JP2007083733A - ゴム金属積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属板の片面または両面に、接着剤層およびゴム層を順次積層させてなるゴム金属積層体において、ゴム層がヨウ素価10〜15の水素化ニトリルゴム100重量部に対して、無機充填剤50〜250重量部および有機過酸化物4〜20重量部、好ましくはさらにN,N’-フェニレンジマレイミド4〜10重量部を含有せしめた水素化ニトリルゴムコンパウンドの加硫物により形成されている水素化ニトリルゴム金属積層体。
【選択図】 なし
Description
水素化ニトリルゴム(HNBR)は、アクリロニトリルブタジエンゴム中の炭素-炭素二重結合のみを選択的に水素化することにより得られるゴムであり、ニトリルゴムと比較して耐熱老化性、耐候性、耐化学薬品性が大幅に改良されているといった特徴がある。また、HNBRとして、好ましくは中高ニトリル〜高ニトリル、さらに好ましくは中高ニトリルのものが用いられる。本発明では、市販品、例えば日本ゼオン製品Zetpol 2000(ヨウ素価7以下)、同社製品Zetpol 2020(ヨウ素価28)などをブレンドしてヨウ素価10〜15としたもの、あるいは同社製品Zetpol 2010(ヨウ素価11)などが用いられる。ヨウ素価がこれ以上あるいはこれ以下のHNBRが用いられると、耐熱屈曲性に劣るようになる。このHNBRに対しては、無機充填剤、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤などが添加されて、本発明のゴム金属積層体のゴム層形成に用いられるHNBRコンパウンドが調製される。
金属板としては、表面がショットブラスト、スコッチブライド、ヘアーライン、ダル仕上げなどで粗面化されたステンレス鋼板、SPCC鋼板、アルミニウム板、あるいは粗面化処理をせずに、これらの金属板を溶剤脱脂またはアルカリ脱脂したもの、さらに接着性を高める観点からは脱脂処理された金属板に塗布型クロメート表面処理以外の無機系または有機系防錆被膜を形成させる化成処理を施したものなどが用いられ、またSPCC鋼板の場合には、後述するプライマーとしてのリン酸亜鉛皮膜、リン酸鉄皮膜を形成させることも行われる。その板厚は、特にガスケット用途に用いる場合には約0.1〜1mm程度のものが用いられる。
プライマー層としては、リン酸亜鉛皮膜、リン酸鉄皮膜、バナジウム、ジルコニウム、チタニウム、モリブデン、タングステン、マンガン、亜鉛、セリウム化合物またはこれらの酸化物などの無機系被膜、シラン、フェノール、エポキシ、ウレタン等の有機系被膜など、一般に市販されている薬液あるいは公知技術をそのまま用いることができる。
接着剤としては、フェノール樹脂含有接着剤、例えばエポキシ樹脂およびフェノール樹脂からなる接着剤、ノボラック型フェノール樹脂およびレゾール型フェノール樹脂の2種類のフェノール樹脂からなる接着剤などが使用できるが、好ましくはこれらに上述した水素化ニトリルゴムコンパウンドがさらに配合して用いられる。水素化ニトリルゴムコンパウンドは、上記の如き接着剤中の樹脂成分、例えばエポキシ樹脂とフェノール樹脂との合計量100重量部当り、約40重量部以下、好ましくは約10〜30重量部の割合で配合して用いることができる。接着剤成分として水素化ニトリルゴムコンパウンドを配合することにより、ゴム層-接着剤層間の接着性の改善を図ることができるが、これ以上の割合で用いられると高温不凍液中への浸せき時に剥がれを生じるようになり好ましくない。
接着剤層上には、未加硫の水素化ニトリルゴムコンパウンドが、約5〜200μm程度の厚さの加硫ゴム層を形成させるようにゴムコンパウンドの有機溶媒溶液として塗布され、その加硫は一般に約150〜230℃で約0.5〜30分間程度加圧加硫することによって行われる。
アルカリ脱脂した厚さ0.2mmのステンレス鋼板(日新製鋼製品SUS301)の表面に、Zr/Al系プライマーを塗布してプライマー層を形成し、このプライマー層上に下記配合の接着剤を、乾燥時の片面厚さが約0.5μmとなるように両面に塗布し、室温条件下で風乾させた後、さらに200℃、1分間の加熱処理を行い、接着剤層を形成させた。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 25重量部
(ジャパンエポキシレジン製品エピコート828)
クレゾール変性ノボラック型フェノール樹脂 17.5 〃
(大日本インキ化学工業製品KA-1053L)
レゾール型フェノール樹脂(同社製品AF-2639) 7.5 〃
2-エチル-4-メチルイミダゾール 0.34 〃
ヘキサメチレンテトラミン 2 〃
下記水素化ニトリルゴムコンパウンド 13.5 〃
メチルエチルケトン 950 〃
水素化ニトリルゴム(Zetpol 2020) 30重量部
水素化ニトリルゴム(Zetpol 2000) 70重量部
SRFカーボンブラック 10 〃
炭酸カルシウム(白石工業製品白艶華CC) 200 〃
老化防止剤(大内新興化学製品ノクラックCD) 3 〃
酸化亜鉛 5 〃
ステアリン酸 2 〃
ワックス(精工化学製品サンタイトR) 3 〃
ジクミルパーオキサイド(日本油脂製品パークミルD) 15 〃
N,N′-m-フェニレンジマレイミド 5 〃
(大内新興化学製品バルノックPM-P)
実施例1において、水素化ニトリルゴムコンパウンド成分であるN,N′-m-フェニレンジマレイミド量が3重量部に変更され、またジクミルパーオキサイドの代わりに1,3-ビス(第3ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂製品ペロキシモンF)が同量用いられた。
実施例2において、水素化ニトリルゴムコンパウンド成分である水素化ニトリルゴムブレンド物の代わりに、水素化ニトリルゴム(Zetpol 2000)100重量部(ヨウ素価7)が用いられた。
実施例2において、水素化ニトリルゴムコンパウンド成分である水素化ニトリルゴムブレンド物として、水素化ニトリルゴム(Zetpol 2020)50重量部および水素化ニトリルゴム(Zetpol 2000)50重量部のブレンド物(ヨウ素価17)が用いられた。
実施例2において、水素化ニトリルゴムコンパウンド成分である水素化ニトリルゴムブレンド物として、水素化ニトリルゴム(Zetpol 2020)70重量部および水素化ニトリルゴム(Zetpol 2000)30重量部のブレンド物(ヨウ素価22)が用いられた。
実施例2において、水素化ニトリルゴムコンパウンド成分である水素化ニトリルゴムブレンド物の代わりに、水素化ニトリルゴム(Zetpol 2020)100重量部(ヨウ素価28)が用いられた。
実施例1において、水素化ニトリルゴムコンパウンド成分である水素化ニトリルゴムブレンド物の代わりに、水素化ニトリルゴム(Zetpol 2000)100重量部(ヨウ素価7以下)が用いられた。
実施例1において、ニトリルゴムコンパウンド成分である水素化ニトリルゴムブレンド物の代わりに、ニトリルゴム(JSR製品N235S)100重量部が用いられた。
加硫特性:キュラストメータを用い、180℃でMH、T10およびT90の値を測定
常態物性:JIS K6253、K6251準拠
空気加熱試験:ゴム積層金属板をギヤ式オーブンに入れ、165℃、185℃または200℃、100時間の条件下で空気加熱後、JIS K5600に準じてカッターで碁盤目の切れ目を入れて、ゴム硬化劣化後におけるゴム剥離の程度を目視にて確認し、ゴム残存率100%のものを5、95%以上100%未満のものを4、85%以上95%未満のものを3、65%以上85%未満のものを2、65%未満のものを1として評価
はみ出し試験:ゴム積層金属板を加熱プレスおよび専用治具を用いて、150℃、面圧2〜3トン/cm2(196〜294MPa)、5分間の条件下で処理した後、ゴム層の破壊状態および剥離状態を以下の基準に基づき評価
5:ゴム層が完全に残存している
4:ゴム層がわずかに流れている(はみ出している)
3:ゴム層が流れているが金属面は露出しておらず、ゴム表面がムラになっている
2:ゴム層が流れ、金属面が若干露出している
1:ゴム層が完全に流れ、金属面が完全に露出している
耐熱屈曲試験(テープたたき前):ゴム積層金属板をギヤ式オーブンに入れ、200℃、100時間の条件下で空気加熱後、JIS K5600に準じ直径6cmの心棒を使用して耐屈曲性試験を行い、ゴムと金属との接着性を以下の基準に基づき評価
5:ゴム層が完全に残存している(クラックなし)
4:目視ではゴム層の亀裂の確認不可
3:ゴム層上に線状の亀裂が発生
2:ゴム層上にうろこ状の亀裂が発生
1:ゴム層が完全に剥れ、金属面が完全に露出
耐熱屈曲試験(テープたたき後):耐屈曲性試験(テープたたき前)後にテープたたきを行い、ゴム剥離の程度を目視にて確認し、ゴム残存率100%のものを5、50%以上100%未満のものを4、25%以上50%未満のものを3、5%以上25%未満のものを2、5%未満のものを1として評価
表
実施例 比較例
測定、評価項目 1 2 1 2 3 4 5 6
〔ゴム特性〕
加硫特性
MH 71 56 53 59 60 65 58 54
T10(秒) 21 32 30 32 33 34 22 25
T90(秒) 135 278 266 276 280 274 144 156
常態物性
硬さ 95 94 93 94 94 94 93 89
〔複合材料特性〕
空気加熱試験
165℃での評価 5 5 5 5 5 4 5 2
185℃での評価 3 3 4 3 3 3 4 2
200℃での評価 4 4 3 3 3 3 3 1
はみ出し試験
評価 5 3 3 3 3 3 5 1
耐熱屈曲試験
テープたたき前の評価 4 4 3 3 3 3 4 2
テープたたき後の評価 4 4 2 2 2 2 3 1
Claims (8)
- 金属板の片面または両面に、接着剤層およびゴム層を順次積層させてなるゴム金属積層体において、ゴム層がヨウ素価10〜15の水素化ニトリルゴム100重量部に対して、無機充填剤50〜250重量部および有機過酸化物4〜20重量部を含有せしめた水素化ニトリルゴムコンパウンドの加硫物により形成されていることを特徴とする水素化ニトリルゴム金属積層体。
- ヨウ素価10〜15の水素化ニトリルゴムが、異なるヨウ素価の水素化ニトリルゴムのブレンド物である請求項1記載の水素化ニトリルゴム金属積層体。
- さらにN,N’-フェニレンジマレイミド4〜10重量部を含有せしめた水素化ニトリルゴムコンパウンドが用いられる請求項1または2記載の水素化ニトリルゴム金属積層体。
- 金属板と接着剤層との間に、プライマー層が形成された請求項1、2または3記載の水素化ニトリルゴム金属積層体。
- 接着剤層が、水素化ニトリルゴムコンパウンドを含むフェノール系接着剤層である請求項1、2または3記載の水素化ニトリルゴム金属積層体。
- 水素化ニトリルゴムコンパウンドが、接着剤中の樹脂成分100重量部当り40重量部以下の割合で用いられた請求項5記載の水素化ニトリルゴム金属積層体。
- フェノール系接着剤層中に含まれる水素化ニトリルゴムコンパウンドが、ゴム層に用いられる水素化ニトリルゴムコンパウンドと同組成を有するものである請求項5または6記載の水素化ニトリルゴム金属積層体。
- エンジン用ガスケット材として用いられる請求項1乃至7のいずれかに記載の水素化ニトリルゴム金属積層体。
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