JP2006316904A - 車輪用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 外方部材1と内方部材2の対向する軌道面3〜6間に複列のボール7,8が介在する。内方部材2は、車輪取付用のハブフランジ20をアウトボード側端に有するハブ輪18と、そのインボード側端に嵌合した内輪19とでなる。アウトボード側列Loのボール7のピッチ円直径PCDoを、インボード側列Liのボール8のピッチ円直径PCDiよりも大きくする。両列のボール径dは同じとし、アウトボード側列Loのボール個数をインボード側列Liよりも多くする。インボード側列Liのピッチ円直径PCDiに対するボール径dの割合(d/PCDi)を、0.14≦(d/PCDi)≦0.25、とする。
【選択図】 図1
Description
従来の一般的な車輪用軸受装置は、負荷容量については満足できるが、車両旋回時の剛性が必ずしも十分と言えない場合がある。また、自動車の安定した走行のために車両旋回時の軸受剛性の向上が必要とされる。
車輪用軸受装置は、複列軸受が用いられており、直進時の車重は、複列軸受の中央に作用するように設計されている。しかし、車両の旋回時には、タイヤにかかる横力により、ハブフランジを傾けるようにモーメント荷重が発生する。そのため、複列のうちのアウトボード側列付近の剛性を高めることが求められる。
しかし、インボード側においても、安定した走行のためには軸受剛性を高めることが望まれる。インボード側では、周辺との関係で軸受寸法が制限されることが多く、軸受剛性を高めることが難しい。特に、内輪回転の車輪用軸受装置では、軌道面を内周に形成した外方部材をナックルの内径面に嵌合させて取付けることになるため、限られたナックル内径に対して、剛性を上げることが必要となる。
アウトボード側のボール列のピッチ円直径を、インボード側のボール列のピッチ円直径よりも大きくし、両列のボール径を同じとし、アウトボード側列のボール個数をインボード側列のボール個数よりも多くし、
インボード側のボール列のピッチ円直径PCDiに対するボール径(ボールの直径)dの割合(d/PCDi)を、
0.14≦(d/PCDi)≦0.25
としたことを特徴とする。
この発明は、このようにアウトボード側の剛性を向上させた上で、インボード側のボール列のピッチ円直径PCDiに対するボール径dの割合(d/PCDi)を、
0.14≦(d/PCDi)≦0.25
としたため、インボード側における剛性の向上、転動疲労寿命の確保が得られる。
0.14≦(d/PCDi)≦0.25の範囲とすることで、剛性の向上の図りながら転動疲労寿命を確保することができる。
アウトボード側については、インボード側と同じボール径dのボールを用い、PCDについては大きくしてあるため、d/PCDの値はインボード側よりも小さくなる。しかしアウトボード側は、PCDが大きくなる分、余裕があり、インボード側と同じボール径のボールを用いることで、満足できる転動疲労寿命が確保される。両列のボール径が同じであると、同じ規格のボールを用いることができ、ボール径を変えるものに比べて生産性に優れ、コスト面で有利になる。
この発明の車輪用軸受装置は、このようにアウトボード側およびインボード側の荷重条件に応じ、アウトボード側部分の剛性を高めると共に、インボード側部分においても、限られた軸受径で剛性の向上を得られ、かつ転動疲労寿命が確保できるものとなり、両列のボール径が同じであることで、コスト面でも有利となる。
このような外方部材のナックル嵌合部の内径側にインボード側の軌道面がある軸受の場合、ナックルによって外方部材のナックル嵌合部の外径が制限され、その内径側にある軌道面の内径が制限される。そのため、この発明における上記各構成によって、アウトボード側部分の剛性を高めると共に、インボード側部分においても、限られた軸受径で剛性の向上を図り、かつ転動疲労寿命が確保できるという利点が効果的に発揮される。
図2に拡大して示すように、ハブ輪18の軸部18aの両ボール列Lo,Liの間の部分は、詳しくは、次の形状寸法とされている。アウトボード側の軌道面5は、ボール中心で最小径D3となって、この最小径D3の部分がボール中心よりも若干(ボール径の数分の一程度)インボード側に延びている。ハブ輪軸部18aの外径面は、軌道面5のインボード側に隣接する部分が、インボード側へ小径となる断面円弧状の第1の径変化部分18aaとされ、この径変化部分18aaから外径一定の直軸部分18abに続き、直軸部分18abからインボード側が小径となるテーパ状の第2の径変化部分18acを介して、前記段差部状の内輪嵌合面21に続いている。直軸部分18abの外径が、上記中央位置Pにおける外径D1となる。
内輪19は、軌道面6よりもアウトボード側の部分が、軌道面6の溝底径である最小径D2よりもさらに小径となる小径化部19aとされ、ハブ輪18の内輪嵌合面21の端面の外径、つまり第2の径変化部分18acの最小径は、内輪小径化部19aの端部の径と略同じ寸法とされている。なお、内輪小径化部19aは、必ずしも設けなくても良いが、その場合でも、ハブ輪19の直軸部分18abの外径D1は、内輪19の最小径D2よりも大きくされる。
なお、径変化部分18aaの断面はテーパ状形状であってもよいし、緩やかに次第に小径となるものであれば良い。
0.14≦(d/PCDi)≦0.25
としている。
0.66≦(PCDi/D)≦0.80
としている。
外方部材1は、両列Lo,Liの軌道面3,4およびナックル嵌合部16aが焼入れ処理されていて、これらの焼入れ処理の必要上からも、上記肉厚tの最小肉厚が定まる。
0.14≦(d/PCDi)≦0.25
としたため、インボード側における剛性の向上、転動疲労寿命の確保が得られる。
0.14≦(d/PCDi)≦0.25の範囲とすることで、剛性の向上の図りながら転動疲労寿命を確保することができる。
なお、より好ましくは、0.15≦(d/PCDi)≦0.20の範囲である。
同図によると、d/PCDiの値が0.14〜0.25の範囲では剛性がほぼ一定であるが、d/PCDiの値が0.25を超えた付近で剛性が急に低下し、d/PCDiがさらに大きくなっても、剛性はその低下した値で一定になっている。これより、d/PCDiの値が0.25を超えると、剛性アップにはならないことがわかる。d/PCDiの値が0.14未満の場合は、剛性の点では問題がないが、上述のように転動疲労寿命が確保できず、好ましくない。
なお、軸受サイズによっては、d/PCDiの値が上記範囲内のものでも剛性が上がらないものもあるが、当該範囲であれば軸受サイズを適宜選択することによって剛性アップを図ることができるものである。
アウトボード側については、インボード側と同じボール径dのボールを用い、PCDについては大きくしてあるため、d/PCDの値はインボード側よりも小さくなる。しかしアウトボード側は、PCDが大きくなる分、余裕があり、インボード側と同じボール径のボールを用いることで、満足できる転動疲労寿命が確保される。両列のボール径が同じであると、同じ規格のボールを用いることができ、ボール径を変えるものに比べて生産性に優れ、コスト面で有利になる。
0.66≦(PCDi/D)≦0.80
としたため、インボード側における剛性の向上、転動疲労寿命の確保が得られる。
上記ピッチ円直径PCDiは、インボード側の軌道面4の内径D4からボール径dを差し引いた値であり、ボール径dが小さいほど、ボール中心が軌道面4の内面に近づき、PCDiの値が軌道面内径D4の値に近づくことになる。ここで、インボード側軌道面4はナックル嵌合部16aの内周に位置するため、ナックル嵌合部16aの外径Dが一定であって、外方部材1における軌道面外周の肉厚tにつき必要最低肉厚を確保できる範囲で可能な限り大きな値すると、軌道面内径D4は、D4=D−2×tであり、一定の値となる。上記のように肉厚tの必要最低厚さは、例えば4mm程度となる。
軌道面内径D4が一定であると、PCDi(=D4−d)の値は、ボール径dに依存することになる。ナックル嵌合部外径Dも一定と考えると、PCDi/Dの値は、ボール径dに依存することになり、ボール径が小さいほど、PCDi/Dの値が大きくなる。
ボール径dを小さくした場合、ボール個数を増やすことができて、それだけ支持点が増加するため、軸受剛性が高くなる。そのため剛性向上の点からは、ボール径が小さいほど好ましい。
ナックル嵌合部外径Dが一定であり、軌道面外周の必要肉厚tが一定であるとして、つまり軌道面内径D4が一定であるとして、PCDi/Dの変化による剛性,転動疲労寿命の関係をFEM解析により求めた。その結果、PCDi/Dが0.66未満であると、車輪用軸受装置として剛性の向上にならず、またPCDi/Dが0.80よりも大きいと、車輪用軸受装置として転動疲労寿命が不足することが分かった。
0.66≦(PCDi/D)≦0.80
の範囲とすることで、剛性の向上の図りながら転動疲労寿命を確保することができる。
なお、より好ましくは、0.67≦(PCDi/D)≦0.76、の範囲である。
同図によると、PCDi/Dの値が0.66〜0.80の範囲では、剛性がほぼ一定であるが、0.66未満になる付近で剛性が急に低下し、PCDi/Dがさらに小さくなっても、剛性は低下した値で一定になっている。これより、PCDi/Dの値が0.66未満になると、剛性アップにはならないことがわかる。PCDi/Dの値が0.80を超える場合は、剛性の点では問題がないが、上述のように転動疲労寿命が確保できず、好ましくない。
なお、軸受サイズによっては、PCDi/Dの値が上記範囲内のものでも剛性が上がらないものもあるが、当該範囲であれば軸受サイズを適宜選択することによって剛性アップを図ることができるものである。
解析によると、外方部材1の内径面における両列Lo,Liの軌道面3,4の間の部分は、軸受剛性に対する影響が小さく、上記肉盗み部28を内径面に設けても、剛性低下への影響が殆どない。したがって、ハブ輪1の両ボール列Lo,Li間の中間の外径D1を大きくし、外方部材1に上記肉盗み部28を設けることで、重量増加を伴うことなく、アウトボード側の軸受剛性を高めることができる。
このように駆動輪支持用の車輪用軸受装置に適用した場合も、上記実施形態と同様に、アウトボード側部分の剛性を高めると共に、インボード側部分においても、限られた軸受径で剛性の向上を図り、かつ転動疲労寿命が確保でき、コスト面でも有利なものとなる。
0.14≦(d/PCDi)≦0.25
としている。
0.14≦(d/PCDi)≦0.25
としたため、上記各実施形態と同様に、インボード側における剛性の向上、転動疲労寿命の確保が得られる。
0.14≦(d/PCDi)≦0.25
としたため、上記各実施形態と同様に、インボード側における剛性の向上、転動疲労寿命の確保が得られる。
2,2A…内方部材
2Aa,2Ab…内輪
3〜6…軌道面
7,8…ボール
11,12…軸受部
15…ナックル
16…取付部
16a…ナックル嵌合部
18…ハブ輪
18a…ハブ輪の軸部
18aa…径変化部分
18ab…直軸部分
19…内輪
20…ハブフランジ
27…正面凹部
28…肉盗み部
D…ナックル嵌合部の外径
D4…インボード側の軌道面の内径
PCDi…インボード側のピッチ円直径
PCDo…アウトボード側のピッチ円直径
t…肉厚
Claims (4)
- 内周に複列の軌道面を有する外方部材と、前記各軌道面に対向する複列の軌道面を外周に有する内方部材と、対向する軌道面間に介在したボールとを備え、前記外方部材および内方部材のうちのいずれか一方の部材の外周に車輪取付用のフランジを設けた車輪用軸受装置において、
アウトボード側のボール列のピッチ円直径を、インボード側のボール列のピッチ円直径よりも大きくし、両列のボール径を同じとし、アウトボード側列のボール個数をインボード側列のボール個数よりも多くし、
インボード側のボール列のピッチ円直径PCDiに対するボール径dの割合(d/PCDi)を、
0.14≦(d/PCDi)≦0.25
としたことを特徴とする車輪用軸受装置。 - 請求項1において、前記車輪取付用のフランジは、前記外方部材および内方部材のうちのいずれか一方の部材におけるアウトボード側端の外周に設けた車輪用軸受装置。
- 請求項2において、内方部材が車輪取付用のフランジを有し、外方部材が懸架装置におけるナックルに嵌合させるナックル嵌合部をインボード側端に有し、外方部材のインボード側の軌道面の全体または一部が、前記ナックル嵌合部の設けられた軸方向範囲に重なるものである車輪用軸受装置。
- 請求項3において、前記内方部材が、車輪取付用のハブフランジをアウトボード側端に有しインボード側端に段差部状に小径となる内輪嵌合面を有するハブ輪と、このハブ輪の前記内輪嵌合面に嵌合した内輪とでなる車輪用軸受装置。
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2005
- 2005-05-12 JP JP2005140452A patent/JP2006316904A/ja active Pending
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