しかし、上記した従来構成によると、水平床が常に一定状のレベルであることから、たとえば中型航空機に対する乗降のみに使用できるものであって、小型航空機に対する乗降には使用できない。したがって、小型航空機に対する乗降には、小型航空機専用の昇降ステップを用意しなくてはならず、すなわち2種類の昇降ステップを用意する必要がある。
そこで本発明の請求項1記載の発明は、中型航空機に対する乗降も、小型航空機に対する乗降も行える乗降用車両を提供することを目的としたものである。
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の乗降用車両は、本体の後部にフロアが形成され、本体の前部側には、昇降動手段により昇降される床体を有する昇降床装置が設けられ、前記床体の後部と本体におけるフロアの前部との間に、多数の踏板を有する階段が設けられ、この階段は、床体の下降により踏板群が水平状で並列されてフロアと床体を接続し、床体の上昇により踏板群を水平状として傾斜すべく構成され、前記本体の後部側には、フロアの後方で昇降自在なリフト台を有するリフト装置が設けられ、前記本体の上方には昇降台装置が設けられ、この昇降台装置の昇降台は、フロア上の位置と上昇した床体の後方位置との間で傾斜移動自在に構成され、前記リフト台は、上昇によってフロアまたはフロア上の昇降台に接続されるように構成されていることを特徴としたものである。
したがって請求項1の発明によると、たとえば中型航空機へ搭乗するに、本体を中型航空機の機体に接近走行させる。このとき昇降床装置は、昇降動手段により床体を上昇させており、これにより階段は、踏板群を水平状として所定の角度で傾斜している。本体の走行は床体を乗降口に接近させた状態で停車させ、そして機体ドアを開動して乗降口を開放させる。これにより健常者は、フロア、階段の踏板群、床体へと歩行し、乗降口を通って搭乗し得る。なお、健常者の搭降は、逆方向へ歩行することで行える。
また、車椅子乗客やステップ昇降が困難な乗客など障害者のとき、リフト装置のリフト台を下降して地上面に着地状とする。そして昇降台装置における昇降台を下方へと傾斜移動させてフロア上に着床させる。これにより車椅子は、地上面からリフト台上に乗り込み得、そしてリフト台を、その上面が昇降台の上面と同一状のレベルになるように上昇させる。次いでリフト台上の車椅子を昇降台上に移動させたのち、この昇降台を傾斜方向に上昇させて、その上面を床体の上面と同一状のレベルとする。その後に車椅子を、床体上へ乗り移らせることで、乗降口を通って搭乗し得る。また、ステップ昇降が困難な障害者の場合には、車椅子を使用してもよいし、あるいは障害者がリフト台上や昇降台上に立った状態で上昇し、乗り移りを歩行で行ってもよい。なお、障害者の搭降は、車椅子を逆方向へ移動させるなどすることで行える。
たとえば小型航空機へ搭乗するに、本体を小型航空機の機体に接近走行させる。このとき昇降床装置は、昇降動手段により床体を下降させており、これにより階段は、踏板群を水平状として並列(整列)し、その際に踏板群の上面を、フロアや床体の上面と同一状のレベルとして接続させている。本体の走行は、床体を乗降口に接近させた状態で停車させ、そして機体ドアを開動して乗降口を開放させる。これにより健常者は、フロア、水平状の踏板群、床体へと歩行し、乗降口を通って搭乗し得る。なお、健常者の搭降は、逆方向へ歩行することで行える。
また、車椅子乗客やステップ昇降が困難な乗客など障害者のとき、まずリフト装置のリフト台を、下降して地上面に着地状とする。これにより車椅子は、地上面からリフト台上に乗り込み得、そしてリフト台を、その上面がフロアの上面と同一状のレベルになるように上昇させる。次いでリフト台上の車椅子をフロア上に移動させたのち、この車椅子を、水平状の踏板群、床体へと移動させることで、乗降口を通って搭乗し得る。また、ステップ昇降が困難な障害者の場合には、車椅子を使用してもよいし、あるいは障害者がリフト台上に立った状態で上昇し、乗り移りを歩行で行ってもよい。なお、障害者の搭降は、車椅子を逆方向へ移動させるなどすることで行える。
また本発明の請求項2記載の乗降用車両は、上記した請求項1記載の構成において、リフト装置は、本体内に格納される非使用状態と、リフト台がフロアの後方に突出される使用状態とに切り換え自在に構成され、本体の後方側にはステップが設けられ、このステップは、リフト装置が非使用状態のとき本体の後方でフロアに連続した位置となり、リフト装置が使用状態のとき本体の後方から退避した位置となるよう移動自在に構成されていることを特徴としたものである。
したがって請求項2の発明によると、たとえば本体を中型航空機や小型航空機の機体に接近走行させるとき、リフト装置は、本体内に格納した非使用状態としている。そして健常者の搭乗のとき、ステップを、フロアと地上面とを連続した使用状態とする。これにより健常者は、地上面から、ステップ、フロア、階段の踏板群、床体へと歩行し、乗降口を通って搭乗し得る。また障害者のとき、まずステップを本体の後方から退避した位置とする。次いでリフト装置のリフト台を、本体内から後方に突出させたのち、下降して地上面に着地状とすることで、リフト装置を使用状態とし得る。これにより車椅子は、地上面からリフト台上に乗り込み得、リフト台を、その上面が床部の上面と同一状のレベルになるように上昇させる。
そして本発明の請求項3記載の乗降用車両は、上記した請求項1または2記載の構成において、昇降台装置の昇降台は、傾斜した階段に沿って傾斜方向に昇降移動自在な移動体と、移動体側に設けられた昇降台からなり、この昇降台は、昇降体側に設けられた背板部と、この背板部の下端から一方側に延びる床部からなり、この床部は、背板部に対して直角水平状の使用姿勢と、背板部に沿った起立折り畳み状の非使用姿勢とに回動自在に構成されていることを特徴としたものである。
したがって請求項3の発明によると、たとえば中型航空機に乗降するに、昇降床装置は、昇降動手段により床体を上昇させており、これにより階段は、踏板群を水平状として所定の角度で傾斜している。そして昇降台装置の昇降台は、床部を背板部に沿って起立折り畳み状とした非使用姿勢としている。したがって健常者の乗降のとき、階段の踏板群での歩行は昇降台に邪魔されることなく行える。また障害者の乗降のとき、昇降台装置における昇降台の床部を背板部に対して直角水平状に回動することで、昇降台装置を使用姿勢とし得る。これにより車椅子は、リフト台上と床部上との間、および床体と床部上との間で移動させ得る。また小型航空機に乗降するに、昇降台装置の昇降台は、床部を背板部に沿って起立折り畳み状とした非使用姿勢としている。これにより健常者の乗降の歩行や車椅子の移動は、昇降台に邪魔されることなく行える。
上記した本発明の請求項1によると、たとえば中型航空機へ乗降するに、昇降床装置は、昇降動手段により床体を上昇させており、これにより階段を、踏板群を水平状として所定の角度で傾斜できる。そして本体の走行を、床体を乗降口に接近させた状態で停車させたのち、機体ドアを開動して乗降口を開放させる。これにより健常者は、フロア、階段の踏板群、床体へと歩行し、乗降口を通って搭乗でき、また逆方向へ歩行することで搭降できる。
また、車椅子乗客やステップ昇降が困難な乗客など障害者のとき、リフト装置のリフト台を下降して地上面に着地状とし、そして昇降台装置における昇降台を下方へと傾斜移動させてフロア上に着床させる。これにより車椅子は、地上面からリフト台上に乗り込むことができ、そしてリフト台を、その上面が昇降台の上面と同一状のレベルになるように上昇でき、以てリフト台上の車椅子を昇降台上に移動できる。次いで昇降台を傾斜方向に上昇させることで、その上面を床体の上面と同一状のレベルにでき、その後に車椅子を、床体上へ乗り移らせることで、乗降口を通って搭乗できる。また、ステップ昇降が困難な障害者の場合には、車椅子を使用するか、あるいは障害者がリフト台上や昇降台上に立った状態で上昇し、乗り移りを歩行で行うことで搭乗できる。なお、障害者の搭降は、車椅子を逆方向へ移動させるなどすることで行うことができる。
たとえば小型航空機へ乗降するに、昇降床装置は、昇降動手段により床体を下降させており、これにより階段は、踏板群を水平状として並列(整列)できるとともに、踏板群の上面を、フロアや床体の上面と同一状のレベルとして接続できる。そして本体の走行を、床体を乗降口に接近させた状態で停車させたのち、機体ドアを開動して乗降口を開放させる。これにより健常者は、フロア、水平状の踏板群、床体へと歩行し、乗降口を通って搭乗でき、また逆方向へ歩行することで搭降できる。
また障害者のとき、まずリフト装置のリフト台を、下降して地上面に着地状とする。これにより車椅子は、地上面からリフト台上に乗り込むことができ、そしてリフト台を、その上面がフロアの上面と同一状のレベルになるように上昇でき、以てリフト台上の車椅子をフロア上に移動できる。次いで車椅子を、水平状の踏板群、床体へと移動させることで、乗降口を通って搭乗できる。また、ステップ昇降が困難な障害者の場合には、車椅子を使用するか、あるいは障害者がリフト台上に立った状態で上昇し、乗り移りを歩行で行うことで搭乗できる。なお、障害者の搭降は、車椅子を逆方向へ移動させるなどすることで行うことができる。
このように、昇降床装置と階段とリフト装置と昇降台装置とを適宜に作動させることで、共通の乗降用車両によって、健常者や障害者の中型航空機や小型航空機に対する乗降を、何ら支障なく常に円滑に行うことができる。
また上記した本発明の請求項2によると、中型航空機や小型航空機の機体に対する本体の接近走行は、リフト装置を本体内に格納した非使用状態として、安定して円滑に行うことができる。そして健常者の乗降のとき、ステップを、フロアと地上面とを連続した使用状態にできる。また障害者の乗降のとき、まずステップを本体の後方から退避した位置とし、次いでリフト装置のリフト台を、本体内から後方に突出させたのち、下降して地上面に着地状とすることで、リフト装置を使用状態にできる。
そして上記した本発明の請求項3によると、たとえば中型航空機に乗降するに、昇降床装置は、昇降動手段により床体を上昇させており、これにより階段を、踏板群を水平状として所定の角度で傾斜できる。そして昇降台装置の昇降台は、床部を背板部に沿って起立折り畳み状とした非使用姿勢にできる。したがって健常者の乗降のとき、踏板群での歩行は昇降台に邪魔されることなく行うことができる。また障害者の乗降のとき、昇降台装置における昇降台の床部を背板部に対して直角水平状に回動することで、昇降台装置を使用姿勢にでき、これにより車椅子を、リフト台上と床部上との間、および床体と床部上との間で移動できる。また小型航空機に乗降するに、昇降台装置の昇降台は、床部を背板部に沿って起立折り畳み状とした非使用姿勢にでき、これにより健常者の乗降の歩行や車椅子の移動は、昇降台に邪魔されることなく行うことができる。
[実施の形態]
以下に、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1、図2において、乗降用車両10の本体(車体)11には、その下部の前後に、それぞれ左右に振り分けて車輪装置12が設けられ、これら車輪装置12のうちで適宜のものは駆動形式とされ、以て滑走路に連なる地上面1上で走行自在に構成されている。そして本体11の前端上部で一側(左側)には運転部13が設けられ、また本体11の下部で各車輪装置12の近くにはアウトリガ(位置決め手段)14が設けられている。さらに本体11の後部上面はフロア15に形成されている。
前記本体11の前部側には、前記運転部13を避けた状態で昇降床装置21が設けられている。すなわち昇降床装置21は、本体11の上方に位置される床体22を有し、この床体22と前記本体11との間には昇降用シリンダー(昇降動手段の一例)23が設けられている。そして床体22側には前部ダクト体24が配設され、この前部ダクト体24は、前記床体22の上方を覆う門形状であって、その天板部は前後方向で水平状に形成されている。なお前部ダクト体24の前端部分には前部幌体25が設けられている。
前記床体22の前半部分でかつ左右方向の中央部分には、小型航空機の機体ドア(後述する。)の開閉動を許すための凹入切り欠き部26が形成され、そして床体22上には、凹入切り欠き部26を開閉するための前後方向のスライド式フロア27が設けられている。なお、床体22の部分には、渡し板28や上部操作盤29が設けられている。以上の22〜29などにより、昇降動手段により昇降される床体22を有する昇降床装置21の一例が構成される。
前記床体22の後部位置と本体11の後部でかつフロア15の前方位置との間には階段31が設けられている。この階段31は、左右両側に前後一対で位置される側枠32と、両側枠32間に設けられた多数の踏板33とにより構成されている。そして各側枠32の上下端部が、床体22や本体11に対して左右方向軸34を介して相対回動自在に連結されるとともに、各踏板33の四隅部分が、対応される側枠32に対して左右方向軸35を介して相対回動自在に連結されている。
これにより階段31は、昇降用シリンダー23の収縮動により床体22を下降させたとき、側枠32群を水平状とし得るとともに、踏板33群を水平状として並列(整列)させることになる。その際に踏板33群の上面は、フロア15や床体22の上面と同一状のレベルとなって接続するように構成されている。また階段31は、昇降用シリンダー23の伸展動により床体22を上昇させたとき、踏板33群を水平状として、側枠32群を所定の角度で傾斜させるように構成されている。その際に階段31は4連リンク機構の作用によって、床体22の昇降を水平状で安定して行わせる役目も成すことになる。以上の32〜35などにより、階段31の一例が構成される。
そして階段31側には中間部ダクト体36が配設され、この中間部ダクト体36は、前記階段31の上方を覆う門形状で、その下部は下位前方の側枠32側に連結され、天板部は側枠32に沿うように形成されている。なお中間部ダクト体36の前端部分と前部ダクト体24後端部分の間には中間部幌体37が設けられている。
前記本体11の後端部分には、本体11の後方でフロア15に連続した位置と、フロア15(本体11)の後方から退避した位置との間で移動自在なステップ41が設けられている。すなわちステップ41は、フロア15(本体11)側に位置される上位部42と、この上位部42の後面側に位置される下位部43とにより構成されている。その際に上位部42は、その前端の両側部分が、本体11の後端の両側部分にそれぞれ縦方向連結軸44を介して連結されており、そして上位部42の後面側に対して下位部43が、左右方向連結軸45を介して連結されている。
かかる構成のステップ41は、フロア15の後方に位置したとき、その階段状上面41aがフロア15と地上面1とを連続した使用姿勢となる(図6参照)。そして、この使用姿勢で上位部42に対して下位部43を左右方向連結軸45の軸心回りに上方へ回動させることで、この下位部43の最上位面を前向きとして上位部42の後面に当接し得、以てステップ41を、図1、図2に示すように格納姿勢とし得る。また使用姿勢において、一方の縦方向連結軸44を抜出したのち、他方の縦方向連結軸44の軸心回りに側外方へ回動させることで、ステップ41を本体11の後方から退避した位置、すなわち図9に示すように退避姿勢とし得る。
前記本体11内には後方で開放された空所16が形成され、その後端開口部17は、使用姿勢や格納姿勢における上位部42により閉塞されている。そして空所16内には、ステップ41が退避姿勢において、後端開口部17を通して出退動自在なリフト装置51が設けられている。
すなわち、空所16内の両側には前後方向のガイドレール52が配設され、これらガイドレール52に輪体53を介して支持案内されることで前後動自在な可動体54が設けられるとともに、本体11側と可動体54との間には多段形式の前後用シリンダー(前後動手段の一例)55が設けられている。そして可動体54の後面側には、左右一対の4連リンク機構56を介してリフト台57が上下動自在に設けられるとともに、可動体54とリフト台57との間にはリフト用シリンダー(リフト動手段の一例)58が設けられている。
前記リフト台57の両側部には手摺59が上下に伸縮自在に設けられ、また両手摺59の後端部分には、後部枠60が観音開き状で開閉自在に設けられている。そしてリフト台57の後端部には、左右方向ピン61を介してアプローチスロープ62が上下方向に回動自在に設けられている。さらにリフト台57の後部で上面57a側には、車椅子7の車輪8が乗り越え可能でかつ乗り越えた車輪8を受け止めて逆走(脱落)を阻止するストッパー体63が設けられている。
したがってリフト装置51は、アプローチスロープ61を上方に回動させ、リフト用シリンダー装置58を中間伸縮状態としてリフト台57を中間レベル位置とし、手摺59を下降収縮させた状態で、前後用シリンダー55を収縮動させることによって、可動体54や4連リンク機構56を介してリフト台57を前側に移動させて全てを空所16内に格納した非使用状態とし得(図1、図2参照)、また前後用シリンダー55を伸展動させることによって、可動体54や4連リンク機構56を介してリフト台57を後側に移動させ、以て図7、図9に示すように、4連リンク機構56やリフト台57を空所16内から後方に突出させた使用状態とし得る。
そして突出させた状態で、リフト用シリンダー58を収縮動させることによって、4連リンク機構56を介してリフト台57を下降させて地上面1に着地し得、またリフト用シリンダー58を伸展動させることによって、4連リンク機構56を介してリフト台57を上昇させて、その上面57aをフロア15またはフロア15上の昇降台(後述する。)に接続し得る。以上の52〜63などにより、フロア15の後方で昇降自在なリフト台57を有するリフト装置51の一例が構成される。
また本体11の後部側には後部ダクト体64が配設され、この後部ダクト体64は、使用状態にあるリフト台57の上方を覆う門形状で、その下部は本体11側に連結され、天板部は前後方向で水平状に形成されている。なお後部ダクト体64の前端部分と中間部ダクト体36後端部分の間には後部幌体65が設けられている。
図1〜図5において、前記本体11の上方、すなわち床体22の後方位置と前記フロア15の上方位置との間には昇降台装置71が設けられている。この昇降台装置71は、中間部ダクト体36における他方(右側)の側壁側に配設されたガイドレール体72を有し、このガイドレール体72は、前述した階段31における側枠32群に沿った状態で配設されている。そして、ガイドレール体72に支持案内されて移動自在な移動体73が設けられ、この移動体73側に昇降台80が設けられている。
すなわちガイドレール体72には、上向きの支持案内面72aと他方の側壁側に向く受け案内面72bとが形成されている。前記移動体73はガイドレール体72に沿って長い板状であって、その長さ方向の両端部分それぞれには、前記支持案内面72aに支持案内される支持ローラ74と、前記受け案内面72bに受け案内される受けローラ75とが遊転自在に設けられている。そして移動体73の内面側には中間板状体76が、角度調整部77を介して回転角度調整自在に設けられている。ここで角度調整部77は、モータ使用の駆動形式や手動形式であって、左右方向の回転軸78を介して中間板状体76を左右方向軸心78Aの回りに左右回転させるように構成されている。
前記中間板状体76に対して昇降台80が前後方向にスライド調整自在に設けられている。ここで昇降台80は、中間板状体76側にスライド調整自在に設けられた背板部81と、この背板部81の下端から一方側(左側)に延びる床部82とからなる。その際に背板部81には、中間板状体76の上面76a側に支持案内される複数の支持ローラ83と、中間板状体76の外向き案内面76bに受け案内される上下でそれぞれ複数の受けローラ84とが遊転自在に設けられている。
前記背板部81の下部に対して床部82の外端部が前後方向ピン85を介して連結され、以て床部82は、背板部81に対して直角水平状の使用姿勢と、背板部81に沿った起立折り畳み状の非使用姿勢とに回動自在に構成されている。そして背板部81の下部には、直角水平状の使用姿勢の床部82を受け止める受け部81Aが内方へ向けて形成されている。また背板部81の下部で外側には、中間部ダクト体36における他方の側壁の内側面上で回転自在な球状体86が設けられている。なお移動体73の移動は、ガイドレール体72の前端近くに取り付けられたウインチ装置(傾斜昇降動手段の一例)87のワイヤーロープ88が移動体73に連結されていることで可能となる。以上の72〜88などにより、昇降台装置71の一例が構成される。
以下に、上記した実施の形態における作用を説明する。
まず中型航空機への搭乗を、図1〜図9において説明する。図1、図2に示すように、乗降用車両10を、運転部13における操作によって中型航空機の機体2に接近走行させる。このとき昇降床装置21は、昇降用シリンダー23の伸展動により床体22を上昇させており、これにより階段31は、踏板33群を水平状として側枠32群を所定の角度で傾斜させている。またリフト装置51は、その全てを空所16内に格納して非使用状態とし、そしてステップ41は、その上位部42により後端開口部17を閉塞するとともに、下位部43の最上位面を前向きとして上位部42の後面に当接させた格納姿勢としている。さらに昇降台装置71の昇降台80は、床部82を背板部81に沿った起立折り畳み状とした非使用姿勢としている。なお床部82は、適宜の係止手段(図示せず。)により起立折り畳み状の姿勢が堅持されている。
前述したように、乗降用車両10を機体2に接近走行させ、床体22を乗降口3に十分に接近させた状態で停車させる。そして図6に示すように、アウトリガ14を下降動させて地上面1に着地させ、以て乗降用車両10を位置決めさせる。次いで、運転者または他の作業者が床体22上において上部操作盤29を操作し、以て昇降用シリンダー23を伸縮動させて床体22の昇降位置の最終調整(微調整)を行う。そして、風雨よけの前部幌体25を機体2側に装着させるのであるが、この前後に機体ドアが開動され、乗降口3を開放させている。またスライド式フロア27は、最初から、または操作することで前端側に位置して、凹入切り欠き部26を閉塞した状態にある。そして、床体22上で横に立てかけていた渡し板28を、図2の仮想線や図6に示すように、スライド式フロア27上から乗降口3に亘って敷く。以上で前半の搭乗準備を終えることになる。
健常者Aの搭乗のとき、上位部42に対して下位部43を左右方向連結軸45の軸心回りに下方へ回動させ、以てステップ41を、図2の仮想線や図6に示すように、その階段状上面41aがフロア15と地上面1とを連続した使用姿勢として、後半の搭乗準備を終えることになる。これにより健常者Aは、地上面1から、ステップ41の階段状上面41a、フロア15、階段31の踏板33群、床体22、スライド式フロア27、渡し板28へと歩行し、乗降口3を通って搭乗し得る。その際に、階段31の踏板33群での歩行は、図5の仮想線に示すように、床部76を背板部75に沿った起立折り畳み状とした非使用姿勢としていることで、昇降台装置71の昇降台74側に邪魔されることなく行える。なお、健常者Aの搭降は、逆方向へ歩行することで行える。
また、車椅子乗客やステップ昇降が困難な乗客など障害者Bのとき、まずステップ41を操作する。すなわち、上位部42に対して下位部43を左右方向連結軸45の軸心回りに上方へ回動させることで、この下位部43の最上位面を前向きとして上位部42の後面に当接させ、以てステップ41を格納姿勢とし得る。そして、一方の縦方向連結軸44を抜出したのち、他方の縦方向連結軸44の軸心回りに側外方へ回動させることで、図9に示すように、ステップ41を本体11の後方から退避した姿勢(横に開いた姿勢)として、後端開口部17を開放させる。
次いでリフト装置51を操作する。すなわち、前後用シリンダー55を伸展動させることによって可動体54を、輪体53を介してガイドレール52に支持案内させた状態で後側に移動させ、4連リンク機構56やリフト台57を空所16内から後端開口部17を通して後方に突出させる。そしてリフト用シリンダー58を収縮動させ、4連リンク機構56を介してリフト台57を下降して地上面1に着地させる。さらに、手摺59を上方へと伸展させるとともに、後部枠60を開動させ、そしてアプローチスロープ62を左右方向ピン61の回りに後方下方に回動させて着地させることで、図7に示すように、リフト装置51を使用状態とする。
次いで昇降台装置71を操作する。すなわち昇降台80の床部82を背板部81に対して直角水平状に回動したのち、ウインチ装置87によりワイヤーロープ88を繰り出して移動体73をガイドレール体72の支持案内により下方へと傾斜移動させ、床部82をフロア15上に着床させることで、昇降台装置71を使用姿勢とする。なお、このとき昇降台80は、角度調整部77の操作により回転角度が調整されることで床部82の床面が水平状とされている。
これにより障害者B、すなわち車椅子7は、図7の実線から仮想線に示すように、地上面1からアプローチスロープ62を介してリフト台57上に乗り込み得る。その際に、車輪8がストッパー体63を乗り越えることで、リフト台57上の車椅子7が不測にして逆走(脱落)することを阻止し得る。このリフト台57上に乗り込みは係員(同行者)Cとともに行われ、この乗り込みなどを安全装置(図示せず。)が確認した条件下で、係員Cが操作盤(図示せず。)を操作することによって、リフト用シリンダー58を伸展動させ、4連リンク機構56を介してリフト台57を上昇させる。このリフト台57の上昇は、図8に示すように、リフト台57の上面が床部76の上面と同一状のレベルになるように行われ、そしてレベル検出装置(図示せず。)が検出することで自動的に停止される。
この前後に昇降台80を、中間板状体76に対して後方へとスライド調整し、以て床部82の後端に対してリフト台57の前端を接続状態(連続状態)とする。次いでリフト台57上の車椅子7を、係員Cによって床部82上に移動させる(移す)。このとき車椅子7は、左右方向の向きに調整され、障害者は背中を背板部81に向けた姿勢となる。この乗り移りなどを安全装置が確認した条件下で、係員Cが操作盤を操作することによって、ウインチ装置87を作動させてワイヤーロープ88を巻き取り、移動体73をガイドレール体72の支持案内により、傾斜している階段31に沿って傾斜方向に上昇させる。
この移動体73の上昇によって、中間板状体76を介して昇降台80を上昇し得、その際に上昇は、図8の仮想線イに示すように、床部82の上面が床体22の上面と同一状のレベルになるように行われ、そしてレベル検出装置が検出することで自動的に停止される。次いで昇降台80を、中間板状体76に対して前方へとスライド調整し、以て図8の仮想線ロに示すように、床体22と床部82との間の隙間を埋めて、床体22の後端に対して床部82の前端を接続状態(連続状態)とする。その後に床部82上の車椅子7を、前向きに調整しながら床体22上へ乗り移らせ、そしてスライド式フロア27、渡し板28へと移動させることで、乗降口3を通って搭乗し得る(機内へ乗り込み得る。)。
以上の動作を繰り返すことで、複数の障害者B、すなわち複数の車椅子7を、順次搭乗し得る。また、ステップ昇降が困難な障害者の場合には、車椅子7を使用してもよいし、あるいは障害者がリフト台57上や床部82上に立った状態で上昇し、乗り移りを歩行で行ってもよい。なお、障害者Bの搭降は、車椅子7を逆方向へ移動させるなどすることで行える。
次に小型航空機への搭乗を、図10〜図14において説明する。図10に示すように、乗降用車両10を、運転部13における操作によって小型航空機の機体4に接近走行させる。このとき昇降床装置21は、昇降用シリンダー23の収縮動により床体22を下降させており、これにより階段31は、側枠32群を水平状とし、踏板33群を水平状として並列(整列)させている。その際に踏板33群の上面は、フロア15や床体22の上面と同一状のレベルとなって接続している。またリフト装置51は、その全てを空所16内に格納して非使用状態とし、そしてステップ41は、図10の仮想線に示すように、その上位部42により後端開口部17を閉塞するとともに、下位部43の最上位面を前向きとして上位部42の後面に当接させた格納姿勢としている。さらに昇降台装置71の昇降台80は、床部82を背板部81に沿った起立折り畳み状とした非使用姿勢としている。
前述したように、乗降用車両10を機体4に接近走行させ、床体22を機体ドア5に十分に接近させた状態で停車させる。そして、アウトリガ14を下降動させて地上面1に着地させ、以て乗降用車両10を位置決めさせる。次いで、運転者または他の作業者が床体22上において上部操作盤29を操作し、以て昇降用シリンダー23を伸縮動させて床体22の昇降位置の最終調整(微調整)を行う。その後に、風雨よけの前部幌体25を機体4側に装着させる。
そして、スライド式フロア27を後側に移動(スライド)して、凹入切り欠き部26を完全に開放させる。次いで機体ドア5を下方へ開動させて乗降口6を開放させ、その際に機体ドア5の開動は、凹入切り欠き部26を通して何ら支障なく行える。次いでスライド式フロア27を前端側に移動して、凹入切り欠き部26の後部側を閉塞したのち、床体22上で横に立てかけていた渡し板28を、スライド式フロア27上から乗降口6に亘って敷く。以上で前半の搭乗準備を終えることになる。
健常者Aの搭乗のとき、上位部42に対して下位部43を左右方向連結軸45の軸心回りに下方へ回動させ、以て図10の実線に示すように、ステップ41を、その階段状上面41aがフロア15と地上面1とを連続した使用姿勢として、後半の搭乗準備を終えることになる。これにより健常者Aは、地上面1から、ステップ41の階段状上面41a、フロア15、水平状の踏板33群、床体22、スライド式フロア27、渡し板28へと歩行し、乗降口6を通って搭乗し得る。その際に、フロア15や階段31の踏板33群での歩行は、床部82を背板部81に沿った起立折り畳み状とした非使用姿勢としていることで、昇降台装置71の昇降台80側に邪魔されることなく行える。なお、健常者Aの搭降は、逆方向へ歩行することで行える。
また、車椅子乗客やステップ昇降が困難な乗客など障害者Bのとき、まずステップ41を操作する。すなわち、上位部42に対して下位部43を左右方向連結軸45の軸心回りに上方へ回動させることで、この下位部43の最上位面を前向きとして上位部42の後面に当接させ、以てステップ41を格納姿勢とし得る。そして、一方の縦方向連結軸44を抜出したのち、他方の縦方向連結軸44の軸心回りに側外方へ回動させることで、図14に示すように、ステップ41を本体11の後方から退避した姿勢(横に開いた姿勢)として、後端開口部17を開放させる。
次いでリフト装置51を操作する。すなわち、前後用シリンダー55を伸展動させることによって可動体54を、輪体53を介してガイドレール52に支持案内させた状態で後側に移動させ、4連リンク機構56やリフト台57を空所16内から後端開口部17を通して後方に突出させる。そしてリフト用シリンダー58を収縮動させ、4連リンク機構56を介してリフト台57を下降して地上面1に着地させる。さらに、手摺59を上方へと伸展させるとともに、後部枠60を開動させ、そしてアプローチスロープ62を左右方向ピン61の回りに後方下方に回動させて着地させることで、図12に示すように、リフト装置51を使用状態とする。
これにより障害者B、すなわち車椅子7は、図12の実線から仮想線に示すように、地上面1からアプローチスロープ62を介してリフト台57上に乗り込み得る。その際に、車輪8がストッパー体63を乗り越えることで、リフト台57上の車椅子7が不測にして逆走(脱落)することを阻止し得る。このリフト台57上に乗り込みは係員(同行者)Cとともに行われ、この乗り込みなどを安全装置(図示せず。)が確認した条件下で、係員Cが操作盤(図示せず。)を操作することによって、リフト用シリンダー58を伸展動させ、4連リンク機構56を介してリフト台57を上昇させる。このリフト台57の上昇は、図13に示すように、リフト台57の上面がフロア15の上面と同一状のレベルになるように行われ、そしてレベル検出装置(図示せず。)が検出することで自動的に停止される。
次いでリフト台57上の車椅子7を、係員Cによってフロア15上に移動させ(乗り移らせ)る。その後に車椅子7を、図13の仮想線に示すように、水平状の踏板33群、床体22、スライド式フロア27、渡し板28へと移動させることで、乗降口6を通って搭乗し得る(機内へ乗り込み得る。)。その際に、フロア15や階段31の踏板33群での移動は、床部82を背板部81に沿った起立折り畳み状とした非使用姿勢としていることで、昇降台装置71の昇降台80側に邪魔されることなく行える。
以上の動作を繰り返すことで、複数の障害者B、すなわち複数の車椅子7を、順次搭乗し得る。また、ステップ昇降が困難な障害者の場合には、車椅子7を使用してもよいし、あるいは障害者がリフト台57上に立った状態で上昇し、乗り移りを歩行で行ってもよい。なお、障害者Bの搭降は、車椅子7を逆方向へ移動させるなどすることで行える。
上記した実施の形態では、リフト用シリンダー58を収縮動させ、4連リンク機構56を介してリフト台57を下降して地上面1に着地させているが、これはリフト台57を着地させずに、着地させたアプローチスロープ62を利用して乗降してもよい。
上記した実施の形態では、移動体73側に対して昇降台80を、回転角度調整自在にかつ前後方向にスライド調整自在に設けた形式を示しているが、これは回転角度調整自在のみの形式、スライド調整自在のみの形式、回転角度調整やスライド調整を行えない形式などであってもよい。
上記した実施の形態では、昇降動手段として昇降用シリンダー23が、前後動手段として前後用シリンダー55が、リフト動手段としてリフト用シリンダー58が示されているが、これら手段は、シリンダー形式に代えて、ラック・ピニオン形式、パンタグラフ形式、ウインチ形式などを採用してもよい。また傾斜昇降動手段としてウインチ装置87が示されているが、これはシリンダー形式、ラック・ピニオン形式、パンタグラフ形式などを採用してもよい。
上記した実施の形態では、ステップ41とリフト装置51を前後方向に位置させた形式が示されているが、これは本体11の後部にステップ41とリフト装置51を左右方向で併設した形式などであってもよい。この場合、ステップ41は退避させなくてもよく、またリフト装置51は格納しなくてもよい。
上記した実施の形態では、昇降台装置71の昇降台74を階段31の上方で傾斜移動させる形式が示されているが、これは昇降台装置71と階段31を左右方向で併設した形式などであってもよい。この場合、昇降台装置71は非使用姿勢に切り換える必要はない。