JP2006310678A - 微細表面構造形成用基板、微細表面構造物品の製造方法及びその製造方法で製造された微細表面構造物品 - Google Patents
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Abstract
位相シフターなどの光学素子を含む微細表面構造物品の生産において、歩留まりと精度を向上させる
【解決手段】
製品基板として用いる基板2の表面には研磨加工による微細な凹凸が存在するので、これらの凹凸を小さくするために基板2の表面及び裏面に、堆積薄膜4が真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の成膜方法により形成されている。
【選択図】図1
Description
位相差発生などの複数の機能を併せ持つ光学素子を構成し、光ヘッド装置の小型化を図る光学素子として断面が凹凸の形状をした周期的な格子を形成することにより、所望の波長を選択的に透過又は回折させることができる位相シフター光学素子として、収差補正素子(特許文献1〜3参照。)や開口制限素子(特許文献4参照。)が提案されているが、それらの文献には製造方法については詳しく述べられていない。
このような構成の位相シフター光学素子は、選択的に透過させたい波長の光に対して、凹凸により生じる位相振幅を調整することで、所望の透過率を容易に得ることができるため、開口制限機能を透明基板に発生させる構成として望ましい。
上記のような構成を実現する方法として、以下のようないくつかの方法が提案されている。
(1)開口制限機能を有する透明基板と反射防止膜を施した透明基板の間に、複屈折性を有する有機薄膜を接着剤で固定して光学素子を製造する方法(特許文献5参照。)。
(2)回折格子の製造方法として、ガラス基板上へのSiO2膜の堆積、ガラス基板のエッチング、又はガラスもしくはプラスチックの一体成形等により製造する方法(特許文献6参照。)。
(3)回折格子の製造方法として、2枚のフォトマスクを用いて、ガラス基板上へのSiO2膜の堆積、ガラス基板のエッチング、又はガラスもしくはプラスチックの一体成形等により製造する方法(特許文献7,8参照。)。
ナノオーダーの超精密3次元構造体を金型として用い、レジストや樹脂にプレスして他の部材に転写するナノプリントと呼ばれる技法が行なわれている(非特許文献1参照。)。ナノプリント技法は、電子線描画を初めとするフォトリソグラフィプロセスに比べ、加工時間が短く、設備費や材料費が少なくてすみ、量産性に優れるため、にわかに注目を集めている。
また、ナノ構造デバイスの製造方法として、プラスチック板を使用するナノインプリント法が提案されている。この方法は、別名ホットエンボッシング加工とも言われる。具体的には、目標製品基板のプラスチック材料を予め板状に加工しておき、それに金型を用いて成型する。板の加工方法はいろいろあるが、通常は以下の二方法で準備する。
(a)PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PC(ポリカーボネート)材料等の大判の引き伸ばし材料(例えば、幅500mmの長尺板)を所望寸法(例えば、長さ150mm、幅150mm)に切断加工する。
(b)インジェクション法(高温加熱溶融樹脂を金型に流し込んで冷却して形作る方法)で板状成形物を製作する。
最近この技術を使用したナノプリント法が報告されている。そこでは、基板にPMMA,PCなどの材料を使用し、使用材料のTg(ガラス転移点)温度近辺まで材料を加熱し(金型温度はTg温度以上)、加圧しながら金型を押し当てることで表面構造を樹脂に転写する。
したがって、光学部品の最終製造方法としては、使用範囲が制限されると考えられている。
(2)ガラス基板のエッチング法では、(1)と同様に高精度のフォトマスクを複数枚使用し、マスク材料成膜とフォトリソグラフィとエッチング工程を複数回繰り返す。この時、高精度に位置合わせしながら製作することが必要である。かつまた、エッチング深さを高精度制御することも非常に難しい。
近年、量産性を考慮した製造工程としてナノプリント技法を検討すると、加工形状自体が数百nmの大きさとなってくるにつれてこの不要樹脂層に起因する転写ムラは無視できなくなってきた。
薄膜形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD(化学気相堆積)法等の既知の成膜方法を用いることが可能である。本発明で成膜に求められる機能は、ステップカバレージ良く凹形状を十分に埋めることである。そのためには、成膜時の圧力を高めに設定すること、及び蒸発物資と基板間距離が十分に離れていることが好ましい。
また同一チャンバー中において基板の表面と裏面に前後して同一膜厚で成膜した場合、最初に成膜した面に応力が集中して発生することがわかった。そこで、基板の表面及び裏面に薄膜を形成する場合、これらの薄膜を表側と裏側で同時に形成することが望ましい。
加熱プロセスがある場合、基板及び薄膜に熱による歪が発生する。基板と基板表面に形成されている薄膜の熱膨張係数が異なると、薄膜が剥離したり、基板に薄膜の変形による応力が働いて基板反りを誘発したりすることになる。そこで、薄膜が基板の材質と同じ材質又は熱膨張係数が基板の材質とほぼ等しい材質により形成されているようにすれば、これらの問題は発生しない。ここで、熱膨張係数が基板と「ほぼ」等しいというのは、熱膨張係数が異なっていても、熱による歪によって薄膜が剥離したり基板反りを誘発したりすることがない程度であれば許容されるという意味である。
(A)表面に微細形状をもつ金型の表面に硬化可能な転写材料を介して本発明の基板からなる製品基板を押し当てて、前記金型の表面形状の反転形状を前記転写材料に転写する工程、
(B)前記転写材料を硬化させる工程、
(C)前記転写材料を前記製品基板に接合させた状態でその転写材料を前記金型から剥離させる工程、
(D)前記製品基板上の転写材料のうち、前記金型形状によらない不要転写材料部分を除去する工程、及び
(E)前記転写材料に転写された形状を前記製品基板に転写するドライエッチング工程。
そして、この製造方法により製造される物品の好ましい一例は表面に微細な凹凸の繰返しパターンをもつ位相シフター光学素子である。
ドライエッチング工程は前記樹脂を一部残した状態で終了し、その後前記樹脂を選択的に除去する他の工程によりその残った樹脂を除去するようにしてもよい。
(A)表面に微細形状と平坦面をもつ金型の表面に硬化可能な転写材料を介して本発明の基板からなる製品基板を押し当てて、前記金型の表面形状の反転形状を前記転写材料に転写する工程、
(B)前記転写材料を硬化させる工程、及び
(C)前記転写材料を前記製品基板に接合させた状態でその転写材料を前記金型から剥離させる工程。
ここでも、「金型」は、上記のマザー金型とシスター金型の両方を含んでおり、いずれの金型も使用することができる。
また、その積層構造体の好ましい一例は、複数の層からなり、その複数の層における互いに隣接する層の材料は、互いに光学的特性が異なっているものである。
このように、ナノプリント工法の加工時間が短いという利点を生かして超微細3次元形状の加工が低コストで実現できる。
実施例1として基板の構造及びその製造方法を示す。
図1は微細構造形成用製品基板の一実施例の概略断面図であり、(A)は全体の断面図、(B)は破線円で囲まれた領域の薄膜形成前の基板表面の拡大断面図、(C)は同領域の薄膜形成後の基板表面の拡大断面図である。
製品基板として用いる基板2は表面が研磨される。その研磨方法は、球面レンズ、平面基板(プリズム)などのガラス基板研磨として一般的に使用されている光学ガラスレンズ研磨方法であり、荒擦り工程(粗加工)→スムージング工程(スムージング加工)→研磨工程(みがき加工)の3段階を含んでいる。その研磨を経て得られる基板2の表面には(B)に示されるように、微細な凹凸が存在する。凹凸は幅が1〜5μm、深さが0.1〜0.3μm程度の凹形状が主であり、幅が広く深さが浅いタイプ(領域A)と、幅が狭く深さが深いタイプ(領域B)などがある。どちらも研磨初期工程である荒擦り工程で発生する凹キズが主たる原因と考えられている。
薄膜4を形成する方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の既知の成膜方法のいずれでもよく、薄膜4を基板2の表面と裏面で同時に形成する場合にはスパッタリング法又はCVD法を使用する。
基板2は直径6インチの石英基板である。まず、その表面粗さを評価した。超微細形状測定器としてAFM(ATOMIC FORCE MICROSCOPE:原子間力顕微鏡)を使用して、基板中央部の2mm四方の領域を測定し、表面凹凸形状、及び凹ピット形状を測定した。基板表面粗さ測定を数多く行なった結果から、基板中央の領域を測定すれば、ほぼ基板全体の表面粗さの代表的な値を測定できることがわかっているからである。
成膜する薄膜4の膜厚を、最も深さの深い凹部(領域B)を基準に決定した。この実施例においては、薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約1.3倍である0.4μmの膜厚をもつSiO2膜を真空蒸着法により成膜した。
成膜条件は、装置チャンバー内径が1100mmであり、EB(電子線)蒸着源から基板までの距離を1300mmとし、真空度を1.5×10-4Toorとした。
薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約1.6倍である0.5μmの膜厚をもつSiO2膜をPECVD(プラズマ励起化学気相堆積)法により成膜した。
成膜には、PECVD装置(Novellus社製「Concept One」装置)を用い、基板温度を380℃とし、TEOS(tetraethylorthosilicate)材料を導入してNSG(Nondoped Silicate Glass)膜を0.2μm/分の速度で2.5分間成膜した。
薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約2倍である0.6μmの膜厚をもつSiO2膜をCVD法により成膜した。
成膜には、CVD装置(Applied Materials社製P-5000CVD装置)を用い、基板温度を370℃とし、SiH4ガス(キャリアガス:He)と酸素ガスを導入してNSG膜を0.23μm/分の速度で約3分間成膜した。
薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約1.3倍である0.4μmの膜厚をもつSiO2膜をCVD法により成膜した。
成膜には、CVD装置(アネルバ社製Radical Shower-CVD装置)を用い、基板温度を350℃とし、SiH4ガス(キャリアガス:Ar)と酸素ガスを導入してNSG膜を0.11μm/分の速度で約4分間成膜した。
この膜は基板実施例3の膜に比較して、ステップカバレージが良く、表面モホロジー(凹凸)が非常に良く改善された。また同時に、膜中炭素量を低減でき、応力が低減できた。
薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約1.3倍である0.4μmの膜厚をもつSiO2膜をPECVD法により成膜した。
成膜には、PECVD装置(ULVAC社製PE-CVD装置 CIH-200)を用い、基板温度を350℃とし、SiH4ガス(キャリアガス:Ar)と酸素ガスを導入してNSG膜を0.2μm/分の速度で約2分間成膜した。
この膜は基板実施例3の膜に比較して、ステップカバレージが良く、表面モホロジー(凹凸)が非常に良く改善された。また同時に、膜中炭素量を低減でき、応力が低減できた。
基板2としてCMP法で両面研磨した直径6インチの石英基板を使用した。その基板にも図1(B)に示される表面凹凸形状が存在する。
薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約1.3倍の膜厚をもつSi膜を熱CVD法により成膜した。
成膜条件は、真空度を8.0×10-2Toorとし、SiH4ガスを200sccmの流量で導入し、基板温度を630℃として、Si膜を0.01μm/分の速度で約40分間成膜して、Si膜を0.4μm成膜した。
この基板実施例では、石英基板の両面にSi膜を同時に成膜したので、初期に基板材料が有していた平面度、平行度を維持したまま成膜することができた。
基板2としてCMP法で両面研磨した直径6インチの石英基板を使用した。その基板にも図1(B)に示される表面凹凸形状が存在する。
薄膜4として、領域Bの凹部の深さの約2倍の膜厚をもつSi膜を熱CVD法により成膜した。
成膜条件は、真空度を8.0×10-2Toorとし、SiH4ガスを200sccmの流量で導入し、基板温度を630℃として、Si膜を0.01μm/分の速度で約60分間成膜して、Si膜を0.6μm成膜した。
この基板実施例でも、石英基板の両面にSi膜を同時に成膜したので、初期に基板材料が有していた平面度、平行度を維持したまま成膜することができた。
実施例2〜6は製造方法に関する実施例である。
次に、本発明で製造しようとする対象製品の一例である位相シフター素子の例を図2及び図3により説明する。図2は位相シフトパターンと開口制限用回折素子を組み合わせた複合機能素子、図3は開口制限用の回折素子の例であり、いずれも(A)は平面図、(B)は(A)のX−X線位置での断面図、(C)は内側領域の表面の凹凸を示す断面図、(D)は外側領域の表面の凹凸を示す断面図である。
これらの波長板光学素子では、基板の表面の内側領域に凹凸形状の繰り返しパターンからなるライン/スペース(L/S)パターンが形成されている。このパターンは、サブミクロン寸法を有しかつ深さ方向にアスペクト比約5程度の形状が製作されている。
第3の局面によりナノプリント法で金型形状を転写材料の樹脂に転写して製品を得る方法の実施例を説明する。その樹脂形状をドライエッチングにより製品基板に転写すれば第2の局面となるので、この実施例はまた、第2の局面の工程の一部を構成している。
この実施例ではマザー金型を使用して樹脂への転写を行なう。形成しようとする3次元形状は位相シフター光学素子である。
濃度分布マスク法を利用して凹形状の位相シフター形状をもつマザー型を製作する。ここでのマスクは、製作しようとする製品に対して形状の凹凸は反転している。型として使用するためである。この実施例では、このマザー金型を樹脂転写用の金型として用い、樹脂転写によって所望の製品基板に転写する。
濃度分布マスク法を利用してマザー型を製作する方法を説明する。この方法は特許文献10に記載の方法の応用である。
まず所望の表面形状を形成するための濃度分布マスク及びその製造方法について説明する。
製品基板として、基板実施例に示したような、SiO2又はSiの薄膜を表面と裏面に形成した石英ガラス基板を使用する。
次に、製品基板−樹脂間の密着性を大きくするために製品基板にシランカップリング処理(シラノール処理)を行なった。シランカップリング処理は、通常次のように実施する。市販のカップリング処理剤を水に溶かし、表面処理した後、加熱硬化させる。その後、有機溶剤で洗浄し、カップリング処理剤を基板上に1分子層だけ残す。
金型表面にキャロス洗浄を施し、続いてエキシマ処理を施した。キャロス洗浄は硫酸とH2O2の混合液による洗浄方法である。エキシマ洗浄はO2ガスを流しながらエキシマ光を照射してO3を発生させ、基板表面の有機物質を酸化して除去する洗浄方法である。
以上が樹脂転写の前工程となる。続いて樹脂転写工程を具体的に説明する。
(4−1)樹脂塗布
まず、樹脂吐出装置に製品基板をセットし、転写しようとする領域上に0.3mgずつ紫外線硬化型樹脂(GRANDIC RC 8790(大日本インキ株式会社の製品))を塗布した。
次に金型を同装置にセットし、転写したい部分に同樹脂を0.3mgずつ塗布した。
次に金型に製品基板を載せる形で面合わせを行なった。この時空気が転写領域に入り込まないように注意する。
(4−3)加圧
次に面合わせを行なった金型と製品基板を互いに押し付けるように、自動加圧機を用いて加圧処理を施した。
次に金型と製品基板の間に挟み込まれた樹脂に対して仮硬化を行なった。仮硬化とは、完全に硬化するエネルギーの70%程のエネルギーを与え、ある程度の硬化度を持たせることをいう。硬化の方法としては、金型側から樹脂層の小さい範囲を露光し、その位置を少しずつずらしていくことにより金型パターンの形状の通りに仮硬化させた。
次に金型からの樹脂の離型処理及び樹脂に十分なエッチング耐性を持たせることを目的とした樹脂硬化を行なった。このときの硬化処理は短時間で一度に行ない、樹脂を引けさせる(硬化による樹脂収縮)ことで効果的に離型を行なった。
次に金型と製品基板の組を製品基板側を上にして離型治具に設置し、製品基板を金型から剥がした。これにより、製品基板上の樹脂層に金型の微細形状が転写され、樹脂による位相シフター素子が形成された。なお、剥がされた金型は洗浄して繰り返し使用する。
上記工程を経ることで、図4(B)に示されるように、石英ガラス基板20の表面にSiO2又はSiの薄膜24が形成された製品基板材料上に位相シフター光学素子の樹脂パターン26を有する製品を製作することができた。この形態での商品としては、CD、DVD用のピックアップ光学素子として十分に使用可能である。
図4(B)の位相シフター光学素子の寸法の一例を示すと、ライン/スペースの樹脂パターン26の高さH2は1.5μm、ライン幅L2は210nm、ピッチP2は300nmである。しかし、これらの寸法は一例であり、これに限定されるものではない。
第2の局面により、ナノプリント法により金型形状を樹脂に転写し、その樹脂形状をさらに製品基板に転写して製品を得る第2の局面による方法の実施例を説明する。ここで形成しようとする3次元形状は波長板光学素子(1/4波長板)である。
実施例2に記載した方法によりマザー金型を製作してもよいが、この実施例では別の方法によりマザー金型を製作する。
予めパターン製品材料の屈折率から理論的に光学シミュレーションしたパターン形状を得る。この設計結果に基づいて、電子線描画装置を使用して超微細パターン形状を製作する。具体的には、石英基板上に電子線描画用の感光性材料を塗布して、プリベークする。更に表面導電性処理を施し、電子線描画する。その後、現像、リンス処理、ドライエッチング処理を施し所望のパターンを形成する。この時のパターン深さは、設計深さよりも20%程度深く製作する。これを型として利用して凹凸形状を有するライン/スペースの波長板形状をもつマザー型を製作する。
このマザー金型を樹脂転写用の金型として用い、樹脂転写及びドライエッチングによって所望の製品基板に転写する。
製品基板として、基板実施例に示したような、SiO2又はSiの薄膜を表面と裏面に形成した石英ガラス基板を使用する。
次に、製品基板−樹脂間の密着性を大きくするために製品基板にシランカップリング処理を行なった。
(3)金型表面の洗浄
金型表面にキャロス洗浄を施し、続いてエキシマ処理を施した。
この実施例で使用する基板は、パイレックス(登録商標)ガラス材料である。この基板表面に真空蒸着法によってパイレックスと同様の組成を有する薄膜を成膜する。これは、薄膜形成方法の(基板実施例1)で示した方法で形成した。成膜する膜厚は、最も深さの深い領域Bの凹部深さを基準に決定する。その領域Bの凹部深さの約1.3倍の厚さのパイレックス材料膜を真空蒸着法で成膜した。
ナノプリントの工程は、実施例2と同様である。
実施例2のナノプリントのよる樹脂パターン形成後の後工程として以下の工程を実施する。
実施例2の(4−6)離型工程の後にドライエッチングを行なう例を説明する。つまり、実施例2では、製品基板材料上に樹脂層が残って、それが光学素子を形成しているが、この実施例3ではこの樹脂層を製品基板に全て転写するものである。これによって、波長板機能を有する光学素子面も製品基板材質と同じ材質になることによって、更に高い耐環境性(信頼性、耐温湿度性など)を有することが可能となる。
ドライエッチング処理は、樹脂層が付着している製品基板をチャンバー内に設置した後、チャンバー内を4.0×10-4Torr以下に排気した。その後、RIE(反応性イオンエッチング)装置の上部電極パワーを1250ワット、下部電極(RF)パワーを300ワットに設定し、CHF3ガスを17sccmの流量で供給して15秒間ドライエッチング処理を行なった。このドライエッチング処理により、製品基板がエッチングされて図4(A)に示される位相シフター光学素子が形成された。
図4(A)の位相シフター光学素子の寸法の一例を示すと、ライン/スペースパターン22の高さH1は2.4μm、ライン幅L1は275nm、ピッチP1は400nmである。しかし、これらの寸法も一例であり、これに限定されるものではない。
第3の局面に属する他の実施例を説明する。
本実施例による積層構造体は、基板、基板の表面における形状を備えた有機・無機ハイブリッド材料を含む層、及びその有機・無機ハイブリッド材料を含む層上に積層された、有機・無機ハイブリッド材料を含む他の層の形状を含む。本明細書において、積層構造体とは、基板に積層された(有機・無機ハイブリッド材料を含む層を含む)単数又は複数の層を含む三次元構造体を意味する。
有機・無機ハイブリッド材料は、以下の4つの基本官能基から構成されている。
(1)無機材料の―Si−(O−R)3基を基本としている。
つまり無機材料を構成するSi―O―Si構造を三次元化(ネットワーク骨格)の骨格とするガラス質である。この場合、3箇所のアルコキシル基の脱水縮合反応(加水分解・縮合反応)で三次元化構造が形成される。
(2)無機材料と有機材料と結合する働きを有する骨格基。
(3)有機材料の三次元化を構成し、有機高分子を構成する基。
(4)三次元化(ネットワーク骨格)を部分的に修正し、反応性を有しない基。
有機・無機ハイブリッド材料が、SiO2構造を骨格とするガラス質の材料であるため、有機・無機ハイブリッド材料の層を300℃程度の高い温度で加熱したとしても、有機・無機ハイブリッド材料の層は、熱変形を起こさず、高い耐熱性を有する。
すなわち、所望の周期的な形状を備えた有機・無機ハイブリッド材料を含む層を得るために、又は所望の周期的な形状を備えた基板を得ることを目的として、有機・無機ハイブリッド材料を含む層をエッチングする必要もない。よって、本実施例による積層構造体によれば、より容易に製造することが可能な積層構造体を提供することができる。また紫外線硬化特性を有する有機・無機ハイブリッド材料を使用することが可能であるので、安定な紫外線照射によるフォトパターニング構造の形成も可能である。
(1)第1の方法は次のように行なう。
2つの型を用意する。第1の型は位相シフトパターン4と開口制限用回折パターン6を同時に成型する型であり、第2の型は開口制限用回折パターン8を成型する型である。
基板2上に有機・無機ハイブリッド材料をインクジェットで円周状に必要量を塗出する。その後、第1の型を押し当て、その状態で紫外線を照射して有機・無機ハイブリッド材料を硬化させる。このとき、位相シフトパターン4の外側領域にも有機・無機ハイブリッド材料が薄く残る。
次に、位相シフトパターン4の外側領域に有機・無機ハイブリッド材料をインクジェットで円周状に必要量を塗出する。その後、第2の型を押し当て、その状態で紫外線を照射して有機・無機ハイブリッド材料を硬化させる。
2つの型を用意するが、今度は第1の型は位相シフトパターン4を成型する型であり、第2の型は開口制限用回折パターン6と開口制限用回折パターン8を同時に成型する型である。
基板2上に有機・無機ハイブリッド材料をインクジェットで円周状に必要量を塗出する。その後、第1の型を押し当て、その状態で紫外線を照射して有機・無機ハイブリッド材料を硬化させる。このとき、位相シフトパターン4の内側領域にも外側領域にも有機・無機ハイブリッド材料が薄く残る。
次に、位相シフトパターン4の内側領域と外側領域に有機・無機ハイブリッド材料をインクジェットで円周状に必要量を塗出する。その後、第2の型を押し当て、その状態で紫外線を照射して有機・無機ハイブリッド材料を硬化させる。
本実施例による製造方法は、有機・無機ハイブリッド材料に対して以下の工程を実施する。
(1)有機・無機ハイブリッド材料を塗出する段階:
予め製品基板表面に密着性向上表面処理を施した後、製品基板表面の中央に有機・無機ハイブリッド材料を定量塗出する。
(2)有機・無機ハイブリッド材料を含む層を形成する段階:
基板における少なくとも一つの方向に関して周期的な形状を反転した形状を備えた型を用いて、有機・無機ハイブリッド材料を含むように基板と型を位置合わせしながら近づけ、樹脂層厚さを制御する。型の表面には予め剥離処理を施しておく。
基板又は型のどちらか一方の透明材料側から、紫外線を照射して有機・無機ハイブリッド材料を硬化させ、型形状を転写し所定の目的構造を形成する。
(4)型を剥離する段階:
製品基板上樹脂表面と型表面間の界面から型を剥離する。
まず、基板の表面に有機・無機ハイブリッド材料を塗布して、有機・無機ハイブリッド材料を含む層を形成する段階において、有機・無機ハイブリッド材料を含む材料は、例えば、下記の化学構造を有する材料である。
まず、有機・無機ハイブリッド材料(屈折率:1.47の有機・無機ハイブリッド材料)を、希釈剤としてのPGMEAに溶解させて、有機・無機ハイブリッド材料溶液の粘度を調製した。そして、表面に密着性処理を施した石英基板上に、転写材料としての有機・無機ハイブリッド材料溶液をスピンナーで塗布して、有機・無機ハイブリッド材料層を形成した。その後、有機・無機ハイブリッド材料層が形成された石英基板を、80℃で1分間放置し、有機・無機ハイブリッド材料の層から希釈剤を揮発させ、有機・無機ハイブリッド材料の層の粘度を、ナノプリントすることが可能な粘度に調整した。
その後、型を剥離した。型は予め離型処理を施しているので容易に剥離することができた。
その結果、型の凹形状に対応した位相シフター凸形状を有するように、有機・無機ハイブリッド材料の層が硬化した。
上記工法で製作した位相シフター光学素子は、実施例1〜2記載の工法で製作した製品と同様の性能を発揮した。
実施例3の型を使用して、(基板実施例1)で製作した石英基板上に、実施例4と同じ材料(有機・無機ハイブリッド材料)を使用してナノプリントを実施した。この結果、可視光全域にわたってほぼ均一な波長板(1/4波長板)が製作できた。
本発明の製造方法は位相シフターを初めとして、微細な3次元表面構造をもつ物品を製作するために利用することができる。
4,24 薄膜
6 位相シフトパターン
7,8 開口制限用回折パターン
22,26 波長板のパターン
Claims (10)
- 均一な厚みの板状体にてなり、少なくとも一方の表面に微細構造を形成するための基板であって、
前記表面に堆積薄膜が形成されていることを特徴とする微細構造形成用基板。 - 前記薄膜は、前記表面とは反対側の裏面側の表面にもほぼ同じ膜厚で形成されている請求項1に記載の基板。
- 前記薄膜は、前記基板と同じ材質又は熱膨張係数がほぼ等しい材質により形成されている請求項1又は2に記載の基板。
- 微細表面構造をもつ物品を製造する方法であって、
(A)表面に微細形状をもつ金型の表面に硬化可能な転写材料を介して請求項1から3のいずれかに記載の基板からなる製品基板を押し当てて、前記金型の表面形状の反転形状を前記転写材料に転写する工程、
(B)前記転写材料を硬化させる工程、
(C)前記転写材料を前記製品基板に接合させた状態でその転写材料を前記金型から剥離させる工程、
(D)前記製品基板上の転写材料のうち、前記金型形状によらない不要転写材料部分を除去する工程、及び
(E)前記転写材料に転写された形状を前記製品基板に転写するドライエッチング工程、を順に備えていることを特徴とする製造方法。 - 前記物品は表面に微細な凹凸の繰返しパターンをもつ位相シフター光学素子である請求項4に記載の製造方法。
- 前記転写材料は、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂である請求項4又は5に記載の製造方法。
- 前記ドライエッチング工程は前記転写材料を一部残した状態で終了し、その後前記転写材料を選択的に除去する他の工程によりその残った転写材料を除去する請求項4、5又は6に記載の製造方法。
- 微細表面構造をもつ物品を製造する方法であって、
(A)表面に微細形状と平坦面をもつ金型の表面に硬化可能な転写材料を介して請求項1から3のいずれかに記載の基板からなる製品基板を押し当てて、前記金型の表面形状の反転形状を前記転写材料に転写する工程、
(B)前記転写材料を硬化させる工程、及び
(C)前記転写材料を前記製品基板に接合させた状態でその転写材料を前記金型から剥離させる工程、を順に備えていることを特徴とする製造方法。 - 前記転写材料は有機・無機ハイブリッド材料である請求項8に記載の製造方法。
- 請求項4から9のいずれかに記載の製造方法により製造された微細表面構造物品。
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