JP2006328544A - 高強度冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】連続焼鈍によって強度のバラツキが少ない高強度冷延鋼板を安定して製造することのできる方法を提供する。
【解決手段】焼入れ手段を有する連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を製造する方法において、予め鋼板の板厚、炭素含有量、リン含有量、焼入れ開始温度、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度と引張強度の関係を求めておき、対象鋼板の板厚、炭素含有量、リン含有量、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度を考慮して、目標引張強度に応じて焼入れ開始温度を算出し、求めた焼入れ開始温度で焼入れすることを特徴とする高強度冷延鋼板の製造方法。
【選択図】図2
【解決手段】焼入れ手段を有する連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を製造する方法において、予め鋼板の板厚、炭素含有量、リン含有量、焼入れ開始温度、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度と引張強度の関係を求めておき、対象鋼板の板厚、炭素含有量、リン含有量、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度を考慮して、目標引張強度に応じて焼入れ開始温度を算出し、求めた焼入れ開始温度で焼入れすることを特徴とする高強度冷延鋼板の製造方法。
【選択図】図2
Description
本発明は、焼入れ手段を有する連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を安定的に製造する方法に関するものである。
以下の説明において、高強度冷延鋼板(ハイテン)とは連続焼鈍設備を用いて製造される引張強度約50〜150kgf/mm2クラスの冷延鋼板をいう。
冷延鋼板を高強度化するためにはマルテンサイトの体積率を高めることが有効である。すなわち、鋼板をフェライト+オーステナイトの混合領域あるいはオーステナイト単相域まで加熱し、次いでその温度から焼入れることによりフェライト+マルテンサイトの混合組織またはマルテンサイト単相組織を得ることにより高強度化を行う。しかし、マルテンサイト組織を利用した高強度冷延鋼板は、マルテンサイト相を適量にコントロールすることが難しいためコイル内やコイル間の強度変動が大きく、所望の強度を有する鋼板を安定して製造できないという問題がある。
コイル内やコイル間の強度変動を小さくする方法として、熱延鋼板の製造においてはフィードバック制御および下工程に対するフィードフォーワード制御の概念が提案されている(非特許文献1)。冷延高強度鋼板の製造においても、特許文献1には、水焼入れ方式の連続焼鈍法により高強度冷延鋼板を製造するに際し、強度[TS](kgf/mm2)、板厚[t](mm)、炭素当量[Ceq](mass%)、焼入れ開始温度[TQ](℃)の間に成り立つ下記の関係式(3)において、実測の出鋼成分から計算した炭素当量、実測の板厚および目標の強度を(3)式に代入して求まる焼入れ開始温度〜(前記焼入れ開始温度+50℃)の範囲内の温度から水焼入れする強度変動の極めて小さい60kgf/mm2級高強度冷延鋼板の製造方法が示されている。
[TS]=−3.5×[t]+343×[Ceq]+0.11×[TQ]−62
…(3)
なお、下記の非特許文献2は、後述する溶鋼成分のIPC発光分析法などの測定法に関する。
西山記念講座「第131・132回鉄鋼材料の材質予測・制御技術の現状と将来」(日本鉄鋼協会編) 「ふぇらむ」Vo.6(2001)No.7,523 特開2000−192137号公報
[TS]=−3.5×[t]+343×[Ceq]+0.11×[TQ]−62
…(3)
なお、下記の非特許文献2は、後述する溶鋼成分のIPC発光分析法などの測定法に関する。
西山記念講座「第131・132回鉄鋼材料の材質予測・制御技術の現状と将来」(日本鉄鋼協会編) 「ふぇらむ」Vo.6(2001)No.7,523
高強度冷延鋼板は最近、顧客において車のシートフレームやセンターピラー補強材等の複雑な形状にプレス成形して使用されることが多く、強度にバラツキが生じているとスプリングバック等による戻り量が異なって、製品として使用できない場合もあり、その強度レンジに対し顧客の要求が益々厳しくなってきている。
具体的にはスプリングバックの観点から例えば60Kハイテン(引張強度が60kgf/mm2)においては引張強度の変動を2K(2kgf/mm2)以下程度に管理することが要望されている。
そこで、特許文献1に示された方法に従って60Kハイテンの操業条件を設定し、水焼入れ方式の連続焼鈍法により高強度冷延鋼板を製造したところ、上記(3)式に、実測の出鋼成分から計算した炭素当量、実測の板厚、実測の焼入れ開始温度を代入して予め求めておいた引張強度(kgf/mm2)を予測TSとし、操業後に材料検査を実施して得た強度レベルを材検TSとして両者の相関を調べた。その結果を図3に示す。
図3によれば、標準偏差σはσ=1.5(kgf/mm2)となり、特許文献1に示された方法では、例えば60Kハイテンの強度変動を3σ(全体の分散の99.7%を示す値)で表すと3σ=4.5(kgf/mm2)となり、引張強度の変動を2kgf/mm2以下程度に管理できないことが判った。
そこで本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、連続焼鈍によって強度のバラツキが少ない高強度冷延鋼板を安定して製造することのできる方法を提供することにある。
本発明者等は、連続焼鈍によりより強度のバラツキが少ない高強度冷延鋼板を安定して製造することのできる方法を見出すべく検討を行った。
その結果、従来のフィードフォーワード制御では単に、出鋼成分、板厚および目標強度から焼入れ開始温度を決定していたが、それでは製品材質のバラツキ量が目標の管理範囲に対して十分ではなかった。そこでさらに、焼入れ停止温度、焼入れ後の焼戻し温度を考慮して、焼入れ開始温度の制御を行うことにより引張強度制御の安定性が極めて向上することを見出した。
さらに、従来技術では、鋼の化学成分として出鋼成分を用いて制御を行っていた(特許文献1)。通常、出鋼成分は取鍋またはタンディッシュからサンプリングした溶鋼をIPC発光分析法などで測定される(非特許文献2)。しかしながら、このように測定された化学成分は必ずしも、製品コイルの化学成分を正確に反映しておらず、その結果、この値を用いて冷延鋼板製造においてフィードフォーワード制御を実施したとしても、高精度な制御が実現されなかった。成分分析が正確に行えない原因として、分析方法が有する精度の問題と分析サンプルが最終製品の成分を反映していないことが考えられた。そこで、本発明では製品での実績成分を高精度で分析することとし、その効果で飛躍的に材質制御性が向上することを見出した。ここで分析片のサンプリングは製品の化学成分を反映しておれば、鋼板製造工程のどの段階で採取してもよい。また、分析精度は、Cは50PPM、Pは50PPM以下が好ましい(ただし、ここでは室内分析における標準偏差の2倍を分析精度とする)。このレベルの分析精度が得られる分析方法として、Cでは燃焼赤外線吸収法、PではIPC発光分析法などがある。
上記はすなわち、焼入れ手段を有する連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を製造する方法において、予め鋼板の板厚、50PPM以下の精度で実測した炭素含有量、50PPM以下の精度で実測したリン含有量、焼入れ開始温度、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度と引張強度の関係を求めておき、対象鋼板の板厚、50PPM以下の精度で実測した炭素含有量、50PPM以下の精度で実測したリン含有量、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度を考慮して、目標引張強度に応じて焼入れ開始温度を算出し、求めた焼入れ開始温度で焼入れすることにより強度のバラツキの少ない高強度冷延鋼板を製造できることを見出したということである。
具体的には、引張強度の変動をαkgf/mm2以下程度に納めるために、下記(1)式を満足する焼入れ開始温度で焼入れすれば高強度冷延鋼板を強度のバラツキの少ない状態で安定して製造することが可能である。
ここで、下記(1)式は鋼板の目標引張強度[TS](kgf/mm2)と、焼入れ開始温度[TQ](℃)と、炭素含有量[C](mass%)およびリン含有量[P](mass%)と、焼入れ停止温度[T](℃)と、焼入れ後の焼戻し温度[OA](℃)と、鋼板の板厚[t](mm)との間で成り立つ関係式である。
a×([TS]−α)+b×[C]+c×[P]+d×[T]+e×[t]+f
×[OA]+g≦[TQ]≦a×([TS]+α)+b×[C]+c×[P]+
d×[T]+e×[t]+f×[OA]+g …(1)
ここで、a、b、c、d、e、f、g:強度レベルに依存する定数、α:目標引張強度の変動許容値(kgf/mm2)
本発明式(1)に炭素当量ではなく炭素含有量[C](mass%)およびリン含有量[P](mass%)のみを考慮する理由は、連続焼鈍法による高強度冷延鋼板を製造するに際し、Si、Mn、Sなどの添加元素の変動に起因した引張強度の変動は小さく、製鋼段階で成分変動の制御の難しいC、P含有量のみを関係式に用いた方が、工業的には迅速に実施可能であるからである。ただし、さらに引張強度の変動を抑制するためには、適宜C、P以外の添加元素を考慮した焼入れ開始温度の決定を実施してもよい。
a×([TS]−α)+b×[C]+c×[P]+d×[T]+e×[t]+f
×[OA]+g≦[TQ]≦a×([TS]+α)+b×[C]+c×[P]+
d×[T]+e×[t]+f×[OA]+g …(1)
ここで、a、b、c、d、e、f、g:強度レベルに依存する定数、α:目標引張強度の変動許容値(kgf/mm2)
本発明式(1)に炭素当量ではなく炭素含有量[C](mass%)およびリン含有量[P](mass%)のみを考慮する理由は、連続焼鈍法による高強度冷延鋼板を製造するに際し、Si、Mn、Sなどの添加元素の変動に起因した引張強度の変動は小さく、製鋼段階で成分変動の制御の難しいC、P含有量のみを関係式に用いた方が、工業的には迅速に実施可能であるからである。ただし、さらに引張強度の変動を抑制するためには、適宜C、P以外の添加元素を考慮した焼入れ開始温度の決定を実施してもよい。
本発明の高強度冷延鋼板の製造方法はこのような知見に基づきなされたもので、以下のような特徴を有する。
(1)焼入れ手段を有する連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を製造する方法において、予め鋼板の板厚、炭素含有量、リン含有量、焼入れ開始温度、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度と引張強度の関係を求めておき、対象鋼板の板厚、炭素含有量、リン含有量、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度を考慮して、目標引張強度に応じて焼入れ開始温度を算出し、求めた焼入れ開始温度で焼入れすることを特徴とする高強度冷延鋼板の製造方法。
(2)焼入れ手段を有する連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を製造する方法において、予め鋼板の板厚、50PPM以下の精度で実測した炭素含有量、50PPM以下の精度で実測したリン含有量、焼入れ開始温度、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度と引張強度の関係を求めておき、対象鋼板の板厚、50PPM以下の精度で実測した炭素含有量、50PPM以下の精度で実測したリン含有量、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度を考慮して、目標引張強度に応じて焼入れ開始温度を算出し、求めた焼入れ開始温度で焼入れすることを特徴とする高強度冷延鋼板の製造方法。
(3)焼入れ手段を有する連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を製造する方法において、鋼板の目標引張強度の許容範囲に応じて焼入れ開始温度を算出するに際し、対象鋼板の目標引張強度[TS](kgf/mm2)、目標引張強度の変動許容値[α](kgf/mm2)、鋼板の板厚[t](mm)、実測の炭素含有量[C](mass%)、実測のリン含有量[P](mass%)、焼入れ停止温度[T](℃)およびあらかじめ設定する焼入れ後の焼戻し温度[OA](℃)の間に成り立つ下記の関係式(1)を満足する焼入れ開始温度[TQ](℃)で焼入れすることを特徴とする高強度冷延鋼板の製造方法。
a×([TS]−α)+b×[C]+c×[P]+d×[T]+e×[t]+f
×[OA]+g≦[TQ]≦a×([TS]+α)+b×[C]+c×[P]+
d×[T]+e×[t]+f×[OA]+g …(1)
ここで、a、b、c、d、e、f、g:強度レベルに依存する定数
a×([TS]−α)+b×[C]+c×[P]+d×[T]+e×[t]+f
×[OA]+g≦[TQ]≦a×([TS]+α)+b×[C]+c×[P]+
d×[T]+e×[t]+f×[OA]+g …(1)
ここで、a、b、c、d、e、f、g:強度レベルに依存する定数
以上説明したように本発明によれば、焼入れ手段および焼戻し手段を備えた連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を製造する方法において、連続焼鈍による高強度冷延鋼板をバラツキの極少ない状態で安定して製造することができるようになる。
高強度冷延鋼板を得るにはマルテンサイトの体積率を高めることが有効であり、これを達成するには、焼入れ手段を含む連続焼鈍設備を利用することが必要である。ただしここで、焼入れ手段とは冷却速度毎秒50℃以上のことをいい、そのためには、水焼入れ法が最も好ましく、その他にガスジェット冷却法、ロール冷却法、気水冷却法等、またはこれらの組み合わせを用いる方法があり、本発明法は、これらのいずれの方法も適用可能である。
本発明は、焼入れ手段を有する連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を製造する方法において、予め鋼板の板厚、炭素含有量、リン含有量、焼入れ開始温度、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度と引張強度の関係を求めておき、対象鋼板の板厚、炭素含有量、リン含有量、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度を考慮して、目標引張強度に応じて焼入れ開始温度を算出し、求めた焼入れ開始温度で焼入れする高強度冷延鋼板の製造方法である。
ここで、炭素含有量とリン含有量については50PPM以下の精度で実測することが好ましい。
具体的には、焼入れ手段を有する連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を製造する方法において、鋼板の目標引張強度の許容範囲に応じて下記(1)式を満足する焼入れ開始温度で焼入れする高強度冷延鋼板の製造方法である。
a×([TS]−α)+b×[C]+c×[P]+d×[T]+e×[t]+f
×[OA]+g≦[TQ]≦a×([TS]+α)+b×[C]+c×[P]+
d×[T]+e×[t]+f×[OA]+g…(1)
ここで、a、b、c、d、e、f、g:強度レベルに依存する定数、[TS]:目標引張強度(kgf/mm2)、[TQ]:焼入れ開始温度(℃)、[C]:炭素含有量(mass%)、[P]:リン含有量(mass%)、[T]:焼入れ停止温度(℃)、[OA]:焼入れ後の焼戻し温度(℃)、[t]:鋼板の板厚(mm)、α:目標引張強度の変動許容値(kgf/mm2)
次に、50〜70kgf/mm2の強度レベルでは、多くの試験結果から重回帰分析を行って強度レベルに依存する定数であるa、b、c、d、e、f、gを決定し、目標引張強度の変動許容値α(kgf/mm2)をα=2kgf/mm2として、式(1)を下式(2)で表し、下記(2)式を満足する焼入れ開始温度[TQ](℃)で焼入れする高強度冷延鋼板の製造方法である。
(([TS]−2)−166.1×[C]−74.4×[P]+0.108×[T
]+2.02×[t]+0.039×[OA]−17.1)/0.0628≦[
TQ]≦(([TS]+2)−166.1×[C]−74.4×[P]+0.10
8×[T]+2.02×[t]+0.039×[OA]−17.1)/0.06
28
…(2)
ここで、[TS]:目標引張強度(kgf/mm2)、[TQ]:焼入れ開始温度(℃)、[C]:炭素含有量(mass%)、[P]:リン含有量(mass%)、[T]:焼入れ停止温度(℃)、[OA]:焼入れ後の焼戻し温度(℃)、[t]:鋼板の板厚(mm)
上記(2)式では、鋼板の目標引張強度[TS](kgf/mm2)の許容変動範囲を、例えば60±2kgf/mm2とした。
a×([TS]−α)+b×[C]+c×[P]+d×[T]+e×[t]+f
×[OA]+g≦[TQ]≦a×([TS]+α)+b×[C]+c×[P]+
d×[T]+e×[t]+f×[OA]+g…(1)
ここで、a、b、c、d、e、f、g:強度レベルに依存する定数、[TS]:目標引張強度(kgf/mm2)、[TQ]:焼入れ開始温度(℃)、[C]:炭素含有量(mass%)、[P]:リン含有量(mass%)、[T]:焼入れ停止温度(℃)、[OA]:焼入れ後の焼戻し温度(℃)、[t]:鋼板の板厚(mm)、α:目標引張強度の変動許容値(kgf/mm2)
次に、50〜70kgf/mm2の強度レベルでは、多くの試験結果から重回帰分析を行って強度レベルに依存する定数であるa、b、c、d、e、f、gを決定し、目標引張強度の変動許容値α(kgf/mm2)をα=2kgf/mm2として、式(1)を下式(2)で表し、下記(2)式を満足する焼入れ開始温度[TQ](℃)で焼入れする高強度冷延鋼板の製造方法である。
(([TS]−2)−166.1×[C]−74.4×[P]+0.108×[T
]+2.02×[t]+0.039×[OA]−17.1)/0.0628≦[
TQ]≦(([TS]+2)−166.1×[C]−74.4×[P]+0.10
8×[T]+2.02×[t]+0.039×[OA]−17.1)/0.06
28
…(2)
ここで、[TS]:目標引張強度(kgf/mm2)、[TQ]:焼入れ開始温度(℃)、[C]:炭素含有量(mass%)、[P]:リン含有量(mass%)、[T]:焼入れ停止温度(℃)、[OA]:焼入れ後の焼戻し温度(℃)、[t]:鋼板の板厚(mm)
上記(2)式では、鋼板の目標引張強度[TS](kgf/mm2)の許容変動範囲を、例えば60±2kgf/mm2とした。
上記(2)式に従って60Kハイテンの操業条件を設定し、水焼入れ方式の連続焼鈍法により高強度冷延鋼板を製造した。上記発明式(2)式に、実測の炭素含有量[C](mass%)およびリン含有量[P](mass%)と、焼入れ停止温度[T](℃)と、実測の焼入れ後の焼戻し温度[OA](℃)と、実測の鋼板の板厚[t](mm)と、実測の焼入れ開始温度[TQ](℃)を代入して予め求めておいた引張強度(kgf/mm2)を予測TSとし、操業後に材料検査を実施して得た強度レベルを材検TSとして両者の相関を調べた。ただし、本実施に用いた水焼入れにおいては、焼入れ停止温度は焼入れ媒体である水温と同一と考えて実測の焼入れ媒体温度を用いた。その結果を図2に示す。
図2には比較のために図3の結果も併せて示した。図2によれば、本発明式(2)に基づいた標準偏差σはσ=0.65(kgf/mm2)となり、強度変動を3σ(全体の分散の99.7%を示す値)で表すと3σ=2.0(kgf/mm2)となり、引張強度の変動を2kgf/mm2以下程度とすることができた。
図1は本発明の実施に供される連続焼鈍設備の炉内全体図を示している。
図1に示す連続焼鈍設備炉内の内部には、直下帯、均熱帯の後段に焼入れ開始温度調整用ブロアー4と焼入れ開始温度測定用板温度計5と水を入れた水槽10が設置された水焼入れセクション(WQ)1と、鋼板温度を所定の焼戻し温度まで短時間で上昇させる、例えば誘導加熱装置8とラジアントチューブ6とクーラー7が設置された焼戻しセクション(OA)2とを備えている。
前記水焼入れセクション1は、水温[T]の水を入れた水槽10の中に鋼板を浸漬させることで鋼板の焼入れを行うセクションであり、水焼入れされる直前の鋼板の温度[TQ]は、焼入れ開始温度調整用ブロアー4のガスジェット風量を調節することにより制御される。このガスジェットによる冷却により、水焼入れ直前の鋼板温度[TQ]を短時間で制御することができる。
前記焼戻しセクション2は、前記水焼入れセクション1を通過した鋼板を、所定の温度で焼戻しするものであり、誘導加熱装置8の通電量を変化させる、ラジアントチューブ6のガス量を増減させる、クーラー7の風量を調節する、の1つ以上を行うことにより焼入れ後の焼戻し温度[OA]が調整されている。
上記設備を使用して本発明法を実施する一例として、50〜70kgf/mm2の強度レベルでは上記(2)式において目標引張強度[TS]の許容範囲を与え、C量を燃焼赤外線吸収法、P量をIPC発光分析法で算出し、焼入れ媒体の温度[T]は機側温度計より測定して求め、板厚[t]は冷間圧延後の板厚を用い、焼入れ後の焼戻し温度[OA]は機側温度計より測定して求めて(2)式に代入して、これらより焼入れ開始温度[TQ]の範囲を求めて、その範囲内で焼入れする。ここで、焼入れ開始温度[TQ]の許容範囲内で、焼入れ開始温度測定用板温度計5により焼入れ開始温度調整用ブロアー4のガスジェット風量を調節することにより鋼板の焼入れを行う。
表1に示す60Kハイテンの冷間圧延ままの鋼板を用いて、任意の焼入れ開始温度から水焼入れして冷延鋼板を製造した。その後材料検査をして引張強度の測定を行った。そして、燃焼赤外線吸収法によりC量を、IPC発光分析法によりP量を算出し、冷間圧延後の板厚を実測して求め、機側温度計より焼入れ媒体の温度と焼入れ後の焼戻し温度を測定して求め、焼入れ開始温度も測定して上記(2)式に代入して引張強度(本発明法)を計算し、上記の材料検査による引張強度と比較した。その結果を表1に示す。
また、表1には板厚[t](mm)、炭素当量[Ceq](mass%)、焼入れ開始温度[TQ](℃)から上記(3)式を用いて引張強度(従来法)を計算し、上記の材料検査による引張強度と比較した結果を併せて示す。
表1によれば、従来法により得られた引張強度と材料検査による引張強度との差は約±5kgf/mm2程度であるが、本発明法により得られた引張強度と材料検査による引張強度との差は±2kgf/mm2以下程度となって、強度のバラツキのさらに少ない高強度冷延鋼板を安定して製造することができる。
1 水焼入れセクション
2 焼戻しセクション
4 焼入れ開始温度調整用ブロアー
5 焼入れ開始温度測定用板温度計
6 ラジアントチューブ
7 クーラー
8 誘導加熱装置
10 水槽
2 焼戻しセクション
4 焼入れ開始温度調整用ブロアー
5 焼入れ開始温度測定用板温度計
6 ラジアントチューブ
7 クーラー
8 誘導加熱装置
10 水槽
Claims (3)
- 焼入れ手段を有する連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を製造する方法において、予め鋼板の板厚、炭素含有量、リン含有量、焼入れ開始温度、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度と引張強度の関係を求めておき、対象鋼板の板厚、炭素含有量、リン含有量、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度を考慮して、目標引張強度に応じて焼入れ開始温度を算出し、求めた焼入れ開始温度で焼入れすることを特徴とする高強度冷延鋼板の製造方法。
- 焼入れ手段を有する連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を製造する方法において、予め鋼板の板厚、50PPM以下の精度で実測した炭素含有量、50PPM以下の精度で実測したリン含有量、焼入れ開始温度、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度と引張強度の関係を求めておき、対象鋼板の板厚、50PPM以下の精度で実測した炭素含有量、50PPM以下の精度で実測したリン含有量、焼入れ停止温度および焼入れ後の焼戻し温度を考慮して、目標引張強度に応じて焼入れ開始温度を算出し、求めた焼入れ開始温度で焼入れすることを特徴とする高強度冷延鋼板の製造方法。
- 焼入れ手段を有する連続焼鈍設備を用いて高強度冷延鋼板を製造する方法において、鋼板の目標引張強度の許容範囲に応じて焼入れ開始温度を算出するに際し、対象鋼板の目標引張強度[TS](kgf/mm2)、目標引張強度の変動許容値[α](kgf/mm2)、鋼板の板厚[t](mm)、実測の炭素含有量[C](mass%)、実測のリン含有量[P](mass%)、焼入れ停止温度[T](℃)およびあらかじめ設定する焼入れ後の焼戻し温度[OA](℃)の間に成り立つ下記の関係式(1)を満足する焼入れ開始温度[TQ](℃)で焼入れすることを特徴とする高強度冷延鋼板の製造方法。
a×([TS]−α)+b×[C]+c×[P]+d×[T]+e×[t]+f
×[OA]+g≦[TQ]≦a×([TS]+α)+b×[C]+c×[P]+
d×[T]+e×[t]+f×[OA]+g …(1)
ここで、a、b、c、d、e、f、g:強度レベルに依存する定数
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2006
- 2006-07-13 JP JP2006192541A patent/JP2006328544A/ja active Pending
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