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JP2006325328A - 高効率エネルギー供給システム - Google Patents

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JP2006325328A JP2005146207A JP2005146207A JP2006325328A JP 2006325328 A JP2006325328 A JP 2006325328A JP 2005146207 A JP2005146207 A JP 2005146207A JP 2005146207 A JP2005146207 A JP 2005146207A JP 2006325328 A JP2006325328 A JP 2006325328A
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Abstract

【課題】 再生可能エネルギーを利用した分散型発電と、電力・冷熱需要家をエネルギー低損失型のエネルギー輸送手段で連係したシステムを構築し、電力と冷熱とを同時に供給できる高効率エネルギー供給システムを提供する。
【解決手段】 電力を発電する複数の分散型電源2、3、4と、該複数の分散型電源を連係するエネルギー輸送手段1と、液体窒素中に微細粒子状の固体窒素が混合されたスラッシュ窒素を製造するスラッシュ窒素製造装置5とを備え、前記エネルギー輸送手段1が、電力を送電する直流超電導ケーブルと、前記スラッシュ窒素が供給され前記直流超電導ケーブルの冷却と同時に冷熱の輸送を行う冷媒流路とを有し、前記分散型電源とは異なる遠隔地域に偏在するエネルギー消費地6に、前記エネルギー輸送手段1を介して電力とともに冷熱を供給する構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、風力による直流発電や太陽光電池による直流発電などの分散型電源にて発電した電力を遠隔地域の電力需要家に供給するシステムに関し、特に、冷却手段を備えた直流超電導ケーブルにより複数の分散型電源及び電力需要家を連係し、例えば、地域冷房、大規模情報処理システム冷却システム、極低温破砕を利用した廃棄物リサイクル処理等に利用できる冷熱を電力とともに高密度で同時輸送する高効率エネルギー供給システムに関する。
近年、エネルギー分野における地球温暖化対策や環境保全を目的として太陽光、風力、廃棄物によるリサイクル発電等の再生可能エネルギーの有効利用が推進されている。一方、電力需要の観点からは大規模情報処理設備、廃棄物リサイクル処理設備等のような局所的大電力需要地区に対する安定した大容量の電力供給技術の確立が要望されている。再生可能エネルギーを利用した発電設備は中小規模であることが多く、従来の利用形態としては電力消費地の近傍に設置され、特定の電力需要家にのみ電力を供給するに留まっていた。しかし、近年これらの分散型電源の開発が進み、単機容量が大容量化し、コスト的にも低廉化されているため、広範囲に設置された複数の分散型電源を連係させ、遠隔立地した電力需要家に対しても電力を供給するシステムの実用化が期待されている。そこで、分散型電源を利用した電力供給システムの実用化に向けて、安定した電力の供給、さらなる電力の低コスト化が求められ、高効率な電力輸送が重要な課題の一つとして挙げられている。
一般に、大型発電所から電力消費地を結ぶ電力系統は、電流の2乗に比例した損失熱による送電線温度上昇が許容値を超えないように電圧を昇圧し、電流を低減させて送電損失を減少させてきたが、高電圧化による設備の大型化により今後の電力需要増に対する設備増強は困難になってきた。その対策として、近年交流超電導送電が研究されているが、現用と比較すれば送電損失は低下するものの、交流超電導固有の交流損失が発生し、製造設備の大型化等により経済的成立性が困難になっている。さらに、再生可能エネルギー発電等による分散型電源の導入を考慮すると、電力の安定供給や品質の低下が懸念される。エネルギーの有効利用を考えると機器単体の効率改善は限界に来ており、システムとしていかに効率的にエネルギーを輸送するかが問題となってくる。
そこで、特許文献1(特開2003−274554号公報)では、直流分散型電源で直流電力を発生させ、得られた直流電力を直流電力網を介して直流電力需要家に売電する電力供給方法が提案されている。これにより、自然エネルギーを利用する無公害分散電源を普及させることが可能であるとともに、電力系統を直流とするため電力損失を極力回避し、省エネを図ることが可能となる。
また、電力輸送に際しては送電ケーブルを超電導化することにより送電ロスを減らすことも提案されている。送電に超電導ケーブルを利用することで、CO削減効果やそれに加えて変換器や変圧器の省略化が可能であり、再生可能エネルギー発電装置等の分散型電源としても問題点を解決する手段となる。
超電導ケーブルは、都市部の高密度電力輸送対策として欧米や日本で1990年代から研究、開発が進められてきたが、交流/直流変換器のコストが高いことにより交流超電導ケーブルを対象としてきた。しかし、再生可能な自然エネルギー発電を高効率で安定した電力として供給をするためには、直流超電導による電力ネットワーク化が必要な技術と考えられる。
一方、このような電力供給システムでは、高品質な冷熱を高効率で安定供給する技術も必要とされる。従来、超電導ケーブルを冷却するためには、液体窒素が多く利用されていた。また、今後の産業化が期待される大規模情報処理設備用の冷却システム、極低温破砕を利用した廃棄物リサイクル処理等のようなエネルギー多消費型設備においては、電力の需要とともに、電子機器の冷却や廃棄物の低温破砕などに利用される多量の冷熱需要がある。このような設備には、従来は液体窒素等の冷媒をタンクローリーで搬送する方法が主であったが、エネルギー効率の観点から非常に効率の悪いものであった。
特開2003−274554号公報
上記したように、地球温暖化対策や環境保全、さらには資源枯渇化対策の観点から、再生可能エネルギーを利用した分散型電源を連係させた電力供給システムが求められており、これを実現化させるために、発電した電力を高効率で且つ安定して電力需要家に供給するシステムが要望されている。また、地域冷房、大規模情報処理システムの冷却、廃棄物リサイクル処理等のエネルギー多消費型設備へ電力を供給し、同時に冷熱を効率良く供給できるシステムが求められている。
従って、本発明は前記従来技術の問題点に鑑み、再生可能エネルギーを利用した分散型発電と電力・冷熱需要家をエネルギー低損失型の輸送手段で連係させたシステムを構築し、電力と冷熱とを同時に供給できる高効率エネルギー供給システムを提供することを目的とする。
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、
太陽光や風力などの再生可能な自然エネルギーによる複数の分散型電源と、該複数の分散型電源或いは送配電系統を連係するエネルギー輸送手段と、液体窒素中に微細な固体窒素が混合されたスラッシュ窒素を製造するスラッシュ窒素製造装置とを備え、
前記エネルギー輸送手段は、前記製造されたスラッシュ窒素が通流する冷媒流路を備えた直流超電導ケーブルであり、該スラッシュ窒素により直流超電導ケーブルの冷却と冷熱輸送を同時に行うようにし、
前記分散型電源とは異なる遠隔地域に存在するエネルギー消費地に、前記エネルギー輸送手段を介して電力とともに冷熱を供給することを特徴とする。
本発明によれば、送電線抵抗損失の少ない、若しくは皆無の直流電流ケーブルにて電力を送電するとともに、前記冷媒流路により冷熱エネルギーを輸送することにより既存のエネルギーシステムにはない高効率のエネルギー供給・貯蔵システムが提供できる。尚、前記エネルギー輸送手段により、既設の分散型電源や大型電源、又は既設の送配電系統を連係させることも可能である。
また、複数の分散型電源を、超電導ケーブルを用いて電力及び冷熱を輸送可能なエネルギー輸送手段にて連係することにより、地域冷房、大規模情報処理システムの冷却、廃棄物リサイクル処理等に利用できる電力と冷熱を高密度に同時輸送する高効率エネルギー供給システムを提供することができる。
このとき、エネルギー輸送手段としてスラッシュ窒素により冷却された直流超電導ケーブルを利用することにより、電気抵抗がゼロとなるため広範囲に偏在する分散型電源にて発電した電力を高効率集電でき、電力ネットワーク化が可能となり、変圧設備の省略化も含め設備費と運転費を大幅に削減できるとともに、常時変動する太陽光や風力発電の偏差電力をケーブルの電力貯蔵効果で吸収して安定した高品位の電力の供給が可能となる。さらに、電力の長距離輸送が可能となることからシステムの大規模化が図れる。さらにまた、超電導ケーブル自体で電力貯蔵ができるため、安定した効率的な電力利用も達成できる。
また、超電導ケーブルの冷却にスラッシュ窒素を用いることにより、その融解潜熱による一定温度保持効果と低流体損失特性により、低損失で安定した冷却が可能となる。また、その冷却用流路を冷熱輸送用として用いることにより、従来のタンクローリー等の液体窒素輸送に比べ、高効率で安定した冷熱供給を実現し、スラッシュ窒素の冷熱を利用した食品冷凍冷蔵市場等の新たな冷熱利用産業を創出することが可能となる。このように、本発明によれば蓄熱と高効率冷熱供給が可能となり、地域冷房、大規模情報処理システムの冷却、廃棄物リサイクル処理等に利用できる電力と冷熱を高密度に同時輸送する高効率エネルギー供給システムを提供することができる。
また、前記エネルギー輸送手段が、前記直流超電導ケーブルに永久循環電流を流す電力貯蔵と、余剰電力で製造された前記スラッシュ窒素の冷熱を貯蔵する冷熱貯蔵とからなるエネルギー貯蔵手段を備えたことを特徴とする。
これにより、超電導ケーブル内に電気エネルギーとして直接貯蔵し同時にスラッシュ窒素の冷熱エネルギーで貯蔵することにより、広範囲の低密度の自然エネルギーの変動を平準化し安定した電力と冷熱を広範囲の遠隔地域のエネルギー消費地に供給することができる。
さらに、前記スラッシュ窒素製造装置では、前記分散型電源にて発電した夜間余剰電力によりスラッシュ窒素を製造することが好ましく、これにより、冷熱エネルギー貯蔵ができ、電力平準化に寄与することが可能となる。
さらにまた、前記エネルギー輸送手段が、交流/直流変換手段を介して既設電力送電網と連結していることを特徴とする。このように、交流/直流変換手段を介して分散型電源を利用した直流電力系統と既設送電の交流電力系統とを接続することにより、本発明のシステムを従来のシステムと容易に連係させることができ、また既設系統からの影響を受けず自立分散制御が導入でき、独自に最適経済運用や高信頼度運用が可能となる。
また、前記分散型電源が、自然エネルギーを利用した再生可能エネルギーであることが好適である。前記再生可能エネルギーを利用した電源とは、太陽光、風力、水力、バイオマス、波力等の枯渇することのないエネルギーにより発電する設備であり、廃棄物によるリサイクル発電設備も含む。このように、再生可能な自然エネルギーを利用するシステムとすることにより、地球温暖化対策や環境保全に役立つシステムとすることができる。
以前記載のごとく本発明によれば、分散型電源、特に風力や太陽光などの再生可能エネルギーを利用した発電設備とエネルギー消費地である電力・冷熱需要家とを、スラッシュ窒素製造設備を備えた超電導ケーブルにより結合することにより、電力と冷熱を高密度に同時輸送する高効率エネルギー供給システムを提供することができる。また、電力・冷熱エネルギー供給システムの優位性を保ち、損失低減、超電導電力貯蔵による電力変動吸収、変動分電力の冷蓄熱による電力平準化が図れる。また、これによりエネルギー効率改善と環境改善に優れた分散型社会システムが期待できる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施例に係るエネルギー供給システムの構成概要図である。まず、図1を参照して、本実施例に係るエネルギー供給システムの構成を説明する。
本システムは、遠隔地域に偏在する複数の分散型電源と、同様に複数存在する電力・冷熱需要家6と、スラッシュ窒素製造設備5とがエネルギー輸送手段1により連係された構成を有する。
前記分散型電源は、自然エネルギーを利用した発電設備であり、太陽光、風力、水力、バイオマス、波力等の枯渇することのないエネルギーにより発電する。該分散型電源には廃棄物によるリサイクル発電も含まれる。一例として風力発電設備2、リサイクル工場発電設備3、太陽光発電設備4等が挙げられる。
前記電力・冷熱需要家6は、一般民家、商業ビル、大規模情報処理設備、各種工場等等のように、本システムの管理者との電力契約を交わしている対象を言い、これにはリサイクル工場3等も含まれる。さらに、本システムでは、電力とともに冷熱も供給する構成となっており、屋内の冷暖房、電子機器の冷却、廃棄物の低温破砕等に使用される。
前記スラッシュ窒素製造設備5は、その詳細は後述するが、液体窒素中に微細な固体窒素が均一に混合されたスラッシュ窒素を製造する設備であり、該製造したスラッシュ窒素は前記エネルギー輸送手段1を介してエネルギー消費地にある電力・冷熱需要家6に送給される。前記スラッシュ窒素は、液体窒素の一部を冷却固化して、スラリー状にした流体である。該スラッシュ窒素製造設備5では、夜間余剰電力によりスラッシュ窒素を製造することが好ましく、これにより冷熱エネルギー貯蔵ができ、電力平準化に寄与することが可能となる。
前記エネルギー輸送手段1は、少なくとも直流超電導ケーブルを備え、前記分散型電源で発電した電力を遠隔地域のエネルギー消費者6に送電するとともに、前記スラッシュ窒素製造設備5にて製造されたスラッシュ窒素を電力・冷熱需要家6に供給する。前記超電導ケーブルは、超電導導体とその電気絶縁および極低温状態を保持する冷媒管路とその極低温保持の断熱層からなる。本実施例では直流超電導送電ケーブルを用いており、これにより電気抵抗がゼロとなり、侵入熱量による冷媒の冷却と循環動力に起因した損失だけとなる。また、該超電導ケーブルは冷却手段を備えており、該冷却手段としてスラッシュ窒素を冷媒として用いている。スラッシュ窒素中の固体が液体に変わる際に生じる融解潜熱を利用して、流体の温度が変化せずに冷却が可能となる。融解潜熱は流体の温度変化に伴う顕熱に対して数倍から数十倍を大きいため、同じ流量を流した場合の冷却熱量が液体の場合より大きくなる。
また、既設発電所11にて発電した交流電力を既設送電系統10を介して送電し、直流/交流変換器(不図示)にて直流に電力変換した後に前記エネルギー輸送手段1の送電系統に供給する構成とすることが好ましい。また、交流電力需要家に対しては、同様に直流/交流変換器を介して交流に変換した後に送電するようにする。
さらに、前記エネルギー輸送手段1は、超電導電力貯蔵手段を具備する。該超電導電力貯蔵手段は、超電導導体に直流電流を流すと、電気抵抗損失がゼロのため電流が減衰せず永久電流が流れる。これを超電導コイルや超電導ケーブルに適用して電気エネルギーを永久電流の形状で蓄える装置である。
本システムでは、風力発電設備2、リサイクル工場発電設備3、太陽光発電設備4等の分散型電源で発電した電力を、前記エネルギー輸送手段1の超電導ケーブルにて送電し、該超電導ケーブルを冷却する冷却管路に前記スラッシュ窒素製造設備5にて製造したスラッシュ窒素を供給し、超電導ケーブルを冷却するとともに冷熱エネルギーの輸送を行う。これにより、電力・冷熱需要家6に対して、電力と同時に設備を増設することなく高密度・高品位な冷熱を供給することが可能となる。このように、スラッシュ窒素として輸送された冷熱エネルギーは汎用性が高く、各種の超電導ケーブル、コイル、限流器等の冷却装置のほか、従来の液体窒素を用いている市場に対して適用可能である。特に廃棄物リサイクル設備などにおいて、プラスチック類や廃家電品に対する液体窒素温度での低温破砕技術の適用が有効である。また、冷媒として、液体窒素中に固体窒素を混在させた固液二相流体であるスラッシュ窒素を用いることにより、液体窒素より大きい冷熱の輸送が可能であるとともに単位流量あたりの圧力損失を液体窒素と同等程度の低減可能である。
また、これらの制御システムとして、光ファイバ等を利用した制御用通信網12を用いて、各分散型電源における発電量やスラッシュ窒素製造設備5における冷媒供給量を制御することが好ましい。前記制御用通信網12上には、複数の通信端末14が接続され、さらにこれらを統括するコントロールセンター13が設けられ、遠隔地からも制御可能に構成される。
さらに、前記エネルギー輸送手段1は電力貯蔵機能も備えている。該電力貯蔵機能を備えたエネルギー輸送手段1は、余剰電力の貯蔵と急激な負荷変動を緩衝して電力系統を安定して維持できるとともに、建設コストと運転コストの低減化を図ることが可能である。
前記電力貯蔵機能を備えた直流超電導ケーブルの構成の一例を図2に示す。該直流超電導ケーブルは、多重管構造を有し、外側から内側に向けて、コルゲートパイプ110、断熱層111、コルゲートパイプ112、電気絶縁層113、保護層114、シールド層115、電気絶縁層116、超電導導体117、フォーマ118から構成される。
このように前記超電導ケーブルは、送電用の超電導導体117とシールド層としての超電導導体115を有し、この両方に電流を流すことによって電力貯蔵機能を付加することが可能となる。この場合、ループ系統では同方向に電流が流れ、放射状系統(ループ系統への入力・出力)では異方向へ電流は流れる。系統内を永久循環電流が流れることにより、電力貯蔵効果を生む。もちろん、図2に示した超電導ケーブルを通常の単芯超電導ケーブルとして、送電用の超電導導体117にのみ電力を流し、このケーブルを2本並列に使用するか、同一真空断熱配管内に2本挿入したものを使用しても同様の電力貯蔵効果を生む。
次に、前記スラッシュ窒素製造設備5の具体的構成の例につき図3〜図9を参照して説明する。図3〜図6は本実施例1に係るスラッシュ窒素製造設備を示し、図7〜図9は夫々実施例2〜4のスラッシュ窒素製造設備を示す図である。尚、本実施例において、前記スラッシュ窒素製造設備5は、特に以下の構成に限定されるものではない。
[実施例1]
図3において、低温容器30内には液体窒素31が充填されている。該液体窒素31は弁を具備した液体窒素供給ライン33により供給される。低温容器30内に配置された前記エジェクター21のノズル22に、バルブを具備したエジェクター作動流体供給ライン34を介して液体ヘリウム或は低温のヘリウムガス等の冷媒が供給される。
前記エジェクター1の構成を図4に示す。同図においてエジェクター21はノズル22とディフューザ部23aを有する外筒23からなる。ノズル22は外筒23の内部空間24に突出しており、矢線Aで示すように冷媒液或はガスが供給され、該冷媒がノズル噴口22aから外筒23の前記空間24から延びたディフューザ部23aに向かって噴出される。ノズル噴口22aからの冷媒の噴出流によって低温容器に充填されている液体窒素が外筒23の吸込口23bから矢線Bで示すように空間24に吸い込まれ、冷媒流とともにディフューザ部23aを通って矢線Cで示すように低温容器の空間に噴出される。ディフューザ部23aの外側には該部に固体窒素が凝固、付着するのを防止するためにヒータ25が配設されている。
前記冷媒としては、ヘリウムの他にネオン、水素などを用いることができる。低温容器30内の液体窒素上部の空間32には真空ポンプ36と弁を具備した排気ライン35と、空間32を大気圧よりも若干高い圧力に保つための、弁を具備した排気ライン37が開口している。液体窒素にはエジェクター21の吸込口23bに連結する液体窒素吸込管38の下部が浸漬されている。
低温容器に液体窒素を充填して密閉し、真空ポンプ36と弁を具備した排気ライン35を介して容器内を減圧すると、液体窒素は蒸発し、蒸発潜熱のために液体窒素の温度は低下する。液体窒素の温度が大気圧における融点、つまり固体化する温度よりも若干高い65K付近になったところで液体ヘリウム或は低温ヘリウムガス等の冷媒を供給し、容器内を大気圧或はそれよりも若干高い圧力にする。冷媒の供給はエジェクター作動流体供給ライン34及びエジェクター21を介して行うことができる。引き続き容器内の圧力よりも高い圧力で冷媒をエジェクター21に供給すると、該ノズル22の噴口22aから噴出される冷媒噴流により液体窒素31が前記吸込管38を介してエジェクター21の吸込口23bに吸い出され、液体窒素は冷媒とともにディフューザ部23aを通って空間32に噴出される。液体窒素は該ディフューザ部23aにおいて及び該ディフューザ部を出た後に冷媒と激しく衝突混合し冷却されて微細で比較的均一な粒径の固体窒素となる。該固体窒素は空間32を満たす冷媒ガスよりも比重が大幅に大きく、重力により下方に落下する。作動流体である冷媒の供給により容器内の冷媒ガス量が増大して圧力が上昇するので、この圧力を大気圧よりも若干高い圧力に保つように空間32のガスは排気ライン37を介して常に排気される。
低温の冷媒が液体窒素層31の上面に触れると液面が凍結し、該固体窒素が下部の液体窒素と混合できなくなる可能性がある。そこで、攪拌モーター40は液体窒素層31内の液面近傍に設置され、液面を常に動揺させることで液面の凍結を防ぐ。液体窒素層31下部に設けた攪拌モーター41は固体と液体の窒素を均一に混合しスラッシュ化するためのものである。
或いは、前記真空ポンプ36と弁を具備した排気ライン35を介して容器内を真空にした後に液体ヘリウム或は低温ヘリウムガス等の冷媒をエジェクター作動流体供給ライン34を介して充填し、ついで液体窒素供給ライン33を介して液体窒素を充填してもよい。液体窒素が充填された状態で容器圧力が大気圧或はそれよりも若干高い圧力となるように充填する。液体ヘリウム等の冷媒液は直ちに蒸発して空間32を占め、液体窒素は低温容器30の下部に溜まる。ついで、前述の場合と同様にエジェクター作動流体供給ライン34を介して低温容器30内の圧力よりも高い圧力でエジェクター21のノズル22に冷媒を供給する。
容器30内の液体窒素の温度は、空間32のガスの温度よりも高く、液体窒素層31の表面から窒素が一部蒸発し、空間32のガスは冷媒ガスに窒素ガスが混入したものとなる。前記排気ライン37を介して排出されたガスは、冷媒と窒素に分離して再度使用することができる。この様な作動を継続すると、容器30の下部には液体窒素と固体窒素が混合したスラッシュ窒素が溜まり、ついには固体窒素のみが堆積することになる。適切な時期に弁を具備した排出ライン39を介してスラッシュ窒素を排出すればよい。液体窒素の供給流量と固体窒素の生成量をバランスさせれば、スラッシュ窒素を連続的に製造することができる。吸込管38の下端には固体窒素を吸込まないようにストレーナ38aが設けられている。なお、図3においてはエジェクターは1個配置されているが、複数個配置してもよいことはもちろんである。
図5は、エジェクター21、21’が低温容器30内に2個対向して配置された場合を例示したもので、エジェクター21、21’にはその作動ガスである冷媒がエジェクター作動流体供給ライン14の下流で分岐して供給され、それぞれの吸込管38、38’の下端にはストレーナ38a、38a’が設けられて液体窒素31に浸漬されている。両エジェクターのディフューザ部23a、23a’が対向していて、ディフューザ部からの噴流C、 C’が衝突することにより、生成される固体窒素の微細化を図ったものであり、その他の作用については前記図3の場合と同じである。
図6は、図5におけるエジェクター21、21’を下方に傾斜して配置した場合を示し、これにより、生成された固体窒素が下方へ落下し易くなる。
[実施例2]
図7は本発明の実施例2のスラッシュ窒素製造設備である。図において、104は断熱容器、102は断熱容器内に保留されている液体窒素、109は気相部を減圧する真空ポンプ(減圧手段)、108は三重点を検知しうる温度計(温度検知手段)、107は現時点容積を求めうる液面計、103は表面に凝固した板状固体窒素を破砕しうる液面部攪拌翼(液面部攪拌手段)、105は沈降した固体窒素を更に細粒としうる底部攪拌翼(底部攪拌手段)である。
断熱容器104内に液体窒素102を蓄え、真空ポンプ109にて容器内気相部を減圧する。減圧が進行すると液体窒素が蒸発し、潜熱により液体窒素の温度は漸次低下する。
減圧を続け、内容物が窒素の三重点に到達すれば固体窒素が生成し始める。三重点への到達は窓106から内部を観察するか、温度計108で温度計が63.1K以下に下がらなくなったことで確認する。三重点到達時は真空ポンプ109を停止して液面計107でレベルを計測する。その後真空ポンプ109を運転し、両攪拌翼103、105も回転する。
減圧により固体窒素は液体窒素表面全体に薄く生成する。そのまま放置すると固体窒素は真空ポンプ109の吸引口のある上方に吸い上げられて液体から離れ、その空間に次の固体窒素が生成する。攪拌翼103は液面近くに設置され、その運転により液面を撹乱することにより生成した固体窒素101を液体中に沈降させる。固体窒素101は液体窒素より密度が大きいので、そのままでは底に堆積するが、攪拌翼105は沈降する固体窒素101と細粒化し液体窒素102を混合し、スラリ状のスラッシュ窒素を得ることができる。
次にスラッシュ窒素濃度を測定する例を述べる。今、窒素の蒸発潜熱をH(kJ/kg)、窒素の凝固潜熱をH(kJ/kg)、液体窒素の密度をM(kg/m)、固体窒素の密度をM(kg/m)、三重点到達時の窒素容積をV(m)、スラッシュ窒素製造後の窒素容積をV(m)、蒸発した窒素容積の液体窒素換算値をX(m)、凝固した固体窒素の容積をX(m)、断熱容器内への熱の浸入量をQ(kW)、スラッシュ窒素製造に要した時間T(s)とすれば、
エネルギ保存則より、
×M×X=H×M×X+Q×T (1)
質量保存則より、
×M=(V−X)×M+X×M+X×M (2)
前記(1)、(2)の連立方程式よりXとXを求め、次式に代入してスラッシュ窒素濃度(IPF)を求める。
IPF=X×M/((V−X)×M+X×M
なお、容器への熱浸入量Qは事前に液体窒素の蒸発熱量を計測しておくことにより可能であるが、蒸発した窒素中に占める割合は小さいため省略可能である。
[実施例3]
図8は本発明の実施例3の装置の略図である。図8において、201は断熱容器、204は固体窒素の細かな粒子、203は液体窒素、202は204と203の混合物のスラリであるスラッシュ窒素、205は超電導物体、206は前記容器に設けられた出し入れ口である。
断熱容器201に超電導コイル(超電導物体205)を出し入れ口206より、スラッシュ窒素202を満たし、出し入れ口206を蓋で塞いで、超電導コイル205を冷却し、超電導臨界温度以下に保った。
[実施例4]
図9は本発明の実施例4の装置の略図である。図9において、207は断熱管、204は固体窒素の細かな粒子、203は液体窒素、202は204と203の混合物のスラリであるスラッシュ窒素、205’は超電導物体、206A、206Bは前記管に設けられた出し入れ口である。
断熱管207に長尺ものの超電導物体205’である超電導ケーブルを出し入れ口206Aより挿入し、不図示の導入口より不図示の流動手段によりスラッシュ窒素202を圧送し、不図示の排出口から排出して、管内をスラッシュ窒素を流動させ、超電導ケーブルを冷却し、超電導臨界温度以下に保った。
本実施例に係るエネルギー供給システムは、上記した実施例1〜実施例4に記載したスラッシュ窒素製造設備5を具備することにより、微細で且つ均一粒径のスラッシュ窒素を製造することができ、スラッシュ窒素輸送時における冷却管路の閉塞を防止でき、また単位流量あたりの圧力損失を液体窒素と同等程度まで低減可能となり、超電導ケーブルの効率的な冷却、及び高効率な冷熱輸送が可能となる。
本発明は、電力と冷熱とを同時に供給できる高効率エネルギー供給システムであるため、電力の需要とともに電子機器の冷却や廃棄物の低温破砕などに利用される冷熱の需要があるエネルギー多消費型設備、例えば、大規模情報処理設備、廃棄物リサイクル処理設備等において好適に適用できる。
本発明の実施例に係るエネルギー供給システムの構成概要図である。 本実施例に適用される電力貯蔵機能を備えた超電導ケーブルの断面図である。 本発明の実施例1に係るスラッシュ窒素製造設備の概略を示す図である。 図3の低温容器内に配置されるエジェクターの断面図である。 実施例1に係るスラッシュ窒素製造設備の応用例を示す図である。 図5とは別の実施例1に係るスラッシュ窒素製造設備の応用例を示す図である。 本発明の実施例2に係るスラッシュ窒素製造設備の概略を示す図である。 本発明の実施例3に係るスラッシュ窒素製造設備の概略を示す図である。 本発明の実施例4に係るスラッシュ窒素製造設備の概略を示す図である。
符号の説明
1 エネルギー輸送手段
2 風力発電設備
3 リサイクル工場発電設備
4 太陽光発電設備
5 スラッシュ窒素製造設備
6 電力・冷熱需要家
8 コントローラ
10 既設送電系統
11 既設発電所
12 制御用通信網
13 コントロールセンター
14 通信端末
21 エジェクター
30 低温容器
36 真空ポンプ
37 排気ライン
81 電力ケーブル
82 第1の電力貯蔵用超電導ケーブル
83 第2の電力貯蔵用超電導ケーブル

Claims (5)

  1. 複数の分散型電源と、該複数の分散型電源或いは送配電系統を連係するエネルギー輸送手段と、液体窒素中に微細な固体窒素が混合されたスラッシュ窒素を製造するスラッシュ窒素製造装置とを備え、
    前記エネルギー輸送手段は、前記製造されたスラッシュ窒素が通流する冷媒流路を備えた直流超電導ケーブルであり、該スラッシュ窒素により直流超電導ケーブルの冷却と冷熱輸送を同時に行うようにし、
    前記分散型電源とは異なる遠隔地域に存在するエネルギー消費地に、前記エネルギー輸送手段を介して電力とともに冷熱を供給することを特徴とする高効率エネルギー供給システム。
  2. 前記エネルギー輸送手段が、前記直流超電導ケーブルに永久循環電流を流す電力貯蔵と、余剰電力で製造された前記スラッシュ窒素の冷熱を貯蔵する冷熱貯蔵とからなるエネルギー貯蔵手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の高効率エネルギー供給システム。
  3. 前記スラッシュ窒素製造装置にて、前記分散型電源にて発電した夜間余剰電力によりスラッシュ窒素を製造することを特徴とする請求項1記載の高効率エネルギー供給システム。
  4. 前記エネルギー輸送手段が、交流/直流変換手段を介して既設電力送電網と連結していることを特徴とする請求項1記載の高効率エネルギー供給システム。
  5. 前記分散型電源が、自然エネルギーを利用した再生可能エネルギーであることを特徴とする請求項1記載の高効率エネルギー供給システム。
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