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JP2006345156A - 光通信システムおよび光通信方法 - Google Patents

光通信システムおよび光通信方法 Download PDF

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JP2006345156A JP2005168102A JP2005168102A JP2006345156A JP 2006345156 A JP2006345156 A JP 2006345156A JP 2005168102 A JP2005168102 A JP 2005168102A JP 2005168102 A JP2005168102 A JP 2005168102A JP 2006345156 A JP2006345156 A JP 2006345156A
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Abstract

【課題】受信側で受信した光信号の精度劣化を改善した光通信システムおよび光通信方法を提供する。
【解決手段】送信装置2において、少なくともデータ信号の最大値および最小値を含む、異なる振幅の3つのパルスを有する参照信号を、データ信号に所定期間(または所定データ量)ごとに挿入し、受信装置3において、受信したその3つのパルスに基づいて、受信データ信号を補正することで、光ファイバ線90の伝送特性(非線形特性)を補償する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光量に応じた多値の光信号に基づいて通信を行う光通信システムおよび光通信方法に関する。
近年、デジタル放送やストリーミング映像配信などの普及により、家庭内においても高速通信技術が必要とされており、そのため光通信に関する技術開発が広く行われている。
たとえば、下記特許文献1には、送信側でデータ信号に付加された参照信号の振幅に基づき、受信側でそのデータ信号を振幅変調することで、高密度伝送を可能とする光信号のデータ伝送技術について開示されている。
特開2000−244586号公報
ところで、光通信を行う場合には、伝送系に伴う以下の要因から受信側における受信データの精度劣化が生じやすいが、上記特許文献1では、この精度劣化を改善させる技術は開示されていない。
(1)光ファイバにおける信号ロス
特に長距離通信の場合には、光ファイバによる伝送信号のロスが大きい。特にバースト信号の場合は、受信信号のレベルを一定値に制御することが困難である。
(2)光ファイバの物理的変化等
光信号の受信レベルは、温度変動のような比較的緩やかな環境変化によって変化し、また、光ファイバの曲げや引っ張りなどの物理的特性の変動によっても短期間で変化する。
本発明は、上述した観点によってなされたものであって、その目的は、受信側において受信した光信号の精度劣化を改善可能な光通信システムおよび光通信方法を提供することにある。
上記課題を克服するために、本発明の第1の観点は、送信装置と受信装置間で、光量に応じた多値の光信号に基づいて通信を行う光通信システムであって、前記送信装置は、データ信号のほか、前記多値のうち少なくとも最大値、最小値を含む所定の3値を有する参照信号を所定期間ごとに送信し、前記受信装置は、前記参照信号に基づいて、受信した前記データ信号のサンプリングのための同期をとるとともに、前記所定の3値に対応する受信光信号レベルによって、受信した前記データ信号を補正する光通信システムである。
上記課題を克服するために、本発明の第2の観点は、送信装置と受信装置間で、光量に応じた多値の光信号に基づいて通信を行う光通信方法であって、前記送信装置が、データ信号のほか、前記多値のうち少なくとも最大値、最小値を含む所定の3値を有する参照信号を所定期間ごとに送信する第1工程と、前記受信装置が、前記参照信号に基づいて、受信した前記データ信号のサンプリングのための同期をとる第2工程と、前記受信装置が、前記所定の3値に対応する受信光信号レベルによって、受信した前記データ信号を補正する第3工程と、を有する光通信方法である。
上記課題を克服するために、本発明の第3の観点は、送信装置と受信装置間で、光量に応じた多値の光信号に基づいて通信を行う光通信システムであって、前記送信装置は、第1基準クロックに基づいてデータ信号を生成して送信するとともに、前記第1基準クロックよりもデータレートが高速で、かつ、前記第1基準クロックによるサンプル値が同一の第1サンプル値となる複数パルスを含む参照信号を第1期間ごとに送信し、前記受信装置は、前記複数パルスのうち少なくとも1つのパルスに基づいて、当該複数パルスのサンプル値が前記第1サンプル値となる基準クロックであって、前記第1基準クロックと同一周波数の第2基準クロックを生成し、その第2基準クロックを受信した前記データ信号のサンプリングのための基準信号とする光通信システムである。
上記課題を克服するために、本発明の第4の観点は、送信装置と受信装置間で、光量に応じた多値の光信号に基づいて通信を行う光通信方法であって、前記送信装置が、第1基準クロックに基づいてデータ信号を生成して送信する第1工程と、前記送信装置が、前記第1基準クロックよりもデータレートが高速で、かつ、前記第1基準クロックによるサンプル値が同一の第1サンプル値となる複数パルスを含む参照信号を所定期間ごとに送信する第2工程と、前記受信装置が、前記複数パルスのうち少なくとも1つのパルスに基づいて、当該複数パルスのサンプル値が前記第1サンプル値となる基準クロックであって、前記第1基準クロックと同一周波数の第2基準クロックを生成する第3工程と、前記受信装置が、前記データ信号を受信する第4工程と、前記受信装置が、前記第2基準クロックによって受信した前記データ信号をサンプルする第5工程と、を有する光通信方法である。
本発明によれば、受信側で受信した光信号の精度劣化を改善させることができる。
以下、本発明の光通信システムの一実施形態を添付図面に関連付けて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る光通信システム1の構成を示す図である。
実施形態に係る光通信システム1は、送信すべきデータを生成するデータ処理装置4、データを送信する送信装置2、データを受信する受信装置3を含む。
データ処理装置4は、たとえばコンピュータ装置、画像生成装置など、所望のデジタルデータを生成する装置である。図1では、データ処理装置4は、かかるデジタルデータとしてシリアルデータDATAを生成し、送信装置2に送信する。本実施形態の光通信システム1では、シリアルデータDATAが、たとえばMAC(Media Access Control)フレーム形式で送信装置2に送信されるものとする。
また、データ処理装置4は、動作の基準となるクロック信号CLKを送信装置2に対して送信する。
送信装置2では、データ処理装置4から送信されたMACフレームのデータをLSBから順に8ビット単位で処理する。そして、その8ビット単位のデータを光電変換し、光信号を光ファイバ線90に送出する。この光信号は、光量(光強度)に応じた多値の信号である。
また、送信装置2は、データ処理装置4から取得したクロック信号CLKから自らの動作クロック信号CLK1を生成するとともに、このクロック信号CLK1に基づいて、MACフレームの処理、送信すべき各種信号の生成を行う。
なお、以下の説明では、データ処理装置4から取得した、送信すべきデータを光信号に変換したものをデータ信号と称する。送信装置2は、このデータ信号のほか、後述するように、自らのLD(レーザダイオード)パワー制御および受信側でのクロック再生のため、光信号としての参照信号を生成し、この参照信号をデータ信号に付加して受信装置3に送信する。
参照信号の間隔は、適宜設定することができるが、送信装置2〜受信装置3間のクロックずれの許容レベルや光ファイバ線90による損失の変動速度、温度変化に伴うLDパワーの変動速度に応じて、システム上必要な上限値が定まる。
受信装置3は、送信装置2から送出された光信号を受信するフォトダイオードを備える。
受信装置3では、送信装置2から受信した参照信号に含まれるパルスに基づいて、クロック信号CLK2を再生し、再生したクロック信号CLK2に基づいて受信したデータ信号のサンプリングを行う。
次に、送信装置2の具体的な構成について説明する。
図2は、送信装置2の回路構成の一例を示す図である。
図2に示すように、送信装置2は、シリアル・パラレル変換部21、LDパワー制御部22、電流制御部23、分解能設定部24、デジタル・アナログ変換器25、発光素子としてのレーザダイオードL1、モニタ用受光素子としてのフォトダイオードP2を有する。
シリアル・パラレル変換部21は、データ処理装置4から受信したMACフレームを8ビット単位で処理するために、クロック信号CLK1に同期させてシリアルデータDATAを8ビット(データD0〜D7)のパラレル信号に変換する。さらに、8ビットデータD0〜D7のレベルに応じた信号が電流制御部23に与えられる。
図2において、たとえばデータD7が「1」の場合には、信号S211が「Lレベル(ローレベル)」となり、信号S212が「Hレベル」となる。また、たとえばデータD7が「0」の場合には、信号S211が「Hレベル」となり、信号S212が「Lレベル」となる。他のデータD0〜D6についても同様である。
電流制御部23は、シリアル・パラレル変換部21の8ビット出力(データD0〜D7)に対応する電流がレーザダイオードL1に流れるように制御する制御回路230〜237と、レーザダイオードL1のバイアス電流を生成する電流制御回路238とによって構成される。
図2に示すように、それぞれデータD0〜D7に対応する電流制御回路230〜237は、同一の構成であるため、以下、電流制御回路237のみについてその構成を説明する。
電流制御回路237は、図2に示すように、プルアップ抵抗R1、エミッタコモンのトランジスタQ1およびQ2、定電流源としてのトランジスタQ3、オペアンプOP1、抵抗R2を有する。
データD7が「1」のときには、信号S211がLレベルとなり、信号S212がHレベルとなるため、トランジスタQ1がオフし、トランジスタQ2がオンする。したがって、定電流源であるトランジスタQ3のエミッタ電流にほぼ等しい電流を、レーザダイオードL1側からトランジスタQ2を介して引っ張ることになる。
データD7が「0」のときには、信号S211がHレベルとなり、信号S212がLレベルとなるため、トランジスタQ1がオンし、トランジスタQ2がオフする。したがって、レーザダイオードL1側から電流は引っ張らない。
データD7が「1」のときに定電流源であるトランジスタQ3のエミッタを流れる電流は、オペアンプOP1の入力端子の一方に設定される信号S7によって設定される。すなわち、オペアンプOP1の出力端子は、トランジスタQ3のベースを介して入力側にフィードバックされているので、釣り合い状態では、オペアンプOP1の入力端子の他方の電圧レベルは、信号S7と同等となり、エミッタ電流I7は(S7の電圧レベル)/R2となる。
分解能設定部24では、デジタル・アナログ変換器241と複数の演算増幅器242を含み、LDパワー制御部22によって生成される調整用信号Smodをアナログ信号S7に変換するとともに、そのアナログ信号S7の電圧レベルを順に1/2倍にしていく。これによって、信号S6,S5,…,S0が順に生成される。
つまり、S6=(1/2)×S7、S5=(1/2)×S6、S4=(1/2)×S5、S3=(1/2)×S4、S2=(1/2)×S3、S1=(1/2)×S2、S0=(1/2)×S1、となる。
前述したように、電流制御部23の各電流制御回路230〜237では、対応するデータD0〜D7が「1」のときに、信号S0〜S7の電圧レベルに応じた定電流I0〜I7が生成される。そして、上述した信号S7,S6,…,S0の設定によって、定電流I7,I6,…,I0は、順に電流値が1/2倍されたものとなる。
つまり、I6=(1/2)×I7、I5=(1/2)×I6、I4=(1/2)×I5、I3=(1/2)×I4、I2=(1/2)×I3、I1=(1/2)×I2、I0=(1/2)×I1、となる。
デジタル・アナログ変換器25は、LDパワー制御部22によって生成される一定のバイアス信号Sbiasをアナログ信号S8に変換する。
アナログ信号S8に応じて、電流制御部23の電流制御回路238は、定電流I8が生成される。この定電流I8は、シリアル・パラレル変換部21に入力されるシリアルデータDATAに依存せずに一定光量の光信号を確保するための電流である。
レーザダイオードL1には、電流制御部23の各電流制御回路を流れる定電流を積算した電流が流れる。すなわち、レーザダイオードL1に流れる電流IL1は、I0+I1+I2+I3+I4+I5+I6+I7+I8である。これによって、8ビットのパラレルデータD0〜D7に応じた多値の電流が発光素子としてのレーザダイオードL1を流れ、多値の光信号が送出される。
このように、送信装置2では、パラレルデータD0〜D7のビットごとに、各電流制御回路によってビットの重みが与えられ、振幅多重化された多値の光信号が光ファイバ線90に送出される。
フォトダイオードP2およびLDパワー制御部22は、LDパワー制御のためのフィードバックループを構成する。すなわち、レーザダイオードL1によって生成された光信号は、フォトダイオードP2によって受光され、光電変換されてLDパワー制御部22にフィードバックされ、その値に応じて調整用信号Smodが変更される。
LDパワー制御は、たとえば温度変化などの環境変化によって生ずるレーザダイオードの出力特性の変化を補償するために定期的に行う、送信装置2のキャリブレーション処理である。通常、LDパワー制御は、1秒〜10秒ごとの長い期間おきに行われる。
LDパワー制御が完了した後に、送出すべきデータ(8ビット単位のMACフレームのデータ)がシリアル・パラレル変換部21に与えられるが、そのときには、LDパワー制御部22の調整用信号Smodの信号レベルは固定され、フィードバックループが機能しない状態となる。
次に、送信装置2が送出する参照信号について説明する。
参照信号は、たとえばMACフレームの8ビット単位など所定のデータ単位のデータ信号に対して挿入されるが、その目的としてLDパワー制御と受信側でのクロック信号再生がある。
LDパワー制御は、前述したように、環境変化に対応するため1秒〜10秒ごとの長い期間おきに行えばよいが、受信側でのクロック信号再生は、光ファイバ線90にかかる曲げや引っ張りなどの物理的要因によって影響を受けるため、たとえばギガビット・イーサネット(登録商標)などの規格に対応した1ギガビット/秒の光信号では、100サンプルごとに1回(100ナノ秒に1回)等の非常に短い間隔で行う必要がある。
図3は、参照信号の一例を示す光信号波形図であって、(a)はLDパワー制御を行う場合、(b)はLDパワー制御を行わない場合、をそれぞれ示す。
図3に示すように、LDパワー制御を行う場合(図3(a))、特に電源投入時やリセット時にはレーザダイオードL1の出力が安定するまでに時間がかかり、その出力が安定した後にLDパワー制御を行うため、参照信号として長い期間を必要とする。一方、LDパワー制御を行わない場合には(図3(b))、参照信号は、受信装置3側でクロック信号を再生させるためのパルス(クロック再生のためには少なくとも1つあればよい)を含んでいれば足り、参照信号として長い期間を必要としない。
このように、参照信号は、送信タイミングに応じて信号期間が異なる信号となっている。
本実施形態に係る光通信システム1において、参照信号のさらなる目的は、受信側での光信号のキャリブレーションのためのベース信号を伝達することである。光信号は、光ファイバ線90の物理的要因(曲げ、引っ張り)に応じて影響を受ける伝送特性(非線形特性)の変化によって、送信した光信号の光量が同一であっても、受信側における光信号の受信レベルが大きく変化する場合がある。この変化を補償するために、受信側で受信レベルの調整を行う処理がキャリブレーションである。
本実施形態に係る光通信システム1では、参照信号は、伝送特性の非線形特性を補正するために、データ信号としての光信号の最大値および最小値を含む3値のパルスを有している。この3値に対応するデジタル値の選択は、通信プロトコル上、送信装置2〜受信装置3間で予め行っておく必要がある。
図4は、所定の3つのデジタル値に対応した3つのパルスを含む参照信号の波形例を示す図である。図4に示すように、3つのデジタル値に対応した振幅レベルa,b,cの3つのパルスを含む参照信号が受信装置3に伝達されて、データ信号の補正(キャリブレーション)のために利用される。
次に、受信装置3の具体的な構成について説明する。
図5は、受信装置3の回路構成の一例を示す図である。
図5に示すように、受信装置3は、受光素子としてのフォトダイオードP1、抵抗R3、バッファアンプ31、クロック再生部32、アナログ・デジタル変換器(ADC)33、データ調整部34を有する。
バッファアンプ31は、フォトダイオードP1および抵抗R3によって光電変換された信号を取り込み、アナログ信号S31を生成する。
クロック再生部32は、送信装置2から受信した参照信号に基づいて、送信装置2の動作クロック信号CLK1と同一のクロック信号CLK2を生成する。クロック再生部32では、クロック信号CLK1と同一周波数のクロック信号を生成するクロック発信器を備えており、参照信号に含まれる複数のパルスのうち少なくとも1つのパルスの立ち上がりエッジまたは立下りエッジに基づいて、クロック発信器が生成するクロック信号の位相を調整することで、クロック信号CLK1と同一のクロック信号CLK2を生成する。
アナログ・デジタル変換器33は、クロック再生部32よりクロック信号CLK2が与えられ、このクロック信号CLK2に基づいて、バッファアンプ31の出力アナログ信号S31をデジタル信号S33に変換する。
データ調整部34は、8ビット単位で振幅多重化された光信号(データ信号)に対応したデジタル信号S33をデコードして、元の8ビットデータD0〜D7に変換するとともに、変換したデジタルデータに対してキャリブレーションを行う。
キャリブレーションでは、参照信号に含まれる、キャリブレーションのためのベース信号(たとえば図4に示すような、振幅レベルa,b,cの3つのパルス)の受信レベル(アナログ・デジタル変換器33の出力デジタル値)と、予め通信プロトコルによって決められた3値のデジタル値とに基づいて、非線形の伝送特性を補正するための換算式が決定される。そして、データ調整部34は、この換算式によって、その後に受信するデータ信号のデジタル値を補正する。
3点に基づく換算式の決定方法は、多項式による補間法(たとえばスプライン補間法)など様々な方法を適用することができる。
次に、図6に関連付けて、参照信号に基づく光通信システム1の動作を説明する。
図6は、光通信システム1の動作を説明するためのタイミングチャートであって、(a)は送受信された光信号波形、(b)は光通信システム1の動作フェーズ、(c)は送信装置2の動作フェーズ、(d)は受信装置3の動作フェーズ、をそれぞれ示す。なお、図6(a)においては、送信した光信号と受信した光信号とに、通信遅れ等に伴う信号変化がないものと仮定している。
先ず、システムが時刻t0に起動した直後は、図6(a)に示すように、送信装置2のレーザダイオードL1の出力特性が不安定であり、その期間の送信信号に基づいて受信装置3がキャリブレーションを行わないように、待ち時間がプロトコル上設定される(図6(d))。
また、起動と同時に、送信装置2ではLDパワー制御が開始される。これによって、送信すべきデジタル信号に対して一定光量の光信号が送出されるように、レーザダイオードL1に流れる電流値が調整される。
参照信号は、時刻t1〜t3で送出されるが、送信装置2でLDパワー制御を行っている間でも、受信装置3は、クロック信号CLK2の同期再生を行うことができる。すなわち、受信装置3は、参照信号に含まれるパルスの立ち上がりエッジまたは立下りエッジを認識した時点でクロック再生を行う。
そして、図6(d)が示すように、待ち時間が経過すると、受信装置3ではキャリブレーションが行われる。図6(a)では図示していないが、参照信号は、図4に示したような、予めプロトコル上決められたデジタル値に対応して振幅レベルが異なる3つのパルスを有しており、受信装置3では、この3つのパルスに基づいて、データ信号の補正のための換算式を決定する。そして、時刻t3以降に送信されるデータ信号に対し、その換算式によって補正を行う。これによって、光ファイバ線90における非線形の伝送特性が補償される。
図6に示した参照信号は、たとえばギガビット・イーサネットなどの規格に対応した1ギガビット/秒の光信号では、100サンプルごとに1回(100ナノ秒に1回)等の非常に短い間隔で挿入され、受信装置3では、その都度、データ信号の補正が行われる。
以上説明したように、本実施形態に係る光通信システム1では、送信装置2において、少なくともデータ信号の最大値および最小値を含む、異なる振幅の3つのパルスを有する参照信号を、データ信号に所定期間(または所定データ量)ごとに挿入し、受信装置3において、受信したその3つのパルスに基づいて、受信データ信号を補正することで、光ファイバ線90の伝送特性(非線形特性)を補償する。
したがって、曲げや引っ張りなど短期間で変動する光ファイバ線90の物理変化などに対して、極めて短期間で追従してデータ信号を補正することができ、その結果、データ信号の精度を高く維持することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係る光通信システムは、第1の実施形態に係る光通信システム1と比較して、参照信号およびその参照信号を受信する受信装置に特徴がある。なお、本実施形態における光通信システムの構成は、第1の実施形態で説明した図1,2,5をそのまま適用することができる。
図7は、本実施形態に係る参照信号の波形を示す図である。図の矢印は、受信装置3側でのサンプリングのタイミングを示している。図7(a)および(b)は同じ参照信号波形であるが、サンプリングのタイミングが異なっている。
図7(a)に示すように、本実施形態における参照信号は、データ信号と比較してデータレートが高速のパルスとなっている。たとえば、図7(a)に示す例では、参照信号のデータレートは、データ信号の2倍となっている。さらに、図7(a)に示すように、この参照信号に対する受信装置3側でのサンプリング結果がすべて一定値(本発明の第1サンプル値)となるような複数パルスが設定される。図7(a)では、その一定値がデータ信号の最大値となっているが、これに限られず、一定であればいずれの値でもよい。
受信装置3は、かかる参照信号を受信して、図の矢印で示した周期のクロック信号CLK2を生成し、これによってアナログ・デジタル変換のためのサンプリングを行う。すなわち、クロック信号CLK2は、受信したパルス(参照信号)の立ち上がりエッジおよび立下りエッジの中間に立ち上がる(または立ち下がる)パルスとなる。
本実施形態において、受信装置3のクロック再生部32(図5参照)は、受信したパルスの立ち上がりエッジおよび立下りエッジのタイミングを捉え、これらのタイミングの間に立ち上がる(または立ち下がる)ように、内部のクロック発信器が生成するクロック信号の位相を調整することで、データ信号のサンプリングのためのクロック信号CLK2を再生する。
このようにして受信装置3側でクロック信号CLK2が完全に再生できた場合には、クロック信号CLK2(本発明の第2基準クロック)は、図7の矢印で示すタイミングで立ち上がり(または立ち下がり)、かつ、送信側のクロック信号CLK1(本発明の第1基準クロック)と同一周期のクロックとなる。
図7(b)は、受信装置3側のクロック発信器の特性変化や経時変化、伝送系の特性変化により、受信装置3側でのサンプリングのタイミングがずれた状態を示している。サンプリングがずれた状態では、サンプリング結果が図7(a)の場合と異なり、最大値から最小値へと変化する。これによって、受信装置3は、サンプリングがずれたことを認識する。なお、ずれた後のサンプリング結果は、図7(b)に示したようなデータ信号の最小値に限られず、ずれる前のサンプリング結果と異なる値になればよい。
本実施形態における参照信号は、データ信号と比較してデータレートが高速のパルスとしているのは、サンプリングがずれた状態でも、データ信号に対して誤サンプリングが発生するよりも早く、サンプリングずれを認識するためである。したがって、サンプリング定理に従う限り、参照信号のデータレートが高速であればあるほど少しのサンプリングずれを認識することができることになる。この場合、必要に応じて受信装置3側でのサンプリング周波数を上げなければならないことは言うまでもない。
サンプリングのずれを認識した場合には、受信装置3は、参照信号の再送信を要求するようにするか、または、参照信号の挿入間隔(送信間隔)を短くするように設定する。これによって、システム上サンプリングのずれを最小限に抑制することができる。
また、参照信号に対して所定回数サンプリングのずれを認識しない場合には、システム上参照信号の送信間隔を長くするように設定してもよい。これによって、受信装置3側で不要な参照信号を処理する手間が省ける。
以上説明したように、本実施形態に係る光通信システムによれば、受信装置3は、参照信号のサンプリングよって、データ信号に対する誤サンプリングが発生する前に自己のサンプリングのずれを認識することができ、必要な処置を講ずることができる。したがって、伝送系等に起因するサンプリングのずれ(クロックのずれ)に関わらず、データ信号の精度を高く維持することができる。
なお、本発明の実施形態は、上述した実施形態に拘泥せず、当業者であれば、本発明の要旨を変更しない範囲内で様々な改変が可能である。たとえば、実施形態に係る光通信方法は、光空間伝送にも適用することができる。
また、上記第1および第2の実施形態で述べた、参照信号およびその処理は、組み合わせて実現することができる。たとえば、第2の実施形態における高速なデータレートの参照信号に、キャリブレーション用のレベルの異なる3パルスを含めることができる。
実施形態に係る光通信システムの構成を示す図である。 実施形態における送信装置の回路構成の一例を示す図である。 参照信号の一例を示す光信号波形図である。 所定の3つのデジタル値に対応したパルスを含む参照信号の波形例を示す図である。 実施形態における受信装置の回路構成の一例を示す図である。 実施形態に係る光通信システムの動作を説明するためのタイミングチャートである。 他の実施形態に係る参照信号の波形を示す図である。
符号の説明
1…光通信システム、2…送信装置、21…シリアル・パラレル変換部、22…LDパワー制御部、23…電流制御部、24…分解能設定部、25…デジタル・アナログ変換器(DAC)、3…受信装置、31…バッファアンプ、32…クロック再生部、33…アナログ・デジタル変換器(ADC)、34…データ調整部、L1…レーザダイオード、P1,P2…フォトダイオード、4…データ処理装置、90…光ファイバ線。

Claims (7)

  1. 送信装置と受信装置間で、光量に応じた多値の光信号に基づいて通信を行う光通信システムであって、
    前記送信装置は、データ信号のほか、前記多値のうち少なくとも最大値、最小値を含む所定の3値を有する参照信号を所定期間ごとに送信し、
    前記受信装置は、前記参照信号に基づいて、受信した前記データ信号のサンプリングのための同期をとるとともに、前記所定の3値に対応する受信光信号レベルによって、受信した前記データ信号を補正する
    光通信システム。
  2. 送信装置と受信装置間で、光量に応じた多値の光信号に基づいて通信を行う光通信方法であって、
    前記送信装置が、データ信号のほか、前記多値のうち少なくとも最大値、最小値を含む所定の3値を有する参照信号を所定期間ごとに送信する第1工程と、
    前記受信装置が、前記参照信号に基づいて、受信した前記データ信号のサンプリングのための同期をとる第2工程と、
    前記受信装置が、前記所定の3値に対応する受信光信号レベルによって、受信した前記データ信号を補正する第3工程と、
    を有する光通信方法。
  3. 送信装置と受信装置間で、光量に応じた多値の光信号に基づいて通信を行う光通信システムであって、
    前記送信装置は、
    第1基準クロックに基づいてデータ信号を生成して送信するとともに、前記第1基準クロックよりもデータレートが高速で、かつ、前記第1基準クロックによるサンプル値が同一の第1サンプル値となる複数パルスを含む参照信号を第1期間ごとに送信し、
    前記受信装置は、
    前記複数パルスのうち少なくとも1つのパルスに基づいて、当該複数パルスのサンプル値が前記第1サンプル値となる基準クロックであって、前記第1基準クロックと同一周波数の第2基準クロックを生成し、その第2基準クロックを受信した前記データ信号のサンプリングのための基準信号とする
    光通信システム。
  4. 前記受信装置は、第2基準クロックを生成した後に新たな参照信号を受信したとき、当該第2基準クロックに基づいてその参照信号に含まれる複数パルスをサンプルし、すべて前記第1サンプル値とならないことを条件として、参照信号の送信間隔を前記第1期間よりも短くする
    請求項3記載の光通信システム。
  5. 前記受信装置は、第2基準クロックを生成した後に新たな参照信号を受信したとき、当該第2基準クロックに基づいてその参照信号に含まれる複数パルスをサンプルし、すべて前記第1サンプル値とならないことを条件として、参照信号の再送信を要求する
    請求項3記載の光通信システム。
  6. 前記受信装置は、第2基準クロックを生成した後に新たな参照信号を受信したとき、当該第2基準クロックに基づいてその参照信号に含まれる複数パルスをサンプルし、すべて前記第1サンプル値となる参照信号が所定回数連続したことを条件として、参照信号の送信間隔を前記第1期間よりも長くする
    請求項3記載の光通信システム。
  7. 送信装置と受信装置間で、光量に応じた多値の光信号に基づいて通信を行う光通信方法であって、
    前記送信装置が、第1基準クロックに基づいてデータ信号を生成して送信する第1工程と、
    前記送信装置が、前記第1基準クロックよりもデータレートが高速で、かつ、前記第1基準クロックによるサンプル値が同一の第1サンプル値となる複数パルスを含む参照信号を所定期間ごとに送信する第2工程と、
    前記受信装置が、前記複数パルスのうち少なくとも1つのパルスに基づいて、当該複数パルスのサンプル値が前記第1サンプル値となる基準クロックであって、前記第1基準クロックと同一周波数の第2基準クロックを生成する第3工程と、
    前記受信装置が、前記データ信号を受信する第4工程と、
    前記受信装置が、前記第2基準クロックによって受信した前記データ信号をサンプルする第5工程と、
    を有する光通信方法。
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