JP2006334853A - 液体噴射装置および記録装置並びにキャリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】ガイド軸140とキャリッジ150の軸受け部152との間の特定の部位に潤滑剤を供給する。
【解決手段】軸方向に対して直角な断面において寸法の一定な円形の断面形状を有する案内部142を含むガイド軸140と、案内部142を摺動可能に挿通された軸受け部152を有し、案内部142に沿って往復移動するキャリッジ150と、キャリッジ150に搬送されつつ記録用紙120に向かって液体を噴射する記録ヘッド156とを備えた液体噴射装置であって、軸受け部152が、案内部142の表面に対向した摺動面210、および、案内部142の表面に対して摺動面210よりも離隔し且つ摺動面210に隣接して形成された立ち上がり面220を有し、摺動面210と立ち上がり面220との境界230が、往復移動の方向に対して傾斜している。
【選択図】図3
【解決手段】軸方向に対して直角な断面において寸法の一定な円形の断面形状を有する案内部142を含むガイド軸140と、案内部142を摺動可能に挿通された軸受け部152を有し、案内部142に沿って往復移動するキャリッジ150と、キャリッジ150に搬送されつつ記録用紙120に向かって液体を噴射する記録ヘッド156とを備えた液体噴射装置であって、軸受け部152が、案内部142の表面に対向した摺動面210、および、案内部142の表面に対して摺動面210よりも離隔し且つ摺動面210に隣接して形成された立ち上がり面220を有し、摺動面210と立ち上がり面220との境界230が、往復移動の方向に対して傾斜している。
【選択図】図3
Description
本発明は、液体噴射装置および記録装置並びにキャリッジに関する。より詳細には、本発明は、液体噴射ヘッドから被記録物に向かって液体を噴射する液体噴射装置と、この液体噴射ヘッドを搬送するキャリッジとに関する。
液体噴射装置では、被記録物が所定の搬送方向に搬送される一方、この搬送方向と交差する方向に往復移動する液体噴射ヘッドから液体が噴射される。これらの被記録物の搬送と記録ヘッドの往復移動とを組み合わせることにより、被記録物表面上の任意の領域に液体を付着させることができる。
上記のような液体噴射装置において、液体噴射ヘッドは、ガイド軸に沿って往復移動するキャリッジによって搬送されている。また、多くの場合、ガイド軸は、キャリッジ側に設けられた軸受け部に挿通された上で液体噴射装置に固定されている。従って、キャリッジの往復移動に伴い、ガイド軸と軸受け部とが摺動する構造になっている。
一方、被記録物の搬送方向について、液体噴射ヘッドが1回の往復で被記録物に付着させ得る液体の幅は限られている。このため、被記録物の表面全体にわたって液体を付着させるためには相当な回数の往復移動が必要になる。
また、被記録物上に付着した液体が形成する画像の精度は、キャリッジの正確な移動量制御に大きく依存する。この点からも、ガイド軸と軸受け部は円滑に摺動することが望ましい。
上記のように、液体噴射装置において軸受け部およびガイド軸の間の潤滑は、印刷品質を維持する上で重要な技術課題である。多くの液体噴射装置では、ガイド軸に潤滑剤を塗布して軸受け部とガイド軸との摩擦を低減させている。しかしながら、粘性の高い潤滑剤を使用しても、摺動しつつ往復移動する軸受け部によりガイド軸表面の潤滑剤が掻き取られるので、液体噴射装置の稼働時間が延びるにつれて潤滑剤の効果は低下する。
これに対して、下記特許文献1には、スライド軸に沿って摺動するスライド体に、堰形成部、潤滑剤収納部および潤滑剤案内形成部をそれぞれ設け、スライド体の往復移動に伴って、スライド軸に過剰に塗布された潤滑剤を収集すると同時に、収集した潤滑剤を再びスライド軸に供給すべく案内する構造が開示されている。また、特許文献2には、キャリッジの軸受け部で、キャリッジの移動方向の先頭側にグリース遮断部材を設け、軸受け部とキャリッジガイド軸との間にグリースを保持しつつ軸受け部を移動させると共に、グリースへの異物の混入を防止する技術が開示されている。
特開2004−138140号公報
特開2004−181682号公報
上記のように、ガイド軸に対して摺動するキャリッジの軸受け部自体によって潤滑剤をいわば回収し、再塗布することが提案されている。しかしながら、例えば、キャリッジの重量によりガイド軸に荷重がかかる部位は限られている。即ち、重量に起因する荷重は常に下方に向かって発生するので、キャリッジの重量により生じる負荷はガイド軸の上面に集中する。このため、ガイド軸の上面は、潤滑剤の効果が最も高く求められる部位であるにもかかわらず、軸受け部による潤滑剤の掻き取り現象が最も大きくなる部位でもある。
また、キャリッジにおいて、軸受け部の設置位置はキャリッジ自体の重心と一致するとはかぎらない。従って、往復移動に伴ってキャリッジが加速または減速する毎に、慣性によりキャリッジの姿勢を変えようとする力がキャリッジに作用する。ガイド軸は、このようなキャリッジの姿勢変化抑止にも寄与しているので、キャリッジが加速または減速する領域では、軸受け部の特定の部位がガイド軸に強く押し当てられる。従って、このような部位でも、潤滑剤の効果が高く求められると同時に、軸受け部による潤滑剤の掻き取り現象が大きくなる。このように、ガイド軸とキャリッジの軸受け部との間では、潤滑剤の効果が高く求められる部位においてかえって潤滑剤の消尽が激しく、潤滑剤の効果が不足しがちになるという問題があった。
そこで、上記課題を解決するために、本発明の第1の形態として、軸方向に対して直角な断面において寸法の一定な円形の断面形状を有する案内部を含むガイド軸と、案内部を摺動可能に挿通された軸受け部を有し、案内部に沿って往復移動するキャリッジと、キャリッジに搬送されつつ被記録物に向かって液体を噴射する液体噴射ヘッドとを備えた液体噴射装置であって、軸受け部が、案内部の表面に対向した摺動面、および、案内部の表面に対して摺動面よりも離隔し且つ摺動面に隣接して形成された立ち上がり面を有し、摺動面と立ち上がり面との境界が、往復移動の方向に対して傾斜している液体噴射装置が提供される。これにより、軸受け部により掻き取られた潤滑剤は、キャリッジの移動方向に対して傾斜した境界により特定の部位に向かって誘導される。即ち、キャリッジの往復移動に伴い、ガイド軸表面の潤滑剤は軸受け部立ち上がり面によりいったん掻き取られる。ついで、この掻き取られた潤滑剤は、移動方向に対する傾斜に従って、立ち上がり面の移動方向に対して最も後方に位置する特定部位に集められる。従って、この特定部位を、高い潤滑が求められる部位に配置することにより、潤滑剤を豊富に供給することができる。
また、ひとつの実施形態として、上記液体噴射装置において、ガイド軸の断面形状の周上で、キャリッジの重量による軸受け部からの荷重がガイド軸に対して最も大きく印加される位置に対応する位置まで、境界が延在している。これにより、キャリッジの重量に起因して軸受け部とガイド軸との間の圧力が高い部位に、潤滑剤を豊富に送り込むことができる。
また、他の実施形態として、上記液体噴射装置において、ガイド軸の断面形状の周上で、キャリッジの慣性による軸受け部からの衝撃がガイド軸に対して最も大きく作用する位置に対応する位置まで、境界が延在している。これにより、キャリッジの慣性により軸受け部とガイド軸との間の圧力が高い部位に、潤滑剤を豊富に送り込むことができる。
また、他の実施形態として、上記液体噴射装置において、境界が、摺動面に沿って螺旋状に連続して形成されている。これにより、摺動面全体に均一に潤滑剤を供給することができる。なお、ここでいう「均一」とは、軸受け部とガイド軸との間の圧力が高く、軸受け部による掻き取り現象が強く発生する特定部位に対しても、潤滑剤が安定に供給されることを意味する。
また、本発明の第2の形態として、軸方向に対して直角な断面において寸法の一定な円形の断面形状を有する案内部を含むガイド軸と、案内部を摺動可能に挿通された軸受け部を有し、案内部に沿って往復移動するキャリッジと、キャリッジに搬送されつつ被記録物に向かってインクを吐出する記録ヘッドとを備えた記録装置であって、軸受け部が、案内部の表面に対向した摺動面、および、案内部の表面に対して摺動面よりも離隔し且つ摺動面に隣接して形成された立ち上がり面を有し、摺動面と立ち上がり面との境界が、往復移動の方向に対して傾斜している記録装置が提供される。これにより、記録装置においても、軸受け部により掻き取られた潤滑剤が、キャリッジの移動方向に対して傾斜した境界により特定の部位に向かって誘導される。
更に、本発明の第3の形態として、内径の一定な円形の断面形状を有する貫通孔を含む軸受け部を有し、軸受け部に挿通されたガイド軸に沿って往復移動するキャリッジであって、軸受け部が、貫通孔の内面である摺動面、および、軸受け部に挿通されたガイド軸の表面に対して摺動面よりも離隔し且つ摺動面に隣接して形成された立ち上がり面を有し、摺動面と立ち上がり面との境界が、往復移動の方向に対して傾斜しているキャリッジが提供される。これにより、高い潤滑が求められる特定の部位に潤滑剤を豊富に供給することができる機能を備えたキャリッジが得られる。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、液体噴射装置のひとつの実施形態であるインクジェット式記録装置の主要な内部機構10を抜き出して示す分解斜視図である。同図に示すように、この内部機構10は、前方に向かって延在する側壁部112を両側部に備えて起立するフレーム110の前後に、記録用紙120の搬送経路に沿って形成されている。
即ち、フレーム110の後方にはペーパサポート130が配置され、被記録物である記録用紙120はペーパサポート130に装入される。ペーパサポート130の下端近傍にはフレーム110に隠れた給送部が設けられており、この給送部により記録用紙120が1枚ずつインクジェット式記録装置の内部に取り込まれる。
フレーム110の直下付近には、回転駆動される搬送駆動ローラ170が配置され、取り込まれた記録用紙120はこれにより前方に向かって搬送される。搬送駆動ローラ170の前方には、プラテン160および排出トレー180が順次配置されている。
記録用紙120に対するインクの吐出は、記録用紙120がプラテン160の上に位置するときに行われる。即ち、プラテン160は、記録用紙120を下方から支持することにより、記録用紙120を高さ方向について位置決めする。この記録用紙120に対して、後述する記録ヘッド156が上方からインクを吐出する。
記録ヘッド156は、キャリッジ150の下面に装着されており、キャリッジ150の移動に伴って記録用紙120上方を移動する。キャリッジ150は、その上部に開閉できるカバー158を備え、キャリッジ150内に収容されるインクカートリッジを装着あるいは交換できる。このインクカートリッジから供給されるインクが、記録ヘッド156を介して吐出される。また、キャリッジ150は、その後方に形成された軸受け部152を備えている。軸受け部152にはガイド軸140が挿通されているので、キャリッジ150はガイド軸140に案内されて移動する。
ガイド軸140は、フレーム110と平行に、且つ、水平に配置されている。また、ガイド軸140の両端は、フレーム110の側壁部112から支持されている。このため、ガイド軸140の端部には、側壁部112に結合できるように加工がされている。一方、ガイド軸140の中間部は、一対の側壁部112の間で一定の断面形状を保ち、キャリッジ150の移動を案内する案内部142を形成している。このようなガイド軸140に案内されているので、キャリッジ150は、フレーム110の前方で水平に往復移動できる。
また、フレーム110の前面には、1対のプーリに掛け渡されたタイミングベルト151が配置されている。このタイミングベルト151は、プーリの回転によりプーリどうしの間では水平に変位する。従って、タイミングベルト151とキャリッジ150と結合することにより、キャリッジ150を往復移動させる。
なお、軸受け部152はその内部にブッシュ154が挿入されている。ブッシュ154はキャリッジ150側とガイド軸140との間に介在して、ガイド軸140と軸受け部152との円滑な摺動に寄与している。
また、側壁部112の外側で、搬送駆動ローラ170の端部には、ロータリースケール172が装着されている。ロータリースケール172は、搬送駆動ローラ170と同軸の環状の目盛りを有する。従って、側壁部112側に固定されたセンサでロータリースケール172の目盛りを計測することにより搬送駆動ローラ170の正確な回転量が検出され、記録用紙120の搬送量が検知される。
また、フレーム110の前面とキャリッジ150との間にも、水平に配置された目盛りを有するリニアスケール153が配置されている。キャリッジ150側に装着されたセンサでこの目盛りを計測することにより、キャリッジ150の正確な移動量が検知される。
以上のように形成された内部機構10を備えたインクジェット式記録装置では、記録用紙120は、ペーパサポート130から取り込まれて排出トレー180に向かう搬送方向に搬送される。また、記録用紙120がプラテン160上に位置するときに、キャリッジ150が往復移動を繰り返し、更に、記録ヘッド156がインクを適宜吐出する。
このとき、前記したロータリースケール172により、搬送方向について、記録用紙120のどの領域がプラテン160上にあるのかがわかる。また、リニアスケール153により、記録用紙120のどの領域に対して記録ヘッド156が位置しているかが判る。従って、記録用紙120上の任意の領域に対して正確にインクを吐出させる制御ができる。
図2は、図1に示した内部機構10におけるキャリッジ150およびガイド軸140の組立体50を抜き出して、キャリッジ150の下方から見上げた様子を示す底面図である。同図に示すように、キャリッジ150の背面の底面近傍には、その水平方向の両端に一対の短い軸受け部152が形成されている。また、ガイド軸140は、一対の軸受け152に共通に挿通されている。更に、軸受け部152の向こうには、キャリッジ150の上部に装着されたカバー158の後端が見えている。
上記のような形態では、それぞれの軸受け部152は単独では短いものの、一対の軸受け部152がキャリッジ150の全幅に略等しい間隔で離れて形成されている。これにより、キャリッジ150はガイド軸140から広いスパンで支持されるので、特にキャリッジ150の姿勢を変化させるような応力に対する安定性が高くなる。
なお、この図では図中に見えないが、各軸受け部152には円筒状のブッシュ154が挿入されており、ブッシュ154の内面が、ガイド軸140に対する摺動面となる。ここで、ブッシュ154は、精密な成形品なのでコストも高い。従って、図2に示した形態とすることにより、部品としてのブッシュ154単独の寸法を小型化して、インクジェット式記録装置の製造コストを低下させることができる。
図3は、図1に示した記録装置のキャリッジ150の軸受け部152に挿入されてガイド軸140に対する摺動面210を形成するブッシュ20の単独の形状を示す鉛直断面図である。また、図4には、同じブッシュ20を斜め下方から見上げた斜視図を示す。
これらの図面に示すように、ブッシュ20は、全体としては円筒状の部材で、キャリッジ150の後方に形成された軸受け部152の内部に装着される。従って、このブッシュ20の内面が、挿通されるガイド軸140に対する摺動面210となる。
更に、このブッシュ20の内面では、その端部近傍に、立ち上がり面220により段差が形成されている。この立ち上がり面220は、摺動面210に対して直角よりも大きな角度で傾斜している。また、立ち上がり面220は、ブッシュ20の下側ではその端面に隣接して、ブッシュ20の上側では端面から離れて形成されている。従って、摺動面210と立ち上がり面220との境界230は、図中に矢印Aによって示すキャリッジ150の進行方向に対して傾斜している。
上記のようなブッシュ20が、図3に点線で示すガイド軸140に対して摺動しつつ矢印Aの方向に移動するとき、ガイド軸140の表面に付着した潤滑剤は、ブッシュ20の境界230によって掻き取られ、立ち上がり面220の表面に蓄積される。更に、ブッシュ20の移動によって立ち上がり面220に押されると、立ち上がり面220のガイド軸140表面に対する傾斜によって、ガイド軸140と摺動面210との間に一部の潤滑剤が誘導される。
更に、立ち上がり面220に押された余剰の潤滑剤は、立ち上がり面220の進行方向(矢印Aの方向)に対する傾斜により上方に誘導される。従って、余剰の潤滑剤は、立ち上がり面220がブッシュ20の端部から最も離れている段差上部222に集められる。こうして、ガイド軸140の上面には、潤滑剤が豊富に供給される。
なお、上記した傾斜した立ち上がり面220による潤滑剤の誘導効果は、専ら、矢印Aで示す方向にキャリッジ150が移動するときに発揮される。一方、前述の通り、キャリッジ150はガイド軸140に沿って往復移動するので、矢印Aとは反対の方向にも移動するときがある。そこで、図3に示した立ち上がり面220を、ブッシュ20の両端に設けることにより、ブッシュ20がいずれの方向に進むときにも潤滑剤の誘導効果を得ることができるようになる。
また、図3および図4に示したように一方の端部に立ち上がり面220を備えたブッシュ20を一対用い、互いに反対方向になるように軸受け部152に装着することで、同様の効果を得ることもできる。更に、往復移動方向についてキャリッジ150の両端に一対の軸受け部152を設け、それぞれの軸受け部152に、互いに向きの異なるブッシュ20を装着することで同様の効果を得ることもできる。
図5は、軸受け部152に挿入されてガイド軸140に対する摺動面310を形成する他のブッシュ30の単独の形状を示す鉛直断面図である。また、図6に、同じブッシュ30を斜め上方から見下ろした斜視図を示す。
これらの図面に示すように、ブッシュ30は、全体としては円筒状の部材で、キャリッジ150の後方に形成された軸受け部152の内部に装着される。従って、このブッシュ30の内面が、挿通されるガイド軸140に対する摺動面310を形成する。
更に、このブッシュ30の内面には、その端部近傍に、立ち上がり面320による段差が形成されている。この立ち上がり面320は、摺動面310に対して直角よりも大きな角度で傾斜している。また、立ち上がり面320は、ブッシュ30の上部と下部とにおいてブッシュ30の端面に隣接して形成され、それぞれ、そこから反時計回りに変位するにつれてブッシュ30端面から離れていくように形成されている。このため、ブッシュ30の段差上部322と段差下部324において、立ち上がり面320自体に段差326が形成されている。また、摺動面310と立ち上がり面320との境界330の各部は、図中に矢印Bによって示す進行方向に対して傾斜している。
上記のようなブッシュ30が、図5中に点線で示すガイド軸140に対して摺動しつつ矢印Bの方向に移動するとき、ガイド軸140の表面に付着した潤滑剤は、境界330によって掻き取られ、立ち上がり面320の表面に蓄積される。更に、ブッシュ30の移動によって立ち上がり面320に押されると、立ち上がり面320のガイド軸140表面に対する傾斜によって、ガイド軸140と摺動面310との間に一部の潤滑剤が誘導される。
更に、立ち上がり面320の進行方向(矢印Bの方向)に対する傾斜によって、余剰の潤滑剤が、上方または下方に誘導される。従って、余剰の潤滑剤は、立ち上がり面320がブッシュ30の端部から最も離れた段差上部322および段差下部324に集められる。こうして、ガイド軸140の上面および下面には、潤滑剤が豊富に供給される。
なお、ここでは説明の便宜を図り、余剰の潤滑剤をガイド軸140の上面および下面に集める場合について説明した。しかしながら、前述の通り、この実施形態では立ち上がり面320自体に段差326が形成される部位、即ち、立ち上がり面320がブッシュ30の端部から最も離れる部位を設けた場所において潤滑剤が豊富に供給される。従って、潤滑への要求が高い場所にこの段差326を設けて、ブッシュ30とガイド軸140との間への潤滑剤供給量を最適化させることができる。
既に述べた通り、キャリッジ150の重量に起因する荷重はガイド軸140の上面に集中して印加される。また、キャリッジ150に設けられた軸受け部152の位置とキャリッジ150自体の重心との変位のために、キャリッジ150の移動または停止に伴う慣性により特定部位に大きな衝撃が作用する場合がある。そこで、これら特定部位に潤滑剤が豊富に供給されるように立ち上がり面320およびその段差326を形成することにより、良好な潤滑を維持させることができる。
また、上記した傾斜した立ち上がり面320による潤滑剤の誘導効果は、専ら、矢印Bで示す進行方向にブッシュ30が移動するときに発揮される。従って、図3および図4に示したブッシュ20の場合と同様に、ひとつのブッシュ30の両端に立ち上がり面320を形成し、あるいは、向きを変えて複数のブッシュ30を組み合わせることにより、キャリッジ150の往復移動について両方の進行方向に対応させることができる。
図7は、軸受け部152に挿入されてガイド軸140に対する摺動面410を形成する更に他のブッシュ40の単独の形状を示す鉛直断面図である。また、図8に、同じブッシュ40を斜め上方から見下ろした斜視図を示す。
これらの図面に示すように、ブッシュ40は、全体としては円筒状の部材で、キャリッジ150の後方に形成された軸受け部152の内部に装着される。従って、このブッシュ40の内面が、挿通されるガイド軸140に対する摺動面410を形成する。
更に、このブッシュ40の内面には、一対の立ち上がり面420、422により形成されたV字形断面形状を有する溝が、その全長にわたって螺旋状に形成されている。各立ち上がり面420および422は、摺動面410に対して直角よりも大きな角度で傾斜している。また、摺動面410と立ち上がり面420、422との境界430、432の各部は、図中に矢印Cによって示すキャリッジ150の進行方向に対して傾斜している。
上記のようなブッシュ40が、図中に点線で示すガイド軸140に対して摺動しつつ矢印Cの方向に移動するとき、ガイド軸140の表面に付着した潤滑剤は、一方の境界430によって掻き取られ、立ち上がり面420の表面に蓄積される。更に、ブッシュ40の移動によって立ち上がり面420に押されると、立ち上がり面420のガイド軸140表面に対する傾斜によって、ガイド軸140と摺動面410との間に一部の潤滑剤を誘導する。
更に、立ち上がり面420の進行方向(矢印Bの方向)に対する傾斜によって、残りの潤滑剤を螺旋状に誘導する。従って、余剰の潤滑剤は、ガイド軸140の周囲に均等に誘導される。この実施形態では、潤滑剤が特定の部位に対して豊富に集められることはない。しかしながら、キャリッジ150の重量のためにガイド軸140と軸受け部152との間に大きな圧力が生じる部位、キャリッジ150の移動あるいは停止時の慣性のために強い衝撃が加わる部分等に対しても、他の部位と同様に安定に潤滑剤が供給されるので、良好な潤滑が維持される。
なお、上記した傾斜した立ち上がり面420による潤滑剤の誘導効果は、専ら、矢印Cで示す進行方向にブッシュ40が移動するときに発揮される。しかしながら、この実施形態では、往復移動に伴ってキャリッジ150の移動方向が反転したときは、もうひとつの立ち上がり面422および境界432が、前述の立ち上がり面420および境界430と同じ機能を果たす。従って、単独のブッシュ40により、キャリッジ150の往復移動に係る両方の進行方向に対応できる。
また、上記各実施形態において、ブッシュの材料は、潤滑剤に対して耐性のあるものであれば任意に選択でき、樹脂材料の他、金属材料も好ましく使用できる。また、その製造方法は、射出成形、鋳造等の一般的な方法をいずれも採り得る他、特に高い精度を求める場合は切削加工等によっても製造できる。
以上、詳細に説明したように、このインクジェット式記録装置では、キャリッジ150の往復移動に伴って、ガイド軸140上の潤滑剤が、潤滑の要求が高い部位に自然に供給される。また、キャリッジ150側の軸受け部152による潤滑剤の掻き取り現象が激しい部位に対しても、安定に潤滑剤が供給される。
なお、図2に示した通り、ひとつのキャリッジ150に複数に分割した軸受け部152を設けることもできる。そのような場合、各軸受け部152の内部に、互いに異なる仕様のブッシュを挿入することもできる。これにより、ガイド軸140の複数の部位に潤滑剤を分配したり、キャリッジ150の往路と復路で潤滑剤の供給先を変更させることもできる。一方、ブッシュを独立した部材とせずに、上記実施形態でブッシュに形成した摺動面および立ち上がり面を、軸受け部152あるいはキャリッジ150と当初より一体に形成することもできる。
また、インクジェット式記録装置を例に挙げて説明したが、上記のような立ち上がり面220、320、420を備えたブッシュ20、30、40、あるいは、そのような形状を備えた軸受け部152を有するキャリッジ150等を独立した部材として供給し、これを既存の液体噴射装置に組み込むことによっても実現し得る。また、立ち上がり面220、320、420の形状、数等の態様が上記に制限されないことはいうまでもない。
更に、液体噴射装置としては、液体噴射ヘッドとして材噴射ヘッドを備えた液晶ディスプレイのカラーフィルタ製造装置、液体噴射ヘッドとして電極材(電導ペースト)噴射ヘッドを備えた有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成装置、液体噴射ヘッドとして生体有機物噴射ヘッドおよび精密ピペットを備えたバイオチップ製造装置等を例示できる。また、被記録物とは、液体噴射ヘッドから噴射された液体を付着され得るものを一般に指し、記録用紙の他に、回路基板、円板形光記録媒体、プレパラート等も含まれる。
また更に、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることは当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 内部機構、20、30、40、154 ブッシュ、50 組立体、110 フレーム、112 側壁部、120 記録用紙、130 ペーパサポート、140 ガイド軸、142 案内部、150 キャリッジ、151 タイミングベルト、152 軸受け部、153 リニアスケール、156 記録ヘッド、160 プラテン、170 搬送駆動ローラ、172 ロータリースケール、180 排出トレー、210、310、410 摺動面、220、320、420、422 立ち上がり面、222、322 段差上部、230、330、430、432 境界、324 段差下部、326 段差
Claims (6)
- 軸方向に対して直角な断面において寸法の一定な円形の断面形状を有する案内部を含むガイド軸と、
前記案内部を摺動可能に挿通された軸受け部を有し、前記案内部に沿って往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジに搬送されつつ被記録物に向かって液体を噴射する液体噴射ヘッドと
を備えた液体噴射装置であって、
前記軸受け部が、前記案内部の表面に対向した摺動面、および、前記案内部の表面に対して前記摺動面よりも離隔し且つ前記摺動面に隣接して形成された立ち上がり面を有し、
前記摺動面と前記立ち上がり面との境界が、前記往復移動の方向に対して傾斜している液体噴射装置。 - 前記ガイド軸の前記断面形状の周上で、前記キャリッジの重量による前記軸受け部からの荷重が前記ガイド軸に対して最も大きく印加される位置に対応する位置まで、前記境界が延在している請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記ガイド軸の前記断面形状の周上で、前記キャリッジの慣性による前記軸受け部からの衝撃が前記ガイド軸に対して最も大きく作用する位置に対応する位置まで、前記境界が延在している請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記境界が、前記摺動面に沿って螺旋状に連続して形成されている請求項1に記載の液体噴射装置。
- 軸方向に対して直角な断面において寸法の一定な円形の断面形状を有する案内部を含むガイド軸と、
前記案内部を摺動可能に挿通された軸受け部を有し、前記案内部に沿って往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジに搬送されつつ被記録物に向かってインクを吐出する記録ヘッドと
を備えた記録装置であって、
前記軸受け部が、前記案内部の表面に対向した摺動面、および、前記案内部の表面に対して前記摺動面よりも離隔し且つ前記摺動面に隣接して形成された立ち上がり面を有し、
前記摺動面と前記立ち上がり面との境界が、前記往復移動の方向に対して傾斜している記録装置。 - 内径の一定な円形の断面形状を有する貫通孔を含む軸受け部を有し、前記軸受け部に挿通されたガイド軸に沿って往復移動するキャリッジであって、
前記軸受け部が、前記貫通孔の内面である摺動面、および、前記軸受け部に挿通されたガイド軸の表面に対して前記摺動面よりも離隔し且つ前記摺動面に隣接して形成された立ち上がり面を有し、
前記摺動面と前記立ち上がり面との境界が、前記往復移動の方向に対して傾斜しているキャリッジ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011161859A (ja) * | 2010-02-12 | 2011-08-25 | Seiko Epson Corp | 液体噴射装置 |
CN105889319A (zh) * | 2016-06-03 | 2016-08-24 | 苏州同佳精密五金厂 | 一种无给油导套 |
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2005
- 2005-05-31 JP JP2005160353A patent/JP2006334853A/ja active Pending
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JP2011161859A (ja) * | 2010-02-12 | 2011-08-25 | Seiko Epson Corp | 液体噴射装置 |
CN102189842A (zh) * | 2010-02-12 | 2011-09-21 | 精工爱普生株式会社 | 液体喷射装置 |
US9702405B2 (en) | 2012-11-27 | 2017-07-11 | Canon Kabushiki Kaisha | Moving apparatus |
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