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JP2006310678A - 微細表面構造形成用基板、微細表面構造物品の製造方法及びその製造方法で製造された微細表面構造物品 - Google Patents

微細表面構造形成用基板、微細表面構造物品の製造方法及びその製造方法で製造された微細表面構造物品 Download PDF

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JP2006310678A
JP2006310678A JP2005133913A JP2005133913A JP2006310678A JP 2006310678 A JP2006310678 A JP 2006310678A JP 2005133913 A JP2005133913 A JP 2005133913A JP 2005133913 A JP2005133913 A JP 2005133913A JP 2006310678 A JP2006310678 A JP 2006310678A
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mold
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organic
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Kazuhiro Umeki
和博 梅木
Kazunori Fujii
和憲 藤井
Masaaki Sato
正明 佐藤
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Ricoh Optical Industries Co Ltd
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Ricoh Optical Industries Co Ltd
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Abstract

【課題】
位相シフターなどの光学素子を含む微細表面構造物品の生産において、歩留まりと精度を向上させる
【解決手段】
製品基板として用いる基板2の表面には研磨加工による微細な凹凸が存在するので、これらの凹凸を小さくするために基板2の表面及び裏面に、堆積薄膜4が真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の成膜方法により形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、位相シフター光学素子や波長板光学素子など、板状基板の表面に微細3次元構造をもつ物品の製造に用いる基板、そのような物品の製造方法及びその製造方法で製造された微細表面構造物品に関するものである。
[背景技術1]
位相差発生などの複数の機能を併せ持つ光学素子を構成し、光ヘッド装置の小型化を図る光学素子として断面が凹凸の形状をした周期的な格子を形成することにより、所望の波長を選択的に透過又は回折させることができる位相シフター光学素子として、収差補正素子(特許文献1〜3参照。)や開口制限素子(特許文献4参照。)が提案されているが、それらの文献には製造方法については詳しく述べられていない。
このような構成の位相シフター光学素子は、選択的に透過させたい波長の光に対して、凹凸により生じる位相振幅を調整することで、所望の透過率を容易に得ることができるため、開口制限機能を透明基板に発生させる構成として望ましい。
[背景技術2]
上記のような構成を実現する方法として、以下のようないくつかの方法が提案されている。
(1)開口制限機能を有する透明基板と反射防止膜を施した透明基板の間に、複屈折性を有する有機薄膜を接着剤で固定して光学素子を製造する方法(特許文献5参照。)。
(2)回折格子の製造方法として、ガラス基板上へのSiO2膜の堆積、ガラス基板のエッチング、又はガラスもしくはプラスチックの一体成形等により製造する方法(特許文献6参照。)。
(3)回折格子の製造方法として、2枚のフォトマスクを用いて、ガラス基板上へのSiO2膜の堆積、ガラス基板のエッチング、又はガラスもしくはプラスチックの一体成形等により製造する方法(特許文献7,8参照。)。
[背景技術3]
ナノオーダーの超精密3次元構造体を金型として用い、レジストや樹脂にプレスして他の部材に転写するナノプリントと呼ばれる技法が行なわれている(非特許文献1参照。)。ナノプリント技法は、電子線描画を初めとするフォトリソグラフィプロセスに比べ、加工時間が短く、設備費や材料費が少なくてすみ、量産性に優れるため、にわかに注目を集めている。
ナノプリント技法では、例えば、金型の表面を離型処理し、その上に紫外線硬化型樹脂を塗布し、その上から製品基板をゆっくりと押し当て、金型の形状を紫外線硬化型樹脂層に転写する。製品基板の裏面側から均一な紫外線光を照射して紫外線硬化型樹脂層を硬化させた後、紫外線硬化型樹脂層を製品基板に接合したまま金型を剥離する。その後、製品基板上の樹脂層の転写形状をドライエッチング法により製品基板に転写して目的製品を得る(特許文献9参照。)。
ナノプリント技法の特徴として、操作が簡単である、コスト的に安価である、量産化が可能である、パターン転写時における真空設備が不要といった多くの利点を挙げることができる。これらの利点を生かすべく、GaAs−FET(電界効果トランジスタ)を初めとする電子デバイスや、有機LED(発光ダイオード)を初めとする光デバイス、さらには記録媒体への応用開発が進みつつある。
[背景技術4]
また、ナノ構造デバイスの製造方法として、プラスチック板を使用するナノインプリント法が提案されている。この方法は、別名ホットエンボッシング加工とも言われる。具体的には、目標製品基板のプラスチック材料を予め板状に加工しておき、それに金型を用いて成型する。板の加工方法はいろいろあるが、通常は以下の二方法で準備する。
(a)PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PC(ポリカーボネート)材料等の大判の引き伸ばし材料(例えば、幅500mmの長尺板)を所望寸法(例えば、長さ150mm、幅150mm)に切断加工する。
(b)インジェクション法(高温加熱溶融樹脂を金型に流し込んで冷却して形作る方法)で板状成形物を製作する。
ホットエンボッシング法は、基板温度と金型温度を高精度で制御する点では新規技術要素であるが、基本的には古くから実施されているコンプレッション成形法と原理は全く同じである。
最近この技術を使用したナノプリント法が報告されている。そこでは、基板にPMMA,PCなどの材料を使用し、使用材料のTg(ガラス転移点)温度近辺まで材料を加熱し(金型温度はTg温度以上)、加圧しながら金型を押し当てることで表面構造を樹脂に転写する。
しかしながらホットエンボッシング加工法では、使用板材料が初期に成形された際(上記(a)、(b)の工程)に有する内部残留応力がエンボッシング加工で放出されて基板が変形し、エンボッシング加工上がりの基板平面度や平行度が悪化する。そのため、ホットエンボッシング加工法はナノプリント法の製造プロセスの一転写方法として提案されてはいるものの、高精度加工が要求される光学部品の製造方法として実施されたことはない。さらに、樹脂製の光学部品は耐熱性が低く、最終製品としては、使用範囲が制限されると考えられている。
また背景技術6に関連するナノ構造デバイスの製造方法として、プラスチック板表面に他の転写用樹脂を塗布するナノインプリント法が提案されている。この方法はCDなどのデバイス製品において広く実用されている。しかしこの加工法では、基板平面度及び平行度が十分に得られないため、CDのドライブ側読取機構部に基板表面高さを調整するサーボ機構が必ず組み付けられている。
したがって、光学部品の最終製造方法としては、使用範囲が制限されると考えられている。
特開平10−334504号公報 特開平08−212611号公報 特許3240846号 特許3172460号公報 特開2001−126294号公報 特許第2713257号 特許第2725653号 特許第3047351号 特開2002−192500号公報 特開2001−296649号公報 電子情報通信学会論文誌 C Vol. J85-C No.9 pp.793-802 2002年9月
[背景技術1]で示した収差補正素子や開口制限素子などの位相シフター素子製品を[背景技術2]で示した製造方法で製造するには、(イ)2枚のフォトマスクを用いガラス基板上へSiO2膜パターン形成、(ロ)ガラス基板のエッチング、(ハ)ガラス又はプラスチックの一体成形等により製造する方法がある。これら製造方法には次の問題点がある。
(1)成膜法では、高精度のフォトマスクを複数枚使用し高精度に位置合わせしながら成膜のパターン化を行なうため、再現性に乏しく、成膜バッチ間のバラツキが大きく歩留まりが低い。
(2)ガラス基板のエッチング法では、(1)と同様に高精度のフォトマスクを複数枚使用し、マスク材料成膜とフォトリソグラフィとエッチング工程を複数回繰り返す。この時、高精度に位置合わせしながら製作することが必要である。かつまた、エッチング深さを高精度制御することも非常に難しい。
また、[背景技術3]で示したプレスして加工する製造方法は、特性上、製品基板上には、プレスして形成された樹脂層として、本来は不要な部分にも樹脂層が残存する。その不要樹脂層の厚さをプレスによって完全にゼロにすることができないだけでなく、その不要樹脂層には少なからず厚さムラが存在する。そのため、その不要樹脂層に起因して、できあがる物品の転写精度が悪化することが懸念されている。
この不要樹脂層に起因する問題は以前から存在していたが、転写条件を改善することでその不要樹脂層の厚さムラは数百nmまで低減することができるため、これまでのナノプリントの加工研究段階においては大きな問題とされてこなかった。
従来のフォトリソグラフィ工法では、レジスト塗布膜厚にバラツキがあるが、できあがる製品に影響を与えるような問題とはならない。但し、ステッパー等を用いた光照射では、光の波長以下の形状を形成することが困難であり、微細化に限界があるため、本発明が対象とするようなナノプリント技法の開発が切望されている。
近年、量産性を考慮した製造工程としてナノプリント技法を検討すると、加工形状自体が数百nmの大きさとなってくるにつれてこの不要樹脂層に起因する転写ムラは無視できなくなってきた。
研磨工程を経た基板の表面には微小な凹凸が存在し、これらの凹凸を機械的加工で完全に消去することはできない。凹凸は凹形状が主である。凹形状には主として2種類あり、(1)幅が広く、深さが浅いタイプ、(2)幅が狭く、深さが深いタイプである。どちらも研磨初期工程である荒擦り工程で発生する凹キズが主たる原因と考えられてきた。しかし荒擦り工程のない基板においても、「点状」の凹ピットの発生が確認されており、研磨工程を経る基板では凹状の欠陥の発生を防ぐことは困難である。この問題は、ガラス材料に限られるのもではなく、シリコンや単結晶などでも同様の問題が発生している。
これらの欠陥を除去する方法として、(イ)化学的ウエットエッチング法であるHF(フッ化水素)処理や、(ロ)ゾル‐ゲル法と呼ばれる表面コート処理や、(ハ)CMP(ケミカル・メカニカル・ポリシング)法などで、凹形状の克服を試みたが、十分な欠陥対策効果は得られなかった。したがって、ナノプリント技法を用いて回折光学素子など微細表面構造をもつ物品を製造しようとすると、凹凸部に起因する欠陥が発生し、歩留まりを著しく低下させる原因となっていた。
そこで本発明は、位相シフターなどの光学素子を含む微細表面構造物品の生産において、歩留まりと精度を向上させることを目的とするものである。
本発明の第1の局面は、均一な厚みの板状体にてなり、少なくとも一方の表面に微細構造を形成するための基板であって、前記表面に堆積薄膜が形成されていることを特徴とする微細構造形成用基板である。
板状体には表側と裏側の互いに平行な面積の広い面と、板の厚み部分の端面がある。本発明において、表面とは表側と裏側の面積の広い面を指し、端面は含まない。表面は表側にある表面と、裏側の表面(裏面)の両方を含む。微細構造が形成される側の面を表面と称するときは、その反対側の面を裏面と称することもある。
基板表面に薄膜が形成されていることにより基板表面の凹凸が小さくなるので、基板表面の凹凸に起因する欠陥発生が抑制される。
薄膜形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD(化学気相堆積)法等の既知の成膜方法を用いることが可能である。本発明で成膜に求められる機能は、ステップカバレージ良く凹形状を十分に埋めることである。そのためには、成膜時の圧力を高めに設定すること、及び蒸発物資と基板間距離が十分に離れていることが好ましい。
基板表面を平坦に維持することが好ましい。そのためには、上記薄膜は基板の表側と裏側の両方の面、すなわち表面及び裏面にほぼ同じ膜厚で形成されているのが好ましい。これは、基板表面に形成される薄膜は、膜厚が厚くなるに従って残留応力が発生し、基板反りを誘発するからである。したがって、上記薄膜の膜厚が表面と裏面で「ほぼ同じ」であるというのは、全く同じであることが好ましいが、全く同じでなくても基板反りを誘発しない程度であれば許容させるという意味である。
また同一チャンバー中において基板の表面と裏面に前後して同一膜厚で成膜した場合、最初に成膜した面に応力が集中して発生することがわかった。そこで、基板の表面及び裏面に薄膜を形成する場合、これらの薄膜を表側と裏側で同時に形成することが望ましい。
また、上記薄膜は基板の材質と同じ材質又は熱膨張係数が基板とほぼ等しい材質により形成されているのが好ましい。
加熱プロセスがある場合、基板及び薄膜に熱による歪が発生する。基板と基板表面に形成されている薄膜の熱膨張係数が異なると、薄膜が剥離したり、基板に薄膜の変形による応力が働いて基板反りを誘発したりすることになる。そこで、薄膜が基板の材質と同じ材質又は熱膨張係数が基板の材質とほぼ等しい材質により形成されているようにすれば、これらの問題は発生しない。ここで、熱膨張係数が基板と「ほぼ」等しいというのは、熱膨張係数が異なっていても、熱による歪によって薄膜が剥離したり基板反りを誘発したりすることがない程度であれば許容されるという意味である。
本発明の第2の局面は、ナノプリント技法を用いて回折光学性能をもつ光学素子などの微細表面構造をもつ物品の製造方法であって、ナノプリント法で転写された形状をドライエッチング法で本発明の基板に転写することにより転写精度を高めた耐久性(耐熱性及び耐環境性を含む)の高い製品を安価に得るものである。
すなわち、その第2の局面は、微細表面構造をもつ物品を製造する方法であって、工程として、以下の工程(A)〜(E)を順に備えていることを特徴とするものである。
(A)表面に微細形状をもつ金型の表面に硬化可能な転写材料を介して本発明の基板からなる製品基板を押し当てて、前記金型の表面形状の反転形状を前記転写材料に転写する工程、
(B)前記転写材料を硬化させる工程、
(C)前記転写材料を前記製品基板に接合させた状態でその転写材料を前記金型から剥離させる工程、
(D)前記製品基板上の転写材料のうち、前記金型形状によらない不要転写材料部分を除去する工程、及び
(E)前記転写材料に転写された形状を前記製品基板に転写するドライエッチング工程。
そして、この製造方法により製造される物品の好ましい一例は表面に微細な凹凸の繰返しパターンをもつ位相シフター光学素子である。
ここで、「金型」は、基板にリソグラフィとドライエッチングにより最終製品の3次元構造体とは凹凸が反対になった形状を形成したマザー金型(母金型又は第1金型ともいう)と、最終製品の3次元構造体と凹凸が同じ方向のマザー金型を基にして最終製品の3次元構造体とは凹凸が反対になるように形成したシスター金型(第2金型ともいう)の両方を含んでおり、いずれの金型も使用することができる。
転写材料は光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂である。また、製品基板はガラス、Si、石英、(GaAl)As、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)など半導体材料を初めとするドライエッチングが可能な基板である。ドライエッチング工程は製品基板と前記樹脂材料を同時にドライエッチングするように条件を設定することが好ましい。
ドライエッチング工程は前記樹脂を一部残した状態で終了し、その後前記樹脂を選択的に除去する他の工程によりその残った樹脂を除去するようにしてもよい。
本発明の第3の局面は、転写材料を製品基板に接合したまま金型を剥離し、その後、製品基板上の転写材料層により耐久性の高い目的製品を得るものであり、この場合転写材料層の形状をドライエッチング法により製品基板に転写することはしない。
すなわち、その第3の局面は、微細表面構造をもつ物品を製造する方法であって、工程として次の工程(A)〜(C)を順に備えている。
(A)表面に微細形状と平坦面をもつ金型の表面に硬化可能な転写材料を介して本発明の基板からなる製品基板を押し当てて、前記金型の表面形状の反転形状を前記転写材料に転写する工程、
(B)前記転写材料を硬化させる工程、及び
(C)前記転写材料を前記製品基板に接合させた状態でその転写材料を前記金型から剥離させる工程。
そして、この場合も製造される物品の好ましい一例は、表面に微細な凹凸の繰返しパターンをもつ位相シフター光学素子である。
ここでも、「金型」は、上記のマザー金型とシスター金型の両方を含んでおり、いずれの金型も使用することができる。
転写材料は光硬化性材料又は熱硬化性材料である。また、製品基板は転写材料と熱膨張係数等の熱物性が近いものが良いが、ガラス、Si、石英などの基板が好ましい。光透過用光学部品の場合は、製品基板は透過率の高いガラス、石英が望ましく、また転写材料も光透過性の材料であることが必要である。転写材料の一例としては、有機・無機ハイブリッド材料(inorganic-organic hybrid polymers)がある。
この局面では積層構造体も含む。積層構造体は、基板、その基板の表面における少なくとも一つの方向に関して周期的な形状を備えた有機・無機ハイブリッド材料を含む層、及び有機・無機ハイブリッド材料を含む層に積層された前記周期的な形状と同一の形状を備えた単数又は複数の層を含む。
また、その積層構造体の好ましい一例は、複数の層からなり、その複数の層における互いに隣接する層の材料は、互いに光学的特性が異なっているものである。
本発明の第4の局面は、微細表面構造をもつ物品であって、本発明の製造方法により形成されていることを特徴とするものである。その一例は、表面に微細形状と平坦面をもち、上記表面に対して垂直方向から入射する光のうち、所望の波長を選択的に透過又は回折させるための位相シフター光学素子である。
本発明の第1の局面においては、微細構造を形成する基板表面に薄膜が形成されていることにより、基板表面の凹凸に起因する欠陥発生が抑制され、歩留まりを向上させることができる。
上記薄膜が基板の表面及び裏面に形成されているようにすれば、基板表面に形成された薄膜によって発生する残留応力による基板反りを防止することができる。
また、基板上に形成されている薄膜が基板の材質と同じ材質又は熱膨張係数が基板の材質とほぼ等しい材質により形成されているようにすれば、熱による歪によって薄膜が基板から剥離したり基板に薄膜の変形による応力が働いて損傷したりすることを防止することができる。
また本発明の第2の局面である、ナノプリント法とドライエッチング法による方法では、その転写材料に転写された形状をドライエッチング工程により製品基板に転写するようにしたため、フォトリソグラフィ工程を用いた時と同様の転写精度が得られ、高精度な微細3次元形状を形成することができる。
さらに本発明の第3の局面である、転写材料を用いる方法では、転写材料として有機・無機ハイブリッド材料などを用いることによって、ドライエッチング工程を行わずに製品基板上に耐久性を有する透明(光透過)性構造物を製品基板表面に構成することが可能であり、工程の短縮と安価な高精度製品の供給が可能となる。
この第3の局面の製造方法に、耐熱性を有する有機・無機ハイブリッド材料などを使用することによって、耐熱性の問題を解決し、かつ、形状精度の高い製品を安価に量産することが可能となり、レジストを用いたフォトリソグラフィに比較して工程的に簡便で、量産性の高いナノプリント技術を超高精度微細3次元形状の転写に用いることが可能となる。
このように、ナノプリント工法の加工時間が短いという利点を生かして超微細3次元形状の加工が低コストで実現できる。
基板表面の凹凸を小さくするために、本発明では基板の表面に薄膜を形成している。その場合、成膜時の圧力を高めに設定し、かつ蒸発物質と基板との距離を十分に離している。また、同じ膜質の薄膜を表裏一緒に成膜している。また、加熱プロセスがある場合を想定すると熱歪を避ける必要があるため、薄膜材料は基板材質と同じ材質、またはほぼ等しい熱膨張係数を有する材質であることが望ましい。
[実施例1]
実施例1として基板の構造及びその製造方法を示す。
図1は微細構造形成用製品基板の一実施例の概略断面図であり、(A)は全体の断面図、(B)は破線円で囲まれた領域の薄膜形成前の基板表面の拡大断面図、(C)は同領域の薄膜形成後の基板表面の拡大断面図である。
製品基板として用いる基板2は表面が研磨される。その研磨方法は、球面レンズ、平面基板(プリズム)などのガラス基板研磨として一般的に使用されている光学ガラスレンズ研磨方法であり、荒擦り工程(粗加工)→スムージング工程(スムージング加工)→研磨工程(みがき加工)の3段階を含んでいる。その研磨を経て得られる基板2の表面には(B)に示されるように、微細な凹凸が存在する。凹凸は幅が1〜5μm、深さが0.1〜0.3μm程度の凹形状が主であり、幅が広く深さが浅いタイプ(領域A)と、幅が狭く深さが深いタイプ(領域B)などがある。どちらも研磨初期工程である荒擦り工程で発生する凹キズが主たる原因と考えられている。
これらの凹凸を小さくするために基板2の表面及び裏面に、基板2とほぼ同じ熱膨張係数をもつ材質からなる薄膜4が表面と裏面で同じ膜厚に形成されている。一実施例では、基板2は石英基板であり、薄膜4はSiO2膜である。
薄膜4を形成する方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の既知の成膜方法のいずれでもよく、薄膜4を基板2の表面と裏面で同時に形成する場合にはスパッタリング法又はCVD法を使用する。
図1に示す微細構造形成用基板の製造方法を説明する。
基板2は直径6インチの石英基板である。まず、その表面粗さを評価した。超微細形状測定器としてAFM(ATOMIC FORCE MICROSCOPE:原子間力顕微鏡)を使用して、基板中央部の2mm四方の領域を測定し、表面凹凸形状、及び凹ピット形状を測定した。基板表面粗さ測定を数多く行なった結果から、基板中央の領域を測定すれば、ほぼ基板全体の表面粗さの代表的な値を測定できることがわかっているからである。
研磨のロット(同時に研磨する基板枚数)は研磨機のサイズ、具体的には平面研磨機の研磨板寸法によって異なるが、一般に使用されている研磨機では、6インチ基板で25〜50枚程度である。図1(B)は研磨後の石英基板表面をAFMを用いて測定したときの拡大図である。ロット中の20%に相当する枚数の基板について測定した表面荒さのデータの中から、最も悪い2つのタイプの凹部、すなわち幅が広く深さが浅いタイプ(領域A)と、幅が狭く深さが深いタイプ(領域B)を抜き出して示している。
(基板実施例1)
成膜する薄膜4の膜厚を、最も深さの深い凹部(領域B)を基準に決定した。この実施例においては、薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約1.3倍である0.4μmの膜厚をもつSiO2膜を真空蒸着法により成膜した。
成膜条件は、装置チャンバー内径が1100mmであり、EB(電子線)蒸着源から基板までの距離を1300mmとし、真空度を1.5×10-4Toorとした。
(基板実施例2)
薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約1.6倍である0.5μmの膜厚をもつSiO2膜をPECVD(プラズマ励起化学気相堆積)法により成膜した。
成膜には、PECVD装置(Novellus社製「Concept One」装置)を用い、基板温度を380℃とし、TEOS(tetraethylorthosilicate)材料を導入してNSG(Nondoped Silicate Glass)膜を0.2μm/分の速度で2.5分間成膜した。
(基板実施例3)
薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約2倍である0.6μmの膜厚をもつSiO2膜をCVD法により成膜した。
成膜には、CVD装置(Applied Materials社製P-5000CVD装置)を用い、基板温度を370℃とし、SiH4ガス(キャリアガス:He)と酸素ガスを導入してNSG膜を0.23μm/分の速度で約3分間成膜した。
(基板実施例4)
薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約1.3倍である0.4μmの膜厚をもつSiO2膜をCVD法により成膜した。
成膜には、CVD装置(アネルバ社製Radical Shower-CVD装置)を用い、基板温度を350℃とし、SiH4ガス(キャリアガス:Ar)と酸素ガスを導入してNSG膜を0.11μm/分の速度で約4分間成膜した。
この膜は基板実施例3の膜に比較して、ステップカバレージが良く、表面モホロジー(凹凸)が非常に良く改善された。また同時に、膜中炭素量を低減でき、応力が低減できた。
(基板実施例5)
薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約1.3倍である0.4μmの膜厚をもつSiO2膜をPECVD法により成膜した。
成膜には、PECVD装置(ULVAC社製PE-CVD装置 CIH-200)を用い、基板温度を350℃とし、SiH4ガス(キャリアガス:Ar)と酸素ガスを導入してNSG膜を0.2μm/分の速度で約2分間成膜した。
この膜は基板実施例3の膜に比較して、ステップカバレージが良く、表面モホロジー(凹凸)が非常に良く改善された。また同時に、膜中炭素量を低減でき、応力が低減できた。
(基板実施例6)
基板2としてCMP法で両面研磨した直径6インチの石英基板を使用した。その基板にも図1(B)に示される表面凹凸形状が存在する。
薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約1.3倍の膜厚をもつSi膜を熱CVD法により成膜した。
成膜条件は、真空度を8.0×10-2Toorとし、SiH4ガスを200sccmの流量で導入し、基板温度を630℃として、Si膜を0.01μm/分の速度で約40分間成膜して、Si膜を0.4μm成膜した。
この基板実施例では、石英基板の両面にSi膜を同時に成膜したので、初期に基板材料が有していた平面度、平行度を維持したまま成膜することができた。
(基板実施例7)
基板2としてCMP法で両面研磨した直径6インチの石英基板を使用した。その基板にも図1(B)に示される表面凹凸形状が存在する。
薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約2倍の膜厚をもつSi膜を熱CVD法により成膜した。
成膜条件は、真空度を8.0×10-2Toorとし、SiH4ガスを200sccmの流量で導入し、基板温度を630℃として、Si膜を0.01μm/分の速度で約60分間成膜して、Si膜を0.6μm成膜した。
この基板実施例でも、石英基板の両面にSi膜を同時に成膜したので、初期に基板材料が有していた平面度、平行度を維持したまま成膜することができた。
基板実施例6,7のように薄膜としてSi膜を性膜した基板を使用してナノプリント法を実施した場合には、(1)ナノプリント材料硬化時の光照射は金型側から実施すること、(2)ナノプリントによる微細形状形成後はドライエッチングすること、及び(3)光学素子形成後にSi膜を除去することが必須である。
[実施例2〜6]
実施例2〜6は製造方法に関する実施例である。
次に、本発明で製造しようとする対象製品の一例である位相シフター素子の例を図2及び図3により説明する。図2は位相シフトパターンと開口制限用回折素子を組み合わせた複合機能素子、図3は開口制限用の回折素子の例であり、いずれも(A)は平面図、(B)は(A)のX−X線位置での断面図、(C)は内側領域の表面の凹凸を示す断面図、(D)は外側領域の表面の凹凸を示す断面図である。
これらの位相シフター素子は、本発明により表面に薄膜が形成されて平坦化された基板を製品基板として使用し、その表面にインプリント法により転写材料のパターンを形成し、そのパターンをドライエッチング法により基板に転写して基板と同じ材質からなる表面パターンを形成することにより製作することができる。
図2の複合機能素子では、基板2の表面に断面が階段形状をもつ凸条がリング状に形成された位相シフトパターン6が形成され、その位相シフトパターン6の内側領域の基板表面上には凹凸形状の繰返しパターンからなる開口制限用回折パターン7、位相シフトパターン6の外側領域の基板表面上にも凹凸形状の繰返しパターンからなる開口制限用回折パターン8が形成されている。位相シフトパターン6の階段形状の上面は高度な平坦面に形成されている。
図3の開口制限用回折素子では、基板12の表面の内側領域に凹凸形状の繰り返しパターンからなる回折パターン7、外側領域に凹凸形状の繰り返しパターンからなる回折パターン8が形成されている。
本発明で製造しようとする対象製品の他の例である波長板光学素子の例を図4(A),(B)により説明する。
これらの波長板光学素子では、基板の表面の内側領域に凹凸形状の繰り返しパターンからなるライン/スペース(L/S)パターンが形成されている。このパターンは、サブミクロン寸法を有しかつ深さ方向にアスペクト比約5程度の形状が製作されている。
図4(A)の波長板光学素子は、本発明により表面に薄膜が形成されて平坦化された基板20を製品基板として使用し、その表面にインプリント法により転写材料のパターンを形成し、そのパターンをドライエッチング法により基板20に転写して基板20と同じ材質からなる表面パターン22を形成することにより製作することができる。
図4(B)の波長板光学素子は、本発明により表面に薄膜24が形成されて平坦化された基板20を製品基板として使用し、その表面にインプリント法により転写材料のパターンを形成し、そのパターンを硬化させることにより転写材料からなる表面パターン26を形成することにより製作することができる。
(実施例2)
第3の局面によりナノプリント法で金型形状を転写材料の樹脂に転写して製品を得る方法の実施例を説明する。その樹脂形状をドライエッチングにより製品基板に転写すれば第2の局面となるので、この実施例はまた、第2の局面の工程の一部を構成している。
この実施例ではマザー金型を使用して樹脂への転写を行なう。形成しようとする3次元形状は位相シフター光学素子である。
(1)マザー金型の製作
濃度分布マスク法を利用して凹形状の位相シフター形状をもつマザー型を製作する。ここでのマスクは、製作しようとする製品に対して形状の凹凸は反転している。型として使用するためである。この実施例では、このマザー金型を樹脂転写用の金型として用い、樹脂転写によって所望の製品基板に転写する。
濃度分布マスク法を利用してマザー型を製作する方法を説明する。この方法は特許文献10に記載の方法の応用である。
まず所望の表面形状を形成するための濃度分布マスク及びその製造方法について説明する。
ここでは、例えば位相シフター等の所望の3次元構造の表面形状を形成するに当り、その表面形状を形成すべき基板材料表面上に塗布される感光性材料として、市販のフォトレジスト材料(東京応化(株)製TGMR−950(商品名))を用いた。そして、まず、このレジスト材料の感度曲線を求め、光照射量とレジスト除去量の関係を把握した。
次いで、所望の3次元構造(この構造は製品となる形状に対して凹凸が反転した形状である。)の表面形状に対応して、モデルとなる濃度分布マスクを製作する。この濃度分布マスクは、正方形に分割された単位セルで構成され、各単位セルの光透過領域又は遮光領域が、所望の表面形状に応じた透過率分布となるように2次元的に設計され、各単位セル内の光透過量が制御されたものである。
上述のような単位セル構成の濃度分布マスクの製造方法としては、まず、石英ガラス等の透明基板上に厚さ200nmのCr膜を蒸着等により成膜し、その上に感光性ポジ型レジスト材料を塗布してマスクブランクスを形成する。そして、上記マスクブランクスのレジスト材料層に対して、光ビーム照射装置により光ビームを照射して単位セル毎に光透過領域又は遮光領域を所望の透過率分布になるように2次元的にパターニングする。ここでは、光ビーム照射装置としてレーザー光照射装置を用い、上記レジスト材料層にレーザー光を照射してマスクパターンを描画する。そして、このレーザー光照射装置によりレーザー光が照射されたレジスト材料部分は、次の現像、リンス工程によって除去され、レジスト材料層にマスクパターンが形成される。
次に、このパターニングされたレジスト材料層をエッチングマスクとしてCr膜をドライエッチング又はウェットエッチング、好ましくはドライエッチングする。例えばウェットエッチングの場合は、レジストパターンが形成された上記基板をCr専用のウェットエッチング液でエッチングし、レジスト材料のない部分のCr膜をウェットエッチング液中に溶かし出し、次いで基板をリンスし、乾燥させる。これにより、所望の2次元的な透過率分布を有する濃度分布マスクが得られる。
次に、上記の方法によって製作される濃度分布マスクを用いて、具体的な表面形状を形成する方法について述べる。上記のような特性を有する単位セルを規則的に配置した濃度分布マスクを製作し、所望の表面形状を形成すべき基板上に形成された感光性材料層に対して、所定の方法でマスクパターンを露光する。この際、露光方法としては、所望の表面形状に対して等倍に作製された濃度分布マスクを用いて、密着又は近接させて露光するアライメント露光法や、このマスクを感光性材料層に所望の表面形状に対して所定の拡大率で作製された濃度分布マスク(レチクルマスクと言う)を用いて、ステッパー露光装置でマスクパターンを感光性材料層に縮小露光するステッパー露光法等がある。本件では表面形状を高精度に形成するために、5倍の拡大率で製作されたレチクルマスクを用い、ステッパー露光法で、マスクパターンを感光性材料層に1/5に縮小して露光する。
上記のマスクパターンの露光後、感光性材料をPEB(ポスト・エキスポージャー・ベーク)、現像、リンスして、所望の表面形状に応じて感光性材料層を3次元的にパターニングした後、そのパターニングされた感光性材料層と基板に対し異方性エッチングを行ない、その感光性材料層の表面形状を基板表面に彫り写すことにより、所望の3次元構造が形成されたマザー金型が得られる。
(2)製品基板の表面処理
製品基板として、基板実施例に示したような、SiO2又はSiの薄膜を表面と裏面に形成した石英ガラス基板を使用する。
次に、製品基板−樹脂間の密着性を大きくするために製品基板にシランカップリング処理(シラノール処理)を行なった。シランカップリング処理は、通常次のように実施する。市販のカップリング処理剤を水に溶かし、表面処理した後、加熱硬化させる。その後、有機溶剤で洗浄し、カップリング処理剤を基板上に1分子層だけ残す。
(3)金型表面の洗浄
金型表面にキャロス洗浄を施し、続いてエキシマ処理を施した。キャロス洗浄は硫酸とH22の混合液による洗浄方法である。エキシマ洗浄はO2ガスを流しながらエキシマ光を照射してO3を発生させ、基板表面の有機物質を酸化して除去する洗浄方法である。
(4)樹脂転写(ナノプリント)
以上が樹脂転写の前工程となる。続いて樹脂転写工程を具体的に説明する。
(4−1)樹脂塗布
まず、樹脂吐出装置に製品基板をセットし、転写しようとする領域上に0.3mgずつ紫外線硬化型樹脂(GRANDIC RC 8790(大日本インキ株式会社の製品))を塗布した。
次に金型を同装置にセットし、転写したい部分に同樹脂を0.3mgずつ塗布した。
(4−2)面合わせ
次に金型に製品基板を載せる形で面合わせを行なった。この時空気が転写領域に入り込まないように注意する。
(4−3)加圧
次に面合わせを行なった金型と製品基板を互いに押し付けるように、自動加圧機を用いて加圧処理を施した。
(4−4)仮硬化
次に金型と製品基板の間に挟み込まれた樹脂に対して仮硬化を行なった。仮硬化とは、完全に硬化するエネルギーの70%程のエネルギーを与え、ある程度の硬化度を持たせることをいう。硬化の方法としては、金型側から樹脂層の小さい範囲を露光し、その位置を少しずつずらしていくことにより金型パターンの形状の通りに仮硬化させた。
(4−5)硬化
次に金型からの樹脂の離型処理及び樹脂に十分なエッチング耐性を持たせることを目的とした樹脂硬化を行なった。このときの硬化処理は短時間で一度に行ない、樹脂を引けさせる(硬化による樹脂収縮)ことで効果的に離型を行なった。
(4−6)離型
次に金型と製品基板の組を製品基板側を上にして離型治具に設置し、製品基板を金型から剥がした。これにより、製品基板上の樹脂層に金型の微細形状が転写され、樹脂による位相シフター素子が形成された。なお、剥がされた金型は洗浄して繰り返し使用する。
上記工程を経ることで、図4(B)に示されるように、石英ガラス基板20の表面にSiO2又はSiの薄膜24が形成された製品基板材料上に位相シフター光学素子の樹脂パターン26を有する製品を製作することができた。この形態での商品としては、CD、DVD用のピックアップ光学素子として十分に使用可能である。
図4(B)の位相シフター光学素子の寸法の一例を示すと、ライン/スペースの樹脂パターン26の高さH2は1.5μm、ライン幅L2は210nm、ピッチP2は300nmである。しかし、これらの寸法は一例であり、これに限定されるものではない。
(実施例3)
第2の局面により、ナノプリント法により金型形状を樹脂に転写し、その樹脂形状をさらに製品基板に転写して製品を得る第2の局面による方法の実施例を説明する。ここで形成しようとする3次元形状は波長板光学素子(1/4波長板)である。
実施例2に記載した方法によりマザー金型を製作してもよいが、この実施例では別の方法によりマザー金型を製作する。
(1)マザー金型の製作
予めパターン製品材料の屈折率から理論的に光学シミュレーションしたパターン形状を得る。この設計結果に基づいて、電子線描画装置を使用して超微細パターン形状を製作する。具体的には、石英基板上に電子線描画用の感光性材料を塗布して、プリベークする。更に表面導電性処理を施し、電子線描画する。その後、現像、リンス処理、ドライエッチング処理を施し所望のパターンを形成する。この時のパターン深さは、設計深さよりも20%程度深く製作する。これを型として利用して凹凸形状を有するライン/スペースの波長板形状をもつマザー型を製作する。
このマザー金型を樹脂転写用の金型として用い、樹脂転写及びドライエッチングによって所望の製品基板に転写する。
(2)製品基板の表面処理
製品基板として、基板実施例に示したような、SiO2又はSiの薄膜を表面と裏面に形成した石英ガラス基板を使用する。
次に、製品基板−樹脂間の密着性を大きくするために製品基板にシランカップリング処理を行なった。
(3)金型表面の洗浄
金型表面にキャロス洗浄を施し、続いてエキシマ処理を施した。
(4)基板
この実施例で使用する基板は、パイレックス(登録商標)ガラス材料である。この基板表面に真空蒸着法によってパイレックスと同様の組成を有する薄膜を成膜する。これは、薄膜形成方法の(基板実施例1)で示した方法で形成した。成膜する膜厚は、最も深さの深い領域Bの凹部深さを基準に決定する。その領域Bの凹部深さの約1.3倍の厚さのパイレックス材料膜を真空蒸着法で成膜した。
成膜の条件は、装置チャンバーとして内径が1100mmのものを使用し、電子線加熱蒸着源から基板までの距離を1300mmとし、真空度を1.5×10-4Toorとして、パイレックス膜を0.4μmの厚さに成膜した。成膜前の処理として、顆粒状のパイレックス材料のガス出しが必要である。また成膜中に酸素ガスを5sccmの流量で導入するなどの処理が必要であるが、他の方法は、石英膜形成と同様である。
(5)樹脂転写(ナノプリント)
ナノプリントの工程は、実施例2と同様である。
実施例2のナノプリントのよる樹脂パターン形成後の後工程として以下の工程を実施する。
(6)ドライエッチング
実施例2の(4−6)離型工程の後にドライエッチングを行なう例を説明する。つまり、実施例2では、製品基板材料上に樹脂層が残って、それが光学素子を形成しているが、この実施例3ではこの樹脂層を製品基板に全て転写するものである。これによって、波長板機能を有する光学素子面も製品基板材質と同じ材質になることによって、更に高い耐環境性(信頼性、耐温湿度性など)を有することが可能となる。
ドライエッチングによる微細形状加工処理を示す。転写したい形状部分の樹脂パターンを製品基板に転写するためのドライエッチング工程である。
ドライエッチング処理は、樹脂層が付着している製品基板をチャンバー内に設置した後、チャンバー内を4.0×10-4Torr以下に排気した。その後、RIE(反応性イオンエッチング)装置の上部電極パワーを1250ワット、下部電極(RF)パワーを300ワットに設定し、CHF3ガスを17sccmの流量で供給して15秒間ドライエッチング処理を行なった。このドライエッチング処理により、製品基板がエッチングされて図4(A)に示される位相シフター光学素子が形成された。
図4(A)の位相シフター光学素子の寸法の一例を示すと、ライン/スペースパターン22の高さH1は2.4μm、ライン幅L1は275nm、ピッチP1は400nmである。しかし、これらの寸法も一例であり、これに限定されるものではない。
製品基板はパイレックス(登録商標)のほか、テンパックス(登録商標)といったガラス材料を使用することができる。製品基板は基本的にドライエッチング可能な材料であれば使用可能である。
転写を仲介する樹脂として、実施例では紫外線硬化性樹脂を用いているので、紫外線照射により樹脂を硬化させるために、製品基板と金型の少なくとも一方は紫外線を透過させる特性のものである必要がある。しかし、転写樹脂として、熱硬化性樹脂など、他の方法で硬化する樹脂を使用することもできる。熱硬化性樹脂の場合は製品基板も金型も光を通す必要がない。
また、波長板光学素子の最上部(製品基板に転写した材料の、基板から最も離れた段)層の転写については、ドライエッチングを最後まで行わずにエッチングを途中で終了し、残った樹脂層をドライアッシング処理、又はCAROS洗浄で除去することで最終層を形成することができる。この時の製作段差量(及び樹脂残り量)は、ドライエッチング時間の管理で正確に決定することができる。
このように、途中でエッチングを終了する処理を実施することによって、最終段階までエッチングした場合に比較して、最上層部の基板表面粗さが小さくなる効果が得られる。すなわち、最終段階までエッチングすると、エッチングの途中で堆積した重合炭化水素化合物の影響によって表面粗さが大きくなる不具合が観察されているが、これを防ぐことが可能となる。波長板のような光学部品では、光学部品の平坦部の表面粗さが大きいことは、光特性ズレにつながり、基本性能の低下を招くことにつながる。
(実施例4)
第3の局面に属する他の実施例を説明する。
本実施例による積層構造体は、基板、基板の表面における形状を備えた有機・無機ハイブリッド材料を含む層、及びその有機・無機ハイブリッド材料を含む層上に積層された、有機・無機ハイブリッド材料を含む他の層の形状を含む。本明細書において、積層構造体とは、基板に積層された(有機・無機ハイブリッド材料を含む層を含む)単数又は複数の層を含む三次元構造体を意味する。
本発明による積層構造体における基板の材料としては、シリコンなどの半導体基板用の材料、単結晶の材料、並びに石英、青色基板材料及び白色基板材料などのガラス材料からなる群より選択される材料を、用途に応じて適宜用いることができる。例えば、積層構造体を、1.3μm程度の波長域の赤外線を用いる光学素子として使用する場合には、基板の材料としてシリコンなどの半導体基板用の材料を用いることができる。一方、積層構造体を、可視光を用いる光学素子として使用する場合には、単結晶の材料や石英などのガラス材料を用いることができる。なお、基板の形状は、有機・無機ハイブリッド材料を含む層及び有機・無機ハイブリッド材料を含む層の周期的な形状と同一の形状を備えた単数又は複数の層を設けることができれば、任意の形状でよく、平板の形状であってもよい。
また、有機・無機ハイブリッド材料を含む層は、有機・無機ハイブリッド材料のみからなるものだけでなく、有機・無機ハイブリッド材料に他の材料が混合されたものも含む。
有機・無機ハイブリッド材料は、以下の4つの基本官能基から構成されている。
(1)無機材料の―Si−(O−R)3基を基本としている。
つまり無機材料を構成するSi―O―Si構造を三次元化(ネットワーク骨格)の骨格とするガラス質である。この場合、3箇所のアルコキシル基の脱水縮合反応(加水分解・縮合反応)で三次元化構造が形成される。
(2)無機材料と有機材料と結合する働きを有する骨格基。
(3)有機材料の三次元化を構成し、有機高分子を構成する基。
(4)三次元化(ネットワーク骨格)を部分的に修正し、反応性を有しない基。
上記の分子構造を有する有機・無機ハイブリッド材料は、構成材料や三次元構造の構成条件によって高分子化の程度を制御することが可能で、さまざまな条件で製作することが可能で、粒径は2〜5nmの構造を有している。
また、有機・無機ハイブリッド材料は、官能基としてアリル基を導入して屈折率を向上させたり、アルキル基やフッ化アルキル基を導入して屈折率を低下させたりすることができる。例えば、石英の屈折率に近い屈折率を有する光学ガラスの材料として用いることができる。よって、熱膨張係数、ヤング率、機械的特性(密度)、電気的特性(絶縁性)や光学特性(屈折率、透過率)が変更可能である。また、安定な溶剤(例えば、propyleneglycol methyl ether acetate: PGMEA)を混合し希釈することによって、粘度を変更することができる。さらに、重合化や硬化方法によって薄膜や構造物の製作も可能である。また、官能基にメタクリル基やエポキシ基を導入することによって他材料との混合複合材料や表面処理材料としても使用可能である。
有機・無機ハイブリッド材料が、SiO2構造を骨格とするガラス質の材料であるため、有機・無機ハイブリッド材料の層を300℃程度の高い温度で加熱したとしても、有機・無機ハイブリッド材料の層は、熱変形を起こさず、高い耐熱性を有する。
一般に知られているゾル−ゲル法では、混合調製液から構造体として丈夫なSiO2三次元骨格構造を製作するには、加熱で溶剤を除去し、かつ高温加熱で三次元骨格構造とする必要がある。その場合、製作されたものの体積は収縮し、溶液全体の約60%以下に減少するので、液を保持する型構造とは異なった三次元構造となり、型形状を反映しない。これに対して、有機・無機ハイブリッド材料層を形成する際には、高温で加熱する必要はなく、紫外線硬化のラジカル発生材料を導入すれば紫外線照射で硬化させることが可能であるため、体積の大幅な減少もない。このため、本実施例による積層構造体の製造方法における転写工程を常温条件下の温度で実施して、有機・無機ハイブリッド材料を含む層を形成することができる。
このように、有機・無機ハイブリッド材料を含む層に所望の形状を反転した形状を有する型を押し当てると共に剥離することによって、基板の表面に、所望の周期的な形状を備えた有機・無機ハイブリッド材料を含む層を容易に形成することができる。
すなわち、所望の周期的な形状を備えた有機・無機ハイブリッド材料を含む層を得るために、又は所望の周期的な形状を備えた基板を得ることを目的として、有機・無機ハイブリッド材料を含む層をエッチングする必要もない。よって、本実施例による積層構造体によれば、より容易に製造することが可能な積層構造体を提供することができる。また紫外線硬化特性を有する有機・無機ハイブリッド材料を使用することが可能であるので、安定な紫外線照射によるフォトパターニング構造の形成も可能である。
さらに、有機・無機ハイブリッド材料を含む層に積層された単数又は複数の層は、有機・無機ハイブリッド材料を含む層の周期的な形状と同一の形状を有する。本明細書及び特許請求の範囲において、有機・無機ハイブリッド材料を含む層の周期的な形状と同一の形状とは、有機・無機ハイブリッド材料を含む層の周期的な形状と完全に同一な又は実質的に同一とみなされる形状の両方を含む。
なお、本実施例においては、粘度が調整された有機・無機ハイブリッド材料を含む材料に型を押し当てることによって、有機・無機ハイブリッド材料を含む層を得ることができる。この工程を繰り返すことも可能である。
有機・無機ハイブリッド材料により複数層を形成する方法を、図2の複合機能素子を例にして2つの方法を説明する。
(1)第1の方法は次のように行なう。
2つの型を用意する。第1の型は位相シフトパターン4と開口制限用回折パターン6を同時に成型する型であり、第2の型は開口制限用回折パターン8を成型する型である。
基板2上に有機・無機ハイブリッド材料をインクジェットで円周状に必要量を塗出する。その後、第1の型を押し当て、その状態で紫外線を照射して有機・無機ハイブリッド材料を硬化させる。このとき、位相シフトパターン4の外側領域にも有機・無機ハイブリッド材料が薄く残る。
次に、位相シフトパターン4の外側領域に有機・無機ハイブリッド材料をインクジェットで円周状に必要量を塗出する。その後、第2の型を押し当て、その状態で紫外線を照射して有機・無機ハイブリッド材料を硬化させる。
(2)第2の方法は次のように行なう。
2つの型を用意するが、今度は第1の型は位相シフトパターン4を成型する型であり、第2の型は開口制限用回折パターン6と開口制限用回折パターン8を同時に成型する型である。
基板2上に有機・無機ハイブリッド材料をインクジェットで円周状に必要量を塗出する。その後、第1の型を押し当て、その状態で紫外線を照射して有機・無機ハイブリッド材料を硬化させる。このとき、位相シフトパターン4の内側領域にも外側領域にも有機・無機ハイブリッド材料が薄く残る。
次に、位相シフトパターン4の内側領域と外側領域に有機・無機ハイブリッド材料をインクジェットで円周状に必要量を塗出する。その後、第2の型を押し当て、その状態で紫外線を照射して有機・無機ハイブリッド材料を硬化させる。
このようにして、基板材料及び有機・無機ハイブリッド材料を含む層に設けられる単数又は複数層を構成できる。したがって、有機・無機ハイブリッド材料に安価な材料を採用することで、積層構造体の価格を低下させることも可能となる。
本実施例による光学製品は、積層構造体を含む光学素子を含む。このような光学製品としては、偏光子を備えた光アイソレータ、光サーキュレータ、及び光スイッチなどの、偏光子を含む光学機器のような光の偏光の性質を利用する光学機器が挙げられる。例えば、偏光子を有する液晶プロジェクタが挙げられる。
次に、本実施例による製造方法を説明する。
本実施例による製造方法は、有機・無機ハイブリッド材料に対して以下の工程を実施する。
(1)有機・無機ハイブリッド材料を塗出する段階:
予め製品基板表面に密着性向上表面処理を施した後、製品基板表面の中央に有機・無機ハイブリッド材料を定量塗出する。
(2)有機・無機ハイブリッド材料を含む層を形成する段階:
基板における少なくとも一つの方向に関して周期的な形状を反転した形状を備えた型を用いて、有機・無機ハイブリッド材料を含むように基板と型を位置合わせしながら近づけ、樹脂層厚さを制御する。型の表面には予め剥離処理を施しておく。
(3)周期的な形状を転写する段階:
基板又は型のどちらか一方の透明材料側から、紫外線を照射して有機・無機ハイブリッド材料を硬化させ、型形状を転写し所定の目的構造を形成する。
(4)型を剥離する段階:
製品基板上樹脂表面と型表面間の界面から型を剥離する。
本実施例による積層構造体の製造方法によれば、積層構造体をより容易に製造することができる。
まず、基板の表面に有機・無機ハイブリッド材料を塗布して、有機・無機ハイブリッド材料を含む層を形成する段階において、有機・無機ハイブリッド材料を含む材料は、例えば、下記の化学構造を有する材料である。
有機・無機ハイブリッド材料を含む材料は、基板中央に塗出するか、又はスピナーによって回転させられている基板の表面に塗出される。このとき、有機・無機ハイブリッド材料を含む材料は、基板の表面に塗出又は塗布することができる程度の低い粘度を有する。
次に、基板に塗布された有機・無機ハイブリッド材料を含む材料を、50℃程度の低い温度で加熱することによって、有機・無機ハイブリッド材料を含む材料から溶剤の一部を除去する。これにより、有機・無機ハイブリッド材料を含む材料の粘度を高くして、平坦な有機・無機ハイブリッド材料を含む層を形成する。このとき、平坦な有機・無機ハイブリッド材料を含む層の粘度は、平坦な有機・無機ハイブリッド材料を含む層に型を押し当てることにより、有機・無機ハイブリッド材料を含む層に型の形状を反転した形状を転写することができる程度の粘度に調整される。上記処理によって樹脂の粘度は上昇するが、基板加熱により樹脂の熱流動性が高まる。これらの条件のバランスによって樹脂粘度は制御することが可能である。
次に、基板における少なくとも一つの方向に関して形状を反転した形状を備えた型を用いて、(1)有機・無機ハイブリッド材料を含む層に形状を転写する段階において、基板における形状を備えた型を、平坦な有機・無機ハイブリッド材料を含む層に押し当てて、(2)有機・無機ハイブリッド材料を含む層に、基板における少なくとも一つの方向に関して所望の形状を転写する。型としては、基板における所望の形状を反転した形状を備えた金型及びシリコン基板などを用いることができる。有機・無機ハイブリッド材料を含む層に型を押し当てた状態で、(3)基板及び有機・無機ハイブリッド材料を含む層に紫外線を照射し、所望の形状が転写された有機・無機ハイブリッド材料を含む層を硬化させる。次に、(4)基板の表面に形成された所望の形状が転写された有機・無機ハイブリッド材料を含む層から型を剥離して、基板の表面に所望の形状が転写された有機・無機ハイブリッド材料を含む層を得ることができる。
さらに具体的に述べる。実施例2では転写材料として樹脂を使用しているが、有機・無機ハイブリッド材料を初めとする、ドライエッチング不要で、かつ耐環境性の高い材料を転写材料として用いる場合を説明する。これによって、位相シフター機能を製作する工程が短縮化され、低価格の商品を短期間で製造することが可能となる。また同時に、高い耐環境性(信頼性、耐温湿度性など)を有することが可能となる。
実施例2の樹脂転写工程に替わって以下の工程を実施する。
まず、有機・無機ハイブリッド材料(屈折率:1.47の有機・無機ハイブリッド材料)を、希釈剤としてのPGMEAに溶解させて、有機・無機ハイブリッド材料溶液の粘度を調製した。そして、表面に密着性処理を施した石英基板上に、転写材料としての有機・無機ハイブリッド材料溶液をスピンナーで塗布して、有機・無機ハイブリッド材料層を形成した。その後、有機・無機ハイブリッド材料層が形成された石英基板を、80℃で1分間放置し、有機・無機ハイブリッド材料の層から希釈剤を揮発させ、有機・無機ハイブリッド材料の層の粘度を、ナノプリントすることが可能な粘度に調整した。
次に、石英基板に形成された有機・無機ハイブリッド材料の層に、型表面を押し当て、石英基板に形成された有機・無機ハイブリッド材料の層中の気泡を除去した。また、石英基板及び型の両方を互いに密着させることで、石英基板上の余分な有機・無機ハイブリッド材料を石英基板の外周から除去した。
続いて、有機・無機ハイブリッド材料の層を間に挟む石英基板及び型を保持したまま波長365nmのUV光を、照度15mWで37秒間照射し、積算エネルギー550mJ/cm2で紫外線硬化させた。これにより、石英基板及び型に挟まれた有機・無機ハイブリッド材料の層を硬化させた。
その後、型を剥離した。型は予め離型処理を施しているので容易に剥離することができた。
次いで、必要に応じて、型表面と接していた材料が未硬化の場合は、メチルイソブチルケトン(MIBK)溶剤でスピン洗浄することで未硬化材料を除去することができた。さらに、有機・無機ハイブリッド材料層が形成された石英基板を80℃/分で上昇させて、150℃にて3時間加熱した。
その結果、型の凹形状に対応した位相シフター凸形状を有するように、有機・無機ハイブリッド材料の層が硬化した。
次いで、硬化した有機・無機ハイブリッド材料の層を有する石英基板及び型を剥離した。このとき、硬化した有機・無機ハイブリッド材料の層は、密着性処理された石英基板に残り、型には残らなかった。
また、有機・無機ハイブリッド材料の層を硬化させる際における有機・無機ハイブリッド材料の層の収縮によって、有機・無機ハイブリッド材料の凸形状は、0.2μmの周期(ピッチ)及び約85°の角度を有する凸形状になった。
結果として、石英基板上に、石英の屈折率に近い屈折率を有する有機・無機ハイブリッド材料からなる位相シフター層を形成することができた。したがって、屈折率1.47の石英基板に屈折率1.47の有機・無機ハイブリッド材料からなる層が設けられた。
上記工法で製作した位相シフター光学素子は、実施例1〜2記載の工法で製作した製品と同様の性能を発揮した。
(実施例5)
実施例3の型を使用して、(基板実施例1)で製作した石英基板上に、実施例4と同じ材料(有機・無機ハイブリッド材料)を使用してナノプリントを実施した。この結果、可視光全域にわたってほぼ均一な波長板(1/4波長板)が製作できた。
本願明細書中において、説明を判り易くするために、具体的な製品イメージとして位相シフターと波長板を例に記載しているが、本発明はこれらの製品に限定されるものではなく、表面に微細構造をもつ微細3次元構造体に適用することができる。
本発明の基板は表面が平坦であるので、その表面に微細3次元構造をもつ光学素子などの物品を製造するのに利用することができる。
本発明の製造方法は位相シフターを初めとして、微細な3次元表面構造をもつ物品を製作するために利用することができる。
(A)は微細構造形成用基板の断面図、(B)は研磨加工された状態の基板表面を示す拡大断面図、(C)は基板表面に薄膜を形成した状態を示す拡大断面図である。 位相シフトパターンと開口制限用回折素子を組み合わせた複合機能素子を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のX−X線位置での断面図、(C)は内側領域の表面の凹凸を示す断面図、(D)は外側領域の表面の凹凸を示す断面図である。 開口制限用の回折素子の一例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のX−X線位置での断面図、(C)は内側領域の表面の凹凸を示す断面図、(D)は外側領域の表面の凹凸を示す断面図である。 (A),(B)はそれぞれ波長板光学素子を示す図である。
符号の説明
2,12,20 基板
4,24 薄膜
6 位相シフトパターン
7,8 開口制限用回折パターン
22,26 波長板のパターン

Claims (10)

  1. 均一な厚みの板状体にてなり、少なくとも一方の表面に微細構造を形成するための基板であって、
    前記表面に堆積薄膜が形成されていることを特徴とする微細構造形成用基板。
  2. 前記薄膜は、前記表面とは反対側の裏面側の表面にもほぼ同じ膜厚で形成されている請求項1に記載の基板。
  3. 前記薄膜は、前記基板と同じ材質又は熱膨張係数がほぼ等しい材質により形成されている請求項1又は2に記載の基板。
  4. 微細表面構造をもつ物品を製造する方法であって、
    (A)表面に微細形状をもつ金型の表面に硬化可能な転写材料を介して請求項1から3のいずれかに記載の基板からなる製品基板を押し当てて、前記金型の表面形状の反転形状を前記転写材料に転写する工程、
    (B)前記転写材料を硬化させる工程、
    (C)前記転写材料を前記製品基板に接合させた状態でその転写材料を前記金型から剥離させる工程、
    (D)前記製品基板上の転写材料のうち、前記金型形状によらない不要転写材料部分を除去する工程、及び
    (E)前記転写材料に転写された形状を前記製品基板に転写するドライエッチング工程、を順に備えていることを特徴とする製造方法。
  5. 前記物品は表面に微細な凹凸の繰返しパターンをもつ位相シフター光学素子である請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記転写材料は、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂である請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 前記ドライエッチング工程は前記転写材料を一部残した状態で終了し、その後前記転写材料を選択的に除去する他の工程によりその残った転写材料を除去する請求項4、5又は6に記載の製造方法。
  8. 微細表面構造をもつ物品を製造する方法であって、
    (A)表面に微細形状と平坦面をもつ金型の表面に硬化可能な転写材料を介して請求項1から3のいずれかに記載の基板からなる製品基板を押し当てて、前記金型の表面形状の反転形状を前記転写材料に転写する工程、
    (B)前記転写材料を硬化させる工程、及び
    (C)前記転写材料を前記製品基板に接合させた状態でその転写材料を前記金型から剥離させる工程、を順に備えていることを特徴とする製造方法。
  9. 前記転写材料は有機・無機ハイブリッド材料である請求項8に記載の製造方法。
  10. 請求項4から9のいずれかに記載の製造方法により製造された微細表面構造物品。
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