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JP2006346832A - ドリル、およびそのドリルを用いたワークへの穴加工方法 - Google Patents

ドリル、およびそのドリルを用いたワークへの穴加工方法 Download PDF

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JP2006346832A
JP2006346832A JP2005178795A JP2005178795A JP2006346832A JP 2006346832 A JP2006346832 A JP 2006346832A JP 2005178795 A JP2005178795 A JP 2005178795A JP 2005178795 A JP2005178795 A JP 2005178795A JP 2006346832 A JP2006346832 A JP 2006346832A
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JP
Japan
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drill
hole
shank
drill body
workpiece
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JP2005178795A
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Kazuaki Mori
一明 森
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Yamaha Motor Co Ltd
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Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】 鍛造品などワークの表面が粗面であるとしても、このワークに対し穴加工をする場合、この穴加工が容易に、かつ、安価にできるようにする。
【解決手段】 ドリル1は、ドリル本体4と、このドリル本体4の軸心5上に配置されてこのドリル本体4の基部と一体的に形成されるシャンク6とを備えている。ドリル本体4の直径D1よりもシャンク6の直径D2を大きくする。ドリル本体4のねじれ溝9に連続する他のねじれ溝17をシャンク6に形成し、他のねじれ溝17の底部をねじれ溝9とほぼ同形同大とする。シャンク6の軸方向各部横断面における他のねじれ溝17を除く外縁18を、軸心5を中心とする仮想円上に位置させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、深穴などの穴加工に先立って下穴の加工をするためのドリル、およびそのドリルを用いたワークへの穴加工方法に関するものである。
ワークに対しドリルにより穴加工をする場合には、一般に、マシニングセンタなどの工作機械を用いて、まず、短くて撓みの小さいドリルによりワーク表面の所望位置に下穴の加工がなされる。次に、この下穴に対し長いドリルの先端部を嵌入させ、このドリルにより、上記下穴に連続する他の穴が加工され、これにより、目的の穴加工がなされる。
ところで、上記ワークが鍛造品などであって、その表面が細かい多数の凹凸を有する粗面である場合には、下穴の加工をしようとして、上記ドリルを回転駆動させ、上記粗面にこのドリルの先端を圧接させると、このドリルの先端は粗面における凹部側に向かうよう滑動させられがちとなり、また、この際、このドリルは、上記粗面から径方向に向かう反力を受けて撓みを与えられがちとなる。このため、上記粗面における所望位置に下穴の加工を正確にすることは容易でなく、また、上記ドリルの回転状態での撓みにより、このドリルが容易に折損するおそれも生じる。
そこで、ワークの表面が粗面である場合には、従来、まず、第1工程として、エンドミルにより、上記粗面の所望位置に底面が平坦な浅い穴が加工される。この穴は、エンドミルの機能上、上記所望位置に正確に形成される。次に、第2工程として、上記穴の平坦な底面に、前記のように短いドリルにより下穴の加工がなされる。そして、第3工程として、上記下穴に連続するよう長いドリルにより他の穴が加工され、これにより、目的の穴加工がなされる。
しかし、上記した穴加工の作業では、第1−第3工程が必要とされて、工程数が多く、このため、この穴加工の作業が煩雑となっている。
そこで、上記した下穴の加工をしようとするとき、ワークの表面が粗面であるとしても、上記ドリルが撓まないようにするため、下記特許文献1に示される段付きドリルを用いることが考えられる(上記公報の図1(a)と、図2の符号1)。
上記段付きドリルは、小径ドリル本体と、この小径ドリル本体の軸心上に配置されてこの小径ドリル本体の基部に一体的に形成される大径ドリル本体と、上記軸心上に配置されて上記大径ドリル本体の基部に一体的に形成されるシャンクとを備えている。
そして、上記下穴の加工をする際には、上記小径ドリル本体が用いられるが、この場合、この小径ドリル本体は、大径ドリル本体により補強されていて十分の剛性が確保されている。このため、ワークの表面が粗面であるとしても、上記小径ドリル本体の先端を粗面に圧接させるとき、この小径ドリル本体は粗面からの反力に対抗し、撓むということが防止される。よって、この小径ドリル本体によりワークの表面における所望位置に正確に下穴の加工をすることができる。この結果、前記したエンドミルによる第1工程が不要になると考えられ、その分、穴加工がより容易にできることとなる。
特開2004−337997号公報
ところで、上記段付きドリルは、小径ドリル本体は勿論のこと、大径ドリル本体や、これら小径ドリル本体から大径ドリル本体への遷移部も切削能力を有している。しかし、上記下穴の加工は、上記小径ドリル本体が切削能力を有するだけで可能である。このため、上記段付きドリルは、下穴加工用のドリルとしては過大な能力を有していて、その成形が煩雑であり、かつ、高価である。この結果、上記段付きドリルを用いた穴加工は煩雑、かつ、高価になる、という問題点がある。
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、鍛造品などワークの表面が粗面であるとしても、このワークに対し穴加工をする場合、この穴加工が容易に、かつ、安価にできるようにすることである。
請求項1の発明は、ドリル本体4と、このドリル本体4の軸心5上に配置されてこのドリル本体4の基部と一体的に形成されるシャンク6とを備え、上記ドリル本体4の直径D1よりも上記シャンク6の直径D2を大きくしたドリルにおいて、
上記ドリル本体4のねじれ溝9に連続する他のねじれ溝17を上記シャンク6に形成し、上記他のねじれ溝17の底部を上記ねじれ溝9とほぼ同形同大とし、
上記シャンク6の軸方向各部横断面(図3)における上記他のねじれ溝17を除く外縁18を、上記軸心5を中心とする仮想円上に位置させたものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、上記ドリル本体4からシャンク6への遷移部20を、その直径が上記ドリル本体4側からシャンク6側に向かうに従い漸増するよう形成し、
上記遷移部20の軸方向各部横断面(図3中二点鎖線)における上記各ねじれ溝9,17を除く外縁21を、上記軸心5を中心とする仮想円上に位置させたものである。
請求項3の発明は、上記請求項1のドリル1を用いたワーク2への穴加工方法であって、
上記ワーク2に対し、上記ドリル本体4により下穴3の加工を開始し、上記遷移部20が上記ワーク2に当接したとき、もしくは、この当接以前に上記下穴3の加工を終了し、
次に、他のドリル36を上記下穴3に嵌入して、この下穴3に連続する他の穴37を上記ワーク2に加工し、更に他のドリル39を上記他の穴37に嵌入して、この他の穴37に連続する更に他の穴40を上記ワーク2に加工するようにしたものである。
請求項4の発明は、請求項3の発明に加えて、上記下穴3、他の穴37、および更に他の穴40の各内径が互いにほぼ同じとなるようにしたものである。
なお、この項において、上記各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
本発明による効果は、次の如くである。
請求項1の発明は、ドリル本体と、このドリル本体の軸心上に配置されてこのドリル本体の基部と一体的に形成されるシャンクとを備え、上記ドリル本体の直径よりも上記シャンクの直径を大きくしたドリルにおいて、
上記ドリル本体のねじれ溝に連続する他のねじれ溝を上記シャンクに形成し、上記他のねじれ溝の底部を上記ねじれ溝とほぼ同形同大とし、
上記シャンクの軸方向各部横断面における上記他のねじれ溝を除く外縁を、上記軸心を中心とする仮想円上に位置させている。
ここで、上記したように、ドリル本体とシャンクとは互いに一体的に形成されていて、上記ドリル本体は、これよりも直径の大きいシャンクにより補強されて十分の剛性が確保されている。
このため、穴加工時に、ワークの表面に圧接されたドリルのドリル本体が、その径方向に向かう反力を上記表面から受けたとしても、このドリル本体は上記反力に対抗し、撓むということが防止される。よって、このドリル本体によりワークの表面の所望位置に正確に下穴の加工ができ、この結果、穴加工時に、前記従来の技術で示したエンドミルによる第1工程は不要となり、その分、穴加工がより容易にできる。
そして、前記したように、ドリル本体のねじれ溝に連続する他のねじれ溝を上記シャンクに形成し、上記他のねじれ溝の底部を上記ねじれ溝とほぼ同形同大としている。
このため、第1に、上記ドリル本体による下穴の加工時のワークの切削屑は、上記シャンクに邪魔されることなく、ねじれ溝と他のねじれ溝とを順次通ってワークの表面の外方に円滑に排出させられる。よって、上記ドリル本体の長さを短くし、この長さを下穴の目的深さに近似させると、下穴の加工の完了直前には上記ワークの表面にシャンクが接近することになるが、このシャンクに邪魔されることなく、上記切削屑の排出は円滑になされて、上記ドリル本体による下穴の加工は円滑にできる。そして、上記したように、ドリル本体の長さを短くすると、このドリル本体の剛性を、より向上させることができて、下穴の加工時のドリル本体の撓みを、より防止できる。この結果、ワークの表面における所望位置への下穴の加工がより精度よくでき、また、この下穴の寸法精度も向上する。
また、第2に、下穴の加工を繰り返すことにより、上記ドリル本体の先端が消耗したときには、このドリル本体の先端の研磨により再生される。この研磨により、ドリル本体の長さは減少するが、上記シャンク側を研磨してドリル本体に新しい基部を生じさせれば、このドリル本体の長さの減少が防止される。そして、上記シャンク側の研磨によって生じるドリル本体の新しい基部には、上記他のねじれ溝の底部が現れることとなり、この底部は上記ねじれ溝とほぼ同形同大であるため、その後の下穴の加工においても、切削屑の排出は円滑に行なわれる。
また、前記したように、シャンクの軸方向での各部横断面における上記他のねじれ溝を除く外縁を、上記軸心を中心とする仮想円上に位置させている。
このため、上記ドリルのシャンクには、ドリル構造としての外周切刃、マージン、および逃げ面が存在せず、つまり、上記ドリルは段付きドリルと比べ、極めて簡単な構造で足りる。よって、このドリルの成形が容易、かつ、安価である分、穴加工がより容易、かつ、安価にできる。
請求項2の発明は、上記ドリル本体からシャンクへの遷移部を、その直径が上記ドリル本体側からシャンク側に向かうに従い漸増するよう形成している。
このため、上記ドリル本体からシャンクに向かってのドリルの径変化を緩やかにすることができて、上記遷移部における応力集中を小さく抑制でき、ドリルの折損を防止できる。
また、上記遷移部の軸方向各部横断面における上記各ねじれ溝を除く外縁を、上記軸心を中心とする仮想円上に位置させている。
このため、上記ドリルの遷移部には、ドリル構造としての外周切刃、マージン、および逃げ面が存在せず、つまり、上記ドリルは段付きドリルと比べ、極めて簡単な構造で足りる。よって、このドリルの成形が容易、かつ、安価である分、穴加工がより容易、かつ、安価にできる。
請求項3の発明は、上記請求項1のドリルを用いたワークへの穴加工方法であって、
上記ワークに対し、上記ドリル本体により下穴の加工を開始し、上記遷移部が上記ワークに当接したとき、もしくは、この当接以前に上記下穴の加工を終了し、
次に、他のドリルを上記下穴に嵌入して、この下穴に連続する他の穴を上記ワークに加工し、更に他のドリルを上記他の穴に嵌入して、この他の穴に連続する更に他の穴を上記ワークに加工するようにしている。
このため、上記種々のドリルを順次用いて深穴加工をする場合に、前記したように、ドリルによる下穴の加工が容易、かつ、精度よくできる分、上記深穴加工も容易、かつ、精度よくできる。
請求項4の発明は、上記下穴、他の穴、および更に他の穴の各内径が互いにほぼ同じとなるようにしている。
このため、軸方向の各部内径が互いにほぼ同じである深穴が加工される。そして、この深穴の加工時に、上記他のドリルにより他の穴を加工するとき、この他のドリルが撓もうとすることは上記下穴の内周面により防止される。また、上記更に他のドリルにより更に他の穴を加工するとき、上記更に他のドリルが撓もうとすることは上記他の穴の内周面により防止される。よって、上記他のドリルや更に他のドリルが撓むことにより容易に折損する、ということは防止される。この結果、上記深穴加工が円滑、かつ、容易にできる。
また、上記深穴におけるワークの表面近傍の内径と、上記深穴の最深部の内径とは互いにほぼ同じである。このため、最深部の内径を所望寸法にしようとする場合に、この深穴を加工するためのワークの表面における占有面積は、上記最深部の内径とほぼ同じ径の円形の面積で足りる。つまり、上記占有面積は深穴加工をする上で、必要最小面積で足りる。よって、ワークの表面における狭いところでも、上記形状の深穴の加工ができる。
本発明のドリルに関し、鍛造品などワークの表面が粗面であるとしても、このワークに対し穴加工をする場合、この穴加工が容易に、かつ、安価にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
即ち、ドリルは、ドリル本体と、このドリル本体の軸心上に配置されてこのドリル本体の基部と一体的に形成されるシャンクとを備え、上記ドリル本体の直径よりも上記シャンクの直径が大きくされている。
上記ドリル本体のねじれ溝に連続する他のねじれ溝が上記シャンクに形成され、上記他のねじれ溝の底部が上記ねじれ溝とほぼ同形同大とされている。また、上記シャンクの軸方向各部横断面における上記各ねじれ溝を除く外縁が、上記軸心を中心とする仮想円上に位置させられている。
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
図1−3において、符号1は、下穴加工用ドリルである。
上記ドリル1は、ワーク2の下穴3を加工可能とするドリル本体4と、このドリル本体4の軸心5上で、このドリル本体4に列状に配置されて、このドリル本体4の基部と一体的に形成されるシャンク6とを備えている。上記ドリル本体4の直径D1よりも上記シャンク6の直径D2が大きくなるよう形成されている。この場合、(1.4−2.0)D1=D2が好ましく、(1.6−1.8)D1=D2が、より好ましい。また、上記ドリル本体4の長さL1=下穴3の目的深さL2+約1mmが好ましく、下穴3の目的深さL2=(0.8−2.5)D1が好ましい。
図1,2において、上記ドリル本体4の外周面には2条のねじれ溝9が形成されている。上記ドリル1の回転方向Rを前方、これと反対方向を後方としたとき、上記ドリル本体4の先端面10における上記各ねじれ溝9の端部開口縁のうちの後縁が先端切刃11とされている。また、上記ドリル本体4の外周面における上記各ねじれ溝9の一対の開口縁のうちの後縁が外周切刃12とされている。
また、上記軸心5を中心として上記外周切刃12を通る仮想円上に位置し、この外周切刃12から後方に連なる幅狭のドリル本体4の外周部分がマージン13とされる。また、このマージン13と、このマージン13の後方に位置するねじれ溝9との間におけるドリル本体4の他の外周部分は、上記仮想円よりもわずかに小径の他の仮想円上に位置する逃げ面14とされている。
図1,3において、上記シャンク6には、上記ドリル本体4の各ねじれ溝9にそれぞれ連続する2条の他のねじれ溝17が形成されている。これら各他のねじれ溝17の底部は、上記ねじれ溝9とほぼ同形同大とされている。具体的には、ドリル本体4の横断面形状と、シャンク6のそれとを重ね合わせたとき、上記ねじれ溝9と、他のねじれ溝17の底部とがほぼ合致することとされ(図3中実線と一点鎖線)、かつ、上記ドリル1の軸方向におけるねじれのピッチが互いにほぼ同じ寸法とされている。
上記他のねじれ溝17が形成されたシャンク6の軸方向での各部横断面における上記他のねじれ溝17を除く外縁18は、上記軸心5を中心とする仮想円上に位置させられている。つまり、上記シャンク6には、上記ドリル本体4の外周切刃12、マージン13、および逃げ面14に相当するものは存在していない。
上記ドリル本体4からシャンク6への遷移部20は、その直径が上記ドリル本体4側から上記シャンク6側に向かうに従い漸増するよう形成されている。上記遷移部20の上記ドリル本体4側の直径は、このドリル本体4の基部の直径D1と同じとされ、シャンク6側の直径はこのシャンク6の直径D2と同じとされている。上記遷移部20は全体的に円錐台形状とされ、その頂角θは、60°−140°でよいが、上記ドリル1を軸方向でコンパクトにする一方、上記遷移部20での応力集中を防止する上で、80°−120°がより好ましい。なお、頂角θはほぼ180°であってもよく、つまり、上記軸方向の寸法がほぼ“零”の遷移部20が存在していてもよく、この場合、上記シャンク6における上記ドリル本体4側の端面は、上記軸心5にほぼ直交する。
上記遷移部20の軸方向各部横断面における上記各ねじれ溝9,17を除く外縁21は、上記軸心5を中心とする仮想円上に位置させられている(図3中二点鎖線)。
図1,4において、上記ワーク2は、自動車や、自動二輪車用エンジンを構成するクランク軸とされている。このクランク軸は、クランク軸心24上に配置され、ジャーナルとしてクランクケースに支持されるクランク主軸25と、このクランク主軸25から径方向外方に突設される複数のクランクアーム26と、これらクランクアーム26に架設される複数のクランクピン27とを備え、これら24−27は、鍛造により互いに一体的に形成されている。
上記クランク軸心24に交差する方向に向かって延び油路となる有底の穴29が形成されている。この穴29は、いわゆるワンジャーナルツーピンといわれるものであって、上記クランクアーム26の基部からクランクピン27、クランク主軸25、および他のクランクピン27を通るよう形成されている。また、上記穴29の開口端は金属製ボール30により埋栓されている。また、上記穴29を上記クランク主軸25および各クランクピン27の各外周面側にまで連通させる連通穴31が形成されている。
全図において、上記ドリル1を用いて上記ワーク2に対し、深穴である穴29を加工する穴加工方法につき説明する。
まず、上記ドリル1のシャンク6をマシニングセンタなど工作機械33の出力部(チャック)に固着し、上記ドリル1をその軸心5回りで上記回転方向Rに回転駆動させる。そして、上記ドリル1のドリル本体4の先端を上記ワーク2の表面の所望位置に圧接させ、上記下穴3の加工を開始する。この下穴3の加工が進行して、上記遷移部20がワーク2に当接する以前であって、ドリル本体4の長さL1=下穴3の目的深さL2+約1mmとなったとき、上記下穴3の加工を終了し、この下穴3から上記ドリル1を抜き出す。なお、上記遷移部20がワーク2に当接するまで、上記下穴3の加工を進行させてもよい。
次に、上記工作機械33により回転駆動される他のドリル36を上記下穴3に嵌入して、この下穴3に連続する他の穴37を上記ワーク2に加工し、この加工後、この他の穴37から上記他のドリル36を抜き出す。次に、上記工作機械33により回転駆動される更に他のドリル39を上記下穴3と他の穴37とに嵌入して、この他の穴37に連続する更に他の穴40を上記ワーク2に加工し、この加工後、この更に他の穴40から更に他のドリル39を抜き出す。これにより、上記穴29が加工される。
上記他のドリル36は、20Dドリルといわれるもので、その直径の20倍の長さを有している。また、上記更に他のドリル39は、30Dドリルといわれるもので、その直径の30倍の長さを有している。上記ドリル1のドリル本体4、他のドリル36、および更に他のドリル39の各直径は、互いにほぼ同じであってもよいが、この順序で、0.5−1.0%ずつ直径の値が漸減されている。このため、上記下穴3、他の穴37、および更に他の穴40の各内径は互いにほぼ同じとされるが、具体的には、この順序で0.5−1.0%ずつ内径の値が漸減させられる。
ここで、前記したように、ドリル本体4とシャンク6とは互いに一体的に形成されていて、上記ドリル本体4は、これよりも直径D2の大きいシャンク6により補強されて十分の剛性が確保されている。
このため、上記穴加工時に、ワーク2の表面に圧接されたドリル1のドリル本体4が、その径方向に向かう反力を上記表面から受けたとしても、このドリル本体4は上記反力に対抗し、撓むということが防止される。よって、このドリル本体4によりワーク2の表面の所望位置に正確に下穴3の加工ができ、この結果、穴加工時に、前記従来の技術で示したエンドミルによる第1工程は不要となり、その分、穴加工がより容易にできる。
そして、前記したように、ドリル本体4のねじれ溝9に連続する他のねじれ溝17を上記シャンク6に形成し、上記他のねじれ溝17の底部を上記ねじれ溝9とほぼ同形同大としている。
このため、第1に、上記ドリル本体4による下穴3の加工時のワーク2の切削屑は、上記シャンク6に邪魔されることなく、ねじれ溝9と他のねじれ溝17とを順次通ってワーク2の表面の外方に円滑に排出させられる。よって、上記ドリル本体4の長さL1を短くし、この長さL1を下穴3目的深さL2に近似させると、下穴3の加工の完了直前には上記ワーク2の表面にシャンク6が接近することになるが、このシャンク6に邪魔されることなく、上記切削屑の排出は円滑になされて、上記ドリル本体4による下穴3の加工は円滑にできる。そして、上記したように、ドリル本体4の長さL1を短くすると、このドリル本体4の剛性を、より向上させることができて、下穴3の加工時のドリル本体4の撓みを、より防止できる。この結果、ワーク2の表面における所望位置への下穴3の加工がより精度よくできる。
また、上記下穴3の寸法精度も向上する。このため、上記穴29の加工が完了した後、この穴29のうち、上記ドリル1により加工されたまま残された下穴3に対し、上記ボール30を圧入すれば、高精度の圧入寸法が得られて圧入締代が安定し、埋栓のシール性能が向上する。
また、第2に、下穴3の加工を繰り返すことにより、上記ドリル本体4の先端の先端切刃11が消耗したときには、このドリル本体4の先端の研磨により再生される。この研磨により、ドリル本体4の長さL1は減少するが、上記シャンク6側を研磨してドリル本体4に新しい基部を生じさせれば、このドリル本体4の長さL1の減少が防止される。より具体的には、上記したシャンク6側とは、遷移部20におけるドリル本体4側の端面、もしくは遷移部20が零のときは、シャンク6におけるドリル本体4側の端面に相当する。そして、上記シャンク6側の研磨によって生じるドリル本体4の新しい基部には、上記他のねじれ溝17の底部が現れることとなり、この底部は上記ねじれ溝9とほぼ同形同大であるため、その後の下穴3の加工においても、切削屑の排出は円滑に行なわれる。
また、前記したように、シャンク6の軸方向での各部横断面(図3)における上記他のねじれ溝17を除く外縁18を、上記軸心5を中心とする仮想円上に位置させている。
このため、上記ドリル1のシャンク6には、ドリル構造としての外周切刃12、マージン13、および逃げ面14が存在せず、つまり、上記ドリル1は段付きドリルと比べ、極めて簡単な構造で足りる。よって、このドリル1の成形が容易、かつ、安価である分、穴加工がより容易、かつ、安価にできる。
また、前記したように、上記ドリル本体4からシャンク6への遷移部20を、その直径が上記ドリル本体4側からシャンク6側に向かうに従い漸増するよう形成している。
このため、上記ドリル本体4からシャンク6に向かってのドリル1の径変化を緩やかにすることができて、上記遷移部20における応力集中を小さく抑制でき、ドリル1の折損を防止できる。
また、上記遷移部20の軸方向各部横断面(図3中二点鎖線)における上記各ねじれ溝9,17を除く外縁21を、上記軸心5を中心とする仮想円上に位置させている。
このため、上記ドリル1の遷移部20には、ドリル構造としての外周切刃12、マージン13、および逃げ面14が存在せず、つまり、上記ドリル1は段付きドリルと比べ、極めて簡単な構造で足りる。よって、このドリル1の成形が容易、かつ、安価である分、穴加工がより容易、かつ、安価にできる。
また、前記したように、上記請求項1のドリル1を用いたワーク2への穴加工方法であって、
上記ワーク2に対し、上記ドリル本体4により下穴3の加工を開始し、上記遷移部20が上記ワーク2に当接したとき、もしくは、この当接以前に上記下穴3の加工を終了し、
次に、上記ドリル本体4よりも長い他のドリル36を上記下穴3に嵌入して、この下穴3に連続する他の穴37を上記ワーク2に加工し、更に上記他のドリル36よりも長い他のドリル39を上記他の穴37に嵌入して、この他の穴37に連続する更に他の穴40を上記ワーク2に加工するようにしている。
このため、上記種々のドリル1,36,39を順次用いて深穴加工をする場合に、前記したように、ドリル1による下穴3の加工が容易、かつ、精度よくできる分、上記深穴加工も容易、かつ、精度よくできる。
また、上記したように、短いドリルから次第に長いドリルに替えて、順次深穴加工をするため、各ドリルによる穴の加工長は短く抑えられる。よって、各ドリルの穴加工時に生じる切削屑は、各ドリルのねじれ溝を通して円滑に排出される。この結果、各ドリルの折損など不都合の発生が防止されて、深穴の加工が円滑、かつ、容易にできる。
また、前記したように、下穴3、他の穴37、および更に他の穴40の各内径が互いにほぼ同じとなるようにしている。
このため、上記他のドリル36により他の穴37を加工するとき、この他のドリル36が撓もうとすることは上記下穴3の内周面により防止される。また、上記更に他のドリル39により更に他の穴40を加工するとき、上記更に他のドリル39が撓もうとすることは上記他の穴37の内周面により防止される。よって、上記他のドリル36や更に他のドリル39が撓むことにより容易に折損する、ということは防止される。この結果、上記深穴加工が円滑、かつ、容易にできる。
なお、以上は図示の例によるが、穴29は貫通孔であってもよい。また、穴29は、クランクアーム26の基部からクランクピン27、およびクランク主軸25を通るよう形成される、いわゆるワンジャーナルワンピンといわれるものでもよい。また、深穴加工においては、更に別の1本以上のドリルを用いて更に穴加工をしてもよい。
ドリルの全体側面図である。 図1のII−II線矢視断面図である。 図1のIII−III線矢視断面図である。 ワークの側面部分断面図である。 穴加工方法を説明する図である。
符号の説明
1 ドリル
2 ワーク
3 下穴
4 ドリル本体
5 軸心
6 シャンク
9 ねじれ溝
17 他のねじれ溝
18 外縁
20 遷移部
21 外縁
29 穴
36 他のドリル
37 他の穴
39 更に他のドリル
40 更に他の穴
D1 直径
D2 直径
R 回転方向
θ 頂角
L1 長さ
L2 目的深さ

Claims (4)

  1. ドリル本体と、このドリル本体の軸心上に配置されてこのドリル本体の基部と一体的に形成されるシャンクとを備え、上記ドリル本体の直径よりも上記シャンクの直径を大きくしたドリルにおいて、
    上記ドリル本体のねじれ溝に連続する他のねじれ溝を上記シャンクに形成し、上記他のねじれ溝の底部を上記ねじれ溝とほぼ同形同大とし、
    上記シャンクの軸方向各部横断面における上記他のねじれ溝を除く外縁を、上記軸心を中心とする仮想円上に位置させたことを特徴とするドリル。
  2. 上記ドリル本体からシャンクへの遷移部を、その直径が上記ドリル本体側からシャンク側に向かうに従い漸増するよう形成し、
    上記遷移部の軸方向各部横断面における上記各ねじれ溝を除く外縁を、上記軸心を中心とする仮想円上に位置させたことを特徴とする請求項1に記載のドリル。
  3. 上記請求項1のドリルを用いたワークへの穴加工方法であって、
    上記ワークに対し、上記ドリル本体により下穴の加工を開始し、上記遷移部が上記ワークに当接したとき、もしくは、この当接以前に上記下穴の加工を終了し、
    次に、他のドリルを上記下穴に嵌入して、この下穴に連続する他の穴を上記ワークに加工し、更に他のドリルを上記他の穴に嵌入して、この他の穴に連続する更に他の穴を上記ワークに加工するようにしたことを特徴とするワークへの穴加工方法。
  4. 上記下穴、他の穴、および更に他の穴の各内径が互いにほぼ同じとなるようにしたことを特徴とする請求項3に記載のワークへの穴加工方法。
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