動を抑制する。
【選択図】図4

Description

本発明は、光ピックアップにより光ディスクの情報を記録再生する光ディスク装置の記録パワー制御方法及び光ディスク装置に関する。
光ディスク装置は、CD(Compact Disc)−ROM(Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)、DVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクに情報を記録再生する装置であり、すでに広く実用化されており、各方面への応用と高性能化、高倍速化への開発が活発に行われている。特に最近では、パーソナルコンピュータの急速な市場拡大に伴い、光ディスク装置のパーソナルコンピュータへの内蔵普及率も高くなっている。
ここで、光ディスク装置の構成を、図6を用いて説明する。図6は光ディスク装置のピックアップ制御部のブロック図である。
図6において、ピックアップモジュール2は、光ディスク1を回転させるスピンドルモータ3と、光ディスク1の情報信号を読み取るための光ピックアップ4と、光ピックアップ4が搭載されたキャリッジ5を光ディスク1の半径方向に移動させるためのフィード部6とによって構成されている。フィード部6はフィードモータ7,ギヤ(図示せず),スクリューシャフト(図示せず)等から構成され、フィードモータ7を回転させることによってキャリッジ5が光ディスク1の内周−外周間を移動するように構成されている。
アナログ信号処理部8はピックアップモジュール2の内部に設けられたキャリッジ5中の光ピックアップ4内部の光センサ(図示せず)からの信号出力を基に、フォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とを生成し、サーボ処理部9に出力する。
フォーカスエラー信号とは、光ピックアップ4に備えられた対物レンズ(図示せず)より出射される光ビームスポットと光ディスク1の記録面との焦点方向のずれを示す信号である。トラッキングエラー信号とは、光スポットと光ディスク1の情報トラックの光ディスク半径方向のずれを示す信号である。
また、アナログ信号処理部8はトラッキングエラー信号の低域成分を取り出すことにより、対物レンズとキャリッジ5との相対的な位置関係を示すレンズ位置信号を生成し、サーボ処理部9を介してモータ駆動部10に出力する。
サーボ処理部9はON/OFF回路、演算回路、フィルタ回路、増幅回路等によって構成され、光ビームスポットが光ディスク1の情報トラックに追従するように対物レンズをフォーカス/トラッキング制御し、さらにトラッキングエラー信号の低域成分を用いて対物レンズが概略中立位置を保持するようにフィード制御を行う。
ディジタル信号処理部11はデータスライサ、データPLL回路、ジッタ測定回路、エラー訂正部、変/復調部、バッファメモリ、レーザ制御部等から構成されており、ホスト(図中のHOST)側へ有効なデータとして転送される。
記録動作時は、ディジタル信号処理部11によってホストから送られてきたデータを変調し、レーザ制御部によってレーザ駆動部12を介して光ピックアップ4内のレーザダイオード(図示せず)等の光源に所定の電流を供給し、光源を例えばパルス状に発光させ、光ディスク1の情報トラックに記録を行う。コントローラ13はこのように構成されたサーボ部の全体のコントロールを行うものである。
光ディスク装置において記録パワーを制御する方法の一例が特許文献1に記載されている。
光ディスク装置におけるレーザ発光記録において、所望のパワーで発光できない場合、記録再生性能の低下が懸念される。また、レーザダイオードの温度変動によってパワー変動する場合があり、記録再生性能を低下させる要因となり問題となっている。
CD−RWやDVD−RW、+RWのように情報の記録と再生の両方を行うメディアの場合のピットを形成する記録発光波形を説明する。図7はこの記録発光波形を示すための説明図である。ピットを形成する記録発光波形は図7に示すように発光強度が最大であるピークパワーレベルと発光強度が最小であるボトムパワーレベルと、これらの中間値であるイレースパワーレベルをもつ。この図7に示す発光波形によりイレース部とマルチパルス部が形成される。この記録発光波形は、光ビームを高いパワーと低いパワーとを繰り返すことによりメディア上で急加熱急冷却を繰り返し、ピットを形成する波形である。すなわち、記録された情報を消去するためのイレース部と、これより発光強度レベルの高いピークレベルと発光強度レベルの低いボトムレベルで構成されるマルチパルス部で形成される。
この記録発光波形を実現するためにレーザ光源に流される電流のパターンを図8に示す。ボトムパワーレベルの発光強度を得るために流される電流がボトム電流(iBT)であり、イレースパワーレベルの発光強度を得るためには、ボトム電流(iBT)にイレース電流(iER)が加算されたものが流される。また、ピークパワーレベルの発光強度を得るためには、さらにピーク電流(iPK)が加算されたものが流される。
これらの電流を生成するために用いられるD/Aコンバータの構成を図9に示す。ボトム電流(iBT)を生成するためのD/Aコンバータが再生DAC26および閾値DAC27であり、イレース電流(iER)を生成するためのD/AコンバータがイレースDAC25であり、ピーク電流(iPK)を生成するためのD/AコンバータがピークDAC24である。これらのD/Aコンバータによって生成された電流によって、ボトムレベルの発光強度とするときには、ボトム電流(iBT)のみがレーザ光源に流され、イレースレベルの発光強度とするときには、ボトム電流(iBT)とイレース電流(iER)とをあわせた電流がレーザ光源に流され、ピークレベルの発光強度とするときには、ボトム電流(iBT)とイレース電流(iER)とピーク電流(iPK)とをあわせた電流がレーザ光源に流される。
特開2000−30276号公報
このような記録発光波形を用いて記録を行うRW系の光ディスクドライブにおいて、特にマルチパルス部の平均電流がイレース部の電流より大きい場合(例えば、高倍速記録対応メディア等)において、レーザダイオード(LD)の温度がマルチパルス部とイレース部で変化してしまい、発光パワーと電流の関係(I−L特性)が変動し、この影響により所望する記録発光パワーが得られず発光波形に歪みが生じることがある。
マルチパルス部の平均電流はピーク電流(iPK)、マルチパルスのデューティー比及びボトム電流(iBT)のレベルにより決定される。低倍速時においてピークパワーレベルはイレースパワーレベルの2倍程度であり、マルチパルス部の平均電流はイレース部と同等レベルであるが、高倍速対応メディアなどにおいて、ピークパワーレベルはイレースパワーレベルの2倍以上の高いパワーが必要とされる場合がある。
図10はピークパワーレベルとイレースパワーレベルに起因した発光波形の変動を示した図である。図10のようにマルチパルス部の平均電流がイレースパワーレベルの電流より大きくなるとマルチパルス部においてLDの温度がイレース部におけるLDの温度より高くなってしまう。また、マルチパルス部において平均電流が高くなるとLDのI−L特性が温度変化により変動してしまう。ピークパワーレベル及びイレースパワーレベルは予め測定された値を元に決定されるため、LD発光中の温度変動には追従できない。このためマーク形成時にはピークパワーレベルに歪みが生じ、スペース形成時にはイレースパワーレベルが変動してしまう。この変動が記録特性に悪影響を与え、情報記録が正確に行われないこととなる。このLDの温度変化の影響により、マルチパルス部とイレース部で発光強度レベルを適正に維持することが困難となっている。
本発明は、レーザ光源の発光強度レベルを適正に設定して、情報記録を正確に行うことが可能な光ディスク装置の記録パワー制御方法および光ディスク装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、発光強度が最大であるピークパワーレベルと、発光強度が最小であるボトムパワーレベルと、これらの中間値であるイレースパワーレベルとからなる発光強度パターンでレーザ光を光ディスクに照射して情報の記録再生を行う光ディスクの記録パワー制御方法および光ディスク装置において、マルチパルス部の平均電流をイレース部の電流と等しくすることを主要な特徴とする。
本発明の光ディスクの記録パワー制御方法および光ディスク装置は、マルチパルス部の平均電流をイレース部の電流と等しくすることにより、LDの温度変化による記録発光パワーの変動を抑制することが可能となり、イレース部とマルチパルス部の温度変化を抑えることができ、これにより、所望の記録発光パルスを生成でき、記録特性を良好な状態で維持することができる。
本発明は、レーザ光源の発光強度レベルを適正に設定して、情報記録を正確に行うことが可能な光ディスク装置を提供するという目的を、発光強度が最大であるピークパワーレベルと、発光強度が最小であるボトムパワーレベルと、これらの中間値であるイレースパワーレベルとからなる発光強度パターンでレーザ光を光ディスクに照射して情報の記録再生を行う光ディスク装置において、マルチパルス部の平均電流をイレース部の電流と等しくすることにより実現した。
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、光ディスクに記録を行うための、発光強度が最大であるピークパワーレベルと発光強度が最小であるボトムパワーレベルで構成されるマルチパルス部と、ピークパワーレベルとボトムパワーレベルの中間であって記録された情報を消去するためのイレースパワーレベルで構成されるイレース部とからなる発光強度パターンでレーザ光を光ディスクに照射して情報の記録再生を行う光ディスク装置の記録パワー制御方法において、マルチパルス部の平均電流をイレース部の電流と等しくなるように電流を制御することとしたものであり、マルチパルス部の平均電流をイレース部の電流と等しくなるように電流を制御することにより、LDの温度変動によるマルチパルス部とイレース部の発光パワーの変動や記録発光波形の歪みを抑制することができ、安定した記録パワー発光により、記録特性を良好な状態で維持することができる。
上記課題を解決するためになされた第2の発明は、第1の発明の光ディスク装置の記録パワー制御方法において、光ディスクに記録中のボトム電流を、閾値電流以下の0mWレベルとする発光パターンとしたものであり、これにより、LDの温度上昇を抑制することができ、さらにドライブの消費電流も低減することができる。
上記課題を解決するためになされた第3の発明は、第2の発明の、ボトム電流を閾値以下の0mWレベルに低減する制御において、電流を0mWレベルからピークパワーレベルまで駆動する際、閾値電流以下における電流の立ち上がり、立下り時間の遅延に起因するピークパワーレベルの変動を考慮して補正することとしたものであり、マルチパルス部の平均パワーの変動が抑制され、発光パワーが最大のピークパワーレベルを所望のパワーで発光することができる。
上記課題を解決するためになされた第4の発明は、第2の発明の光ディスク装置の記録パワー制御方法において、温度による発光パワーの歪みの影響がないLDにおいては、ボトム電流を最大限小さくすることとしたものであり、これによりLDの発熱を抑えることが可能となる。
上記課題を解決するためになされた第5の発明は、光ディスクに記録を行うための、発光強度が最大であるピークパワーレベルと発光強度が最小であるボトムパワーレベルで構成されるマルチパルス部と、ピークパワーレベルとボトムパワーレベルの中間のイレースパワーレベルで構成されるイレース部とからなる発光強度パターンでレーザ光を光ディスクに照射して情報の記録再生を行う光ディスク装置において、マルチパルス部の平均電流をイレース部の電流と等しくなるように電流を制御する手段を備えたものであり、マルチパルス部の平均電流をイレース部の電流と等しくなるように電流を制御することにより、LDの温度変動によるマルチパルス部とイレース部の発光パワーの変動や記録発光波形の歪みを抑制することができ、安定した記録パワー発光により、記録特性を良好な状態で維持することができる。
上記課題を解決するためになされた第6の発明は、第5の発明において、光ディスクに記録中のボトム電流を、閾値電流以下の0mWレベルとする発光強度パターンとしたものであり、これによりLDの発熱を抑えることが可能となる。
上記課題を解決するためになされた第7の発明は、第6の発明の、ボトム電流を閾値電流以下の0mWレベルに低減する制御において、電流を0mWレベルからピークパワーレベルまで駆動する際、前記閾値電流以下における電流の立ち上がり、立下り時間に起因するピークパワーレベルの変動を考慮してマルチパルス部のパルス幅を補正する手段を備えたものであり、マルチパルス部の平均パワーの変動が抑制され、発光パワーが最大のピークパワーレベルを所望のパワーで発光することができる。
以下に、本発明の実施の形態に係る光ディスク装置の発光強度レベル調整方法及び光ディスク装置について詳細に説明する。
本発明が適用される光ディスク装置のピックアップ制御部は、背景技術の項で説明した図6に示すブロック図で表されるものと同様である。
図6において、ピックアップモジュール2は、光ディスク1を回転させるスピンドルモータ3と、光ディスク1の情報信号を読み取るための光ピックアップ4と、光ピックアップ4が搭載されたキャリッジ5を光ディスク1の半径方向に移動させるためのフィード部6とによって構成されたものである。フィード部6はフィードモータ7,ギヤ(図示せず),スクリューシャフト(図示せず)等から構成され、フィードモータ7を回転させることによってキャリッジ5が光ディスク1の内周−外周間を移動するように構成されている。
アナログ信号処理部8はピックアップモジュール2の内部に設けられたキャリッジ5中の光ピックアップ4内部の光センサ(図示せず)からの信号出力を基に、フォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とを生成し、サーボ処理部9に出力する。また、アナログ信号処理部8はトラッキングエラー信号の低域成分を取り出すことにより、対物レンズとキャリッジ5との相対的な位置関係を示すレンズ位置信号を生成し、モータ駆動部10に出力する。アナログ信号処理部8は、図1に示すサンプルホールド回路21を含む。
サーボ処理部9はON/OFF回路、演算回路、フィルタ回路、増幅回路等によって構成され、光ビームスポットが光ディスク1の情報トラックに追従するように対物レンズをフォーカス/トラッキング制御し、さらにトラッキングエラー信号の低域成分を用いて対物レンズが概略中立位置を保持するようにフィード制御を行う。
ディジタル信号処理部11はデータスライサ、データPLL回路、ジッタ測定回路、エラー訂正部、変/復調部、バッファメモリ、レーザ制御部等から構成されており、ホスト(図中のHOST)側へ有効なデータが転送される。ディジタル信号処理部11は図9に示すパワー制御部22を含む。
図1は本発明の実施の形態に係る発光電流の調整方法を実現するためのブロック図を示す。図1において、レーザユニット20は、光ディスク1にレーザ光を出射するものであり、レーザユニット20の発光強度パターンの波形情報である前光信号は、サンプルホールド回路(S/H回路)21に送られる。サンプルホールド回路(S/H回路)21によって、イレースパワーと平均パワーとが検出されてパワー制御部22に入力される。また、パワー制御部22は、サンプルホールド(S/H)タイミング信号をサンプルホールド回路(S/H回路)21へ送出して、サンプルホールド回路(S/H回路)21のサンプルタイミングを設定する。
パワー制御部22は入力されたイレースパワーと平均パワーに基づいて、記録による温度上昇に伴って変動するピーク電流、イレース電流、ボトム電流の設定値を定め、レーザドライバ23にそれぞれ設定値が送出される。
レーザドライバ23の構成は、前述の図9に示す従来の技術と同様である。
図9において、レーザドライバ23は、ピーク電流を生成するピークDAC24と、イレース電流を生成するイレースDAC25と、再生電流を生成する再生DAC26と、閾値電流を生成する閾値DAC27を備えている。再生電流と閾値電流を加えた電流がボトム電流となる。
記録動作時は、図6に示すように、ディジタル信号処理部11によってホストから送られてきたデータを変調し、レーザ制御部によってレーザ駆動部12を介して光ピックアップ4内のLD(図示せず)等の光源に所定の電流を供給し、光源を例えばパルス状に発光させ、光ディスク1の情報トラックに記録を行う。このレーザ駆動部12は図1に示すレーザドライバ23を含む。
図2は本発明の実施の形態に係るボトム電流を制御するためのフローチャート、図3は本発明の実施の形態に係る発光強度レベルと発光電流の関係(I−L特性)を示す波形図、図4は本発明の実施の形態に係るマルチパルス部の平均電流とイレース部の電流の設定を示す図である。
図2,図3,図4を用いて、記録パワー制御方法について説明する。
図3において、横軸はレーザ光源に流される電流であり、縦軸はレーザ光源の発光強度である。ここでLDの駆動電流に対する発光強度の関係をI−L特性と呼ぶ。記録発光波形において、発光強度が最小であるボトムパワーレベルPbtを得るためにはボトム電流iBTが必要となる。また、発光強度が中間レベルであるイレースパワーレベルPerを得るには、ボトム電流iBTにイレース電流iERを加算した電流が必要となる。さらに、発光強度が最大であるピークパワーレベルPpkを得るためには、ボトム電流iBTとイレース電流iERにピーク電流iPKを加えたものが必要となる。ここで、発光強度が最小であるボトムパワーレベルPbtにおいて必要となるボトム電流iBTは、I−L特性において発光強度が0mWである部分の電流である閾値電流iTHと、LDが発光開始してボトムパワーレベルPbtの発光強度を得るまでの電流である再生電流iRDとで構成されている。
高倍速記録においては、ピークパワーレベルの発光強度がイレースパワーレベルの発光強度に比べ大きくなる場合があり、マルチパルス部における平均電流がイレース部の平均電流を上回り、マルチパルス部とイレース部の温度差が大きくなってしまう。この場合、前述の図10に示す通り、LDの温度がマルチパルス部の発光中に上昇してLDのI−L特性が変動してパワーが低下してしまう。また、イレース部においてはマルチパルス部で上昇したLDの温度が元に戻るためI−L特性も初期の値に戻り所望の発光パワーへ変動する。また、ピークパワーレベルの発光強度がイレース部に比べて大きいため、マルチパルス部における平均電流がイレース部の平均電流との差が大きくなる。このことによりイレースパワー発光区間からマルチパルス発光する区間へ移行する際、一定であるイレース発光区間のI−L特性が、マルチパルス発光区間内においてLDのI−L特性が変動することにより、マルチパルスの終端部に向かうにつれて発光レベルが低下して波形が歪むこととなる。従って、マルチパルス部とイレース部の平均電流の差を小さくすることが必要となる。この平均電流を等しくするために、マルチパルス部のボトム電流を変化させて平均電流を適切に制御することで、ピークパワーレベルを適正に保つことが可能となる。
図4において、(i)に示す先頭のパルスをトップパルスと呼び、(ii)に示す2列目以降のパルスをマルチパルスと呼び、(iii)で示す最終のボトムパワーレベルを出力するパルスをクーリングパルスと呼ぶ。これらのパルスのパルス幅は本実施の形態において、図1のパワー制御部22によりそれぞれ任意の幅で設定可能となっている。
ここで、一例として記録マーク長が6[T]である発光強度パターンで、トップパルス幅をTtop[T]、マルチパルス幅をTmp[T]、クーリングパルス幅をTcl[T]として説明する。さらにこの図4においてiPKはピーク電流、iERはイレース電流、iBTはボトム電流である。図4の破線で示したiAVEはマルチパルス部の平均電流を示す。マルチパルス部における平均電流iAVEは(数1)により求められる。
iAVE=[(Ttop+3×Tmp)×(iPK+iER+iBT)+{3×(1−Tmp)+Tcl}×iBT]/(Ttop+Tcl+3)・・・(数1)
イレース部の電流iBSはイレース電流iERとボトム電流iBTを加算したものとして求められる。従って、マルチパルス部平均電流iAVEとイレース部の電流iBSを等しくすることにより、温度による記録発光波形の歪みを抑えることが可能となる。
ピークパワーレベルを変更することなくマルチパルス部の平均電流iAVEを調整するための方法として、本実施の形態ではマルチパルス部のボトムパワーレベルをさらに低く設定し、iBT11としてボトム電流を再設定することによりマルチパルス部の平均電流iAVEを制御する。
ボトム電流iBT11の設定方法に関して図2を用いて説明する。
図2はボトム電流を制御するためのフローチャートである。ステップ101でマルチパルス部の平均電流iAVEとイレース部の電流iBSを算出する。次に、ステップ102において算出したマルチパルス部の平均電流iAVEとイレース部の電流iBSの大小比較を行う。ステップ103及び104で、マルチパルス部の平均電流iAVEとイレース部の電流iBSの大小関係に応じて条件分岐を行う。iAVEがイレース部の電流iBSより大きい場合、ステップ105に示すとおりiAVE−iBSを計算し、平均電流の差分ΔiBTを算出する。また、iAVEがイレース部の電流iBSより小さい場合、ステップ106で示すとおりiBS−iAVEを計算し、平均電流の差分ΔiBTを算出する。このように算出した平均電流の差分ΔiBTを元に、iAVEがイレース部の電流iBSより大きい場合、ステップ107に示すiBT+ΔiBTを計算し、求めるボトム電流iBT11を算出する。iAVEがイレース部の電流iBSより小さい場合においては、ステップ108に示すiBT−ΔiBTを計算し、求めるボトム電流iBT11を算出する。
このようにして求められたボトム電流iBT11は、ボトム電流生成用のD/AコンバータであるボトムDACへ設定し、ΔiBTがイレース部の電流iERより小さい場合、現在のボトム電流iBTより変動したボトム電流ΔiBTを減算したiBT11を、ボトム電流生成用のD/Aコンバータである再生DAC26及び閾値DAC27へ設定する。このようにして、マルチパルス部の平均電流iAVEをイレース部の電流iBSと等しくなるように制御する。上記制御を実施することにより、マルチパルス部とイレース部のLDの平均電流を一定とし、温度変動抑制し安定した記録発光パルスを維持することが可能となる。
上記制御において、マルチパルス部のボトムパワーを0mWレベルとする記録パワー制御方法を、図4を用いて説明する。図4はRW系メディアの記録の発光パルス及び駆動電流構成を示したものである。ボトム電流iBTは、図3に示すように、LDが発光を開始する閾値までを駆動する閾値電流iTHと、閾値電流レベルから発光強度の低いボトムレベルまでを駆動する再生電流iRDを加算した構成である。すなわち、ボトム電流の構成はiBT=iTH+iRDとなる。このボトム電流の再生電流分iRDをイレース電流iERへ加算することによりイレース部の電流iBSが求められる。この電流値をイレース電流生成用のD/AコンバータであるイレースDAC25へ設定する。ボトム電流iBTは、閾値電流iTH分のみとし、iBT=iTHとして求められ、ボトム電流生成用のD/AコンバータであるボトムDACへ設定する。これにより発光強度が最大のピークパワーレベルを変化させること無く、発光強度が最小のボトムパワーを0mWとすることが可能となりマルチパルス部のボトムレベルにおける電流の削減が可能となる。
ここで、ボトムパワーは0mW以下であるため、閾値電流iTHをさらに低減させて(本実施の形態ではボトム引き抜きと呼ぶ)もボトムパワーレベルの変動は無い。ボトム電流iBTをさらに低減させて、駆動電流をさらに低減することによりボトムパワーを変化させること無くボトム電流を削減することが可能となる。このため、高倍速記録などで高パワー時によるLDの発熱を抑えることが可能となり、温度変動するLDのI−L特性の変動による発光パワーの変動を抑えることができ、記録特性を良好な状態で維持することができる。さらに、温度によるI−L特性の変動が小さいLDにおいては、ボトム電流を可能な限り低くすることによりドライブの消費電力を低減することが可能となる。
図5はボトムパワーレベルを変えたときの発光波形の変化を示す図である。上記ボトムパワーを0mW以下とする制御において、ボトム電流を閾値電流以下に低減させる場合、閾値電流以下の電流レベルからピークパワーレベルまでの電流を駆動することが必要となり、電流の立ち上がり、立ち下がり時間に起因した発光パワーが変動する場合がある。閾値電流以下へ電流を低減させた場合、発光パルスの立ち上がり、立ち下がり特性が悪化し、マルチパルス部の発光波形がボトム電流を引き抜いた場合に比べ、パルスが短く発光することとなる。これにより所望のパワーを発光することができなくなる。
この発光パルスの変動を補正するための記録パワー制御方法を、図5を用いて説明する。図5において図中(A)で示す実線の波形はボトムパワーレベルを低減しない場合のRWメディアの記録発光波形である。実線の、ボトムパワーレベルを低減しない場合のRWメディアの記録発光波形において、ボトムパワーレベルをPbtとし、ピークパワーレベルをPpkとする。図5において(B)で示す破線の波形は、上記のボトムパワーレベルを0mW以下とした制御を行った時の記録発光波形である。ボトムパワーレベルを0mW以下とする、破線で示した発光波形において、ボトムパワーレベルはPbt’となり、ボトムパワーレベルPbt’よりピークパワーレベルPpkまで電流を駆動することになる。ボトムパワーレベルPbt’は通常のボトム引き抜きを行わない状態のボトムパワーレベルPbtより低いため、ピークパワーレベルPpkへ駆動するまでに立ち上がり時間が長くなり結果的に発光パルスの幅が短くなることとなる。このことにより、設定したマルチパルス幅Tmpは、立ち上がり時間の増加に伴い、実際に発光するマルチパルス幅Tmp’が短くなることとなる。従って所望のマルチパルス幅のパルスで発光することができなくなり、マルチパルス部の平均パワーも変動し、発光パワーが最大のピークパワーレベルPpkを所望のパワーで発光できないこととなる。
この現象を解消する記録発光制御方法を以下に示す。
ボトムパワーレベルが通常の、ボトム引き抜きを行わない状態におけるRW記録発光波形のマルチパルス幅をTmpとし、図5において破線で示すとおりボトム引き抜きを行った状態でのRW系メディアの記録の発光波形のマルチパルス幅をTmp’とする。ボトム引き抜きにより減少したマルチパルス幅分をΔTmpとすると、マルチパルス幅分ΔTmpは次の(数2)で算出できる。
ΔTmp=Tmp−Tmp’ ・・・(数2)
ボトム引き抜きを行った状態でのRW系メディアの記録の発光波形のマルチパルス幅を長く設定することにより、この発光パルスの変動を補正する。すなわち、予めボトム電流低減によるマルチパルス部の変動ΔTmpを測定し、その変動分に応じてTmp=Tmp’+ΔTmpとなるように設定し補正することで所望の発光パワーで発光できることとなる。
上記ボトムパワーを0mW以下とする制御において、温度による発光パワーの歪みの影響が少ないLDにおいては、ボトム電流を最大限小さくすることによりLDの発熱を抑えることが可能となる。
本発明は、記録中のボトムパワーのバラつきを抑えることができ、かつLDの熱によるパワー変動を低減すると共にLDの発熱も抑え、記録特性を良好な状態で維持することが可能な光ディスク装置として利用できる。また、光ディスクドライブの低消費電力化にも貢献できる。
本発明の実施の形態に係る発光電流の調整方法を実現するためのブロック図 本発明の実施の形態に係るボトム電流を制御するためのフローチャート 本発明の実施の形態に係る発光強度レベルと発光電流の関係(I−L特性)を示す図 本発明の実施の形態に係るマルチパルス部の平均電流とイレース部の電流の設定を示す図 本発明の実施の形態に係るボトムパワーレベルを変えたときの発光波形の変化を示す図 光ディスク装置のピックアップ制御部のブロック図 従来における記録発光強度の波形を示す図 従来におけるレーザ光源に流される電流のパターンを示す図 従来における発光電流を生成するために用いられるD/Aコンバータの構成を示す図 従来における温度変動による発光波形の変化を示す図
符号の説明
1 光ディスク
2 ピックアップモジュール
3 スピンドルモータ
4 光ピックアップ
5 キャリッジ
6 フィード部
7 フィードモータ
8 アナログ信号処理部
9 サーボ処理部
10 モータ駆動部
11 ディジタル信号処理部
12 レーザ駆動部
13 コントローラ
20 レーザユニット
21 サンプルホールド回路(S/H回路)
22 パワー制御部
23 レーザドライバ(LDD)
24 ピークD/Aコンバータ(ピークDAC)
25 イレースD/Aコンバータ(イレースDAC)
26 再生D/Aコンバータ(再生DAC)
27 閾値D/Aコンバータ(閾値DAC)

Claims (7)

  1. 光ディスクに記録を行うための、発光強度が最大であるピークパワーレベルと発光強度が最小であるボトムパワーレベルで構成されるマルチパルス部と、前記ピークパワーレベルとボトムパワーレベルの中間であって記録された情報を消去するためのイレースパワーレベルで構成されるイレース部とからなる発光強度パターンでレーザ光を光ディスクに照射して情報の記録再生を行う光ディスク装置の記録パワー制御方法において、前記マルチパルス部の平均電流を前記イレース部の電流と等しくなるように電流を制御することを特徴とする光ディスク装置の記録パワー制御方法。
  2. 光ディスクに記録中のボトム電流を、閾値電流以下の0mWレベルに低減する発光強度パターンとすることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置の記録パワー制御方法。
  3. ボトム電流を閾値電流以下の0mWレベルに低減する制御において、電流を0mWレベルからピークパワーレベルまで駆動する際、前記閾値電流以下における電流の立ち上がり、立下り時間の遅延に起因するピークパワーレベルの変動を考慮してマルチパルス部のパルス幅を補正することを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置の記録パワー制御方法。
  4. 温度による発光パワーの歪みの影響がないレーザダイオードにおいては、ボトム電流を最大限小さくすることを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置の記録パワー制御方法。
  5. 光ディスクに記録を行うための、発光強度が最大であるピークパワーレベルと発光強度が最小であるボトムパワーレベルで構成されるマルチパルス部と、前記ピークパワーレベルとボトムパワーレベルの中間であって記録された情報を消去するためのイレースパワーレベルで構成されるイレース部とからなる発光強度パターンでレーザ光を光ディスクに照射して情報の記録再生を行う光ディスク装置において、前記マルチパルス部の平均電流を前記イレース部の電流と等しくなるように電流を制御する手段を備えたことを特徴とする光ディスク装置。
  6. 光ディスクに記録中のボトム電流を、閾値電流以下の0mWレベルとする発光強度パターンとしたことを特徴とする請求項5記載の光ディスク装置。
  7. ボトム電流を閾値電流以下の0mWレベルに低減する制御において、電流を0mWレベルからピークパワーレベルまで駆動する際、前記閾値電流以下における電流の立ち上がり、立下り時間に起因するピークパワーレベルの変動を考慮してマルチパルス部のパルス幅を補正する手段を備えたことを特徴とする請求項6記載の光ディスク装置。
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