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JP2007140684A - 画像処理装置、方法、プログラム - Google Patents

画像処理装置、方法、プログラム Download PDF

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JP2007140684A JP2005330605A JP2005330605A JP2007140684A JP 2007140684 A JP2007140684 A JP 2007140684A JP 2005330605 A JP2005330605 A JP 2005330605A JP 2005330605 A JP2005330605 A JP 2005330605A JP 2007140684 A JP2007140684 A JP 2007140684A
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宏章 中井
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Abstract

【課題】 画像からのエッジ検出においてノイズの影響を抑制する
【解決手段】 各画素に関して、複数方向の各々について輝度勾配値を求める。輝度勾配値に基づいてノイズ量を推定してエッジ強度を正規化することにより、ノイズ量の影響を抑制する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、画像中のエッジを検出する画像処理方法に関する。
一般に、画像には物体や物体の一部分に関する複数の画像領域が含まれている。異なる画像領域の境界はエッジと呼ばれる。
エッジはしばしば2つの異なる画像領域を分け、前記2つの画像領域は各々異なる画像特徴を持つ。画像が白黒濃淡画像の場合には、2つの画像領域で明るさつまり輝度値が異なる。白黒濃淡画像中のエッジ部分では、空間的に輝度値が急激に変化する。
したがって、画像中のエッジを検出するためには、輝度値が急激に変化する画素およびそれらのつながりを求めればよいことになる。ここで、輝度値の空間的変化を輝度勾配と呼ぶ。
画像中のエッジを求める従来の画像処理方法としては、例えばSobel、Cannyと呼ばれる手法がある。より具体的には、1次微分や2次微分の空間微分フィルタを画像に重畳する手法である。また、これら空間微分フィルタの組み合わせを用いる方法もある。例えば非特許文献1には様々な方法が記載されている。これらの画像処理方法では、求められた微分値の極大点をエッジ点、つまり輝度変化の最も大きい点として検出する。
高木,下田「画像解析ハンドブック」東京大学出版会 ISBN 4-13-061107-0
エッジを検出する処理は画像の領域分割を行う処理ということができる。言い換えれば、画像中で検出したい対象だけを見つけるという基本的な処理に関係する。エッジ検出処理は、物体検出、画像パターン認識および医用画像処理を含む、画像処理を用いる産業分野において共通に用いられる基本的画像処理方法である。したがって、様々な条件下で正確かつ安定にエッジを検出することは大変重要である。
ところが、従来の画像処理方法によるエッジ検出結果は、画像中のノイズ量の影響を受けやすい。言い換えるとコントラストやSN比によってエッジ検出結果が変わりやすい。そのため、画像毎あるいは画像の局所領域毎にノイズ量が変化する場合には正しくエッジが検出できないという不具合がある。
また、画像毎や局所領域毎に手作業でノイズ量に応じた最適な検出しきい値を決定する必要があるため、多数の画像を処理するには多大な労力が必要となるという不都合があった。
したがって、画像中のノイズ量の影響を受けず、常に正確にエッジ検出が行える画像処理方法の実現が望まれていた。
本発明の目的は、画像の複数方向で輝度勾配値を求めて局所領域毎にノイズ量を推定し、この推定ノイズ量を用いてエッジ強度を正規化することにより、ノイズ量の影響を抑制した画像処理方法を提供することである。
本発明の第1の側面によれば、画像を入力する画像入力部と、前記画像の各画素の複数の方向の各々について、当該方向の輝度の変化の大きさを表す輝度勾配値を計算する輝度勾配値計算部と、一方向の輝度の変化の大きさを表す輝度勾配値を、前記画像の各画素の複数の方向について計算する輝度勾配値計算部と、前記各画素におけるエッジ方向に対応する第1勾配値およびエッジに直交する方向に対応する第2勾配値を、前記輝度勾配値を用いて推定する推定部と、前記各画素の前記第1勾配値および第2勾配値を用いて前記各画素のエッジ強度を計算するエッジ強度計算部とを備える画像処理装置を提供する。
本発明の第2の側面は、上記装置に係る画像処理方法を提供する。
本発明の第3の側面は、上記装置に相当する処理をコンピュータに実行させるプログラムを提供する。
本発明によれば、画像中のノイズ量がエッジ検出結果に及ぼす影響を抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の各実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に関する画像処理方法を説明する。本実施形態の画像処理方法は、例えばコンピュータ上で動作するプログラムとして実現される。なお、ここでいうコンピュータには、PC(パーソナルコンピュータ)やWS(ワークステーション)に限られるものではなく、例えば組み込み型のプロセッサも含まれる。すなわち、コンピュータとはプログラムによって規定されるソフトウエア処理を行うプロセッサを有するものを含むものとする。
図1は本実施形態の画像処理方法によるエッジ検出処理のフローチャートである。このエッジ検出処理は、輝度勾配算出ステップ1とエッジ検出ステップ2とを有する。
<輝度勾配算出ステップ1>
輝度勾配算出ステップ1では、エッジ方向に直交する方向の輝度勾配値とエッジ方向に平行な方向の輝度勾配値とを求める。具体的には、複数の方向の輝度勾配値から、最大値と最小値とが求められる。
輝度勾配値とは空間的な明るさ(輝度値)の変化の大小を示す量である。図2はエッジ近傍の画像200の例である。境界203で接する暗い画像領域201および明るい画像領域202を、画像200は有する。
境界203の近傍にある画素206を例に、エッジ近傍における輝度の変化を説明する。図3は画素206の近傍におけるx方向の輝度値Iの変化とy方向の輝度値Iの変化を表すグラフである。
実線301は線204に沿った輝度値Iの変化である。線204は暗い画像領域201から境界203と交差して明るい画像領域202に向かってx方向に伸びる。したがって、実線301は画素206の近傍におけるx方向の輝度値Iの変化を表す。
破線302は線205に沿った輝度値Iの変化である。線205は暗い画像領域201から境界203と交差して明るい画像領域202に向かってy方向に伸びる。したがって、破線302は画素206の近傍におけるy方向の輝度値Iの変化を表す。輝度値Iは、実線301および破線302の左側部分では低い値で右側部分では高い値になる。
一般に画像にはボケやノイズなどが存在するため、線204および線205に沿った輝度値Iの変化は理想的なステップ変化とはならないことが多い。実際には実線301および破線302に示すように境界203の近傍でなだらかに変化することが多い。
図4は輝度値Iの一次微分値のグラフである。実線401は実線301の一次微分値に相当する。実線401で高い微分値を示す部分は、実線301において輝度値Iが急激に変化する部分に相当する。実線401によって表される微分値をx方向の輝度勾配値∇x=∂I/∂xと呼ぶ。
図4の破線402は破線302の一次微分値に相当する。実線401で高い微分値を示す部分は、破線302において輝度値Iが急激に変化する部分に相当する。破線402によって表される微分値をy方向の輝度勾配値∇y=∂I/∂yと呼ぶ。
図2の場合、暗い画像領域201と明るい画像領域202との境界203に沿って輝度勾配値が高い点が分布する。したがって、空間微分処理により輝度勾配値を求めて、高い輝度勾配値を持つ点の繋がり(連続的な分布)を求めることでエッジを検出することができる。
図4において、輝度勾配値∇yは輝度勾配値∇xよりも小さい。その原因はx方向よりもy方向がエッジ方向に対して平行に近いからである。一般に輝度勾配値はエッジ方向に直交する方向に近くなるほど大きな値になり、エッジ方向に直交する方向において最大値になる。逆に、輝度勾配値はエッジ方向に平行な方向において最小値になる。
図5において、エッジ方向に直交する方向はx方向から反時計回りに角度θの方向(θ方向)である。線204はx方向に伸びており、線501はθ方向に伸びている。上述したように、θ方向の輝度勾配値∇θは最大値となる。
図5において、エッジ方向に平行な方向はx方向から反時計回りに角度(θ+π/2)の方向((θ+π/2)方向)である。線502は(θ+π/2)方向に伸びている。上述したように、(θ+π/2)方向の輝度勾配値∇(θ+π/2)は最小値となる。
本実施形態では、複数の方向の輝度勾配値が求められる。そして、輝度勾配値が最大値になる方向はエッジ方向に直交する方向であると仮定する。さらに、輝度勾配値が最小値になる方向はエッジ方向と平行な方向であると仮定する。
輝度勾配算出ステップ1では、画像中の各点において複数の方向の輝度勾配値を求める。そして、求められた輝度勾配値の最大値∇θと最小値∇(θ+π/2)とを求める。
各画素のθ方向の輝度勾配値は、例えば、各画素を通るθ方向の直線上に当該画素を中心として点対称に2つの点を取り、2点の輝度値Iの差分絶対値を計算することにより求められる。なお、2点の各々が一つの画素に対応しない場合には補間や補外により求められた輝度値Iの推定値を用いても構わない。
あるいは、各画素を通るθ方向の直線に沿った輝度値Iの変化を関数で近似し、この関数を微分して得られる導関数から計算しても構わない。
(変形例1−1)
輝度勾配値の最小値∇(θ+π/2)として、輝度勾配値が最大になる方向と直交する方向の輝度勾配値を採用しても構わない。
すなわち、複数の方向の輝度勾配値の中から最大値∇θを求め、輝度勾配値が最大になる方向に直交する方向の輝度勾配値を輝度勾配値の最小値∇(θ+π/2)と仮定しても構わない。
(変形例1−2)
輝度勾配値の最大値∇θとして、輝度勾配値が最小になる方向と直交する方向の輝度勾配値を採用しても構わない。
すなわち、複数の方向の輝度勾配値の中から最小値∇(θ+π/2)を求め、輝度勾配値が最大になる方向に直交する方向の輝度勾配値を輝度勾配値の最大値∇θと仮定しても構わない。
(変形例1−3)
本実施形態の輝度勾配算出ステップ1の説明では、画像中の輝度値が空間的に連続に変化するように扱っている。しかし、実際には画像は複数の画素から構成されるため空間的に量子化される。今、画像中の注目する画素を中心とするの3×3画素の範囲だけを考える。
図6に示すように、注目する画素600の周囲に画素601から画素608までの8画素がある。画素600と各画素との位置関係は以下の通り。
左上: 画素601 上 : 画素602 右上: 画素603
左 : 画素604 右 : 画素605
左下: 画素606 下 : 画素607 右下: 画素608
画像中の3×3画素の局所領域を考える場合、エッジを直線で近似することは十分良い近似である。したがって、画素600を通るエッジは、図7から図10に示す4方向を考えれば良い。具体的には、
図7 画素604→画素600→画素605、
図8 画素601→画素600→画素608、
図9 画素602→画素600→画素607、および、
図10 画素603→画素600→画素606、
の4通りである。
したがって、求めるべき輝度勾配値は、
図7 画素602→画素600→画素607、
図8 画素603→画素600→画素606、
図9 画素604→画素600→画素605、および、
図10 画素601→画素600→画素608、
の4通りである。
また、輝度勾配値の算出において、∂I/∂xのような一次偏微分を用いる代わりに、画素値の差分を用いることができる。具体的には、画素60k(k=0..8)の輝度値をI60kとすると、下記の(式1)で4つの値を求めればよい。
このような画素量子化された画像で輝度勾配値を求める方法としては、前記のように直線上にある画素間での輝度値の演算に限られない。空間的な微分演算として一般に良く知られているSobel、Roberts、Robinson,Prewitt、Kirsch、Canny等、任意の輝度勾配値演算方法を用いることができる。具体例は、非特許文献1に詳しい。
(変形例1−4)
本実施形態の輝度勾配算出ステップ1の説明では、輝度勾配値を算出する方向を任意の複数方向に設定して複数の輝度勾配値を求めている。しかし、互いに異なる2方向について輝度勾配値を求めれば、最大輝度勾配値の方向を推定することが可能である。
図2ではx方向の線204とy方向の線205とが設定されている。各線に沿って輝度勾配値を求めることで、x方向の輝度勾配値∇xとy方向の輝度勾配値∇yとが得られる。
これら二方向の輝度勾配値を用いると、輝度勾配値が最大になるθmax方向と輝度勾配値が最小になるθmin方向は下記の(式2)で推定することが可能である。
すなわち、最低2方向の輝度勾配値を計算すればθmax方向とθmin方向とを推定することが可能である。
θmax方向とθmin方向とが推定されたら、例えばθmax方向の輝度勾配値とθmin方向の輝度勾配値とを計算することで輝度勾配値の最大値と最小値とが得られる。
(変形例1−5)
上述の(式2)の代わりに下記の(式3)を用いても構わない。すなわち、異なる2方向の輝度勾配値から輝度勾配値が最小になるθmin方向、すなわちエッジ方向を推定しても構わない。
そして、エッジ方向(θmin方向)とエッジ方向に直交する方向(θmax方向)について輝度勾配値を計算すれば、輝度勾配値の最大値と最小値とが得られる。
<エッジ検出ステップ2>
エッジ検出ステップ2では、前記輝度勾配算出ステップ1で求められた輝度勾配値の最大値と最小値とを用い、画像中の任意の点あるいは画素のエッジ強度を算出する。エッジ強度とはその点にエッジが存在することの尤もらしさを示す指標である。本実施形態のエッジ強度はエッジの存在確率に相当する。
輝度勾配算出ステップ1において求められた輝度勾配値の最大値を∇θmax、最小値を∇θminと表記する。
エッジに由来する空間的な輝度値変化があるときに、輝度勾配値は有意な値となる。一般に画像にはノイズが含まれるため、ノイズに由来する空間微分値も前記輝度勾配値に含まれることになる。
輝度勾配値の最小値∇θminは、エッジ方向と平行な方向の空間微分値であるため、エッジに由来する輝度勾配値を含まず、ノイズに由来する空間微分値のみが含まれていると仮定できる。
よって、エッジ強度Pは、ノイズ推定量σと定数αとを用いて(式4)により求めることができる。
すなわち、エッジに由来する輝度勾配値からノイズ量を減算しながら輝度勾配値で正規化した値、つまりエッジ存在確率として求められる。言い換えれば、エッジ強度Pは輝度勾配値の最大値∇θmaxに対する相対強度ともいえる。
ここで定数αは任意の定数であって1でもよいし任意の値に設定されて良い。また、(式4)ではノイズ推定量σの影響を定数αで調整しているが、ノイズ推定量σを求める段階でエッジ強度Pに及ぼす影響を考慮しておいても構わない。例えば(式4)のα×σに相当するものをノイズ推定量として求めておいても構わない。
上述の(式4)はノイズ推定量σとして輝度勾配値の最小値∇θminをそのまま用いる例であるが、ノイズ推定量σはこれに限定されない。ノイズ推定量は各画素を中心とする局所領域内で均一と仮定することができるので、面積sの局所領域Rを設定してノイズ推定量σを(式5)により平均値として求めても構わない。
ここに明記した手法に限らず、ノイズ推定量σは輝度勾配値の最小値∇θminを用いた任意の演算にて求めることができる。
以上のようにして求めたエッジ強度P算出に基づくエッジ検出結果の例を図11から図13に示す。図11は原画像である。図12は従来のエッジ検出方法であるCannyフィルタを用いた結果である。図13は本実施形態のエッジ検出方法を用いた結果である。図12および図13の各画素は、その画素におけるエッジの強度を画素値として有する。
本実施形態のエッジ検出方法の効果を分かりやすくするため、図11の右半分に対して各画素の輝度値に定数0.5を乗ずることによりコントラストを低下させた画像に対して、エッジ検出処理を行った。
図12と図13とのエッジ検出結果を比較すると、コントラストが低下させた画像右半分で結果の差が大きい。コントラスト低下によってノイズ量が変化したため、従来のエッジ検出方法では図12に示すように検出できていないエッジが少なくない。
これに対して、本実施形態のエッジ検出方法ではコントラスト変化やノイズ量変化による影響を殆ど受けず、図13に示すように安定して検出できている。
また、本実施形態のエッジ検出方法では、エッジ強度は輝度勾配の最大値で正規化された値となる。しかもノイズの影響が抑制された値になっている。
そのため、例えば、エッジ強度に基づいてエッジの有無を閾値で判定する処理を行う場合に、閾値が判定結果に及ぼす影響は従来よりも緩やかなものとなる。言い換えれば、閾値の設定が容易になる。
(変形例2)
本実施形態では、白黒濃淡画像の輝度値に関して輝度勾配値を求め、エッジを検出する画像処理方法について述べた。下記に示すような任意の画像特徴値について、輝度勾配値を特徴量勾配値と読み替えることにより、同様のエッジ検出処理を行うことが可能である。この特徴量としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
例えば、入力画像がRGBカラー画像であれば、R(赤)G(緑)B(青)の各要素値を特徴量として用いることができる。また、RGB各値の線形和から輝度値を求めても構わない。あるいは、演算により求められる特徴量を用いることが可能である。
RGBの表色系に限らず、マンセル表色系における色相Hや彩度Sといった要素値も用いることができる。この他にも、一般に知られている他の表色系(XYZ、UCS、CMY、YIQ、オストワルト、L*u*v*、L*a*b*、等)の要素値を求めて同様に特徴量として用いることが可能である。各々の表色系間での変換方式については例えば非特許文献1に詳しい。
さらに、画像に対して空間的あるいは時間的に微分演算や積分演算を行った結果を特徴量として用いることも考えられる。この演算に用いられることができるオペレータには、例えば、前述した空間的微分演算、ラプラシアンガウシアン、モーメントオペレータ等がある。これらのオペレータを画像に作用させた結果の強度を特徴量として用いることが可能である。
また、積分的な平均フィルタやメディアンフィルタといった雑音除去処理の結果を用いることも考えられる。
これらのオペレータやフィルタについても非特許文献1で詳しく述べられている。
さらに、各画素に対して画像内で予め決められている領域内で求めることができる統計量も特徴量として用いることができる。この統計量の例としては、平均値、中央値、最頻値、範囲、分散、標準偏差、平均偏差などが挙げられる。
これらの統計量は、注目している画素の8近傍で求めても構わない。あるいは、予め定められた任意形状の領域で求めた統計量を特徴量として用いても構わない。
また、輝度勾配値算出を行う前に、任意の分散値を持つガウシアンフィルタなとの平滑化フィルタを作用させておけば、任意の画像スケールについて輝度勾配算出を行うことが可能となり、如何なるスケールの画像に対しても常に正確なエッジ検出を行うことが可能となる。
[第2の実施形態]
図14は本発明の第2の実施形態の画像処理装置のブロック図である。本実施形態の画像処理装置は入力された画像からエッジを検出する。
本実施形態のエッジ検出装置は画像を入力する画像入力部1401と、画像中の各画素において複数の方向の輝度勾配値を計算する輝度勾配値計算部1402と、求められた輝度勾配値の中から最大値を検出する最大値検出部1403と、求められた輝度勾配値の中から最小値を検出する最小値検出部1404と、各画素のエッジ強度を計算するエッジ強度計算部1405と、各画素のエッジ強度に基づいて画像からエッジを検出するエッジ検出部1406とを備える。
画像入力部1401は静止画または動画像を入力する。動画像の場合はフレームまたはフィールド単位の画像を入力する。
輝度勾配値計算部1402は、入力された画像の各画素に関する、複数の方向の輝度勾配値を計算する。本実施形態の輝度勾配値計算部1402は、各画素を中心とする上下・左右・斜め2方向の4方向に関する輝度勾配値を計算する。輝度勾配値は上述した手法、すなわち画素値の差分絶対値を用いる。
輝度勾配値計算部1402は、輝度勾配値、方向および画素と対応付けて輝度勾配情報を生成する。輝度勾配情報は最大値検出部1403および最小値検出部1404に出力される。
最大値検出部1403は各画素の輝度勾配値の最大値を求める。最小値検出部1404は各画素の輝度勾配値の最小値を求める。
エッジ強度計算部1405は、各画素の輝度勾配値の最大値と最小値とを用いて、各画素のエッジ強度を計算する。エッジ強度計算部1405は、まず、輝度勾配値の最小値を用いて上述した手法により各画素のノイズ量を推定する。そして、エッジ強度計算部1405は、ノイズ量と輝度勾配値の最大値とを用いて各画素のエッジ強度を計算する。エッジ強度計算部1405は、計算されたエッジ強度を画素値とするエッジ強度マップを生成する。エッジ強度マップは例えば図13に示すような濃淡画像であり、各画素の画素値はエッジの強さを表す。
エッジ検出部1406はエッジ強度マップを用いて画像中のエッジを検出して、エッジマップを生成する。エッジマップは当該画素がエッジか否かを表す2値の画像である。具体的には、エッジ検出部1406はエッジ強度が予め定めた基準を超える場合に当該画素がエッジ上の画素であると判定するとともに、その画素がエッジであることを示す値をエッジマップの対応する画素値に設定する。
なお、本実施形態ではエッジ検出部1406でエッジ強度マップを2値化してエッジか否かを判定する構成を採用しているが、この構成に限定されるものではない。
(変形例)
最小値検出部1404は最大値検出部1403の検出結果を参照しても構わない。すなわち、輝度勾配値が最大になる方向に直交する方向の輝度勾配値を最小値として検出しても構わない。
最大値検出部1403は最小値検出部1404の検出結果を参照しても構わない。すなわち、輝度勾配値が最小になる方向に直交する方向の輝度勾配値を最大値として検出しても構わない。
[第3の実施形態]
図15は本発明の第3の実施形態の画像処理装置のブロック図である。本実施形態の画像処理装置は入力された画像からエッジを検出する。
本実施形態のエッジ検出装置は画像を入力する画像入力部1401と、画像中の各画素においてエッジの方向およびエッジと直交する方向を求めるエッジ方向計算部1501と、画像中の各画素においてエッジ方向およびエッジ方向に直交する方向の輝度勾配値を計算する輝度勾配値計算部1502と、各画素のエッジ強度を計算するエッジ強度計算部1405と、各画素のエッジ強度に基づいて画像からエッジを検出するエッジ検出部1406とを備える。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
エッジ方向を推定してからエッジ強度計算に用いるための輝度勾配値を計算する点において、本実施形態のエッジ検出装置は第1の実施形態と異なる。
エッジ方向計算部1501は、異なる2方向の輝度勾配値を、各画素について計算する。本実施形態のエッジ方向計算部1501は、各画素においてx方向の輝度勾配値∇xとy方向の輝度勾配値∇yとを求め、上述の(式2)に相当する計算によりエッジに直交する方向θmaxとエッジ方向θminとを求める。
輝度勾配計算部1502は、エッジに直交する方向の輝度勾配値およびエッジ方向の輝度勾配値を、各画素について計算する。
エッジ強度計算部1405は第1の実施形態と同様にしてエッジ強度マップを生成する。上述したように、エッジに直交する方向の輝度勾配値は第1の実施形態の輝度勾配値の最大値に対応し、エッジ方向の輝度勾配値は第1の実施形態の輝度勾配値の最小値に対応する。
[第4の実施形態]
図16は本発明の第4の実施形態の画像処理装置のブロック図である。本実施形態の画像処理装置は入力された画像からエッジを検出する。
本実施形態のエッジ検出装置は画像を入力する画像入力部1401と、画像中の各画素において複数の方向の輝度勾配値を計算する輝度勾配値計算部1402と、求められた輝度勾配値の中から最大値と最小値を検出してエッジ方向を推定するエッジ方向推定部1605と、各画素のエッジ強度を計算するエッジ強度計算部1405と、各画素のエッジ強度に基づいて画像からエッジを検出するエッジ検出部1406とを備える。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態の輝度勾配値計算部1402は各画素を中心とする3画素×3画素の領域の画素情報を用いて、縦、横、斜め(左下から右上)、斜め(左上から右下)の4方向の輝度勾配値を計算する。
本実施形態の輝度勾配値計算部1402は第1、第2、第3および第4の計算部1601、1602、1603および1604を備える。第1の計算部1601は縦方向の輝度勾配値を計算する。第2の計算部1602は横方向の輝度勾配値を計算する。第3の計算部1601は斜め(左下から右上)方向の輝度勾配値を計算する。第4の計算部1604は斜め(左上から右下)方向の輝度勾配値を計算する。
第1から第4の計算部1601から1604の各々は上述の(式1)に相当する演算を行って各画素の各方向の輝度勾配値を計算する。より具体的には、第1の計算部1601は各画素の上下にある画素の画素値の絶対値差分を計算する。第2の計算部1602は各画素の左右にある画素の画素値の絶対値差分を計算する。第3の計算部1603は各画素の左下と右上にある画素の画素値の絶対値差分を計算する。第4の計算部1604は各画素の左上と右下にある画素の画素値の絶対値差分を計算する。
本実施形態のエッジ方向推定部1605は各画素について求められた4つの輝度勾配値同士を比較して最大値と最小値とを検出する。本実施形態では、最小値に対応する方向をエッジ方向とみなし、最大値に対応する方向をエッジに直交する方向とみなす。
上述したように、3画素×3画素の領域ではエッジの方向は4通りである。本実施形態の画像処理装置は、この性質を利用して高速にエッジ検出を行うことができる。
(変形例)
第1の計算部1601は上述の(式1)の計算の代わりに下記の(式6−1)に相当する計算を行う。第2の計算部1602は上述の(式1)の計算の代わりに(式6−2)に相当する計算を行う。
より具体的には、第1の計算部1601は各画素の上下にある画素の画素値の差分Δyと絶対値差分∇yとを計算する。第2の計算部1602は各画素の左右にある画素の画素値の差分Δxと絶対値差分∇xとを計算する。
エッジ方向推定部1605は、閾値Tを用いて下記の(式7−1)および(式7−2)に基づいて差分ΔxおよびΔyを3値に量子化して、量子化差分δxおよびδyを計算する。量子化差分δxおよびδyは、差分ΔxおよびΔyが正、零、負のいずれに近いかを表すパラメータである。
図17は量子化差分δxおよびδyと、輝度勾配値が最大になる方向θmaxおよび最小になる方向θminとの関係を示すテーブルである。このテーブルにおける方向θmaxおよび方向θminに関する値は以下の意味を持つ。
1・・・画素604→画素600→画素605の方向(横)
2・・・画素601→画素600→画素608の方向(左上から右下へ)
3・・・画素602→画素600→画素607の方向(縦)
4・・・画素603→画素600→画素606の方向(右上から左下へ)
エッジ方向推定部1605は、図17のテーブルを参照して量子化差分δx、δyから輝度勾配値が最大になる方向θmaxおよび最小になる方向θminを求める。
エッジ方向推定部1605は、第1から第4の計算部1601から1604によって求められたθ=1から4までの4方向の∇θの中から方向θmaxおよび方向θminの各々に対応する値を選択して、エッジ強度計算部1405に出力する。
この変形例では異なる2つの輝度勾配値から直接θmaxが求められる。第1から第4の計算部1601から1604によってθ=1から4までの4方向の∇θが求められていれば、∇θmaxはθmaxの値から直ちに決定される。すなわち、第4の実施形態の最大・最小推定部1605が行う複数の輝度勾配値を比較する演算が削減される。
第1の実施形態に関する画像処理方法におけるエッジ検出処理のフローチャート 2つの画像領域が接する画像を示す模式図 輝度値の空間変化を示す模式図 輝度勾配値の算出例を示す模式図 最大輝度勾配方向と最小輝度勾配方向を示す模式図 画素量子化された局所画像領域を示す模式図 局所画像領域でのエッジ方向を示す模式図 局所画像領域でのエッジ方向を示す模式図 局所画像領域でのエッジ方向を示す模式図 局所画像領域でのエッジ方向を示す模式図 エッジ検出処理例の原画像 従来手法によるエッジ検出処理結果 第1の実施形態の画像処理方法によるエッジ検出処理結果 第2の実施形態に関する画像処理装置のブロック図 第3の実施形態に関する画像処理装置のブロック図 第4の実施形態に関する画像処理装置のブロック図 第4の実施形態で用いられるテーブルデータの例
符号の説明
201:画像領域、 202:画像領域、 203:境界線、
204:(x方向の)線 205:(y方向の)線、
501:(エッジに直交する方向の)線、
502:(エッジ方向に平行な方向の)線、
1401:画像入力部、 1402:輝度勾配値計算部、 1403:最大値検出部、
1404:最小値検出部、 1405:エッジ強度検出部、 1406:エッジ検出部、
1501:エッジ方向計算部、 1502:輝度勾配値計算部、
1601:第1の計算部、 1602:第2の計算部、 1603:第3の計算部、
1604:第4の計算部、 1605:エッジ方向推定部

Claims (24)

  1. 画像を入力する画像入力部と、
    前記画像の各画素に関して、複数の方向の各々について当該方向の輝度の変化の大きさを表す輝度勾配値を計算する輝度勾配値計算部と、
    前記各画素におけるエッジ方向に対応する第1勾配値およびエッジに直交する方向に対応する第2勾配値を、前記輝度勾配値を用いて推定する推定部と、
    前記各画素の前記第1勾配値および第2勾配値を用いて前記各画素のエッジ強度を計算するエッジ強度計算部と、
    を備える画像処理装置。
  2. 前記エッジ強度計算部は、前記エッジ強度として、前記第2勾配値に対する相対強度を計算する、
    請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記エッジ強度計算部は、前記エッジ強度として、前記第2勾配値から前記第1勾配値を減じた値の前記相対強度を計算する、
    請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記エッジ強度計算部は、前記第1勾配値を用いて前記各画素のノイズ量を推定するノイズ量推定部を有し、
    前記エッジ強度計算部は、前記エッジ強度として前記第2勾配値から前記ノイズ量を減じた値の前記相対強度を計算する、
    請求項2に記載の画像処理装置。
  5. 前記ノイズ量推定部は、前記画像中で各画素を含む予め定められた範囲内にある複数の画素における前記第1勾配値の平均値を用いて前記各画素のノイズ量を推定する、
    請求項4に記載の画像処理装置。
  6. 前記輝度勾配値計算部は、各画素を中心とする3画素×3画素の領域において、各画素を中心として上下方向、左右方向、右上がりの斜め方向および右下がりの斜め方向の4方向の輝度勾配値を計算し、
    前記推定部は、前記輝度勾配値のうち直交する2方向の輝度勾配値の符号の組み合わせに基づいて、前記輝度勾配値の中から前記第1および第2勾配値を選択する、
    請求項1に記載の画像処理装置。
  7. 前記推定部は、異なる2つの方向の前記輝度勾配値を用いて前記輝度勾配値が最大になる方向を推定する方向推定部を有し、
    前記推定部は、前記最大になる方向の輝度勾配値を前記第2勾配値として求め、前記最大になる方向と直交する方向の輝度勾配値を前記第2勾配値として求める、
    請求項1に記載の画像処理装置。
  8. 前記推定部は、異なる2つの方向の前記輝度勾配値を用いて前記輝度勾配値が最小になる方向を推定する方向推定部を有し、
    前記推定部は、前記最小になる方向の輝度勾配値を前記第1勾配値として求め、前記最小になる方向と直交する方向の輝度勾配値を前記第2勾配値として求める、
    請求項1に記載の画像処理装置。
  9. 画像を入力し、
    前記画像の各画素に関して、複数の方向の各々について当該方向の輝度の変化の大きさを表す輝度勾配値を計算し、
    前記各画素におけるエッジ方向に対応する第1勾配値およびエッジに直交する方向に対応する第2勾配値を、前記輝度勾配値を用いて推定し、
    前記各画素の前記第1および第2勾配値を用いて前記各画素のエッジ強度を計算する、
    画像処理方法。
  10. 前記エッジ強度の計算では、前記エッジ強度として、前記第2勾配値に対する相対強度を計算する、
    請求項9に記載の画像処理方法。
  11. 前記エッジ強度の計算では、前記エッジ強度として、前記第2勾配値から前記第1勾配値を減じた値の前記相対強度を計算する、
    請求項10に記載の画像処理方法。
  12. 前記エッジ強度の計算では、
    前記第1勾配値を用いて前記各画素のノイズ量を推定し、
    前記エッジ強度として前記第2勾配値から前記ノイズ量を減じた値の前記相対強度を計算する、
    請求項10に記載の画像処理方法。
  13. 前記エッジ強度の計算における前記ノイズ量の推定では、前記画像中で各画素を含む予め定められた範囲内にある複数の画素における前記第1勾配値の平均値を用いて前記各画素のノイズ量を推定する、
    請求項12に記載の画像処理方法。
  14. 前記輝度勾配値の計算では、各画素を中心とする3画素×3画素の領域において、各画素を中心として上下方向、左右方向、右上がりの斜め方向および右下がりの斜め方向の4方向の輝度勾配値を計算し、
    前記第1および第2勾配値の推定では、前記輝度勾配値のうち直交する2方向の輝度勾配値の符号の組み合わせに基づいて、前記輝度勾配値の中から前記第1および第2勾配値を選択する、
    請求項9に記載の画像処理方法。
  15. 前記第1および第2勾配値の推定では、
    異なる2つの方向の前記輝度勾配値を用いて前記輝度勾配値が最大になる方向を推定し、
    前記最大になる方向の輝度勾配値を前記第2勾配値として求め、前記最大になる方向と直交する方向の輝度勾配値を前記第2勾配値として求める、
    請求項9に記載の画像処理方法。
  16. 前記第1および第2勾配値の推定では、
    異なる2つの方向の前記輝度勾配値を用いて前記輝度勾配値が最小になる方向を推定し、
    前記最小になる方向の輝度勾配値を前記第1勾配値として求め、前記最小になる方向と直交する方向の輝度勾配値を前記第2勾配値として求める、
    請求項9に記載の画像処理方法。
  17. コンピュータに、
    画像を入力する画像入力ステップと
    前記画像の各画素に関して、一方向の輝度の変化の大きさを表す輝度勾配値を、複数の方向について計算する輝度勾配値計算ステップと、
    前記各画素におけるエッジ方向に対応する第1勾配値およびエッジに直交する方向に対応する第2勾配値を、前記輝度勾配値を用いて推定する推定ステップと、
    前記各画素の前記第1勾配値および第1勾配値を用いて前記各画素のエッジ強度を計算するエッジ強度計算ステップと、
    を実行させるプログラム。
  18. 前記エッジ強度計算ステップでは、前記エッジ強度として、前記第2勾配値に対する相対強度を計算する、
    請求項17に記載のプログラム。
  19. 前記エッジ強度計算ステップでは、前記エッジ強度として、前記第2勾配値から前記第1勾配値を減じた値の前記相対強度を計算する、
    請求項18に記載のプログラム。
  20. 前記エッジ強度計算ステップでは、
    前記第1勾配値を用いて前記各画素のノイズ量を推定し、
    前記エッジ強度として前記第2勾配値から前記ノイズ量を減じた値の前記相対強度を計算する、
    請求項18に記載のプログラム。
  21. 前記エッジ強度計算ステップにおける前記ノイズ量の推定では、前記画像中で各画素を含む予め定められた範囲内にある複数の画素における前記第1勾配値の平均値を用いて前記各画素のノイズ量を推定する、
    請求項20に記載のプログラム。
  22. 前記輝度勾配値計算ステップでは、各画素を中心とする3画素×3画素の領域において、各画素を中心として上下方向、左右方向、右上がりの斜め方向および右下がりの斜め方向の4方向の輝度勾配値を計算し、
    前記推定ステップでは、前記輝度勾配値のうち直交する2方向の輝度勾配値の符号の組み合わせに基づいて、前記輝度勾配値の中から前記第1および第2勾配値を選択する、
    請求項17に記載のプログラム。
  23. 前記推定ステップでは、
    異なる2つの方向の前記輝度勾配値を用いて前記輝度勾配値が最大になる方向を推定し、
    前記最大になる方向の輝度勾配値を前記第2勾配値として求め、前記最大になる方向と直交する方向の輝度勾配値を前記第2勾配値として求める、
    請求項17に記載のプログラム。
  24. 前記推定ステップでは、
    異なる2つの方向の前記輝度勾配値を用いて前記輝度勾配値が最小になる方向を推定し、
    前記最小になる方向の輝度勾配値を前記第1勾配値として求め、前記最小になる方向と直交する方向の輝度勾配値を前記第2勾配値として求める、
    請求項17に記載のプログラム。
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