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JP2007002010A - ポリマー組成物並びに前記ポリマー組成物からなる成形体 - Google Patents

ポリマー組成物並びに前記ポリマー組成物からなる成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 硫黄や過酸化物を用いずに架橋でき、スコーチ安定性を損なうことなく架橋が促進されたポリマー組成物、並びにこのポリマー組成物から成り、強度等の物性に優れるポリマー材料を提供する。
【解決手段】 A)エポキシ基を有するゴム 1〜90重量部、
B)カルボキシル基を有するポリマー 99〜10重量部、及び
C)BF塩またはPF
から成るポリマー組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、架橋し得るポリマー組成物、並びに前記ポリマー組成物を成形してなるシール材等の成形体に関する。
ゴム工業において架橋とは、弾性を発現させる上での最重要技術である。ゴムの架橋は硫黄(化合物)を用いて行われることが多いが、硫黄架橋は生物への毒性、ゴム製品表面へのブルーム、ゴム製品と接する金属部分の腐食、オイルの汚染等で問題とされる場合がある。
このような理由から、過酸化物を架橋剤として架橋する方法も多用されている。この過酸化物架橋法は、上記したような問題は生じないが、一般に非酸素雰囲気下でしか行うことができず、それ故適用し得る用途が限られる。また、過酸化物架橋剤は概して高価であり、品種によっては爆発のおそれも有する。
さらに、これら硫黄系、過酸化物系の架橋剤は、使用するゴムによって、架橋速度や相容性が異なる。それ故、ブレンドゴムを架橋する場合、成分毎の架橋密度の相違、物性低下等の問題を生じることがある。
一方、Deらは、反応性基を有するゴムをブレンドして加熱成形すると、架橋反応が自然に進行することを見出し、「Self-vulcanizable rubber blend system(Self-架橋型ブレンド系)」として提唱した。このSelf-架橋型ブレンド系では、硫黄(化合物)のような架橋剤を必要とせず、また、酸素雰囲気下でも進行するので、上記したようなオイル汚染、爆発等の問題を生じない。しかも、2種のゴムを相互に架橋させるので、ゴム成分毎に架橋密度が相違することもない。Self-架橋型のブレンド系としては、エポキシ化天然ゴム(ENR)/カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)系を初めとする種々のブレンドが報告されている(例えば、非特許文献1〜4参照)。
また、Self-架橋型ブレンド系と類似の技術として、(1)グリシジル基含有ポリエポキシ化合物と塩基を用い、カルボキシル基含有アクリルゴムを架橋させる技術(特許文献1参照)、(2)2個以上のエポキシ基を含む化合物、及び窒素またはリン化合物を用い、XNBRを架橋させる技術(特許文献2参照)、(3)XNBR等、分子中に複数のカルボキシル基を有する化合物によって、エポキシ基含有アクリルゴムを架橋させる技術(特許文献3参照)、特定のアンモニウム塩を用い、カルボキシル基とエポキシ基とを有するアクリルゴムを架橋させる技術(非特許文献5〜7参照)、等が知られている。しかし、これらの技術においては、ハロゲン化アンモニウム等が架橋促進剤として必須成分となっており、それらを用いない系では良好な架橋物は得られていない。
その他にも類似の技術として、(4)ENRをジカルボン酸(モノマー)や酸無水物等で架橋させる技術(非特許文献8参照)や、(5)エポキシ基含有エラストマーをジカルボン酸及びホスフェンを用いて架橋させる技術(特許文献4参照)、等が知られている。
しかしながら、上記XNBR/ENR系のSelf-架橋型ブレンド系では、高官能基量のENRを用いる必要がある。Deらは、Self-架橋型ブレンド系では、エポキシ化率50%のENR(ENR50)が必要であり、エポキシ化率25%のENR(ENR25)では架橋しないと報告している。
但し、ENR50を用いてもXNBRの品種によっては長い架橋時間を要し、しかも架橋物の物性は必ずしも満足できるものではない。Deらの文献では45〜60分間、他の文献でも30分〜2時間と言う、工業的観点からは非現実的な架橋時間が適用されている。また、特許文献1〜3に記載の技術に従い、ハロゲン化アンモニウム等を用いても、架橋速度や架橋物の物性改善は成されない。
本発明者らも先に、強ルイス酸、pKa4.5以下の酸またはpKb4.0以下の塩基を上記架橋系に配合すると、Self-架橋が促進され、より高強度のゴムが得られることを見い出し
た(特許文献5参照)。しかし、この技術には、配合物がスコーチし易く、架橋速度の制御に注意を要している。
J.Polymer Science,Polymer Letters,27,p361(1989) Kautsch.Gummi Kunstst.,43,p1002(1990),45,p537(1992) 日本ゴム協会誌,68(11),p767(1995) ポリファイル,1996年8月号,p56 等。 日本ゴム協会誌,60,p469(1987) A.C.S.Polymer Preprints,26,p32(1985) Rubber Chemistry and Technology,56,p21(1983) Trans.Inst.Rubb.Ind.,38,T11(1962) 特公昭60-8007号公報 特開平10-36563号公報 特公平3-68052号公報 特開平3-97720号公報 特開2000-230054号公報
本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであり、硫黄や過酸化物を用いずに架橋でき、スコーチ安定性を損なうことなく架橋が促進されたポリマー組成物、並びにこのポリマー組成物から成り、強度等の物性に優れるポリマー材料を提供する。
本発明者は上記課題を解決すべく検討を重ねたところ、BF塩またはPF塩の配合が有効であることを見出した。
即ち、本発明は、A)エポキシ基を有するゴム 1〜90重量部、B)カルボキシル基を有するポリマー 99〜10重量部、及び C)BF塩またはPF塩からなるポリマー組成物、並びに前記ポリマー組成物を成形してなるシール材等の成形体である。
C)BF塩またはPF塩を使用することが本発明の重要な要件であり、これによりスコーチ安定性を損なうことなく架橋速度を増大させ、より低官能基量のポリマーを使用することができ、また、架橋物の物性を大きく改善することができる。
本発明によれば、硫黄(化合物)を必要とせず、空気中で架橋でき、かつ早期架橋及びスコーチが抑制されたポリマー組成物が提供される。本発明のポリマー組成物は実用的な条件で架橋でき、強度に優れ、ゴム的な特性を示す架橋物を与える。従来の類似の組成物は、架橋に過酷な条件を必要とし、必ずしも良好な物性を示さなかったか、あるいはスコーチを来たし易かったことに鑑み、本発明の効果は顕著である。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
本発明で用いる成分A)エポキシ基を有するゴム自体は公知であり、その分子構造や分子量等に特に制限はない。例えばエポキシ基が主鎖、側鎖、末端の何れに位置していても良く、また、液状ゴムを使用することもできる。エポキシ化率にも特に制限はないが、0.1〜60mol%程度、特に0.3〜30mol%程度が好ましい。エポキシ化率が高すぎると、貯蔵安定性や架橋後の柔軟性に欠け、低すぎると架橋が困難となる場合がある。
成分A)の例として、エポキシ化天然ゴム(ENR)がMaraysian Rubber Producers' Research Association U.K.からエポキシプレン50及びエポキシプレン25の商標で;エポキシ化SBS(スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、熱可塑性のゴム)がダイセル化学工業(株)からエポフレンドの商標で、それぞれ市販されている。また、エポキシ基を架橋サイトとするアクリル系ゴム(ACM)として、日本ゼオン(株)からAR-31、AR-32、AR-42、AR-42W、AR-51、AR-54が;JSR(株)からAREX120、AREX220、AREX320が;日本メクトロン(株)からNOXTITE PA301、NOXTITE PA301K、NOXTITE PA302、NOXTITE PA312、NOXTITE PA303が市販されている。他に、エポキシ基を有するポリブタジエン系ゴムとして、日本石油(株)からE1500-8.0E、1800-6.5が;日本曹達(株)からBF-1000が;長瀬産業(株)からデナレックスR-45EPTが、それぞれ市販されている。これらとは別に、ゴムをエポキシ化する方法が例えばTRANSACTIONS,38,T11(1962)に記載されており、それに従って製造することもできる。本発明においては、これらエポキシ化ゴムの何れをも使用することができ、複数のエポキシ化ゴムを併用することも可能である。
本発明で使用する成分B)カルボキシル基を有するポリマー(以下、「カルボキシル化ポリマー」と言うことがある)もまた、公知である。例としてカルボキシル化ニトリルゴム、カルボキシル化ポリブタジエン、ポリアクリル酸等が挙げられるが、これらに限定されない。複数のポリマーを併用することもできる。これらの内、カルボキシル化ニトリルゴム、カルボキシル化ポリブタジエン、及び/またはカルボキシル基を有するエチレンアクリルゴムが、特にカルボキシル化ニトリルゴムが好ましい。
カルボキシル化ニトリルゴム(以下、「XNBR」と言うことがある)に特に制限はなく、種々のモノマー比のものをも使用することができる。ブタジエン成分の一部が水素化されていてもよい。XNBRとしては、例えばバイエルポリサー社からKRYNAC X7.50,KRYNAC X7.40,KRYNAC X1.46,KRYNAC X1.60,KRYNAC X9.50,KRYNAC221が、日本ゼオン(株)からNipol1072J、NipolDN631、NipolDN601が、JSR(株)からN632Sが、グッドイヤー社からケミガムNX775が、それぞれ市販されている。XNBRとして、ブタジエン部分を水素化したものを用いることもできる。
カルボキシル化ポリブタジエンにも特に制限はなく、1,2-結合、1,4-結合、トランス、シス等、任意の結合形態のものを使用することができる。二重結合の一部が水素化されていても良い。例として日本曹達(株)のNISSO-PB C-1000、CI-1000、日本石油化学(株)の日石ポリブタジエンMM-1000-80等が市販されている。
カルボキシル基を有するエチレンアクリルゴムも公知であり、例えばデュポン・ダウ・エラストマーからベイマックG、ベイマックGLS、ベイマックHVG、ベイマックGXF等が市販されている。
成分B)カルボキシル化ポリマー中のカルボキシルモノマー成分の量にも、特に制限はない。しかしながら、カルボキシルモノマー成分の量が好ましくは約0.1〜20mol%、より好ましくは0.5〜15mol%、特に好ましくは3〜10mol%のポリマーを使用する。カルボキシルモノマー成分の量が多いと架橋物が硬化劣化を起こし易くなり、少な過ぎると架橋が困難となる。また、カルボキシル基を有するポリマーは、常温で固形のゴムであることが好ましい。このことによって、架橋物に優れた柔軟性、高い架橋度を導入することができる。
成分A)エポキシ化ゴムと成分B)カルボキシル化ポリマーとの重量比は、1:99〜90:10とする。一般にエポキシ化ゴムとカルボキシル化ポリマーとは相容性が良く、それ故広いブレンド比で良好な物性の組成物を得ることができる。従って両者のブレンド比は上記範囲内から任意に選択することができるが、好ましくは3:97〜60:40、より好ましくは5:95〜50:50、特に好ましくは8:92〜40:60とする。特に成分B)としてXNBRを用いた場合には、ブレンド比をこれら範囲内とすることによって、架橋反応が促進され、また、強度や耐油性に優れる架橋物を得ることができる。
本発明の最大の要件は、成分C)BF塩またはPF塩を使用することである。このことによってスコーチ安定性を損なうことなく架橋を促進し、かつ架橋物の物性、例えば強度を著しく改善することができる。特に成分A)エポキシ化ゴムまたは成分B)カルボキシル化ポリマーとして比較的低官能基量のものを用いた場合、この効果が顕著である。
これら塩自体は公知であり、種々の試薬メーカーから、LiBF、NaBF、KBF、NHBF、N(C)BF;LiPF、NaPF、KPF、NHPF、等が市販されている。好ましくは、これらのLi塩またはNa塩、特に前者を使用する。成分A)、B)の種類によっては、特定カチオンの塩でないと架橋が促進されない場合がある。より好ましい塩はLiBF、LiPF、NaPF、特に好ましくはLiBFである。
成分C)塩の配合量に特に制限はなく、目的とする架橋速度、架橋物の物性、及び成分A),B),C)として用いたポリマーや塩の種類に応じ、任意に設定することができる。当業者であれば、各種の条件を基に、所望の架橋速度及び物性を与える配合量を選定することは容易であろう。しかしながら、一般的には成分A)と成分B)との合計100重量部に対し、塩を約0.1〜5重量部、特に0.3〜2重量部配合するのが好ましい。塩の配合量が少な過ぎると架橋があまり促進されず、多過ぎるとスコーチを速め、架橋物表面状態の悪化等の問題を生じることがある。特に成分A)のエポキシ化率が10mol%以上と高く、かつLi塩を使用した場合には、塩の配合量を約0.3〜1.5重量部とするのが好ましい。
本発明の架橋メカニズムとして、成分C)BF塩またはPF塩が潜在性促進剤として働くことが考えられる。これらの塩は加熱されると分解し、BFやPFのような強ルイス酸を発生し得る。例えばLiPFは100℃前後で、LiBFは200℃前後で分解する(化学総説49巻:新型電池の材料科学、p112)。それ故、ゴムの架橋温度で強ルイス酸が放出され、これがSelf-架橋を促進していると推定される。一方、常温では中性の塩として存在し、それ故スコーチを生じることがないと考えられる。
本発明のポリマー組成物にはまた、成分D)として塩基性の金属酸化物を成分A)と成分B)との合計100重量部に対し0.5〜20重量部含有させても良い。塩基性金属酸化物自体は公知である。本発明では、好ましくはMgO、CaOを、特にMgOを使用する。このことによって、ポリマー組成物の早期架橋及びスコーチをさらに低減させ、また、架橋物の強度や耐熱性をさらに改善することができる。
本発明のポリマー組成物は、任意の慣用の方法で製造することができる。例えば二本ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、押出機等で混練することができ、また、各成分を溶剤に溶解させた後に混ぜ合わせても良い。
本発明のポリマー組成物にはまた、任意の添加剤、例えば老化防止剤、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、粘土鉱物等のフィラー、ガラス繊維等の無機繊維、アラミド繊維等の有機繊維、顔料、分散剤、カップリング剤、相容化剤、難燃剤、表面平滑剤、可塑剤、加工助剤等を添加することもできる。代表的な老化防止剤の幾つかは第二級アミンであるが、これらの塩基性は概して弱く、本発明のポリマー組成物中に添加しても架橋速度や架橋形態に殆ど影響を及ぼさない。また、本発明の効果の一つは、硫黄(化合物)や過酸化物等の慣用の架橋剤を必要としない点であるが、任意にそうした汎用の架橋剤を添加し、架橋をより強固なものとすることもできる。
しかしながら、本発明のポリマー組成物は、外部から硫黄(化合物)等の架橋剤を加えずとも、単に加熱するだけで十分に架橋させることができる。架橋条件は任意であり、各成分として使用する原材料、目的とする架橋物性に応じて設定することができる。例えば約100〜200℃の温度で、約1〜120分間加熱する。条件に応じて、約100〜200℃で1〜24時間の二次架橋を施すこともできる。こうした架橋の結果、成分A)エポキシ化ゴムと成分B)カルボキシル基を有するポリマーとが、両者の官能基の反応により生じるエステル結合によって相互に架橋される。但し、成分A)のエポキシ化率が高い場合、成分A)または成分C)の配合量が多い場合等には、成分A)エポキシ化ゴム同士が結合した架橋形態も生じ得る。架橋方法も任意であり、プレス架橋、蒸気架橋、熱空気架橋等を採用できる。
また、加熱による架橋以外にも、放射線架橋も可能である。
本発明のポリマー組成物は、架橋に際して硫黄(化合物)や過酸化物等の汎用架橋剤を必要としない。そのため、硫黄化合物に起因する問題を回避することができ、医薬・食品関係、半導体関係、電子部品、精密機械部品等、硫黄(化合物)による汚染を嫌う用途に特に有用である。
本発明はまた、上記ポリマー組成物からなる各種成形体をも包含する。具体的には、上記に挙げた用途を対象としたシール材への適用が好適である。また、本発明のポリマー組成物は、過酸化物架橋とは異なり、空気中でも架橋させることができるので、連続生産を行う場合に特に有用である。例えば本発明のポリマー組成物を溶剤に溶解して金属面に塗布し、続いて溶剤の乾燥・架橋を連続的に空気中で行って、複合材料を作成することもできる。本発明はまた、上記ポリマー組成物と金属板とを積層して成る複合材料をも包含する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜4、比較例1〜4]
表1に示す配合のサンプルを調製し、架橋条件、架橋物の物性を検討した。原料ゴムとしては、以下のものを使用した。また、実施例1〜4及び比較例4では、塩等の添加物の配合量を1mmolに揃えた。
・ENR:Maraysian Rubber Producers' Research Association U.K.製のエポキシプレン50(エポキシ化率50mol%)
・XNBR-1:日本ゼオン(株)製のNipol DN631(ニトリル量33.5%、メタクリル酸量0.8wt%)
上記ゴムに表1記載の配合物を、慣用の方法に従ってロール練りし、得られたコンパウンドを数時間後に再練りした。次に、熱プレスを用い、表1記載の条件で150×150×2mmtのシートへと架橋成形した。得られたシートの状態を目視・触感にて判定するとともに、下記(1)硬さ試験及び(2)引張試験に付した。
(1)硬さ試験
JIS K6253(加硫ゴムの硬さ試験方法)に従って行った。結果を表1に示す。
(2)引張試験
JIS K6251(加硫ゴムの引張試験方法)に従い、JIS3号ダンベルを用い、引張速度500mm/minにて行った。極限強さとは引張応力が最高に達した点での強さを、切断時強さとはサンプルが切断した際の強さを、それぞれ表す。結果を表1に示す。
Figure 2007002010
実施例1〜4のサンプルは何れも、架橋ゴムシートのへたり感がなく、引張試験において極限強さ(降伏点のようなもので、これが現れるゴムは架橋が不十分な可能性が高い)を示さない。しかも、酸・塩基非配合のサンプル(比較例1)やDBUを配合したサンプル(比較例2)に比べ、切断時強さや引張応力が強くなっている。本発明に従い、BF塩またはPF塩を配合したサンプルでは、架橋が十分に達成されている。特に、LiBF、LiPF、NaPFを配合した系では、より低温・短時間の条件で成形でき、架橋反応が促進されていることが分かる。
また、実施例1〜4の架橋シートには概ね皺や反りがなく、プレス時にコンパウンドが金型内全体に均一に行き渡ったと推定される。リン酸やBF・OEtを配合したシート(比較例3、4)に反りや皺が目立ったのと対照的であり、BF塩またはPF塩を配合した系ではスコーチ・早期架橋が抑制されている。
[実施例5、6、比較例5、6]
XNBRとして、下記のゴムを用い、実施例1〜4と同じ操作を行った。配合、架橋条件及び試験結果を、表2に示す。
・XNBR-2:日本ゼオン(株)製のNipol 1072J(ニトリル量27%、メタクリル酸量6.4wt%)
Figure 2007002010
ENR、XNBR共に高官能基量ゴム故、促進剤無添加のSelf-架橋でもかなりの引張強さが発現している(比較例5)。しかし、100%引張応力はLiBFを配合した実施例5が倍以上大きく、BF塩による架橋促進効果が確認された。
また、リン酸を配合したサンプル(比較例6)のように架橋シートに反りが発生しておらず、早期架橋が抑制されていることが分かる。
さらに、塩基性金属酸化物のMgOを併用することによって、早期架橋を抑制しつつ、高い架橋度、引張強さを発現し得ることが示された(実施例6)。
[実施例7、比較例7〜10]
ENRの代わりに下記のACMを用い、実施例1〜4と同様の操作を行った。配合、架橋条件及び物性試験結果を、表3に示す。
・ACM:日本ゼオン(株)製Nipol AR51(架橋サイトとしてエポキシ基を有する)
Figure 2007002010
本発明に従い、LiBFを含有するサンプルは、他材料に比べて高い引張強さを示している(実施例7)。BF塩によって架橋が促進されたことが明らかである。一方で、特許文献1〜4等のようにハロゲン化アンモニウム塩を配合しても、架橋促進、強度改善効果は僅かしか発現しなかった(比較例10)。

Claims (8)

  1. A)エポキシ基を有するゴム 1〜90重量部、
    B)カルボキシル基を有するポリマー 99〜10重量部、及び
    C)BF塩またはPF
    からなることを特徴とするポリマー組成物。
  2. B)カルボキシル基を有するポリマーが、カルボキシル化ニトリルゴム、カルボキシル化ポリブタジエン、カルボキシル基を有するエチレンアクリルゴムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のポリマー組成物。
  3. C)BF塩またはPF塩がLi塩であることを特徴とする請求項1または2記載のポリマー組成物。
  4. C)BF塩またはPF塩の配合量が、A)エポキシ基を有するゴムとB)カルボキシル基を有するポリマーとの合計100重量部に対し0.1〜5重量部であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のポリマー組成物。
  5. D)塩基性金属酸化物を、A)エポキシ基を有するゴムとB)カルボキシル基を有するポリマーとの合計100重量部に対して0.5〜20重量部含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のポリマー組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載のポリマー組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
  7. 請求項1〜5の何れか一項に記載のポリマー組成物を成形してなることを特徴とするシール材。
  8. 請求項1〜5の何れか一項に記載のポリマー組成物からなる成形物と、金属板とを積層してなることを特徴とする複合材料。
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