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JP2007068021A - マルチチャンネルオーディオ信号の補正装置 - Google Patents

マルチチャンネルオーディオ信号の補正装置 Download PDF

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JP2007068021A
JP2007068021A JP2005253679A JP2005253679A JP2007068021A JP 2007068021 A JP2007068021 A JP 2007068021A JP 2005253679 A JP2005253679 A JP 2005253679A JP 2005253679 A JP2005253679 A JP 2005253679A JP 2007068021 A JP2007068021 A JP 2007068021A
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亮太 本間
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】 マルチチャンネルオーディオ再生装置に接続されるスピーカまたは/およびアンプの設置工数を削減すること。
【解決手段】 マルチチャンネルオーディオ信号の補正装置3は、ネットワーク4を介して接続されたスピーカモジュール2に、所定の測定用信号を伝送し、それによって出力される測定用音響を集める。補正装置3は、集音された測定用音響それぞれの伝搬遅延時間を測定して、測定された伝搬遅延時間それぞれに基づいて、対象スピーカモジュール2に備わるスピーカ21の配置位置を推定する。補正装置3はさらに、推定された配置位置に基づき、対象スピーカモジュール2に出力チャンネルを割り当て、測定された各伝搬遅延時間と、割り当てられた出力チャンネルとに基づき、対象スピーカモジュール2の出力を補正する補正値を生成し、対象スピーカモジュール2に与える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マルチチャンネルオーディオ信号の補正装置に関し、ネットワークを介して接続された複数のスピーカを用いて音声を再生するマルチチャンネルオーディオ再生装置で用いられるマルチチャンネルオーディオ信号を補正する補正装置に関する。
従来、マルチチャンネルオーディオ再生装置においては、高品質な音場の実現のために様々な提案がされている。
例えば、図12に示すように、従来のマルチチャンネルオーディオ再生装置は、図示しない測定用信号発生手段から発生された測定用信号を、パワーアンプ102a〜102eで増幅し、スピーカ103a〜103eから音響出力として再生する。従来のマルチチャネルオーディオ再生装置はさらに、「近接四点法」に基づき配置されたマイクロフォン104a〜104dで収音した音響特性と、図示しない制御器内で設定された音量・遅延時間・混合割合とを、音場補正手段101で比較し、その差信号によって各チャンネルの音量調節器、遅延器および混合器(図示せず)を制御し、これによって、リスニングポイントにおける最適な音場環境を自動的に形成するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、図13に示すように、従来の他のマルチチャンネルオーディオ再生装置は、切替手段112およびスピーカ・マイク切替手段114によりスピーカ115a〜115eからスピーカを選択し、測定用信号発生手段111から発生された測定用信号を、パワーアンプ113により増幅した後、選択されたスピーカから出力する。本マルチチャンネルオーディオ再生装置ではさらに、スピーカ・マイク切替手段114により他のスピーカ115a〜115eの出力がヘッドアンプ117a〜117eに接続され、これによって接続されたスピーカがマイクロフォンとして、選択されたスピーカから出力された測定用信号を受信する。各受信信号は、ヘッドアンプ117a〜117eで増幅された後、遅延時間測定手段118に入力される。また、リアスピーカ左(RL)およびリアスピーカ右(RR)に設けられたマイクロフォン116aおよび116bは、選択されたスピーカから出力された測定用信号をそれぞれ受信する。各受信信号は、ヘッドアンプ117fおよび117gで増幅された後、遅延時間測定手段118に入力される。処理手段119は、遅延時間測定手段118により測定された遅延時間から各スピーカの三次元座標を推定し、そこから適切な聴取位置を求め、求めた適切な聴取位置、あるいは聴取位置入力手段120から入力された聴取位置で最適な音場を再生できるように、出力信号処理手段121は、各チャンネルの再生信号の遅延時間とレベルおよびミキシング割合を制御する(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−354300号公報 特開2003−250200号公報
しかしながら、このような従来のマルチチャンネルオーディオ再生装置においては、各スピーカの出力チャンネルを、例えばフロント右(以下FR)・フロント左(以下FL)・フロント中央(以下FC)・リア右(以下RR)・リア左(以下RL)・サブウーハ(以下SW)等に割り当て、各スピーカを割り当てられた位置に配置した後、割り当てられた出力チャンネルに対応したアンプ出力系統に接続する必要があった。
したがって、各スピーカへの出力チャンネルの割当と出力チャンネルとに対応したアンプ出力系統との接続は、スピーカの数が多くなるほど煩雑になり、その結果、工数が増加するとともに接続ミスを起こし易くなるという問題があった。特に車載のマルチチャンネルオーディオ再生装置においては、スピーカは車体の決まった場所に埋め込まれているため、作業が煩雑で接続ミスも起こし易くなり、接続ミスの修正にも工数がかかる。
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、マルチチャンネルオーディオ再生装置に接続されるスピーカまたは/およびアンプの設置工数を削減することができる、マルチチャンネルオーディオ信号の補正装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の局面は、マルチチャンネルオーディオ信号の補正装置に向けられている。本局面に係る補正装置は、測定用信号を発生する測定用信号発生手段と、ネットワークを介して接続された複数のスピーカモジュールの一つを対象スピーカモジュールとして選択して、測定用信号発生手段により発生された測定用信号を、選択した対象スピーカモジュールに伝送するスピーカ切替手段と、対象スピーカモジュールが入力測定用信号に従って出力した音響を測定用音響として集める複数の集音手段と、各集音手段により集められた測定用音響それぞれの伝搬遅延時間を測定する遅延時間測定手段と、遅延時間測定手段により測定された伝搬遅延時間それぞれに基づいて、対象スピーカモジュールに備わるスピーカの配置位置を推定する位置推定手段と、位置推定手段により推定された配置位置に基づき、対象スピーカモジュールに出力チャンネルを割り当てるチャンネル割当手段と、遅延時間測定手段により測定された各伝搬遅延時間と、チャンネル割当手段により割り当てられた出力チャンネルとに基づき、対象スピーカモジュールの出力を補正する補正値を生成し、対象スピーカモジュールに与える音場補正手段とを備える。
また、上記補正装置はさらに、各集音手段により集められた測定用音響に基づいて、対象スピーカモジュールの周波数特性を分析する周波数特性分析手段を備える。ここで、チャンネル割当手段は、周波数特性分析手段により分析された周波数特性をさらに参照して、対象スピーカモジュールに出力チャンネルを割り当て、さらに、音場補正手段は、周波数特性分析手段により分析された周波数特性をさらに参照して、対象スピーカモジュールの出力を補正するための補正値を生成する。
また、上記補正装置はさらに、周波数特性分析手段により分析された周波数特性に基づいて、対象スピーカモジュールの再生周波数帯域を決定する再生帯域決定手段を備える。ここで、音場補正手段は、再生帯域決定手段により決定された再生周波数帯域をさらに使って、対象スピーカモジュールの出力を補正する補正値を生成する。
また、上記補正装置において、再生帯域決定手段は、位置推定手段により推定された対象スピーカモジュールの配置位置に基づいて、スピーカモジュールに備わるスピーカの再生周波数帯域を決定する。
また、本発明の第2の局面は、マルチチャンネルオーディオ再生装置において用いられ、マルチチャンネルオーディオ信号の補正方法に向けられている。本局面に係る補正方法は、測定用信号を発生する測定用信号発生ステップと、ネットワークを介して接続された複数のスピーカモジュールの一つを対象スピーカモジュールとして選択して、測定用信号発生ステップにより発生された測定用信号を、選択した対象スピーカモジュールに伝送するスピーカ切替ステップと、対象スピーカモジュールが入力測定用信号に従って出力した音響を測定用音響として、互いに異なる複数の集音装置を用いて集める集音ステップと、集音ステップにより、複数の集音装置を用いて集められた測定用音響それぞれの伝搬遅延時間を測定する遅延時間測定ステップと、遅延時間測定ステップにより測定された伝搬遅延時間それぞれに基づいて、対象スピーカモジュールに備わるスピーカの配置位置を推定する位置推定ステップと、位置推定ステップにより推定された配置位置に基づき、対象スピーカモジュールに出力チャンネルを割り当てるチャンネル割当ステップと、遅延時間測定ステップにより測定された各伝搬遅延時間と、チャンネル割当ステップにより割り当てられた出力チャンネルとに基づき、対象スピーカモジュールの出力を補正する補正値を生成して、対象スピーカモジュールに与える音場補正ステップとを備える。
上記各局面では、ネットワークに接続されたスピーカモジュールについて、測定用信号による伝搬遅延時間の測定により配置位置が推定された後、推定された配置位置に基づいて出力チャンネルが自動的に割り当てられる。また、測定された伝搬遅延時間と、割り当てた出力チャンネルとに基づき、スピーカモジュールに与えられる音声信号が補正された状態で、自動割り当てされる出力チャネルに対応したアンプの出力系統から音響が出力される。これによって、リスニングポイントに合わせた音場環境を形成することができる。上記から明らかなように、上記各局面によれば、出力チャンネルが自動割り当てされるので、出力チャンネルに対応したアンプ出力系統との接続を行わなくてもよく、これによって、マルチチャンネル化に伴って生じるスピーカ及び/又はアンプの設置工数を削減することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチチャンネルオーディオ再生システム(以下、単にシステムという)の構成を示すブロック図である。図1において、システムは、例示的には車両に設置され、マルチチャンネルオーディオ信号に従って音響を出力する。音響出力のために、システムは、再生装置1と、複数のスピーカモジュール2と、補正装置3と、これらを接続するネットワーク4とを備える。なお、図1には、5個のスピーカモジュール2a〜2eが例示されており、以下では、システムにはスピーカモジュール2a〜2eが備わるとして説明を続ける。
再生装置1は、マルチチャンネルオーディオ信号をネットワーク4に出力するために、再生手段11と、ネットワークドライバ12とを含んでいる。再生手段11は、マルチチャンネルオーディオ信号を生成しネットワークドライバ12に出力する。ネットワークドライバ12は、再生手段11が出力したマルチチャンネルオーディオ信号をネットワーク4に送出する。送出されたマルチチャンネルオーディオ信号は、ネットワーク4を介して、対象となるスピーカモジュール2に送信される。
スピーカモジュール2a〜2eは、スピーカ21a〜21eと、パワーアンプ22a〜22eと、信号処理手段23a〜23eと、記憶手段24a〜24eと、ネットワークドライバ25a〜25eとを備えている。
各スピーカ21a〜21eは、自身への入力マルチチャンネルオーディオ信号から音響を再生し出力する。各パワーアンプ22a〜22eは、自身への入力マルチチャンネルオーディオ信号を増幅する。各信号処理手段23a〜23eは、自身と接続された記憶手段24a〜24e内の補正値(詳細は後述)に従って、自身への入力マルチチャンネルオーディオ信号を補正して、後段のパワーアンプ22a〜22eに与える。ネットワークドライバ25a〜25eは、ネットワーク4を通じて、再生装置1から送られてくるマルチチャンネルオーディオ信号、及び補正装置3から送られてくる補正値を受信する。
補正装置3は、スピーカ個数確認手段31と、測定用信号発生手段32と、スピーカ切替手段33と、集音手段34と、遅延時間測定手段35と、配置位置推定手段36と、周波数特性分析手段37と、再生帯域決定手段38と、チャンネル割当手段39と、目標値入力手段40と、音場補正手段41と、ネットワークドライバ42とを含んでいる。
スピーカ個数確認手段31は、ネットワーク4に接続されているスピーカモジュール2の個数を確認する。測定用信号発生手段32は、測定用信号を発生する。スピーカ切替手段33は、測定用信号の出力先を測定対象となるスピーカに切り替える。集音手段34は、測定対象のスピーカから出力された測定用信号を集音するために、本実施形態では例示的に、車内空間に仮想的に形成された正四面体(図4参照)の頂点に配置されるマイクロフォン34a〜34dを含んでいる。遅延時間測定手段35は、伝搬遅延時間を測定する。配置位置推定手段36は、測定された伝搬遅延時間からスピーカの配置位置を推定する。周波数特性分析手段37は、集音された測定用信号からスピーカの周波数特性を分析する。再生帯域決定手段38は、周波数特性分析手段37の分析結果に基づき、測定対象のスピーカモジュール2に対して再生帯域の割当を決定する。チャンネル割当手段39は、配置位置推定手段36の推定結果及び周波数特性分析手段37の分析結果に基づいて、スピーカモジュール2に出力チャンネルを割り当てる。目標値入力手段40は、ユーザの操作に応答して、ユーザのリスニングポイントにおける目標特性値を、後段の音場補正手段41に設定する。音場補正手段41は、リスニングポイントで最適な音場環境を形成するように、各スピーカモジュール2向けの補正値を作成して設定する。ネットワークドライバ42は、ネットワーク4に接続され、音場補正手段41が作成した補正値を、ネットワーク4に送出する。送出された補正値は、ネットワーク4を介して、対象となるスピーカモジュール2に送信される。
なお、ネットワーク4に接続されている各機器には、ネットワークドライバ12,25a〜25e及び42によって、一意なネットワークIDが割り当てられ、それぞれの機器種別及びネットワークIDは、必要に応じて、ネットワーク4に接続された他の機器から取得される。
図2は、図1に示すシステムにおける音場補正処理の手順を示すフローチャートである。まず、ユーザにより、補正装置3の目標値入力手段40からリスニングポイントでの目標特性が設定されると、図2に示すように、スピーカ個数確認手段31が、ネットワーク4に接続されている全機器の機器種別を取得し、取得した機器種別からスピーカモジュール2の個数n(図1の例ではn=5)を確認し、音場補正手段41に与える(S11)。
次に、音場補正手段41は、ループ変数iに1を設定し(S12)、図3を参照して後述するようにしてスピーカモジュール2の情報を取得する(S13)。次に、音場補正手段41は、iに1加算し(S14)、iがスピーカの個数n以下であるか判定する(S15)。以上のステップS13は、iがスピーカの個数n以下である間、繰り返される。
図3は、図2のステップS13の詳細な処理手順を示すフローチャートである。図3に示すように、補正装置3において、測定用信号発生手段32は、スピーカ21から集音手段34までのインパルス応答、具体的には、スピーカ21の出力音響の伝搬遅延時間及び周波数特性を得るための測定用信号の一例としてのインパルス信号を発生する(S31)。なお、本実施形態では、測定用信号としてインパルス信号を用いて説明するが、M系列ノイズ又はスイープ信号を測定用信号として用いることが可能である。上記のようにして発生されたインパルス信号は、スピーカ切替手段33により選択された測定対象のスピーカモジュール2へと、ネットワークドライバ42を介してネットワーク4を伝送される(S32)。
測定対象のスピーカモジュール2において、ネットワークドライバ25は、ネットワーク4からインパルス信号を受信し(S33)、スピーカ21は、信号処理手段23及びパワーアンプ22を介してインパルス信号を受け取り、受信インパルス信号に従って、測定用の音響を出力する(S34)。
測定対象のスピーカ21から出力された測定用音響は、図4に示すようなマイクロフォン34a〜34dを含む集音手段34によって集音される(S35)。
遅延時間測定手段35は、集音手段34によって集音された測定用音響のインパルス応答に基づいて、伝搬遅延時間を測定する。このように測定された伝搬遅延時間は、ネットワーク4を介して、測定対象のスピーカモジュール2が保持する記憶手段24に格納される(S36)。
次いで、配置位置推定手段36が、今回測定された伝搬遅延時間から、測定対象となるスピーカ21の配置位置を推定する。推定された配置位置は、ネットワーク4を介して、測定対象のスピーカモジュール2が保持する記憶手段24に格納される(S37)。
ここで、測定対象スピーカ21の配置位置の三次元座標は、図5に示すように、集音手段34のマイクロフォン34a〜34dで集音された測定用音響の到達時間t1〜t4と、マイクロフォン34a〜34dの設置位置とに基づいて推定される。
具体的には、図4において、マイクロフォン34a〜34dの三次元座標をそれぞれ(Xa,Ya,Za)、(Xb,Yb,Zb)、(Xc,Yc,Zc)、(Xd,Yd,Zd)とし、音速をvとした場合、測定対象スピーカ21の配置位置の座標は、以下の式を満たす座標(X,Y,Z)として求めることができる。
(X−Xa)2+(Y−Ya)2+(Z−Za)2=(t1×v)2
(X−Xb)2+(Y−Yb)2+(Z−Zb)2=(t2×v)2
(X−Xc)2+(Y−Yc)2+(Z−Zc)2=(t3×v)2
(X−Xd)2+(Y−Yd)2+(Z−Zd)2=(t4×v)2
測定対象スピーカ21の配置位置は、図6に示すように、集音手段34の位置を、例えば車両の運転席に固定することで、集音手段34の三次元座標と、スピーカ21の運転席からの三次元座標とから推定することができる。
また、集音手段34によって集音された測定用音響のインパルス応答に基づいて、周波数特性分析手段37は、測定対象のスピーカ21の周波数特性を分析する。その結果得られる周波数特性は、ネットワーク4を介して、測定対象のスピーカモジュール2が保持する記憶手段24に格納される(S38)。
以上の処理がネットワーク4に接続されたスピーカ21a〜21eの全てに対して行われ、これによって、スピーカ情報が取得される。
再度図2を参照する。上記のようにして推定された各スピーカ21の配置位置に基づき、チャンネル割当手段39は、例えばFR、FL、FC、RR及びRLのような出力チャンネルを割り当てる。このように割り当てられた出力チャンネルは、ネットワーク4を介して、対応するスピーカモジュール2が保持する記憶手段24に格納される(S16)。
なお、5.1chシステム等の場合は、チャンネル割当手段39は、周波数特性分析手段37により分析されたスピーカ21の周波数特性に基づき、SW(スーパーウーファー)の出力チャンネルを割り当てる。例えば、図7に示すように、周波数特性が低域出力をカバーする特性であれば、このスピーカにはSWが出力チャネルとして割り当てられる。
次いで、再生帯域決定手段38が、各スピーカ21の周波数特性及び推定されたスピーカ21の配置位置に基づき、高域出力用(以下、HIという)、中域出力用(以下、MIDという)、低域出力用(以下、LOWという)等の再生帯域を割り当てる。割り当てられた再生帯域は、ネットワーク4を介して、対応するスピーカモジュール2が保持する記憶手段24に格納される(S17)。
再生帯域は、図8(a)に示すように、周波数帯域を低域出力(図中LOWで示す)、中域出力(図中MIDで示す)及び高域出力(図中HIで示す)に三分割した周波数特性グラフにおけるスピーカ21の周波数特性に基づいて決定される。
図8(b)に示すように、低域出力の周波数帯域をカバーする特性であればLOWが再生帯域として割り当てられ、図8(c)のように、中域出力の周波数帯域をカバーする特性であればMIDが再生帯域として割り当てられ、さらに、図8(d)のように、高域出力の周波数帯域をカバーする特性であればHIが再生帯域として割り当てられる。
また、再生帯域決定手段38は、スピーカ21の上下方向の配置位置も考慮して再生帯域を決定する。例えば、図9に示すように、三個のスピーカ21が互いに近接し実質同一箇所に配置されていた場合、再生帯域決定手段38は、これらのスピーカ21の再生帯域として、配置位置が上のものから順にHI、MID及びLOWとして割り当てる。
次いで、音場補正手段41は、目標値入力手段40で設定された、リスニングポイントでの目標値に合わせるため、スピーカ21a〜21eのそれぞれについてパラメータ補正を行う。具体的には、まず、音場補正手段41は、ループ変数iに1を設定し(S18)、図10を参照して後述するようにしてパラメータを補正する(S19)。次に、音場補正手段41は、iに1加算し(S20)、iがスピーカの個数n以下であるか判定する(S21)。以上のステップS19は、iがスピーカの個数n以下である間、繰り返される。
図10は、図2に示すステップS19の詳細な処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように、音場補正手段41は、補正対象となるスピーカ21の伝搬遅延時間に基づいて、設定された目標値に合うように遅延時間の補正値を求める。このような遅延時間の補正値は、ネットワーク4を介して、補正対象のスピーカモジュール2が保持する記憶手段24に格納される(S41)。
また、音場補正手段41は、補正対象のスピーカ21の周波数特性、再生帯域およびチャンネル割当に基づいて、設定された目標特性に合うようにイコライザ(EQ)の補正値を求める。EQの補正値は、ネットワーク4を介して、補正対象のスピーカモジュール21が保持する記憶手段24に格納される(S42)。
さらに、音場補正手段41は、補正対象のスピーカ21について、設定された目標特性に合うようにリスニングポイントにおけるスピーカ21の位相特性を調整するための補正値を求める。位相の補正値は、ネットワーク4を介して、補正対象のスピーカモジュール21が保持する記憶手段24に格納される(S43)。
以上のような処理により、すべてのスピーカ21の補正値が設定された状態で、システムが音響を再生する場合、図11に示すように、まず、再生装置1において、再生手段11は、マルチチャンネルオーディオ信号を、ネットワークドライバ12を介してネットワーク4に送出する。送出されたマルチチャンネルオーディオ信号は、ネットワーク4を介して、スピーカモジュール2a〜2eに伝送される(S51)。
スピーカモジュール2a〜2eにおいて、信号処理手段23a〜23eは、ネットワークドライバ25a〜25eがネットワーク4を通じて受信したマルチチャンネルオーディオ信号に対し、自身に接続された記憶手段24a〜24eに格納されている出力チャンネルおよび各補正値に基づき信号処理を行い(S52)、信号処理後のマルチチャンネルオーディオ信号を、後段のスピーカ21a〜21eに、パワーアンプ22a〜22eを介して与える(S53)。その結果、スピーカ21a〜21eは、信号処理後のマルチチャンネルオーディオ信号に基づく音響が再生されユーザに向けて出力される。
このように本実施形態に係るシステムによれば、補正装置3は、任意の位置に配置された各スピーカ21について測定用信号を用いて配置位置を推定し、推定した配置位置に基づいて出力チャンネルを自動的に割り当て、各スピーカモジュール2の記憶手段24に記憶させる。また、ネットワーク4を介して伝送されたマルチチャンネルオーディオ信号を出力信号処理手段23が記憶手段24に記憶された出力チャンネルに基づいて信号処理して出力する。従って、配置位置により割り当てられた出力チャンネルに対応したアンプ出力系統との接続をユーザ自身が行わなくても、自動的に配置位置による出力チャンネルの割当と出力チャンネルとに対応した音響の出力が行われ、マルチチャンネル化に伴って生じるスピーカ及び/又はアンプの設置工数を削減することができる。
また、補正装置3は、測定用信号を用いて周波数特性を分析し、得られた周波数特性に基づき、スピーカ21に適合した再生帯域を割り当てているので、音場環境を向上させることができる。
また、得られた周波数特性に基づき、目標値入力手段40で設定された、リスニングポイントでの目標値に合わせるようにパラメータ補正を、補正装置3が行っているので、リスニングポイントに適合した音場環境を形成することができる。
なお、本実施形態においては、ネットワーク4は有線のリング型であるとして説明したが、ネットワーク構成は、これに限らず、有線及び無線を問わず、さらには、リング型、スター型及びバス型等の形態を問わない。
また、本実施形態においては、スピーカ21又はスピーカモジュール2の数は5の場合について説明したが、スピーカ21及びスピーカモジュール2の数はそれぞれ4個以下であっても構わないし、6個以上であっても構わない。
また、本実施形態では、集音手段34は4個のマイクロフォン34a〜34dで構成され、各スピーカ21の配置位置は三次元座標上で推定されたが、3個のマイクロフォンを使って、各スピーカ21の配置位置が二次元座標で推定されたり、5個以上のマイクロフォンを使って、各スピーカ21の二次元座標又は三次元座標が推定されたりしても構わない。
また、本実施形態に係るシステムは、車両に搭載されるとして説明したが、これに限らず、家屋又はオフィスに設置されても構わない。
本発明にかかる補正装置は、マルチチャンネルオーディオ信号に基づく音響を再生・出力するためのスピーカ及び/又はアンプの設置工数を削減することができるという効果を奏し、車両等に搭載されるマルチチャンネルオーディオ再生装置向け等に有用である。
本発明の第1の実施形態に係るマルチチャンネルオーディオ再生システムの構成を示すブロック図 図1に示すシステムにおける音場補正処理の手順を示すフローチャート 図2のステップS13の詳細な処理手順を示すフローチャート 図1に示す集音手段34の構成例を示す図 図1に示す各スピーカ21の配置位置の求め方を説明するための図 図1に示す集音手段34が車両の運転席に固定された場合における、集音手段34と各スピーカ21との配置関係を示す図 図1に示すスピーカ21としてのスーパーウーファーの周波数特性を示す図 図1に示す再生帯域決定手段38が割り当てる再生帯域を説明するための図 図1に示すスピーカ21が実質同一の場所に設置されている様子を示す図 図2に示すステップS19の詳細な処理手順を示すフローチャート 図1に示すシステムにおける音響再生処理の手順を示すフローチャート 従来のマルチチャンネルオーディオ再生装置の一例の構成を示すブロック図 従来のマルチチャンネルオーディオ再生装置の他の例の構成を示すブロック図
符号の説明
1 再生装置
11 再生手段
12 ネットワークドライバ
2a〜2e スピーカモジュール
21a〜21e スピーカ
22a〜22e パワーアンプ
23a〜23e 信号処理手段
24a〜24e 記憶手段
25a〜25e ネットワークドライバ
3 補正装置
31 スピーカ個数確認手段
32 測定用信号発生手段
33 スピーカ切替手段
34 集音手段
35 遅延時間測定手段
36 配置位置推定手段
37 周波数特性分析手段
38 再生帯域決定手段
39 チャンネル割当手段
40 目標値入力手段
41 音場補正手段
42 ネットワークドライバ
4 ネットワーク

Claims (5)

  1. 測定用信号を発生する測定用信号発生手段と、
    ネットワークを介して接続された複数のスピーカモジュールの一つを対象スピーカモジュールとして選択して、前記測定用信号発生手段により発生された測定用信号を、選択した対象スピーカモジュールに伝送するスピーカ切替手段と、
    前記対象スピーカモジュールが入力測定用信号に従って出力した音響を測定用音響として集める複数の集音手段と、
    各前記集音手段により集められた測定用音響それぞれの伝搬遅延時間を測定する遅延時間測定手段と、
    前記遅延時間測定手段により測定された伝搬遅延時間それぞれに基づいて、前記対象スピーカモジュールに備わるスピーカの配置位置を推定する位置推定手段と、
    前記位置推定手段により推定された配置位置に基づき、前記対象スピーカモジュールに出力チャンネルを割り当てるチャンネル割当手段と、
    前記遅延時間測定手段により測定された各伝搬遅延時間と、前記チャンネル割当手段により割り当てられた出力チャンネルとに基づき、前記対象スピーカモジュールの出力を補正する補正値を生成し、対象スピーカモジュールに与える音場補正手段とを備える、マルチチャンネルオーディオ信号の補正装置。
  2. 各前記集音手段により集められた測定用音響に基づいて、前記対象スピーカモジュールの周波数特性を分析する周波数特性分析手段を、前記補正装置はさらに備え、
    前記チャンネル割当手段は、前記周波数特性分析手段により分析された周波数特性をさらに参照して、前記対象スピーカモジュールに出力チャンネルを割り当て、さらに、
    前記音場補正手段は、前記周波数特性分析手段により分析された周波数特性をさらに参照して、前記対象スピーカモジュールの出力を補正するための補正値を生成する、請求項1に記載のマルチチャンネルオーディオ信号の補正装置。
  3. 前記周波数特性分析手段により分析された周波数特性に基づいて、前記対象スピーカモジュールの再生周波数帯域を決定する再生帯域決定手段を、前記補正装置はさらに備え、
    前記音場補正手段は、前記再生帯域決定手段により決定された再生周波数帯域をさらに使って、前記対象スピーカモジュールの出力を補正する補正値を生成する、請求項2に記載のマルチチャンネルオーディオ信号の補正装置。
  4. 前記再生帯域決定手段は、前記位置推定手段により推定された対象スピーカモジュールの配置位置に基づいて、前記スピーカモジュールに備わるスピーカの再生周波数帯域を決定する、請求項3に記載のマルチチャンネルオーディオ信号の補正装置。
  5. マルチチャンネルオーディオ再生装置において用いられ、マルチチャンネルオーディオ信号の補正方法であって、前記方法は、
    測定用信号を発生する測定用信号発生ステップと、
    ネットワークを介して接続された複数のスピーカモジュールの一つを対象スピーカモジュールとして選択して、前記測定用信号発生ステップで発生された測定用信号を、選択した対象スピーカモジュールに伝送するスピーカ切替ステップと、
    前記対象スピーカモジュールが入力測定用信号に従って出力した音響を測定用音響として、互いに異なる複数の集音装置を用いて集める集音ステップと、
    前記集音ステップにより集められた測定用音響それぞれの伝搬遅延時間を測定する遅延時間測定ステップと、
    前記遅延時間測定ステップにより測定された伝搬遅延時間それぞれに基づいて、前記対象スピーカモジュールに備わるスピーカの配置位置を推定する位置推定ステップと、
    前記位置推定ステップにより推定された配置位置に基づき、前記対象スピーカモジュールに出力チャンネルを割り当てるチャンネル割当ステップと、
    前記遅延時間測定ステップにより測定された各伝搬遅延時間と、前記チャンネル割当ステップにより割り当てられた出力チャンネルとに基づき、前記対象スピーカモジュールの出力を補正する補正値を生成する音場補正ステップとを備える、補正方法。
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