[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2007072262A - 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、転写材料及び液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、転写材料及び液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007072262A
JP2007072262A JP2005260448A JP2005260448A JP2007072262A JP 2007072262 A JP2007072262 A JP 2007072262A JP 2005260448 A JP2005260448 A JP 2005260448A JP 2005260448 A JP2005260448 A JP 2005260448A JP 2007072262 A JP2007072262 A JP 2007072262A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
film
layer
coating
optical film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005260448A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiyuki Katagiri
俊幸 片桐
Naoyuki Kawanishi
直之 川西
Tei Hayashi
禎 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2005260448A priority Critical patent/JP2007072262A/ja
Publication of JP2007072262A publication Critical patent/JP2007072262A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

【課題】 連続工程で、欠陥なく又は少なく、大面積に光学フィルムを製造可能な製造方法を提供する。
【解決手段】 (1) 長尺支持体を送り出し、(2) 長尺支持体上に樹脂層を形成し、(3) 樹脂層表面を連続的にラビング処理して、配向層を形成し、
(4) 支持体の片面、もしくは両面を除塵し、(5) コレステリック液晶性化合物を含有する塗布液を、前記配向層のラビング処理面に塗布・乾燥して塗膜を形成し、(6) 塗膜を加熱熟成して、液晶性化合物の分子をコレステリック配向させ、(7) 紫外線光を照射して塗膜を硬化して、正面レターデーション(Re)が実質的に0でない光学異方性層を形成し、(8) 長尺光学フィルムとして巻き取る、を(1)〜(8)の順に含む光学フィルムの製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。また、本発明は前記方法を利用して製造される光学フィルム、偏光板、転写材料及び液晶表示装置に関する。特に、視野角特性の優れた垂直配向型液晶表示素子に使用する光学フィルム、及び視野角特性の改善された液晶表示装置に関する。
ワードプロセッサやノートパソコン、パソコン用モニターなどのOA機器、携帯端末、テレビなどに用いられる表示装置としては、CRT(Cathode Ray Tube)がこれまで主に使用されてきた。近年、液晶表示装置が、薄型、軽量、且つ消費電力が小さいことからCRTの代わりに広く使用されてきている。液晶表示装置は、液晶セル及び偏光板を有する。偏光板は保護フィルムと偏光膜とからなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる。例えば、透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償シートを配置することもある。一方、反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償シート、及び偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶分子、それを封入するための二枚の基板及び液晶分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶分子の配向状態の違いで、ON、OFF表示を行い、透過型、反射型及び半透過型のいずれにも適用でき、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、STN(Super Twisted Nematic)のような表示モードが提案されている。しかしながら、従来の液晶表示装置で表示し得る色やコントラストは、LCDを見る時の角度によって変化する。そのため、液晶表示装置の視野角特性は、CRTの性能を越えるまでには至っていない。
近年、この視野角特性を改良するLCDの方式として、負の誘電率異方性を有するネマチック液晶分子を用い、電圧を印加しない状態で液晶分子の長軸を基板に垂直な方向に配向させ、これを薄膜トランジスタにより駆動する垂直配向ネマチック型液晶表示素子(以下、VAモードという)が提案されている(特許文献1参照)。このVAモードは、正面から見た場合の表示特性がTNモードと同様に優れているのみならず、視野角補償用位相差板を適用することで広い視野角特性を発現する。VAモードでは、フィルム面に垂直な方向に光学軸を有する負の一軸性位相差板(負のc−plate)を用いることでより広い視野角特性を得ることができ、このLCDに更に面内のレターデーション値が50nmである正の屈折率異方性を有する一軸配向性位相差板(正のa−plate)を用いることで、更により広い視野角特性を実現できることも知られている(非特許文献1参照)。
しかし、このように位相差板の枚数を増やすと生産コストが上昇してしまう。また、多数のフィルムを貼り合わせるために歩留まりの低下を引き起こしやすいだけでなく、貼合角度のずれによって表示品位の低下をも引き起こしやすい。さらに、複数のフィルムを用いるために厚さが増し、表示装置の薄形化に不利となる場合もある。
また、通常正のa−plateには延伸フィルムが用いられるが、簡便な縦延伸フィルムを用いる場合、a−plateの遅相軸がフィルムの搬送(MD)方向となる。ところが、VAモードの視野角補償では偏光板の吸収軸であるMD方向に対してa−plateの遅相軸を直交させなければならないため、ロール・トゥ・ロールでの貼合ができず、コストが著しく上昇する。これを解決する方法としてMDと直交する方向(TD方向)に延伸するいわゆる横延伸フィルムを用いることが挙げられるが、横延伸フィルムにはボウイングと呼ばれる遅相軸の歪みが発生しやすく、歩留まりが上がらないためにコストが上昇する。さらに、延伸フィルムの積層には粘着層を用いるため、温湿度変化により粘着層が収縮してフィルム間の剥離や反りといった不良が発生することもある。これらを改善する方法として、棒状液晶を塗布してa−plateを作製する方法が知られている(特許文献2参照)。
さらに近年、c−plateとa−plateの組み合わせに替わって、二軸性位相差板を用いる方法が提案された(非特許文献2)。二軸性位相差板を用いることにより、コントラスト視野角だけでなく色味も改善できるようになるメリットがあるが、通常二軸性位相差板を作製するのに用いられる二軸延伸は、横延伸と同様にフィルムの全領域に渡って均一な軸制御が難しく、歩留まりが上がらないためにコストが上昇する。
そこで、特殊なコレステリック液晶に偏光照射する方法(特許文献3)や、特殊な円盤状液晶に偏光照射する方法(特許文献4)によって、延伸を用いることなく二軸性位相差板を作製する方法が提案された。この方法により延伸に起因する種々の問題が解決できる。
しかしながら、このような偏光照射による二軸性フィルムの製造方法には、生産性ならびに品質上の問題があり、工業レベルの商品を経済的に提供するためには幾つかの問題があった。
特開平2−176625号公報 特開2000−304930号公報 WO03/05411 A1 US 6685998 B1 SID 97 DIGEST 845頁〜848頁 SID 2003 DIGEST 1208頁〜1211頁
本発明の課題は、液晶セルが正確に光学的に補償され、かつ貼り合わせる枚数を少なくしても対応可能な、すなわち、液晶表示素子の薄層化に寄与する光学フィルム及び液晶表示素子を高生産かつ均質に提供することである。特に、VAモードの液晶表示素子に光学補償フィルム等として使用される光学フィルムを、連続工程で、欠陥なく又は少なく、大面積に製造可能な製造方法を提供することである。また、本発明は、液晶表示装置の光学補償に寄与する偏光板、及び液晶セル内等に容易に光学補償用の光学異方性層を転写可能な転写材料を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 下記工程(1)〜(8):
(1) 長尺支持体を送り出し、
(2) 長尺支持体上に樹脂層を形成し、
(3) 樹脂層表面を連続的にラビング処理して、配向層を形成し、
(4) 支持体の片面、もしくは両面を除塵し、
(5) コレステリック液晶性化合物を含有する塗布液を、前記配向層のラビング処理面に塗布・乾燥して塗膜を形成し、
(6) 塗膜を加熱熟成して、液晶性化合物の分子をコレステリック配向させ、
(7) 紫外線光を照射して塗膜を硬化して、正面レターデーション(Re)が実質的に0でない光学異方性層を形成し、
(8) 長尺光学フィルムとして巻き取る、
を(1)〜(8)の順に含む光学フィルムの製造方法。
なお、本発明において、正面レターデーションが0でないとは、5nm以上であることをいうものとする。
[2] 工程(2)の後に、支持体と樹脂層との長尺積層体を巻き取り、その後、再び送り出してから工程(3)を実施する[1]の方法。
[3] 工程(2)の前に、長尺支持体の少なくとも片面を表面処理する[1]又は[2]の方法。
[4] 工程(2)の前に、支持体の表面に支持体のTgより0℃〜60℃低い温度に加熱したローラーを接触させる、又は工程(2)の後に、樹脂層の表面に樹脂層のTgより0℃〜60℃低い温度に加熱したローラーを接触させる[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] 工程(4)において、粘着ロール、サクション又は超音波方法によって除塵する[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6] 工程(3)において、回転数が100〜3000rpmのラビングロールでラビング処理する[1]〜[5]のいずれかの方法。
[7] 工程(5)で用いられる塗布液の、表面張力が10〜40mN/m、粘度が0.5〜20mPa・s、及び密度が0.5〜1.5g/cm3である[1]〜[6]のいずれかの方法。
[8] 工程(5)に用いる塗布液の可視吸収スペクトル(光路長1cm)が、波長600〜800nmにおいて0〜0.2の吸光度を有する[1]〜[7]のいずれかの方法。
[9] 前記塗布液が、前記吸光度を少なくとも1週間保持する特性を有する[8]の方法。
[10] 工程(6)の塗膜の加熱熟成時間が、10秒〜5分間である[1]〜[9]のいずれかの方法。
[11] 工程(6)の塗膜の加熱熟成温度が、コレステリック液晶性化合物の液晶等方性転移温度より0〜50℃低い温度である[1]〜[10]のいずれかの方法。
[12] 工程(7)において、支持体面から−20〜20mmの位置を焦点として紫外線を照射する[1]〜[11]のいずれかの方法。
[13] 工程(7)において、照度ピークが0.05〜5.0W/cm2であり、且つ積算照射量が0.1〜10.0J/cm2である紫外線を照射する[1]〜[12]のいずれかの方法。
[14] 工程(7)において、一部又は全部が偏光された紫外線を照射する[1]〜[13]のいずれかの方法。
[15] [1]〜[14]のいずれかの方法により作製した光学フィルム。
[16] 偏光膜と、該偏光膜を挟持する一対の保護膜とを有する偏光板であって、前記一対の保護膜のうち少なくとも一方が[15]の光学フィルムである偏光板。
[17] [15]の光学フィルムと、該光学フィルムの光学異方性層上に感光性樹脂層を有する転写材料。
[18] [16]の偏光板を有する液晶表示装置。
[19] 一対の基板とそれに挟持される液晶層とを有する液晶セルを含む液晶表示装置であって、さらに、前記液晶セルの外側に[16]の偏光板、及び/又は、前記液晶セルの一対の基板のいずれか少なくとも一方の表面上に、[17]の転写材料から転写された光学異方性層を有する液晶表示装置。
[20] 表示モードがVAモードである[18]又は[19]の液晶表示装置。
本発明によれば、液晶セルを光学的に補償可能な光学フィルムを、大面積で、しかも欠陥なくもしくは少なく、安定的に製造することができる。本発明の方法を利用して製造された光学フィルムを使用することにより、従来の液晶表示装置と同じ構成で、液晶セルを光学的に補償することが可能になる。さらに、前記光学フィルムを有する本発明の液晶表示装置は、表示品位のみならず、視野角が改善される。また、従来の液晶表示装置では、光学補償シートを組み込むために、複数の位相差膜と偏光板の角度を厳密に調整しながら積層する工程が必要であったが、本発明ではかかる工程を経なくてもよく、長尺の支持体に連続的に光学異方性層を形成することが可能となり、さらに塗布時のムラ等の問題のない高生産かつ高品質の光学フィルムの作製が可能となった。さらに、本発明の転写材料を用いることにより、液晶セル内に光学補償能を有する光学異方性層を容易に形成可能となる。
発明の実施の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
なお本発明において、Re、Rthは各々、波長λにおける正面レターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rthは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して角度を変えて、傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定した複数のレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。
本明細書において、角度について「実質的に」とは、厳密な角度との誤差が±5°未満の範囲内であることを意味する。さらに、厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。また、屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。なお、本明細書において、「可視光」とは、波長が400nm〜700nmの光のことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
[光学フィルム]
図1(a)及び(b)は本発明の光学フィルムの例の概略断面図である。図1(a)に示す光学フィルムは、透明支持体11上に光学異方性層12を有する。また、図1(b)に示す光学フィルムは、透明支持体11と光学異方性層12との間に、光学異方性層12中の液晶性分子の配向を制御するための配向層13が配置されている。
[偏光板]
図2(a)〜(d)は本発明の光学フィルムを有する偏光板の一例である。偏光板は例えば、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行うことによって偏光膜21を得、その両面に保護フィルム22及び23を積層して作製することができる。本発明の光学フィルムは、光学異方性層を支持するポリマーフィルム等からなる支持体を有するので、この支持体を保護フィルム22及び23の少なくとも一方にそのまま用いることができる。この際、本発明の光学フィルムの光学異方性層12は偏光層21側(即ち、光学異方性層12が支持体11より偏光層21により近くに)にあっても、偏光層21と反対側(即ち、光学異方性層12が支持体11より偏光層21により遠くに)に配置されていてもよいが、図2(a)のように偏光層と反対側にあることが好ましい。また、図2(b)のように偏光層21の一方の保護フィルム22の外側に粘着剤等を介して貼合することも可能である。
図2(c)及び(d)は、図2(a)に示した構成の偏光板に、さらに他の機能性層24を配置した偏光板の構成例である。図2(c)は、本発明の光学フィルムと偏光層21を挟んで反対側に配置された保護フィルム23の上に、他の機能性層24を配置した構成例であり、図2(d)は、本発明の光学フィルムの上に、他の機能性層24を配置した構成例である。他の機能性層の例としては特に制限されず、λ/4板、反射防止フィルム、ハードコートフィルム等、種々の機能を付与し得る機能層が挙げられる。これらの層は、λ/4板、反射防止フィルム、ハードコートフィルム等の一部材として、例えば粘着剤によって貼合してもよいし、図2(d)に示す構成例の様に、本発明の光学フィルム(光学異方性層12)上に、他の機能性層24を形成してから、偏光層21と貼り合わせて作製してもよい。また、本発明の光学フィルムと反対側の保護フィルム23そのものを、λ/4板、反射防止フィルム、ハードコートフィルム等の他の機能性フィルムにすることもできる。
偏光膜と保護フィルムの積層による偏光板作製の際には、一対の保護フィルムと偏光膜の合計3枚のフィルムを、ロール・トゥ・ロールで貼り合わせることができる。このロール・トゥ・ロールは生産性の観点だけでなく、偏光板の寸法変化やカールの発生が起こりにくく、高い機械的安定性が付与できることから偏光板の製造プロセスとして好ましい方法である。
[転写材料]
本発明の転写材料は、支持体と、少なくとも一層の光学異方性層と少なくとも一層の感光性樹脂層とを有し、前記光学異方性層と前記感光性樹脂層を、他の基板上に転写するのに用いられる材料である。図3は本発明の転写材料のいくつかの例の概略断面図である。図3(a)に示す本発明の転写材料は、透明又は不透明な仮支持体11上に光学異方性層12と感光性樹脂層14とを有する。本発明の転写材料は他の層を有していてもよく、例えば、図3(b)に示す様に、支持体11と光学異方性層12との間には、転写時に相手基板側の凹凸を吸収するためのクッション性のような力学特性コントロールあるいは凹凸追従性付与のための層15を有していてもよいし、また、図3(c)に示す様に、光学異方性層12中の液晶性分子の配向を制御するための配向層として機能する層13が配置されてもよいし、さらに図3(d)に示す様に双方の層を有していてもよい。また、図3(e)感光性樹脂層の表面保護などの目的から、最表面に剥離可能な保護層16を設けてもよい。
[液晶表示装置用被転写基板]
本発明の転写材料は、液晶表示装置用基板に転写され、液晶セルの視野角補償のための光学異方性層を構成し得る。さらに、カラーフィルタとの組み合わせによってR、G、Bの色ごとに液晶セルの視野角補償のための光学異方性層を構成し得る。かかる層が転写された基板は、液晶セルの一対の基板のいずれか一方に用いられてもよいし、両方に分割して用いられてもよい。図4(a)に本発明の転写材料により作製された、光学異方性層付き基板の一例の概略断面図である。被転写基板30としては透明であれば特に限定はないが、複屈折が小さいことが望ましく、ガラスや低複屈折性ポリマー等が用いられる。基板上には本発明の転写材料を用いて形成された光学異方性層27があり、その上にブラックマトリクス29、さらにはカラーフィルタ層28が形成されている。図4(a)中では省略したが、光学異方性層27と基板30との間には、転写材料中の構成層である感光性樹脂層が配置されていて、光学異方性層27と基板30とは、感光性樹脂層を介して接着している。カラーフィルタ層28のさらにその上には透明電極層25、さらにその上には液晶セル中の液晶分子を配向させるための配向層26が形成されている。本発明の転写材料を利用して光学異方性層27を基板30上に形成した後に、レジストを均一に塗布し、その後、マスク露光後現像で不要部を除去する方法によりブラックマトリクス22及びカラーフィルタ層28を作製してもよいし、また、近年提案されている印刷方式やインクジェット方式を利用して形成してもよい。後者の方がコスト面からは好ましい。
図4(b)に本発明の転写材料により作製された、光学異方性層付きカラーフィルタを有する基板の一例の概略断面図である。被転写基板30としては透明な基板であれば特に限定はないが、複屈折が小さい基板が望ましく、ガラスや低複屈折性ポリマー等が用いられる。基板上には一般にブラックマトリクス29が形成され、その上に本発明の転写材料から転写後、マスク露光等によりパターニングされた感光性樹脂層からなるカラーフィルタ層28及び光学異方性層27’が形成されている。図4には、R、G、Bのカラーフィルタ層28を形成した態様を示したが、最近よくみられる様に、R、G、B、W(白)の層からなるカラーフィルタ層を形成してもよい。光学異方性層27’はr、g、b領域に分割され、R,G,Bそれぞれのフィルタ層28の色に対して、それぞれ最適な位相差特性を有している。光学異方性層27’の上には転写材料から転写された他の層があってもよいが、液晶セル内には極力不純物は混入させないようにしなければならないため、パターニング時の現像、洗浄処理時に取り除かれていることが好ましい。光学異方性層27’の上には透明電極層25、さらにその上には液晶セル中の液晶分子を配向させるための配向層26が形成されている。
さらに本発明の転写材料を用い、図4(c)に示す様に、一の基板上に、本発明の転写材料を用い、パターニングされていないベタの光学異方性層27とパターニングされた光学異方性層27’の二つを形成してもよい。なお、図は省略するが、本発明の転写材料を用い、液晶セルの一対の対向基板の一方の基板にベタの光学異方性層27を形成し、他方の基板にパターニングされた光学異方性層27’をカラーフィルタ層28とともに形成してもよい。一対の対向基板側の一方には、一般にTFTアレイなどの駆動用電極が配置されていることが多く、駆動用電極上にベタの光学異方性層27を形成してもよいし、駆動用電極上にパターニングされた光学異方性層27’をカラーフィルタ層28とともに形成してもよい。光学異方性層は、基板上であればどの位置に形成されてもよいが、TFTを有するアクティブ駆動型の場合、光学異方性層の耐熱性からシリコン層よりも上に形成されるのが好ましい。
本発明の転写材料を用いることにより、1回の転写−露光−現像プロセスで、1色のカラーフィルタとそれに対応した光学異方性層が同時に形成可能であるので、特開平3−282404号公報に記載されているようなカラーフィルタ製造工程の場合と同じ工程数で、液晶表示装置の視野角特性を改良することができる。
[液晶表示素子]
図5は、本発明の液晶表示装置の一例である。液晶表示素子は、上下の電極基板間にネマチック液晶を挟持してなる液晶セル65、及び液晶セルの両側に配置された一対の偏光板66及び67を有しており、偏光板の少なくとも一方には図2に示した本発明の偏光板を用いている。本発明の偏光板を用いる際には、光学異方性層が偏光層と液晶セルの電極基板の間になるように配置する。ネマチック液晶分子は、電極基板上に施された配向膜及びその表面のラビング処理あるいはリブ等の構造物を設けることによって、所定の配向状態になるように制御されている。
偏光板に挟持された液晶セルの下側には輝度向上フィルムや拡散フィルムのような調光フィルム64を1枚以上有していてもよい。さらに調光フィルムの下側には冷陰極管61から出た光を正面に照射するための反射板62と導光板63を有している。この冷陰極管と導光板からなるバックライトユニットの代わりに、最近では冷陰極管を液晶セルの下に数本配列した直下型バックライトや、光源としてLEDを用いたLEDバックライト、あるいは有機EL、無機EL等を用いて面発光させるようなバックライトも用いられているが、本発明の光学フィルムはいずれもバックライトにおいても効果がある。
さらに、図には示さないが、反射型液晶表示素子の態様では偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セルの背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに、表示装置の1画素内に、透過部と反射部を設けた半透過型も可能である。
図6は本発明の転写材料を用いた液晶表示装置の一例の概略断面図である。図6(a)〜(c)の例はそれぞれ図4(a)〜(c)のガラス基板を上側基板として用い、32に示すTFT付ガラス基板を対向基板として間に液晶31を挟んだ液晶セル37を用いた液晶表示装置である。液晶セル37の両側には、2枚のセルロースエステルフィルム34、35に挟まれた偏光層33からなる偏光板36が配置されている。液晶セル側のセルロースエステルフィルム35として、光学補償に寄与する光学フィルムを用いてもよいし、34と同様、保護フィルムとしての機能のみであってもよい。図には示さないが、反射型液晶表示装置の態様では偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セルの背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろんフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに、表示装置の1画素内に、透過部と反射部を設けた半透過型も可能である。本液晶表示装置の表示モードは特に制限がなく、全ての透過型及び反射型液晶表示装置に用いることが可能である。中でも色視野角特性改良が望まれるVAモードに対して、本発明は効果を発揮する。
次に、本発明の光学フィルムの製造方法について詳細に説明する。
本発明の光学フィルムの製造方法は、下記工程(1)〜(8):
(1) 長尺支持体を送り出し、
(2) 長尺支持体上に樹脂層を形成し、
(3) 樹脂層表面を連続的にラビング処理して、配向層を形成し、
(4) 支持体の片面、もしくは両面を除塵し、
(5) コレステリック液晶性化合物を含有する塗布液を、前記配向層のラビング処理面に塗布・乾燥して塗膜を形成し、
(6) 塗膜を加熱熟成して、液晶性化合物の分子をコレステリック配向させ、
(7) 紫外線光を照射して塗膜を硬化して、正面レターデーション(Re)が実質的に0でない光学異方性層を形成し、
(8) 長尺光学フィルムとして巻き取る、
を(1)〜(8)の順に含む。
本発明の製造方法の好ましい例は、以下の工程(1)’〜(13)’:
(1)’ 長尺支持体を送り出し、
(2)’ 支持体上の片面、もしくは両面の異物を除去する除塵工程;
(3)’ 支持体を平滑化する加熱アイロン工程;
(4)’ 支持体の表面に配向膜形成用樹脂を含む塗布液を塗布、乾燥する配向膜形成用樹脂層の形成工程;
(5)’ 表面に配向膜形成用樹脂層が形成された支持体上に、樹脂層の表面にラビング処理を施し、支持体上に配向膜を形成するラビング工程;
(6)’ 支持体上の片面、もしくは両面のラビング異物を除去する除塵工程;
(7)’ 配向膜面のラビング処理を保持する非接触搬送工程;
(8)’ コレステリック液晶性化合物を含む塗布液を、配向膜上に塗布する液晶性化合物の塗布工程;
(9)’ 該塗布層を乾燥して該塗布層中の溶媒を蒸発させる乾燥工程;
(10)’ 該塗布層をコレステリック液晶相形成温度に加熱して、コレステリック液晶層を形成する液晶層形成工程;
(11)’ 該コレステリック液晶層を固定する、即ち、架橋性官能基を有する液晶性化合物を偏光光照射により架橋させて、正面レターデーション(Re)が実質的に0でない光学異方性層を形成する工程;
(12)’ 形成された光学フィルムの品質をオンライン計測する面検工程;
(13)’ 該配向膜及び液晶層が形成された長尺支持体を巻き取る巻取り工程。
を(1)’〜(13)’の順に含む。
以下、図面を参照しながら、本発明の製造方法を詳細に説明する。
図7に、本発明の製造方法に利用される製造装置の概略図を示す。
送出機41によりロール(フィルムロール)状の支持体40aが長手方向に送り出され、駆動ローラーにより搬送され、フィルム除塵機42、43より支持体の表面及び裏面の双方が除塵される。その後、ヒートローラー44に表面又は裏面が接触して、加熱アイロン処理され、表面又は裏面が平滑性される。その後、塗布ヘッド45により配向膜形成用樹脂を含む塗布液が塗布され、加熱乾燥ゾーン46で乾燥され、樹脂層がフィルム表面上に形成される(上記工程(1)〜(2)又は上記工程(1)’〜(4)’)。ここで得られたフィルムを一旦巻き取ってもよい。
配向膜形成用樹脂層を有する支持体40bは、ラビングローラー47によりラビング処理が施さる(上記工程(3)又は(5)’)。配向膜が形成された支持体40cは、除塵処理機48によって除塵処理された後(上記工程(4)又は(6)’)、非接触エアクッション49により搬送される(上記工程(7)’)。次に、配向膜上に、コレステリック液晶性化合物を含む塗布液が塗布ヘッド50により塗布され(上記工程(5)又は(8)’)、次いで、溶剤を蒸発させた後、加熱ゾーン51において、塗布層をコレステリック液晶相形成温度に加熱して(ここで塗布層の残留溶剤も蒸発する)、コレステリック液晶層を形成する(上記工程(6)又は(9)’〜(10)’)。
上記コレステリック液晶層は、次いで、偏光紫外線(UV)ランプ52により紫外線が照射され、液晶層は架橋して硬化して、正面レターデーション(Re)が実質的に0でない光学異方性層を形成する(上記工程(7)又は(11)’)。架橋させるためには、コレステリック液晶性化合物として架橋性官能基を有する液晶性化合物を使用するのが好ましい。支持体上に、配向膜及び光学異方性層を有する長尺光学フィルムは、検査装置53により光学特性が測定され(上記工程(12)’)、異常がないかどうかの検査が行なわれ、次いで巻き取り装置54に巻き取られる(上記工程(8)又は(13)’)。
一旦巻き取られた配向膜形成用樹脂層を有する前記のフィルム(4b)を再度送り出して、ラビング装置47以降、液晶層の塗布50・乾燥51・紫外線硬化52を別の塗布機で実施してもよい。
本発明の製造方法では、配向膜もしくは光学異方性層の形成用塗布液を塗布する前に、支持体の表面又は裏面の除塵を行う、即ち、上記工程(1)と(2)との間に、上記工程(2)’を行うのが好ましい。
周知の乾式の除塵方法としては、粘着性のロールに接触させる方法や、特開昭59−150571号公報に記載のように、フィルム表面に不織布やブレード等を押し付ける方法や、特開平10−309553号公報に記載されているように、清浄度の高い空気を高速で吹き付け、付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口に導入して除去する(サクション)方法等を適用することができる。特に、超音波振動する圧縮空気を吹き付けると共に付着物を吸引する機能を有するもの(超音波方法)は、例えば、ニューウルトラクリーナーの商品名で(株)伸興から市販されている。これらの装置の特徴は、空気流による剪断力と超音波を組み合わせて、厚み数十〜百μmの、空気流の境界層の中で、付着物が受ける剪断力によって剥離させる作用と超音波による振動作用を組み合わせて、高い除塵作用を実現していることである。また、静電力で付着した異物を除去する方法としては、特開平10−290964号公報に記載されているように、正、負の空気イオンを注入しながら電荷を中和させ、剥離した異物を別の空気流によって除去する手段がある。一般的な除電方法としては特開昭62−131500号公報に記載の方法、除塵方法としては特開平2−43157号公報に記載の方法も利用することができる。
一方、これら乾式の方法に対して湿式の除塵方法も考案されている。例えば、洗浄槽内にフィルムを導入し、ここで超音波振動子により付着物を剥離させる方法や、特公昭49−13020号公報に開示のフィルムに洗浄液を供給した後に高速空気の吹き付け、吸い込みを行う方法や、特開2001−038306号公報、特開2002−079200号公報、特開2002−040245号公報等に記載されているように、液体で濡らした弾性体でフィルム面を連続的に擦る方法が知られている。いずれの方法も利用することができる。
以上のいずれかの方法により除塵処理した後の支持体フィルム又は塗布済みフィルムの表面における10μm径以上の異物は、10コ/m2未満であることが好ましく、1コ/m2未満であることがさらに好ましく、0.1コ/m2未満であることが最も好ましい。
また、本発明の製造方法では、上記工程(2)の前に又は後に、支持体又は樹脂層の表面に加熱したローラーを接触させて、平滑化処理する、即ち、上記工程(3)’を行うのが好ましい。
上記工程(2)の前に行う場合は、支持体のTgより0℃〜60℃低い温度に加熱したローラーを、支持体表面に接触させるのが好ましく、又、工程(2)の後に行う場合は、配向層用樹脂層の表面に該樹脂層のTgより0℃〜60℃低い温度に加熱したローラーを接触させるのが好ましい。
上記工程(3)では、ラビングローラーによりラビング処理を行ってもよい。ラビングローラーは、外周表面にベルベット等のラビングシートが巻付けられており、これにより樹脂層表面がラビングされる。ラビングローラーは、3000rpm程度まで回転速度を制御することができ、また任意のラビング角度に調整できるように、フィルムの進行方向に対して水平面で回転自在とされている。例えば、ラビングローラーをフィルムの進行方向に対して、ロールの長さ方向の中心位置を軸に回転させてラビング角度を調整し、この状態でフィルムを搬送装置によって一定張力、一定速度(一般に5m/分以上)で搬送しながら、ラビングローラーをフィルムの搬送方向とは反対の方向に一定の回転速度で回転させる。これにより連続的にラビングを行なうことができる。このように連続的にラビングを行なうことにより、フィルムはエアフォイル効果により浮上して搬送されるので、フィルムが幅方向に動くことはなく、安定して、連続的にラビングを行なうことができる。ラビング時のフィルム搬送速度は、一般に2〜50m/分であり、ラビングローラーの直径は、一般に80〜500mm(好ましくは100〜200mm)であり、ラビングローラーの回転数は100〜3000rpmが好ましく、500〜1500rpmがより好ましい。100よりも弱い回転数では、配向膜の規制力が弱く液晶が充分に配向しない場合がある。ベースラップ角は、4〜20度が好ましく、フィルムに対するテンションは、1〜2N/cm(フィルム幅)が好ましい。ラビングローラーは一般に2〜4本使用され、ラビングローラーの回転軸は、一般に0〜45度の範囲で調整可能である。ラビングローラーの着脱は、ローラー上下装置により接合部で着脱できることが好ましい。
上記工程(4)では、主にラビング処理によって生じた粉塵等が除去される。除塵のために用いられる部材については特に制限されず、種々のものを用いることができる。中でも、粘着ロール、サクション、又は超音波方法による除塵が効率的で好ましい。
上記工程(5)では、コレステリック液晶性化合物を含有する塗布液を、ラビング処理面に塗布・乾燥して、塗布層を形成する。
工程(5)において利用される塗布方式については特に制限はないが、塗布量の変動が支持体の幅方向、塗布時間に対して30%未満を達成できる連続塗布可能な方式が好ましい。エクストルージョン、スライドなどのダイコーター、順転ロール、逆転ロール、グラビアなどのロールコーター、細い金属線を巻いたロッドコーター等が好ましく利用できる。これらの塗布方式に関しては、Modern Coating and Drying Technology,Edward Cohen and Edgar B.Gutoff,Edits.,VCH Publishers,Inc,1992にまとめられている。
なお、配向層用に形成される樹脂層についても塗布により形成する場合は、上記したいずれかの塗布方式を利用するのが好ましい。
本発明において、支持体の搬送速度の好ましい範囲は、塗布液の組成と塗布方式の組み合わせによって決まるが、通常は2〜500m/分、好ましくは5〜300m/分の範囲であり、かかる範囲で安定な塗布操作が行える様、塗布液の物性(表面張力、粘度、密度等)と塗布方式、ならびに塗布操作条件を選定するのが好ましい。
上記工程(5)で用いる塗布液の物性の好ましいは、採用する塗布方式により異なるが、一般的には、コレステリック液晶性化合物塗布液の表面張力は、10〜40mN/mが好ましく、15〜30mN/mがより好ましい。表面張力がこの範囲よりも低いと塗布性が悪く、高いと表面での液はじきが起こる場合がある。粘度も低いと塗布性が悪く、高いと流動性がなくムラとなるため、前記塗布液の粘度は、0.5〜20mPa・sの範囲であるのが好ましく、1〜5mPa・sであるのがより好ましい。塗布液の密度も塗布性に大きく関与しており、塗布液の密度は、0.5〜1.5g/cm3が好ましく、0.7〜1.2g/cm3がより好ましい。
前記塗布液の物性(溶解)を、可視吸収スペクトル測定(光路長1cm、波長600〜800nm)により評価してもよい。吸光度の値が高い、つまり、未溶解もしくは不純物が多いと塗布後のブツとなり面状が悪化する。そのため、塗布液調整直後の吸光度は0〜0.2の値であることが好ましい。さらに、調製一週間後も0〜0.2の値を保持しているものがより好ましい。
上記工程(6)における加熱熟成時間の好ましい範囲は、コレステリック液晶層の形成されるまでの時間により異なるが、10秒〜5分間が好ましく、15秒〜3分間がより好ましい。加熱熟成時間が短いと液晶が配向せず、また長いと若干の温度変化により等方相に転移する場合がある。また、その時の加熱熟成温度は、コレステリック液晶の等方性転移温度より0〜50℃低いことが好ましく、5〜20℃低いことがより好ましい。等方性転移温度を超えてはならないことは言うまでもなく、低すぎる場合には配向に時間がかかってしまう。
上記工程(7)では、紫外線光を照射して塗膜を硬化させる。紫外線光の照射に用いるUV装置の光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、及びマイクロ波ランプ等を利用することができる。特にマイクロ波ランプは、300〜450nmの長波長紫外線出力が高く、電気エネルギーの変換効率が高いので好ましい。硬化のために照射するUV光照射量は、200mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下であるのが好ましく、生産性に影響する支持体の搬送速度より光源ランプの数ならびにランプ出力を決定することが好ましい。通常、市販されているUVランプの出力は50〜200W/cmである。
また、光源部に送風したり、水を循環したりして冷却することが好ましい。
上記工程(7)において、面内レターデーションReが実質的に0でない光学異方性層を形成するためには、一部又は全部が偏光された紫外線を照射して、硬化と同時にコレステリック配向を歪ませる、即ち、コレステリック液晶性化合物の分子を光配向させるのが好ましい。偏光照射によって配向を歪ませる方法としては、二色性液晶性重合開始剤を用いる方法(WO03/05411 A1)や分子内にシンナモイル基等の光配向性官能基を有する棒状液晶性化合物を用いる方法(US 6685998)が挙げられる。この偏光照射は上記配向固定化における光重合プロセスと同時に行ってもよいし、先に偏光照射を行ってから非偏光照射でさらに固定化を行ってもよいし、非偏光照射で先に固定化してから偏光照射によって光配向を行ってもよい。大きなレターデーションを得るためには偏光照射のみ、もしくは先に偏光照射することが好ましい。偏光照射には紫外線偏光照射が好ましく、特に365nmにピークを持つ偏光照射が好ましい。偏光照射の積算照射エネルギーは、0.1〜10J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度ピークは50〜5000mW/cm2であることが好ましく、70〜500mW/cm2であることがより好ましく、100〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。
かかる偏光照射が可能な紫外線照射装置は、通常、効率的に集光させるため焦点を有している。かかる装置を使用する場合は、支持体の表面が焦点から−20〜20mmの距離であることが好ましく、−10〜10mmであることがより好ましく、−5〜5mmであることが最も好ましい。
上記工程(7)では、塗膜中のUV硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応が進行して、硬化が進行する。かかる反応は、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で膜形成することにより、液晶層の物理強度、耐薬品性、耐候性、更には、隣接する層との接着性を改良することができる。好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気でUV硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応することであり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。酸素濃度を10体積%以下にする手段としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
上記製造方法により製造された本発明の光学フィルムは、支持体、配向層及び光学異方性層を有し、該光学異方性層が、液晶表示素子のコントラスト視野角の拡大し、液晶表示素子の画像着色を解消するのに寄与する。さらに、本発明の光学フィルムと、偏光膜とを積層することによって、本発明の偏光板を作製することができる。光学フィルムの支持体が偏光板の保護フィルムを兼ねることによって、又は光学異方性層が偏光板の保護フィルムを兼ねることによって、液晶表示素子の構成部材を減少させることができる。すなわち、かかる態様にすることにより液晶表示素子の薄型化にも寄与する。なお、長尺の光学フィルムと、長尺の偏光膜と、長尺の保護フィルムとをロール・ツー・ロールで積層するのが好ましい。
本発明の光学フィルムの光学異方性層上に、さらに感光性樹脂層を形成することで本発明の転写材料を作製することができる。本発明の転写材料を利用することにより、例えば、液晶セルの基板の内面等に光学異方性層を容易に形成できる。
次に、本発明の光学フィルム、偏光板、及び転写材料の製造方法に用いられる材料について、詳細に説明する。
[光学異方性層]
本発明では、光学異方性層は、液晶セルを光学補償するのに寄与する。光学異方性層単独で充分な光学補償能を有する態様はもちろん、他の層(例えば支持体)との組み合わせで光学補償に必要とされる光学特性を満足する態様であってもよい。前記硬化した光学異方性層は、例えば連続搬送工程を用いて透明支持体を搬送しながら、少なくとも一種の液晶性化合物を含有する塗布液を、透明支持体上に設けられた配向層上に塗布及び乾燥して光学異方性層を形成した後に、該層を有する透明支持体を搬送しながら、前記層に、後述する所定の条件の下、紫外線を少なくとも1度照射して、前記層を硬化させて形成することができる。
前記光学異方性層の形成に用いられる液晶性化合物については特に制限されない。一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶性化合物を用いることもできるが、偏光紫外線の照射により、面内レターデーションを効率的に発生することができるという観点から、棒状液晶性化合物を用いることが好ましい。2種以上の棒状液晶性化合物、2種以上の円盤状液晶性化合物、又は棒状液晶性化合物と円盤状液晶性化合物との混合物を用いてもよい。温度変化や湿度変化を小さくできることから、反応性基を有する棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物を用いて形成することがより好ましく、混合物の場合少なくとも1つは1液晶分子中の反応性基が2以上あることがさらに好ましい。液晶性化合物は二種類以上の混合物でもよく、その場合少なくとも1つが2以上の反応性基を有していることが好ましい。前記光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがさらに好ましい。
前記光学異方性層を形成するために用いられる円盤状液晶性化合物は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。上記高分子液晶性化合物は、低分子の反応性基を有する棒状液晶性化合物が重合した高分子化合物である。特に好ましく用いられる上記低分子の反応性基を有する棒状液晶性化合物としては、下記一般式(I)で表される棒状液晶性化合物を挙げることができる。
一般式(I):Q1−L1−A1−L3−M−L4−A2−L2−Q2
式中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に、反応性基であり、L1、L2、L3及びL4はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表すが、L3及びL4の少なくとも一方は、−O−CO−O−であることが好ましい。A1及びA2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサー基を表す。Mはメソゲン基を表す。
以下に、上記一般式(I)で表される反応性基を有する棒状液晶性化合物についてさらに詳細に説明する。式中、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、反応性基である。反応性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。換言すれば、反応性基は付加重合反応又は縮合重合反応が可能な反応性基であることが好ましい。以下に反応性基の例を示す。
Figure 2007072262
1、L2、L3及びL4で表される二価の連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR2−、−NR2−CO−、−O−CO−、−O−CO−NR2−、−NR2−CO−O−、及びNR2−CO−NR2−からなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子である。この場合、L3及びL4の少なくとも一方は、−O−CO−O−(カーボネート基)である。前記式(I)中、Q1−L1及びQ2−L2−は、CH2=CH−CO−O−、CH2=C(CH3)−CO−O−及びCH2=C(Cl)−CO−O−CO−O−が好ましく、CH2=CH−CO−O−が最も好ましい。
1及びA2は、炭素原子数2〜20を有するスペーサー基を表す。炭素原子数2〜12の脂肪族基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。スペーサー基は鎖状であることが好ましく、隣接していない酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい。また、前記スペーサー基は、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、メチル基、エチル基が置換していてもよい。
Mで表されるメソゲン基としては、すべての公知のメソゲン基が挙げられる。特に下記一般式(II)で表される基が好ましい。
一般式(II):−(−W1−L5)n−W2
式中、W1及びW2は各々独立して、二価の環状脂肪族基、二価の芳香族基又は二価のヘテロ環基を表し、L5は単結合又は連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(I)中、L1〜L4で表される基の具体例、−CH2−O−、及びO−CH2−が挙げられる。nは1、2又は3を表す。
1及びW2としては、1,4−シクロヘキサンジイル、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5ジイル、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイルが挙げられる。1,4−シクロヘキサンジイルの場合、トランス体及びシス体の構造異性体があるが、どちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。トランス体であることがより好ましい。W1及びW2は、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、炭素原子数1〜10のアシル基(ホルミル基、アセチル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、炭素原子数1〜10のアシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基など)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基などが挙げられる。
前記一般式(II)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましいものを、以下に例示する。これらに上記置換基が置換していてもよい。
Figure 2007072262
以下に、前記一般式(I)で表される化合物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、一般式(I)で表される化合物は、特表平11−513019号公報に記載の方法で合成することができる。
Figure 2007072262
Figure 2007072262
Figure 2007072262
前記光学異方性層は、配向層と気液界面を利用して形成されることが好ましい。具体的には、透明支持体上に直接配向層を設け、次いで配向層上に直接光学異方性層を形成することにより作製することができる。
[水平配向剤]
本発明では、前記光学異方性層形成用溶液中に、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物(水平配向剤)の少なくとも一種を含有させることで、液晶性化合物の分子を実質的に水平配向させることができる。尚、本発明で「水平配向」とは、棒状液晶の場合、分子長軸と透明支持体の水平面が平行であることをいい、円盤状液晶の場合、円盤状液晶性化合物のコアの円盤面と透明支持体の水平面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は0〜5度であることが好ましく、0〜3度であることがより好ましく、0〜2度であることがさらに好ましく、0〜1度であることが最も好ましい。
以下、下記一般式(1)〜(3)について、順に説明する。
Figure 2007072262
式中、R1、R2及びR3は各々独立して、水素原子又は置換基を表し、X1、X2及びX3は単結合又は二価の連結基を表す。R1〜R3で各々表される置換基としては、好ましくは置換もしくは無置換の、アルキル基(中でも、無置換のアルキル基またはフッ素置換アルキル基がより好ましい)、アリール基(中でもフッ素置換アルキル基を有するアリール基が好ましい)、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子である。X1、X2及びX3で各々表される二価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、−CO−、―NRa−(Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基は、アルキレン基、フェニレン基、−CO−、−NRa−、−O−、−S−及び−SO2−からなる群より選ばれる二価の連結基又は該群より選ばれる基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがより好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。二価の芳香族基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
Figure 2007072262
式中、Rは置換基を表し、mは0〜5の整数を表す。mが2以上の整数を表す場合、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。Rとして好ましい置換基は、R1、R2、及びR3で表される置換基の好ましい範囲として挙げてものと同じである。mは、好ましくは1〜3の整数を表し、特に好ましくは2又は3である。
Figure 2007072262
式中、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。R4、R5、R6、R7、R8及びR9でそれぞれ表される置換基は、好ましくは一般式(I)におけるR1、R2及びR3で表される置換基の好ましいものとして挙げたものである。本発明に用いられる水平配向剤については、特願2005−99248号明細書に記載の化合物を用いることができ、それら化合物の合成法も該明細書に記載されている。
前記一般式(1)〜(3)で表される化合物の添加量としては、液晶性化合物の質量の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがより好ましく、0.02〜1質量%であることが特に好ましい。なお、前記一般式(1)〜(3)にて表される化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
重合性基を有する円盤状液晶性化合物の場合も、上述と同様に実質的に水平配向させる。この場合の円盤状液晶性化合物の具体例としては、国際公開WO01/88574A1号公報の58頁6行〜65頁8行に記載されているものも好ましく採用することができる。
前記光学異方性層は、正面レターデーションRe(0)が0でない。Re(0)は5〜250nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましく、20〜80nmであることが最も好ましい。Rthは透明支持体のRthとの合計で30〜500nmであることが好ましく、40〜400nmであることがより好ましく、100〜350nmであることが最も好ましい。光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
液晶性化合物からなる光学異方性層を2層以上積層する場合、液晶性化合物の組み合わせについては特に限定されず、全て円盤状液晶性化合物からなる層の積層体、全て棒状性液晶性化合物からなる層の積層体、円盤状液晶性化合物からなる層と棒状性液晶性化合物からなる層の積層体であってもよい。また、各層の配向状態の組み合わせも特に限定されず、同じ配向状態の光学異方性層を積層してもよいし、異なる配向状態の光学異方性層を積層してもよい。
光学異方性層は、上記工程(5)において、コレステリック液晶性化合物及び下記の重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成する。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。なお、塗布液の塗布は、上記した通り、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[液晶性化合物の配向状態の固定化]
上記工程(6)でコレステリック配向させた液晶性化合物の分子を、上記工程(7)でその配向状態を維持して固定する。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
[配向膜]
本発明では、液晶性化合物の分子を配向させるために、配向膜を用いる。本発明では、配向膜を、有機化合物(好ましくはポリマー)を含有する層の表面をラビング処理することで形成する。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。
配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平に配向させるためには配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セル又は光学補償シートについて種々の文献に記載がある。いずれの配向膜においても、液晶化合物と透明支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されている。配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
[支持体]
本発明の光学フィルム及び転写材料は、支持体を有する。光学フィルムを光学補償シートとして利用する場合は、支持体が光を遮蔽しないように、また転写材料では感光性樹脂層への露光を妨げないように、支持体は透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるポリマーフィルムを用いることが好ましい。支持体の厚みは10〜500μmが好ましく、20〜200μmがより好ましく、35〜110μmが最も好ましい。
前記支持体のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜定められる。当該樹脂のガラス転移温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃〜200℃、特に好ましくは80℃〜180℃の範囲である。この範囲のガラス転移温度を有する樹脂を採用すると、耐熱性と成形加工性とが高度にバランスされ好適である。
支持体のReは−200〜100nmの範囲に、そして、Rthは−100〜100nmの範囲に調節することが好ましい。Reは−50〜30nmがなお好ましく、−30〜20nmが最も好ましい。本明細書において負のReとは支持体面内遅相軸が、フィルム搬送方向と直交する方向(TD方向)にあることを指し、負のRthとは厚み方向の屈折率が面内平均屈折率よりも大きいことを指す。色味改善のためには、支持体の面内遅相軸がTD方向にあることが好ましい。
支持体を構成するポリマーとしては、例えば、セルロース系ポリマー及びシクロオレフィン系ポリマー等を用いることができ、具体的には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリスルホン、ノルボルネン系ポリマーを用いることができる。低複屈折性の観点からはセルロースエステル及びノルボルネン系が好ましく、市販のノルボルネン系ポリマーとしては、アートン(JSR(株)製)、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン(株)製)などを用いることができる。
特に偏光板の保護フィルムとして用いる場合にはセルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)又は4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。セルロースの低級脂肪酸エステルのなかでは、セルロースアセテートであることが最も好ましい。セルロースエステルのアシル基置換度は、2.50〜3.00であることが好ましく、2.75〜2.95であることがさらに好ましく、2.80〜2.90であることが最も好ましい。
セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、セルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMm/Mn(Mmは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。Mm/Mnの値は、1.0〜5.0であることが好ましく、1.3〜3.0であることがさらに好ましく、1.4〜2.0であることが最も好ましい。
セルロースエステルでは、セルロースの2位、3位及び6位のヒドロキシル基が均等に置換されるのでなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明において、セルロースエステルの6位置換度は、2位及び3位と同程度又はそれ以上であることが好ましい。2位、3位及び6位の置換度の合計に対する6位置換度の割合は、30〜40%であることが好ましい。6位置換度の割合は、31%以上、特に32%以上であることが好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。セルロースの6位は、アセチル以外に炭素数3以上のアシル基(例、プロピオニル、ブチリル、バレロイル、ベンゾイル、アクリロイル)で置換されていてもよい。各位の置換度は、NMRによって測定することができる。6位置換度が高いセルロースエステルは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、及び段落番号0051〜0052に記載の合成例3を参照して合成することができる。
セルロースエステルフィルムには、機械的物性を改良するため、又は乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステル又はカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEP及びDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースエステルフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。さらに、ライトパイピング防止に、極少量の染料を添加してもよい。透過率の観点からは、波長420nmの光の透過率が50%以上となるように、種類及び量を調整することが好ましい。染料の添加量としては、0.01ppm〜1ppmであることが好ましい。
セルロースエステルフィルムには、ReやRthを制御するため、レターデーション制御剤を添加することができる。レターデーション制御剤は、セルロースエステル100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.05〜15質量部の範囲で使用することがさらに好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することが最も好ましい。二種類以上のレターデーション制御剤を併用してもよい。レターデーション制御剤についてはWO01/88574号、WO00/2619号の各パンフレット、特開2000−111914号、同2000−275434号の各公報に記載がある。
セルロースエステルフィルムは、セルロースエステル及び他の成分を含む溶液をドープとして用いて、ソルベントキャスト法により製造することができる。ドープを、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成することができる。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%となるように濃度を調整することが好ましい。固形分量は18〜35質量%であることがさらに好ましい。ドープを2層以上流延することもできる。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延及び乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラム又はバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。そして、得られたフィルムをドラム又はバンドから剥ぎ取り、さらに100〜160℃で逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させる方法(特公平5−17844号公報記載)を採用できる。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラム又はバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。複数のセルロースエステル溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔をおいて設けた複数の流延口からセルロースエステルを含む溶液をそれぞれ流延させて、それらを積層させながらフィルムを作製してもよい(特開昭61−158414号、特開平1−122419号、及び同11−198285号の各公報記載)。2つの流延口からセルロースエステル溶液を流延することによりフィルムを作製することもできる(特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、同61−947245号、同61−104813号、同61−158413号及び特開平6−134933号の各公報に記載)。高粘度セルロースエステル溶液の流れを低粘度のセルロースエステル溶液で包み込み、高粘度及び低粘度のセルロースエステル溶液を同時に押出すセルロースエステルフィルムの流延方法(特開昭56−162617号公報記載)を採用してもよい。
セルロースエステルフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%の範囲にあることが好ましい。テンター延伸が好ましい。遅相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリップ速度及び離脱タイミングの差をできる限り小さくすることが好ましい。延伸処理についてはWO01/88574号パンフレットの37頁8行〜38頁8行目に記載がある。
セルロースエステルフィルムには、表面処理を施すことができる。表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理及び紫外線照射処理が挙げられる。フィルムの平面性を保持する観点から、表面処理においてセルロースエステルフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
セルロースエステルフィルムの厚さは、製膜により作製する場合は、リップ流量とラインスピード、又は延伸もしくは圧縮により、調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により、偏光板の保護フィルムとしての好ましい透湿性の範囲にすることが可能である。また、前記セルロースエステルフィルムの自由体積は、製膜により作製する場合は、乾燥温度と時間により調整することができる。この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により保護フィルムとして好ましい透湿性の範囲にすることが可能である。セルロースエステルフィルムの親疎水性は、添加剤により調整することができる。自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。この様に種々の方法により、セルロースエステルフィルムの透湿性を調整することで、偏光板の保護フィルムとして好ましい透湿性の範囲とすることができ、光学異方性層の支持体を偏光板の保護フィルムと兼ねることができて、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することができる。
本発明の転写材料は、前記光学異方性層のさらに上に、感光性樹脂層を有する。
[感光性樹脂層]
本発明の転写材料に用いられる感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物よりなる。前記感光性樹脂層は、少なくとも(1)アルカリ可溶性樹脂と、(2)モノマー又はオリゴマーと、(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系と、を含む樹脂組成物から形成するのが好ましい。また、基板上にカラーフィルタと同時に光学異方性層を形成する態様においてはさらに加えて、(4)染料又は顔料のような着色剤を含む着色樹脂組成物から形成するのが好ましい。
以下、これら(1)〜(4)の成分について説明する。
(1)アルカリ可溶性樹脂
前記アルカリ可溶性樹脂(以下、単に「バインダ」ということがある。)としては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、着色樹脂組成物の全固形分に対する含有量は20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
(2)モノマー又はオリゴマー
前記感光性樹脂層に使用されるラジカル重合性モノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらのモノマー又はオリゴマーは、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよく、着色樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。
前記感光性樹脂層に使用されるカチオン重合性モノマー又はオリゴマーとしては、環状エーテル、環状ホルマール、アセタール、ビニルアルキルエーテル、チイラン基を含む化合物、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ化不飽和脂肪酸、エポキシ化ポリブタジエンなどのエポキシ化合物を挙げることができる。そのようなモノマー又はオリゴマーの例としては、垣内弘編著「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物類の他、3官能グリシジルエーテル類(トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなど)、4官能以上のグリシジルエーテル類(ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど)、3官能以上の脂環式エポキシ類(エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど)、3官能以上のオキセタン類(OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)など)などが挙げられる。
(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系
前記感光性樹脂層に使用される光重合開始剤又は光重合開始剤系としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール2量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール2量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとしてあげることができる。感光性樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤又は光重合開始剤系の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
本発明に用いられるカチオン重合開始剤としては、エトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェノールなどルイス酸のアリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム艶などの複塩、ベンジルシリルエーテル、o−ニトロベンジルシリルエーテル、トリフェニル(t−ブチル)ペルオキシシランなどのシラノール発生性シラン化合物とトリス(エチルアセト酢酸)アルミニウムなどのアルミニウム錯体との混合系などを挙げることができる。感光性樹脂組成物の全固形分に対するカチオン重合開始剤の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
(4)着色剤
前記着色樹脂組成物には、公知の着色剤(染料、顔料)を添加することができる。該公知の着色剤のうち顔料を用いる場合には、着色樹脂組成物中に均一に分散されていることが望ましく、そのため粒径が0.1μm以下、特には0.08μm以下であることが好ましい。
上記公知の染料ないし顔料としては、特開2004−302015号明細書の段落番号[0033]、米国特許第6,790,568号明細書カラム14に記載の顔料等が挙げられる。
本発明における着色剤としては、上記の着色剤の中でも、(i)R(レッド)の着色樹脂組成物においてはC.I.ピグメント・レッド254が、(ii)G(グリーン)の着色樹脂組成物においてはC.I.ピグメント・グリーン36が、(iii)B(ブルー)の着色樹脂組成物においてはC.I.ピグメント・ブルー15:6が好適なものとして挙げられる。更に顔料は組み合わせて用いてもよい。
本発明において、併用するのが好ましい顔料の組み合わせは、C.I.ピグメント・レッド254では、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド224、C.I.ピグメント・イエロー139、又は、C.I.ピグメント・バイオレット23との組み合わせが挙げられ、C.I.ピグメント・グリーン36では、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・イエロー138、又は、C.I.ピグメント・イエロー180との組み合わせが挙げられ、C.I.ピグメント・ブルー15:6では、C.I.ピグメント・バイオレット23、又は、C.I.ピグメント・ブルー60との組み合わせが挙げられる。
このように併用する場合の顔料中のC.I.ピグメント・レッド254、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:6の含有量は、C.I.ピグメント・レッド254は、80質量%以上が好ましく、特に90質量%以上が好ましい。C.I.ピグメント・グリーン36は50質量%以上が好ましく、特に60質量%以上が好ましい。C.I.ピグメント・ブルー15:6は、80質量%以上が好ましく、特に90質量%以上が好ましい。
上記顔料は分散液として使用することが望ましい。この分散液は、前記顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる組成物を、後述する有機溶媒(又はビヒクル)に添加して分散させることによって調製することができる。前記ビビクルとは、塗料が液体状態にある時に顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダ)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。前記顔料を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、朝倉邦造著、「顔料の事典」、第一版、朝倉書店、2000年、438項に記載されているニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に該文献310項記載の機械的摩砕により、摩擦力を利用し微粉砕してもよい。
本発明で用いる着色剤(顔料)は、数平均粒径0.001〜0.1μmのものが好ましく、更に0.01〜0.08μmのものが好ましい。顔料数平均粒径が0.001μm未満であると、粒子表面エネルギーが大きくなり凝集し易くなり、顔料分散が難しくなると共に、分散状態を安定に保つのも難しくなり好ましくない。また、顔料数平均粒径が0.1μmを超えると、顔料による偏光の解消が生じ、コントラストが低下し、好ましくない。尚、ここで言う「粒径」とは粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を言い、また「数平均粒径」とは多数の粒子について上記の粒径を求め、この100個平均値を言う。
着色画素のコントラストは、分散されている顔料の粒径を小さくすることで向上させることができる。粒径を小さくするには、顔料分散物の分散時間を調節することで達成できる。分散には、上記記載の公知の分散機を用いることができる。分散時間は好ましくは10〜30時間であり、更に好ましくは18〜30時間、最も好ましくは24〜30時間である。分散時間が10時間未満であると、顔料粒径が大きく、顔料による偏光の解消が生じ、コントラストが低下することがある。一方、30時間を越えると、分散液の粘度が上昇し、塗布が困難になることがある。また、2色以上の着色画素のコントラストの差を600以内にするには、顔料粒径を調節して、所望のコントラストとすればよい。
前記感光性樹脂層より形成されるカラーフィルタの各着色画素のコントラストは、2000以上が好ましく、より好ましくは2800以上、更に好ましくは3000以上であり、最も好ましくは3400以上である。カラーフィルタを構成する各着色画素のコントラストが2000以下だと、これを有する液晶表示装置の画像を観察すると、全体に白っぽい印象となり、見難く好ましくない。また、各着色画素のコントラストの差が、好ましくは600以内であり、より好ましくは410以内であり、更に好ましくは350以内、最も好ましくは200以内である。各着色画素のコントラストの差が600以内であると、黒表示時における各着色画素部からの光漏れ量が大きく相違しない為、黒表示の色バランスがよいため好ましい
本明細書において、「着色画素のコントラスト」とは、カラーフィルタを構成するR、G、Bについて、色毎に個別に評価されるコントラストを意味する。コントラストの測定方法は次の通りである。被測定物の両側に偏光板を重ねて、偏光板の偏光方向を互いに平行にした状態で、一方の偏光板の側からバックライトを当てて、他方の偏光板を通過した光の輝度Y1を測定する。次に偏光板を互いに直交させた状態で、一方の偏光板の側からバックライトを当てて、他方の偏光板を通過した光の輝度Y2を測定する。得られた測定値を用いて、コントラストはY1/Y2で算出される。尚、コントラスト測定に用いる偏光板は、該カラーフィルタを使用する液晶表示装置に用いる偏光板と同一のものとする。
本発明の感光性樹脂層により形成されるカラーフィルタにおいては、表示ムラ(膜厚変動による色ムラ)を効果的に防止するという観点から、該着色樹脂組成物中に適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。前記界面活性剤は、本発明の感光性樹脂組成物と混ざり合うものであれば使用可能である。本発明に用いる好ましい界面活性剤としては、特開2003−337424号公報[0090]〜[0091]、特開2003−177522号公報[0092]〜[0093]、特開2003−177523号公報[0094]〜[0095]、特開2003−177521号公報[0096]〜[0097]、特開2003−177519号公報[0098]〜[0099]、特開2003−177520号公報[0100]〜[0101]、特開平11−133600号公報の[0102]〜[0103]、特開平6−16684号公報の発明として開示されている界面活性剤が好適なものとして挙げられる。より高い効果を得る為にはフッ素系界面活性剤、及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、又は、シリコン系界面活性剤、フッソ原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましく、フッ素系界面活性剤が最も好ましい。フッ素系界面活性剤を用いる場合、該界面活性剤分子中のフッ素含有置換基のフッ素原子数は1〜38が好ましく、5〜25がより好ましく、7〜20が最も好ましい。フッ素原子数が多すぎるとフッ素を含まない通常の溶媒に対する溶解性が落ちる点で好ましくない。フッ素原子数が少なすぎると、ムラの改善効果が得られない点で好ましくない。
特に好ましい界面活性剤として、下記一般式(a)及び、一般式(b)で表されるモノマーを含み、且つ一般式(a)/一般式(b)の質量比が20/80〜60/40の共重合体を含有するものが挙げられる。
Figure 2007072262
式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、R4は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。nは1〜18の整数、mは2〜14の整数を示す。p、qは0〜18の整数を示すが、p、qがいずれも同時に0になる場合は含まない。
特に好ましい界面活性剤の一般式(a)で表されるモノマーをモノマー(a)、一般式(b)で表されるモノマーをモノマー(b)と記す。一般式(a)に示すCm2m+1は、直鎖でも分岐鎖でもよい。mは2〜14の整数を示し、好ましくは4〜12の整数である。Cm2m+1の含有量は、モノマー(a)に対して20〜70質量%が好ましく、特に好ましくは40〜60質量%である。R1は水素原子またはメチル基を示す。またnは1〜18を示し、中でも2〜10が好ましい。一般式(b)に示すR2及びR3は、各々独立に水素原子またはメチル基を示し、R4は水素原子または炭素数が1〜5のアルキル基を示す。p及びqは0〜18の整数を示すが、p、qがいずれも0は含まない。p及びqは好ましくは2〜8である。
また、特に好ましい界面活性剤1分子中に含まれるモノマー(a)としては、互いに同じ構造のものでも、上記定義範囲で異なる構造のものを用いてもよい。このことは、モノマー(b)についても同様である。
特に好ましい界面活性剤の重量平均分子量Mwは、1000〜40000が好ましく、更には5000〜20000がより好ましい。本発明用界面活性剤は前記一般式(a)及び一般式(b)で表されるモノマーを含み、且つ一般式(a)/一般式(b)の質量比が20/80〜60/40の共重合体を含有することを特徴とする。特に好ましい界面活性剤100質量部は、モノマー(a)が20〜60質量部、モノマー(b)が80〜40質量部、及びその他の任意モノマーがその残りの質量部からなることが好ましく、更には、モノマー(a)が25〜60質量部、モノマー(b)が60〜40質量部、及びその他の任意モノマーがその残りの質量部からなることが好ましい。
モノマー(a)及び(b)以外の共重合可能なモノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニル安息香酸、ビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、アミノスチレン等のスチレン及びその誘導体、置換体、ブタジエン、イソプレン等のジエン類、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、部分エステル化マレイン酸、スチレンスルホン酸無水マレイン酸、ケイ皮酸、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系単量体等が挙げられる。
特に好ましい界面活性剤は、モノマー(a)、モノマー(b)等の共重合体であるが、そのモノマー配列は特に制限はなくランダムでも規則的、例えば、ブロックでもグラフトでもよい。更に、特に好ましい界面活性剤は、分子構造及び/又はモノマー組成の異なるものを2以上混合して用いることができる。
前記界面活性剤の含有量としては、感光性樹脂層の層全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、特に0.1〜7質量%が好ましい。本発明の界面活性剤は、特定構造の界面活性剤とエチレンオキサイド基、及びポリプロピレンオキサイド基とを所定量含有するもので、感光性樹脂層に特定範囲で含有することにより該感光性樹脂層を備えた液晶表示装置の表示ムラが改善される。全固形分に対して0.01質量%未満であると、表示ムラが改善されず、10質量%を超えると、表示ムラ改善の効果があまり現れない。上記の特に好ましい界面活性剤を前記感光性樹脂層中に含有させカラーフィルタを作製すると、表示ムラが改良される点で好ましい。
また、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、又は、シリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
本発明の光学フィルムは、偏光膜と一体化させた偏光板として、液晶表示装置に組み込まれてもよい。さらに、本発明の光学フィルムが、偏光膜の保護膜として機能していると、液晶表示装置を薄型化することができる。なお、偏光膜の保護膜として用いる場合は、本発明の光学フィルムは、面内遅相軸が、製造工程における、支持体と光学異方性層との積層体の搬送の方向と直交する方向にあるのが好ましい。
[偏光板]
本発明の偏光板は、前述の本発明の光学フィルム(例えば、光学補償能を有する光学フィルム)と偏光膜とを有する。偏光板は、一般的には、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護フィルムとからなるものである。前記一対の保護膜のうち少なくとも一方が、本発明の光学フィルムであるのが好ましいが、保護膜の表面にさらに光学フィルムを貼り合せてもよい。偏光膜としては、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜が挙げられる。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。保護フィルムの種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。透明保護フィルムは、通常、ロール形態で供給され、長尺の偏光膜に対して、長手(MD)方向が一致するようにして連続して貼り合わされることが好ましい。ここで、保護フィルムの配向軸(遅相軸)はいずれの方向であってもよい。また、保護フィルムの遅相軸(配向軸)と偏光膜の吸収軸(延伸軸)の角度も特に限定はなく、偏光板の目的に応じて適宜設定できる。
偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせてもよい。水系接着剤中の接着剤溶剤は、保護フィルム中を拡散することで乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。光学フィルムの透湿性は、ポリマーフィルム(及び重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、もしくは親疎水性などにより決定される。偏光板の保護フィルムの透湿性は、100〜1000(g/m2)/24hrsの範囲にあることが好ましく、300〜700(g/m2)/24hrsの範囲にあることが更に好ましい。
本発明では、薄型化等を目的に、偏光膜の保護フィルムのうち一方が、光学異方性層の支持体を兼ねていてもよいし、また光学フィルムそのものであってもよい。光学フィルムと偏光膜は、光学軸のズレ防止やゴミなどの異物の侵入防止などの点から、固着処理されていることが好ましい。その固着積層には例えば透明接着層を介した接着方式などの適宜な方式を適用することができる。その接着剤等の種類について特に限定はなく、構成部材の光学特性の変化防止などの点から、接着処理時の硬化や乾燥の際に高温のプロセスを要しないものが好ましく、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しないものが望ましい。このような観点から、親水性ポリマー系接着剤や粘着層が好ましく用いられる。
偏光膜の片面又は両面に、上記の保護フィルムに準じた耐水性等の各種目的の保護フィルム、表面反射の防止等を目的とした反射防止層又は/及び防眩処理層などの適宜な機能層を形成した偏光板を用いてもよい。前記反射防止層は、例えばフッ素系ポリマーのコート層や多層金属蒸着膜等の光干渉性の膜などとして適宜に形成することができる。また防眩処理層も例えば微粒子含有の樹脂塗工層やエンボス加工、サンドブラスト加工やエッチング加工等の適宜な方式で表面に微細凹凸構造を付与するなどにより表面反射光が拡散する適宜な方式で形成することができる。
なお前記の微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカや酸化カルシウム、アルミナやチタニア、ジルコニアや酸化錫、酸化インジウムや酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性のこともある無機系微粒子や、ポリメチルメタクリレートやポリウレタンの如き適宜なポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子などの適宜なものを一種又は二種以上用い得る。また上記した接着層ないし粘着層は、斯かる微粒子を含有して光拡散性を示すものであってもよい。
本発明の偏光板は、市販のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2−5618等)と同等以上の光学的性質及び耐久性(短期、長期での保存性)を有することが好ましい。具体的には、可視光透過率が42.5%以上で、偏光度√({(Tp−Tc)/(Tp+Tc)} ≧ 0.9995(ただし、Tpは平行透過率、Tcは直交透過率)であり、温度60℃、湿度90%RH雰囲気下に500時間及び80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率の変化率が絶対値に基づいて3%以下、更には1%以下、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述の本発明の光学フィルム、本発明の偏光板、及び本発明の転写材料により転写された光学異方性層の少なくとも一つを有する液晶表示装置である。本発明の液晶表示装置の表示モードは特に限定されないが、VAモードであることが好ましい。なお、本発明の液晶表示装置は、上記表示モードだけでなくSTNモード、TNモード、OCBモードに適用した態様も有効である。
[VAモード液晶セル]
本発明において、液晶セルはVertically Alignedモード(VAモード)であることが好ましい。VAモードの液晶セルは、対向面がラビング処理された上下基板の間に誘電異方性が負の液晶性分子を封入してなる。例えば、Δn=0.0813、及びΔε=−4.6程度の液晶分子を用い、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角が約89°の液晶セルを作製することができる。この時、液晶層の厚さdは3.5μm程度にすることができる。液晶層の厚さd(nm)と、屈折率異方性Δnとの積Δn・dの大きさにより白表示時の明るさが変化する。最大の明るさを得るためには、液晶層の厚さdは2〜5μm(2000〜5000nm)の範囲であることが好ましく、Δnは、0.060〜0.085の範囲である。
液晶セルの上下基板の内側には透明電極が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層中の液晶分子は基板面に対して概略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。液晶セルの上側偏光板の吸収軸と下側偏光板の吸収軸とは概略直交しているので、光は偏光板を通過しない。すなわち、VAモードの液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現することができる。これに対し、駆動状態では液晶分子は基板面に平行な方向に傾斜し、液晶パネルを通過する光は傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させ、偏光板を通過する。
ここまでは上下基板間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用した例を示したが、電極を一方の基板に配置し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用することもできる。
VAモードの特徴は、高速応答であること及びコントラストが高いことである。しかし、コントラストは、正面では高いが斜め方向では低下するという課題がある。黒表示時に液晶性分子は基板面に垂直に配向しているため、正面から観察すると液晶分子の複屈折はほとんどないので透過率が低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶性分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角は、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じやすくなり、コントラストが低下する傾向にある。本発明では、本発明の光学フィルムを液晶セルと偏光板との間に配置することにより、本発明の偏光板を用いることにより、及び/又は本発明の転写材料から転写された光学異方性層を少なくとも一層含む(好ましくは、液晶セル内に含む)ことにより、この課題を解決することができる。
VAモードでは、白表示時には液晶性分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶性分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる。これを解決するためには、液晶セルをマルチドメインにすることが好ましい。マルチドメインとは、一つの画素中に、配向状態の異なる複数の領域を形成した構造をいう。例えば、マルチドメイン方式のVAモードの液晶セルでは、一つの画素中に、電界印加時の液晶性分子の傾斜角が互いに異なる複数の領域が存在する。マルチドメイン方式のVAモード液晶セルでは、電界印加による液晶性分子の傾斜角を画素ごとに平均化することができ、そのことによって、視角特性を平均化することができる。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設けたり、電界方向を変えたり、電界密度に偏りを持たせたりすることで達成できる。全方向に均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、白表示時の透過率が減少してしまうため、4分割が好適である。
VAモードの液晶表示装置では、Twised Nematicモード(TNモード)の液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。配向分割の領域境界では、液晶分子が応答しづらい。そのためノーマリーブラック表示では黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。液晶材料にカイラル剤を添加することは、境界領域を小さくすることに寄与する。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1 光学フィルムの作製]
(セルロースアセテートフィルム(A)の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液組成(質量部) 内層 外層
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100 100
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8 7.8
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9 3.9
メチレンクロライド(第1溶媒) 293 314
メタノール(第2溶媒) 71 76
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5 1.6
シリカ(粒径20nm) 0 0.8
下記のレターデーション上昇剤 1.4 1.4
Figure 2007072262
得られた内層用ドープ及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、さらに、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(A)(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を製造した。得られたフィルムの光学特性はRe=8nm,Rth=82nmであった。
(セルロースアセテートフィルム(A)の鹸化処理)
上記のセルロースアセテートフィルム(A)(ガラス転移点125℃)を温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて14ml/m2で塗布した。そして、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒滞留させた後に、同じバーコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後、70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
アルカリ溶液組成
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.7質量部
イソプロパノール 64.8質量部
プロピレングリコール 14.9質量部
界面活性剤(C1633O(CH2CH2010H) 1.0質量部
(配向膜の形成)
作製したセルロースアセテートフィルム(A)を送り出し、下記組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥し、樹脂層を形成して、巻き取った。
配向膜塗布液組成
下記式の変性ポリビニルアルコール 40質量部
水 728質量部
メタノール 228質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 2質量部
クエン酸 0.08質量部
クエン酸モノエチルエステル 0.29質量部
クエン酸ジエチルエステル 0.27質量部
クエン酸トリエチルエステル 0.05質量部
Figure 2007072262
上記巻き取った長尺の、支持体と樹脂層との積層体を送り出し、樹脂層の表面を、φ100mmのラビングロールにてラップ角5°、テンション1.0N/cm、回転数1000rpmの条件でラビングした。ラビング後には超音波方法にて両面の除塵を行った。
(中間層/配向層用塗布液AL−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、剥離用中間層/配向層用塗布液AL−1として用いた。
──────────────────────────────────――
中間層/配向層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────――
ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製) 3.21
ポリビニルピロリドン(Luvitec K30、BASF社製) 1.48
蒸留水 52.1
メタノール 43.21
──────────────────────────────────――
(光学異方性層用塗布液LC−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−1として用いた。LC−1−1はEP1388538A1、page 21に記載の方法により合成した。
────────────────────────────────――――
光学異方性層用塗布液組成(%)
────────────────────────────────――――
棒状液晶 26.66
(Paliocolor LC242,BASFジャパン)
カイラル剤 3.10
(Paliocolor LC756,BASFジャパン)
光重合開始剤(LC−1−1) 1.24
メチルエチルケトン 69.00
────────────────────────────────――――
Figure 2007072262
(熱可塑性樹脂層用塗布液CU−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液CU−1として用いた。
──────────────────────────────────――
熱可塑性樹脂層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────――
メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合組成比(モル比)=55/30/10/5、重量平均分子量=10万、Tg≒70℃)
5.89
スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=65/35、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃)
13.74
BPE−500(新中村化学工業(株)製) 9.20
メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業(株)社製) 0.55
メタノール 11.22
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.43
メチルエチルケトン 52.97
──────────────────────────────────――
(感光性樹脂層用塗布液PP−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、感光性樹脂層用塗布液PP−1として用いた。
──────────────────────────────────――
感光性樹脂層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────――
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物
(重量平均分子量3.7万) 5.0
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム共重合物
(重量平均分子量4.0万) 2.45
KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製) 3.2
ラジカル重合開始剤
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.75
増感剤(カヤキュアDETX、日本化薬(株)製) 0.25
カチオン重合開始剤
(ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、東京化成製)0.1
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 27.0
メチルエチルケトン 53.0
シクロヘキサノン 9.1
メガファックF−176PF(大日本インキ(株)製) 0.05
──────────────────────────────────――
(光学異方性層用塗布液LC−1の物性測定)
表面張力の測定は、協和界面科学株式会社製の自動表面張力計CBVP−A3を用いて行った。LC−1では、温度24.0℃において、25.7mN/mであった。
粘度の測定は株式会社エー・アンド・ディ社製の振動粘度計SV−10を用いて行った。温度23.9℃にて、LC−1では、2.46mPa・sであった。
密度の測定は、DA−300(京都電子製)を用いて行った。温度25.0℃においてLC−1では、0.902g/cm3であった。
[可視吸収スペクトルによる塗布液溶解の評価]
測定にはUV−3000(島津製作所製)を用いた。光路長1cm、波長600nm、温度25℃、サンプリングピッチ(分解能)1nm、リファレンスを主溶媒(メチルエチルケトン)とし測定を行った。0.45μmの孔のフィルターを通過させて、塗布液を調製した直後の吸光度が0.012であり、また調製一週間後も0.011を保持していた。
(液晶性化合物よりなる光学異方性層の形成)
90℃に加熱したロールを通過させた後、#3のワイヤーバーで上記組成の液晶性化合物を含む塗布液を50m連続塗布した。
上記塗布液が塗布された後、乾燥し、続いて膜面温度100℃(LC−1の等方性転移温度は120℃)の熟成ゾーンで2分間加熱熟成し、液晶性化合物を配向させた。次に、UV光源として350〜400nmに強い発光スペクトルを有するD−Bulbを搭載したマイクロウェーブ発光方式の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を用い、照射面から30mm離れた位置に、ワイヤグリッド偏光フィルタ(ProFlux PPL02(高透過率タイプ)、Moxtek社製)を設置して偏光UV照射装置とし、UV照射ゾーンにて焦点から5mmの位置で0.4W/cm2、0.6J/cm2で4秒間UV照射し液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷し、長尺の光学フィルムを得、巻き取りを行った。
[参考例1及び2]
熟成時の膜面温度を25℃にした以外は、実施例1と同一の方法で光学フィルム(参考例1)を作製した。
ラビングの回転数を20rpmにした以外は、実施例1と同一の方法で光学フィルム(参考例2)を作製した。
(位相差測定)
実施例、参考例1及び2について、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)により、589nmにおける正面レターデーションRe及び遅相軸を回転軸として±40度サンプルを傾斜させたときのレターデーションRe(40)、Re(±40)をそれぞれ測定した。結果を下記表1に示す。
Figure 2007072262
[実施例2 転写材料およびLCDの作製]
厚さ75μmのロール状ポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、熱可塑性樹脂層用塗布液CU−1を塗布、乾燥させた。次に、中間層/配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥させた。熱可塑性樹脂層の膜厚は14.6μm、配向層は1.6μmであった。続いて、形成した配向層をラビング処理した後、その上に前記光学異方性層用塗布液LC−1を#8のワイヤーバーコータで塗布し、膜面温度が95℃2分間加熱乾燥熟成して均一な液晶相を有する層を形成した。さらに熟成後直ちにこの層に対して、酸素濃度0.3%以下の窒素雰囲気下において、POLUV−1を用いて偏光板の透過軸が透明支持体のTD方向となるようにして偏光UVを照射(照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2)して光学異方層を固定化し、厚さ3.4μmの光学異方性層を形成した。最後に、感光性樹脂組成物PP−1を塗布、乾燥させ、本発明の実施例2である感光性樹脂転写材料を作製した。
前記感光性樹脂転写材料をラミネータ((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用い、前記100℃で2分間加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートし、保護フィルムを剥離後、超高圧水銀灯にて露光量50mJ/cm2で全面露光し、さらに240℃で2時間ベークしてVA−LCD用ガラス基板を作製した。
次いで、FUJIFILM RESEARCH & DEVELOPMENT No.44(1999)の25頁に記載のトランサーシステム(富士写真フイルム(株)製)を用い、前記ガラス基板上にブラックマトリクスおよびR、G、Bのカラーフィルタを形成した。
(透明電極の形成)
上で作製したカラーフィルタ上に透明電極膜をITOのスパッタリングにより形成した。
(突起用感光性転写材料の作製)
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体上に熱可塑性樹脂層用塗布液TP−1を塗布、乾燥させ、乾燥膜厚が15μmの熱可塑性樹脂層を設けた。
次に、前記熱可塑性樹脂層上に中間層/配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥させ、乾燥膜厚が1.6μmの中間層を設けた。
前記中間層上に、下記の処方からなる塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥膜厚が2.0μmの液晶配向制御用突起用感光性樹脂層を設けた。
──────────────────────────────────――
突起用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────――
FH−2413F(富士フイルムアーチ(株)製) 53.3
メチルエチルケトン 46.66
メガファックF−176PF 0.04
──────────────────────────────────――
更に、前記感光性樹脂層表面に厚さ12μmのポリプロピレン製のフィルムをカバーフィルムとして貼り付け、仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、中間層、感光性樹脂層、カバーフィルムがこの順に積層された転写材料を作製した。
(突起の形成)
上で作製した突起用転写材料からカバーフィルムを剥がし、その感光性樹脂層の表面とカラーフィルタ側基板のITO膜が設けられた側の表面とを重ね合わせ、ラミネータ((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて、線圧100N/cm、温度130℃、搬送速度2.2m/分の条件下で貼り合わせた。その後、転写材料の仮支持体のみを熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、除去した。この状態では、カラーフィルタ側基板上に、感光性樹脂層、中間層、熱可塑性樹脂層がこの順に積層されている。
次に、最外層である熱可塑性樹脂層の上方に、フォトマスクが感光性樹脂層の表面から100μmの距離となるようにプロキシミティー露光機を配置し、該フォトマスクを介して超高圧水銀灯により照射エネルギー70mJ/cm2でプロキシミティー露光した。その後、1%トリエタノールアミン水溶液を、シャワー式現像装置にて30℃で30秒間基板に噴霧して、熱可塑性樹脂層及び中間層を溶解除去した。この段階では、感光性樹脂層は実質的に現像されていなかった。
続いて、0.085mol/Lの炭酸ナトリウムと0.085mol/Lの炭酸水素ナトリウムと1%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム水溶液を、シャワー式現像装置にて33℃30秒間基板に噴霧しながら現像し、感光性樹脂層の不要部(未硬化部)を現像除去した。すると、カラーフィルタ側基板上に、所望の形状にパターニングされた感光性樹脂層よりなる突起が形成された。次いで、該突起が形成されたカラーフィルタ側基板を240℃下で50分ベークすることにより、カラーフィルタ側基板上に、高さ1.5μm、縦断面形状が蒲鉾様の液晶配向制御用突起を形成することができた。
(配向層の形成)
更にその上にポリイミドの配向膜を設けた。カラーフィルタの画素群の周囲に設けられたブラックマトリックスの外枠に相当する位置に、スペーサ粒子を含有するエポキシ樹脂のシール剤を印刷し、カラーフィルタ基板を対向基板と10kg/cmの圧力で貼り合わせた。次いで、貼り合わされたガラス基板を150℃、90分で熱処理し、シール剤を硬化させ、2枚のガラス基板の積層体を得た。このガラス基板積層体を真空下で脱気し、その後大気圧に戻して2枚のガラス基板の間隙に液晶を注入し、液晶セルを得た。この液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。
(実施例のVA−LCDの作製)
カラー液晶表示装置用冷陰極管バックライトとしては、BaMg2Al1627:Eu,Mnと、LaPO4:Ce,Tbとを質量比50:50で混合した蛍光体を緑色(G)、Y23:Euを赤色(R)、BaMgAl1017:Euを青色(B)として、任意の色調を持つ白色の三波長蛍光ランプを作製した。このバックライト上に上記偏光板を付与した液晶セルを設置し、VA−LCDを作製した。
(VA−LCDの評価)
作製した液晶表示装置の黒表示(電圧無印加)時におけるLCDの特にコーナーにおける光漏れについて、まず室温条件にて目視観察した後、40℃、90%RHの恒温恒湿条件にて48時間静置した後、再び観察した。結果を表2に示す。
Figure 2007072262
本発明の光学フィルムの一例の概略断面図である。 本発明の偏光板の例の概略断面図である。 本発明の転写材料の例の概略断面図である。 本発明の転写材料を用いて作製された液晶セル用基板の例の概略断面図である。 本発明の液晶表示装置の一例の概略断面図である。 本発明の転写材料から転写された光学異方性層を含む液晶表示装置の例の概略断面図である。 本発明の製造方法を実施する製造装置の一例の概略断面図である。
符号の説明
11 支持体
12 光学異方性層
13 配向層
14 感光性樹脂層
15 クッション層
16 保護層
21 偏光層(偏光膜)
22、23 保護フィルム
24 λ/4板、反射防止膜等の機能性層
25 透明電極層
26 配向層
27 光学補償層
27’ パターニングされた光学補償層
28 カラーフィルタ層
29 ブラックマトリックス層
30 支持体(被転写体でもある)
31 液晶層
32 TFT層
33 偏光層
34 保護フィルム
35 保護フィルム(光学補償フィルムである場合もある)
36 偏光板
37 液晶セル
40a 長尺支持体
40b 配向膜形成用樹脂層を有する長尺支持体
40c 配向膜を有する長尺支持体
41 送出機
42、43 フィルム除塵機
44 ヒートローラー
45 塗布ヘッド
46 加熱乾燥ゾーン
47 ラビングローラー
48 除塵処理機
49 非接触エアクッション
50 塗布ヘッド
51 加熱ゾーン
52 偏光紫外線(UV)ランプ
53 検査装置
54 巻き取り装置
61 冷陰極管
62 反射シート
63 導光板
64 輝度向上フィルム、拡散フィルム等の調光フィルム
65 液晶セル
66 下側偏光板
67 上側偏光板

Claims (20)

  1. 下記工程(1)〜(8):
    (1) 長尺支持体を送り出し、
    (2) 長尺支持体上に樹脂層を形成し、
    (3) 樹脂層表面を連続的にラビング処理して、配向層を形成し、
    (4) 支持体の片面、もしくは両面を除塵し、
    (5) コレステリック液晶性化合物を含有する塗布液を、前記配向層のラビング処理面に塗布・乾燥して塗膜を形成し、
    (6) 塗膜を加熱熟成して、液晶性化合物の分子をコレステリック配向させ、
    (7) 紫外線光を照射して塗膜を硬化して、正面レターデーション(Re)が実質的に0でない光学異方性層を形成し、
    (8) 長尺光学フィルムとして巻き取る、
    を(1)〜(8)の順に含む光学フィルムの製造方法。
  2. 工程(2)の後に、支持体と樹脂層との長尺積層体を巻き取り、その後、再び送り出してから工程(3)を実施する請求項1に記載の方法。
  3. 工程(2)の前に、長尺支持体の少なくとも片面を表面処理する請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(2)の前に、支持体の表面に支持体のTgより0℃〜60℃低い温度に加熱したローラーを接触させる、又は工程(2)の後に、樹脂層の表面に樹脂層のTgより0℃〜60℃低い温度に加熱したローラーを接触させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程(4)において、粘着ロール、サクション又は超音波方法によって除塵する請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程(3)において、回転数が100〜3000rpmのラビングロールでラビング処理する請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程(5)で用いられる塗布液の、表面張力が10〜40mN/m、粘度が0.5〜20mPa・s、及び密度が0.5〜1.5g/cm3である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 工程(5)に用いる塗布液の可視吸収スペクトル(光路長1cm)が、波長600〜800nmにおいて0〜0.2の吸光度を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記塗布液が、前記吸光度を少なくとも1週間保持する特性を有する請求項8に記載の方法。
  10. 工程(6)の塗膜の加熱熟成時間が、10秒〜5分間である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 工程(6)の塗膜の加熱熟成温度が、コレステリック液晶性化合物の液晶等方性転移温度より0〜50℃低い温度である請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 工程(7)において、支持体面から−20〜20mmの位置を焦点として紫外線を照射する請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 工程(7)において、照度ピークが0.05〜5.0W/cm2であり、且つ積算照射量が0.1〜10.0J/cm2である紫外線を照射する請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 工程(7)において、一部又は全部が偏光された紫外線を照射する請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法により作製した光学フィルム。
  16. 偏光膜と、該偏光膜を挟持する一対の保護膜とを有する偏光板であって、前記一対の保護膜のうち少なくとも一方が請求項15に記載の光学フィルムである偏光板。
  17. 請求項15に記載の光学フィルムと、該光学フィルムの光学異方性層上に感光性樹脂層を有する転写材料。
  18. 請求項16に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
  19. 一対の基板とそれに挟持される液晶層とを有する液晶セルを含む液晶表示装置であって、さらに、前記液晶セルの外側に請求項16に記載の偏光板、及び/又は、前記液晶セルの一対の基板のいずれか少なくとも一方の表面上に、請求項17に記載の転写材料から転写された光学異方性層を有する液晶表示装置。
  20. 表示モードがVAモードである請求項18又は19に記載の液晶表示装置。
JP2005260448A 2005-09-08 2005-09-08 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、転写材料及び液晶表示装置 Pending JP2007072262A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005260448A JP2007072262A (ja) 2005-09-08 2005-09-08 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、転写材料及び液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005260448A JP2007072262A (ja) 2005-09-08 2005-09-08 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、転写材料及び液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007072262A true JP2007072262A (ja) 2007-03-22

Family

ID=37933741

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005260448A Pending JP2007072262A (ja) 2005-09-08 2005-09-08 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、転写材料及び液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007072262A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009069821A (ja) * 2007-08-20 2009-04-02 Fujifilm Corp 光学補償フィルム、その製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2012103470A (ja) * 2010-11-10 2012-05-31 Dainippon Printing Co Ltd 偏光板、液晶表示パネルおよび表示装置
JP2013079995A (ja) * 2011-09-30 2013-05-02 Fujifilm Corp 画像表示装置用表面フィルム、偏光板、及び画像表示装置
US8704981B2 (en) 2011-03-25 2014-04-22 Fujifilm Corporation Method of producing light-reflective film
JP2015148745A (ja) * 2014-02-07 2015-08-20 大日本印刷株式会社 光学フィルム用転写積層体

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009069821A (ja) * 2007-08-20 2009-04-02 Fujifilm Corp 光学補償フィルム、その製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2012103470A (ja) * 2010-11-10 2012-05-31 Dainippon Printing Co Ltd 偏光板、液晶表示パネルおよび表示装置
US8704981B2 (en) 2011-03-25 2014-04-22 Fujifilm Corporation Method of producing light-reflective film
JP2013079995A (ja) * 2011-09-30 2013-05-02 Fujifilm Corp 画像表示装置用表面フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2015148745A (ja) * 2014-02-07 2015-08-20 大日本印刷株式会社 光学フィルム用転写積層体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4708287B2 (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、転写材料、液晶表示装置、及び偏光紫外線露光装置
JP4772528B2 (ja) 転写材料、それを用いた液晶セル用基板の製造方法及びカラーフィルタ、ならびに液晶表示装置
JP5111150B2 (ja) 液晶表示装置用基板の製造方法
US11131886B2 (en) Liquid crystal display device
JP2007233376A (ja) パターン状のカラーフィルタ層と光学異方性層とを有する液晶表示装置、及びその製造方法、ならびにカラーフィルタ基板及びその製造方法
US20200064673A1 (en) Liquid crystal display device
JP4878524B2 (ja) 転写材料及びパターン状の光学異方性層と感光性樹脂層とを有する積層構造体の製造方法並びに液晶表示装置
KR101312130B1 (ko) 액정 표시 장치용 기판의 제조 방법, 액정 표시 장치용기판 및 액정 표시 장치
JP4698347B2 (ja) 転写材料、それを用いたカラーフィルタの製造方法及びカラーフィルタ、ならびに液晶表示装置
JP4731259B2 (ja) Tft駆動素子を有する液晶セル用基板の製造方法および液晶セル用基板、ならびに液晶表示装置
JP2007248837A (ja) 光学異方性膜、光学補償シート、それを用いた偏光板、転写材料、ならびに液晶表示装置
JP2007072262A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、転写材料及び液晶表示装置
JP2007072032A (ja) 光学異方性フィルム及びその製造方法、ならびにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2009015192A (ja) 液晶表示装置用基板および液晶表示装置
JP4832887B2 (ja) 転写材料、それを用いたカラーフィルタ基板の製造方法及びカラーフィルタ基板、ならびに液晶表示装置
JP4878825B2 (ja) 液晶セル用基板の製造方法、液晶セル用基板及び液晶表示装置。
JP2007218937A (ja) 転写材料、それを用いた液晶セル用基板の製造方法及びカラーフィルタ、ならびに液晶表示装置
JP4761953B2 (ja) カラーフィルタ基板および液晶表示装置
JP5001553B2 (ja) 積層構造体、それを用いた液晶セル用基板の製造方法及び液晶セル用基板、並びに液晶表示装置
JP5069481B2 (ja) 積層構造体、それを用いた液晶セル用基板の製造方法及び液晶セル用基板、並びに液晶表示装置
JP2007193088A (ja) 液晶セル用基板及び液晶セルの製造方法、並びに液晶セル及び液晶表示装置
JP2007065051A (ja) 転写材料及びパターン状の光学異方性層と感光性樹脂層とを有する積層構造体の製造方法並びに液晶表示装置
JP2007163646A (ja) 液晶セル用基板、ならびに液晶表示装置
JP2007233246A (ja) 転写材料、それを用いた液晶セル用基板の製造方法、および液晶表示装置
JP2007218938A (ja) インセル補償の液晶セル用基板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061211