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JP2006329144A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

内燃機関の可変動弁装置 Download PDF

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JP2006329144A JP2005156936A JP2005156936A JP2006329144A JP 2006329144 A JP2006329144 A JP 2006329144A JP 2005156936 A JP2005156936 A JP 2005156936A JP 2005156936 A JP2005156936 A JP 2005156936A JP 2006329144 A JP2006329144 A JP 2006329144A
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Tsuyoshi Ishikawa
剛志 石川
Kengo Kubo
腎吾 久保
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】冷間始動時のオーバーラップ期間を適切に設定して排気性能の向上を図る。
【解決手段】内燃機関1の吸気バルブ10と排気バルブ11とのオーバーラップ期間を連続的に可変調節可能な可変動弁機構12と、内燃機関1の運転状態を検出する運転状態検出手段18と、オーバーラップ期間を設定するオーバーラップ期間設定手段15と、を備え、オーバーラップ期間設定手段15は、内燃機関1始動時のオーバーラップ期間を、内燃機関1の始動に伴って変化する運転状態検出手段18の検出値に基づいて設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、吸気弁と排気弁の開時期のオーバーラップ期間(以下、単にオーバーラップ期間という)の制御に関し、特に、冷間運転時の排気性能を向上させるための制御に関する。
一般に、内燃機関には排気ガス中のHC等を低減すべく、排気通路の途中に三元触媒等からなる触媒コンバータが設けられている。しかし、触媒コンバータは活性化温度に達するまではHC等を十分に浄化することができないため、冷間始動時等にはHC等の浄化効率が低下する。
また、排気行程とこれに続く吸気行程との間での排気弁と吸気弁の開時期のオーバーラップ期間(以下、単にオーバーラップ期間という)をとると、高温となった既燃ガスの一部が吸気ポートに吹き返し、この既燃ガスにより吸気ポート壁に付着して液化した燃料の気化が促進されること、及び排気行程終期にシリンダ壁から引き剥がされて集中的に発生する未燃燃料が排気されずに吸気ポートへ吹き返されることにより、HC排出量が低減されることが知られている。
そこで、特許文献1には、オーバーラップ期間を調整可能な可変動弁機構を用いて冷間始動時にオーバーラップ期間を長くすることによって、冷間時の排気性能を向上させる技術が開示されている。
具体的には、機関始動直後の水温及び運転状態に基づいて冷間始動であるか否かを判定し、冷間始動であると判定した場合には、予め設定しておいた通常運転時より長い冷間始動時用のオーバーラップ期間に切り換えている。
特開平7−109934号
ところで、オーバーラップ期間を長くすると、吹き返される既燃燃料が多くなるので、次サイクルの燃焼安定性が悪化し、これによりHC排出量が多くなるおそれがある。また、冷却水温が上昇すると、吸気ポート壁面の温度が上昇することによってポート壁流量が減少するので、オーバーラップ期間を長くすることのHC排出量低減効果への影響は小さくなる。
しかしながら、特許文献1の技術では、機関始動時のオーバーラップ期間は始動時の水温が所定温度以下であるか否か、すなわち冷間始動であるか否かによって設定されている。したがって、所定温度以下であれば、冷却水温にかかわらず同じオーバーラップ期間となるので、必要以上に長いオーバーラップ期間を設定されて燃焼性が悪化するおそれがある。
そこで、本発明では、燃焼性の悪化を防止しつつHC排出量を低減するための、適切なオーバーラップ期間を設定することを目的とする。
本発明の内燃機関の可変動弁装置は、内燃機関の吸気バルブと排気バルブのオーバーラップ期間を連続的に可変調節可能な可変動弁機構と、前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、前記可変動弁機構を介してオーバーラップ期間を設定するオーバーラップ期間設定手段と、を備え、前記オーバーラップ期間設定手段は、前記内燃機関始動時の前記オーバーラップ期間を、前記内燃機関の始動に伴って変化する前記運転状態検出手段の検出値に基づいて設定する。
本発明によれば、機関始動時のオーバーラップ期間を機関始動時の運転状態、例えば冷却水温や吸気バルブ温度等に基づいて設定するので、不必要に長いオーバーラップ期間を設定することがなくなり、これにより燃焼性の悪化を防止しつつHC排出量の低減を図ることができる。
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態を適用するシステムの概略図である。1はエンジン、2はエンジン1の吸気ポート4に接続する吸気通路、3はエンジン1の排気ポートに接続する排気通路である。
エンジン1のシリンダ23にはピストン19が摺動可能に収められており、このピストン19はコネクティングロッド20を介して図示しないクランクシャフトに接続されている。吸気ポート4及び排気ポート5のシリンダ23側の開口部には、吸気バルブ10、排気バルブ11がそれぞれ備えられ、これらの吸気バルブ10、排気バルブ11はピストン19の摺動と関連付けて開閉動作を行う。排気バルブ11は図示しないクランクシャフトと同期して回転する排気カムシャフト13によって駆動される。吸気バルブ10は排気バルブ11と同様に吸気カムシャフト(図示せず)により駆動され、この吸気カムシャフト10には吸気バルブ10の開閉時期、すなわちバルブタイミングを可変に調節する可変動弁機構(以下、VTCという)12が備えられる。
なお、VTC12は少なくとも吸気バルブ10の開時期を調節することができればよく、例えばタイミングチェーン等を掛け回すために吸気カムシャフト(図示せず)の端部に備えられるカムプーリー(図示せず)を、吸気カムシャフト(図示せず)の軸周りに回転させることによって吸気弁開閉時期とクランクシャフト角度との関係を変化させる方法等、公知の機構と同様の機構を用いる。以下、VTC12の初期状態からカムプーリーを吸気カムシャフトに対して軸周りに回転させたときの回転角度を「ひねり角度」という。そして、ひねり角度は吸気バルブ10の開時期を進角させる方向を大、遅角させる方向を小とする。すなわち、オーバーラップ期間を長くするためにはひねり角度を大きくすることになる。
また、シリンダ内の混合気に火花点火するための点火栓21が、燃焼室24に臨むように備えられる。
吸気通路2には、吸入空気量を検出するエアフローメータ8、吸入空気量を調節するスロットルバルブ7、吸入空気をエンジン1の各気筒に分配するためのコレクタタンク6、吸気ポート4に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁14が上流側から順に備えられる。なお、本実施形態のスロットルバルブ7は電子制御により開閉制御されるいわゆる電子制御スロットルであるが、これに限られるわけではない。
排気通路3には、排気の空燃比を検出する空燃比センサ9、排気を浄化するための排気浄化触媒22が上流側から順に備えられる。
エアフローメータ8及び空燃比センサ9の検出値はコントロールユニット15に読み込まれる。コントロールユニット15には、この他にもエンジン1の運転状態検出手段として冷却水温を検出する水温センサ18、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ16、エンジン1の回転数を検出するためのクランク角を検出するクランク角センサ17の各検出信号が読み込まれ、これらの検出信号に基づいて要求吸入空気量や目標空燃比等の演算を行い、スロットルバルブ7の開度や燃料噴射量の制御、点火時期設定手段として点火時期の進角量の制御、オーバーラップ期間設定手段として後述するオーバーラップ期間の設定およびバルブタイミングの制御等を行う。
次に、バルブタイミング及び点火時期の制御について図2を参照して説明する。図2はコントロールユニット15が実行するバルブタイミング制御及び点火時期制御のための制御ルーチンである。以下、制御ルーチンのステップにしたがって説明する。
ステップS101では、エンジン1始動時の冷却水温TWINTを水温センサ18の検出信号に基づいて読み込む。
ステップS102では冷却水温TWINTが所定温度Kより低いか否かの判定を行う。
所定温度Kより高い場合はステップS111に進む。所定温度Kより低い場合にはステップS103に進み、VTCひねり角度の初期値としてのVTC目標位置を設定する。なお、所定温度Kは冷間始動を判断するための温度であり、予め設定しておく。
VTC目標位置とは、吸気バルブ10が目標とするクランクシャフト角度で開くようにするためのVTCのひねり角度であり、始動時水温TWINTに応じてマップ検索等により設定する。
なお、冷却水温TWINTが低いほどVTC目標ひねり角度は大きく設定する。これは、冷却水温が低い状態ほど、前述した吸気ポート4に吹き返す排気ガスによる燃料の気化促進効果が大きいからである。
VTCイニシャル位置とは、VTC機構12の初期状態、すなわちひねり角度がゼロの状態である。また、所定温度Kは暖機終了温度と略等しい温度を設定する。
ステップS104では現在の冷却水温TWNを読み込む。
ステップS105では読み込んだ冷却水温TWNが始動時冷却水温TWINTより高いか否かの判定、すなわち冷却水温が上昇し始めているか否かの判定を行う。現在の冷却水温TWNの方が高い場合にはステップS106及びステップS107に進み、そうでない場合にはステップS104に戻る。
ステップS106ではひねり角度の算出を行う。具体的には、予め冷却水温とひねり角度の関係を例えば図3に示すようにマップ化しておき、これをステップS104で読み込んだ冷却水温TWNで検索することによって求める。
なお、マップは冷却水温TWNが低い状態ではひねり角度が大きく、所定温度以上になると温度上昇に伴ってひねり角度が徐々に小さくなっている。これは以下の理由による。
冷却水温が低いほど吸気ポート4の壁面温度も低い状態なのでポート壁流が発生し易く、これによりシリンダ23内に流入する燃料量が燃料噴射弁14からの噴射量に比べて減少する。そこで、冷間始動時には、ポート壁流が発生した場合にもシリンダ23内に必要な燃料量が流入するように燃料噴射量を増量補正している。ところが、燃料には重軽質差があるため、例えば重質燃料を基準にして増量補正値を設定した場合に軽質燃料を使用すると、ポート壁流量が重質燃料よりも少なくなり、より多くの燃料がシリンダ23内に流入してシリンダ23内の空燃比が過剰にリッチとなってしまう。逆に軽質燃料を基準にして増量補正値を設定した場合に重質燃料を使用すると、シリンダ23内の空燃比が過剰にリーンになってしまう。そこで、必要な燃料量が確実にシリンダ23内に流入するように増量補正値は重質燃料を基準として設定されており、特に軽質燃料を使用したときには未燃HCの排出量が多くなっていた。
ところで、オーバーラップ期間を長くすると、排気ガスが吸気ポート4へ吹き返して吸気ポート4内の燃料の気化を促進するので、燃料の重軽質差によるポート壁流量の差が小さくなる。すなわち、始動時の燃料噴射量の増量補正値を小さくすることができ、これにより未燃HC排出量を低減することができる。そこで、ポート壁流が発生し易い低温時にはオーバーラップ期間をより長くすることによって燃料の気化促進を図ることとしている。
一方、冷却水温が上昇すると吸気ポート4の壁面や吸気バルブ10の温度も上昇するので、吸気ポート4内で燃料が気化し易くなる。このため、排気ガスの吹き返しによる燃料の気化促進の効果が小さくなる。そこで本実施形態では、冷却水温の上昇とともにオーバーラップ期間を徐々に短くする。
制御ルーチンの説明に戻る。
ステップS107では、ステップS106で算出したひねり角度をVTC目標位置として設定する。
ステップS108では、点火時期の算出を行う。具体的にはステップS106と同様に冷却水温TWNと点火時期の関係を図4に示すようにマップ化しておき、このマップを検索することにより求める。なお、マップは冷却水温TWNが低いほど点火時期が進角側になるように設定する。これは、以下の理由による。
VTCひねり角度を大きくしてオーバーラップ期間を長くすると、前述したように排気ガスが吸気ポート4に吹き返す。この吹き返した排気ガスが次サイクルでシリンダ23に流入するので、オーバラップ期間が長いほどシリンダ23内の残ガス率が大きくなって燃焼安定性が悪化する。そこで、燃焼の安定限界を守るために点火時期を進角させる必要がある。しかし、点火時期を進角させると排気温度が低下するので、排気浄化触媒22の転換効率が低下し、車外へのHC排出量(以下、テールパイプHC排出量という)が増加してしまう。そこで、燃焼安定性が低い低温では点火時期をより進角することによって燃焼安定性を確保することができ、温度上昇によって燃焼安定性も上昇した状態では、点火時期を徐々に遅角させて排気温度を上昇させることによって、排気浄化触媒22の転換効率を向上させることができる。
制御ルーチンの説明に戻る。ステップS109では、ステップS108で算出した点火時期を目標点火時期として設定する。
ステップS107、S109で目標ひねり角度及び目標点火時期を設定したら、ステップS110に進み、冷却水温TWNが予め設定した所定温度K1に達したか否かの判定を行う。なお、所定温度K1は暖機終了とみなすことができる温度を設定する。
冷却水温TWNが所定温度K1より低い場合はステップS104に戻り、上記のステップS104〜S109を繰り返す。所定温度K1に達した場合はステップS111に進み、ひねり角度及び点火時期の制御を通常運転時の制御モードに切り換える。
上記のように、冷間始動時であると判定した場合には、冷間始動時用のVTCひねり角度及びこのVTCひねり角度に応じた点火時期を設定し、冷却水温の上昇とともにVTCひねり角度を徐々に小さくし、これに伴って点火時期も徐々に遅角させる。点火時期を遅角させることにより排気温度が上昇するので、排気浄化触媒22の早期活性化を図ることができる。そして暖機運転が終了したら通常の制御に切り換える。
本実施形態の制御を実行した場合の効果について、冷却水温、オーバーラップ期間、点火時期、排気温度のタイムチャートである図5を参照して説明する。
図5において、実線は本実施形態の制御を実行した場合、破線は従来と同様に始動時に設定したオーバーラップ期間及び点火時期を暖機終了まで保持する制御を実行した場合を表す。
t0でエンジン1を始動し、そのときの冷却水温TWINTに基づいてオーバーラップ期間(VTCひねり角度)の初期値を設定する。この初期値は冷却水温が低いほど大きく設定する。
その後t1で冷却水温が上昇し始めたら、オーバーラップ期間は徐々に短く、点火時期は徐々に遅角するよう制御する。t3で冷却水温が所定温度K1に達して暖機運転が終了したら、通常運転時用の制御に切り換わる。
このようにオーバーラップ期間及び点火時期を冷却水温に応じて変化させることにより、従来制御に比べて排気浄化触媒22の温度上昇は早くなり、暖機運転終了前のt2で排気浄化触媒22の温度が活性化温度に達する。これにより、従来制御に比べてテールパイプHC排出量を低減することができる。
以上により本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
エンジン1の吸気バルブ10と排気バルブ11とのオーバーラップ期間を可変に調節可能なVTC12と、エンジン1の冷却水温を検出する水温センサ18と、オーバーラップ期間を設定するコントロールユニット15とを備え、コントロールユニット15はエンジン1始動時のオーバーラップ期間をエンジン1始動時の冷却水温に基づいて設定するので、エンジン1の状態に適したオーバーラップ期間を設定することができる。これにより、排気行程終期に高温の既燃ガスが吸気ポート4に吹き返すことによる燃料の気化促進や、排気行程終期に発生するHCを吸気ポート4へ噴き返すことによるHC排出量低減を図りつつ、オーバーラップ期間が不必要に長くなって燃焼性が悪化することを防止することができ、結果としてエンジン1始動時のHC排出量を低減することができる。
エンジン1が始動してから暖機運転が終了するまでは冷却水温に基づくオーバーラップ期間の設定を繰り返し実行するので、冷却水温の上昇に応じて適切なオーバーラップ期間を設定し、燃焼安定性を確保することができる。
オーバーラップ期間は冷却水温が低いほど長く設定するので、吸気ポート4壁面や吸気バルブ10の温度が低く壁流が発生し易い状態ほど高温の既燃ガスの吹き返し量が増加して、燃料の気化を促進することができる。
冷間始動時に冷却水温に基づいて点火時期を調節するので、オーバーラップ期間を長くした場合にも燃焼性の悪化を防止することができる。
エンジン1の暖機運転が終了するまで冷却水温に基づく点火時期の設定を繰り返し実行するので、冷却水温の上昇に応じた適切な点火時期を設定することができ、燃焼性を確保しつつ、点火時期の遅角化によって排気温度を上昇させて排気浄化触媒22の早期活性化を図ることができる。
次に第2実施形態について説明する。本実施形態はシステムの構成は図1と同様であるが、冷間始動時の点火時期の制御が第1実施形態と異なる。
ここで、本実施形態のVTCひねり角度及び点火時期の制御について図6を参照して説明する。図6は本実施形態の制御ルーチンを表しており、点火時期の変更量を実際のVTCひねり角度(センサを用いて検出する)に基づいて設定する点が第1実施形態と異なる。以下、制御ルーチンのステップにしたがって説明する。
ステップS201では、エンジン回転数N、アクセル開度APO、冷却水温TWN、VTCひねり角度VTCN(センサ検出値)を読み込む。
ステップS202では、現在クランキング中であるか否かを判定する。クランキング中であると判定された場合はステップS203に進み、クランキング中でないと判定した場合にはステップS206に進む。
ステップS203では、ステップS201で読み込んだ冷却水温TWNを始動時水温TWINTとして設定する。
ステップS204ではエンジン1始動用のVTCひねり角度の制御を行う。具体的には、VTC目標ひねり角度をVTC12の初期状態、例えば最遅角位置VTCminに設定する。
ステップS205では始動時用の点火時期制御を行う。具体的には、エンジン回転数Nと水温TWNに基づいて、エンジン始動に適した点火時期ADVを算出する。
ステップS202でクランキング中でない、すなわちエンジン1が自律回転していると判定された場合には、ステップS206でアクセル開度APOがゼロであるか否かの判定を行う。アクセル開度が略全閉である場合はステップS207に進み、略全閉でない場合にはステップS212に進む。なお、アクセル開度センサの他にアイドル運転時にONとなるアイドルスイッチを備える場合には、アイドルスイッチの状態に基づいて判定してもよい。
ステップS207では、始動時水温TWINTが所定温度Kより低いか否かの判定を行う。所定温度Kは第1実施形態と同様に冷間始動であることを判定するための温度であり、予め設定しておく。
始動時水温TWINTが所定温度Kより低い場合はステップS208に進み、高い場合はステップS212に進む。
ステップS208では、ステップS201で読み込んだ冷却水温TWNが所定温度K1より低いか否かの判定を行う。所定温度K1は所定温度K付近の温度であって所定温度Kよりも高い温度を設定する。判定の結果所定温度K1より低温であると判定された場合はステップS209に進み、所定温度K1より高温であると判定された場合はステップS212に進む。
ステップS209では、冷却水温TWNに基づいてVTC目標ひねり角度VTCTRGを設定する。具体的には、第1実施形態でも用いた図3に示すようなVTC目標ひねり角度VTCTRGを冷却水温TWNに割り付けたマップを予め作成しておき、このマップをステップS201で読み込んだ冷却水温TWNで検索することによってVTC目標ひねり角度VTCTRGを求める。
ステップS210では、現在のVTCひねり角度VTCNに基づいて点火時期補正値VTCADVを算出する。具体的には点火時期補正をVTCひねり角度VTCNに割り付けたマップを予め作成しておき、このマップを現在のVTCひねり角度で検索することによって点火時期補正値VTCADVを求める。ここで用いるマップは図7に示すように、VTCひねり角度が大きくなるほど、点火時期補正値VTCADVも大きくなるように設定されている。これは、VTCひねり角度が大きくなるほどオーバーラップ期間が長くなり、これによってシリンダ23内の残ガス率が高くなり、燃焼安定性が悪化するので、燃焼安定性確保のために点火時期を進角する必要があるからである。
ステップS211では、ステップS210で求めた点火時期補正値VTCADVと予め設定した冷機時の点火時期基本値ADVbとを用いて点火時期ADVを設定する。具体的には下式(1)により算出する。
ADV=ADVb+VTCADV ・・・(1)
なお、点火時期基本値ADVbは、VTC12が初期値にある状態において、燃焼安定性を確保しつつ排気温度を最大に高めることができる点火時期であり、例えばエンジン回転数Nと冷却水温TWNとに基づいて設定する。
ステップS212ではVTC12の制御を通常運転時用の制御に切り換える。通常運転時用の制御とは、具体的にはエンジン1の運転状態、例えばエンジン回転数やエンジン負荷等に応じてVTC目標ひねり角度を設定したマップを予め作成しておき、現在の運転状態でこのマップを検索してVTCひねり角度を設定する制御である。
ステップS213では、点火時期ADVの制御を通常運転時用の制御に切り換える。通常運転時用の制御とは、具体的にはVTC12制御用のマップと同様に、エンジン1の運転状態、例えばエンジン回転数やエンジン負荷等に応じて点火時期を設定したマップを予め作成しておき、現在の運転状態でこのマップを検索する制御である。なお、制御マップ上の点火時期ADVは、燃焼安定性を確保しつつ出力燃費を最大限に高められる点火時期とする。
上記のステップS210〜S211のように現在のVTCひねり角度VTCNに基づいて点火時期補正値VTCADVを設定し、この補正値に基づいて点火時期を補正することにより、VTC12の制御遅れがあった場合にも適切な点火時期を設定することができる。
例えば、VTC12が油圧駆動である場合、本制御ルーチンで算出したVTC目標ひねり位置を実現するようにVTC12の油圧制御機構に指令信号を送り、点火時期ADVに応じて点火信号を送るが、エンジン1が冷機運転時には作動油の粘度が高く、VTC12の制御応答速度が低くなるので、VTC目標ひねり角度VTCTRGを設定した後、実際のVTCひねり角度が目標値になるまでの遅れが生じ易くなる。この場合、現在のVTCひねり角度VTCNとは独立に、例えばVTC目標ひねり角度VTCTRG等に基づいて点火時期ADVを設定すると、実際のオーバーラップ期間に対して点火時期が過剰に進角もしくは遅角した状態となる。実際には、冷却水温の上昇に伴ってVTCひねり角度を変更する場合の制御応答遅れはほぼ無視できるが、制御開始直後にVTCひねり角度を初期状態から冷却水温に応じた角度に設定する場合には、大きな制御応答遅れが生じる可能性がある。
このように制御応答遅れが生じた場合に、実際のオーバーラップ期間に対して点火時期が適切に設定されていないと、排気温度の上昇が遅れたり燃焼安定性を確保できなくなる等の問題が生じる。
ところが、現在のVTCひねり角度に基づいて点火時期を補正することにより、VTCひねり角度を大きく、すなわちオーバーラップ期間を長くすることによって低下した燃焼安定性を最低限の点火時期補正で補うことが可能となる。
以上により本実施形態では、第1実施形態と同様の効果に加え、さらに、現在のVTCひねり角度に基づいて点火時期を補正するので、VTC12の制御応答遅れが生じた場合にも、適切な点火時期を設定することができ、これにより燃焼安定性を確保することができる。
なお、冷却水温と吸気バルブ10の温度との関係を予め求めておき、検出した冷却水温から吸気バルブ10の温度を算出し、この吸気バルブ10の温度を冷却水温TWINTに代えて用いてもよい。
また、第1、第2実施形態でオーバーラップ期間及び点火時期を変更すると、エンジン1の出力が変化するが、この変化分はアイドル運転時に実行するアイドル回転フィードバック制御によるスロットル開度調整により相殺される。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
本発明は、冷間始動時の排気性能を向上させるための制御装置に適用可能である。
第1実施形態を適用するシステムの概略図である。 第1実施形態の制御ルーチンを表す図である。 吸気弁開時期と冷却水温との関係を表す図である。 点火時期と冷却水温との関係を表す図である。 第1実施形態を実行した場合のタイムチャートである。 第2実施形態の制御ルーチンを表す図である。 点火時期補正値とVTCひねり角度との関係を表す図である。
符号の説明
1 エンジン
2 吸気通路
3 排気通路
4 吸気ポート
5 排気ポート
6 コレクタタンク
7 スロットルバルブ
8 エアフローセンサ
9 空燃比センサ
10 吸気バルブ
11 排気バルブ
12 可変動弁機構
13 排気カムシャフト
14 燃料噴射弁
15 コントロールユニット
16 アクセル開度センサ
17 クランク角センサ
18 水温センサ
19 ピストン
20 コネクティングロッド
21 点火栓
22 排気浄化触媒

Claims (8)

  1. 内燃機関の吸気バルブと排気バルブのオーバーラップ期間を連続的に可変調節可能な可変動弁機構と、
    前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    前記可変動弁機構を介してオーバーラップ期間を設定するオーバーラップ期間設定手段と、を備え、
    前記オーバーラップ期間設定手段は、前記内燃機関始動時の前記オーバーラップ期間を、前記内燃機関の始動に伴って変化する前記運転状態検出手段の検出値に基づいて設定することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 前記オーバーラップ期間設定手段は、前記内燃機関が始動してから暖機運転が終了するまでは前記運転状態検出手段をパラメータとして算出する前記オーバーラップ期間を所定の周期で繰り返し更新する請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  3. 前記運転状態検出手段は前記運転状態として冷却水温を検出する請求項1または2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  4. 前記運転状態検出手段は前記運転状態として前記吸気バルブの温度を検出する請求項1または2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  5. 前記オーバーラップ期間設定手段は、前記冷却水温または前記吸気バルブの温度が低いほど長い前記オーバーラップ期間を設定する請求項3または4に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  6. 前記内燃機関の点火時期を前記運転状態検出手段の検出値に基づいて設定する点火時期設定手段を備え、
    前記内燃機関の冷間始動時に、前記点火時期設定手段は始動時の前記運転状態検出手段の検出値に基づいて前記点火時期を設定する請求項1〜5のいずれか一つに記載の内燃機関の可変動弁装置。
  7. 前記点火時期設定手段は、前記内燃機関の暖機運転が終了するまでは前記運転状態検出手段の検出値に基づく前記点火時期の設定を所定の周期で繰り返し更新する請求項6に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  8. 実際のオーバーラップ期間を検出する手段を備え、
    前記内燃機関の点火時期を前記実際のオーバーラップ期間に基づいて設定する点火時期設定手段を備える請求項6または7に記載の内燃機関の可変動弁装置。
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