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JP2007019259A - 太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

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JP2007019259A JP2005198974A JP2005198974A JP2007019259A JP 2007019259 A JP2007019259 A JP 2007019259A JP 2005198974 A JP2005198974 A JP 2005198974A JP 2005198974 A JP2005198974 A JP 2005198974A JP 2007019259 A JP2007019259 A JP 2007019259A
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Abstract

【課題】 太陽電池のドーピング領域の再結合速度を低減して光生成キャリアの再結合損失を抑制し、高性能を実現する太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】 半導体基板に対しドーパントを熱拡散させて高濃度ドーピング領域を形成する熱拡散工程と、酸素含有雰囲気とした加熱炉において該高濃度ドーピング領域の表面に酸化膜を形成する酸化処理工程と、該酸化膜を除去し、該高濃度ドーピング領域の表面ドーパント濃度が低下させられたドーピング領域を形成する酸化膜除去工程とを含む太陽電池の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光を電気に変換する太陽電池およびその製造方法に関し、特に低コスト化および高効率化が求められている住宅用の太陽電池セルとして有用である太陽電池およびその製造方法に関する。
太陽光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する太陽電池に対しては、近年、特に地球環境問題の観点から、次世代のエネルギー源としての期待が急激に高まっている。太陽電池用の材料としては化合物半導体や有機材料などが利用されてきたが、現在はシリコン結晶が主流となっている。現在最も多く生産、販売されている太陽電池では、太陽光を受ける受光面にはn電極が、受光面の反対面である裏面にはp電極が設けられている。受光面側に設けられたn電極は、光電変換により得られた電流の取り出しのために必要不可欠であるが、n電極が形成された部位の基板には該n電極による遮蔽によって太陽光が入射しないため、電極面積が大きいと変換効率が低下する。受光面側の電極によるこのような変換効率の損失をシャドウロスという。
受光面に電極がない裏面電極型太陽電池においては、電極によるシャドウロスがなく、入射する太陽光をほぼ100%太陽電池に取り込むことができるため、原理的に高変換効率が実現可能である。図3は、従来技術に係る裏面ポイントコンタクト型の太陽電池の構造を示す概略断面図である。従来においては、図3に示すような、集光型に適した裏面ポイントコンタクト型の太陽電池が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
図3に示す太陽電池においては、半導体基板10の裏面に高濃度pドーピング領域12cと高濃度nドーピング領域13cとを交互に設けている。半導体基板10の表面には、たとえばシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜からなるパッシベーション層11が形成されており、これによって表面再結合が抑制されている。裏面に設けられたp領域コンタクトホール16bおよびn領域コンタクトホール17bをそれぞれ介し、高濃度pドーピング領域12cにはp電極14bが、高濃度nドーピング領域13cにはn電極15bがそれぞれ接続され、光電変換により得られた電流が取り出される。受光面のパッシベーション層11は反射防止膜としての働きも兼ねている。図3からわかるように、pドーピング領域、nドーピング領域、p電極、n電極は全て裏面に形成されており、受光面には光をさえぎるものがなく、太陽光をほぼ100%取り込むことができる。
特許文献1に記載される太陽電池の製造プロセスの概略は以下のようなものである。まず酸化膜を形成後、窒化膜を堆積してパッシベーション層11を形成する。次にフォトリソグラフィー技術によりn領域コンタクトホール17bを開け、n型のドーパントを含むガラス層をCVDにより堆積させる。該ガラス層の高濃度pドーピング領域に相当する部分を除去した後、p領域コンタクトホール16bをフォトリソグラフィー技術により形成し、p型のドーパントを含むガラス層を堆積させる。次いで900℃で加熱することにより高濃度pドーピング領域12cおよび高濃度nドーピング領域13cが形成される。その後表面に残留するガラス層を全て除去し、H2雰囲気中、900℃以上の高温で熱処理しSi−SiO2間の界面を水素化処理する。拡散源となった2つのガラス層を除去した後、Alをスパッタなどにより堆積させ、フォトリソグラフィー技術によりパターニングしてp電極14bおよびn電極15bを形成する。
しかし、特許文献1に開示されるような裏面電極型太陽電池は、当初集光型の太陽電池として開発されたものであり、製造工程においては、複雑なフォトリソグラフィー技術、高品位のドーピング技術およびパッシベーション技術が用いられていた。そのため、コストが高く、一般の地上用太陽電池としては適していなかった。
図4は、従来技術に係る裏面電極型太陽電池の構造を示す概略断面図である。上記の問題を解決するため、プロセスの簡略化により低コスト化した裏面電極型太陽電池が開発された(たとえば非特許文献1参照)。特許文献1に開示される太陽電池との主な違いは、裏面の高濃度pドーピング領域12cに相当する部分が数μm程度削られている点と、高濃度pドーピング領域12cと高濃度nドーピング領域13cとが接している点である。
非特許文献1に記載された太陽電池の製造プロセスの概略は以下のようなものである。まず、シリコン基板の裏面全面に、n型のドーパントを含むガラス層をCVDにより堆積させる。その後該ガラス層を下地のシリコンごと櫛の歯状にエッチングする。このため図4に示した様に裏面には段差ができる。その上から、裏面全面にp型のドーパントを含むガラス層を堆積させる。その後熱処理を行なうと、n型ガラス層に接しているシリコン基板にはn型ドーパントが拡散されて高濃度nドーピング領域13cが形成され、p型ガラス層に接しているシリコン基板にはp型ドーパントが拡散されて高濃度pドーピング領域12cが形成される。その後、シリコン基板表面にパッシベーション層11を形成し、さらにコンタクトホールをあけ、p電極14bとn電極15bとを高濃度pドーピング領域12cと高濃度nドーピング領域13cとにそれぞれ接続する。
図3や図4に示したような裏面電極型太陽電池の場合、太陽電池特性、および裏面のシリコンとパッシベーション層との界面における表面再結合速度は、非常に密接に結びついており、高い変換性能を実現するためには、該界面における表面再結合速度を低減して、光生成キャリアの再結合損失を抑制する必要がある。特許文献1では表面再結合速度低減のために、水素中900℃以上の高温で熱処理することによりシリコンとパッシベーション層との界面を水素化処理し、再結合速度を低減しているが、太陽電池のコストを低減するためには、このようなパッシベーションはできるだけ簡単な処理で行なうことが望ましい。
たとえばn型基板を使用した場合を例とすると、高濃度pドーピング領域と高濃度nドーピング領域の間に、基板よりも不純物濃度が高く、かつ該高濃度nドーピング領域よりも不純物濃度の低い低濃度nドーピング領域を設けた場合、いわゆるBack Surface Field(BSF)効果が生じ、裏面での光生成キャリアの再結合損失が抑制される。BSFとは、裏面近傍の半導体中にn型ドーパントを分布させ、nドーピング領域を形成することによって裏面の近傍に形成させた内蔵電界である。この内蔵電界によって、n型基板内で生成した少数キャリア(正孔)のうち、裏面に向かうものが反射され、裏面での再結合損失が抑制されて、太陽電池特性が向上する。
また、高濃度pドーピング領域と高濃度nドーピング領域との間に、上記の低濃度nドーピング領域の代わりに低濃度pドーピング領域を設けても良い。この場合はいわゆるFloating Junction(FJ)構造が形成され、前述のBSFとは異なる機構ではあるものの、BSFと同様に裏面での再結合損失が抑制され、太陽電池特性が向上する。非特許文献2には、FJ構造を応用したSi太陽電池について、720mVというSi太陽電池としては最も高い開放電圧が得られたことが報告されており、上述のパッシベーション法の有効性が実証されている。
さらに、特許文献2では、拡散炉内において、N型またはP型のドーパントを含む雰囲気で、P型またはN型のシリコン基板に対して熱拡散によって接合層を形成した後、該拡散炉内の雰囲気を酸素雰囲気に切り換えるとともに、徐冷を開始して、シリコン基板表面に保護膜を形成するという手法が報告されている。シリコン基板の熱拡散後にドーピング領域表面を酸化させ、さらに酸化部分を除去することにより、ドーピング領域の表面におけるドーパント濃度を低下させ、キャリアの表面再結合を低減させることができるが、同時にドーパントの量が低下することによる拡散電位の低下を引き起こす恐れがある。
米国特許第4,927,770号明細書 特開2002−222973号公報 Ronald A. Sinton and Richard M. Swanson, "Simplified Backside−Contact Solar Cells" IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES. VOL.37, NO.2, February 1990, p.348−p.352 "Rear Surface Effects in High Efficiency Silicon Solar Cells" S. R. Wenham, S. J. Robinson, X. Dai, J. Zhao, A. Wang, Y. H. Tang, A. Ebong, C. B. Honsberg and M. A. Green, Proc. IEEE 1st WCPEC, Hawaii (1994) pp.1278−1282
本発明は上記の課題を解決し、光生成キャリアの再結合損失をより簡便な処理で抑制することによって、高い変換性能を有する太陽電池、特に好ましくは裏面電極型の太陽電池を、低コストで提供することを目的とする。
本発明は、第1導電型ドーパントを含む雰囲気とした加熱炉において、第1導電型または第2導電型の半導体基板に対し第1導電型ドーパントを熱拡散させ、第1導電型高濃度ドーピング領域を形成する第1の熱拡散工程と、酸素含有雰囲気とした加熱炉において、該第1導電型高濃度ドーピング領域の表面に第1の酸化膜を形成する第1の酸化処理工程と、該第1の酸化膜を除去し、該第1導電型高濃度ドーピング領域の表面ドーパント濃度が低下させられた第1導電型ドーピング領域を形成する第1の酸化膜除去工程と、第2導電型ドーパントを含む雰囲気とした加熱炉において、該半導体基板に対し第2導電型ドーパントを熱拡散させ、第2導電型高濃度ドーピング領域を形成する第2の熱拡散工程と、酸素含有雰囲気とした加熱炉において、該第2導電型高濃度ドーピング領域の表面に第2の酸化膜を形成する第2の酸化処理工程と、該第2の酸化膜を除去し、該第2導電型高濃度ドーピング領域の表面ドーパント濃度が低下させられた第2導電型ドーピング領域を形成する第2の酸化膜除去工程とを含む太陽電池の製造方法に関する。
本発明はまた、該熱拡散工程および該酸化処理工程に対して1の加熱炉が用いられる太陽電池の製造方法に関する。
本発明はまた、該第1の熱拡散工程および該第2の熱拡散工程に対して第1の加熱炉が用いられ、該第1の酸化処理工程および該第2の酸化処理工程に対して第2の加熱炉が用いられる太陽電池の製造方法に関する。
本発明はまた、該第1の熱拡散工程と該第1の酸化処理工程との加熱温度、および、該第2の熱拡散工程と該第2の酸化処理工程との加熱温度がそれぞれ同一である太陽電池の製造方法に関する。
本発明はまた、該第1の酸化処理工程が該第1の熱拡散工程よりも高温で行なわれ、かつ、該第2の酸化処理工程が該第2の熱拡散工程よりも高温で行なわれる太陽電池の製造方法に関する。
本発明はまた、該第1の熱拡散工程および該第2の熱拡散工程における加熱温度が800℃〜1000℃の範囲内、加熱時間が30分間〜100分間の範囲内、ドーパントのキャリアガス流量比が0.1%〜10%の範囲内にそれぞれ設定される太陽電池の製造方法に関する。
本発明はまた、該第1の酸化処理工程および該第2の酸化処理工程における加熱温度が800℃〜1000℃の範囲内、加熱時間が1分間〜10分間の範囲内にそれぞれ設定される太陽電池の製造方法に関する。
本発明に係る太陽電池の製造方法は、特に裏面電極型の太陽電池の製造方法に関する。
本発明はさらに、上記の製造方法により得られる太陽電池に関する。
本発明により製造される太陽電池においては、簡便な処理で表面再結合速度を低減させ、光生成キャリアの再結合損失を抑制することによって、高い変換性能を低コストで実現することが可能となる。
本発明においては、第1導電型または第2導電型の半導体基板に、第1導電型および第2導電型の高濃度ドーピング領域をそれぞれ設け、該半導体基板よりも不純物濃度が高く、該高濃度ドーピング領域よりも不純物濃度が低い、第1導電型および第2導電型の低濃度ドーピング領域をそれぞれ設ける。これにより、いわゆるBack Surface Field(BSF)効果を生じさせ、裏面での光生成キャリアの再結合損失を抑制することができる。なお本発明においては、第1導電型がp型で第2導電型がn型でも良く、また第1導電型がn型で第2導電型がp型でも良い。
以下に図を例示しながら本発明の具体的な実施の形態について例示する。図1は、本発明に係る太陽電池セルの製造工程について説明する概略断面図である。まず、第1導電型または第2導電型の半導体基板の表面を拡散制御マスク30により保護する。拡散制御マスクとは、ドーパントの拡散工程において、ドーパントの拡散を抑制し、または停止させる制御機能などを有する膜をいう。拡散制御マスクとしては、熱酸化により形成されたSiO2膜が良く用いられるが、長時間高温の熱酸化を行なうと基板のバルクライフタイムが低下し、太陽電池性能が低下する傾向がある。スピンオングラス膜は、熱酸化膜と比べて低温で容易に形成できるので量産性が高く、かつ、基板のバルクライフタイムを低下させる可能性も低いという利点がある。またスピンオングラス膜においては膜厚の制御も容易かつ精度良く行なえるので、拡散制御マスクとしてはスピンオングラス膜が好適である。次に、形成した拡散制御マスクの一部であって第1導電型高濃度ドーピング領域に相当する部分に開口部を設ける。この開口部はたとえばフォトリソグラフィー技術を用いて形成することができるが、より簡便には、たとえば、特表2003−531807号公報、米国特許出願公開第2003/0160026号明細書に記載されるような公知の方法で、エッチングペーストを用いて行なう方法もある。エッチングペーストとは、スクリーン印刷が可能な、シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜のエッチング材料であり、該エッチングペーストをスクリーン印刷によりパターン印刷して加熱することにより、シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜を用いた拡散制御マスクに開口部を設けることができる。また、たとえば特表2002−539615号公報に記載されるような公知の方法で、マスキングペーストを用い、スクリーン印刷によるパターニングで拡散制御マスク層をはじめから形成する方法もある。マスキングペーストとはスクリーン印刷が可能な拡散制御マスク材料である。
その後、加熱炉内で第1導電型ドーパント31を熱拡散させると、拡散制御マスクの開口部に相当する部分のみにおいて第1導電型ドーパント31が基板内に拡散し、第1導電型高濃度ドーピング領域12aが形成される(第1の熱拡散工程)(図1(A))。本発明においては、基板に対するドーパントの熱拡散後に、ドーピング領域表面を酸化させ、さらに酸化部分を除去することにより、ドーピング領域の表面ドーパント濃度を低下させ、キャリアの表面再結合を低減させることができるが、同時にドーパントの量を低下させ、拡散電位の低下を引き起こす恐れがある。よって本発明では、熱拡散後の酸化処理を行なわない場合の最適な熱拡散条件よりも高温または長時間の条件で熱拡散処理を行ない、より多くのドーパントを基板内部に熱拡散させることが好ましい。具体的には、たとえば、800℃〜1000℃で30分〜100分間の熱拡散条件が挙げられる。
熱拡散の方法としては、たとえば気相拡散法やイオンインプランテーション法などが挙げられる。拡散制御マスク、エッチングペースト、マスキングペーストなどを使って熱拡散を行なうことにより簡便にドーピング領域を形成することができ、本発明のようなドーパント濃度の複雑な分布を有する裏面電極型太陽電池を低コストで量産することが可能となる。
その後、加熱炉内を酸素含有雰囲気とし、加熱炉内の温度をたとえば熱拡散工程よりも0℃〜200℃高い温度に設定して、第1導電型高濃度ドーピング領域の表面を酸化させる(第1の酸化処理工程)(図1(B))。これにより、第1導電型高濃度ドーピング領域の表面に第1の酸化膜33が形成される。本発明においては、第1の熱拡散工程と第1の酸化工程、および、第2の熱処理工程と第2の酸化処理工程が、それぞれ同じ温度条件に設定される場合、温度変化に伴う基板の膨張、収縮が発生せず、基板の割れが低減できるという利点を有する。一方、該酸化処理工程が該熱拡散工程よりもそれぞれ高温で行なわれる場合、短時間で目的の厚さの酸化膜を形成できるために基板のダメージが低減できるという利点を有する。
本発明の酸化処理工程における加熱炉内の雰囲気は酸素含有雰囲気とされる。特に、酸素の流量比が50〜100%とされることが好ましい。該流量比が50%以上である場合高濃度ドーピング領域表面の酸化処理を所望の程度まで効率良く進行させることができる。加熱炉内の雰囲気中には、酸素以外に窒素等が含まれていても良い。
本発明においては、熱拡散工程と酸化処理工程とを同一の加熱炉内で行なっても良いが、熱拡散工程後に基板を加熱炉外へ取り出し、熱拡散工程よりも0℃〜200℃高い設定とした別の加熱炉内に投入し、酸素含有雰囲気下で熱処理することにより酸化処理工程を行なっても良い。具体的には、たとえば第1の加熱炉と第2の加熱炉とを用い、第1の熱拡散工程および第2の熱拡散工程を第1の加熱炉にて行ない、第1の酸化処理工程および第2の酸化処理工程を第2の加熱炉にて行なう方法が好ましく採用され得る。熱拡散工程と酸化処理工程とを別の加熱炉にて行なう場合、酸化処理工程において高濃度ドーピング領域の表面を均一に酸化処理することができる点で好ましい。さらに、第1の熱拡散工程および第2の熱拡散工程が異なる加熱炉を用いて行われても良い。
その後、基板を1質量%〜50質量%程度のフッ酸水溶液に浸漬することにより、第1導電型高濃度ドーピング領域表面の第1の酸化膜33を除去し、表面ドーパント濃度の低下した第1導電型ドーピング領域12bを得ることができる(第1の酸化膜除去工程)。
第2導電型ドーパントの拡散についても、上記と同様な工程を適用し、第2導電型ドーパント32を拡散させることにより第2導電型高濃度ドーピング領域13aを形成することができる(第2の熱拡散工程)(図1(C))。その後、同様な工程で第2導電型高濃度ドーピング領域表面を酸化させた後(第2の酸化処理工程)(図1(D))、基板を1質量%〜50質量%程度のフッ酸水溶液に浸漬してp型ドーピング層表面の第2の酸化膜34を除去することにより、表面ドーパント濃度の低下した第2導電型ドーピング領域13bを得ることができる(第2の酸化膜除去工程)。
図2は、酸化処理時間と基板表面のシート抵抗値との関係を示す図である。図2に示されるように、酸化処理工程においては、第1導電型もしくは第2導電型の熱拡散後の酸化処理時間が長いほど、または酸化処理温度が高いほど、ドーピング層表面の酸化が促進され、酸化膜を除去した後の基板内部のドーパント量は減少し、基板表面のシート抵抗は増加する。ドーパント量の減少は太陽電池の拡散電位の減少に繋がる恐れがある。よって熱拡散後の酸化処理時間を増加させ、または酸化処理温度を上昇させる場合は、予めドーパントの拡散量を増加させ、酸化処理後の基板内部のドーパント量を一定に保つことが好ましい。また、基板の拡散面のシート抵抗は電極との接触抵抗を減らすためにも100Ω/□程度を上限とすることが好ましい。
上記のような方法で各ドーピング領域を形成した後、基板を75℃〜85℃程度に保ち、界面活性剤としてイソプロピルアルコールを水酸化カリウム水溶液等に対して1質量%〜10質量%添加した1質量%〜10質量%の水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの水溶液に10分間〜60分間浸透させることによって、受光面にテクスチャエッチング面18を形成する。テクスチャエッチング面を形成する方法には、ヒドラジン水溶液等を用いる方法もあるが、受光面に入射光反射を抑制するテクスチャ構造を形成できるものであれば、どのような方法をも用いることができる。
次に基板表面にパッシベーション層11を形成してパッシベーションを行ない(図1(E))、そのパッシベーション層に穴開け加工を施して第1導電型領域コンタクトホール16a、第2導電型領域コンタクトホール17aを設けた上で、電極14a,15aを形成し、本発明に係る太陽電池を得ることができる(図1(F))。
本発明に係る太陽電池は特に裏面電極型太陽電池として作製されることができ、簡便な処理で表面再結合速度を低減させ、光生成キャリアの再結合損失を抑制することによって、高い変換性能を低コストで実現することが可能である。
(実施の形態1)
本実施の形態においては、第1導電型がp型、第2導電型がn型であり、熱拡散工程および酸化処理工程が同じ加熱炉において行なわれる場合について説明する。なお本実施の形態においては図1に示す工程に従って太陽電池の製造を行なっている。
まず、半導体基板としてのp型シリコン基板の表面を拡散制御マスク30により保護する。次に、形成した拡散制御マスクの一部であって高濃度p型ドーピング領域に相当する部分に、フォトリソグラフィー技術を用いて開口部を設ける。その後、シリコン基板を加熱炉内に投入し、窒素雰囲気下、該加熱炉の温度を、昇温速度約5℃/秒で約3分間かけて室温から970℃まで上昇させる。
続いて、窒素をキャリアガスとし、窒素、酸素、BBr3の混合雰囲気下で、970℃で50分間、気相拡散法によりp型ドーパントを熱拡散させ、拡散制御マスクの開口部に相当する部分のみにおいてp型ドーパントを基板内に拡散させ、第1導電型高濃度ドーピング領域12aとしての高濃度pドーピング領域を形成する(第1の熱拡散工程)(図1(A))。熱拡散工程後には、970℃で3分間窒素パージを行なう。
続いて、窒素雰囲気下で、加熱炉内の温度を熱拡散工程よりも0℃〜200℃高い温度に設定し、たとえば昇温速度約1℃/秒で約2分間かけて酸化処理工程における加熱温度まで加熱炉内の温度を上昇させる。
続いて、加熱炉内を酸素雰囲気とし、5分間加熱を行なって、高濃度pドーピング領域の表面を酸化させる(第1の酸化処理工程)(図1(B))。酸化処理工程後には、加熱炉内の温度を酸化処理時と同じ温度に維持したまま3分間窒素パージを行なう。その後、降温速度約5℃/秒で、約3分間かけて加熱炉内を常温まで降温し、シリコン基板を引き出す。
この後、シリコン基板を1質量%〜50質量%程度のフッ酸水溶液に浸漬することにより、pドーピング領域表面の第1の酸化膜33を除去し、表面ドーパント濃度の低下した第1導電型ドーピング領域12bとしてのpドーピング領域を得る(第1の酸化膜除去工程)。
次に、n型拡散を行なう。n型拡散についても、上記と同様な工程を適用することにより第2導電型高濃度ドーピング領域13aとしての高濃度pドーピング領域を形成することができる。
拡散制御マスク30の一部であって高濃度nドーピング領域に相当する部分に、フォトリソグラフィー技術を用いて開口部を設ける。その後、シリコン基板を加熱炉内に投入し、窒素雰囲気下、該加熱炉の温度を、昇温速度約5℃/秒で約3分間かけて室温から890℃まで上昇させる。
続いて、窒素をキャリアガスとし、窒素、酸素、POCl3の混合雰囲気下で、890℃で20分間、気相拡散法によりn型ドーパントを熱拡散させ、拡散制御マスク30の開口部に相当する部分のみにおいてn型ドーパントを基板内に拡散させ、第2導電型高濃度ドーピング領域13aとしての高濃度nドーピング領域を形成する(第2の熱拡散工程)(図1(C))。熱拡散工程後には、890℃で3分間窒素パージを行なう。
続いて、窒素雰囲気下で、加熱炉内の温度を熱拡散工程よりも0℃〜200℃高い温度に設定し、たとえば昇温速度約1℃/秒で約2分間かけて酸化処理工程における加熱温度まで加熱炉内の温度を上昇させる。
続いて、加熱炉内を酸素雰囲気とし、5分間加熱を行なって、高濃度nドーピング領域の表面を酸化させる(第2の酸化処理工程)(図1(D))。酸化処理工程後には、890℃で3分間窒素パージを行なう。その後、降温速度約5℃/秒で、約3分間かけて加熱炉内を常温まで降温し、シリコン基板を引き出す。
この後、シリコン基板を1質量%〜50質量%程度のフッ酸水溶液に浸漬することにより、nドーピング領域表面の第2の酸化膜34を除去し、表面ドーパント濃度の低下した第2導電型ドーピング領域13bとしてのnドーピング領域を得る(第2の酸化膜除去工程)。
上記の方法で各ドーピング領域を形成した後、基板を75℃〜85℃程度に保ち、界面活性剤としてイソプロピルアルコールを水酸化カリウム水溶液等に対して1質量%〜10質量%添加した1質量%〜10質量%の水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの水溶液に10分間〜60分間浸透させることによって、受光面にテクスチャエッチング面18を形成する。
次に基板表面にパッシベーション層11を形成してパッシベーションを行ない(図1(E))、そのパッシベーション層に穴開け加工を施して第1導電型領域コンタクトホール16aとしてのp領域コンタクトホール、第2導電型領域コンタクトホール17aとしてのn領域コンタクトホールを設けた上で、電極14a,15aを形成し、本発明に係る太陽電池としての裏面電極型太陽電池を得る(図1(F))。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、第1導電型がp型、第2導電型がn型であり、第1の熱拡散工程および第2の熱拡散工程が第1の加熱炉において行われ、かつ第1の酸化処理工程および第2の酸化処理工程が第2の加熱炉において行なわれる場合について説明する。なお本実施の形態においては、図1に示す工程に従って太陽電池の製造を行なっている。
まず、半導体基板としてのp型シリコン基板の表面を拡散制御マスク30により保護する。次に、形成した拡散制御マスク30の一部であって第1導電型高濃度ドーピング領域に相当する部分に、フォトリソグラフィー技術を用いて開口部を設ける。その後、シリコン基板を第1の加熱炉内に投入し、窒素雰囲気下、該加熱炉の温度を、昇温速度約5℃/秒で約3分間かけて室温から970℃まで上昇させる。
続いて、窒素をキャリアガスとし、窒素、酸素、BBr3の混合雰囲気下で、970℃で50分間、気相拡散法によりp型ドーパントを熱拡散させ、拡散制御マスク30の開口部に相当する部分のみにおいてp型ドーパントを基板内に拡散させ、第1導電型高濃度ドーピング領域12aとしての高濃度pドーピング領域を形成する(第1の熱拡散工程)(図1(A))。熱拡散工程後には、970℃で3分間窒素パージを行なう。
続いて、窒素雰囲気下で、第1の加熱炉内の温度を、降温速度約5℃/秒で約3分間かけて970℃から室温まで下降させ、シリコン基板を第1の加熱炉から取り出す。
続いて、常温に保たれた、酸化処理を行なうための第2の加熱炉にシリコン基板を投入し、窒素雰囲気下、第2の加熱炉内の温度を、昇温速度約5℃/秒で約3分間かけて室温から酸化処理工程における加熱温度まで上昇させる。ここで、酸化処理工程における加熱温度は熱拡散工程よりも0℃〜200℃高い温度に設定する。
続いて、第2の加熱炉内を酸素雰囲気とし、5分間加熱を行なって、高濃度pドーピング領域の表面を酸化させる(第1の酸化処理工程)(図1(B))。酸化処理工程後には、第2の加熱炉内の温度を酸化処理時と同じ温度に維持したまま3分間窒素パージを行なう。その後、降温速度約5℃/秒で、約3分間かけて第2の加熱炉内を常温まで降温し、シリコン基板を引き出す。
この後、シリコン基板を1質量%〜50質量%程度のフッ酸水溶液に浸漬することにより、pドーピング領域表面の第1の酸化膜33を除去し、表面ドーパント濃度の低下した第1導電型ドーピング領域12bとしてのpドーピング領域を得る(第1の酸化膜除去工程)。
次に、n型拡散を行なう。n型拡散についても、上記と同様な工程を適用することにより第2導電型高濃度ドーピング領域13aとしての高濃度nドーピング領域を形成することができる。
拡散制御マスク30の一部であって第2導電型高濃度ドーピング領域に相当する部分に、フォトリソグラフィー技術を用いて開口部を設ける。その後、シリコン基板を第1の加熱炉内に投入し、窒素雰囲気下、該加熱炉の温度を、昇温速度約5℃/秒で約3分間かけて室温から890℃まで上昇させる。
続いて、窒素をキャリアガスとし、窒素、酸素、POCl3の混合雰囲気下で、890℃で20分間、気相拡散法によりn型ドーパントを熱拡散させ、拡散制御マスク30の開口部に相当する部分のみにおいてn型ドーパントを基板内に拡散させ、第2導電型高濃度ドーピング領域13aとしての高濃度nドーピング領域を形成する(第2の熱拡散工程)(図1(C))。熱拡散工程後には、890℃で3分間窒素パージを行なう。
続いて、窒素雰囲気下で、第1の加熱炉内の温度を、降温速度約5℃/秒で約3分間かけて890℃から室温まで下降させ、シリコン基板を加熱炉から取り出す。
続いて、常温に保たれた、酸化処理を行なうための第2の加熱炉にシリコン基板を投入し、窒素雰囲気下、加熱炉内の温度を、昇温速度約5℃/秒で約3分間かけて室温から酸化処理工程における加熱温度まで上昇させる。ここで、酸化処理工程における加熱温度は熱拡散工程よりも0℃〜200℃高い温度に設定する。
続いて、第2の加熱炉内を酸素雰囲気とし、5分間加熱を行なって、高濃度nドーピング領域の表面を酸化させる(第2の酸化処理工程)(図1(D))。酸化処理工程後には、第2の加熱炉内の温度を酸化処理時と同じ温度に維持したまま3分間窒素パージを行なう。その後、降温速度約5℃/秒で、約3分間かけて第2の加熱炉内を常温まで降温し、シリコン基板を引き出す。
この後、シリコン基板を1質量%〜50質量%程度のフッ酸水溶液に浸漬することにより、nドーピング領域表面の第2の酸化膜34を除去し、表面ドーパント濃度の低下した第2導電型ドーピング領域13bとしてのnドーピング領域を得る(第2の酸化膜除去工程)。
上記の方法で各ドーピング領域を形成した後、基板を75℃〜85℃程度に保ち、界面活性剤としてイソプロピルアルコールを水酸化カリウム水溶液等に対して1質量%〜10質量%添加した1質量%〜10質量%の水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの水溶液に10分間〜60分間浸透させることによって、受光面にテクスチャエッチング面18を形成する。
次に基板表面にパッシベーション層11を形成してパッシベーションを行ない(図1(E))、そのパッシベーション層に穴開け加工を施して、第1導電型領域コンタクトホール16aとしてのp領域コンタクトホール、第2導電型領域コンタクトホール17aとしてのn領域コンタクトホールを設けた上で、電極14a,15aを形成し、本発明に係る太陽電池としての裏面電極型太陽電池を得る(図1(F))。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明に係る太陽電池の製造方法は、特に裏面電界型太陽電池に対して好ましく適用され、簡便な処理で表面再結合速度を低減させ、光生成キャリアの再結合損失を抑制することによって、高い変換性能を低コストで実現することを可能とする。
本発明に係る太陽電池セルの製造工程について説明する概略断面図である。 酸化処理時間と基板表面のシート抵抗値との関係を示す図である。 従来技術に係る裏面ポイントコンタクト型の太陽電池の構造を示す概略断面図である。 従来技術に係る裏面電極型太陽電池の構造を示す概略断面図である。
符号の説明
10 半導体基板、11 パッシベーション層、12a 第1導電型高濃度ドーピング領域、12b 第1導電型ドーピング領域、12c 高濃度pドーピング領域、13a 第2導電型高濃度ドーピング領域、13b 第2導電型ドーピング領域、13c 高濃度nドーピング領域、14a,15a 電極、14b p電極、15b n電極、16a 第1導電型領域コンタクトホール、16b p領域コンタクトホール、17a 第2導電型領域コンタクトホール、17b n領域コンタクトホール、18 テクスチャエッチング面、30 拡散制御マスク、31 第1導電型ドーパント、32 第2導電型ドーパント、33 第1の酸化膜、34 第2の酸化膜。

Claims (9)

  1. 第1導電型ドーパントを含む雰囲気とした加熱炉において、第1導電型または第2導電型の半導体基板に対し第1導電型ドーパントを熱拡散させ、第1導電型高濃度ドーピング領域を形成する第1の熱拡散工程と、
    酸素含有雰囲気とした加熱炉において、前記第1導電型高濃度ドーピング領域の表面に第1の酸化膜を形成する第1の酸化処理工程と、
    前記第1の酸化膜を除去し、前記第1導電型高濃度ドーピング領域の表面ドーパント濃度が低下させられた第1導電型ドーピング領域を形成する第1の酸化膜除去工程と、
    第2導電型ドーパントを含む雰囲気とした加熱炉において、前記半導体基板に対し第2導電型ドーパントを熱拡散させ、第2導電型高濃度ドーピング領域を形成する第2の熱拡散工程と、
    酸素含有雰囲気とした加熱炉において、前記第2導電型高濃度ドーピング領域の表面に第2の酸化膜を形成する第2の酸化処理工程と、
    前記第2の酸化膜を除去し、前記第2導電型高濃度ドーピング領域の表面ドーパント濃度が低下させられた第2導電型ドーピング領域を形成する第2の酸化膜除去工程と、
    を含む、太陽電池の製造方法。
  2. 前記熱拡散工程および前記酸化処理工程に対して1の加熱炉が用いられる、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記第1の熱拡散工程および前記第2の熱拡散工程に対して第1の加熱炉が用いられ、前記第1の酸化処理工程および前記第2の酸化処理工程に対して第2の加熱炉が用いられる、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記第1の熱拡散工程と前記第1の酸化処理工程との加熱温度、および、前記第2の熱拡散工程と前記第2の酸化処理工程との加熱温度がそれぞれ同一である、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記第1の酸化処理工程が前記第1の熱拡散工程よりも高温で行なわれ、かつ、前記第2の酸化処理工程が前記第2の熱拡散工程よりも高温で行なわれる、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記第1の熱拡散工程および前記第2の熱拡散工程における加熱温度が800℃〜1000℃の範囲内、加熱時間が30分間〜100分間の範囲内、ドーパントのキャリアガス流量比が0.1%〜10%の範囲内にそれぞれ設定される、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  7. 前記第1の酸化処理工程および前記第2の酸化処理工程における加熱温度が800℃〜1000℃の範囲内、加熱時間が1分間〜10分間の範囲内にそれぞれ設定される、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記太陽電池が裏面電極型である、請求項1〜7に記載の太陽電池の製造方法。
  9. 請求項1〜8に記載の製造方法により得られる太陽電池。
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