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JP2007080761A - 燃料電池およびその起動方法 - Google Patents

燃料電池およびその起動方法 Download PDF

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Hisafumi Kotani
尚史 小谷
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Kansai Electric Power Co Inc
Mitsubishi Materials Corp
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Kansai Electric Power Co Inc
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

【課題】起動時間を短縮する燃料電池を提供する。
【解決手段】水蒸気発生器20と、炭化水素系燃料を水蒸気改質する燃料改質器30と、この燃料改質器30からの改質ガスと酸化剤ガスとを供給して発電反応を生じさせる燃料電池スタック3とを備えた燃料電池1において、水蒸気発生器20は、燃料電池スタック3からの排ガスを熱源とする熱交換器21を備え、且つ、この熱交換器21の排ガス流路に、起動時に排ガス中の未燃ガスを燃焼するための燃焼手段を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、原燃料ガスを水蒸気改質して得られた燃料ガスと酸化剤ガスを供給して発電を行う燃料電池、およびその起動方法に関するものである。
近年、燃料の有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する燃料電池は、高効率でクリーンな発電装置として注目されている。特に、固体酸化物形燃料電池は、発電効率が高く、且つ、他の燃料電池と比べて作動温度が高いため排熱を有効に利用できるなどの多くの利点を有することから、第三世代の発電用燃料電池として研究開発が進めらている。
この固体酸化物形燃料電池は、酸化物イオン導電体から成る固体電解質層を両側から空気極層(カソード)と燃料極層(アノード)で挟み込んだ積層構造を有し、発電時には、反応用ガスとして空気極層側に酸化剤ガス(酸素) が、また燃料極層側に燃料ガス (H2、CO等) が供給される。空気極層と燃料極層は、反応用ガスが固体電解質層との界面に到達することができるよう、何れも多孔質の層とされている。
発電セル内において、空気極層側に供給された酸素は、空気極層内の気孔を通って固体電解質層との界面近傍に到達し、この部分で空気極層から電子を受け取って酸化物イオン(O2-)にイオン化される。この酸化物イオンは、燃料極層に向かって固体電解質層内を拡散移動して燃料極層との界面近傍に到達し、この部分で、燃料ガスと反応して反応生成物(H2O、CO2等)を生じ、燃料極層に電子を放出する。電極反応で生じた電子は、別ルートの外部負荷にて起電力として取り出すことができる。
ところで、燃料電池の運転(発電)を開始する際は、起動時に燃料電池スタックを予め何らかの加熱装置により作動温度(例えば、固体酸化物形燃料電池の場合では、650以上)に昇温する必要がある。これは、発電セルの発電反応を活性化するためであり、予熱のための加熱装置として通常電気ヒータやバーナ等が用いられる。
尚、燃料電池起動時の予熱・昇温に関する技術として、例えば、特許文献1が開示されている。
特開2002−124288号公報
ところで、起動の際に燃料電池スタックを昇温する場合、従来は、燃料電池スタックの周辺に上述した電気ヒータやバーナ等の加熱装置を配置し、これら加熱装置からの輻射熱によりスタック表面を外部から加熱する方法が行われていた。しかしながら、このような輻射熱を利用した予熱方法は、昇温に時間がかかり、定格発電が可能な状態になるまでに長時間を要する(例えば、5時間以上)という問題があった。
特に、排ガスを発電セルの外周部より放出するシールレス構造の燃料電池では、起動と同時に発電セルに燃料ガスを供給すると共に、スタックより排出される排ガス、すなわち、発電反応に使用されなかった未燃ガスをスタック周辺で燃焼して、上記加熱装置からの輻射熱とともにこの未燃ガスの燃焼熱を燃料電池スタックの昇温に利用することにより、起動時間を短縮することも行われているが、燃料ガスとして都市ガス等の炭化水素系燃料を使用すると、排ガス燃焼時に300℃以上の雰囲気下で炭素の析出が発生することから、無闇に多量の燃料ガスを供給することはできず、燃料ガスは徐々に供給する必要があった。このため、排ガスの燃焼熱による昇温効果は余り望めず、このことが、起動時間を短縮する際の大きな障害となっていた。
燃焼時の炭素析出を防止するには、炭化水素系燃料に水蒸気を混合させれば良いことが知られている。通常、燃料電池は排ガスを熱源とする水蒸気発生器を備えているが、炭素析出が生じない300℃以下の雰囲気下では、水蒸気発生器において水蒸気の安定した生成は困難である。
本発明は、このような起動時の問題に鑑み成されたもので、起動時に排ガス(未燃ガス)の燃焼熱により水蒸気発生器を加熱し、起動直後より当水蒸気発生器にて水蒸気を生成することにより、上記炭素析出の問題を解消して急速起動を可能とした燃料電池およびその起動方法を提供することを目的としている。
すなわち、請求項1に記載の本発明は、水蒸気発生器と、炭化水素系燃料を水蒸気改質する燃料改質器と、この燃料改質器からの改質ガスと酸化剤ガスとを供給して発電反応を生じさせる燃料電池スタックとを備えた燃料電池において、前記水蒸気発生器は、前記燃料電池スタックからの排ガスを熱源とする熱交換器を備え、且つ、この熱交換器の排ガス流路に、起動時に排ガス中の未燃ガスを燃焼するための燃焼手段を設けたことを特徴としている。
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の燃料電池において、前記燃焼手段として燃焼触媒を用いたことを特徴としている。
また、請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2の何れかに記載の燃料電池において、前記燃料電池は、排ガスを前記発電セルの外周部より放出するシールレス構造の固定酸化物形燃料電池であることを特徴としている。
また、請求項4に記載の本発明は、請求項1から請求項3までの何れかに記載の燃料電池の起動方法であって、起動の際の昇温時に、前記燃料電池スタックを加熱装置にて加熱すると共に、当該燃料電池スタック内に炭化水素燃料と酸化剤ガスを供給し、前記燃焼手段により前記未燃ガスを燃焼して前記熱交換器を加熱すると共に、熱交換器にて発生した水蒸気を炭化水素系燃料とともに前記燃料改質器に導入することを特徴としている。
本発明によれば、水蒸気発生器の熱交換器に燃料手段を設け、起動時に排ガスを燃焼して熱交換器を加熱し、水蒸気を生成するようにしたので、起動直後から燃料改質器に炭化水素系燃料とともに十分な水蒸気を供給することが可能となり、この水蒸気により、燃料電池スタック外において排ガス(未燃ガス)が燃焼する際の炭素析出を防止することができると共に、改質により生じた水素により未燃ガスがより迅速に燃焼することにより、燃料電池スタックを短時間で昇温することができるようになり、よって、急速起動が可能となる。
以下、図1〜図3に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明が適用された固体酸化物形燃料電池の内部概略構成を示し、図2は水蒸気発生器の内部構造を示し、図3は燃料電池スタックの要部構成を示している。
図1において、符号1は固体酸化物形燃料電池(燃料電池モジュール)、符号2は内壁に断熱材(図示せず)を付装したハウジング(缶体)、符号3は積層方向を縦にした状態でハウジング2の内部に設置した燃料電池スタックである。
この燃料電池スタック3は、図3に示すように、固体電解質層4の両面に燃料極層5および空気極層6を配した発電セル7と、燃料極層5の外側の燃料極集電体8と、空気極層6の外側の空気極集電体9と、各集電体8、9の外側のセパレータ10を順番に多数積層した構造を有する。
固体電解質層4はイットリアを添加した安定化ジルコニア(YSZ)等で構成され、燃料極層5はNi等の金属あるいはNi−YSZ等のサーメットで構成され、空気極層6はLaMnO3、LaCoO3等で構成され、燃料極集電体8はNi等のスポンジ状の多孔質焼結金属板で構成され、空気極集電体9はAg等のスポンジ状の多孔質焼結金属板で構成され、セパレータ10はステンレス等で構成されている。
セパレータ10は、発電セル7間を電気的に接続すると共に、発電セル7に反応用ガスを供給する機能を有し、燃料ガスマニホールド13より供給される燃料ガスをセパレータ10の外周面から導入してセパレータ10の燃料極集電体8に対向するほぼ中央部から吐出する燃料ガス通路11と、酸化剤ガスマニホールド14より供給される酸化剤ガスをセパレータ10の外周面から導入してセパレータ10の空気極集電体9に対向する面のほぼ中央部から吐出する酸化剤ガス通路12を備える。
この固体酸化物形燃料電池1は、発電セル7の外周部にガス漏れ防止シールを設けないシールレス構造とされており、運転時には、図3に示すように、燃料ガス通路11および酸化剤ガス通路12を通してセパレータ10の略中心部から発電セル7に向けて吐出される燃料ガスおよび酸化剤ガス(空気)を、発電セル7の外周方向に拡散させながら燃料極層5および空気極層6の全面に良好な分布で行き渡らせて発電反応を生じさせると共に、発電反応で消費されなかった残余のガス(排ガス)を発電セル7の外周部から外に自由に放出するようになっている。尚、この放出ガスは燃料電池スタックの周辺で燃焼させる。
また、ハウジング2内には、上述の燃料電池スタック3の他、その周辺に、温用の加熱装置としてヒータ31(電気ヒータ)や燃料改質器30等が配設されている。燃料改質器30内には炭化水素触媒が充填されており、外部から導入される炭化水素系燃料を水素主体の燃料ガスに改質する。
上記燃料改質器30の入口側には外部からの燃料ガス供給管15が接続されていると共に、出口側は燃料電池スタック内部に配設された燃料ガスマニホールド13に接続されている。また、燃料電池スタック内部の酸化剤ガスマニホールド14には外部からの酸化剤ガス供給管16が接続されている(図3参照)。
そして、起動時には、上記燃料ガス供給管15に炭化水素燃料(例えば、都市ガス、その他、LPG、灯油等も使用可能)が導入されると共に、上記酸化剤ガス供給管16に空気が導入されるようになっている。
他方、ハウジング2の底部には、上部の燃料電池スタック3から排出される高温排ガスを熱源とする水蒸気発生器20が配設されている。
この水蒸気発生器20は、断熱材(図示せず)で包囲された空間内に収容された熱交換器21から構成されており、給水管17通して外部供給水が、この熱交換器21の下部から導入されて上方に流通する過程で熱交換器21内において上部の排ガス導入口26より導入されたハウジング2内の高温排ガスと熱交換して高温水蒸気となり、上端部の配管27を通して燃料電池モジュール1内に誘導され、モジュール内において燃料ガス供給管15からの都市ガスと合流・混合され、混合ガスとなって燃料改質器30に導入される。
また、上部の排ガス導入口26より導入された排ガスは、下方に流通する過程で供給水との熱交換を終えて低温ガスとなって下部の排気管19より外部に排出されるようになっている。
ところで、本実施形態では、上述の熱交換器21として、図2に示すような、燃料電池スタック3からの排ガスが流通するフィン24付きの排ガス流路23と給水管17からの水が流通するフィン24付きの水流路22(供給水は直ちに気化され水蒸気が流通する)をプレート単位で交差状、または、対向状に配設したプレートフィン型の熱交換器(或いは、コルゲートフィン熱交換器でも良い)を用いており、且つ、排ガス流路23内のフィン24には、排ガス流路23内を流通する排ガス中の未燃ガスを燃焼するための燃焼触媒25が配設されている。
この燃焼触媒25として、例えば、Pt(白金)やPd(パラジウム)等を用いることができ、これらが、上述のフィン24の表面に層状に塗布されている。
このように、熱交換器21内(排ガス流路23内)に燃焼触媒を配設し、未燃ガスを迅速に着火・燃焼することにより、高温排ガスからの伝導熱と、未燃ガスの燃焼熱とにより、熱交換器としての熱容量が増大し、熱交換性能を著しく向上することができる。これにより、外部供給水を効率良く加熱・気化して短時間で多量の水蒸気を安定して得ることができる。
上記構成の固体酸化物形燃料電池1では、起動と同時にヒータ31を作動し、燃料電池スタック3を直接熱伝導により加熱・昇温させると共に、外部より燃料ガス供給管15を通して炭化水素燃料(都市ガス)を、酸化剤ガス供給管16を通して空気が燃料電池スタック内に導入される。そして、燃料電池スタック内に導入されたこれら反応用ガスは、そのままスタック外周部より排ガス(未燃ガス)として外に放出され、(起動直後は発電反応が生じ得ないため、供給された燃料ガスの全てが未燃ガスとして放出される)その一部が、スタック周辺にて燃焼し、ヒータ31からの輻射熱とともにこの排ガスの燃焼熱により燃料電池スタック3を外周部より加熱・昇温する。
尚、この場合、スタック周辺での排ガスの燃焼を促進するため、図1に示すように、燃料電池スタック3の近傍に燃焼触媒32を配設しても良い。燃焼触媒32は、例えば、薄板状のハニカム触媒を用いて、Pt、Pd等をアルミナ担体に担持したものを使用し、これをスタック積層方向に沿って配設する。
他方、ハウジング2内の排ガスは、排ガス導入口26より熱交換器21に導入され、排ガス流路23内において燃焼触媒25により着火・燃焼し、僅か数分間で熱交換器21を水蒸気が生成し得る気化温度、例えば、300℃以上に加熱・昇温し、これにより水蒸気発生器20は多量の高温水蒸気を安定的に生成することが可能となる。
因みに、この時のハウジング内の温度(モジュール内温度)は、200℃程度である。
この水蒸気は、配管27を通してハウジング2内に誘導され、ハウジング2内において燃料ガス供給管15からの都市ガスと合流・混合して混合ガスとなって燃料改質器30に導入される。
すなわち、起動時、この燃料改質器30には、都市ガスのみ(水蒸気は導入されていない)が導入されたが、その直後には多量の高温水蒸気が導入されるようになり、この水蒸気により、燃料電池スタック外において排ガス(未燃ガス)が燃焼する際の炭素析出を防止することができるため、一度に大量の都市ガスを供給して排ガスのスタック外燃焼を促進することができると共に、燃料改質器30内においては、水蒸気が導入されることにより、改質反応により一部水素が生成されることから、この改質により生じた水素により未燃ガスがより迅速に燃焼して燃料電池スタック3を短時間で昇温することができる。
また、改質反応で生じた水素により未定格発電が行われることになり、その際のシュール熱で燃料電池スタック3は内部からも加熱されることになる。
因みに、従来、起動時より発電運転開始までに5時間以上を要していたが、本発明では、2〜3時間と短縮することができ、これにより、急速起動が可能となる。加えて、急速起動が実現できれば、従来必要であった起動時のパージを不要とすることができる。
尚、パージとは、昇温時に燃料電池の内部に残留する酸素によって燃料極層が酸化されるのを防止するために、燃料電池に不活性ガス(例えば、窒素)を供給して内部を還元雰囲気に維持しておく処理のことを言う。
また、本実施形態では、水蒸気発生器20における排ガスの着火・燃焼手段として燃焼触媒25を用いたが、この他、電気ヒータ(着火ヒータ)やイグナイター等を用いることも勿論可能である。
本発明が適用された固体酸化物形燃料電池の内部概略構成を示す図。 本発明に係る水蒸気発生器の内部構造を示す要部断面図。 本発明に係る燃料電池スタックの要部概略構成図で、運転時のガスの流れを示す。
符号の説明
1 燃料電池(固体酸化物形燃料電池)
3 燃料電池スタック
7 発電セル
20 水蒸気発生器
21 熱交換器
23 排ガス流路
25 燃焼手段(燃焼触媒)
30 燃料改質器

Claims (4)

  1. 水蒸気発生器と、炭化水素系燃料を水蒸気改質する燃料改質器と、この燃料改質器からの改質ガスと酸化剤ガスとを供給して発電反応を生じさせる燃料電池スタックとを備えた燃料電池において、
    前記水蒸気発生器は、前記燃料電池スタックからの排ガスを熱源とする熱交換器を備え、且つ、この熱交換器の排ガス流路に、起動時に排ガス中の未燃ガスを燃焼するための燃焼手段を設けたことを特徴とする燃料電池。
  2. 前記燃焼手段として燃焼触媒を用いたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記燃料電池は、排ガスを前記発電セルの外周部より放出するシールレス構造の固定酸化物形燃料電池であることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の燃料電池。
  4. 請求項1から請求項3までの何れかに記載の燃料電池の起動方法であって、
    起動の際の昇温時に、前記燃料電池スタックを加熱装置にて加熱すると共に、当該燃料電池スタック内に炭化水素燃料と酸化剤ガスを供給し、
    前記燃焼手段により前記未燃ガスを燃焼して前記熱交換器を加熱すると共に、熱交換器にて発生した水蒸気を炭化水素系燃料とともに前記燃料改質器に導入することを特徴とする燃料電池の起動方法。
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