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JP2006316764A - 可変圧縮比エンジン - Google Patents

可変圧縮比エンジン Download PDF

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JP2006316764A JP2005142881A JP2005142881A JP2006316764A JP 2006316764 A JP2006316764 A JP 2006316764A JP 2005142881 A JP2005142881 A JP 2005142881A JP 2005142881 A JP2005142881 A JP 2005142881A JP 2006316764 A JP2006316764 A JP 2006316764A
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Eiichi Kamiyama
栄一 神山
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Abstract

【課題】 本発明は、クランクケースに対してシリンダブロックをシリンダ軸方向へ変位させる変位機構を備えたエンジンにおいて、圧縮比変更時におけるフリクションの増加を抑制しつつクランクケースとシリンダブロックの相対振動を抑制することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、クランクケース3及びシリンダブロック2が相互に重なり合う部分のクランクケース壁面とシリンダブロック壁面の一方にシリンダ軸方向に延在する凹部6を設けるとともに他方に前記凹部6の内方へ突出する凸部7を設け、シリンダブロック2が高圧縮比側の変位端又は低圧縮比側の変位端へ変位した時に凹部6と凸部7とを密着させてクランクケース3とシリンダブロック2の相対振動を抑制し、シリンダブロック2が一方の変位端から他方の変位端へ変位する過程では凹部6と凸部7とを離間させてフリクションを抵抗を低減する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、圧縮比を変更可能なエンジンに関し、特にクランクケースとシリンダブロックを相対変位させることにより圧縮比を変更するエンジンに関する。
近年、圧縮比を変更可能とするエンジンが提案されている。圧縮比を変更する機構としては、クランクケースとシリンダブロックがシリンダ軸方向へ相互に摺動自在に取り付けられ、クランクケースとシリンダブロックの相対位置を変更することにより燃焼室容積を変化させる機構が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2003−206771号公報 特開平7−26981号公報 特開平7−35275号公報
ところで、上記したような従来の機構では、圧縮比を変更する際のフリクションを低減するためにクランクケースとシリンダブロックとの間にクリアランスを設けて潤滑油を供給する必要がある。
しかしながら、クランクケースとシリンダブロックとの間のクリアランスが大きくなると、圧縮比変更時のフリクションを低減する上では有利になるが、シリンダ内圧力の変動等によってクランクケースとシリンダブロックがクリアランス分の相対振動を起こす可能性がある。
一方、クランクケースとシリンダブロックとの間のクリアランスが狭められると、振動抑制の上で有利となるが、圧縮比変更時のフリクションが増加してしまい、圧縮比変更に伴う駆動力の増加や燃費の悪化を招く可能性がある。
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的はクランクケースとシリンダブロックを相対変位させることにより圧縮比を変更する可変圧縮比エンジンにおいて、圧縮比変更時におけるフリクションの増加を抑制しつつ制振性の向上を図ることにある。
本発明は、上記した課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明は、クランクケースに対してシリンダブロックを相対変位させる変位機構を備えた可変圧縮比エンジンにおいて、クランクケース及びシリンダブロックが相互に重なり合う部分のクランクケース壁面及びシリンダブロック壁面の一方に相対変位方向に延在する凹部を設けるとともに他方に前記凹部の内方へ突出する凸部を設け、変位機構によってシリンダブロックがクランクケースに対して高圧縮比側の変位端へ変位させられた時に前記凸部が前記凹部の高圧縮比側の端面に当接し、変位機構によりシリンダブロックがクランクケースに対して低圧縮比側の変位端へ変位させられた時に前記凸部が前記凹部の低圧縮比側の端面に当接するようにした。
可変圧縮比エンジンの圧縮比は主に最低圧縮比と最高圧縮比に設定されるため、最低圧縮比時及び最高圧縮比時の振動を抑制することができれば、可変圧縮比エンジンが使用される過程の大部分において振動が抑制されることになる。
本発明の可変圧縮比エンジンでは、圧縮比が最高圧縮比に設定される時(変位機構によってシリンダブロックがクランクケースに対して高圧縮比側の変位端へ変位させられた時)及び最低圧縮比に設定される時(変位機構によってシリンダブロックがクランクケースに対して低圧縮比側の変位端へ変位させられた時)に凸部が凹部の端面に密着する。
これは、最高圧縮比時及び最低圧縮比時にクランクケースとシリンダブロックのクリアランスが零になることを意味する。クランクケース及びシリンダブロックのクリアランスが零になると、両者間の摺動抵抗が増大するため、クランクケース及びシリンダブロックが相対振動し難くなる。
また、圧縮比が最高圧縮比から最低圧縮比へ変更される時及び最低圧縮比から最高圧縮比へ変更される時には、凸部が凹部の端面から離間するため、クランクケースとシリンダブロックの間にクリアランスが生まれる。クランクケースとシリンダブロックの間にクリアランスが生まれると、クランクケースとシリンダブロックが相対変位し易くなる。
依って、本発明に係る可変圧縮比エンジンによれば、圧縮比変更時におけるフリクションの増加を抑えつつ圧縮比一定時(圧縮比が最高圧縮比又は最低圧縮比に固定される時)のクランクケースとシリンダブロックの相対振動を抑制することができる。
本発明において、凹部の高圧縮比側端面及び低圧縮比側端面が傾斜面で形成され、凸部の高圧縮比側の端面及び低圧縮比側の端面が前記凹部の高圧縮比側端面及び低圧縮比側端面と同等の傾斜角度を有する傾斜面で形成されるようにしてもよい。
圧縮比が最高圧縮比に設定される時及び最低圧縮比に設定される時に、凹部と凸部の傾斜面が相互に密着するようになると、クランクケースに対するシリンダブロックの位置決めが確実になされるようになる。
凹部と凸部の傾斜面が相互に密着した状態でシリンダブロック及びクランクケースが相対振動するためには、シリンダブロックとクランクケースが相対変位方向に変位しなければならないが、この手の可変圧縮比エンジンでは変位機構によってシリンダブロックとクランクケースの相対変位方向の動きが規制されるため、シリンダブロック及びクランクケースの相対振動が確実に抑制されるようになる。
尚、このようにクランクケースに対するシリンダブロックの位置決めは、凹部及び凸部の端面を互いに同等な曲率の曲面で形成することによっても実現することができる。
本発明において、凹部の高圧縮比側端面及び低圧縮比側端面には、弾性のシール材が取り付けられるようにしてもよい。このような構成によれば、圧縮比が最高圧縮比に設定される時及び最低圧縮比設定される時に、凹部の端面と凸部の端面の間でシール材が圧迫されるようになる。この場合、シール材のシール性が向上するとともに、シール材の反発力によってクランクケースとシリンダブロックの相対振動が抑制されるようになる。
尚、上記した効果は、シール材が凸部の高圧縮比側の端面及び低圧縮比側の端面に取り付けられた場合であっても同様に得ることができる。
本発明によれば、クランクケースとシリンダブロックを相対変位させることにより圧縮比を変更する可変圧縮比エンジンにおいて、圧縮比変更時のフリクション増加を抑制しつつシリンダブロックとクランクケースの相対振動を抑制することが可能となる。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。
先ず、本発明の第1の実施例について図1〜図8に基づいて説明する。図1及び図2において、エンジン1は、シリンダブロック2とクランクケース3を備えている。
シリンダブロック2は、クランクケース3に対してシリンダ20の軸方向へ摺動自在に取り付けられている。シリンダブロック2とクランクケース3が相互に重なり合う部分には、シリンダブロック2を変位させる変位機構4が設けられている。
変位機構4は、偏心カムの回転位置を変更することによりクランクケース3に対するシリンダブロック2の位置を変位させる機構であり、本発明に係る可変圧縮比機構に相当する。
図3は、変位機構4の構成を示す図である。シリンダブロック2の両側下部には、複数の隆起部が形成されており、この各隆起部にカム収納孔41が形成されている。これらのカム収納孔41は、シリンダ配列方向に平行に且つ同一軸線上に形成されている。
クランクケース3には、上述したカム収納孔41が形成された複数の隆起部の間に位置するように、立壁部42aが形成されている。各立壁部42aのクランクケース外側に向けられた表面には、半円形の凹部が形成されている。各立壁部42aには、半円形の凹部を有するキャップ42bがボルト43によって固定される。立壁部42aとキャップ42bが固定されると、双方の凹部によって円形の軸受収納孔44が形成される。軸受収納孔44の内径はカム収納孔41と同径である。
このように構成されたシリンダブロック2とクランクケース3が連結されると、シリンダブロック2及びクランクケース3の両側面にはカム収納孔41と軸受収納孔44が交互に配置された連通孔が形成される。これらの連通孔には、偏心カム軸40が各々挿通される。
各偏心カム軸40は、一本の軸部40aと、複数のカム部40b及び可動軸受部40cを備えている。カム部40bは、正円形のカムプロフィールを有し、軸部40aに偏心固定される。可動軸受部40cは、カム部40bと同一形状を有し、軸部40aに対して回転自在に取り付けられる。
尚、カム部40bと可動軸受部40cは、カム部40bが前記カム収納孔41に収容され且つ可動軸受部40cが前記軸受収納孔44に収容されるように交互に配置されるものとする。
このように構成された偏心カム軸40の一端にはアクチュエータ45が設けられている。アクチュエータ45は、各偏心カム軸40の軸部40aの一端に固定されるウォームホイール46a、46bと、各ウォームホイール46a、46bに噛み合うウォーム47a、47bと、ウォーム47a、47bを回転駆動するモータ48を備えている。モータ48は、シリンダブロック2に固定されている。
前記したウォームホイール46a、46bの中心は、軸部40aの中心軸からオフセットされ、且つカム部40bの中心と一致している。また、ウォーム47a、47bの螺旋溝は互いに逆方向に形成され、モータ48の回転により2本の偏心カム軸40が互いに逆
回転するようになっている。
ここで、変位機構4の基本的な動作について図4に基づいて説明する。図4中のa、b、及びcは、軸部40aの中心、カム部40bの中心、及び可動軸受部40cの中心を各々表している。
図4の(a)は、圧縮比が最も高くなる状態、言い換えればシリンダブロック2が下死点側へ最も変位した状態を示している。この場合、全てのカム部40b及び可動軸受部40cの中心b、cが同一軸線上に位置するとともに、それらカム部40b及び可動軸受部40cの外周面が軸方向において一致する。これに対応して、カム収納孔41及び軸受収納孔44の中心も互いに一致している。
図4(a)の状態から圧縮比を低下させる場合には、2本の偏心カム軸40が図中の矢印方向へ回転するようにモータ48が制御される。図4の(b)は偏心カム軸40が図4の(a)の状態から凡そ45°回転した状態を示している。この場合、カム部40bの中心bが可動軸受部40cの中心cに対して上死点側へオフセットされ、それに応じてカム部40bの外周面も可動軸受部40cの外周面に対して上死点側へオフセットされる。
カム部40bが可動軸受部40cに対して上死点側へオフセットされると、カム収納孔41も軸受収納孔44に対して上死点側へオフセットされるため、シリンダブロック2がクランクケース3に対して上死点側へ変位する。シリンダブロック2がクランクケース3に対して上死点側へ変位すると、燃焼室容積が拡大するため、内燃機関1の圧縮比が低下する。
モータ48が2本の偏心カム軸40を図中の矢印方向へ更に回転させると、カム部40bと可動軸受部40cのオフセット量が更に増加し、それに応じて圧縮比が一層低くなる。図4の(c)は、偏心カム軸40が図4の(a)の状態から90°回転した状態を示している。
このとき、軸部40aの中心aとカム部40bの中心bと可動軸受部40cの中心cとがシリンダ軸方向に一列に並び、カム部40bと可動軸受部40cのオフセット量が最大となる。すなわち、偏心カム軸40が図4の(a)の状態から90°回転した時に、シリンダブロック2の上死点側への変位量が最大となる。その結果、内燃機関1の圧縮比が最も低くなる。
尚、図4の(b)、(c)の状態から圧縮比を上昇させる場合には、モータ48が逆回転して2本の偏心カム軸40を図4中の矢印方向と逆方向へ回転させればよい。
このような変位機構4によれば、モータ48が偏心カム軸40を0°〜90°の範囲で回転させることによりシリンダブロック2をシリンダ軸方向へ変位自在となり、それに応じて内燃機関1の圧縮比が自在に変更されることとなる。
ここで図1及び図2の説明に戻り、シリンダブロック2とクランクケース3が相互に重なり合う領域(図1中のA)において、シリンダブロック2の外壁面とクランクケース3の内壁面との間には、間隙(クリアランス)5が設けられている。
前記領域Aにおいて、クランクケース3の内壁面において相互に対向する2つの面(図1及び図2の例では、長手方向(シリンダ配列方向)の2面)には、シリンダ軸方向へ延在する凹部6が形成されている。これに対し、シリンダブロック2の外周面において前記凹部6と対向する2箇所の部位には、前記凹部6の内方へ突出する凸部7が設けられてい
る。
尚、凹部6のシリンダ軸方向の寸法及び凸部7のシリンダ軸方向の寸法は、シリンダブロック2が上死点側変位端(低圧縮比側の変位端)に変位した時に凸部7の上死点側端面(低圧縮比側端面)7aが凹部6の上死点側端面(低圧縮比側端面)6aに当接し、且つシリンダブロック2が下死点側変位端(高圧縮比側の変位端)に変位した時に凸部7の下死点側端面(高圧縮比側端面)7bが凹部6の下死点側の端面(高圧縮比側端面)6bに当接するように設定されるものとする。すなわち、凹部6のシリンダ軸方向における寸法d1と凸部のシリンダ軸方向における寸法d2は、シリンダブロック2の変位量(ストローク量)をSとした時に、S=d1−d2が成立するように設定されるものとする。
凹部6の低圧縮比側端面6a及び高圧縮比側端面6b、凸部7の低圧縮比側端面7a及び高圧縮比側端面7bは、それぞれ傾斜面に形成されている。詳細には、図5に示すように、凹部6の低圧縮比側端面6aと凸部7の低圧縮比側端面7aがクランクケース3寄りの部位からシリンダブロック2寄りの部位へ向かって徐々に上方(上死点方向)へ傾斜し、凹部6の高圧縮比側端面6bと凸部7の高圧縮比側端面7bがクランクケース3寄りの部位からシリンダブロック2寄りの部位へ向かって徐々に下方(下死点方向)へ傾斜している。
その際、凹部6の低圧縮比側端面6aと凸部7の低圧縮比側端面7aの傾斜角度が同等であり、且つ、凹部6の高圧縮比側端面6bと凸部7の高圧縮比側端面7bの傾斜角度も同等であるものとする。
また、凹部6の低圧縮比側端面6a及び高圧縮比側端面6bには、弾性を有するシール材8が固定されている。尚、シール材8は、凸部7の低圧縮比側端面7a及び高圧縮比側端面7bに取り付けられるようにしてもよい。
このように構成された可変圧縮比エンジンでは、変位機構4によって圧縮比が最低圧縮比に設定された時(偏心カム軸40が図4(a)の状態から90°回転させられた時)に、シリンダブロック2が低圧縮比側の変位端へ変位する。このとき、図6に示すように、凸部7の低圧縮比側端面7aがシール材8を介して凹部6の低圧縮比側端面6aへ押し付けられる。その結果、シール材8が押し潰されて凹部6の低圧縮比側端面6aと凸部7の低圧縮比側端面7aとのクリアランスが略零となり、シリンダブロック2が凹部6の低圧縮比側端面6aの傾斜方向へ変位するようになる。すなわち、シリンダブロック2は、凹部6が設けられたクランクケース内壁面から離間(図6中の矢印X1,X2方向へ移動)しつつ上方(図6中の矢印Y方向)へ移動する。
本実施例ではクランクケース内壁面及びシリンダブロック外壁面の互いに対向する面に凹部6及び凸部7が設けられているため、シリンダブロック2が一方の凹部6の低圧縮比側端面6aに沿ってクランクケース内壁面から離間しようとする力(図6中の矢印X1方向へ移動しようとする力)と、シリンダブロック2が他方の凹部6の低圧縮比側端面6aに沿ってクランクケース内壁面から離間しようとする力(図6中の矢印X2方向へ移動しようとする力)とが釣り合う位置でシリンダブロック2の変位が停止する。
このようにシリンダブロック2の位置決めがなされると、シリンダブロック2が図6中の矢印X1,X2の方向へ変位し難くなる。すなわち、凹部6の低圧縮比側端面6aと凸部7の低圧縮比側端面7aが密着(厳密には、変形したシール材8を介して密着)した状態でシリンダブロック2を矢印X1,X2方向へ変位させるためには、シリンダブロック2をシリンダ軸方向(図6中の矢印Y方向、及び矢印Yと反対の方向)へ変位させることも必要となるが、変位機構4によってシリンダブロック2のシリンダ軸方向の変位が規制
されているため、シリンダブロック2の矢印X1,X2方向への変位も規制されることになる。
依って、シリンダブロック2が低圧縮比側の変位端に位置している時(すなわち、圧縮比が最低圧縮比に設定されている時)には、シリンダ内圧力の変動等が発生してもクランクケース3とシリンダブロック2が相対振動を起こし難くなる。また、凹部6の低圧縮比側端面6aと凸部7の低圧縮比側端面7aとの間で圧迫されたシール材8によりオイルのシール性が高められるとともに、シール材8の反発力によってもクランクケース3とシリンダブロック2の相対振動が抑制されるようになる。
次に、変位機構4によって圧縮比が最高圧縮比に設定された時(偏心カム軸40が図4(a)の状態から0°回転させられた時)に、シリンダブロック2が高圧縮比側の変位端へ変位する。このとき、図7に示すように、凸部7の高圧縮比側端面7bがシール材8を介して凹部6の高圧縮比側端面6bへ押し付けられる。その結果、シール材8が押し潰されて凹部6の高圧縮比側端面6bと凸部7の高圧縮比側端面7bとのクリアランスが略零となり、シリンダブロック2が凹部6の高圧縮比側端面6bの傾斜方向へ変位するようになる。すなわち、シリンダブロック2は、凹部6が設けられたクランクケース内壁面から離間(図7中の矢印X1,X2方向へ移動)しつつ上方(図7中の矢印Z方向)へ移動する。
シリンダブロック2が一方の凹部6の高圧縮比側端面6bに沿ってクランクケース内壁面から離間しようとする力(図7中の矢印X1方向へ移動しようとする力)と、他方の凹部6の高圧縮比側端面6bに沿ってクランクケース内壁面から離間しようとする力(図7中の矢印X2方向へ移動しようとする力)が釣り合う位置でシリンダブロック2の変位が停止する。
このようにシリンダブロック2の位置決めがなされると、シリンダブロック2が図7中の矢印X1,X2の方向へ変位し難くなる。すなわち、凹部6の高圧縮比側端面6bと凸部7の高圧縮比側端面7bが密着(厳密には、変形したシール材8を介して密着)した状態でシリンダブロック2を矢印X1,X2方向へ変位させるためには、シリンダブロック2をシリンダ軸方向(図7中の矢印Z方向、及び矢印Zと反対の方向)へ変位させることも必要となるが、変位機構4によってシリンダブロック2のシリンダ軸方向の変位が規制されているため、シリンダブロック2の矢印X1,X2方向への変位も規制されることになる。
依って、シリンダブロック2が高圧縮比側の変位端に位置している時(すなわち、圧縮比が最高圧縮比に設定されている時)には、シリンダ内圧力の変動等が発生してもクランクケース3とシリンダブロック2が相対振動を起こし難くなる。また、凹部6の高圧縮比側端面6bと凸部7の高圧縮比側端面7bとの間で圧迫されたシール材8によりオイルのシール性が高められるとともに、シール材8の反発力によってもクランクケース3とシリンダブロック2の相対振動が抑制されるようになる。
また、シリンダブロック2が高圧縮比側変位端から低圧縮比側変位端へ変位する時、及び低圧縮比側変位端から高圧縮比側変位端へ変位する時には、前述した図1及び図5に示したように、シリンダブロック2とクランクケース3との間にクリアランス5が生まれるため、シリンダブロック2とクランクケース3との間の摺動抵抗が増加することはない。
以上述べた実施例によれば、圧縮比を変更する時のクランクケース3とシリンダブロック2との間の摺動抵抗を増加させることなく、圧縮比が最高圧縮比及び最低圧縮比に設定される時のクランクケース3とシリンダブロック2の相対振動を抑制することが可能にな
る。
また、圧縮比が最高圧縮比と最低圧縮比の間の圧縮比に設定される場合には、クランクケースとシリンダブロック2との間にクリアランスが生まれるため、圧縮比が最高圧縮比及び最低圧縮比に設定される場合に比してクランクケース3及びシリンダブロック2の相対振動が発生しやすいが、この手の可変圧縮比エンジンの圧縮比は多くの運転領域において最低圧縮比と最高圧縮比の何れかに設定されるため、最低圧縮比時及び最高圧縮比時の振動を抑制することができれば、可変圧縮比エンジンが使用される過程の大部分において振動が抑制されることになる。
尚、本実施例では、凹部6及び凸部7がクランクケース内壁面及びシリンダブロック外壁面の互いに対向する2面に設けられる例について述べたが、クランクケース内壁面及びシリンダブロック外壁面の4面の全てに設けられるようにしてもよい。この場合、クランクケース3に対するシリンダブロック2の位置決め精度が一層高まるようになる。
本実施例において、シール材8は、図8に示すように、凹部6の内壁面の全面にわたって1つ取り付けられるようにしてもよい。このような構成によれば、凹部6の加工やシール材8の取り付けを簡易化することができる。
本実施例において、シール材8は、図9に示すように、凸部7の先端に1つ取り付けられるようにしてもよい。このような構成によれば、圧縮比が最低圧縮比に設定される時に凹部6の低圧縮比側端面6aと凸部7の低圧縮比側端面7aが直に当接し、圧縮比が最高圧縮比に設定される時に凹部6の高圧縮比側端面6bと凸部7の高圧縮側端面7bが直に密着するため、シリンダブロック2の位置決め精度が一層高められる。
本実施例において、低圧縮比側端面6a、高圧縮比側端面6b、低圧縮比側端面7a、及び高圧縮比側端面7bは、図10に示すように、曲面で形成されるようにしてもよい。但し、凹部6の低圧縮比側端面6aと凸部7の低圧縮比側端面7aは同一の曲率を有する曲面で形成され、且つ、凹部6の高圧縮比側端面6bと凸部7の高圧縮比側端面7bも同一の曲率を有する曲面で形成されるものとする。このような構成によれば、各端面6a、6b、7a、7bが傾斜面で形成された場合と同様の作用及び効果を得ることができる。
次に、本発明に係る可変圧縮比エンジンの第2の実施例について図11〜図14に基づいて説明する。ここでは、前述した第1の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
図11は、本実施例における凹部及び凸部の形状を示す断面図である。図11に示すように、凹部6の低圧縮比側端面6a及び高圧縮比側端面6bは、シリンダ軸に垂直な面(水平面)で形成されている。これに対応して、凸部7の低圧縮比側端面7a及び高圧縮比側端面7bも、シリンダ軸に垂直な面で形成される。
凹部6の低圧縮比側端面6aと凸部7の低圧縮比側端面7aとの間の空間、及び凹部6の高圧縮比側端面6bと凸部7の高圧縮比側端面7bとの間の空間の各々には、弾性を有したシール材8が装填されている。
このように構成された可変圧縮比エンジンでは、シリンダブロック2が低圧縮比側の変位端へ変位すると、図12に示すように、凸部7の低圧縮比側端面7aがシール材8を介して凹部6の低圧縮比側端面6aへ押し付けられる。その状態で変位機構4が更にシリンダブロック2を押し上げると、シール材8が押し潰されて凹部6の低圧縮比側端面6aと
凸部7の低圧縮比側端面7aとのクリアランスが略零となる。
この場合、シリンダブロック2のシリンダ軸方向への変位(振動)は、変位機構4がシリンダブロック2を押し上げる力(言い換えれば、凸部7の低圧縮比側端面7aを凹部6の低圧縮比側端面6aに押し付ける力)によって規制される。シリンダブロック2のシリンダ軸方向と垂直な方向(図12中の矢印Ev方向)への変位(振動)は、変位機構4がシリンダブロック2を押し上げる力、凹部6の低圧縮比側端面6aとシール材8との摩擦抵抗、及び、凸部7の低圧縮比側端面7aとシール材8との摩擦抵抗により低減される。
依って、シリンダブロック2が低圧縮比側の変位端に位置している時(すなわち、圧縮比が最低圧縮比に設定されている時)には、シリンダ内圧力の変動等が発生してもクランクケース3とシリンダブロック2が相対振動を起こし難くなる。また、凹部6の低圧縮比側端面6aと凸部7の低圧縮比側端面7aとの間で圧迫されたシール材8によりオイルのシール性が高められるとともに、シール材8の反発力によってもクランクケース3とシリンダブロック2の相対振動が抑制されるようになる。
一方、シリンダブロック2が高圧縮比側の変位端へ変位すると、図13に示すように、凸部7の高圧縮比側端面6bがシール材8を介して凹部6の高圧縮比側端面6bへ押し付けられる。その状態で変位機構4が更にシリンダブロック2を押し下げると、シール材8が押し潰されて凹部6の高圧縮比側端面6bと凸部7の高圧縮比側端面7bとのクリアランスが略零となる。
この場合、シリンダブロック2のシリンダ軸方向への変位(振動)は、変位機構4がシリンダブロック2を押し下げる力(言い換えれば、凸部7の高圧縮比側端面7bを凹部6の高圧縮比側端面6bに押し付ける力)によって規制される。シリンダブロック2のシリンダ軸方向と垂直な方向(図13中の矢印Ev方向)への変位(振動)は、変位機構4がシリンダブロック2を押し下げる力、凹部6の高圧縮比側端面6bとシール材8との摩擦抵抗、及び、凸部7の高圧縮比側端面7bとシール材8との摩擦抵抗により低減される。
依って、シリンダブロック2が高圧縮比側の変位端に位置している時(すなわち、圧縮比が最高圧縮比に設定されている時)には、シリンダ内圧力の変動等が発生してもクランクケース3とシリンダブロック2が相対振動を起こし難くなる。また、凹部6の高圧縮比側端面6bと凸部7の高圧縮比側端面7bとの間で圧迫されたシール材8によりオイルのシール性が高められるとともに、シール材8の反発力によってもクランクケース3とシリンダブロック2の相対振動が抑制されるようになる。
また、シリンダブロック2が高圧縮比側変位端から低圧縮比側変位端へ変位する時、及び低圧縮比側変位端から高圧縮比側変位端へ変位する時には、前述した図11に示されるように、シリンダブロック2とクランクケース3との間にクリアランス5が生まれるため、シリンダブロック2とクランクケース3との間の摺動抵抗が増加することはない。
以上述べた実施例によれば、圧縮比を変更する時のクランクケース3とシリンダブロック2との間の摺動抵抗を増加させることなく、圧縮比が最高圧縮比及び最低圧縮比に設定される時のクランクケース3とシリンダブロック2の相対振動を抑制することが可能になる。
尚、本実施例の可変圧縮比エンジンでは、凹部6の低圧縮比側端面6aと凸部7の低圧縮比側端面7aとの接触面積(厳密には、凹部6の低圧縮比側端面6aとシール材8との接触面積、及び凸部7の低圧縮比側端面7aとシール材8との接触面積)が広くなるほど、最低圧縮比時及び最高圧縮比時の振動を抑制し易いので、クランクケース内壁面とシリ
ンダブロック外壁面の全周にわたって凹部6と凸部7が各々設けられるようにしてもよい。
また、本実施例の可変圧縮比エンジンにおいて、シール材8は、図14に示すように、凸部7の先端部に取り付けられるようにしてもよい。このような構成によれば、圧縮比が最低圧縮比に設定される時に凹部6の低圧縮比側端面6aと凸部7の低圧縮比側端面7aが直に当接し、圧縮比が最高圧縮比に設定される時に凹部6の高圧縮比側端面6bと凸部7の高圧縮側端面7bが直に密着するため、シリンダブロック2のシリンダ軸方向における位置が一意に定まり易くなる。
次に、本発明に係る可変圧縮比エンジンの第3の実施例について図15に基づいて説明する。ここでは、前述した第1の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
図15は、本実施例における凹部及び凸部の形状を示す断面図である。図15に示すように、凸部60は、シリンダブロック2の外壁に埋設されたシール材8によって構成されている。このような構成によれば、加工の簡易化や部品点数の低減を図ることが可能になる。更に、シール材8が凹部6の低圧縮比側端面6a又は高圧縮比側端面6bと密着した時に、低圧縮比側端面6a又は高圧縮比側端面6bとシール材8との摩擦抵抗によってシリンダブロック2とクランクケース3の相対振動を抑制することができる上、シリンダブロック2とクランクケース3の相対振動が発生してもシール材8の弾性により振動を減衰することができる。
実施例1における可変圧縮比エンジンの概略構成を示す縦断面図である。 実施例1における可変圧縮比エンジンの概略構成を示す横断面図である。 変位機構の構成を示す図である。 変位機構の動作を示す図である。 実施例1における凹部及び凸部の構成を示す拡大縦断面図である。 実施例1において圧縮比を最低圧縮比に設定した時の凹部と凸部の状態を示す図である。 実施例1において圧縮比を最高圧縮比に設定した時の凹部と凸部の状態を示す図である。 実施例1において凹部の内壁面の全体に1つにシール材を配置した例を示す図である。 実施例1において凸部の先端にシール材を配置した例を示す図である。 実施例1において凹部及び凸部の端面を曲面で形成した例を示す図である。 実施例2における凹部及び凸部の構成を示す拡大縦断面図である。 実施例2において圧縮比を最低圧縮比に設定した時の凹部と凸部の状態を示す図である。 実施例2において圧縮比を最高圧縮比に設定した時の凹部と凸部の状態を示す図である。 実施例2において凸部の先端にシール材を配置した例を示す図である。 実施例3における凹部及び凸部の構成を示す拡大縦断面図である。
符号の説明
1・・・・・エンジン
2・・・・・シリンダブロック
3・・・・・クランクケース
4・・・・・変位機構
5・・・・・間隙
6・・・・・凹部
6a・・・・低圧縮比側端面
6b・・・・高圧縮比側端面
7・・・・・凸部
7a・・・・低圧縮比側端面
7b・・・・高圧縮比側端面
8・・・・・シール材1

Claims (5)

  1. クランクケースとシリンダブロックを相対変位させる変位機構を備えた可変圧縮比エンジンにおいて、
    前記クランクケース及び前記シリンダブロックが相互に重なり合う部分のクランクケース壁面及びシリンダブロック壁面の一方に相対変位方向に延在する凹部を設けるとともに他方に前記凹部の内方へ突出する凸部を設け、
    前記変位機構によりシリンダブロックがクランクケースに対して高圧縮比側の変位端へ変位させられた時に前記凸部が前記凹部の高圧縮比側の端面に当接し、前記変位機構によりシリンダブロックがクランクケースに対して低圧縮比側の変位端へ変位させられた時には前記凸部が前記凹部の低圧縮比側の端面に当接するようにしたことを特徴とする可変圧縮比エンジン。
  2. 請求項1において、前記凹部の高圧縮比側端面及び低圧縮比側端面が各々傾斜面で形成され、前記凸部の高圧縮比側の端面及び低圧縮比側の端面が前記凹部の高圧縮比側端面及び低圧縮比側端面と同等の傾斜角度を有する傾斜面で形成されることを特徴とする可変圧縮比エンジン。
  3. 請求項1において、前記凹部の高圧縮比側端面及び低圧縮比側端面が各々曲面で形成され、前記凸部の高圧縮比側の端面及び低圧縮比側の端面が前記凹部の高圧縮比側端面及び低圧縮比側端面と同等の曲率を有する曲面で形成されることを特徴とする可変圧縮比エンジン。
  4. 請求項1〜3の何れか一において、前記凹部の高圧縮比側端面及び低圧縮比側端面には、弾性のシール材が取り付けられることを特徴とする可変圧縮比エンジン。
  5. 請求項1〜3の何れか一において、前記凸部の高圧縮比側の端面及び低圧縮比側の端面には、弾性のシール材が取り付けられることを特徴とする可変圧縮比エンジン。
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