JP2007002099A - 透湿材料 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、耐熱性および機械特性に優れたスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系ポリマーからなる透湿材料に関する。
透湿性のある高分子材料の一方に水または高湿度水蒸気を、他方に湿度の低い空気成分を存在させることにより、水分子が高分子材料を通過して湿度の低い空気成分側に移動する現象を利用した湿度調整膜が知られている。このような材料は、例えば室内の湿度を生活に快適なレベルに維持する材料として、調湿剤やエアコンシステム内の調湿膜などとして利用されている。また、燃料電池などにおいては、空気極で発生する湿度の高い排ガス中の水分を加湿膜を通して燃料供給側を加湿するシステムとしても使用される。その他、水分を通さず水蒸気のみを透過させる機能を利用して、着用時の快適性を高めた衣服材料などにも使用されている。
これらの透湿性高分子材料としては、例えばフッ素系樹脂による多孔膜(例えば特許文献1参照)、スルホン酸基などの極性基を含有するポリウレタンに水膨潤性微粒子を混合したもの(例えば特許文献2参照)、多孔性の導水部材をパーフルオロスルホン酸ポリマーやスチレン・エチレン共重合体のスルホン化ポリマーで被覆したもの(例えば特許文献3参照)等、各種の材料が報告されている。しかしながら、透湿性材料として優れた水蒸気透過性を示すと共に、高温での使用にも耐える耐熱性や機械特性に優れた材料が求められている。
特開2000−15066号公報
特開2001−89655号公報
特開2005−24102号公報
本発明の目的は、各種湿度調整用の透湿膜として、耐熱性および機械特性に優れた新しい透湿材料を提供することに関する。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、下記に示すスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物により、上記目的が達成されることを見いだすに至った。
すなわち、本発明は下記(1)〜(4)により達成される。
(1)分子鎖内に一般式(1)で示される構成成分を有するポリアリーレンエーテル系ポリマーを含有することを特徴とする透湿材料である。
(2)前記ポリアリーレンエーテル系ポリマーが一般式(2)で示される構成成分をさらに含む、第1の発明に記載の透湿材料である。
(3)空隙率が5%以下であることを特徴とする第1の発明または第2に発明に記載の透湿材料である。
(4)膜厚が500μm以下であることを特徴とする第1に発明から第3の発明のいずれかに記載の透湿材料である。
耐熱性および機械特性に優れた本発明におけるスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系ポリマーを用いて透湿材料を作製することにより、室内を快適な湿度の調節する調湿剤やエアコン用調湿膜、燃料電池システムにおける加湿膜、等に好適に用いることができる。特に、耐熱性、機械特性に優れることから過酷な条件で使用される燃料電池などにおいて優れた性能を発揮することが出来るものとなる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の透湿材料は、芳香環上にスルホン酸基を導入した寸法安定性に優れる特定のポリアリーレンエーテル系化合物を含有している。すなわち、芳香族求核置換反応によってスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を合成する際に、ジクロロジフェニルスルホンやジフルオロベンゾフェノンなどの電子吸引性モノマーにスルホン酸基を導入しておくことにより、熱安定性や機械特性に優れたスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテルとすることができ、これを用いた透湿材料を作製することにより、種々の用途に展開できる有用な材料になることを見いだすに至ったものである。
本発明の透湿材料は、芳香環上にスルホン酸基を導入した寸法安定性に優れる特定のポリアリーレンエーテル系化合物を含有している。すなわち、芳香族求核置換反応によってスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を合成する際に、ジクロロジフェニルスルホンやジフルオロベンゾフェノンなどの電子吸引性モノマーにスルホン酸基を導入しておくことにより、熱安定性や機械特性に優れたスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテルとすることができ、これを用いた透湿材料を作製することにより、種々の用途に展開できる有用な材料になることを見いだすに至ったものである。
すなわち、本発明は、分子鎖内に下記一般式(1)で示される構成成分を有するポリアリーレンエーテル系ポリマーを含有することを特徴とする透湿材料である。
ただし、Yはスルホン基またはケトン基、XはHの他、ナトリウム、カリウムなどの1価の金属塩やアンモニウム塩などの1価のカチオン種との塩になっていてもかまわない。Arは置換基を含んでいても良い二価の芳香族基を示す。
本発明の透湿材料は、上記一般式(1)で示される以外の構造単位が含まれていてもかまわない。上記一般式(1)で示される構造単位は全体の5重量%以上であることが好ましく、15重量%であることが特に好ましい。上記一般式(1)で示される構成成分が全体の5重量%未満であると、本発明の透湿材料が十分な透湿性を示さなくなる傾向が現れる。また、本発明の透湿材料は上記一般式(1)で示される構成成分が、全体の95重量%未満であることが好ましく、90重量%未満であることがより好ましい。上記一般式(1)で示される構成成分が95重量%以上であると、親水性が上がりすぎ、高温高湿下での寸法安定性が低下し始める傾向が現れるためである。
本発明に使用されるスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物は、上記一般式(1)で示される構成成分とともに、下記一般式(2)で示される構成成分を含んでいることが好ましい。加熱下、加湿下での、寸法安定性がさらに良くなるためである。本発明の透湿材料が上記一般式(1)で示される構成成分とともに一般式(2)で示される構成成分を含む場合であっても、一般式(1)および一般式(2)で示される以外の構造単位が含まれていてもかまわないが、上記一般式(1)および一般式(2)で示される構造単位の合計は全体の60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることが特に好ましい
上記一般式(2)で示される構成成分は、下記一般式(3)で示される構成成分であることが好ましい。
このほか、本発明に使用されるスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物には、その分子鎖中、すなわちポリマーの主鎖、側鎖、末端基として、熱および/または光により架橋する成分を含有していてもよい。熱架橋性基としては、エチレン基、エチニル基、エチニレン基などの反応性不飽和結合含有成分等が例示されるが、これらに限定されることはなく、熱による反応でポリマー鎖間に新たな結合を形成しうるものであればよい。光架橋性基としては、ベンゾフェノン基、α−ジケトン基、アシロイン基、アシロインエーテル基、ベンジルアルキルケタール基、アセトフェノン基、多核キノン類、チオキサントン基、アシルフォスフィン基、エチレン性不飽和基などを挙げることができる。中でもベンゾフェノン基などの光によりラジカルを発生することのできる基と、メチル基やエチル基などの炭化水素基を有する芳香族基などの、ラジカルと反応することのできる基との組み合わせが好ましい。エチレン性不飽和基を用いる場合には、ベンゾフェノン類、α−ジケトン類、アシロイン類、アシロインエーテル類、ベンジルアルキルケタール類、アセトフェノン類、多核キノン類、チオキサントン類、アシルフォスフィン類などの光重合開始剤を加えておくことが好ましい。
本発明に使用されるスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物としては、スルホン酸基含有量が0.1〜3.5meq/gの範囲にあることが好ましい。0.1meq/gよりも少ない場合には、十分な透湿性を示さない傾向があり、3.5meq/gよりも大きくすると材料が吸湿した際に、寸法変化が大きくなる傾向となるためである。なお、スルホン酸基含有量は、酸性水溶液処理によりスルホン酸基を酸型構造にした後、後に述べる滴定法により決定することができる。
本発明に使用されるスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物である上記一般式(1)および上記一般式(2)の構造を与えるため、下記一般式(4)、一般式(5)で表されるジハロゲン化化合物をモノマーとして含む芳香族求核置換反応を使用することができる。式中、Yはスルホン基またはケトン基、Xは1価のカチオン種、Zは塩素またはフッ素を示す。一般式(4)で表される化合物の具体例としては、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、およびそれらのスルホン酸基が1価カチオン種との塩になったもの等が挙げられる。1価カチオン種としては、ナトリウム、カリウムや他の金属種や各種アミン類等でも良く、これらに制限される訳ではない。一般式(5)で表される化合物としては、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、等を挙げることができる。
上述の芳香族求核置換反応において、上記一般式(4)、(5)以外に使用できる活性化ジフルオロ芳香族化合物やジクロロ芳香族化合物をモノマーとして、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、デカフルオロビフェニル、デカフルオロジフェニルエーテル、デカフルオロベンゾフェノン等が例示されるがこれらに制限されることなく、芳香族求核置換反応に活性のある他の芳香族ジハロゲン化合物、芳香族ジニトロ化合物、芳香族ジシアノ化合物なども使用することができる。また、これらの化合物は単独で使用しても良いが、2種以上の混合物として使用しても良い。
また、上述の一般式(1)で表される構成成分中のAr、上述の一般式(2)で表される構成成分中のAr’および上述の一般式(3)で表される構成成分中のAr”として使用できる芳香族ジオール成分モノマーの例としては、4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ハイドロキノン、レゾルシン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、オリゴ−1,4−フェニレンエーテル末端ジオール化合物等があげられるが、この他にも芳香族求核置換反応によるポリアリーレンエーテル系化合物の重合に用いることができる各種芳香族ジオールを使用することもできる。また、これらの芳香族ジオールには、メチル基、ハロゲン、シアノ基、スルホン酸基およびその塩化合物などの置換基が結合していても良い。置換基の種類は特に限定されることはなく、芳香環あたり0〜2個であることが好ましい。これら芳香族ジオールは、単独で使用することができる他、複数の芳香族ジオールを併用することも可能である。この中でも、4,4‘−ビフェノールは好ましいモノマーとして挙げることができる。
本発明に使用されるポリアリーレンエーテル系化合物の重合においては、ハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物を反応性モノマー成分として加えて重合することもできる。この際に用いるハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物も特に制限されることはないが、4−ヒドロキシ−4’−クロロベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−4’−フルオロベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−4’−クロロジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−フルオロジフェニルスルホン、4−クロロ−4’−(p−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホン、4−フルオロ−4’−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾフェノン、等を例として挙げることができる。これらは、単独で使用することができるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。
また、上述の架橋性末端構造を導入する場合には、本発明のポリアリーレンエーテル系化合物の重合の際に、架橋基含有末端構造を与える一官能性末端封鎖剤を加えることで得ることができる。一官能性末端封鎖剤の例としては、具体的には3−フルオロプロペン、3−フルオロ−1−プロピン、4−フルオロ−1−ブテン、4−フルオロ−1−ブチン、3−フルオロシクロヘキセン、4−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、2−フルオロスチレン、4−フルオロエチニルベンゼン、3−フルオロエチニルベンゼン、α−フルオロ−4−エチニルトルエン、4−フルオロスチルベン、4−(フェニルエチニル)フルオロベンゼン、3−(フェニルエチニル)フルオロベンゼン、3−クロロプロペン、3−クロロ−1−プロピン、4−クロロ−1−ブテン、4−クロロ−1−ブチン、3−クロロシクロヘキセン、4−クロロスチレン、3−クロロスチレン、2−クロロスチレン、4−クロロエチニルベンゼン、3−クロロエチニルベンゼン、α−クロロ−4−エチニルトルエン、4−クロロスチルベン、4−(フェニルエチニル)クロロベンゼン、3−(フェニルエチニル)クロロベンゼン、3−ヒドロキシプロペン、3−ヒドロキシ−1−プロピン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−ヒドロキシ−1−ブチン、4−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシエチニルベンゼン、3−エチニルフェノール、4−エチニルベンジルアルコール、4−ヒドロキシスチルベン、4−(フェニルエチニル)フェノール、3−(フェニルエチニル)フェノール、4−クロロベンゾフェノン、4−フルオロベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メチルフェノール、3−メチルフェノール、2−メチルフェノール、4−エチルフェノール、3−エチルフェノール、4−プロピルフェノール、4−ブチルフェノール、4−ペンチルフェノール,4−ベンジルフェノール等が挙げられる。これらの架橋基含有末端封鎖剤は、単独で使用してもよいが2種以上を混合して使用してもよい。
また、架橋性基を有するモノマーとしての具体例としては、1−ブテン−3,4−ジオール、3,5−ジヒドロキシスチレン、3,5−ジヒドロキシスチルベン、1−ブチン−3,4−ジオール、1−ブテン−3,4−ジオール、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、2−エチニルヒドロキノン、2−(フェニルエチニル)ヒドロキノン、5−エチニルレゾルシン、2−ブテン−1,4−ジオール、4,4'−ジヒドロキシスチルベン、1,4−ブチンジオール、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセチレン、1,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)アセチレン、3,3−ジフルオロプロペン、3,3−ジフルオロプロピン、3,3,3−トリフルオロプロピン、3,4−ジフルオロ−1−ブテン、1,4−ジフルオロ−2−ブテン、3,4−ジフルオロ−1−ブチン、1,4−ジフルオロ−2−ブチン、1,6−ジフルオロ−2,4−ヘキサジイン、3,4−ジフルオロスチレン、2,6−ジフルオロスチレン、2,5−ジフルオロエチニルベンゼン、3,5−ジフルオロエチニルベンゼン、α,α−ジフルオロ−4−エチニルトルエン、α,α,α−トリフルオロ−4−エチニルトルエン、2,4−ジフルオロスチルベン、4,4'−ジフルオロスチルベン、1,2−ビス(4−フルオロフェニル)アセチレン、3,4−ジフルオロ(フェニルエチニル)ベンゼン、3,3−ジクロロプロペン、3,3−ジクロロプロピン、3,3,3−トリクロロプロピン、3,4−ジクロロ−1−ブテン、1,4−ジクロロ−2−ブテン、3,4−ジクロロ−1−ブチン、1,4−ジクロロ−2−ブチン、3,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジフルオロシナミック酸、2,5−ジクロロエチニルベンゼン、3,5−ジクロロエチニルベンゼン、α,α−ジクロロ−4−エチニルトルエン、α,α,α−トリクロロ−4−エチニルトルエン、2,4−ジクロロスチルベン、4,4'−ジクロロスチルベン、1,2−ビス(4−クロロフェニル)アセチレン、3,4−ジクロロ(フェニルエチニル)ベンゼン、4,4‘−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4‘−ジフルオロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フルオロベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、4−ベンジルレゾルシン、2,5−ジメチルレゾルシン、4−エチルレゾルシン、等が挙げられる。これらの架橋基モノマーを本発明のポリアリーレンエーテル系化合物の重合の際に加えることで、分子鎖内部に架橋性基を導入することができる。
本発明におけるスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を芳香族求核置換反応により重合する場合、上記一般式(4)、一般式(5)で例示されるような活性化ジフルオロ芳香族化合物及び/またはジクロロ芳香族化合物と芳香族ジオール類を塩基性化合物の存在下で反応させることで重合体を得ることができる。重合は、0〜350℃の温度範囲で行うことができるが、50〜250℃の温度であることが好ましい。0℃より低い場合には、十分に反応が進まない傾向にあり、350℃より高い場合には、ポリマーの分解も起こり始める傾向がある。反応は、無溶媒下で行うこともできるが、溶媒中で行うことが好ましい。使用できる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、スルホランなどを挙げることができるが、これらに限定されることはなく、芳香族求核置換反応において安定な溶媒として使用できるものであればよい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用されても良い。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等があげられるが、芳香族ジオール類を活性なフェノキシド構造にしうるものであれば、これらに限定されず使用することができる。芳香族求核置換反応においては、副生物として水が生成する場合がある。この際は、重合溶媒とは関係なく、トルエンなどを反応系に共存させて共沸物として水を系外に除去することもできる。水を系外に除去する方法としては、モレキュラーシーブなどの吸水材を使用することもできる。芳香族求核置換反応を溶媒中で行う場合、得られるポリマー濃度として5〜50質量%となるようにモノマーを仕込むことが好ましい。5質量%よりも少ない場合は、重合度が上がりにくい傾向がある。一方、50質量%よりも多い場合には、反応系の粘性が高くなりすぎ、反応物の後処理が困難になる傾向がある。重合は、モノマーを反応初期に一括して投入し、ランダム性の高い連鎖分布を持つポリマーにすることが好ましい。また、ジハロゲン化モノマーとジオールモノマーの等量比をずらせてブロック性オリゴマー成分を合成した後、モノマー組み合わせを変えたモノマー追加による2段階重合などで得られる連鎖分布がブロック的になったポリマーとすることも可能である。重合反応終了後は、反応溶液より蒸発によって溶媒を除去し、必要に応じて残留物を洗浄することによって、所望のポリマーが得られる。また、反応溶液を、ポリマーの溶解度が低い溶媒中に加えることによって、ポリマーを固体として沈殿させ、沈殿物の濾取によりポリマーを得ることもできる。必要に応じて、沈殿生成前に、濾過処理を行っても良い。
また、本発明に使用されるスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物は、後で述べる方法により測定したポリマー対数粘度が0.1以上であることが好ましい。対数粘度が0.1よりも小さいと、イオン伝導膜として成形したときに、膜が脆くなりやすくなる。還元比粘度は、0.3以上であることがさらに好ましい。一方、還元比粘度が5を超えると、ポリマーの溶解が困難になるなど、加工性での問題が出てくるので好ましくない。なお、対数粘度を測定する溶媒としては、一般にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどの極性有機溶媒を使用することができるが、これらに溶解性が低い場合には濃硫酸を用いて測定することもできる。
本発明に使用されるスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物は、単体として使用することができるが、他のポリマーとの組み合わせによる樹脂組成物として使用することもできる。これらのポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン12などのポリアミド類、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸エステル類、ポリメチルアクリレート、ポリアクリル酸エステル類などのアクリレート系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンやジエン系ポリマーを含む各種ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、酢酸セルロース、エチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアリレート、アラミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールなどの芳香族系ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などの熱硬化性樹脂等、特に制限はない。ポリベンズイミダゾールやポリビニルピリジンなどの塩基性ポリマーとの樹脂組成物は、ポリマー寸法性の向上のために好ましい組み合わせと言える、これらの塩基性ポリマー中に、さらにスルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基を導入しておくと、組成物の加工性がより好ましいものとなる。これら樹脂組成物として使用する場合には、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物は、樹脂組成物全体の50質量%以上100質量%未満含まれていることが好ましい。より好ましくは70質量%以上100質量%未満である。本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物の含有量が樹脂組成物全体の50質量%未満の場合には、この樹脂組成物を含む透湿材料のスルホン酸基濃度が低くなり十分な透湿性が得られない傾向となる。なお、本発明の化合物および組成物は、必要に応じて、例えば酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、粘着付与剤、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、静電気防止剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、重合禁止剤、などの各種添加剤を含んでいても良い。
本発明の透湿材料は、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物構造により優れた透水性と耐熱性、機械特性を示すので、その構造中に空隙を含む多孔性材料であっても、空隙が実質的に存在しない緻密材料であっても構わない。多孔性材料の場合の空隙率は、85%以下であることが好ましく、60%以下がさらに好ましい。さらに、水分子以外の物質透過性を抑えるためには、空隙率は20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましいと言える。実質的に空隙を含まない緻密構造であることも好ましい。
本発明の透湿材料が多孔性材料である場合には、空隙部は透湿材料の表面から裏面に通ずる貫通孔でもよいし、内部に存在する非貫通孔であってもよい。また、これらが混在していても構わない。
本発明の透湿材料の構造やその形成方法は特に制限されることはないが、多孔性材料とする場合には、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を含むシート状物を多孔化する方法や、繊維状物質の集合体として形成する方法を挙げることができる。
シートを多孔質化する場合には、例えば、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を主成分とするポリマー溶液を、該ポリマー溶液の溶媒とは混合するがポリマーを溶解させない、いわゆる非溶媒に接触させて凝固させる過程で、多孔質化させることができる。また、繊維状物質の集合体として多孔性シート材料を得る場合は、例えば、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を主成分とするポリマー溶液をノズルから吹き出す際に、熱風により溶媒を蒸発させ、繊維状物質として得たものを不織布状にしたり、繊維状に基盤に流延した後、乾燥や貧溶媒との接触により溶媒を除いて多孔性繊維集合体にしたりすることができる。また、エレクトロスピニング法により微細化繊維状としたものから多孔性シート状物とすることなどもできる。さらに、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を主成分とした繊維よりなるカット繊維を抄紙して多孔性繊維集合体としてもよい。この場合、少量であれば、バインダー成分を配合して繊維間の結合力を向上させてもよい。
上記のシートを多孔質化する方法は限定されないが、例えば、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を適当な溶媒に溶解し、流延法で薄膜状に成形した後、水系の凝固液で凝固させ、次いで乾燥させる方法が挙げられる。この製造法において本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を溶解する溶媒は、特に限定されるものではないが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミドなどの非プロトン性極性溶媒や、メタノール、エタノール等のアルコール類から適切なものを選ぶことができる。これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。溶液中の化合物濃度は0.1〜50質量%の範囲であることが好ましい。溶液中の化合物濃度が0.1質量%未満であると良好な成形物を得るのが困難となる傾向にあり、50質量%を超えると加工性が悪化する傾向にある。ポリマー溶液を流延して得た薄膜状物は、水系凝固液と接触させることで凝固させる。凝固液の組成が限定されることはなく、水単独で使用することもできるが、水とメタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールとの混合体を使用することもできる。また、ポリアルキレングリコール等の凝固遅延剤等の配合剤を添加することもできる。本方法による多孔性シート材料の形成は、ポリマー溶液中に凝固液が浸透していくことによる薄膜状流延物の体積増加と、薄膜状流延物内の凝固液濃度の増加およびポリマー溶液中の溶媒濃度の減少に伴う溶解度低下に引き続くポリマー凝固により起こる。このため、凝固過程での溶媒の拡散挙動が多孔性構造の形成に重要な影響を与えるので、各溶媒の選択とともに、ポリマー濃度、凝固温度等のコントロールもプロセス制御の上で重要な要因となる。このようにして得られた多孔性シート中のスルホン酸基はカチオン種との塩の形のものを含んでいても良いが、必要に応じて酸処理することによりフリーのスルホン酸基に変換することもできる。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物およびその樹脂組成物は、押し出し、紡糸、圧延またはキャストなど任意の方法で繊維やフィルムなどの成形体として実質的に空隙が存在しない湿性材料とすることができる。この場合、適当な溶媒に溶解した溶液から成形することが好ましい。この溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミドなどの非プロトン性極性溶媒や、メタノール、エタノール等のアルコール類、ケトン類、水等の組合せから選ばれる混合溶媒等が使用できるがこれらに限定されるものではない。これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。溶液中の化合物濃度は0.1〜50質量%の範囲であることが好ましい。溶液中の化合物濃度が0.1質量%未満であると良好な成形物を得るのが困難となる傾向にあり、50質量%を超えると加工性が悪化する傾向にある。溶液から成形体を得る方法は従来から公知の方法を用いて行うことができる。たとえば、加熱、減圧乾燥、化合物を溶解する溶媒と混和することができる化合物非溶媒への浸漬等によって、溶媒を除去し成形体を得ることができる。溶媒が、有機溶媒の場合には、加熱又は減圧乾燥によって溶媒を留去させることが好ましい。この際、必要に応じて他の化合物と複合された形で繊維状、フィルム状、ペレット状、プレート状、ロッド状、パイプ状、ボール状、ブロック状などの様々な形状に成形することもできる。溶解挙動が類似する化合物と組み合わせた場合には、良好な成形ができる点で好ましい。このようにして得られた成形体中のスルホン酸基はカチオン種との塩の形のものを含んでいても良いが、必要に応じて酸処理することによりフリーのスルホン酸基に変換することもできる。
本発明の透湿材料は本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物およびその樹脂組成物から作製した緻密膜状物とすることもできる。このような透湿膜を成形する手法として最も好ましいのは、溶液からのキャストであり、キャストした溶液から上記のように溶媒を除去して透湿膜を得ることができる。当該溶液としてはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒を用いた溶液や、場合によってはアルコール類、ケトン類、水等の組合せから選ばれる混合溶媒等も挙げることができる。溶媒の除去は、乾燥により行うことが透湿膜の均一性からは好ましい。また、化合物や溶媒の分解や変質を避けるため、減圧下でできるだけ低い温度で乾燥することもできる。また、溶液の粘度が高い場合には、基板や溶液を加熱して高温でキャストすると溶液の粘度が低下して容易にキャストすることができる。キャストする際の溶液の厚みは特に制限されないが、10〜1500μmであることが好ましい。より好ましくは50〜500μmである。溶液の厚みが10μmよりも薄いと高分子電解質膜としての形態を保てなくなる傾向にあり、1500μmよりも厚いと不均一な高分子電解質膜ができやすくなる傾向にある。溶液のキャスト厚を制御する方法は公知の方法を用いることができる。例えば、アプリケーター、ドクターブレードなどを用いて一定の厚みにすることや、溶液の流れ出しを防ぐ枠などを用いてキャスト面積を一定にして溶液の量や濃度で厚みを制御することができる。キャストした溶液は、溶媒の除去速度を調整することでより均一な膜にすることができる。例えば、加熱により溶媒除去する場合には最初の段階では低温にして蒸発速度を下げたりすることができる。また、水などの非溶媒に浸漬する場合には、溶液を空気中や不活性ガス中に適当な時間放置しておくなどして化合物の凝固速度や溶媒除去速度を調整することができる。透湿膜として使用する場合、膜中のスルホン酸基は金属塩になっているものを含んでいても良いが、適当な酸処理によりフリーのスルホン酸に変換することもできる。この場合、硫酸、塩酸、等の水溶液中に加熱下あるいは加熱せずに膜を浸漬処理することで行うことも効果的である。
本発明の透湿材料は、単独で使用することができるが、他の材質のシートやフィルムと複合して使用することができる。また他の材料と組み合わせて使用することもできる。例えば、他の多孔性基材に本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を含ませることで導電率、親水疎水性、形態安定性、耐熱性、化学的安定性、長期耐久性等を適宜調整して使用することも好ましい使い方と言える。
本発明の透湿材料の厚みは目的に応じて適宜選定することができるが、一般的には500μm以下とすることが、透湿量を大きくするために好ましい。150μm以下であればさらに好ましいと言える。一方、5μm未満になると取り扱い性が低下するので、5μm以上が好ましいく、10μm以上がより好ましい。
本発明の透湿材料に用いられるスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物およびその樹脂組成物は、熱および/または光等により架橋する構造を導入し、熱処理および/または光照射処理等により架橋することによりさらに寸法安定性に優れたものとすることもできる。熱架橋させる際の加熱温度は、架橋性ポリアリーレンエーテルの構造、架橋基の種類、架橋基導入量などにより異なるが、通常150〜450℃、好ましくは200〜400℃である。加熱時間は加熱温度や架橋性ポリアリーレンエーテルの構造などにより異なるが、通常0.01〜50時間、好ましくは0.02〜24時間である。圧力は常圧、減圧、加圧のいずれでもかまわない。ガス雰囲気は空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気のいずれでもかまわない。加熱温度が高い場合には、スルホン酸基は塩の状態にして熱処理することが好ましい。また、光架橋する際に用いる光源としては、特に限定されないが、低圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライド灯等を使用することができる。照射線量はポリマー構造およびその膜厚により異なるが、通常、100〜50000mJ/cm2、好ましくは300〜30000mJ/cm2である。γ線や電子線等の放射線照射による架橋反応であっても構わない。
以下本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。なお、各種測定は次のように行った。
1、溶液粘度
ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/c)で評価した。
taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度(g/dl)
1、溶液粘度
ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/c)で評価した。
taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度(g/dl)
2、耐熱性評価(TGA)
島津製作所製熱重量測定計(TGA−50)を用い、アルゴン雰囲気中、昇温速度10℃/minで測定を行った(途中、150℃で30分保持して水分を十分除去する)。
島津製作所製熱重量測定計(TGA−50)を用い、アルゴン雰囲気中、昇温速度10℃/minで測定を行った(途中、150℃で30分保持して水分を十分除去する)。
3、イオン交換容量
窒素雰囲気下で一晩乾燥した試料の重量をはかり、水酸化ナトリウム水溶液と撹拌処理した後、塩酸水溶液による逆滴定でイオン交換容量(IEC)を求めた。
窒素雰囲気下で一晩乾燥した試料の重量をはかり、水酸化ナトリウム水溶液と撹拌処理した後、塩酸水溶液による逆滴定でイオン交換容量(IEC)を求めた。
4、透湿度
JIS L 1099(A−1法)により、測定した。
JIS L 1099(A−1法)により、測定した。
5、引張試験
20℃相対湿度65%での引張試験は東洋ボールドウィン製テンシロンUTMIIを、25℃水中での引張試験は東洋ボールドウィン製テンシロンUTMIIIを用いて、大きさを揃えて切り出したフィルム片を用いて測定した。
20℃相対湿度65%での引張試験は東洋ボールドウィン製テンシロンUTMIIを、25℃水中での引張試験は東洋ボールドウィン製テンシロンUTMIIIを用いて、大きさを揃えて切り出したフィルム片を用いて測定した。
実施例1
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS6.000g(0.0122mole)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)2.674g(0.0155mole)、4,4’−ビフェノール5.169g(0.02776mole)、炭酸カリウム4.412g(0.0319mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。40mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約7時間)。放冷の後、反応液を水中に注いでストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は1.31を示した。ポリマー2gをNMP8mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約500μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。得られた緻密膜の膜厚は42μm、TGAによる熱重量減少開始温度は311℃、弾性率1.5GPa,強度53MPa,伸度71%、透湿率450g/m2・hを示した。
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS6.000g(0.0122mole)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)2.674g(0.0155mole)、4,4’−ビフェノール5.169g(0.02776mole)、炭酸カリウム4.412g(0.0319mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。40mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約7時間)。放冷の後、反応液を水中に注いでストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は1.31を示した。ポリマー2gをNMP8mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約500μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。得られた緻密膜の膜厚は42μm、TGAによる熱重量減少開始温度は311℃、弾性率1.5GPa,強度53MPa,伸度71%、透湿率450g/m2・hを示した。
実施例2
実施例1で得たポリマー1gをNMP5mlに溶解し、100μm厚のポリエステルフィルム上に塗布し、得られた複層フィルムを25℃の水/メタノール(3/1体積比)よりなる凝固液に浸漬してポリマーを凝固させた後、スルホン化ポリアリーレンエーテル系化合物フィルムをポリエステルフィルムから剥がし、130℃のイナートオーブン中で乾燥して約20μm厚の多孔性フィルムを得た。本フィルムのTGA測定を行ったところ、重量減少開始温度は411℃であった。空隙率は55%であった。
実施例1で得たポリマー1gをNMP5mlに溶解し、100μm厚のポリエステルフィルム上に塗布し、得られた複層フィルムを25℃の水/メタノール(3/1体積比)よりなる凝固液に浸漬してポリマーを凝固させた後、スルホン化ポリアリーレンエーテル系化合物フィルムをポリエステルフィルムから剥がし、130℃のイナートオーブン中で乾燥して約20μm厚の多孔性フィルムを得た。本フィルムのTGA測定を行ったところ、重量減少開始温度は411℃であった。空隙率は55%であった。
実施例3
実施例1で得られた多孔性フィルムを、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。本フィルムの熱重量測定による減量開始温度は301℃であった。滴定で求めたIECは1.43meq/gを示した。空隙率は60%であった。
実施例1で得られた多孔性フィルムを、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。本フィルムの熱重量測定による減量開始温度は301℃であった。滴定で求めたIECは1.43meq/gを示した。空隙率は60%であった。
実施例4
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン2ナトリウム塩(略号:S−DFBPS5.000g(0.01118mole)、DCBN2.489g(0.0145mole)、4,4’−ビフェノール4.900g(0.0263mole)、炭酸カリウム4.182g(0.0303mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。35mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約7時間)。放冷の後、反応液を水中に注いでストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.88を示した。ポリマー2gをNMP8mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約500μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。得られた緻密膜の膜厚は36μm、TGAによる熱重量減少開始温度は299℃、弾性率1.8GPa,強度63MPa,伸度51%、透湿率600g/m2・hを示した。
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン2ナトリウム塩(略号:S−DFBPS5.000g(0.01118mole)、DCBN2.489g(0.0145mole)、4,4’−ビフェノール4.900g(0.0263mole)、炭酸カリウム4.182g(0.0303mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。35mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約7時間)。放冷の後、反応液を水中に注いでストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.88を示した。ポリマー2gをNMP8mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約500μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。得られた緻密膜の膜厚は36μm、TGAによる熱重量減少開始温度は299℃、弾性率1.8GPa,強度63MPa,伸度51%、透湿率600g/m2・hを示した。
実施例5
S−DCDPS8.182g(0.0167mole)、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン1.196g(0.0416mole)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.000g(0.0208mole)、炭酸カリウム3.309g(0.0239mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。50mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約7時間)。放冷の後、反応液を水中に注いでストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は1.04を示した。ポリマー2gをNMP8mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約500μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。得られた緻密膜の膜厚は42μm、TGAによる熱重量減少開始温度は305℃、弾性率1.6GPa,強度47MPa,伸度71%、透湿率390g/m2・hを示した。
S−DCDPS8.182g(0.0167mole)、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン1.196g(0.0416mole)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.000g(0.0208mole)、炭酸カリウム3.309g(0.0239mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。50mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約7時間)。放冷の後、反応液を水中に注いでストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は1.04を示した。ポリマー2gをNMP8mlに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約500μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。得られた緻密膜の膜厚は42μm、TGAによる熱重量減少開始温度は305℃、弾性率1.6GPa,強度47MPa,伸度71%、透湿率390g/m2・hを示した。
実施例6
S−DCDPS10.000g(0.0204mole)、DCBN0.875g(0.0051mole)、4,4’−ビフェノール4.738g(0.0254mole)、炭酸カリウム4.044g(0.0293mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。45mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約7時間)。放冷の後、反応液を水中に注いでストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.85を示した。得られたポリマーは希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。本ポリマー2gをNMP8mlに溶解下溶液に空隙率50%の多孔質ポリエチレンフィルムを浸漬、引き上げた後乾燥して含浸膜を作製した。本含浸膜の透湿率は630g/m2・hを示した。
S−DCDPS10.000g(0.0204mole)、DCBN0.875g(0.0051mole)、4,4’−ビフェノール4.738g(0.0254mole)、炭酸カリウム4.044g(0.0293mole)を100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。45mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約7時間)。放冷の後、反応液を水中に注いでストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は0.85を示した。得られたポリマーは希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1日浸漬処理して塩をはずした後、純水中に1時間づつ2回浸漬することで酸成分を除去し、乾燥した。本ポリマー2gをNMP8mlに溶解下溶液に空隙率50%の多孔質ポリエチレンフィルムを浸漬、引き上げた後乾燥して含浸膜を作製した。本含浸膜の透湿率は630g/m2・hを示した。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物を含有する透湿材料は、室内湿度を調節する調湿剤、エアコン用調湿膜、燃料電池システムにおける加湿膜等、各種調湿材料の部材として好適に用いることができる。
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