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JP2006323039A - 液晶表示素子用シール剤組成物 - Google Patents

液晶表示素子用シール剤組成物 Download PDF

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JP2006323039A
JP2006323039A JP2005145027A JP2005145027A JP2006323039A JP 2006323039 A JP2006323039 A JP 2006323039A JP 2005145027 A JP2005145027 A JP 2005145027A JP 2005145027 A JP2005145027 A JP 2005145027A JP 2006323039 A JP2006323039 A JP 2006323039A
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liquid crystal
epoxy resin
fluorine
crystal display
methacrylic
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Application number
JP2005145027A
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English (en)
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Masatoshi Asano
雅俊 浅野
Miyuki Wakao
幸 若尾
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【解決手段】 (A)エポキシ樹脂とアクリル酸(メタクリル酸)の反応物である部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂の水酸基を、シリル化剤、アシル化剤、モノイソシアネート化合物から選択される化合物で部分的又は完全に保護した部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂、(B)光又は/及び熱で硬化可能なフッ素含有率5〜60質量%の含フッ素反応性樹脂[但し、含フッ素反応性樹脂のフッ素含有率=(フッ素の占める質量/含フッ素反応性樹脂の質量)×100]、(C)熱硬化剤、(D)光重合開始剤
を含有してなる液晶表示素子用シール剤組成物。
【効果】 本発明の液晶表示素子用シール剤組成物は、液晶に対する非汚染性、接着性、形状保持性、硬化性に優れ、ポットライフが長く作業性が良く、特にODF(One Drop Fill)方式による液晶表示装置の製造に好適に使用可能である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、非液晶汚染性に優れ、ポットライフが長く作業性の良い液晶表示素子用シール剤組成物に関する。
近年、携帯機器の小型化、薄型化および軽量化に伴い、これらに使用される液晶表示装置の薄型化が急激に進められている。また、液晶表示画面の大型化及び低価格化という相反する要求も強くなってきている。
液晶表示素子は従来、次のようにして製造されている。まず、一方の基板にシール剤を塗布後、ビーズ状のスペーサー剤を散布した他の基板を重ね合わせてシール剤を加熱硬化させ、空パネルを製造する。次に、この空パネルを適宜切断後、減圧下で液晶を注入口より注入して液晶表示素子とする。ところで、この方法では、液晶の注入に時間がかかるという問題がある。特に、基板サイズの大型化や、液晶の応答速度短縮のためのパネルギャップ薄型化に伴い、この問題が顕著になっている。
このようなことから、ODF(One Drop Fill)方式が検討されている。この方法は、次のようにして行われる。まず、TFT等の駆動トランジスタを形成した側の基板にシール剤を塗布後、さらにこの基板に液晶を塗布する。そして、この基板に、ビーズ状のスペーサー剤を散布した(又はホトスペーサーを形成した)カラーフィルター側基板を貼り合わせ、シール剤を硬化させて液晶表示素子とする。但し、この方法は液晶注入が不要であるが、基板上で液晶と未硬化液晶表示素子用シール剤組成物とが接触するため、エポキシ樹脂等のシール剤成分が液晶を汚染する問題がある。特に、カラーフィルターがブラックマトリックス等を備えている場合、シール剤硬化のための紫外線がこの部分で遮光され(以下、「陰影部」という)、未硬化のシール剤が残って液晶の汚染域(配向不良域)が増大する。
そこで、ODF方式に用いるシール剤の液晶汚染の防止策として、エポキシ樹脂とアクリル酸(メタクリル酸)の反応物で、1分子中にアクリル基(メタクリル基)とエポキシ基とを持ち、アクリル(メタクリル)変性前のエポキシ樹脂より液晶に対する溶解汚染性の小さい、部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂が提案されている(特許文献1、2,3,4参照)。
しかしながら、この技術の場合、エポキシ樹脂を部分アクリル化(部分メタクリル化)すると、アクリル化(メタクリル化)されないエポキシ樹脂や、全てアクリル化(メタクリル化)されたアクリル(メタクリル)樹脂が樹脂組成物中に混在することになる。そして、これらの成分は、熱硬化時において液晶中に溶解し、特に陰影部における液晶汚染を防止できないため、液晶汚染改善効果が充分でない。
又、アクリル化(メタクリル化)されたエポキシ樹脂に生成する二級水酸基が、二級水酸基間に作用する分子間水素結合によりシール剤粘度を大幅に高くする為,シール剤の作業性が悪くなる。更に、二級水酸基濃度が増加すると、二級水酸基がエポキシ樹脂とアミン系硬化剤との反応の助触媒的な役割を果たし、シール剤組成物の室温での保存性を悪くするという問題があった。本発明者らは、この問題の解決策として、特許出願2004−341532号において、アクリル化(メタクリル化)されたエポキシ樹脂の二級水酸基を保護する方法を提案しているが、陰影部における液晶汚染を十分に防止できない問題があった。
なお、本発明に関連する先行技術としては、下記のものが挙げられる。
特許3583326号公報 公開2003−119248号公報 公開2004−163763号公報 公開2005−18022号公報
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、液晶に対する非汚染性に優れ、比較的低粘度であり、室温保存下での粘度上昇が小さく、作業性の良い液晶表示素子用シール剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意研究した結果、従来液晶シール剤の主剤成分として使用している部分アクリル(メタクリル)化エポキシ樹脂の水酸基を部分的又は完全に保護し、含フッ素反応性樹脂を、液晶表示素子用シール剤組成物に配合することで、シール剤のポットライフ及び液晶汚染性を大きく改善できることを突き止め、本発明の完成に至った。
従って、本発明は、
(A)エポキシ樹脂とアクリル酸(メタクリル酸)の反応物である部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂の水酸基を、シリル化剤、アシル化剤、モノイソシアネート化合物から選択される化合物で部分的又は完全に保護した部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂
(B)光又は/及び熱で硬化可能なフッ素含有率5〜60質量%の含フッ素反応性樹脂
(C)熱硬化剤
(D)光重合開始剤
を含有してなる液晶表示素子用シール剤組成物を提供する。
本発明の液晶表示素子用シール剤組成物は、液晶に対する非汚染性、接着性、形状保持性、硬化性に優れ、ポットライフが長く作業性が良く、特にODF(One Drop Fill)方式による液晶表示装置の製造に好適に使用可能である。
以下本発明の実施形態について説明する。本発明の液晶表示素子用シール剤組成物は、主剤:水酸基をシリル化剤、アシル化剤、モノイソシアネート化合物から選択される化合物で部分的又は完全に保護した部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂、熱硬化剤、光重合開始剤、含フッ素反応性樹脂を必須成分として含有している。
[(A)主剤]
[部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂の合成]
本発明の(A)成分の原料である部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂とアクリル酸(メタクリル酸)の反応物である。本発明で使用するエポキシ樹脂は、一分子あたり2個以上のエポキシ基を持ったものであればよく、従来から公知のものを全て使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等がエポキシ樹脂として挙げられる。又、これらのエポキシ樹脂の水素の一部又は全部をフッ素化したものなど含フッ素エポキシ樹脂を使用することもできる。
特に、耐熱性や耐湿性に優れるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂をエポキシ樹脂として用いるのが好ましい。又、エポキシ樹脂には、その合成過程で使用するエピクロルヒドリン由来の塩素が少量含まれるが、エポキシ樹脂における全塩素含有量は1500ppm以下とすることが好ましく、特に1000ppm以下とすることが好ましい。又、エポキシ樹脂に同重量のイオン交換水を加え、100℃、20時間の条件で抽出処理を行った後の水中塩素濃度が10ppm以下であることが好ましい。
以上述べたエポキシ樹脂は、1種単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明で使用する部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂の合成例としては、例えば、エポキシ樹脂を式(3)、アクリル酸(メタクリル酸)を式(4)で表した場合、アクリル化(メタクリル化)されないエポキシ樹脂(3)式、一部アクリル化(メタクリル化)されたエポキシ樹脂(5)式、及び完全にアクリル化(メタクリル化)されたエポキシ樹脂(6)式で表される3成分の混合物となる。エポキシ基に対するアクリル酸(メタクリル酸)の反応率(変性率)は10〜90%、好ましくは30〜70%である。10%未満の場合、水酸基保護によるシール剤のポットライフ改善効果が得られなくなり、90%を超えると接着特性の低下や高粘度化による作業性の低下の問題がある。
上記反応により、上記エポキシ樹脂のエポキシ基の一部が下記一般式(1)で示される基に変性された部分(メタ)アクリレート変性エポキシ化合物と、上記エポキシ樹脂のエポキシ基の全てが下記一般式(1)で示される基に変性された(メタ)アクリレート変性化合物が生成し、通常、これらは上記未反応のエポキシ樹脂と、上記部分(メタ)アクリレート変性エポキシ化合物と、上記(メタ)アクリレート変性化合物との混合物として存在する。
即ち、例えばエポキシ樹脂を
Figure 2006323039

と表した場合、これを(メタ)アクリル酸
CH=CR−COOH(RはH又はCH) (4)
と反応させると、未反応のエポキシ樹脂(3)と、
Figure 2006323039

で示されるエポキシ樹脂の一部のエポキシ基が開環した部分(メタ)アクリレート変性エポキシ化合物(5)と、
Figure 2006323039

で示されるエポキシ樹脂の全部のエポキシ基が開環した(メタ)アクリレート変性化合物(6)が得られる。
上記反応は、通常トルエン等の有機溶媒中で行うことが好ましい。また、トリフェニルフォスフィン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の付加反応触媒を用いることが好ましい。なお、これらの配合量は特に制限されるものではない。また、上記反応は常法に準じて行うことができるが、反応条件としては、80〜110℃で3〜24時間とすることが好ましい。
[水酸基保護部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂の合成]
本発明で使用する部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂の前記3成分の混合割合は、エポキシ樹脂が5〜80質量%、特に10〜45質量%、一部アクリル化(メタクリル化)されたエポキシ樹脂が5〜60質量%、特に35〜55質量%、完全にアクリル化(メタクリル化)されたエポキシ樹脂が5〜90質量%、特に10〜55質量%が好ましい。
以下、水酸基保護剤の具体的例を挙げるがこれらに限定されるものではない。又、各保護剤は、公知の定法に従い水酸基の保護を行なう。
(i)シリル化剤
シリル化剤としては、大別して、クロロシラン類、シリルアミン類、シリルアミド類が挙げられるが、これら以外の物でも、水酸基の保護が可能なものは使用することができる。
クロロシラン類としては、例えば、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、ジメチルエチルクロロシラン、ジメチルイソプロピルクロロシラン、ジメチル−n−プロピルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、t−ブチルジフェニルクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、ペンタフルオロフェニルジメチルクロロシラン等が挙げられる。
シリルアミン類としては、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)ジメチルアミン、N−(トリメチルシリル)ジエチルアミン、N−トリメチルシリルイミダゾール,1−(t−ブチルジメチルシリル)イミダゾール、1−(ジメチルエチルシリル)イミダゾール、1−(ジメチルイソプロピルシリル)イミダゾール、1−(ジメチル−n−プロピルシリル)イミダゾール、ペンタフルオロフェニルジメチルシリルジエチルアミン、1−シアノエチル(ジエチルアミノ)ジメチルシラン等が挙げられる。
シリルアミド類としては、例えば、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(t−ブチルジメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)オリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルヘプタフルオロブチルアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、N−(t−ブチルジメチルシリル)−N−メチルトリフルオロアセトアミド、N−トリメチルシリルアセトアミド等が挙げられる。
(ii)アシル化剤
アシル化剤としては、例えば、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド、ペンタフルオロプロピオニルクロリド、ペンタフルオロベンゾイルクロリド、N−アセチルイミダゾール、N−トリフルオロアセチルイミダゾール、ビストリフルオロアセトアミド、N−メチルビス(トリフルオロアセトアミド)、N−(ヘプタフルオロ−n−ブチリル)イミダゾール等が挙げられる。
(iii)モノイソシアネート化合物
モノイソシアネート化合物としては、下記一般式(1)、(2)で示されるものがあげられる。
CH=CRC(=O)OCNCO (1)
SiCNCO (2)
(式中、Rは−H、−CHから選ばれる基であり、Rは−OC2n+1(nは1〜4の整数)である。)
その他、2個のイソシアネート基の反応性に差のあるジイソシアネート、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等について、1個のイソシアネート基をアルコール等の活性水素基を持つ化合物で反応させたものを使用することができるが、低粘度な水酸基保護の部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂が得られ、作業性の良いシール剤を得やすい点で、一般式(1)、(2)で示されるモノイソシアネート化合物の方が好適に使用できる。
一般式(1)、(2)で示されるモノイソシアネート化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズAOI:昭和電工株式会社製)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI:昭和電工株式会社製)、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネートが挙げられる。
[(B)含フッ素反応性樹脂]
本発明で使用する含フッ素反応性樹脂は、シール剤の液晶汚染性を劇的に改善する成分であり、1分子中に、例えばエポキシ基及び/又はアクリル基(メタクリル基)等の光及び/又は熱で硬化可能な反応性基を有するものであれば何でも良いが、主剤との相溶安定性の点で、従来シール剤に使用されている上記主剤をフッ素変性したものを好適に使用できる。以下、具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
含フッ素反応性樹脂としては、例えば、含フッ素基の導入のし易さから、アルコール変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂をアクリル酸(メタクリル酸)で部分的にアクリル化(メタクリル化)した樹脂、エポキシ樹脂をアクリル酸(メタクリル酸)で完全にアクリル化(メタクリル化)したエポキシアクリレート(メタクリレート)樹脂等のアルコール性水酸基を持つ樹脂とジイソシアネート化合物及び含フッ素アルコールとの反応物が挙げられる。これ等の中でも、液状の反応物が容易に得られ、配合性に優れている点から、部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂又は完全アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂であるエポキシアクリレート(メタクリレート)樹脂とジイソシアネート化合物及び含フッ素アルコールとの反応物が好適である。
前記反応物の反応方法としては、先ず、ジイソシアネート化合物の片方のイソシアネート基と含フッ素アルコールを反応させ、次に、もう一方のイソシアネート基とアクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂の水酸基を反応させることで、フッ素変性されたアクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂が容易に得られる。先にジイソシアネート化合物とアクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂を反応させる方法は、反応の制御が難しい為、所望しない高重合反応物ができやすく、又、フッ素変性も困難となる為、本発明で使用する含フッ素反応性樹脂の合成方法として不適切である。
ジイソシアネート化合物としては、合成反応の容易性から、2,4−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましい。これらウレタン化反応の触媒としては、例えば、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛などの有機金属系ウレタン化触媒や、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジアザビシクロウンデセンなどのアミン系触媒が使用できるが、その他公知のウレタン化触媒も使用できる。
含フッ素反応性樹脂の合成で使用するアクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂のアクリル化(メタクリル化)変性率は5〜100%、好ましくは10〜100%である。アクリル化(メタクリル化)変性率が5%未満の場合、フッ素変性可能な水酸基が少なくなり、フッ素変性による液晶汚染抑止効果が十分得られなくなる。
含フッ素アルコールはパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、パーフルオロポリエーテル基等の含フッ素基を持つ物であれば何でも良いが、パーフルオロポリエーテル基を持つ物が、高級なものでも液状の為、取り扱いが容易であり、反応物も液状物を得やすく好適に使用できる。又、含フッ素アルコールは得られる反応物の合成安定性の点でモノアルコールが良い。
かかるパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、パーフルオロポリエーテル基としては下記の基が例示されるが、これらに限定されるものではない。
2g+1
−C2g
(式中、gは1〜20、好ましくは2〜10の整数。)
Figure 2006323039

(式中、XはF又はCF基、p、qはp≧1、q≧1、2≦p+q≦50、特に2≦p+q≦20の整数、rは0≦r≦6の整数。)
Figure 2006323039

(式中、XはF又はCF基、u、vは1≦u≦40、0≦v≦40の整数。)
Figure 2006323039

(式中、wは1≦w≦30の整数。)
F(C2mO)2h
(式中、mは1〜6の整数、fは2〜100、好ましくは2〜30の整数、hは1〜3の整数。)
含フッ素反応性樹脂はシール剤の液晶汚染を防止する上で、高度にフッ素化されたものが望ましいが、含フッ素アルコール部が嵩高くなりすぎると、含フッ素反応性樹脂の硬化性が低下したり、主剤との相溶安定性が低下する問題が起きやすくなるため、含フッ素アルコールは炭素数が3〜100、好ましくは炭素数が5〜40であり、フッ素化率が70〜100%のものを使用するのが好ましい。尚、含フッ素アルコールのフッ素化率は下記式で示される。
含フッ素アルコールのフッ素化率=(フッ素原子数/(フッ素原子数+水酸基の水素を除く水素原子数))×100
フッ素変性されるベース樹脂のアルコール部に対する含フッ素アルコールによるフッ素変性率は、含フッ素アルコールの分子量及びフッ素化率にもよるが、10〜100%の範囲で行なうことで、十分な液晶汚染防止能が得られる。尚、含フッ素アルコールによる変性率は下記式で示される。
含フッ素アルコール変性率=(含フッ素アルコール量(モル数)/フッ素変性される樹脂の水酸基量(モル数))×100
含フッ素反応性樹脂の含フッ素量は5〜60質量%好ましくは10〜40質量%、その配合量は、主剤100質量部に対し、1〜50質量部、好ましくは2〜20質量部である。ここで、含フッ素反応性樹脂の含フッ素量は下記式で示される。
含フッ素反応性樹脂のフッ素含有率=(フッ素の占める質量/含フッ素反応性樹脂の質量)×100
含フッ素反応性樹脂の含フッ素量は、5質量%未満の場合、液晶汚染は十分に防止できず、60質量%を超えると、主剤との相溶安定性が低下する問題が起きやすくなる。又、含フッ素反応性樹脂の配合量が、1質量部未満の場合、十分な液晶汚染防止能力が得られない場合があり、50質量部を超えると、粘度が高くなり作業性が悪くなったり、基材に対する接着強度の低下が起きやすくなる問題がある。
[(C)熱硬化剤]
本発明に使用する熱硬化剤は、主剤に含まれるエポキシ基の硬化剤として機能するものであり、熱潜在性のものが液晶表示素子用シール剤組成物の保存安定性を向上させる点で好ましい。例えば、常温で固体であって熱硬化時に液化し、上記エポキシ基と反応するものを用いることができる。
このような熱硬化剤としては、例えば、アミンアダクト系化合物、有機酸ヒドラジド、又これらの硬化剤について、水素の一部あるいは全量をフッ素化したり、フルオロアルキル基やフルオロエーテル基等でフッ素変性したりしてフッ素系主剤との相溶性、反応性を高めたもの等を挙げることができる。
ここで、アミンアダクト系化合物としては、ジシアンジアミドや、味の素株式会社製の商品名アミキュア(アミキュアPN−23、アミキュアPN−H、アミキュアPN−31、アミキュアPN−D、アミキュアMY−24、アミキュアMY−H、アミキュアMY−D)が挙げられる。有機酸ヒドラジドとしては、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、味の素株式会社製の商品名アミキュア(アミキュアVDH、アミキュアUDH)、クエン酸トリヒドラジドが挙げられる。
これらの中でも、下記式で示されるアミキュアVDH、アミキュアUDHが比較的低融点であり、硬化性のバランスに優れているという点から好ましく用いることができる。
アミキュアVDH
(1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン)
Figure 2006323039
アミキュアUDH
(7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド)
Figure 2006323039
上記硬化剤は、平均粒径が0.1〜2μm、好ましくは0.5〜1.5μmであり、かつ90質量%累積時の粒径が4μm以下、特に3.5μm以下であるものを使用する。なお、ここでの平均粒径とは、レーザー回折散乱法を原理とした粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3000:日機装株式会社製)により測定した累積重量平均値D50(又はメジアン径)である。また、90質量%累積時の粒径も、レーザー回折法による粒度分布測定装置による測定値である。
ここで、上記潜在性硬化剤は、室温で固形のものであるから、その使用に際しては、前処理としてヘンシェルミキサー、ビーズミルなどアトライタ、ボールミル等の装置で湿式粉砕及び分級したものを使用し、更には三本ロール等で分散混練して、上記平均粒径90質量%累積時の粒径となるようにすること、更に好ましくは最大粒径が3μm以上のものがないようにするのがよい。
熱硬化剤の配合量は、エポキシ基を有する樹脂中のエポキシ基の量(mol)に対し、(エポキシ基の量(mol))/(熱硬化剤(mol))で表されるエポキシ当量比に換算して0.7〜1.2とすることが好ましい。エポキシ当量比が1.2を超えると未反応の熱硬化剤が残り、耐湿性に影響を与える恐れがあり、0.7未満であると未反応、未硬化のエポキシ樹脂が残り、液晶汚染の増大やシール剤硬化物の特性低下を引き起こす恐れがある。
また、熱硬化剤は室温で固形状であるため、使用に際しては、粉砕および分級し、主剤(液状成分)中に三本ロール等で分散混練し、熱硬化剤の最大粒子径を3μm未満とするのが好ましい。さらに、潜在性の熱硬化剤の保存安定性を向上させるため、熱硬化剤をマイクロカプセル化するか、又はシランカップリング剤等で予め表面処理等を行うのがよい。
以上述べた熱硬化剤は、1種単独あるいは2種以上組み合せて使用することができる。
[(D)光重合開始剤]
本発明に用いる光重合開始剤としては、ラジカル系、カチオン系のものが例示できるが、カチオン系光重合開始剤はそれ自身がイオン性不純物となって、液晶を電気的に汚染する場合があるため、ラジカル系光重合開始剤を用いるのが好ましい。
ラジカル系光重合開始剤としては、従来から公知のものを全て用いることができ、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン(ESACURE KIP−150:LAMBERTI S.p.A株式会社製)等のフェニルケトン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)フォスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルフォスフィンオキサイド等のベンゾイルフォスフィンオキサイド類が挙げられる。
又、含フッ素反応性樹脂との相溶性、反応性を高める目的で、上記フェニルケトン類を、例えば、米国特許5274179号公報、特許3310679号公報、特許3204976号公報、特開平7−89895号公報に記載の方法で、フッ素変性したものを用いることもできる。
上記ラジカル系光重合開始剤のうち、光硬化時にVOC(揮発性有機化合物)の発生が少ない点から、液晶表示素子用としては、特に、上記ESACURE KIP−150、ベンゾイルフォスフィンオキサイド類が好適である。
光重合開始剤の配合量は、(A)成分のアクリル(メタクリル)基等の感光成分を有する樹脂100質量部に対し、0.5〜10質量部、特に1〜6質量部の範囲とすることが好ましい。光重合開始剤の配合量が0.5質量部未満であると、光重合性、シール剤の硬化性が低下する場合があり、配合量が10質量部を超えると、光重合開始剤による液晶汚染が発生する場合や液晶表示素子用シール剤組成物の保存性が低下する場合がある。
以上述べた光重合開始剤は、1種単独又は2種類以上組み合せて使用することができる。
[(E)その他の添加剤]
本発明の液晶表示素子用シール剤組成物は、上記各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、下記成分(a)〜(f)を配合することができる。
(a)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、一分子あたり2個以上のエポキシ基を持ったものであればよく、従来から公知のものを全て使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等がエポキシ樹脂として挙げられる。又、これらのエポキシ樹脂の水素の一部又は全部をフッ素化したものなど含フッ素エポキシ樹脂を使用することもできる。
特に、耐熱性や耐湿性に優れるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂をエポキシ樹脂として用いるのが好ましい。又、エポキシ樹脂には、その合成過程で使用するエピクロルヒドリン由来の塩素が少量含まれるが、エポキシ樹脂における全塩素含有量は1500ppm以下とすることが好ましく、特に1000ppm以下とすることが好ましい。又、エポキシ樹脂に同重量のイオン交換水を加え、100℃、20時間の条件で抽出処理を行った後の水中塩素濃度が10ppm以下であることが好ましい。
以上述べたエポキシ樹脂は、1種単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
(b)アクリル(メタクリル)樹脂 アクリル(メタクリル)樹脂としては、例えば、ポリエステルアクリレート(メタクリレート)オリゴマ、ウレタンアクリレート(メタクリレート)オリゴマ、ポリエーテルアクリレート(メタクリレート)オリゴマ、エポキシアクリレート(メタクリレート)オリゴマ、シリコーンアクリレート(メタクリレート)オリゴマ等を用いることができるが、光硬化性や基材との接着性の点で、ウレタンアクリレート(メタクリレート)オリゴマ、エポキシアクリレート(メタクリレート)オリゴマを使用するのが好適である。上記したアクリル(メタクリル)樹脂は、1種単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
(c)硬化促進剤
上記熱硬化剤に加え、エポキシ基との反応性を促進する硬化促進剤を配合してもよい。特に、室温での保存安定性が良好で、100〜120℃に加熱した際にエポキシ基との反応性を促進する硬化促進剤を用いることが好ましい。
硬化促進剤としては、例えばイミダゾール誘導体である、2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアBノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールのトリメリット酸付加物、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールのトリメリット酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物が挙げられる。
硬化促進剤としては、又、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂100質量部、キュアダクトL−07N(商品名キュアダクト:四国化成工業株式会社製)11質量部、及びキュアダクトP−0505(同上)20質量部でアダクトした化合物が挙げられる。
硬化促進剤としては、さらに、例えば、脂肪族ポリアミンの誘導体である、富士化成工業株式会社製の商品名フジキュア(フジキュアFXR−1020、フジキュアFXR−1030、フジキュアFXR−1080)や、イミダゾールをエポキシ樹脂でマイクロカプセル化した旭化成株式会社製の商品名ノバキュア(ノバキュアLSA−H0116、ノバキュアLSA−H0112、ノバキュアLSA−H0202、ノバキュアLSA−0117、ノバキュアHXA−3792)が挙げられる。
硬化促進剤の配合量は、上記エポキシ系主剤100質量部に対し、0.1〜10質量部、特に0.5〜6質量部の範囲とすることが好ましい。配合量が0.1質量部未満であると硬化性が低下する場合があり、10質量部を超えると保存性が低下する場合がある。
また、上記硬化促進剤が室温で固形状の場合、使用に際しては、粉砕および分級し、更に三本ロール等で分散混練し、その最大粒子径を3μm未満とするのがよい。
以上述べた硬化促進剤は、1種単独あるいは2種以上組み合せて使用することができる。
(d)無機充填材 本発明の液晶表示素子用シール剤組成物には、膨張係数を小さくするために、従来から公知の各種無機充填材を添加することができる。無機充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、酸化チタン、シリカチタニア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、マグネシア、マグネシウムシリケート、タルク、マイカ等を挙げることができ、これらは1種単独あるいは2種類以上組み合せて使用することができる。特に、シリカ、アルミナ、タルクを1種単独あるいは2種類以上組み合せて使用することが好ましい。
無機充填材としては、最大粒径3μm以上のものの含有率が1質量%以下で、かつ平均粒子径0.5〜2μmのものを用いるのがよい。最大粒径3μm以上のものが1重量%を超えると、ガラス基板のギャップ出し精度が悪くなり、貼り合わせが困難になる。また、平均粒子径が0.5μm未満であると、粘度が高くなってニードルからのシール剤塗布量が低下し、塗布スピードの低下により生産性が劣化する。
無機充填材の配合量は、液晶表示素子用シール剤組成物中全体に対し、10〜50質量%、特に20〜40質量%とするのが好ましい。配合量が10質量%未満であると、膨張係数が大となり、硬化後に歪みを生じさせる場合があり、配合量が50質量%を超えると、組成物の粘度が高くなり、後から添加するスペーサー剤の分散性やガラス基板のギャップ出し精度が悪くなる。
上記無機充填材は、予めシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理することが好ましい。上記各カップリング剤は1種単独あるいは2種以上組み合せて使用することができる。特に、耐湿信頼性に優れ、吸湿劣化後の接着強度の低下が少ない液晶表示素子用シール剤組成物を得られる点で、シラン系カップリング剤を使用することが好ましい。
上記シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを用いることができる。
上記カップリング剤の配合量は、上記無機充填材100質量部に対して0.5〜5質量部程度とするのが好ましい。又、液晶表示素子用シール剤組成物として用いるエポキシ樹脂と、カップリング剤で表面処理した無機充填材とを予め減圧・混練処理するとより好ましい。
これにより、無機充填材表面とエポキシ樹脂の界面の濡れが良好となり、耐湿信頼性が格段に向上する。また、上記界面の濡れが良好となることで、無機充填材の樹脂への分散性が向上し、破壊強度の高い樹脂が得られる。これにより、耐湿試験後もシール剤と基材(ガラス板等)との接着強度が低下することなく、シール剤の決壊により液晶パネルの形成不能を防止できる。又、上記カップリング剤を、無機充填材の表面処理用途とは別個に、液晶表示素子用シール剤組成物に配合してもよい。このようにすると、シール剤の基材(ガラス基板等)への接着性が向上する。この場合のカップリング剤の配合量は、液晶表示素子用シール剤組成物全体の0.5〜2質量%とする。
(e)シランカップリング剤
本発明のシール剤組成物には、組成物のなじみを良くするために、従来より公知の各種シランカップリング剤を添加することができる。
上記シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。これらの中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用することが好ましく、耐湿信頼性に優れ、吸湿劣化後の接着強度の低下が少ない液晶表示素子用シール剤組成物を得ることができる。
上記カップリング剤を用いる場合、その使用量は、上記(A)〜(D)成分100質量部に対して、通常0.1〜5.0質量部であり、好ましくは0.3〜3.0質量部である。
(f)その他
本発明の液晶表示素子用シール剤組成物には、応力を低下させる目的で、シリコーンパウダー、シリコーンゴム、シリコーンオイル、又は熱可塑性樹脂(液状のポリブタジエンゴム、アクリルコアシェル樹脂等)を配合してもよい。さらに、液晶表示素子用シール剤組成物に、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、イオントラップ剤、その他の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて配合することができる。
[液晶表示素子用シール剤組成物の調製]
本発明の液晶表示素子用シール剤組成物は、上記各成分を、同時にまたは別々に攪拌、混合および分散させて製造することができる。攪拌、混合、分散に用いる装置は特に限定されないが、攪拌装置及び加熱装置を備えたライカイ機、三本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサー等を用いることができる。これら装置を適宜組み合わせてもよい。
本発明の液晶表示素子用シール剤組成物の粘度は、塗布性、形状保持性の点から通常、100〜500Pa・s(25℃)とすることが好ましい。
[液晶表示素子用シール剤組成物の適用]
本発明のシール剤組成物を液晶表示素子のシール剤として使用する場合、その適用方法は特に限定されないが、例えば、下記方法により液晶パネルの作製に適用することができる。本発明の液晶表示素子用シール剤組成物に、スペーサーとしてシリカファイバー(直径5μmの短繊維)が1質量%になるように配合し、真空撹拌脱泡装置で分散、脱泡を行い、シリンジに分取する。次に、ディスペンサー装置を使い、ガラス基板上に線幅が0.2mm、高さが0.05mmのパターンを描画した後、液晶(MLC−6628、メルク社製)をディスペンサー装置にて所定量、点塗布する。次に、このガラス基板を減圧下に置き(13.3Pa)、ガラス基板を重ね合わせる。その後、荷重が0.1kgf/cmになるように設定し、UV照射して(照度100mW/cm、光量2.5J/cm)仮止め(仮硬化)を行った後、ガラス基板を大気圧に戻す。次いで、ホットプレスにて120℃×1時間の条件でシール剤の加熱硬化及び液晶の再配向を行うことで、液晶パネルが作製される。
得られた液晶パネルについて、偏光フィルム及びバックライトを取り付け、点燈表示し、シール剤周辺の配向ムラの有無の確認、信頼性評価を行って、問題がないか確認することができる。
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において部、%はそれぞれ質量部、質量%を意味する。
[(A)主剤の合成例]
[合成例1]
50%部分メタクリル化エポキシ樹脂(a)の合成
撹拌装置、冷却管及び温度計を備えた1L丸底フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名 YD−8125:東都化成(株)製)172.5g、メタクリル酸43.1g、トリフェニルフォスフィン1g、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)0.13g、トルエン100gを仕込み、撹拌しながら原料を溶解させた後、100℃の温度で6時間反応させた。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で未反応のメタクリル酸を中和、除去した後、イオン交換水で洗浄を行い、精製を行った。洗浄後の水溶液のイオン伝導度を電気伝導率計(CM−30V:東亜ディーケーケー(株)製)で測定し、0.28mS/mであることを確認した。精製後の反応溶液を空気バブリングしながら、共沸脱水、及び減圧下、70℃で濃縮して、トルエンを完全除去精製することで部分メタクリル化エポキシ樹脂(a)を得た。
ここで得られた反応生成物のGPCを測定した。GPCから、25質量%が未反応のビスフェノールA型エポキシ樹脂、46質量%が一部メタクリル化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、29質量%が完全メタクリル化ビスフェノールA型樹脂(エポキシメタクリレート)の混合物であった。
Figure 2006323039
[エポキシ樹脂とメタクリル酸の反応生成物の水酸基保護物の合成]
[合成例2]
エポキシ樹脂とメタクリル酸の反応生成物の水酸基保護物(b)の合成
撹拌装置、冷却管及び温度計を備えた1L丸底フラスコに、先に合成した部分メタクリル化エポキシ樹脂(a)86.2g(水酸基当量431.2, 水酸基0.20モル)及びトリエチルアミン16.2g(0.16モル)をトルエン100mlに撹拌混合しておき(溶液1)、トリエチルシリルクロライド21.1g(0.14モル)をトルエン80mlに撹拌混合したもの(溶液2)を溶液1に室温で添加した。反応溶液はEtNHClの析出により白濁し、溶液温度は20℃から40℃まで上昇した。室温雰囲気中で12時間撹拌した後、吸引濾過にてアンモニウム塩を取除き、合成例1と同様にして、水洗、共沸脱水、減圧ストリップ処理をし、二級水酸基の70%がトリエチルシリル基で保護された部分メタクリル化エポキシ樹脂(b)を得た。
次に、得られた反応生成物のIRを測定した結果、二級水酸基由来のピーク、3500cm−1(O−H)が減少し、シリル化剤由来のピーク、1253cm−1(Si−C),1136cm−1(Si−O)を示した。
[合成例3]
エポキシ樹脂とメタクリル酸との反応生成物の水酸基保護物(c)の合成
撹拌装置、冷却管及び温度計を備えた1L丸底フラスコに、先に合成した部分メタクリル化エポキシ樹脂(a)86.2g(水酸基当量431.2, 水酸基0.20モル)及びピリジン4.7g(0.07モル)をトルエン100mlに撹拌混合しておき(溶液1)、アセチルクロライド4.7g(0.06モル)をトルエン50mlに撹拌混合したもの(溶液2)を溶液1に室温で添加した。反応溶液はピリジン塩酸塩の析出により白濁し、溶液温度は20℃から40℃まで上昇した。室温雰囲気中で12時間撹拌した後、吸引濾過にてピリジニウム塩を取除き、合成例1と同様にして、水洗、共沸脱水、減圧ストリップ処理をし、二級水酸基の30%がアセチル基で部分的に保護された部分メタクリル化エポキシ樹脂(c)を得た。
次に、得られた反応生成物のIRを測定した結果、二級水酸基由来のピーク、3500cm−1(O−H)が減少し、アセチル化剤由来のピーク、1747cm−1(C=O)を示した。
[合成例4]
エポキシ樹脂とメタクリル酸との反応生成物の水酸基保護物(d)の合成
撹拌装置、冷却管及び温度計を備えた500mL丸底フラスコに、先に合成した部分メタクリル化エポキシ樹脂(a)86.2g(水酸基当量431.2, 水酸基0.20モル)及びジブチル錫ジラウレート0.06gをトルエン100mlに撹拌混合しておき(溶液1)、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート24.7g(0.10モル)をトルエン25mlに撹拌混合したもの(溶液2)を溶液1に、反応液温度が25℃以下となるよう冷却を行ないながら、滴下した。その後、室温で30分、60℃で5時間熟成を行なった後、乾燥空気をバブリングしながら、トルエンを減圧ストリップし、二級水酸基の50%がトリエトキシシリルプロピルイソシアネート基で部分的に保護された部分メタクリル化エポキシ樹脂(d)を得た。
次に、得られた反応生成物のIRを測定した結果、二級水酸基由来のピーク、3500cm−1(O−H)が減少し、イソシアネート基由来のピーク2275cm−1(N=C=O)が消失し、アミド基由来のピーク3370cm−1を示した。
[合成例5]
エポキシ樹脂とメタクリル酸の反応生成物の水酸基保護物(e)の合成
撹拌装置、冷却管及び温度計を備えた1L丸底フラスコに、先に合成した部分メタクリル化エポキシ樹脂(a)86.2g(水酸基当量431.2, 水酸基0.20モル)及びトリエチルアミン24.2g(0.24モル)をトルエン100mlに撹拌混合しておき(溶液1)、トリエチルシリルクロライド33.1g(0.22モル)をトルエン100mlに撹拌混合したもの(溶液2)を溶液1に室温で添加した。反応溶液はEtNHClの析出により白濁し、溶液温度は20℃から40℃まで上昇した。室温雰囲気中で12時間撹拌した後、吸引濾過にてアンモニウム塩を取除き、合成例1と同様にして、水洗、共沸脱水、減圧ストリップ処理をし、二級水酸基の100%がトリエチルシリル基で保護された部分メタクリル化エポキシ樹脂(e)を得た。
次に、得られた反応生成物のIRを測定した結果、二級水酸基由来のピーク、3500cm−1(O−H)が消失し、シリル化剤由来のピーク、1253cm−1(Si−C)、1136cm−1(Si−O)を示した。
[(D)含フッ素反応性樹脂の合成例]
[合成例6]
100%メタクリル化エポキシ樹脂の合成
撹拌装置、冷却管及び温度計を備えた1L丸底フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:YD−8125、エポキシ当量172.5,東都化成(株)製)172.5g、メタクリル酸86.2g(1.0モル)、トリフェニルフォスフィン1g、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)0.25g、トルエン100gを仕込み、撹拌しながら原料を溶解させた後、100℃の温度で6時間反応させた。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で未反応のメタクリル酸を中和、除去した後、イオン交換水で洗浄を行い、精製を行った。洗浄後の水溶液のイオン伝導度を電気伝導率計(CM−30V、東亜ディーケーケー(株)製)で測定し、0.26mS/mであることを確認した。精製後の反応溶液を空気バブリングしながら、共沸脱水、及び減圧下、70℃で濃縮して、トルエンを完全除去精製することで100%メタクリル化エポキシ樹脂(水酸基当量258.7)を得た。
[合成例7]
含フッ素反応性樹脂(イ)の合成
攪拌装置および還流コンデンサーを具えた500mlのガラス製4ツ口セパラブルフラスコに溶剤ヘキサフルオロメタキシレン100g、2,4トルエンジイソシアネート24.4g(0.14モル)を仕込み、窒素雰囲気下、下記(8)式の含フッ素アルコール72.8g(0.14モル)を内温40℃以下となるように滴下した後、30分 攪拌し、更に70℃で90分間攪拌熟成し、イソシアネート価0.073モル/100gの反応溶液を得た。
Figure 2006323039
又、攪拌装置及び還流コンデンサーを具えた500mlのガラス製4ツ口セパラブルフラスコにヘキサフルオロメタキシレン100g、合成例1で得られた部分メタクリル化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(a)103.5g(水酸基当量431.2, 水酸基0.24モル)、ジブチル錫ジラウレート0.09gを仕込み、乾燥空気雰囲気下、予め調製しておいた上記の含フッ素アルコールと2,4トルエンジイソシアネートの反応溶液164.4g(イソシアネート基0.12モル)を内温25℃以下となるよう、氷水で冷却しながら滴下した。その後室温で30分 、更に70℃で5時間攪拌熟成した。反応後、乾燥空気バブリング下、攪拌減圧ストリップ可能な装置に反応溶液の入ったセパラブルフラスコをセットした後、60℃で溶媒を完全に留去し、フッ素含有率23%の含フッ素反応性樹脂183gを得た。この化合物を含フッ素反応性樹脂(イ)とする。
[合成例8]
含フッ素反応性樹脂(ロ)の合成
攪拌装置および還流コンデンサーを具えた500mlのガラス製4ツ口セパラブルフラスコに溶剤ヘキサフルオロメタキシレン100g、2,4トルエンジイソシアネート24.4g(0.14モル)を仕込み、窒素雰囲気下、上記(8)式の含フッ素アルコール72.8g(0.14モル)を内温40℃以下となるように滴下した後、30分 攪拌し、更に70℃で90分間攪拌熟成し、イソシアネート価0.073モル/100gの反応溶液を得た。又、攪拌装置及び還流コンデンサーを具えた500mlのガラス製4ツ口セパラブルフラスコにヘキサフルオロメタキシレン100g、合成例6で得られた100%メタクリル化ビスフェノールA型エポキシ樹脂62.1g(水酸基当量258.7, 水酸基0.24モル)、ジブチル錫ジラウレート0.07gを仕込み、乾燥空気雰囲気下、予め調製しておいた上記の含フッ素アルコールと2,4トルエンジイソシアネートの反応溶液164.4g(イソシアネート基0.12モル)を内温25℃以下となるよう、氷水で冷却しながら滴下した。その後室温で30分 、更に70℃で5時間攪拌熟成した。反応後、乾燥空気バブリング下、攪拌減圧ストリップ可能な装置に反応溶液の入ったセパラブルフラスコをセットした後、60℃で溶媒を完全に留去し、フッ素含有率29%の含フッ素反応性樹脂142gを得た。この化合物を含フッ素反応性樹脂(ロ)とする。
[合成例9]
含フッ素反応性樹脂(ハ)の合成
攪拌装置および還流コンデンサーを具えた500mlのガラス製4ツ口セパラブルフラスコにヘキサフルオロメタキシレン100g、2,4トルエンジイソシアネート24.4g(0.14モル)を仕込み、窒素雰囲気下、下記(9)式の含フッ素アルコール55.7g(0.14モル)を内温40℃以下となるように滴下した後、30分 攪拌し、更に70℃で1時間攪拌熟成し、イソシアネート価0.080モル/100gの反応溶液を得た。
Figure 2006323039
又、攪拌装置および還流コンデンサーを具えた500mlのガラス製4ツ口セパラブルフラスコにヘキサフルオロメタキシレン100g、合成例1で得られた部分メタクリル化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(a)103.5g(水酸基当量431.2, 水酸基0.24モル)、ジブチル錫ジラウレート0.09gを仕込み、乾燥空気雰囲気下、先述の含フッ素アルコールと2,4トルエンジイソシアネートの反応溶液150.0gを内温25℃以下となるよう、氷水で冷却しながら滴下した。その後室温で30分 、更に70℃で5時間攪拌熟成した。反応後、乾燥空気バブリング下、攪拌減圧ストリップ可能な装置に反応溶液の入ったセパラブルフラスコをセットした後、60℃で溶媒を完全に留去し、フッ素含有率17%の含フッ素反応性樹脂172gを得た。この化合物を「含フッ素反応性樹脂ハ」とする。
[実施例1〜4、比較例1〜3]
下記で示される主剤、熱硬化剤、光重合開始剤、含フッ素反応性樹脂、エポキシ変性熱可塑性樹脂、無機充填剤、シランカップリング剤を、表1に示した組成で配合してプラネタリーミキサーで均一に混練し、次に三本ロールで固形原料の最大粒子径が3μm未満になるまで充分に混合分散し、得られた混合物を真空脱泡処理して液晶表示素子用シール剤組成物を得た。
(A)主剤
前記部分メタクリル変性エポキシ樹脂及び水酸基保護の部分メタクリル変性エポキシ樹脂
(B)熱硬化剤
アミンアダクト系化合物(商品名:アミキュアVDH−J(上記した「アミキュアVDH」と同一の化合物であるが、これを粉砕して微粒子とし反応性を高めたもの、味の素株式会社製)
(C)光重合開始剤
ラジカル系光重合開始剤(ESACURE KIP−150、LAMBERTI S.p.A株式会社製)
(D)含フッ素反応性樹脂
前記含フッ素反応性樹脂
(E)その他添加剤
(a)エポキシ変性熱可塑性樹脂:アデカレジンEPR1415−1(旭電化工業株式会社製)
(d)無機充填材:シリカ(商品名SO−25H、アドマテックス株式会社製)
(e)カップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM−403、信越化学工業株式会社製)
各実施例の液晶表示素子用シール剤組成物の組成を表1に示す。表1中の数値は質量%を示す。
Figure 2006323039
[評価手法]
上記で得られた各液晶表示素子用シール剤組成物について、下記の諸試験を行って、諸特性を評価し、その結果を表1に示した。なお、各組成物の硬化条件は、まず、紫外線照射による光重合硬化(UV照射光量:2.5J/cm、UV照度:100mW/cm)、次いで、加熱硬化(120℃×1時間)とした。
(1)粘度
各液晶表示素子用シール剤組成物について、JIS Z−8803に準じ、測定温度25℃でE型粘度計を用い、粘度の値が安定した時点から2分経過後の粘度を測定した。
(2)ポットライフ 予め、各液晶表示素子用シール剤組成物を褐色ポリエチレン製容器に密封保存して冷凍保管庫(−20℃)に保管しておく。次にこの保管庫から各液晶表示素子用シール剤組成物を取出し、3時間かけて解凍して各液晶表示素子用シール剤組成物の温度を25℃とした。試料が25℃になった時点でのE型粘度計による初期粘度に対する、96時間放置後の粘度変化率に基づいて、ポットライフ(可使用時間)を次のとおり評価した。○:初期粘度に対する変化率が30%未満であり、ポットライフは良好かつ充分である。△:初期粘度に対する変化率が30から50%であり、ポットライフにやや問題がある。×:初期粘度に対する変化率が50%を超えており、ポットライフが短く不充分である。
(3)接着強度 液晶表示素子用シール剤組成物100部に、スペーサーとしてシリカファイバー(直径5μmφ短繊維)を1質量%配合し、真空攪拌脱泡装置で分散、脱泡を行いシリンジに分取した。次に、清浄なガラス基板(コーニング社製:1737、サイズ20mm角、厚さ0.7mm)の中心部に、前記スペーサー剤を分散させた液晶表示素子用シール剤組成物を塗布し、その基板に同サイズのガラス基板を重ね合わせて、厚み5μm、直径3mmになるように荷重を掛けた。その後、UV照射し(照度100mW/cm、光量2.5J/cm)、次いで、120℃×1時間の条件で熱硬化させた。得られたガラス面に支持基材を張り付け、接着用試験片を作成した。得られた試験片を島津製作所(株)製オートグラフ装置を用いて、引張りスピード5mm/分にて単位面積当たりの垂直剥離強度を測定した。
(4)液晶の配向不良域の測定(耐液晶汚染性の評価) 各液晶表示素子用シール剤組成物に、スペーサー(直径5μmの短繊維シリカファイバー)1重量%を配合し、真空攪拌脱泡装置で分散、脱泡を行い、この混合物をシリンジに充填した。次に、予め配向膜(日産化学社:サンエバーSE―150)を形成しラビング処理を施したガラス基板を用意し、この基板上に、ディスペンサー装置を用いて線幅0.3mm、高さ0.1mmのパターンを描画した後、液晶(メルク製 MLC−6267−000)を、ディスペンサー装置を用いて所定量だけ点塗布した。
次に、減圧下(13.3Pa)で、このガラス基板上に配向膜処理済みの別のガラス基板を重ね合せた。尚、この別のガラス基板には遮光部形成用のマスクが一部施されている。その後、両ガラス板に9.8kPaの荷重をかけて紫外線(照度100mW/cm、光量2.5J/cm)を照射し、仮止め(仮硬化)を行った後、大気圧に戻した。次いでホットプレスを用い、120℃、1時間の条件でシール剤の加熱硬化及び液晶の再配向を行い、液晶パネルを作成した。得られた液晶パネルについて、偏光顕微鏡でシール剤周辺の液晶の配向不良域を観察し、シール剤と液晶の界面からの液晶の配向不良幅を測定した。
(5)形状保持性(シール性の評価) 各液晶表示素子用シール剤組成物に、スペーサー(直径5μmの短繊維シリカファイバー)1重量%を配合し、真空攪拌脱泡装置で分散、脱泡を行い、この混合物をシリンジに充填した。次に、ガラス基板上に、ディスペンサー装置を用いて線幅0.3mm、高さ0.1mmのパターンを縦横それぞれ2cmの長さで四角形状に描画した後、上記液晶をディスペンサー装置を用いて所定量だけ点塗布し、別のガラス基板を重ね合せた。その後、両ガラス板に9.8kPaの荷重をかけて30分放置後、紫外線(照度100mW/cm、光量2.5J/cm)を照射し、仮止め(仮硬化)を行った後、大気圧に戻した。次いでホットプレスを用い、120℃、1時間の条件でシール剤の加熱硬化を行い、液晶パネルを作成した。
得られた液晶パネルについて、シール剤と液晶の界面を拡大鏡で観察し、シール剤の決壊及び液晶のシール剤への侵入の有無について観察し、次のとおり評価した。○:シール剤の決壊及びシール剤への液晶の侵入が無く、形状保持性は良好である。×:シール剤の決壊は認められないが、シール剤への液晶の侵入があり、形状保持性に問題がある。
表1から明らかなように、各実施例の液晶表示素子用シール剤組成物は、非液晶汚染性、接着性、作業性に優れ、又、得られたシール剤のシール性も優れたものとなった。一方、含フッ素反応性樹脂を使用しない比較例1の場合、非液晶汚染性が劣り、部分メタクリル化エポキシ樹脂の水酸基を保護しない比較例2の場合、ポットライフが悪く作業性が劣り、 含フッ素反応性樹脂を必要量以上に使用した比較例3の場合、高粘度で作業性が悪く、接着性も大きく劣ったものとなった。

Claims (8)

  1. (A)エポキシ樹脂とアクリル酸(メタクリル酸)の反応物である部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂の水酸基を、シリル化剤、アシル化剤、モノイソシアネート化合物から選択される化合物で部分的又は完全に保護した部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂
    (B)光又は/及び熱で硬化可能なフッ素含有率5〜60質量%の含フッ素反応性樹脂
    [但し、含フッ素反応性樹脂のフッ素含有率=(フッ素の占める質量/含フッ素反応性樹脂の質量)×100]
    (C)熱硬化剤
    (D)光重合開始剤
    を含有してなる液晶表示素子用シール剤組成物。
  2. (A)成分の部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂のアクリル化(メタクリル化)率が10〜90%であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
  3. (A)成分の部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂の水酸基保護率が10〜100%であることを特徴とする請求項1乃至2記載いずれか1項に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
  4. シリル化剤がクロロシラン類、シリルアミン類、シリルアミド類であることを特徴とする請求項1乃至3記載いずれか1項に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
  5. モノイソシアネート化合物が下記一般式(1)、(2)で示される化合物であることを特徴とする請求項1乃至3記載いずれか1項に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
    CH=CRC(=O)OCNCO (1)
    SiCNCO (2)
    (式中、Rは−H、−CHから選ばれる基であり、Rは−OC2n+1(nは1〜4の整数)である。)
  6. (B)含フッ素反応性樹脂が、アクリル(メタクリル)化エポキシ樹脂、ジイソシアネート化合物、及び含フッ素アルコールの反応物である請求項1乃至5記載いずれか1項に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
  7. (B)成分の、アクリル(メタクリル)化エポキシ樹脂のアクリル(メタクリル)化変性率が5〜100%である請求項1乃至6記載いずれか1項に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
  8. (B)含フッ素反応性樹脂の配合量が、(A)成分の水酸基を部分的又は完全に保護した部分アクリル化(メタクリル化)エポキシ樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることを特徴とする請求項1乃至7記載いずれか1項に記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
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