JP2006317811A - プラズマ表示装置及び該プラズマ表示装置に用いられる駆動方法 - Google Patents
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Abstract
プラズマ表示装置の黒表示の画質を改善する。
【解決手段】プライミング期間T12におけるプライミング放電に先立ち、単発の予備放電データパルスpによるプライミング予備放電を発生させることにより、その後に続く持続的な弱放電のプライミング放電が弱体化する。このため、放電開始電圧が変化して、プライミング放電の開始タイミングが変化しても、プライミング放電の発光強度が弱いため、従来よりも輝度の変化量が小さく抑えられる。これにより、黒表示を行ったときに、それ以前に表示していた表示パターンが残る現象である残像が目立たなくなる。
【選択図】図8
Description
このPDP1では、同図2に示すように、図示しない前面基板の内面に行方向Hに互いに平行に配置されたn本の走査電極2(Scani、i=1,2,…,n)と維持電極3(Susi、i=1,2,…,n)とからなる面放電電極群、及び図示しない背面基板の内面に、同面放電電極群と直交するように列方向Vに沿って配置されたm本のデータ電極4(Dj、j=1,2,…,m)が配置されている。そして、面放電電極群とデータ電極4との交差領域にそれぞれ1つの単位セル5が形成され、行方向H及び列方向Vにマトリクス状にセル群が配置されている。モノクロ表示の場合は1つのセルにより1つの画素が構成され、カラー表示の場合は3つのセル(赤色R、緑色G及び青色Bの発光セル)により1つの画素が構成される。
この単位セル5では、同図3に示すように、前面基板21と背面基板22とが所定の間隔をもって対向して配置されている。前面基板21はガラス基板などで構成され、同前面基板21上に走査電極2及び維持電極3が放電ギャップ23を隔てて配置されている。これらの走査電極2及び維持電極3で面放電電極対6が構成されている。また、走査電極2及び維持電極3の上には、配線抵抗を下げるための図示しない金属トレース電極がそれぞれ積層されている。さらに、これらの電極上には、透明誘電体層24が形成され、同透明誘電体層24上に保護層25が形成されている。保護層25は、MgOなどで構成され、透明誘電体層24を放電から保護する。一方、背面基板22はガラス基板などで構成され、同背面基板22上にデータ電極4が走査電極2及び維持電極3と直交するように設けられている。さらに、データ電極4上には白色誘電体層26が設けられ、同白色誘電体層26上に蛍光体層27が設けられている。前面基板21と背面基板22との間には、各単位セル5を囲うように井桁状の隔壁28が形成されている。隔壁28は、放電空間29を確保すると共に画素を区切る役割を果たす。放電空間29内には、He、Ne、Xeなどの混合ガスが放電ガスとして封入されている。
走査維持分離駆動方式は、現在、PDPの駆動に用いられている主流の方式であり、このPDPでは、同図4に示すように、1フィールドTFが階調レベルに基づいて重み付けされた6つのサブフィールド1SF,2SF,…,6SFに分割され、同各サブフィールドが、初期化期間(「予備放電期間」ともいう)T1、走査期間T2、及び維持期間T3に分割されている。各走査期間T2内の斜線は、各走査電極2に線順次に印加される走査パルスのタイミングを表す。この走査パルスとデータ電極4に印加される表示データパルスとの両者が同時に加わると、書込み放電が発生する。維持期間T3は、単位セル5が表示発光する期間である。
これらの図を参照して、走査維持分離駆動方式による駆動方法を説明する。
維持電極3には、同図5に示すように、波形Susに示す電圧が印加され、走査電極2には波形Scan1,…,Scannに示す電圧が順次印加される。また、データ電極4には、波形Dataに示す電圧が印加される。初期化期間T1の前には、図示しない前サブフィールドの維持期間が存在し、そこで維持放電が行なわれているか否かで、単位セル5内の各電極上の誘電体層の上に放電によって蓄積される電荷である壁電荷の形成量が異なる。このまま次の書込みを行なうと、この異なる壁電荷量の影響を受け、書込み放電が行われにくくなったり、誤って書込みが行われることがある。初期化期間T1では、このような前サブフィールドの維持期間での点灯状態によって異なる単位セル5内の誘電体層上に発生する壁電荷が初期化(リセット)される。
特許文献1に記載されたプラズマディスプレイ装置では、1つのフレームをn個(n≧2)に分割したサブフレームのうち、多くとも(n−1)個のサブフレームのリセット期間では、直前のサブフレームのセルの状態やセルの発光色に応じて、発光色毎に適切な電圧がアドレス電極に印加され、発光色にかかわらず、直前のサブフレームのセルの状態に対応して形成されている壁電荷の寄与により、直前のサブフレームの点灯セルだけ走査電極とアドレス電極との間の電位差が放電開始電圧よりも高くなるようにされ、消灯セルの走査電極とアドレス電極との間の電位差が放電開始電圧よりも高くなることが防止される。
このため、表示画面内の非発光であるべき領域が発光する背景発光が低減され、表示画面の品位が向上する。
すなわち、弱放電を用いたプライミング放電は、単位セル5内の放電空間29に放電開始電圧以上の電圧が印加されたときに始まり、ランプ波形が終了した時点で止まる。一方、黒表示状態でも、このプライミング放電は発生しているが、黒表示状態の輝度(黒輝度)は、このプライミング放電が発生している期間の長さに依存する。このため、放電開始電圧が変化すると、黒輝度も変化する。たとえば、点灯表示した単位セル5と非点灯状態の単位セル5とでは、それぞれの単位セル5内の状態が微妙に変化し、放電開始電圧が異なることがある。このような状態で点灯している単位セル5を消灯し、非点灯状態で黒表示を行うと、これまで点灯状態の単位セル5と非点灯状態の単位セル5とでは、黒輝度が異なってくるため、黒表示状態の中で点灯していた表示パターン部分の黒輝度が異なり、残像として認識されるという問題点が例として挙げられる。なお、残像とは、放電開始電圧が一時的に変化して表示パターンが残り、時間が経つと元の放電開始電圧に戻り、表示パターンが消える現象である。また、放電開始電圧が変化したまま元に戻らず、表示パターンがそのまま残ってしまう焼付きが発生することがあるという問題点も挙げられる。
この例のプラズマ表示装置は、同図に示すように、表示パネル(PDP)1と、データドライバ31と、走査ドライバ32と、維持ドライバ33と、電荷回収回路34と、電源回路35と、信号処理回路41と、制御回路42とから構成されている。PDP1は、互いに対向して配置された図示しない前面基板及び背面基板を有している。前面基板の背面基板に対向する面には、走査電極2及び維持電極3が図示しない放電ギャップを隔てて互いに平行に配置されている。走査電極2には、書込み放電を行うための走査パルスが順次印加される。また、走査電極2及び維持電極3により面放電電極対が構成され、維持パルスが印加されて維持放電が発生する。背面基板の前面基板に対向する面には、上記各面放電電極対と交差する態様で複数のデータ電極4が設けられ、同データ電極4には、表示データパルス及び消去データパルスが印加される。上記面放電電極対とデータ電極4との各交差領域には、単位セル5が形成されている。単位セル5は、R(赤色),G(緑色),B(青色)の各色毎に設けられている。図7中のPDP1は、従来の図2と同様の構成となっている。また、図7中の単位セル5は、従来の図3と同様の構成となっている。
これらの図を参照して、この例のプラズマ表示装置に用いられる駆動方法の処理内容について説明する。
このプラズマ表示装置では、たとえば図4に示す走査維持分離駆動方式による階調表示が行われるが、特に、この実施例では、初期化期間におけるプライミング放電に先立ち、同プライミング放電を弱めるためのプライミング予備放電が発生する。
これらの図を参照して、図7のプラズマ表示装置に用いられる駆動方法の処理内容について説明する。
この例の駆動方法では、初期化期間T1での予備放電データパルスpの印加時の走査電極2の電位がフロート状態(すなわち、走査電極22が高インピーダンス状態)となる。維持消去期間T11は実施例1と同様であるので、維持消去期間T11終了時の壁電荷配置は、図14(b)に示すように、図9(b)と同様となる。次に、予備放電データパルスpが印加される時点では、実施例1と同様に、維持電極3の電位は接地電位であり、維持電極3とデータ電極4との間で対向のプライミング予備放電が発生する。このとき、実施例1では走査電極2の電位はVsになっているため、予備放電データパルスpが印加されると、走査電極2とデータ電極4との電位差が(Vs−Vd)となる。
これにより、従来駆動ではVdmin =46Vであるのに対し、実施例1ではVdmin =51V、この実施例ではVdmin =48Vとなる。一方、残像及び焼付きに関しては、プライミング予備放電により、次に続くプライミング放電の放電強度を弱めることができるので、軽減させることができる。具体的な数値としては、図12に示す実施例1の結果と同じ結果が得られる。この初期化期間T1の後、従来の図5と同様に、走査期間T2及び維持期間T3における駆動が行われる。
この例の駆動方法では、初期化期間T1での予備放電データパルスpの印加時の走査電極2の電位が(Vs+Vd)となり、実施例2と同様に壁電荷の減少を抑制するために、プライミング予備放電発生時の走査電極2とデータ電極4との電位差をVsのままに保つようにしている。このようにすることにより、プライミング予備放電が発生しても、維持消去期間T11の終了時点で走査電極2とデータ電極4との間にできている壁電圧Vsが減少することがない。これにより、従来と全く同じVdmin が得られ、表示データパルスeの電圧の駆動マージンを、従来のように十分確保することができる。
これらの図を参照して、図7のプラズマ表示装置に用いられる駆動方法の処理内容について説明する。
この例の駆動方法では、初期化期間T1での予備放電データパルスpのパルス幅が単位セル5の蛍光体のR,G,Bの各色毎に設定される。たとえば、図17に示すように、Rの単位セル5には2.0μsec 、Gの単位セル5には2.4μsec 、Bの単位セル5には3.0μsec として設定される。これにより、図18に示すように、同じパルス幅の予備放電データパルスpを印加した場合(実施例1)に比べ、この実施例では色度図上の変化が小さいことがわかる。一方、輝度から見た残像及び焼付きに関しては、プライミング予備放電により、次に続くプライミング放電の放電強度を弱めることができるので、上記実施例1や実施例2と同様に軽減され、具体的な数値としては、図12に示す実施例1の結果とほぼ同じ結果が得られる。この初期化期間T1の後、走査期間T2及び維持期間T3における駆動が行われる。
これらの図を参照して、図7のプラズマ表示装置に用いられる駆動方法の処理内容について説明する。
この例の駆動方法では、初期化期間T1での予備放電データパルスpのパルス電圧が単位セル5の蛍光体のR,G,Bの各色毎に設定され、上記実施例4と同様に、R,G,B毎に異なる残像や焼付きによる放電開始電圧の変化量をそろえるようにしている。たとえば、図19に示すように、Rの単位セル5には68V、Gの単位セル5には70V、Bの単位セル5には73Vとして設定される。これにより、図18に示すように、同じパルス電圧の予備放電データパルスpを印加した場合(実施例1)に比べ、この実施例では色度図上の変化が小さいことがわかる。一方、輝度から見た残像及び焼付きに関しては、プライミング予備放電により、次に続くプライミング放電の放電強度を弱めることができるので、上記実施例1や実施例2と同じように軽減され、具体的な数値としては、図12に示す実施例1の結果とほぼ同じ結果が得られる。この初期化期間T1の後、走査期間T2及び維持期間T3における駆動が行われる。
たとえば、上記実施例では、走査期間T2と維持期間T3とが完全に分離された走査維持分離駆動方式により説明したが、走査パルスが維持パルスと同じタイミングで印加される走査維持同時駆動方式や、ある維持パルスと他の維持パルスとの間に時間的に重ならないように走査パルスが印加される走査維持混合駆動方式でも、上記実施例とほぼ同様の作用、効果が得られる。また、PDP1は、前面基板又は背面基板のうちの一方の基板上に、走査電極2、維持電極3及びデータ電極4の3電極が設けられる構成となっていても良い。
2 走査電極(PDPの一部)
3 維持電極(PDPの一部)
4 データ電極(PDPの一部)
5 単位セル(PDPの一部)
6 面放電電極対(PDPの一部)
21 前面基板(第1の基板、PDPの一部)
22 背面基板(第2の基板、PDPの一部)
23 放電ギャップ(PDPの一部)
24 透明誘電体層(PDPの一部)
25 保護層(PDPの一部)
26 白色誘電体層(PDPの一部)
27 蛍光体層(PDPの一部)
28 隔壁(PDPの一部)
29 放電空間(PDPの一部)
31 データドライバ(駆動手段の一部)
32 走査ドライバ(駆動手段の一部)
33 維持ドライバ(駆動手段の一部)
34 電荷回収回路(駆動手段の一部)
35 電源回路(駆動手段の一部)
41 信号処理回路(駆動手段の一部)
42 制御回路(駆動手段の一部)
T1 初期化期間
T2 走査期間
T3 維持期間
T11 維持消去期間
T12 プライミング期間
T13 第1のプライミング期間
T14 第2のプライミング期間
p 予備放電データパルス
a 走査パルス
e 表示データパルス
f 維持パルス
Claims (13)
- プラズマディスプレイパネルと、該プラズマディスプレイパネルを表示画面の1フィールドを階調レベルに基づいて重み付けされた複数のサブフィールドに分割して駆動する駆動手段とを備え、
前記プラズマディスプレイパネルは、放電ギャップを隔てて互いに平行に配置された走査電極及び維持電極からなる複数の面放電電極対と、前記各面放電電極対と交差する複数のデータ電極と、前記面放電電極対と前記データ電極との交差領域に形成された複数の単位セルとを有し、
前記駆動手段は、前記各サブフィールド毎に、前記各単位セルに対するプライミング放電を行うと共に、該プライミング放電に先立ち、該プライミング放電を弱めるためのプライミング予備放電を発生させる構成とされていることを特徴とするプラズマ表示装置。 - 前記駆動手段は、
前記プライミング放電を、前記走査電極と前記維持電極との間で発生させる構成とされていることを特徴とする請求項1記載のプラズマ表示装置。 - 前記駆動手段は、
前記プライミング予備放電を、前記データ電極と前記維持電極との間で発生させる構成とされていることを特徴とする請求項1又は2記載のプラズマ表示装置。 - 前記駆動手段は、
前記データ電極に正の予備放電データパルスを印加することにより前記プライミング予備放電を発生させる構成とされていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のプラズマ表示装置。 - 前記駆動手段は、
前記プライミング放電を、前記走査電極の電位を漸次増大させる第1のプライミング放電、及び該第1のプライミング放電の後に前記走査電極の電位を漸次減少させる第2のプライミング放電により発生させる構成とされていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のプラズマ表示装置。 - 前記駆動手段は、
前記データ電極に前記予備放電データパルスを印加したときの前記走査電極の電位を、前記データ電極の電位よりも高く設定する構成とされていることを特徴とする4又は5記載のプラズマ表示装置。 - 前記駆動手段は、
前記データ電極に前記予備放電データパルスを印加したときの前記走査電極の電位を、フロートに設定する構成とされていることを特徴とする4又は5記載のプラズマ表示装置。 - 前記各単位セルは、
R(赤色),G(緑色),B(青色)の各色毎に設けられ、
前記駆動手段は、
前記予備放電データパルスのパルス幅をR,G,Bの各色毎に設定する構成とされていることを特徴とする4、5、6又は7記載のプラズマ表示装置。 - 前記各単位セルは、
R(赤色),G(緑色),B(青色)の各色毎に設けられ、
前記駆動手段は、
前記予備放電データパルスのパルス電圧をR,G,Bの各色毎に設定する構成とされていることを特徴とする4、5、6又は7記載のプラズマ表示装置。 - 前記駆動手段は、
前記表示画面の1フィールドが前記複数のサブフィールドのうちの1つのサブフィールドのみの表示で構成されるとき、前記プライミング予備放電を発生させない構成とされていることを特徴とする請求項1記載のプラズマ表示装置。 - 前記駆動手段は、
当該サブフィールドにおける前記予備放電データパルスに対して、前サブフィールドで前記各単位セルが発光した場合のみ前記プライミング予備放電が発生するパルス幅に設定する構成とされていることを特徴とする請求項4、5、6、7、8又は9記載のプラズマ表示装置。 - 前記駆動手段は、
当該サブフィールドにおける前記予備放電データパルスに対して、前サブフィールドで前記各単位セルが発光した場合のみ前記プライミング予備放電が発生するパルス電圧に設定する構成とされていることを特徴とする請求項4、5、6、7、8又は9記載のプラズマ表示装置。 - プラズマディスプレイパネルと、該プラズマディスプレイパネルを表示画面の1フィールドを階調レベルに基づいて重み付けされた複数のサブフィールドに分割して駆動する駆動手段とを備え、
前記プラズマディスプレイパネルは、放電ギャップを隔てて互いに平行に配置された走査電極及び維持電極からなる複数の面放電電極対と、前記各面放電電極対と交差する複数のデータ電極と、前記面放電電極対と前記データ電極との交差領域に形成された複数の単位セルとを有し、
前記駆動手段は、前記各サブフィールド毎に、前記各単位セルに対するプライミング放電を行う構成とされているプラズマ表示装置に用いられ、
前記駆動手段が、前記プライミング放電に先立ち、該プライミング放電を弱めるためのプライミング予備放電を発生させることを特徴とする駆動方法。
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