JP2006315961A - アクリル酸エステル化合物とその製造方法及び製造中間体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】例えば、p-トリル-ビス(6-メトキシ-2-ナフチル)アミンを三臭化ホウ素の存在下に脱メチル化してp-トリル-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)アミンを合成し、これを製造中間体に用いて塩化アクリロイルとトリエチルアミンの存在下に反応させてp-トリル-ビス(6-アクリロキシ-2-ナフチル)アミンを製造する。得られたアクリル酸エステル化合物を紫外線照射により連鎖重合する。
【選択図】図1
Description
しかしながら、単に電荷輸送性材料を樹脂中に混合、分散させるだけでは電荷輸送機能膜の機械的強度や耐熱性を確保するのが難しく特性として十分なものが得られない。したがって、これらの特性を向上するためには電荷輸送性材料とバインダーとして使用される樹脂を結合させて一体化させることが有効な手法である。
例えば、二つ以上の連鎖重合性官能基を有する種々の電荷輸送性モノマーが提案されており、これらを電子写真感光体に応用することが提案されている。電荷輸送性モノマーの中でも特にアクリル酸エステル系化合物は架橋性が良好であり多数提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。このような電荷輸送性モノマーを用いることにより、耐析出性、耐摩耗性、耐傷性、感度、残留電位などが改善されるとしている。
また、本出願人は先に、トリフェニルアミン骨格を有するアクリル酸エステル類及びその重合体を提案した(例えば、特許文献3参照。)。このアクリル酸エステル類を用いることにより、電子写真感光体の感度と耐久性の向上が図れる。
なお、本発明においては「アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル官能基を有する化合物」を「アクリル酸エステル化合物」と定義する。
また本発明の上記各アクリル酸エステル化合物の製造中間体として、前記一般式(5)、(6)、(7)、(8)で表されるヒドロキシ化合物を用いれば、所定のアクリル酸エステル化合物の分子中に電荷輸送機能(ホール輸送性)を持つ構造単位を容易に導入することができる。すなわち、ヒドロキシ化合物とアクリル酸クロリドあるいはメタクリル酸クロリドを反応させることにより目的の化合物を容易に合成することができる。
本発明のアクリル酸エステル化合物は、前記一般式(1)で表されることを特徴とする。
一般式(1)におけるR1、R2は水素原子またはメチル基を表し、同一でも異なってもよい。なお、水素原子とメチル基では、連鎖重合性、例えばラジカル重合性に違いが生ずるので、使用環境により適宜選択される。
R3、R4の具体例としては、メチル基、エチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、2−プロピルオキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、p−トリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基、2−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、ベンゾチオフェン−2−イル基、2−ベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を挙げることができる。この中で、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロ環基はそれぞれ置換基を有していてもよく、その置換基の具体例としては、前述の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはハロゲン原子をそれぞれ挙げることができる。
Ar1の具体例としては、メチル基、エチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基、フルオレニル基等の縮合多環炭化水素基、または2−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、ベンゾチオフェン−2−イル基、2−ベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基を挙げることができ、これらは置換基を有していてもよく、その置換基の具体例としては、上述の、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を挙げることができる。
これらAr1の置換基は窒素原子を介してそれぞれアルキル基、アリール基、縮合多環炭化水素基またはヘテロ環基に結合していてもよい。置換基を有してもよいアルキル基としては、例えばベンジル基のようなアラルキル基が含まれる。置換基として、例えば、β−フェニル置換スチリル基も含まれる。すなわち、置換基自体が上述のアルキル基、アルコキシ基、アリール基またはハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。また、上記アリール基としては酸素原子またはCH2、C(CH3)等の2価の基を介して結合した芳香族炭化水素基が含まれる。
一般式(2)におけるR5、R6は水素原子またはメチル基を表し、同一でも異なってもよい。R7、R8の具体例としては、それぞれ前述の一般式(1)で説明した、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはハロゲン原子を挙げることができ、このうちアルキル基、アルコキシ基またはアリール基は置換基を有していてもよい。
R7、R8の具体例としては、前述の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子をそれぞれ挙げることができ、このうちアルキル基、アルコキシ基またはアリール基は置換基を有していてもよい。その置換基の具体例としては、前述の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはハロゲン原子をそれぞれ挙げることができる。
Ar2の具体例としてはメチレン基、1,2−エチレン基等のアルキレン基を、1,2−フェニレン、1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、2,6−ナフチレン等のアリーレン基を、フルオレニリデン等の2価の縮合多環炭化水素基を、2,5−チエニレン、2,5’−ジチエニレン等の2価のヘテロ環基を挙げることができ、アリーレン基としては、フェニル基が酸素原子またはCH2、C(CH3)等の2価の基により結合された2価の基であってもよい。これらは置換基を有していてもよく、その置換基の具体例としては、前述の、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子をそれぞれ挙げることができる。
Ar3、Ar4の具体例としては、メチル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、ビフェニル基等のアリール基、フルオレニル基等の縮合多環炭化水素基、またはAr3とAr4の隣接する炭素原子が結合して形成されたカルバゾール基等のヘテロ環基を挙げることができる。これらは置換基を有していてもよく、その置換基の具体例としては、前述の、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子をそれぞれ挙げることができる。
一般式(3)におけるR9、R10は水素原子またはメチル基を表し、同一でも異なってもよい。R11、R12の具体例としては、前述の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基またはハロゲン原子をそれぞれ挙げることができ、これらアルキル基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロ環基は置換基を有していてもよい。その置換基の具体例としては、前述の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはハロゲン原子をそれぞれ挙げることができる。
R13、R14、R15、R16の具体例としては、前述の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはハロゲン原子をそれぞれ挙げることができ、これらアルキル基、アルコキシ基、またはアリール基は置換基を有していてもよい。その置換基の具体例としては、前述の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子をそれぞれ挙げることができる。
一般式(4)におけるR17、R18は水素原子またはメチル基を表し、同一でも異なってもよい。
R19、R20の具体例としては、前述の、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基またはヘテロ環基をそれぞれ挙げることができ、このうちアルキル基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロ環基は置換基を有していてもよい。その置換基の具体例としては、前述の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはハロゲン原子をそれぞれ挙げることができる。
Ar6、Ar7の具体例としては、前述の、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を挙げることができ、これらの基は置換基を有していてもよい。その置換基の具体例としては、前述の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはハロゲン原子をそれぞれ挙げることができる。
Ar5の置換基を有してもよいアルキレン基の具体例としては下記一般式(A−1)〜(A−6)で示されるものを、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有してもよい2価の縮合多環炭化水素基の具体例としては下記一般式(A−7)〜(A−17)で示されるものを挙げることができる。
先ず、前記一般式(1)〜(3)で表される本発明のアクリル酸エステル化合物を下記一般式(B−1)〜(B−39)に示す。
例えば、以下の手順でヒドロキシ化合物を合成し、得られたヒドロキシ化合物とアクリル酸クロリドあるいはメタクリル酸クロリドを反応させて本発明のアクリル化合物あるいはメタクリル化合物を容易に合成することができる。
下記反応式(a)に示すようにメトキシ化合物(E−1)を原料とし、これを従来周知の方法を用いて脱メチル化し、ヒドロキシ化合物(E−2)を合成することができる(「脱メチル化によるヒドロキシ化合物の合成工程」)。
なお、反応式(a)中の化合物の構造式は省略しており、一般式(5)〜(8)で示したヒドロキシ化合物が有する構造式のものである。
これらの方法の中では、特に三臭化ホウ素、ナトリウムチオラート−DMFを用いた方法が有効であるが、本願発明の中間体であるヒドロキシ化合物を得るための合成方法は、これらに限定されるものではない。具体的な合成例については後述の実施例に示す。
下記反応式(b)に示すようにヒドロキシ化合物(E−2)を製造中間体として用い、例えばアクリル酸エステル化合物(E−3)を合成するには、従来周知のエステル化法と同様にして合成することができる(「アクリル化、あるいはメタクリル化工程」)。なお、反応式(b)中の化合物の構造式は省略しており、一般式(5)〜(8)で示したヒドロキシ化合物が有する構造式のものである。下記式中Rは、一般式(5)〜(8)で示したR3、R4、R7、R8、R11、R12、R19、R20と同義である。
例えば、ヒドロキシ化合物(E−2)とアクリル酸とをp−トルエンスルフォン酸等のエステル化触媒と共に有機溶媒中で脱水しながら加熱撹拌することで合成できる。また、ヒドロキシ化合物とアクリル酸クロリドとを有機溶媒中アルカリ存在下で反応させることによっても容易に合成できる。この反応時に用いられるアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ、またはその水溶液、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン系塩基を使用することができる。反応に用いられる有機溶媒としては、トルエン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、あるいはクロロホルム等のハロゲン系溶媒等が使用できる。具体的な合成例については後述の実施例に示す。
また、本発明のアクリル酸エステル化合物は、他のモノマーとの相溶性も良好であり、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートトリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以降、EO変性と略記する)トリアクリレート、トリメチロールプロパプロピレンオキシ変性(以降、PO変性と略記する)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート等が挙げられる。
これらのモノマーは単一あるいは複数用いて本発明のアクリル酸エステル化合物に混合してもよく、目的とする要求特性等に合せて選択することができる。これらのモノマーの混合量は目的によっても異なるが、例えば電子写真感光体の電荷輸送層に応用する場合、通常アクリル酸エステル化合物との混合比(重量%)で0.01%〜1500%、好ましくは1%〜500%程度である。
〔p−トリル−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)アミンの合成〕
攪拌装置、温度計、冷却管をつけた反応容器に、p−トリル-ビス(6−メトキシ−2−ナフチル)アミン2.1g、塩化メチレン50mlを入れ、氷冷下で三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液12mlを滴下し、同温度で1時間反応を行なった後、更に室温まで昇温して1時間反応を行った。その後、反応液を氷水に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗した後、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮して目的の生成物を得た(収量2.38g)。
〔例示化合物(B−9)の合成〕
攪拌装置、温度計、冷却管、滴下漏斗をつけた反応容器に、p−トリル-ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)アミン2.25g、トリエチルアミン1.75g、テトラヒドロフラン25mlを入れ、室温で攪拌した。そこへ塩化アクリロイル1.2ml、テトラヒドロフラン2.0mlの混合液を滴下した。その後、30分間室温で反応を行った。反応終了後、反応液を氷水へ注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:n−ヘキサン/トルエン=1/9)により精製して目的物を得た(収量1.42g)。
目的物の諸元を以下に示す。
融点=176.0〜177.0℃
APCI−MS:m/z=500
塩化メチレン中のUV吸収スペクトル:λmax=319.5nm、ε=29100M-1cm-1
HPLC純度(254nm)=99.2%
IR測定データ:図1の赤外吸収スペクトル図(IRデータNo.1)に示す。
〔4−ジ−p−トリルアミノ-4´−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)アミノビフェニルの合成〕
攪拌装置、温度計、冷却管をつけた反応容器に、4−ジ−p−トリルアミノ-4´−ビス(6−メトキシ−2−ナフチル)アミノビフェニル2.79g、塩化メチレン50mlを入れ、氷冷下で三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液10mlを滴下し、同温度で1時間反応を行なった後、更に室温まで昇温して1時間反応を行った。その後、反応液を氷水に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗した後、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮して目的の生成物を得た(収量2.43g)。
〔例示化合物(B−22)の合成〕
攪拌装置、温度計、冷却管、滴下漏斗をつけた反応容器に、4−ジ−p−トリルアミノ-4´−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)アミノビフェニル2.31g、トリエチルアミン1.30g、テトラヒドロフラン25mlを入れ、室温で攪拌した。そこへ塩化アクリロイル1.0ml、テトラヒドロフラン2.0mlの混合液を滴下した。その後、30分間室温で反応を行った。反応終了後、反応液を氷水へ注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:n−ヘキサン/トルエン=1/9)により精製して目的物を得た(収量1.99g)。
目的物の諸元を以下に示す。
状態:アモルファス状
APCI−MS:m/z=757
塩化メチレン中のUV吸収スペクトル:λmax=357nm、ε=56200M-1cm-1
HPLC純度(254nm)=99.7%
IR測定データ:図2の赤外吸収スペクトル図(IRデータNo.2)に示す。
〔N,N´−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−N,N´−ジフェニル−3,3´−ジメチルベンジジンの合成〕
攪拌装置、温度計、冷却管をつけた反応容器に、N,N´−ビス(6−ジメトキシ−2−ナフチル)−N,N´−ジフェニル−3,3´−ジメチルベンジジン1.78g、塩化メチレン20mlを入れ、氷冷下で三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液6mlを滴下し、同温度で1時間反応を行なった後、更に室温まで昇温して1時間反応を行った。その後、反応液を氷水に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗した後、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮して目的の生成物を得た(収量1.63g)。
〔例示化合物(C−18)の合成〕
攪拌装置、温度計、冷却管、滴下漏斗をつけた反応容器に、N,N´−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−N,N´−ジフェニル−3,3´−ジメチルベンジジン1.51g、トリエチルアミン0.71g、テトラヒドロフラン20mlを入れ、室温で攪拌した。そこへ塩化アクリロイル0.5ml、テトラヒドロフラン2.0mlの混合液を滴下した。その後、30分間室温で反応を行った。反応終了後、反応液を氷水へ注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:トルエン単独)により精製して目的物を得た(収量1.22g)。
目的物の諸元を以下に示す。
状態:アモルファス状
APCI−MS:m/z=757
塩化メチレン中のUV吸収スペクトル:λmax=321.5nm、ε=61500M-1cm-1
HPLC純度(254nm)=99.8%
IR測定データ:図3の赤外吸収スペクトル図(IRデータNo.3)に示す。
上記反応により前出の他の例示化合物(B−1)〜(B−39)、(C−1)〜(C−33)も容易に製造される。なお、アクリル酸クロリドの代りにメタクリル酸クロリドを用いて反応させた場合にも同様に本発明のアクリル酸エステル化合物が容易に製造できる。
<硬化膜からの溶出量>
上記製造例2、4,6でそれぞれ合成した例示化合物B−9、例示化合物B−22、例示化合物C−18及び下記比較用の化合物(Ref−1)〜(Ref−7)を用いて以下の塗工液(A)〜塗工液(J)を調製し、これら塗工液10種をアルミ板上にブレード塗工して指触乾燥後、下記条件にて紫外線を照射し、それぞれ厚さ5μmの硬化膜を作製した。得られた硬化膜をテトラヒドロフランに7日間浸漬し、硬化膜からの溶出量を測定した。評価結果を下記表1に示す。
以下、「部」は全て「重量部」を示す。
例示化合物B−9: 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート: 10部
重合開始剤 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン: 1部
テトラヒドロフラン: 84部
塗工液Aにおいて用いた例示化合物B−9の代りに、例示化合物B−22を使用する以外は全て塗工液Aと同様の組成で塗工液Bを調製した。
塗工液Aにおいて用いた例示化合物B−9の代りに、例示化合物C−18を使用する以外は全て塗工液Aと同様の組成で塗工液Cを調製した。
塗工液Aにおいて用いた例示化合物B−9の代りに、比較化合物として下記化合物(Ref−1)を使用する以外は全て塗工液Aと同様の組成で塗工液Dを調製した。
塗工液Aにおいて用いた例示化合物B−9の代りに、比較化合物として下記化合物(Ref−2)を使用する以外は全て塗工液Aと同様の組成で塗工液Eを調製した。
塗工液Aにおいて用いた例示化合物B−9の代りに、比較化合物として下記化合物(Ref−3)を使用する以外は全て塗工液Aと同様の組成で塗工液Fを調製した。
塗工液Aにおいて用いた例示化合物B−9の代りに、比較化合物として下記化合物(Ref−4)を使用する以外は全て塗工液Aと同様の組成で塗工液Gを調製した。
塗工液Aにおいて用いた例示化合物B−9の代りに、比較化合物として下記化合物(Ref−5)を使用する以外は全て塗工液Aと同様の組成で塗工液Hを調製した。
塗工液Aにおいて用いた例示化合物B−9の代りに、比較化合物として下記化合物(Ref−6)を使用する以外は全て塗工液Aと同様の組成で塗工液Iを調製した。
塗工液Aにおいて用いた例示化合物B−9の代りに、比較化合物として下記化合物(Ref−7)を使用する以外は全て塗工液Aと同様の組成で塗工液Jを調製した。
ランプ:メタルハライドランプ 160W/cm
照射距離:120mm
照射強度:500mW/cm2
照射時間:60秒
<電荷輸送性評価>
アルミ板上に下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥(含む重合)することにより、0.3μmの下引き層、0.3μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成して10種の感光体(1)〜(10)を作製した。
なお、10種の感光体において、電荷輸送層用塗工液の組成分として、それぞれ前記合成例において合成した本発明の例示化合物(B−9)、(B−22)、(C−18)、及び上記硬化性評価において用いた(Ref−1)〜(Ref−7)の各アクリル化合物を用いて各電荷輸送層用塗工液を調製し用いた。
ポリアミド樹脂(CM−8000:東レ社製): 2部
メタノール : 49部
ブタノール : 49部
下記構造のビスアゾ顔料 2.5部
ポリビニルブチラール(XYHL:UCC社製): 0.5部
シクロヘキサノン : 200部
メチルエチルケトン : 80部
ビスフェノールZポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成社製) : 10部
電荷輸送性モノマー(表2に示すアクリル酸エステル化合物): 10部
テトラヒドロフラン : 80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液
(KF−50−100CS、信越化学工業社製) :0.2部
すなわち、暗所で−6kVのコロナ放電により−800Vに帯電せしめた後、タングステンランプ光を感光体表面での照度が4.5luxになるように照射して、電位が1/2になるまでの時間(秒)を求め、半減露光量E1/2 (lux・sec)を算出した。また、露光30秒後の残留電位(−V)を求めた。なお、半減露光量が小さいほど感度が良く、残留電位が小さいほど電荷のトラップが少ないことを表す。
評価結果を下記表2に示す。
したがって、本発明のアクリル酸エステル化合物は前記各種有機半導体デバイスを提供するための材料として極めて有効である。
Claims (12)
- 下記一般式(1)で表されることを特徴とするアクリル酸エステル化合物。
(式中、R1、R2は同一または異なってもよく、水素原子またはメチル基を表す。R3、R4は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロ環基またはハロゲン原子を表す。Ar1は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい縮合多環炭化水素基または置換基を有してもよいヘテロ環基を表し、それぞれの置換基は窒素原子を介してアルキル基、アリール基、縮合多環炭化水素基またはヘテロ環基に結合してもよい。l、mは同一または異なってもよく0〜6の整数を表す。) - 下記一般式(2)で表されることを特徴とするアクリル酸エステル化合物。
(式中、R5、R6は同一または異なってもよく、水素原子またはメチル基を表す。R7、R8は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロ環基またはハロゲン原子を表し、Ar2は置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよい2価の縮合多環炭化水素基または置換基を有してもよい2価のヘテロ環基を表し、Ar3、Ar4は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい縮合多環炭化水素基を表し、Ar3とAr4は隣接する炭素原子が結合してヘテロ環を形成してもよい。n、pは同一または異なってもよく0〜6の整数を表す。) - 下記一般式(3)で表されることを特徴とするアクリル酸エステル化合物。
(式中、R9、R10は同一または異なってもよく、水素原子またはメチル基を表す。R11、R12は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロ環基またはハロゲン原子を表し、R13、R14、R15、R16は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子を表す。q、rは同一または異なってもよく0〜6の整数を、s、tは同一または異なってもよく0〜5の整数を、u、vは同一または異なってもよく0〜4の整数を表す。) - 下記一般式(4)で表されることを特徴とするアクリル酸エステル化合物。
(式中、R17、R18は同一または異なってもよく、水素原子またはメチル基を表す。R19、R20は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロ環基またはハロゲン原子を表し、Ar6、Ar7は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロ環基を表し、Ar5は置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基または置換基を有してもよい2価の縮合多環炭化水素基を表す。w、xは同一又は異なってもよく0〜6の整数を表す。) - 前記一般式(1)で表されるアクリル酸エステル化合物の製造中間体であって、下記一般式(5)で表されるヒドロキシ化合物であることを特徴とするアクリル酸エステル化合物の製造中間体。
(式中、R3、R4は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロ環基またはハロゲン原子を表す。Ar1は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい縮合多環炭化水素基または置換基を有してもよいヘテロ環基を表し、それぞれの置換基は窒素原子を介してアルキル基、アリール基、縮合多環炭化水素基またはヘテロ環基に結合してもよい。l、mは同一または異なってもよく0〜6の整数を表す。) - 前記一般式(2)で表されるアクリル酸エステル化合物の製造中間体であって、下記一般式(6)で表されるヒドロキシ化合物であることを特徴とするアクリル酸エステル化合物の製造中間体。
(式中、R7、R8は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロ環基またはハロゲン原子を表し、Ar2は置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよい2価の縮合多環炭化水素基または置換基を有してもよい2価のヘテロ環基を表し、Ar3、Ar4は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい縮合多環炭化水素基を表し、Ar3とAr4は隣接する炭素原子が結合してヘテロ環を形成してもよい。n、pは同一または異なってもよく0〜6の整数を表す。) - 前記一般式(3)で表されるアクリル酸エステル化合物の製造中間体であって、下記一般式(7)で表されるヒドロキシ化合物であることを特徴とするアクリル酸エステル化合物の製造中間体。
(式中、R11、R12は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロ環基またはハロゲン原子を表し、R13、R14、R15、R16は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子を表す。q、rは同一または異なってもよく0〜6の整数を、s、tは同一または異なってもよく0〜5の整数を、u、vは同一または異なってもよく0〜4の整数を表す。) - 前記一般式(4)で表されるアクリル酸エステル化合物の製造中間体であって、下記一般式(8)で表されるヒドロキシ化合物であることを特徴とするアクリル酸エステル化合物の製造中間体。
(式中、R19、R20は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロ環基またはハロゲン原子を表し、Ar6、Ar7は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロ環基を表し、Ar5は置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基または置換基を有してもよい2価の縮合多環炭化水素基を表す。w、xは同一又は異なってもよく0〜6の整数を表す。) - 前記一般式(5)で表されるヒドロキシ化合物とアクリル酸クロリドあるいはメタクリル酸クロリドを反応させて得ることを特徴とする前記一般式(1)で表されるアクリル酸エステル化合物の製造方法。
- 前記一般式(6)で表されるヒドロキシ化合物とアクリル酸クロリドあるいはメタクリル酸クロリドを反応させて得ることを特徴とする前記一般式(2)で表されるアクリル酸エステル化合物の製造方法。
- 前記一般式(7)で表されるヒドロキシ化合物とアクリル酸クロリドあるいはメタクリル酸クロリドを反応させて得ることを特徴とする前記一般式(3)で表されるアクリル酸エステル化合物の製造方法。
- 前記一般式(8)で表されるヒドロキシ化合物とアクリル酸クロリドあるいはメタクリル酸クロリドを反応させて得ることを特徴とする前記一般式(4)で表されるアクリル酸エステル化合物の製造方法。
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