JP2006312694A - ブロック共重合体の製法およびその製法で得られたブロック共重合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 メタアクリル系重合体ブロックおよびアクリル系重合体ブロックからなるアクリル系ブロック共重合体の、リビングラジカル重合を用いた製法であって、生産性と品質に優れたアクリル系ブロック共重合体を安定して得ることが可能な製法を提供する
【解決手段】 まず、アクリル重合体ブロック(b)を構成するアクリル系単量体を重合して、この転化率が計算上97.0%以上100%未満となる時に、メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル系単量体を反応系中に添加して、重合させる。
【選択図】 なし
【解決手段】 まず、アクリル重合体ブロック(b)を構成するアクリル系単量体を重合して、この転化率が計算上97.0%以上100%未満となる時に、メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル系単量体を反応系中に添加して、重合させる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、熱可塑性エラストマーとして、もしくはゴムや熱可塑性樹脂などに対する添加剤として利用することができるアクリル系ブロック共重合体の製造方法およびその方法によって得られたアクリル系ブロック共重合体に関する。
メタアクリル系重合体ブロックおよびアクリル系重合体ブロックを含有するアクリル系ブロック共重合体を製造する方法としては、一般的にリビング重合を用いる方法が知られている。
リビング重合とは、狭義には、末端が常に活性を持ち続ける重合のことであるが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものとが平衡状態にある擬リビング重合も含まれる。リビング重合としては、リビングアニオン重合やリビングラジカル重合が挙げられる。これらのうち、重合可能な単量体の多さ、穏和な反応条件などの点から、リビングラジカル重合が好ましい。
リビングラジカル重合は、重合末端の活性が失われることなく維持されるラジカル重合であり、近年、様々なグループで積極的に研究が行われている。
その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(非特許文献1,2)、有機ハロゲン化物などを開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などをあげることができる。これらのうち、制御の容易さの点などから原子移動ラジカル重合が工業化に適した重合法として注目されている(特許文献1)。
これらの方法は一般的に非常に重合速度が速く、ラジカル同士のカップリングなどの停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭いMw/Mn=1.1〜1.5程度の重合体が得られる。分子量はモノマーと開始剤の仕込み比によって自由にコントロールすることができる。また、リビングラジカル重合では、重合末端の活性が失われることなく維持されるため、最初に加えた単量体の重合が終了した時点もしくは重合途中に異なる単量体を追加することで、容易にブロック共重合体を製造することができる。
「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)」、1994年、第116巻、7943頁
「マクロモレキュールズ(Macromolecules)」、1994年、第27巻、7228頁
特表平10−509475号公報
一般に、リビングラジカル重合によりアクリル系ブロック共重合体を製造する方法としては、単量体を逐次添加する方法、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次の重合体ブロックを重合する方法、別々に重合した重合体ブロックを反応により結合する方法などが挙げられるが、製造工程の簡便性、生産性の点から、単量体の逐次添加による方法が好ましい。
しかしながら、単量体を逐次添加する方法の場合、例えば、最初に重合させた単量体のうちの未反応の単量体が、次に重合させる単量体成分中に混入するため、後者の重合体ブロックが、添加した単量体のみからなる重合体ブロックとは異なる物性を示すといった問題が生じることがある。また、工業化した場合には、単量体の添加等に時間を要することとなるが、その結果、最初に重合させる単量体の転化率を精度よく制御できないという問題が生じる。これにより、次の重合体ブロックに混入する単量体の量のバラツキが大きくなり、得られた重合体の物性にバラツキが生じるという問題が発生することとなる。
一方で、最初に重合させた単量体の転化率を100%にすると、ラジカルのカップリングや不均化などの好ましくない反応により、物性が悪化する傾向がある。
本発明者らは、メタアクリル系重合体ブロックおよびアクリル系重合体ブロックからなるアクリル系ブロック共重合体の製造において、最初に添加する単量体の転化率が計算上97.0%以上100%となった時に次のブロックを構成する単量体成分を系中に添加することにより、目的とする組成のアクリル系ブロック共重合体を安定して製造できることを見出し、発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(c)をリビングラジカル重合を用いて逐次重合させる方法において、まず、アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル系単量体を重合し、その重合時間tに対してln(M0/Mt)の値(ただし、アクリル系単量体の初期濃度をM0、時間tにおける該単量体の濃度をMtで表す)をプロットして求められる直線を用いて、計算上該アクリル系単量体の転化率が97.0%以上100%未満の所定の値となる時に、メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル系単量体を反応系中に添加して、重合させることを特徴とするアクリル系ブロック共重合体(c)の製法に関する。
好ましい実施態様としては、アクリル系ブロック共重合体(c)が、トリブロック共重合体またはジブロック共重合体である上記の製法、
アクリル系ブロック共重合体(c)の数平均分子量が、10,000〜500,000である上記の製法、
アクリル系ブロック共重合体(c)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、1.8以下である上記の製法、
リビングラジカル重合が、原子移動ラジカル重合であることを特徴とする上記の製法、
リビングラジカル重合が、銅を中心金属とする遷移金属錯体を触媒として使用することを特徴とする原子移動ラジカル重合である上記の製法が挙げられる。
アクリル系ブロック共重合体(c)の数平均分子量が、10,000〜500,000である上記の製法、
アクリル系ブロック共重合体(c)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、1.8以下である上記の製法、
リビングラジカル重合が、原子移動ラジカル重合であることを特徴とする上記の製法、
リビングラジカル重合が、銅を中心金属とする遷移金属錯体を触媒として使用することを特徴とする原子移動ラジカル重合である上記の製法が挙げられる。
また、別の実施様態としては、上記の製法により製造されたアクリル系ブロック共重合体(c)がある。
本発明にかかる製法によれば、目的とする組成のアクリル系ブロック共重合体を安定して製造することができるようになる。また、本発明の製法で製造されるアクリル系ブロック共重合体は、熱可塑性エラストマーおよびゴムや熱可塑性樹脂に対する添加剤として好適に使用できる。
以下において、本発明について、さらに詳細に説明する。
<アクリル系ブロック共重合体(c)の製法>
一般に、リビングラジカル重合によりアクリル系ブロック共重合体(c)を製造する方法としては、単量体を逐次添加する方法、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次の重合体ブロックを重合する方法、別々に重合した重合体ブロックを反応により結合する方法などが挙げられるが、本発明では、製造工程の簡便性の点から、単量体の逐次添加による方法を用いる。
一般に、リビングラジカル重合によりアクリル系ブロック共重合体(c)を製造する方法としては、単量体を逐次添加する方法、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次の重合体ブロックを重合する方法、別々に重合した重合体ブロックを反応により結合する方法などが挙げられるが、本発明では、製造工程の簡便性の点から、単量体の逐次添加による方法を用いる。
単量体の逐次添加によりアクリル系ブロック共重合体(c)を製造する方法においては、メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル系単量体と、アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル系単量体の添加順序について、先にメタアクリル系単量体を重合した後にアクリル系単量体を追加する方法と、先にアクリル系単量体を重合した後にメタアクリル系単量体を追加する方法が挙げられるが、本発明では後者を用いる。その理由としては、後に述べるように、アクリル系重合体ブロック(b)の重合末端からメタアクリル系重合体ブロック(a)を重合させることが、重合制御の点から好ましいからである。
一方で、単量体を逐次添加する方法の場合、種々の問題が生じる。例えば、最初に添加したアクリル系単量体のうちの未反応の単量体が、次に添加するメタアクリル系単量体に混入することになる。その結果、生成したメタアクリル系重合体ブロック(a)の組成は、追加したメタアクリル系単量体と、混入したアクリル系単量体の共重合体になるため、追加したメタアクリル系単量体のみで構成される重合体ブロックとは異なる物性を示すことがある。また、最初に添加したアクリル系単量体の転化率を精度よく制御できない場合、次のメタアクリル系重合体ブロック(a)に混入する未反応アクリル系単量体の量のバラツキが大きくなるため、設計通りの重合体が得られない。
本発明では、先に重合するアクリル系単量体の転化率が、以下に記載の計算上97.0%以上100%未満となる時に、メタアクリル系単量体を追加し、重合させる。このようにすることにより、上記の問題を解決することができる。
すなわち、アクリル系単量体の設定カット転化率を97.0%以上100%未満とすることによって、未反応のアクリル系単量体の量を仕込み量に対して3.0%以下と低く抑えることができる。その結果、この未反応のアクリル系単量体がメタアクリル系重合体ブロック(a)に混入した場合の物性変化を低減することができることを見出した。また、アクリル系単量体の設定カット転化率を、97.0%以上100%未満の値に設定することで、アクリル系単量体の実績カット転化率と設定カット転化率のズレを小さくする、つまり、実績カット転化率を非常に精度よく制御することが容易となる。これは、以下のように説明することができる。なお、設定カット転化率とは、メタクリル系単量体を追加する時点でのアクリル系単量体の転化率であって、予め設定した値のことを意味する。また、実績カット転化率とは、実際にメタアクリル系単量体を追加した時点でのアクリル系単量体の転化率のことを意味する。
転化率(%)は、単量体の初期濃度をM0、ある時間の濃度をMtで表した場合、(M0−Mt)/M0×100で求められる。また、リビングラジカル重合では、ln(M0/Mt)の値を時間に対してプロットした場合、原点を通る直線となる特徴を有する。従って、重合反応中に内容液をサンプリングして各時間でのln(M0/Mt)の値をプロットし、その直線を外挿することによって、アクリル系単量体が設定カット転化率に達する時間を予め計算することができる。アクリル系単量体の転化率が計算上97.0%以上100%未満となる時とは、その時間のことを意味する。
この場合、時間あたりの転化率の増分は、転化率が高くなるほど緩やかとなるため、アクリル系単量体をより高い転化率まで重合することが、アクリル系単量体の設定カット転化率と実績カット転化率のズレを小さくできる点で好ましい。つまり、実際には重合反応中に内容液をサンプリングして転化率およびln(M0/Mt)値を測定するため、サンプリングや測定の誤差、操作に要する時間などによって実績カット転化率にバラツキが生じてくるが、そのバラツキの程度は設定カット転化率がより高いほど軽減できると言うことができる。
アクリル系単量体の設定カット転化率を、97.0%以上100%未満とすることにより、目的とする組成のアクリル系ブロック共重合体を安定して製造することができるが、より好ましくは98.0〜99.5%であり、さらに好ましくは98.5〜99.2%である。97.0%より低い場合は、未反応のアクリル系単量体が3.0%よりも多くなり、続いて重合するメタアクリル系重合体ブロック(a)の物性を大きく変化させる傾向があるうえ、時間あたりの転化率の増分が大きいため、アクリル系単量体のカット転化率を精度よく制御することができない。99.5%よりも高い場合は、生長末端のラジカル同士が反応しやすくなるために、不均化やカップリング、連鎖移動などの望ましくない副反応が起こりやすくなってリビング重合の制御が低下する(分子量分布が広くなる)、もしくは反応速度が低下するなどの傾向があり、それによって物性が低下するという問題がある。特に、カップリングにより結合した重合体は熱的に弱いため、得られた熱可塑性エラストマーの耐熱分解性を悪化することがある。また、重合が長時間化して生産上好ましくないなどの問題がある。
本発明においては、背景技術に記載の一般的なリビングラジカル重合法を用いることができる。このうち、重合反応の制御の容易さの点などから、原子移動ラジカル重合を用いるのが望ましい。
以下に、原子移動ラジカル重合により反応を行う場合について記載する。
原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、周期律表第7族、8族、9族、10族または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒とする重合法である(たとえば、マティジャスツェウスキー(Matyjaszewski)ら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、1995年、第117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1995年、第28巻、7901頁、サイエンス(Science)、1996年、第272巻、866頁、または、澤本(Sawamoto)ら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1995年、第28巻、1721頁参照)。
原子移動ラジカル重合法において、開始剤として用いられる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物としては、1官能性、2官能性、または、多官能性の化合物が使用できる。これらは目的に応じて適宜選択すればよく、ジブロック共重合体を製造する場合は、開始剤の入手のしやすさの点から1官能性化合物が好ましく、A−B−A型のトリブロック共重合体、B−A−B型のトリブロック共重合体を製造する場合は、反応工程数、時間の短縮の点から、2官能性化合物を使用するのが好ましく使用できる。また、分岐状ブロック共重合体を製造する場合は、反応工程数、時間の短縮の点から、多官能性化合物を使用するのが好ましい。
開始剤としては、高分子開始剤を用いることも可能である。高分子開始剤とは、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物のうち、分子鎖末端にハロゲン原子の結合した重合体からなる化合物である。このような高分子開始剤は、リビングラジカル重合法以外のリビング重合法でも製造することが可能であるため、異なる重合法で得られる重合体を結合したブロック共重合体が得られるという特徴がある。
1官能性化合物としては、たとえば、
C6H5−CH2X、
C6H5−C(H)(X)−CH3、
C6H5−C(X)(CH3)2、
R4−C(H)(X)−COOR5、
R4−C(CH3)(X)−COOR5、
R4−C(H)(X)−CO−R5、
R4−C(CH3)(X)−CO−R5、
R4−C6H4−SO2X
で示される化合物などがあげられる。
C6H5−CH2X、
C6H5−C(H)(X)−CH3、
C6H5−C(X)(CH3)2、
R4−C(H)(X)−COOR5、
R4−C(CH3)(X)−COOR5、
R4−C(H)(X)−CO−R5、
R4−C(CH3)(X)−CO−R5、
R4−C6H4−SO2X
で示される化合物などがあげられる。
式中、C6H5はフェニル基、C6H4はフェニレン基(オルト置換、メタ置換、パラ置換のいずれでもよい)を表わす。R4は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または、炭素数7〜20のアラルキル基を表わす。Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表わす。R5は炭素数1〜20の一価の有機基を表わす。
R4として、炭素数1〜20のアルキル基(脂環式炭化水素基を含む)の具体例としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、イソボルニル基などがあげられる。炭素数6〜20のアリール基の具体例としては、たとえば、フェニル基、トリイル基、ナフチル基などがあげられる。炭素数7〜20のアラルキル基の具体例としては、たとえば、ベンジル基、フェネチル基などがあげられる。
R5である炭素数1〜20の1価の有機基の具体例としては、たとえばR4と同様の基などがあげられる。
1官能性化合物の具体例としては、たとえば、臭化トシル、2−臭化プロピオン酸メチル、2−臭化プロピオン酸エチル、2−臭化プロピオン酸ブチル、2−臭化イソ酪酸メチル、2−臭化イソ酪酸エチル、2−臭化イソ酪酸ブチルなどがあげられる。これらのうちでは、2−臭化プロピオン酸エチル、2−臭化プロピオン酸ブチルが、アクリル酸エステル単量体の構造と類似しているために重合を制御しやすい点から好ましい。
2官能性化合物としては、たとえば、
X−CH2−C6H4−CH2−X、
X−CH(CH3)−C6H4−CH(CH3)−X、
X−C(CH3)2−C6H4−C(CH3)2−X、
X−CH(COOR6)−(CH2)n−CH(COOR6)−X、
X−C(CH3)(COOR6)−(CH2)n−C(CH3)(COOR6)−X
X−CH(COR6)−(CH2)n−CH(COR6)−X、
X−C(CH3)(COR6)−(CH2)n−C(CH3)(COR6)−X、
X−CH2−CO−CH2−X、
X−CH(CH3)−CO−CH(CH3)−X、
X−C(CH3)2−CO−C(CH3)2−X、
X−CH(C6H5)−CO−CH(C6H5)−X、
X−CH2−COO−(CH2)n−OCO−CH2−X、
X−CH(CH3)−COO−(CH2)n−OCO−CH(CH3)−X、
X−C(CH3)2−COO−(CH2)n−OCO−C(CH3)2−X、
X−CH2−CO−CO−CH2−X、
X−CH(CH3)−CO−CO−CH(CH3)−X、
X−C(CH3)2−CO−CO−C(CH3)2−X、
X−CH2−COO−C6H4−OCO−CH2−X、
X−CH(CH3)−COO−C6H4−OCO−CH(CH3)−X、
X−C(CH3)2−COO−C6H4−OCO−C(CH3)2−X、
X−SO2−C6H4−SO2−X
で示される化合物などがあげられる。
X−CH2−C6H4−CH2−X、
X−CH(CH3)−C6H4−CH(CH3)−X、
X−C(CH3)2−C6H4−C(CH3)2−X、
X−CH(COOR6)−(CH2)n−CH(COOR6)−X、
X−C(CH3)(COOR6)−(CH2)n−C(CH3)(COOR6)−X
X−CH(COR6)−(CH2)n−CH(COR6)−X、
X−C(CH3)(COR6)−(CH2)n−C(CH3)(COR6)−X、
X−CH2−CO−CH2−X、
X−CH(CH3)−CO−CH(CH3)−X、
X−C(CH3)2−CO−C(CH3)2−X、
X−CH(C6H5)−CO−CH(C6H5)−X、
X−CH2−COO−(CH2)n−OCO−CH2−X、
X−CH(CH3)−COO−(CH2)n−OCO−CH(CH3)−X、
X−C(CH3)2−COO−(CH2)n−OCO−C(CH3)2−X、
X−CH2−CO−CO−CH2−X、
X−CH(CH3)−CO−CO−CH(CH3)−X、
X−C(CH3)2−CO−CO−C(CH3)2−X、
X−CH2−COO−C6H4−OCO−CH2−X、
X−CH(CH3)−COO−C6H4−OCO−CH(CH3)−X、
X−C(CH3)2−COO−C6H4−OCO−C(CH3)2−X、
X−SO2−C6H4−SO2−X
で示される化合物などがあげられる。
式中、R6は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または、炭素数7〜20のアラルキル基を表わす。nは0〜20の整数を表わす。C6H5、C6H4、Xは、前記と同様である。
R6の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基の具体例は、R4の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基の具体例と同じである。
2官能性化合物の具体例としては、たとえば、ビス(ブロモメチル)ベンゼン、ビス(1−ブロモエチル)ベンゼン、ビス(1−ブロモイソプロピル)ベンゼン、2,3−ジブロモコハク酸ジメチル、2,3−ジブロモコハク酸ジエチル、2,3−ジブロモコハク酸ジブチル、2,4−ジブロモグルタル酸ジメチル、2,4−ジブロモグルタル酸ジエチル、2,4−ジブロモグルタル酸ジブチル、2,5−ジブロモアジピン酸ジメチル、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、2,5−ジブロモアジピン酸ジブチル、2,6−ジブロモピメリン酸ジメチル、2,6−ジブロモピメリン酸ジエチル、2,6−ジブロモピメリン酸ジブチル、2,7−ジブロモスベリン酸ジメチル、2,7−ジブロモスベリン酸ジエチル、2,7−ジブロモスベリン酸ジブチルなどがあげられる。これらのうちでは、ビス(ブロモメチル)ベンゼン、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、2,6−ジブロモピメリン酸ジエチルが、原料の入手性の点から好ましい。
多官能性化合物としては、たとえば、
C6H3−(CH2−X)3、
C6H3−(CH(CH3)−X)3、
C6H3−(C(CH3)2−X)3、
C6H3−(OCO−CH2−X)3、
C6H3−(OCO−CH(CH3)−X)3、
C6H3−(OCO−C(CH3)2−X)3、
C6H3−(SO2−X)3
で示される化合物などがあげられる。
C6H3−(CH2−X)3、
C6H3−(CH(CH3)−X)3、
C6H3−(C(CH3)2−X)3、
C6H3−(OCO−CH2−X)3、
C6H3−(OCO−CH(CH3)−X)3、
C6H3−(OCO−C(CH3)2−X)3、
C6H3−(SO2−X)3
で示される化合物などがあげられる。
式中、C6H3は三価のフェニル基(3つの結合手の位置は1位〜6位のいずれであってもよく、その組み合わせは適宜選択可能である)、Xは前記と同じである。
多官能性化合物の具体例としては、たとえば、トリス(ブロモメチル)ベンゼン、トリス(1−ブロモエチル)ベンゼン、トリス(1−ブロモイソプロピル)ベンゼンなどがあげられる。これらのうちでは、トリス(ブロモメチル)ベンゼンが、原料の入手性の点から好ましい。
なお、重合を開始する基以外に、官能基をもつ有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を用いると、容易に末端または分子内に重合を開始する基以外の官能基が導入された重合体が得られる。このような重合を開始する基以外の官能基としては、アルケニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シリル基などがあげられる。
開始剤として用いることができる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物は、ハロゲン基(ハロゲン原子)が結合している炭素がカルボニル基またはフェニル基などと結合しており、炭素−ハロゲン結合が活性化されて重合が開始する。使用する開始剤の量は、必要とするアクリル系ブロック共重合体(c)の分子量に合わせて、単量体とのモル比から決定すればよい。すなわち、開始剤1分子あたり、何分子の単量体を使用するかによって、アクリル系ブロック共重合体(c)の分子量を制御することができる。
原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としては、とくに限定はないが、好ましいものとして、1価および0価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄、ならびに、2価のニッケルの錯体があげられる。
これらの中でも、コストや反応制御の点から銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物としては、たとえば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などがあげられる。その中でも塩化第一銅、臭化第一銅が、重合の制御の観点から好ましい。1価の銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために、2,2’−ビピリジル、その誘導体(たとえば4,4’−ジノリル−2,2’−ビピリジル、4,4’−ジ(5−ノリル)−2,2’−ビピリジルなど)などの2,2’−ビピリジル系化合物;1,10−フェナントロリン、その誘導体(たとえば4,7−ジノリル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジノリル−1,10−フェナントロリンなど)などの1,10−フェナントロリン系化合物;テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンなどを配位子として添加してもよい。
また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh3)3)も触媒として好ましい。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加してもよい。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)2)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh3)2)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu3)2)も、触媒として好ましい。
遷移金属錯体と配位子は、反応開始前にあらかじめ混合しておいてもよく、反応途中に適宜加えてもよい。
使用する触媒、配位子の量は、使用する開始剤、単量体および溶媒の量と必要とする反応速度の関係から決定すればよい。たとえば、分子量の高い重合体を得ようとする場合には、分子量の低い重合体を得ようとする場合よりも、開始剤/単量体の比を小さくしなければならないが、そのような場合には、触媒、配位子の量を多くすることにより、反応速度を増大させることができる。また、ガラス転移点が室温より高い重合体が生成する場合において、系の粘度を下げて撹拌効率を上げるために有機溶媒を添加した場合には、反応速度が低下する傾向があるが、そのような場合には、触媒、配位子の量を多くすることにより、反応速度を増大させることができる。
前記原子移動ラジカル重合は、無溶媒中で(塊状重合)、または各種の溶媒中で行なうことができる。溶媒を使用する場合、その使用量は系全体の粘度と、必要とする撹拌効率の関係から適宜決定すればよい。
前記溶媒としては、たとえば、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒などを用いることができる。
炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどをあげることができる。エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどをあげることができる。ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルムなどをあげることができる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどをあげることができる。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどをあげることができる。ニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどをあげることができる。エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチルなどをあげることができる。カーボネート系溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどをあげることができる。これらは、それぞれ単独で、又は二以上組み合わせて用いることができる。このうち、アセトニトリル、トルエンが好ましく用いられる。
アクリル系単量体としては、後に述べる種々の単量体を用いることができ、必要とする物性や反応性に応じて適宜選択することができる。
アクリル系重合体ブロック(b)の重合方法は、特に限定されないが、開始剤、遷移金属錯体(必要に応じて配位子)、重合溶媒、アクリル系単量体を全て混合した後で昇温することにより反応を開始させてもよく、いずれか一種の原料以外を混合して昇温させた後、残る原料を添加することで開始させてもよい。なお、反応温度は、20〜200℃とするのが好ましく、50〜150℃とするのがより好ましい。
重合反応が進行し、アクリル系単量体の転化率が上述の計算上97.0%以上100%未満となる時に、メタアクリル系単量体を追加することで、さらにメタアクリル系重合体ブロック(a)を重合させる。
用いられるメタアクリル系単量体は、後に述べる種々の単量体を用いることができ、必要とする物性、反応性に応じて適宜選択することができる。
この際、さらに遷移金属錯体を追加することができる。追加する遷移金属錯体としては、アクリル系単量体の重合時に用いた遷移金属錯体と同じであっても異なっていてもよいが、アクリル系単量体の重合に臭化第一銅を用いた場合には、塩化第一銅を追加することが好ましい。これは、反応制御の観点から、アクリル系単量体の重合においては、生長末端が炭素−臭素結合を有することが好ましいが、メタアクリル系単量体の重合においては、炭素−塩素結合を有することが好ましいため、最初に重合したアクリル系重合体の末端の炭素−臭素結合を炭素−塩素結合に変換することができるからである。ここで、炭素−塩素結合は炭素−臭素結合より安定であるため、上記の変換は効率的に進行するが、その逆の変換は困難である。従って、先に述べたように、最初にメタアクリル系単量体を重合した後、アクリル系単量体を追加するという順序では、アクリル系ブロック共重合体を制御よく製造することができない。
また、必要に応じて、メタアクリル系単量体を追加する際、または重合途中に、反応溶液の粘度を下げて撹拌効率を上げるために重合溶媒を、反応速度を高めるために配位子を追加することができる。用いられる重合溶媒および配位子としては、アクリル系単量体の重合時に用いたものと同じであっても異なっていてもよい。
メタアクリル系単量体の重合を終了させる転化率は、特に限定されないが、反応に要する時間、物性、原料コストなどから決定すればよい。
重合によって得られた反応液は、重合体と遷移金属錯体の混合物を含んでいる。これを除去するために、カルボキシル基、もしくはスルホニル基を含有する有機酸を添加することができる。有機酸を添加することによって、遷移金属錯体との塩を生成させ、その塩を濾過などにより除去できる。引き続き、溶液中に残存する有機酸などの不純物を、塩基性活性アルミナ、塩基性吸着剤、固体無機酸、陰イオン交換樹脂、セルロース陰イオン交換体などを用いた吸着処理により除去することで、重合体溶液を得ることができる。
このようにして得られた重合体溶液は、引き続き、蒸発操作により重合溶媒及び未反応の単量体を除去する。これにより、アクリル系ブロック共重合体(c)を単離することができる。蒸発方式としては薄膜蒸発方式、フラッシュ蒸発方式、押出しスクリューを備えた横型蒸発方式などを用いることができる。
<アクリル系ブロック共重合体(c)>
本発明にかかる方法により製造するアクリル系ブロック共重合体(c)の構造は、線状ブロック共重合体、分岐状(星状)ブロック共重合体のいずれか、またはこれらの混合物であってもよい。このようなブロック共重合体の構造は、必要とされるアクリル系ブロック共重合体の物性に応じて適宜選択されるが、コスト面や重合容易性の点で、線状ブロック共重合体が好ましい。
本発明にかかる方法により製造するアクリル系ブロック共重合体(c)の構造は、線状ブロック共重合体、分岐状(星状)ブロック共重合体のいずれか、またはこれらの混合物であってもよい。このようなブロック共重合体の構造は、必要とされるアクリル系ブロック共重合体の物性に応じて適宜選択されるが、コスト面や重合容易性の点で、線状ブロック共重合体が好ましい。
線状ブロック共重合体は、いずれの構造のものであってもよいが、線状ブロック共重合体の物性および組成物の物性の点から、メタアクリル系重合体ブロック(a)をa、アクリル系重合体ブロック(b)をbと表現したとき、加工時の取り扱い容易性や組成物の物性の点から、a−b型のジブロック共重合体、a−b−a型のトリブロック共重合体、またはこれらの混合物が好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(c)の分子量は、数平均分子量で10,000〜500,000であるのが好ましく、更に好ましくは20,000〜300,000である。数平均分子量が10,000より小さいと機械強度が低下する傾向がある。数平均分子量が500,000より大きいと、加工性が低下する傾向がある。分子量は、アクリル系ブロック共重合体に必要とされる特性に応じて、後に述べるガラス転移温度とのバランスを調製しながら設定することができる。ここで示した分子量は、クロロホルムを移動相とし、ポリスチレンゲルカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算によって測定した場合の分子量である。
アクリル系ブロック共重合体(c)のGPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は特に限定されないが、1.8以下であることが好ましい。Mw/Mnが1.8をこえるとアクリル系ブロック共重合体(c)の均一性が低下する傾向がある。
アクリル系ブロック共重合体(c)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の組成比は、(a)が5〜95重量%、(b)が95〜5重量%の範囲で任意に設定することができる。(a)の割合が小さいと成形時に形状が保持されにくい傾向があり、(b)の割合が小さいと弾性および成形時の溶融性が低下する傾向がある。硬度の観点からは、(a)の割合が大きいと硬度が高くなり、また、(b)の割合が大きいと硬度が低くなる傾向がある。これらは、アクリル系ブロック共重合体(c)に求められる特性に応じて設定することができる。
<メタアクリル系重合体ブロック(a)>
メタアクリル系重合体ブロック(a)は、メタアクリル酸エステル50〜100重量%、好ましくは75〜100重量%、およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%、好ましくは0〜25重量%から構成される。メタアクリル酸エステルの割合が少ないと、メタアクリル酸エステルの特徴である、耐候性、高いガラス転移点、樹脂との相溶性などの特性が損なわれる傾向がある。
メタアクリル系重合体ブロック(a)は、メタアクリル酸エステル50〜100重量%、好ましくは75〜100重量%、およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%、好ましくは0〜25重量%から構成される。メタアクリル酸エステルの割合が少ないと、メタアクリル酸エステルの特徴である、耐候性、高いガラス転移点、樹脂との相溶性などの特性が損なわれる傾向がある。
メタアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸n−ペンチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸n−ヘプチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸ステアリルなどのメタアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸イソボルニルなどのメタアクリル酸脂環式炭化水素エステル;メタアクリル酸ベンジルなどのメタアクリル酸アラルキルエステル;メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイルなどのメタアクリル酸芳香族炭化水素エステル;メタアクリル酸2−メトキシエチル、メタアクリル酸3−メトキシブチルなどのメタアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;メタアクリル酸トリフルオロメチル、メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸2−トリフルオロエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタアクリル酸フッ化アルキルエステルなどがあげられる。これらの中でも、メタアクリル酸メチルが耐候性、低コスト、入手容易性などの点から好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、アクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸脂環式炭化水素エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル;アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチルなどのアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸フッ化アルキルエステルなどをあげることができる。
芳香族アルケニル化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。
シアン化ビニル化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげることができる。
共役ジエン系化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。
ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどをあげることができる。
不飽和カルボン酸化合物としては、たとえば、メタアクリル酸、アクリル酸などをあげることができる。
不飽和ジカルボン酸化合物としては、たとえば、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステルなどをあげることができる。
ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることができる。
マレイミド系化合物としては、たとえば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどをあげることができる。
<アクリル系重合体ブロック(b)>
アクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル酸エステル50〜100重量%、好ましくは75〜100重量%、およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%、好ましくは0〜25重量%から構成される。アクリル酸エステルの割合が50重量%未満であると、アクリル酸エステルを用いる場合の特徴である組成物の物性、とくに柔軟性、耐油性が損なわれる場合がある。
アクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル酸エステル50〜100重量%、好ましくは75〜100重量%、およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%、好ましくは0〜25重量%から構成される。アクリル酸エステルの割合が50重量%未満であると、アクリル酸エステルを用いる場合の特徴である組成物の物性、とくに柔軟性、耐油性が損なわれる場合がある。
アクリル酸エステルとしては、上記メタアクリル系重合体ブロック(a)に用いられるアクリル酸エステルと同様のものを用いることができるが、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸−2−メトキシエチルが好ましい。アクリル酸−n−ブチルは、ゴム弾性、低温特性およびコストのバランスの点で好ましい。アクリル酸エチルは、耐油性および機械特性の点で好ましい。また、アクリル酸−2−メトキシエチルは、低温特性と耐油性の付与、及び樹脂の表面タック性の改善の点で好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。これらは、上記メタアクリル系重合体ブロック(a)に用いられるものと同様のものを用いることができる。
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例におけるBA、EA、TBA、MMA、TBMAはそれぞれ、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−t−ブチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸−t−ブチルを表わす。また、実施例中に記載した分子量や重合反応の転化率は、以下の方法に従って行った。
<分子量測定法>
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムに、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いた。
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムに、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いた。
<重合反応の転化率測定法>
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示す分析装置、条件で測定した。
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示す分析装置、条件で測定した。
使用機器:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14B
分離カラム:J&W SCIENTIFIC INC製キャピラリーカラムDB−17、0.32mmφ×30m
分離条件:初期温度50℃、3分間保持
昇温速度40℃/min
最終温度140℃、1.5分間保持
インジェクション温度250℃
ディテクター温度250℃
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約10倍に希釈し、アセトニトリルを内部標準物質とした。
分離カラム:J&W SCIENTIFIC INC製キャピラリーカラムDB−17、0.32mmφ×30m
分離条件:初期温度50℃、3分間保持
昇温速度40℃/min
最終温度140℃、1.5分間保持
インジェクション温度250℃
ディテクター温度250℃
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約10倍に希釈し、アセトニトリルを内部標準物質とした。
<熱重量分析>
本実施例に示すの耐熱分解性は、(株)島津製作所製の示差熱熱重量同時測定装置(DTG−50)を用い、流量50.0ml/分の窒素気流下、加熱速度10.0℃/分の条件で測定した。なお、重量損失温度は、100℃における重量を基準として求めた。
本実施例に示すの耐熱分解性は、(株)島津製作所製の示差熱熱重量同時測定装置(DTG−50)を用い、流量50.0ml/分の窒素気流下、加熱速度10.0℃/分の条件で測定した。なお、重量損失温度は、100℃における重量を基準として求めた。
(実施例1)
あらかじめ窒素バブリングしたBA228.1kgおよびTBA12.9kgを、窒素置換した2m3反応器に仕込んだ後、臭化銅2.15kgを加え、撹拌を開始した。続いて、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル3.60kgをアセトニトリル21.2kgに溶解させ、窒素バブリングした溶液を加え、内温75℃に加熱した。内容液を少量サンプリングした後、N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下トリアミンと略す)を0.26kg加え、重合を開始した。反応速度を調整するために適宜トリアミンを追加し、内温80〜90℃で重合した。重合開始から30分間隔で内容液をサンプリングし、GC測定により転化率およびln(M0/Mt)値を測定した。時間に対するln(M0/Mt)値の増分(傾き)が一定であることを利用して、BAの転化率が99.0%となる時間を計算により予測した。
あらかじめ窒素バブリングしたBA228.1kgおよびTBA12.9kgを、窒素置換した2m3反応器に仕込んだ後、臭化銅2.15kgを加え、撹拌を開始した。続いて、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル3.60kgをアセトニトリル21.2kgに溶解させ、窒素バブリングした溶液を加え、内温75℃に加熱した。内容液を少量サンプリングした後、N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下トリアミンと略す)を0.26kg加え、重合を開始した。反応速度を調整するために適宜トリアミンを追加し、内温80〜90℃で重合した。重合開始から30分間隔で内容液をサンプリングし、GC測定により転化率およびln(M0/Mt)値を測定した。時間に対するln(M0/Mt)値の増分(傾き)が一定であることを利用して、BAの転化率が99.0%となる時間を計算により予測した。
予測された時間においてサンプリングを行なった後、トルエン313.4kg、塩化銅1.48kg、MMA145.4kg、EA23.6kgを加えた。このサンプリングから求められたBAの転化率(実績カット転化率)は、98.7%であった。
MMAを加えた直後に新たにサンプリングを行い、MMA重合の反応開始点とした。反応速度を調整するために適宜トリアミンを追加し、内温85℃で重合した。その後、適宜サンプリングを行い、MMAの転化率96.0%の時点で、トルエン400.0kgを加え、内温を下げることで重合を終了させた。
得られた内容液にトルエン486.6kgを加えて希釈し、p−トルエンスルホン酸一水和物7.7kgを加えて常温で撹拌した。3時間後、ラヂオライト#3000(昭和化学工業(株)製)を8.0kg加え、ポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固形分を濾別した。得られた濾液にキョーワード500SH(協和化学(株)製)6.0kgを加え、常温で撹拌した。1時間後、加圧濾過機を用いて固形分を濾別し、無色透明の重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液に、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を重合体100重量部に対して0.6重量部加えた後、SCP100((株)栗本鐵工所製、伝熱面積1m2)を用いて溶媒成分を蒸発した。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を0.01MPa以下、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hとした。重合体はφ4mmのダイスを通してストランドとし、水槽で冷却後ペレタイザーにより重合体ペレットを得た。
このペレットに、ハイドロタルサイトDHT4A−2(協和化学(株)製)1重量部を加え、ベント付ニ軸押出機(44mm、L/D=42.55、(株)日本製鋼所製)を用いて設定温度260℃、150rpm、吐出量15kg/hで溶融混練することにより、TBAユニットを酸無水物ユニットに変性したアクリル系ブロック共重合体を得た(アクリル系ブロック共重合体1)。この時、二軸押出機の先端に水中カットペレタイザー(GALA INDUSTRIES INC.製 CLS−6−8.1 COMPACT SYSTEM)を接続し、循環水中に防着剤としてアルフローH−50ES(日本油脂(株)製)を添加することで球状のペレットを得た。
表1に、アクリル系ブロック共重合体1の機械物性、数平均分子量、分子量分布、BAのカット転化率(設定および実績)をまとめた。
(実施例2)
実施例1と同様に、アクリル系ブロック共重合体2を製造した。BAの実績カット転化率は98.9%、重合終了時のMMAの転化率は94.5%であった。
実施例1と同様に、アクリル系ブロック共重合体2を製造した。BAの実績カット転化率は98.9%、重合終了時のMMAの転化率は94.5%であった。
表1に、アクリル系ブロック共重合体2の機械物性、数平均分子量、分子量分布、BAのカット転化率(設定および実績)をまとめた。
(実施例3)
実施例1と同様に、アクリル系ブロック共重合体3を製造した。BAの実績カット転化率は99.0%、重合終了時のMMAの転化率は95.4%であった。
実施例1と同様に、アクリル系ブロック共重合体3を製造した。BAの実績カット転化率は99.0%、重合終了時のMMAの転化率は95.4%であった。
表1に、アクリル系ブロック共重合体3の機械物性、数平均分子量、分子量分布、BAのカット転化率(設定および実績)をまとめた。
(実施例4)
500L反応器にて、BA87.1kg、TBA2.2kg、臭化銅625g、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル628g、アセトニトリル7.8kg、トリアミン75.5gを用いた以外は実施例1と同様の操作にて重合を開始した。BAの転化率が97.0%となる時点を計算により予測し、トルエン106.6kg、MMA38.4kg、塩化銅431gを添加した。この時点でのBAの実績カット転化率は97.3%であった。以後実施例1と同様の操作でMMAを重合し、転化率89.1%の時点でトルエン220kgを加え、内温を低下させて重合を停止した。
500L反応器にて、BA87.1kg、TBA2.2kg、臭化銅625g、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル628g、アセトニトリル7.8kg、トリアミン75.5gを用いた以外は実施例1と同様の操作にて重合を開始した。BAの転化率が97.0%となる時点を計算により予測し、トルエン106.6kg、MMA38.4kg、塩化銅431gを添加した。この時点でのBAの実績カット転化率は97.3%であった。以後実施例1と同様の操作でMMAを重合し、転化率89.1%の時点でトルエン220kgを加え、内温を低下させて重合を停止した。
得られた内容液に、トルエン75kg、p−トルエンスルホン酸一水和物1.5kg、ラヂオライト#3000を2.5kg、キョーワード500SHを1.9kg用いた以外は実施例1と同様の操作により、アクリル系ブロック共重合体4のペレットを得た。
表1に、アクリル系ブロック共重合体4の機械物性、数平均分子量、分子量分布、BAのカット転化率(設定および実績)をまとめた。
(実施例5)
実施例4と同様に、アクリル系ブロック共重合体5を製造した。BAの実績カット転化率は96.4%、重合終了時のMMAの転化率は88.7%であった。
実施例4と同様に、アクリル系ブロック共重合体5を製造した。BAの実績カット転化率は96.4%、重合終了時のMMAの転化率は88.7%であった。
表1に、アクリル系ブロック共重合体5の機械物性、数平均分子量、分子量分布、BAのカット転化率(設定および実績)をまとめた。
(比較例1)
あらかじめ窒素バブリングしたBA76.0kgを、窒素置換した500L反応器に仕込んだ後、臭化銅622gを加え、撹拌を開始した。続いて、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル867gをアセトニトリル6.6kgに溶解させ、窒素バブリングした溶液を加え、内温75℃に加熱した。内容液を少量サンプリングした後、N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下トリアミンと略す)を75g加え、重合を開始した。反応速度を調整するために適宜トリアミンを追加し、内温80〜90℃で重合した。重合開始から30分間隔で内容液をサンプリングし、GC測定により転化率およびln(M0/M)値を測定した。時間に対するln(M0/M)値の増分(傾き)が一定であることを利用して、BAの転化率が95.0%となる時間を計算により予測した。
あらかじめ窒素バブリングしたBA76.0kgを、窒素置換した500L反応器に仕込んだ後、臭化銅622gを加え、撹拌を開始した。続いて、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル867gをアセトニトリル6.6kgに溶解させ、窒素バブリングした溶液を加え、内温75℃に加熱した。内容液を少量サンプリングした後、N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下トリアミンと略す)を75g加え、重合を開始した。反応速度を調整するために適宜トリアミンを追加し、内温80〜90℃で重合した。重合開始から30分間隔で内容液をサンプリングし、GC測定により転化率およびln(M0/M)値を測定した。時間に対するln(M0/M)値の増分(傾き)が一定であることを利用して、BAの転化率が95.0%となる時間を計算により予測した。
予測された時間においてサンプリングを行なった後、トルエン103.6kg、塩化銅430g、MMA42.3kg、TBMA3.8kg、BA9.2kgを加えた。このサンプリングから求められたBAの転化率(実績カット転化率)は、96.8%であった。
MMAを加えた直後に新たにサンプリングを行い、MMA重合の反応開始点とした。反応速度を調整するために適宜トリアミンを追加し、内温85℃で重合した。その後、適宜サンプリングを行い、MMAの転化率91.3%の時点で、トルエン70.0kgを加え、内温を下げることで重合を終了させた。
得られた内容液にトルエン40.0kgを加えて希釈し、p−トルエンスルホン酸一水和物1.7kgを加えて常温で撹拌した。3時間後、ラヂオライト#3000(昭和化学工業(株)製)を2.0kg加え、ポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m2)を用いて固形分を濾別した。得られた濾液にキョーワード500SH(協和化学(株)製)1.5kgを加え、常温で撹拌した。1時間後、加圧濾過機を用いて固形分を濾別し、無色透明の重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液に、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を重合体の重量に対して0.6重量部加えた後、SCP100((株)栗本鐵工所製、伝熱面積1m2)を用いて溶媒成分を蒸発した。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を0.01MPa以下、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hとした。重合体はφ4mmのダイスを通してストランドとし、水槽で冷却後ペレタイザーにより重合体ペレットを得た。
このペレットに、ハイドロタルサイトDHT4A−2(協和化学(株)製)1重量部を加え、ベント付ニ軸押出機(44mm、L/D=42.55、(株)日本製鋼所製)を用いて設定温度260℃、150rpm、吐出量15kg/hで溶融混練することにより、TBMAユニットを酸無水物ユニットに変性したアクリル系ブロック共重合体を得た(アクリル系ブロック共重合体5)。この時、二軸押出機の先端に水中カットペレタイザー(GALA INDUSTRIES INC.製 CLS−6−8.1 COMPACT SYSTEM)を接続し、循環水中に防着剤としてアルフローH−50ES(日本油脂製(株))を添加することでアクリル系ブロック共重合体6の球状のペレットを得た。
表1に、アクリル系ブロック共重合体6の機械物性、数平均分子量、分子量分布、BAのカット転化率(設定および実績)をまとめた。
(比較例2)
比較例1と同様に、アクリル系ブロック共重合体7を製造した。BAの実績カット転化率は95.2%、重合終了時のMMAの転化率は91.3%であった。
比較例1と同様に、アクリル系ブロック共重合体7を製造した。BAの実績カット転化率は95.2%、重合終了時のMMAの転化率は91.3%であった。
表1に、アクリル系ブロック共重合体7の機械物性、数平均分子量、分子量分布、BAのカット転化率(設定および実績)をまとめた。
表1から明らかなように、単量体の逐次添加によってアクリル系ブロック共重合体を製造する場合、最初に重合するアクリル系単量体を転化率99.0%という高転化率まで重合させることによって、アクリル系単量体の実績カット転化率のバラツキが3バッチで0.3%以内と、非常に精度よく制御できることがわかる。また、それらの機械物性も安定している。同様に、アクリル系単量体を転化率97.0%まで重合させる場合にも、実績カット転化率のバラツキは0.9%以内と、比較的精度よく制御できている。
一方で、比較例1、2のようにアクリル系単量体の設定カット転化率を95.0%とした場合には、実績カット転化率が95.2%となる場合や、96.8%となる場合があるなど、精度が低く安定した製造が困難であり、それに伴い、機械物性、特に硬度のズレが大きくなることがわかる。
以上のことから、本発明の製法を用いることにより、目的とする組成のアクリル系ブロック共重合体を安定して製造することができることが示された。
Claims (7)
- メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(c)をリビングラジカル重合を用いて逐次重合させる方法において、まず、アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル系単量体を重合し、その重合時間tに対してln(M0/Mt)の値(ただし、アクリル系単量体の初期濃度をM0、時間tにおける該単量体の濃度をMtで表す)をプロットして求められる直線を用いて、計算上該アクリル系単量体の転化率が97.0%以上100%未満の所定の値となる時に、メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル系単量体を反応系中に添加して、重合させることを特徴とするアクリル系ブロック共重合体(c)の製造方法。
- アクリル系ブロック共重合体(c)が、トリブロック共重合体またはジブロック共重合体である請求項1に記載の製造方法。
- アクリル系ブロック共重合体(c)の数平均分子量が、10,000〜500,000である請求項1または2に記載の製造方法。
- アクリル系ブロック共重合体(c)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、1.8以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- リビングラジカル重合が、原子移動ラジカル重合であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- リビングラジカル重合が、銅を中心金属とする遷移金属錯体を触媒として使用することを特徴とする原子移動ラジカル重合である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載された製法により製造されたアクリル系ブロック共重合体(c)。
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