JP2006318750A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 燃料電池システムにおいて、システムの大型化・高コスト化、環境悪化を招くことなく、熱効率を向上し、早期かつ確実に加湿器・燃料電池を暖機する。
【解決手段】 燃料電池システムは、燃料極11および酸化剤極12にそれぞれ供給された燃料ガスおよび酸化剤ガスによって発電する燃料電池10と、燃料ガスを生成する改質部22と、可燃性燃料(改質部22からの燃料ガス)が供給されその可燃性燃料を燃焼しその燃焼ガスにより改質部22を加熱する燃焼部21と、加湿媒体(酸化剤極12から排出される酸化剤オフガス)と酸化剤ガスとの間で水蒸気交換することにより酸化剤ガスを加湿する加湿器14とを備えている。当該燃料電池システムが停止中であり、かつ、当該燃料電池システムの雰囲気温度が所定温度以下となれば、燃焼部21で燃焼ガスを生成しその燃焼ガスを加湿器14に少なくとも流通させて同加湿器14を暖機する。
【選択図】 図1
【解決手段】 燃料電池システムは、燃料極11および酸化剤極12にそれぞれ供給された燃料ガスおよび酸化剤ガスによって発電する燃料電池10と、燃料ガスを生成する改質部22と、可燃性燃料(改質部22からの燃料ガス)が供給されその可燃性燃料を燃焼しその燃焼ガスにより改質部22を加熱する燃焼部21と、加湿媒体(酸化剤極12から排出される酸化剤オフガス)と酸化剤ガスとの間で水蒸気交換することにより酸化剤ガスを加湿する加湿器14とを備えている。当該燃料電池システムが停止中であり、かつ、当該燃料電池システムの雰囲気温度が所定温度以下となれば、燃焼部21で燃焼ガスを生成しその燃焼ガスを加湿器14に少なくとも流通させて同加湿器14を暖機する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料極および酸化剤極にそれぞれ供給された燃料ガスおよび酸化剤ガスによって発電する燃料電池と、加湿媒体と酸化剤ガスとの間で水蒸気交換することにより酸化剤ガスを加湿する加湿器と、を備えた燃料電池システムに関する。
この燃料電池システムとして、燃料極および酸化剤極にそれぞれ供給された燃料ガスおよび酸化剤ガスによって発電する燃料電池と、酸化剤極から排出される酸化剤オフガスと酸化剤ガスとの間で水蒸気交換することにより酸化剤ガスを加湿する加湿器と、を備えたものはよく知られている。このような燃料電池システムの停止時において、燃料電池システムの設置されている場所の雰囲気温度が低温となった場合、燃料電池システム特に加湿器の凍結防止が望まれている。
燃料電池システムの凍結防止対策の一形式として、特許文献1「固体高分子形燃料電池発電装置」に示されているものが知られている。特許文献1の図1に示されているように、固体高分子形燃料電池発電装置は、改質器3、CO変成器4、CO除去器5、起動時に各反応器が安定するまで水素を燃焼するプロセスガスバーナ34、燃料電池6、燃料電池を冷却するための水を収納した水タンク21、温水を蓄える貯湯タンク50などを備え、装置停止時に水系統が凍結する恐れがある場合は、それを検知してプロセスガスバーナ34を作動させて貯湯タンク50の温水を水系統の一部あるいは全部に循環して送って凍結防止するようになっている。
また、他の形式として、特許文献2「燃料電池システム」に示されているものが知られている。特許文献2の図1に示されているように、燃料電池システムは、原料を水素を含んだ改質ガスに改質する改質器1と、改質器1に原料を供給する原料供給手段2と、改質のために改質器1を加熱する加熱手段3と、改質器1から供給される改質ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電する燃料電池4と、所定箇所の温度を検出する温度検出手段18とを備えている。温度検出手段18が閾値以下の温度を検出した場合には、改質器1においてバーナ3で加熱された原料が、燃料電池システム内を水素供給経路5、燃料電池4、排水素経路8の水素経路凝縮器8a、水素経路凝縮水タンク8b、及びバーナ3の順に通流し、それによって、各経路内の残留水及び水素経路凝縮水タンク8b内の凍結が防止されるようになっている。
また、加湿装置の両端での温度低下を抑制するものとして、特許文献3「ガスの加湿装置」に示されているものが知られている。特許文献3の図4に示されているように、加湿装置10は、圧力媒体導入口98、106と圧力媒体導出口100、108とに連通して第1および第2圧力室26、74に圧力媒体を循環供給するための循環系110を備える。循環系110は、圧力媒体として、例えば圧力水を貯留する水タンク112を有し、この水タンク112と加湿装置10とを連通する循環路114には、水循環用ポンプ116と、圧力水の温度調整を行う温度制御手段を構成するヒータ118と、圧力調整レギュレータ120と、流量制御バルブ122とが配設される。ヒータ118および流量制御バルブ122は、CPU124を介して駆動制御されており、このCPU124には、加湿装置10内に配置された図示しない温度検出センサからの温度信号が入力される。CPU124は、入力した温度信号に基づいてヒータ118および流量制御バルブ122を制御することにより、加湿装置10内の温度分布を均一化することができる。特許文献3は、加湿装置10の両端での温度低下を抑制するものである。
また、空調制御システムの管内凍結防止するものとして、特許文献4「空調制御システムにおける調節弁制御方法」に示されているものが知られている。特許文献4の図1に示されているように、管内凍結防止時、凍結の虞れのある調節弁を1グループとして、一括して全開とするようになっている。
また、凍結防止弁として、特許文献5「凍結防止弁」に示されているものが知られている。特許文献5の図1に示されているように、凍結防止弁は、弁ケーシングで入口4と出口5を形成し、入口4と出口5の間に環状弁座6を設け、環状弁座6の入口側にディスク状弁体7を配置し、ディスク状弁体7を開弁方向に付勢する弾性部材10を設け、低温時にディスク状弁体7を開弁方向に付勢する温度応動部材11を設けたものである。入口4側の流体の温度が所定以下になると、ディスク状弁体7が環状弁座6から離座して出口5を開口し、入口4の低温復水を出口5から系外に排除するようになっている。
特開2002−216824号公報(第2−7頁、第1,2図)
特開2004−6270号公報(第2−10頁、第1図)
特開平10−172592号公報(第2−5頁、第4図)
特開平08−271011号公報(第2−5頁、第1図)
特開2003−207063号公報(第2−3頁、第1図)
燃料電池システムの停止時において、燃料電池システムの設置されている場所の雰囲気温度が低温となった場合、燃料電池システム特に加湿器の凍結防止が望まれている。
しかし、上述した特許文献1に記載の固体高分子形燃料電池発電装置においては、貯湯タンク50の温水を水系統の一部あるいは全部に循環して送って凍結防止するようになっている。この技術を加湿器の凍結防止に適用しようとすると、加湿器に温水を循環させる構造が必要となり、装置の大型化・高コストを招くという問題がある。
しかし、上述した特許文献1に記載の固体高分子形燃料電池発電装置においては、貯湯タンク50の温水を水系統の一部あるいは全部に循環して送って凍結防止するようになっている。この技術を加湿器の凍結防止に適用しようとすると、加湿器に温水を循環させる構造が必要となり、装置の大型化・高コストを招くという問題がある。
また、上述した特許文献2に記載の燃料電池システムにおいては、改質器1においてバーナ3で加熱された原料が、燃料電池システム内を水素供給経路5、燃料電池4、排水素経路8の水素経路凝縮器8a、水素経路凝縮水タンク8b、及びバーナ3の順に通流し、それによって、各経路内の残留水及び水素経路凝縮水タンク8b内の凍結が防止されるようになっている。この技術を加湿器の凍結防止に適用しようとすると、原料を加湿器に直接投入することになり、加湿器の水透過膜を損傷するという問題があり、またそのまま外部に排気するのは環境上問題がある。
また、上述した特許文献3では、圧力水を循環供給しているので、圧力水を循環させる構造が必要であり、装置の大型化・高コストを招くという問題がある。
また、上述した特許文献3では、圧力水を循環供給しているので、圧力水を循環させる構造が必要であり、装置の大型化・高コストを招くという問題がある。
本発明は、上述した各問題を解消するためになされたもので、燃料電池システムにおいて、システムの大型化・高コスト化、環境悪化を招くことなく、熱効率を向上し、早期かつ確実に加湿器・燃料電池を暖機することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、燃料極および酸化剤極にそれぞれ供給された燃料ガスおよび酸化剤ガスによって発電する燃料電池と、燃料ガスを生成する改質部と、可燃性燃料が供給されその可燃性燃料を燃焼しその燃焼ガスにより改質部を加熱する燃焼部と、加湿媒体と酸化剤ガスとの間で水蒸気交換することにより酸化剤ガスを加湿する加湿器と、を備えた燃料電池システムにおいて、当該燃料電池システムが停止中であり、かつ、当該燃料電池システムの雰囲気温度が所定温度以下となれば、燃焼部で燃焼ガスを生成しその燃焼ガスを加湿器に少なくとも流通させて同加湿器を暖機することである。
また請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、当該燃料電池システムが停止中であり、かつ、当該燃料電池システムの雰囲気温度が所定温度以下となれば、燃焼部で燃焼ガスを生成しその燃焼ガスを加湿器および燃料電池に流通させてそれら加湿器および燃料電池を暖機することである。
また請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または請求項2において、燃焼ガスが流通する流通時間は所定時間以下であることである。
また請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または請求項2において、燃焼ガスに酸化剤ガスを加えて加湿器に供給することである。
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、当該燃料電池システムが停止中であり、かつ、当該燃料電池システムの雰囲気温度が所定温度以下となれば、燃焼部で燃焼ガスを生成しその燃焼ガスを加湿器に少なくとも流通させて同加湿器を暖機するので、既設の設備を利用して大型化・高コスト化を招くことなく加湿器を暖機することができる。また、燃料電池システムの運転中に酸化剤オフガス・酸化剤ガスが流通している流路に燃焼ガスを流通して流路を直接加熱するので、暖機したい部位を早期かつ確実に暖機することができる。
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1に係る発明において、当該燃料電池システムが停止中であり、かつ、当該燃料電池システムの雰囲気温度が所定温度以下となれば、燃焼部で燃焼ガスを生成しその燃焼ガスを加湿器および燃料電池に流通させてそれら加湿器および燃料電池を暖機するので、加湿器だけでなく燃料電池も上述した作用効果を享受して暖機することができる。
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項1または請求項2に係る発明において、燃焼ガスが流通する流通時間は所定時間以下であるので、高温である燃焼ガスが加湿器のみまたは加湿器および燃料電池に必要以上に流通することを防止し、加湿器の水透過膜および燃料電池の電極触媒の熱による損傷を防止することができる。
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、請求項1または請求項2に係る発明において、燃焼ガスに酸化剤ガスを加えて流通するので、高温である燃焼ガスに低温である酸化剤ガスを混合して降温して加湿器のみまたは加湿器および燃料電池に流通させるので、加湿器の水透過膜および燃料電池の電極触媒の熱による損傷を防止することができる。
1)第1実施形態
以下、本発明による燃料電池システムの第1実施形態について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは燃料電池10とこの燃料電池10に必要な水素ガスを含む改質ガス(燃料ガス)を生成する改質器20を備えている。
以下、本発明による燃料電池システムの第1実施形態について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは燃料電池10とこの燃料電池10に必要な水素ガスを含む改質ガス(燃料ガス)を生成する改質器20を備えている。
燃料電池10は、燃料極11と酸化剤極である空気極12と両極11,12間に介在された電解質13(本実施形態では高分子電解質膜)を備えており、燃料極11に供給された改質ガスおよび空気極12に供給された酸化剤ガスである空気(カソードエア)を用いて発電するものである。なお、空気の代わりに空気の酸素富化したガスを供給するようにしてもよい。
改質器20は、燃料(改質用燃料)を水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを燃料電池10に供給するものであり、燃焼器であるバーナ(燃焼部)21、改質部22、一酸化炭素シフト反応部(以下、COシフト部という)23および一酸化炭素選択酸化反応部(以下、CO選択酸化部という)24から構成されている。燃料としては天然ガス、LPG、灯油、ガソリン、メタノールなどがあり、本実施の形態においては天然ガスにて説明する。
バーナ(燃焼部)21は、可燃性燃料が供給されその可燃性燃料を燃焼しその燃焼ガスにより改質部22を加熱するもの、すなわち改質部22を加熱して水蒸気改質反応に必要な熱を供給するための燃焼ガスを生成するものである。このバーナ21は、起動した後改質用燃料の供給開始までの間は、外部から供給される燃焼用燃料を燃焼用空気で燃焼し、改質用燃料の供給開始以降から定常運転開始までにおいては、CO選択酸化部24から直接供給される改質ガスを燃焼用空気で燃焼し、そして、定常運転時に燃料電池10の燃料極11から供給されるアノードオフガス(燃料電池に供給され使用されずに排出された改質ガス)を燃焼用空気で燃焼し、その燃焼ガスを改質部22に導出するものである。なお、改質ガスまたはアノードオフガスの熱量不足は燃焼用燃料で補充するようになっている。この燃焼ガスは改質部22を(同改質部22の触媒の活性温度域となるように)加熱し、その後燃焼ガス排気管63を通って外部に排出されるようになっている。なお、燃焼用燃料は制御装置90の指令により駆動する燃焼用燃料ポンプ21aによって供給され、燃焼用空気は制御装置90の指令により駆動する燃焼用空気ポンプ21bによって供給されるようになっている。また、可燃性燃料は、上述した燃焼用燃料、改質ガス、アノードオフガスである。可燃性燃料は、改質部22によって生成される改質ガス(燃料ガス)だけでなく、改質部22に供給される改質用燃料(天然ガス等)など、可燃性の燃料であれば他のものを用いてもよい。
改質部22は、外部から供給された改質用燃料に蒸発器25からの水蒸気(改質水)を混合した混合ガスを改質部22に充填された触媒により改質して水素ガスと一酸化炭素ガスを生成している(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気を水素ガスと二酸化炭素とに変成している(いわゆる一酸化炭素シフト反応)。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)はCOシフト部23に導出される。
COシフト部23は、この改質ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気をその内部に充填された触媒により反応させて水素ガスと二酸化炭素ガスとに変成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度が低減されてCO選択酸化部24に導出される。
CO選択酸化部24は、改質ガスに残留している一酸化炭素と外部からさらに供給されたCO酸化用の空気(エア)とをその内部に充填された触媒により反応させて二酸化炭素を生成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度がさらに低減されて(10ppm以下)燃料電池10の燃料極11に導出される。
蒸発器25は、一端が貯水器50内に配置され他端が改質部22に接続された改質水供給管68の途中に配設されている。改質水供給管68には改質水ポンプ53が設けられている。このポンプ53は制御装置90によって制御されており、貯水器50内の改質水として使用する回収水を蒸発器25に圧送している。蒸発器25は例えばバーナ21から排出される燃焼ガス(または改質部22、COシフト部23などの排熱)によって加熱されており、これにより圧送された改質水を水蒸気化する。
燃料電池10の燃料極11の導入口には改質ガス供給管64を介してCO選択酸化部24が接続されており、燃料極11に改質ガスが供給されるようになっている。燃料極11の導出口にはオフガス供給管65を介してバーナ21が接続されており、燃料電池10から排出されるアノードオフガスをバーナ21に供給するようになっている。改質ガス供給管64とオフガス供給管65の間には燃料電池10をバイパスして改質ガス供給管64およびオフガス供給管65を直結するバイパス管67が設けられている。改質ガス供給管64にはバイパス管67との分岐点と燃料電池10との間に第1改質ガスバルブ64aが設けられている。オフガス供給管65にはバイパス管67との合流点と燃料電池10との間にオフガスバルブ65aが設けられている。バイパス管67には第2改質ガスバルブ67aが設けられている。第1および第2改質ガスバルブ64a,67aおよびオフガスバルブ65aはそれぞれの管を開閉するものであり、制御装置90により制御されている。起動運転時には、改質器20から一酸化炭素濃度の高い改質ガスを燃料電池10に供給するのを回避するため、第1改質ガスバルブ64aおよびオフガスバルブ65aを閉じ第2改質ガスバルブ67aを開き、定常運転時には、改質器20からの改質ガスを燃料電池10に直接供給するため、第1改質ガスバルブ64aおよびオフガスバルブ65aを開き第2改質ガスバルブ67aを閉じている。
また、燃料電池10の空気極12の導入口には、空気供給管61が接続されており、空気極12内に空気(カソードエア)が供給されるようになっている。燃料電池10の空気極12の導出口には、カソードオフガス排気管62が接続されており、空気極12からの空気(カソードオフガス)が外部に排出されるようになっている。
また、これら空気供給管61およびカソードオフガス排気管62の途中には、空気極12から排出される酸化剤オフガスであるカソードオフガスによって空気極12に供給されるカソードエアを加湿する加湿器14が両管61,62を跨ぐように設けられている。加湿器14は、加湿媒体である空気極12から排出されるカソードオフガスと酸化剤ガスであるカソードエアとの間で水蒸気交換することにより酸化剤ガスを加湿する水蒸気交換型であり、カソードオフガス排気管62中すなわち空気極12から排出される気体中の水蒸気を空気供給管61中すなわち空気極12へ供給される空気中に供給して加湿するものである。すなわち、加湿器14は、水蒸気のみを透過する膜14a(例えば、中空糸膜、イオン交換膜などの水透過膜)を挟んで加湿元の気体すなわち加湿媒体(カソードオフガス)と加湿したい気体(カソードエア)を流通させ、加湿元の気体中の水蒸気が膜14aを透過して加湿したい気体を加湿する膜透過型加湿器である。加湿媒体としては、酸化剤極(空気極12)から排出される酸化剤オフガス(カソードオフガス)だけでなく、冷却水(FC冷却水)など、酸化剤ガスに水蒸気を供給できる水を含むものであれば他のものを用いてもよい。
また、空気供給管61には、加湿器14をバイパスするバイパス路61aが設けられるとともに、バイパス路61aには加湿器14を流れるカソードエアの流量と加湿器14をバイパスしてバイパス路61aを流れるカソードエアの流量を調整する流量調整器61b(流量調整手段;例えば電磁バルブ)が設けられている。この流量調整器61bは、起動運転時には、全開状態となりカソードエアをバイパス路61aに流通させるようになっている。空気供給管61には加湿器14の上流であって分岐点の上流にカソードエアポンプ61cおよびシャット弁61dが設けられている。カソードエアポンプ61cはカソードエアを燃料電池10の空気極12に供給するカソードエア(酸化剤ガス)供給手段であり、制御装置90によって制御されてその流量(送出量)が制御されるようになっている。シャット弁61dは、空気供給管61を開閉するものであり、制御装置90により制御されている。
さらに、カソードオフガス排気管62には加湿器14をバイパスするバイパス路62aが設けられるとともに、バイパス路62aには加湿器14を流れるカソードオフガスの流量と加湿器14をバイパスしてバイパス路62aを流れるカソードオフガスの流量を調整する流量調整器62b(流量調整手段;例えば電磁バルブ)が設けられている。カソードオフガス排気管62には加湿器14の上流であって分岐点の上流にカソードオフガスバルブ62cが設けられている。このカソードオフガスバルブ62cは、カソードオフガス排気管62を開閉するものであり、制御装置90により制御されている。カソードオフガス排気管62には加湿器14の下流であってバイパス路62aの合流点の下流にカソードオフガス用凝縮器33、シャット弁62dが設けられている。シャット弁62dは、カソードオフガス排気管62を開閉するものであり、制御装置90により制御されている。
なお、シャット弁61d,62dは、システム運転時には開状態にされ、システム停止時には閉状態にされ空気供給管61、カソードオフガス排気管62を閉鎖する。また、加湿器14と燃料電池10は、隣接して一体的に配設されており、この一体構造体の外壁面に流量調整器61b,62b、およびシャット弁61d,62dが一体的に取り付けられている。
そして、制御装置90は、流量調整器61b,62b、カソードエアポンプ61cを制御して、加湿器14を流れるカソードオフガスおよび/またはカソードエアの流量を調整することにより、燃料電池10の温度に応じて空気極12内の水分状態を良好な状態(適切な加湿状態)としている。
さらに、カソードオフガス排気管62には、カソードオフガスバルブ62cと加湿器14の間に、燃焼ガスが流通する燃焼ガス排気管63の燃焼ガス用凝縮器34の下流位置から分岐した接続管63aが接続されている。これにより、燃焼部21からの燃焼ガスは燃焼ガス排気管63、接続管63a、およびカソードオフガス排気管62(加湿器14)を通って外部に排出可能となる。接続管63aには第1燃焼ガスバルブ63bが設けられている。この第1燃焼ガスバルブ63bは、接続管63aを開閉するものであり、制御装置90により制御されている。また、燃焼ガス排気管63には、接続管63aとの分岐点の下流に第2燃焼ガスバルブ63cが設けられている。この第2燃焼ガスバルブ63cは、燃焼ガス排気管63を開閉するものであり、制御装置90により制御されている。これにより、システム運転時には、第1燃焼ガスバルブ63bが閉状態、第2燃焼ガスバルブ63cが開状態とされ、燃焼ガスは接続管63aを通らないで外部に排出される。システム停止時には加湿器14の凍結防止するために、第1燃焼ガスバルブ63bが開状態、第2燃焼ガスバルブ63cが閉状態とされ、燃焼ガスは接続管63a、カソードオフガス排気管62を通って外部に排出され、このとき加湿器14を加熱する。
また、改質ガス供給管64、オフガス供給管65、カソードオフガス排気管62および燃焼ガス排気管63の途中には、それぞれ改質ガス用凝縮器31、アノードオフガス用凝縮器32、カソードオフガス用凝縮器33および燃焼ガス用凝縮器34が設けられている。これら各凝縮器31〜34は、図面上は分離しているが、一体的に接続された一体構造体である凝縮器30を構成している。改質ガス用凝縮器31は改質ガス供給管64中を流れる燃料電池10の燃料極11に供給される改質ガス中の水蒸気を凝縮する。アノードオフガス用凝縮器32は、燃料電池10の燃料極11と改質器20のバーナ21とを連通するオフガス供給管65の途中に設けられており、そのオフガス供給管65中を流れる燃料電池10の燃料極11から排出されるアノードオフガス中の水蒸気を凝縮する。カソードオフガス用凝縮器33は、カソードオフガス排気管62に設けられており、そのカソードオフガス排気管62中を流れる燃料電池10の空気極12から排出されるカソードオフガス中の水蒸気を凝縮する。燃焼ガス用凝縮器34は燃焼ガス排気管63に設けられており、その燃焼ガス排気管63中を流れる改質部22から排出される燃焼排ガス中の水蒸気を凝縮する。これら凝縮器31〜34においては、凝縮冷媒が各凝縮器31〜34を流通する各ガスと熱交換して各ガスの顕熱・潜熱を回収し昇温する。
これら凝縮器31〜34は配管66を介して純水器40に連通しており、各凝縮器31〜34にて凝縮された凝縮水は、純水器40に導出され回収されるようになっている。純水器40は、凝縮器30から供給された凝縮水すなわち回収水を内蔵のイオン交換樹脂によって純水にするものであり、純水化した回収水を貯水器50に導出するものである。なお、貯水器50は純水器40から導出された回収水を改質水として一時的に溜めておくものである。また、純水器40には水道水供給源(例えば水道管)から供給される補給水(水道水)を導入する配管が接続されており、純水器40内の貯水量が下限水位を下回ると水道水が供給されるようになっている。
さらに、燃料電池システムは、貯湯水を貯湯する貯湯槽71と、凝縮冷媒循環回路75とは独立して設けられ貯湯水が循環する貯湯水循環回路72と、燃料電池10と熱交換する燃料電池熱媒体であるFC冷却水が循環する燃料電池熱媒体循環回路であるFC冷却水循環回路73と、貯湯水と燃料電池熱媒体との間で熱交換が行われる第1熱交換器74と、燃料電池10から排出される排熱および/または改質器20にて発生する排熱を少なくとも回収した水を含む液体である熱媒体(凝縮冷媒)が循環する熱媒体循環回路である凝縮冷媒循環回路75と、貯湯水と凝縮冷媒との間で熱交換が行われる第2熱交換器76と、が備えられている。これにより、燃料電池10の発電にて発生した排熱(熱エネルギー)は、FC冷却水に回収され、第1熱交換器74を介して貯湯水に回収されて、この結果貯湯水を加熱(昇温)する。また、燃料電池10から排出されるオフガス(アノードオフガスおよびカソードオフガス)の排熱(熱エネルギー)および改質器20にて発生した排熱(熱エネルギー)は、凝縮器30を介して凝縮冷媒に回収され、第2熱交換器76を介して貯湯水に回収されて、この結果貯湯水を加熱(昇温)する。改質器20にて発生する排熱には、改質ガスの排熱、バーナ21からの燃焼排ガスの排熱、および改質器20と熱交換する排熱(改質器自身の排熱)が含まれている。なお、本明細書中および添付の図面中の「FC」は「燃料電池」の省略形として記載している。
貯湯槽71は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温度が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温度が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽71の柱状容器の下部には水道水などの水(低温の水)が補給され、貯湯槽71に貯留された高温の温水が貯湯槽71の柱状容器の上部から導出されるようになっている。また、貯湯槽71は密閉式であり、水道水の圧力がそのまま内部、ひいては貯湯水循環回路72にかかる形式のものである。
貯湯水循環回路72の一端および他端は貯湯槽71の下部および上部に接続されている。貯湯水循環回路72上には、一端から他端に順番に貯湯水循環手段である貯湯水循環ポンプ72a、第2熱交換器76、および第1熱交換器74が配設されている。貯湯水循環ポンプ72aは、貯湯槽71の下部の貯湯水を吸い込んで貯湯水循環回路72を通水させて貯湯槽71の上部に吐出するものであり、制御装置90によって制御されてその流量(送出量)が制御されるようになっている。これにより、貯湯水は、第2熱交換器76、第1熱交換器74をその順番に流通し、第2熱交換器76にて凝縮冷媒からの熱を回収し第1熱交換器74にてFC冷却水からの熱を回収する。
FC冷却水循環回路73上には、FC冷却水循環手段であるFC冷却水循環ポンプ73aが配設されており、このFC冷却水循環ポンプ73aは、制御装置90によって制御されてその流量(送出量)が制御されるようになっている。また、FC冷却水循環回路73上には第1熱交換器74が配設されている。これにより、FC冷却水は、燃料電池10に流通され、燃料電池10で発生する熱を回収し昇温し、その熱が第1熱交換器74にて貯湯水に回収され降温して再び燃料電池10を流通する。
凝縮冷媒循環回路75上には、凝縮冷媒循環手段である凝縮冷媒循環ポンプ75aが配設されている。この凝縮冷媒循環ポンプ75aは、矢印方向へ凝縮冷媒を流すようになっており、制御装置90によって制御されてその流量(送出量)が制御されるようになっている。また、凝縮冷媒循環回路75上には、第2熱交換器76が配設されている。さらに、凝縮冷媒循環回路75上には、第2熱交換器76から下流に順番にラジエータ77、凝縮冷媒循環ポンプ75a、アノードオフガス用凝縮器32、燃焼ガス用凝縮器34、カソードオフガス用凝縮器33、および改質ガス用凝縮器31が配設されている。ラジエータ77は、凝縮冷媒を冷却する冷却手段であり、制御装置90の指令によってオン・オフ制御されており、オン状態のときには凝縮冷媒を冷却し、オフ状態のときには冷却しないものである。
さらに、燃料電池システムは、燃料電池システムの雰囲気温度を検出する雰囲気温度検出手段である温度センサ80を備えており、温度センサ80はその検出結果を制御装置90に出力するようになっている。この温度センサ80は燃料電池システムが設置されている場所の温度を測定できる場所に設置してもよいし、燃料電池システムを収容している筐体内に設置してもよい。加湿器14・燃料電池10の近くに設置するのが好ましい。
また、上述した温度センサ80、各ポンプ21a,21b,53,61c,72a,73a,75a、各バルブ62c,63b,63c,64a,67a,65a、流量調整器61b,62b、シャット弁61d,62dおよびバーナ21は制御装置90に接続されている(図2参照)。制御装置90はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、温度センサ80が検出した温度に基づいて各ポンプ21a,21b,53,61c,72a,73a,75a、各バルブ62c,63b,63c,64a,67a,65a、流量調整器61b,62b、シャット弁61d,62dおよびバーナ21を制御してシステム停止中の凍結防止を実行している。RAMはシステムの運転を制御する制御プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記制御プログラムを記憶するものである。
次に、上述した燃料電池システムの凍結防止作動について説明する。まず、燃料電池システムが停止されると、燃料ガス(改質ガス)、燃焼ガスのパージ処理を実行し、その後、燃料電池システムの運転が開始されるまで燃料ガス系および燃焼ガス系は閉鎖されたままである。燃料ガス系は、主として改質部22に改質用燃料を供給する供給管(図示省略)、改質部22、COシフト部23、CO選択酸化部24、改質ガス供給管64、燃料電池10の燃料極11、およびオフガス供給管65から構成されている。燃焼ガス系は、主としてバーナ21に燃焼用燃料を供給する供給管(図示省略)、バーナ21、および燃焼ガス排気管63から構成されている。燃料ガス系の閉鎖は、改質部22に改質用燃料を供給する供給管の閉鎖、オフガスバルブ65aの閉状態によるオフガス供給管65の閉鎖、および第2改質ガスバルブ67aの閉状態によるバイパス管67の閉鎖により実行される。燃焼ガス系の閉鎖は、バーナ21に燃焼用燃料を供給する供給管の閉鎖、第2燃焼ガスバルブ63cの閉状態による燃焼ガス排気管63の閉鎖、および第1燃焼ガスバルブ63bの閉状態による接続管63aの閉鎖により実行される。また、シャット弁61d,62dの閉状態により空気供給管61およびカソードオフガス排気管62がそれぞれ閉鎖されている。
このような燃料電池システムの停止中にあって、温度センサ80は所定の短時間毎に燃料電池システムの雰囲気温度を検出しており、検出温度が所定温度(例えば1℃)以下となれば、制御装置90は凍結防止制御を開始する。具体的には、制御装置90は、バーナ21に燃焼用燃料を供給する供給管の閉鎖を解除して、バーナ21に燃焼用燃料を供給可能とする。また、制御装置90は、第2燃焼ガスバルブ63cの閉状態を維持し、第1燃焼ガスバルブ63bおよびシャット弁62dを開状態とし、カソードオフガスバルブ62cを閉状態とする。これにより、バーナ21は、燃焼ガス排気管63、接続管63a、およびカソードオフガス排気管62を介して外気と連通する。また、制御装置90は、流量調整器62bを閉状態としている。
そして、制御装置90は、燃焼用燃料ポンプ21aおよび燃焼用空気ポンプ21bを駆動して燃焼用燃料および燃焼用空気をバーナ21に供給し、バーナ21を着火する。これによりバーナ21において燃焼が開始され燃焼ガスが生成される。その燃焼ガスは、燃焼ガス排気管63、接続管63a、およびカソードオフガス排気管62を通って外部に排出される。これと並行して、制御装置90は、凝縮冷媒循環ポンプ75aを駆動しており、凝縮冷媒は凝縮冷媒循環回路75を循環している。また、貯湯水循環ポンプ72aを駆動しており、貯湯水は貯湯水循環回路72を循環している。したがって、燃焼ガスは燃焼ガス用凝縮器34を流通する際に燃焼ガス用凝縮器34にて降温され(例えば100℃)、降温された燃焼ガスは加湿器14を流通する際に加湿器14を暖機(加熱)するとともにさらに降温され、さらに降温された燃焼ガスはカソードオフガス用凝縮器33を流通する際にカソードオフガス用凝縮器33にてさらに降温され(例えば60℃)、その後外部に排出される。また、燃焼ガスが流通している間、その排熱を回収して貯湯水を昇温している。
上述の説明から明らかなように、この第1実施形態においては、当該燃料電池システムが停止中であり、かつ、当該燃料電池システムの雰囲気温度が所定温度以下となれば、バーナ21で燃焼ガスを生成しその燃焼ガスを加湿器14に少なくとも流通させて同加湿器14を暖機するので、既設の設備を利用して大型化・高コスト化を招くことなく加湿器14を暖機することができる。また、燃料電池システムの運転中に酸化剤オフガスが流通している流路に燃焼ガスを流通してその流路を直接加熱するので、暖機したい部位(膜14a)を早期かつ確実に暖機することができる。さらに、燃料電池システムの運転中に外部に排気されていた凝縮熱回収後の燃焼ガスを利用するので、燃焼ガスの熱を有効利用することができ、また、燃焼ガス用凝縮器34によって燃焼ガスから除去される凝縮水とともに燃焼ガス中の不純物も除去されるので、加湿器14に送られる燃焼ガスは不純物が除去されており、水透過膜14aの不純物による損傷を防止することができる。同時に、燃焼ガスは不純物が除去されているので、燃焼ガスの排気により環境の悪化を招くことはない。また、上述した特許文献2においては、改質器1においてバーナ3で加熱された原料が、燃料電池システム内を水素供給経路5、燃料電池4、排水素経路8の水素経路凝縮器8a、水素経路凝縮水タンク8b、及びバーナ3の順に通流し、それによって、各経路内の残留水及び水素経路凝縮水タンク8b内の凍結が防止されるようになっている。この後、パージ処理する必要があるが、本実施形態によれば、燃料ガス系をパージ処理する必要はなく、燃焼ガス系も特にパージ処理をしなくてもよいので、従来ほど手間はかからない。
2)第2実施形態
次に、本発明による燃料電池システムの第2実施形態について図3を参照して説明する。図3は第2実施形態にかかる燃料電池システムの概要を示す概要図である。上述した第1実施形態においては、燃焼ガス排気管63から分岐した接続管63aをカソードオフガス排気管62に接続するようにしたが、図3に示すように本第2実施形態においては、接続管63aを空気供給管61に接続している。接続先は、加湿器14とシャット弁61dとの間が好ましい。この場合、カソードオフガスバルブ62cは削除される。
次に、本発明による燃料電池システムの第2実施形態について図3を参照して説明する。図3は第2実施形態にかかる燃料電池システムの概要を示す概要図である。上述した第1実施形態においては、燃焼ガス排気管63から分岐した接続管63aをカソードオフガス排気管62に接続するようにしたが、図3に示すように本第2実施形態においては、接続管63aを空気供給管61に接続している。接続先は、加湿器14とシャット弁61dとの間が好ましい。この場合、カソードオフガスバルブ62cは削除される。
この場合の凍結防止制御について説明する。制御装置90は、バーナ21に燃焼用燃料を供給する供給管の閉鎖を解除して、バーナ21に燃焼用燃料を供給可能とする。また、制御装置90は、第2燃焼ガスバルブ63cの閉状態を維持し、第1燃焼ガスバルブ63bおよびシャット弁62dを開状態とする。これにより、バーナ21は、燃焼ガス排気管63、接続管63a、空気供給管61、燃料電池10の空気極12およびカソードオフガス排気管62を介して外気と連通する。また、制御装置90は、流量調整器61b,62bを閉状態としている。
そして、制御装置90は、燃焼用燃料ポンプ21aおよび燃焼用空気ポンプ21bを駆動して燃焼用燃料および燃焼用空気をバーナ21に供給し、バーナ21を着火する。これによりバーナ21において燃焼が開始され燃焼ガスが生成される。その燃焼ガスは、燃焼ガス排気管63、接続管63a、空気供給管61、燃料電池10の空気極12およびカソードオフガス排気管62を通って外部に排出される。これと並行して、制御装置90は、凝縮冷媒循環ポンプ75aを駆動しており、凝縮冷媒は凝縮冷媒循環回路75を循環している。また、貯湯水循環ポンプ72aを駆動しており、貯湯水は貯湯水循環回路72を循環している。したがって、燃焼ガスは燃焼ガス用凝縮器34を流通する際に燃焼ガス用凝縮器34にて降温され(例えば100℃)、降温された燃焼ガスは加湿器14(カソードエア流路)を流通する際に加湿器14を暖機(加熱)するとともにさらに降温され、降温された燃焼ガスは空気極12を流通する際に燃料電池10を暖機(加熱)するとともにさらに降温され、降温された燃焼ガスは加湿器14(カソードオフガス流路)を流通する際に加湿器14を暖機(加熱)するとともにさらに降温され、さらに降温された燃焼ガスはカソードオフガス用凝縮器33を流通する際にカソードオフガス用凝縮器33にてさらに降温され(例えば60℃)、その後外部に排出される。また、燃焼ガスが流通している間、その排熱を回収して貯湯水を昇温している。
上述の説明から明らかなように、この第2実施形態においては、当該燃料電池システムが停止中であり、かつ、当該燃料電池システムの雰囲気温度が所定温度以下となれば、バーナ21で燃焼ガスを生成しその燃焼ガスを加湿器14および燃料電池10に流通させて同加湿器14および燃料電池10を暖機するので、既設の設備を利用して大型化・高コスト化を招くことなく加湿器14および燃料電池10を暖機することができる。また、燃料電池システムの運転中に酸化剤ガス・酸化剤オフガスが流通している流路に燃焼ガスを流通してその流路を直接加熱するので、暖機したい部位(膜14a、空気極12の触媒)を早期かつ確実に暖機することができる。
また、上記加湿器14(および燃料電池10)への燃焼ガスの流通は、燃焼開始(流通開始)時点から所定時間の間だけ行われるようになっている。所定時間は、加湿器14のみ流通する場合には加湿器14の膜14aが温度による損傷を受けないように、流通する燃焼ガスの温度、膜14aの耐熱性能などを考慮して設定され、加湿器14および燃料電池10を流通する場合には燃料電池10の電極触媒の耐熱性能も合わせて考慮して設定されている。また、改質部22を空焚きすることになるので、改質部22の改質触媒が損傷する温度まで昇温しない程度の時間に設定されている。これにより、燃焼ガスが流通する流通時間は所定時間以下であるので、高温である燃焼ガスが加湿器14のみまたは加湿器14および燃料電池10に必要以上に流通することを防止し、加湿器14の水透過膜および燃料電池の電極触媒の熱による損傷を防止することができる。
また、上述した燃焼ガスの流通にカソードエアを加えて流通するようにしてもよい。この場合、制御装置90は、シャット弁61dおよびカソードオフガスバルブ62cをそれぞれ開状態とし(第2実施形態ではシャット弁61dを開状態とし)、カソードエアポンプ61cを駆動する。これにより、燃焼ガスに空気が混合され降温(例えば40℃)された燃焼ガスが加湿器14に供給される。加湿器14に供給される燃焼ガスの温度は、燃焼用燃料ポンプ21a、燃焼用空気ポンプ21bおよびカソードエアポンプ61cの供給量を制御して調整することは可能である。これにより、燃焼ガスにカソードエアを加えて流通するので、高温である燃焼ガスに低温であるカソードエアを混合して降温して加湿器14のみまたは加湿器14および燃料電池10に流通させるので、加湿器14の水透過膜および燃料電池の電極触媒の熱による損傷を防止することができる。
なお、上述した各実施形態において、流量調整器61b,62bは電磁バルブでなく、流量比制御可能な三方弁で構成されるようにしてもよい。この場合、流量調整器61b,62bは、バイパス路61a,62aの各分岐点に設けられる。
また、上述した各実施形態において、接続管63aは燃焼ガス用凝縮器34の上流位置から分岐してもよい。この場合、燃焼ガス用凝縮器34によって降温されない比較的高温である燃焼ガスが加湿器14に流通するので、流通時間を短縮したり、上述したようにカソードエアを混合させたりするのが望ましい。
また、上述した各実施形態においては、燃料電池システムの停止中に凝縮水が溜まる電磁バルブ、例えばシャット弁61d,62d、流量調整器61b,62bに対して凍結防止制御を実施するのが望ましい。この場合、当該燃料電池システムが停止中であり、かつ、当該燃料電池システムの雰囲気温度が所定温度以下となれば、シャット弁61d,62d、流量調整器61b,62bを開状態とする。これにより、既設の構造のまま簡単な制御をするだけでこれらバルブが溜まった凝縮水の凍結によるバルブの凍結を防止することができる。当該燃料電池システムが停止中であり、かつ、当該燃料電池システムの雰囲気温度が所定温度以下となれば、シャット弁61d,62d、流量調整器61b,62bの開状態と閉状態を繰り返し実行する。これにより、既設の構造のまま簡単な制御をするだけでこれらバルブが溜まった凝縮水の凍結によるバルブの凍結を防止することができる。
また、上述した各実施形態においては、燃料電池システムの停止中に閉状態を維持する必要のないバルブ(例えば、流量調整器61b、62bなど)は、ノーマルオープンのバルブ(非通電時に開状態となるバルブ)を使用すれば、凍結防止に有効である。
10…燃料電池、11…燃料極、12…空気極、13…電解質、14…加湿器、14a…水透過膜、20…改質器、21…バーナ、22…改質部、23…一酸化炭素シフト反応部(COシフト部)、24…一酸化炭素選択酸化反応部(CO選択酸化部)、25…蒸発器、30…凝縮器、31…改質ガス用凝縮器、32…アノードオフガス用凝縮器、33…カソードオフガス用凝縮器、34…燃焼ガス用凝縮器、40…純水器、50…貯水器、53…改質水ポンプ、61…空気供給管、61a,62a…バイパス管、61b,62b…流量調整器、61c…カソードエアポンプ、61d,62d…シャット弁、62…カソードオフガス排気管、62c…カソードオフガスバルブ、63…燃焼ガス排気管、63a…接続管、63b…第1燃焼ガスバルブ、63c…第2燃焼ガスバルブ、64…改質ガス供給管、64a…第1改質ガスバルブ、65…オフガス供給管、65a…オフガスバルブ、66…配管、67…バイパス管、67a…第2改質ガスバルブ、68…改質水供給管、71…貯湯槽、72…貯湯水循環回路、73…FC冷却水循環回路、74…第1熱交換器、75…凝縮冷媒循環回路、76…第2熱交換器、77…ラジエータ、72a,73a,75a…ポンプ、80…温度センサ、90…制御装置。
Claims (4)
- 燃料極および酸化剤極にそれぞれ供給された燃料ガスおよび酸化剤ガスによって発電する燃料電池と、
前記燃料ガスを生成する改質部と、
可燃性燃料が供給されその可燃性燃料を燃焼しその燃焼ガスにより前記改質部を加熱する燃焼部と、
加湿媒体と前記酸化剤ガスとの間で水蒸気交換することにより前記酸化剤ガスを加湿する加湿器と、を備えた燃料電池システムにおいて、
当該燃料電池システムが停止中であり、かつ、当該燃料電池システムの雰囲気温度が所定温度以下となれば、前記燃焼部で燃焼ガスを生成しその燃焼ガスを前記加湿器に少なくとも流通させて同加湿器を暖機することを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1において、当該燃料電池システムが停止中であり、かつ、当該燃料電池システムの雰囲気温度が所定温度以下となれば、前記燃焼部で燃焼ガスを生成しその燃焼ガスを前記加湿器および前記燃料電池に流通させてそれら加湿器および燃料電池を暖機することを特徴とする燃料電池システム。
- 請求項1または請求項2において、前記燃焼ガスが流通する流通時間は所定時間以下であることを特徴とする燃料電池システム。
- 請求項1または請求項2において、前記燃焼ガスに前記酸化剤ガスを加えて流通することを特徴とする燃料電池システム。
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