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JP2006342852A - 真空断熱材及びこれを用いた冷蔵庫 - Google Patents

真空断熱材及びこれを用いた冷蔵庫 Download PDF

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Abstract

【課題】
長期の断熱性能に優れた真空断熱材及びこれを含む断熱体、並びに真空断熱材を用いた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】
本発明の真空断熱材は、内袋21内に柔軟性を有する無機繊維の積層体が収納された芯材18と、この芯材18を収納し金属層と溶着層とを有する外包材19(24)とを備え、外包材19(24)と内袋21との間に吸着剤28を備えた構成とした。
【選択図】 図3

Description

本発明は断熱材として使用可能な真空断熱材及びこれを用いた冷蔵庫に関するものである。
近年、地球温暖化防止の観点から省エネルギーが強く望まれており、家庭用電化製品についても省エネルギー化は緊急の課題となっている。特に、冷蔵庫、冷凍庫では熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性能を有する断熱材が求められている。
一般的な断熱材として、グラスウールなどの繊維材やウレタンフォームなどの発泡体が用いられている。しかし、これらの断熱材の断熱性を向上するためには断熱材の厚さを増す必要があり、断熱材を充填できる空間に制限があって、省スペースや空間の有効利用が必要な場合には適用することができない。
そこで、高性能な断熱材として真空断熱材が提案されている。これは、スペーサの役割を持つ芯材を、ガスバリア性を有する外包材中に挿入し、内部を減圧にして封止した断熱材である。真空断熱材としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているように、芯材として、グラスウール等の繊維質材を有機系バインダーを用いて固め成形したものや、特許文献3に開示されているように、芯材を内袋に収納し、その内袋を圧縮・減圧し開口部を溶着密封して作る真空断熱材も提案されてきた。
特開平9−138058号公報 特開2004−52774号公報 特開平4−337195号公報
バインダーを利用して作る芯材は有機又は無機の繊維積層体を、有機又は無機のバインダーでボード状に固め、これをプレス等により定寸に切断加工して真空断熱材の芯材としているので形状の安定性は良い。しかし、特許文献1のように有機系のバインダーを使用すると、真空断熱材自体の長期的な断熱性能を考慮した場合、当該バインダーを用いて固化した芯材よりバインダー起因のガスが発生し、外包材内の圧力が減圧され、断熱性能の経時的悪化に繋がる可能性がある。
また、前述の断熱性能の経時的悪化を抑制するために投入する吸着材については、芯材が固化されているため、吸着材を芯材の上部か、あるいは中間部に設置するしかできず、芯材に柔軟性がないため、吸着材の形状が真空断熱材の完成状態においても表面に浮き出てしまい、凹凸が生じる問題があった。
特許文献2は、無機材料を用いたバインダーを使用することによってバインダーからの経時的な発生ガスを低減させているが、上記の凹凸の問題について考慮されたものではなく、また、バインダー自体が有する熱伝導性について解決するものではない。
これに対し、特許文献3に示されたものはバインダーの代わりに内袋を使って繊維状積層体を圧縮した後、減圧し、形を整え、芯材となし、これを外包材内に入れて真空断熱材としたものである。すなわち、特許文献3に示された真空断熱材は無機質ファイバマットをプラスチックフィルム製の内袋内に収納し、内袋内を圧縮−減圧−溶着密封したものを内部材(芯材)とし、さらに前記内部材(芯材)を収納部材(外包材)内に収納した後、内袋の密封を破壊し前記収納部材(外包材)内を減圧して溶着密封する真空断熱材である。
この特許文献3に記載の真空断熱材では、真空断熱材用コア材にグラスウールマットを用いることができ、従来、コア材として用いられていた発泡パーライト粉末無機質粉末等に比較し、断熱性能を著しく向上させることができるとしている。
この特許文献3に記載の製造法によれば、バインダーによる芯材を固化する工程を含んでいないため、断熱性能の経時劣化は少ない傾向にある。しかし、製造工程において、内部材たる芯材(すなわち、無機あるいは有機の繊維質材をプラスチックフィルム製の内袋内に収納し、内袋内を圧縮−減圧−溶着密封したもの)を収納部材(外包材)に収納する際に、内部材表面(内袋表面)に幾ばくかの水分が付着し、真空断熱材完成品となった後に、その水分により経時的に真空度を減じさせる要因となる可能性があり、断熱性能の悪化に繋がることがある。
また、従来の真空断熱材においては、外包材にアルミ箔を使った場合、ガスバリア性には優れているが、アルミニウム自体の熱伝導率が高い為外包材を通しての熱伝導(ヒートブリッジ)によって十分な断熱性能が得られないという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、長期の断熱性能に優れた真空断熱材及びこれを含む断熱体、並びに真空断熱材を用いた冷蔵庫を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の真空断熱材は、内袋内に柔軟性を有する無機繊維の積層体が収納された芯材と、この芯材を収納し金属層と溶着層とを有する外包材とを備え、前記外包材と前記内袋との間に吸着剤を備えた構成とした。
また、前記内袋は溶着部と通気部とを有し、前記外包材はその内部を減圧し溶着密封され、前記内袋内部に加え、前記外包材と前記内袋との間に吸着剤を位置させた構成とした。
さらには、前記外包材と前記内袋との間に位置させた吸着剤が、内袋に加工された吸着剤収納袋内に設置された構成とした。
また、上記の無機繊維の積層体として、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、またはシリカアルミナ繊維を用いることとした。
また、上記のいずれかに記載の真空断熱材に用いられる外包材を、金属箔層或いは金属蒸着層を省いた外袋とした。
また、本発明の冷蔵庫は、外箱と内箱とによって形成される断熱空間に上記の真空断熱材を配設したことを特徴としている。
本発明によれば、長期の断熱性能に優れた真空断熱材及びこれを含む断熱体、並びに真空断熱材を用いた冷蔵庫を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本実施例の冷蔵庫の縦断面図であり、図2は図1のA−A断面要部拡大図である。
これらの図に示すように、冷蔵庫本体1は上から冷蔵室2、野菜室3、第1の冷凍室4a、第2の冷凍室4bを有しており、これら各室の前面開口部を閉塞する扉5〜8を備えている。各符号5〜8はそれぞれ、冷蔵室扉、野菜室扉、第1の冷凍室扉、第2の冷凍室扉を示している。野菜室扉6、第1の冷凍室扉7、第2の冷凍室扉8は、引き出し式の扉で各々の部屋を構成する容器を扉引き出し時扉と伴に手前側に引き出す方式の冷蔵庫である。また、冷凍サイクルを備え、冷蔵庫本体1の背面底部に圧縮機9と、冷凍室背面側の冷却器10とを有する。冷却器10の上方には冷気ファン11が配設されて、冷気を各室へと送り、庫内を所定温度に冷却している。また、圧縮機9、冷却器10とともに凝縮器(図示せず)、キャピラリチューブ(図示せず)を伴なって冷凍サイクルを構成している。
冷蔵庫本体1の外郭を形成するのは箱体12である。この箱体12は外箱13と内箱14、断熱壁15等より構成されている。而して、外箱13と内箱14との間には真空断熱材16が配設されており、断熱壁15はこの真空断熱材16と発泡断熱材17とを備えて構成されている。発泡断熱材17はそれ自身が接着力を有する現場発泡のウレタンフォーム等の発泡断熱材である。また、真空断熱材16は先の発泡断熱材17より高い断熱性能を有するものとして作られている。
例えば、発泡断熱材17の熱伝導率を0.016W/mK程度とすれば、真空断熱材16はこれよりも低い熱伝導率とすることができ、本実施例の真空断熱材16の熱伝導率は、0.002W/mK程度に設定されている。
したがって、断熱壁の熱漏洩量面積を一定と仮定すれば、ウレタン等の発泡断熱材のみで形成した断熱壁厚さ寸法の約1/5から1/9程度の厚さ寸法を有する真空断熱材を用いることによって熱漏洩量を同程度とすることができる。しかし、真空断熱材のみで断熱壁を構成した箱体とすると、外箱13と内箱14とが一体化されず、箱体強度を十分に保つことができないので、本実施例では、それ自身に接着力を有するウレタン等の発泡断熱材17を用い、外箱13と内箱14とを接着、一体化することで箱体12の強度を保持している。なお、発泡断熱材17の壁厚さ寸法は5mmから20mm程度つまり、平均厚さ寸法を15mm程度とし、局部的な薄いところでもウレタン等の発泡断熱材17が充填出来る5mm以上を確保して、箱体12の強度が低下するのを防止している。
また、真空断熱材16の設置位置は、冷蔵庫の熱漏洩量の大きいところを重点的にカバーできる位置に配置して効果をあげている。そして、この真空断熱材16が冷蔵庫の断熱空間に示す割合は、60%以下に設定されている。換云すると、冷蔵庫の据付時の扉体を含む箱体高さ寸法がその幅寸法及び奥行より大きい場合は、冷蔵庫の高さ方向の両側壁内部と、背面壁内部と扉内部とにそれぞれ設けている。
そして真空断熱材の合計体積は、外箱13と内箱14によって形成される断熱空間体積の60%以下に設定し、熱漏洩量の低減と箱体強度の維持とが両立可能な箱体12としている。なお、真空断熱材16の合計体積を前記外箱13と内箱14とによって形成される空間体積の60%以上にすると、ウレタンフォーム等の発泡断熱材17が均一に充填できなくなり、発泡断熱材17中にボイドが発生して、その強度及び断熱性能を劣化させてしまう。また、真空断熱材の体積比率を上げていくと、冷却器10の配管や冷気ファン11の配線(図示せず)が真空断熱材16に当接してしまい、真空断熱材16を傷つける恐れが出てくる等の問題がある。
次に図3を用いて本実施例の真空断熱材16について説明する。図3は本実施例の真空断熱材を説明するための図であり、図3(a)は芯材にバインダーを含む無機繊維の積層体を用いている従来の真空断熱材を示すものであり、図3(b)及び図3(c)は芯材にバインダーを含まない無機繊維の積層体を用いている真空断熱材を示すものである。また、図3(d)は芯材にバインダーを含まない無機繊維の積層体を用い、また、外包材24を構成しているラミネート中にアルミ箔層を有しない真空断熱材を示すものである。
図3(a)〜(c)に示す真空断熱材16は芯材と熱溶着用のプラスチック層を有す金属箔ラミネートフィルム等から成る外包材19とを備えて構成されている。一般に使用されている図3(a)に示す従来の真空断熱材の芯材25はバインダーを使用して厚さ8〜15mmの板状に成形され、その端面はプレス等を使って切断されている。
図3(b)〜(d)については、芯材18は無機繊維の積層体20と内袋21とから構成されている。これらの芯材は図3(a)のようにバインダーを使用していないにも係わらず圧縮−減圧−溶着密封工程を経ることにより厚み形状に形成され真空断熱材の芯材となるものである。そして内袋21は厚さ20μmの材質ポリエチレンフィル等の合成樹脂フィルムから構成されている。なお、無機繊維の積層体20にはグラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維或いは本綿等の天然繊維が用いられている。
芯材18を外包材19(金属箔ラミネートフィルム)内に収納し、外包材19内を減圧−溶着密封すると図3の(b)或いは図3の(c)の如き真空断熱材が得られる。なお、外包材19は一般的にはプラスチック−金属箔ラミネートフィルムで構成されており、外包材19の開口部を溶着、密封する際には、このプラスチック部を溶して溶着するものである。なお、外包材19の構成は必ずしもこれらに限られるものではなく、例えば、金属箔層は、箔ではなく蒸着層としてもよい。また、外包材19の表面を保護するための保護層を別に設けてもよい。したがって、外包材19は溶着層、金属層とによって内部の真空度を維持しているということができる。
図3に示す各構成を比較する。図3の(a)に示す真空断熱材を冷蔵庫の断熱壁として使った場合、繊維材等より出る水分或いはガス等が長期間の使用時において対流空間27に溜って、空間27内を対流し熱の移動を行う。このとき、真空断熱材そのものの断熱性能の低下を招いてしまう。なぜなら、図3(a)に示す芯材25はバインダーによって固化されているため外殻部の形状追従性に劣り、外包材19内部を真空にしても空間27が形成されやすいからである。したがって、図3(a)の真空断熱材は、他の真空断熱材と比較して断熱性能の低下を招きやすい構成ということができる。
なお、図3中の符号28は吸着剤を示しており、この吸着剤28には例えば合成ゼオライトであるモレキュラーシーブ13x等や、不織布等に収納した生石灰(酸化カルシウム)等が使われている。そしてこの吸着剤28は芯材中から出る水分及びガス成分を吸着する。したがって、外包材19に収納する前に芯材18(無機繊維20)は十分乾燥されるものであるが、ガス及び水分を完全に取りきることはできない。一般に実施されているバインダーが有るタイプの芯材では、経年的に芯材からガス及び水分が抽出されるし、内袋式のバインダー無しタイプの芯材でも、無機繊維中の水分を乾燥により完全に取りきることはできない。また、内袋21を外包材19に挿入するまでの製造工程中に、内袋自体に水分が付着することも考えられる。
いずれの場合においても、十分な乾燥を行うには多大な時間が必要となることから、水分、ガス成分の100%の除去を試みることは製造上も得策ではない。このために吸着剤28が用いられるが、吸着剤28の吸着能力も無制限ではない。真空断熱材が冷蔵庫に組み込まれた場合には、例えば冷蔵庫の耐用年数の目安である10年の間、吸着剤28によって水分及びガス成分を除去し続けることには限界がある。したがって、上記した如く対流空間がガス及び水分の対流により熱が移動し、断熱性能の低下を招いてしまう。
図3(b)〜(d)に示す真空断熱材は、バインダーを使用しない芯材18を用いているため、バインダーから発生するガスを完全になくすことができるだけではなく、無機繊維が固化されていないために柔軟性を有し、外殻部の形状追従性がよく、真空引き後に対流空間が形成されにくい。したがって、図3(a)に示すような熱伝導を低減することができる。
次に、他の熱漏洩の原因となるヒートブリッジについて図4、図5を用いて説明する。ヒートブリッジは外包材を通しての熱伝導であり、外箱13側の熱が内箱14側に伝導される。
真空断熱材16自体は先にも記述した如く発泡断熱材17の数倍の断熱性能をもっているといわれているが、外包材19、特にアルミ箔等の金属層部分は断熱効果が小さい。通常、このアルミ箔部を通して熱が伝導されることをヒートブリッジと称している。
外包材19表面側の金属層は、図4、図5に示す如く外箱13に接触して配設される。したがって、外箱13の熱は耳部19aを経由して外箱13側の面19bから内箱14側の面19cに伝導される。
図4に示すように、本実施例では内袋21を有することによって、この内袋21の耳部21aが外包材の耳部19a内に位置するA部が形成され、このA部においては、各面側の外包材の金属層部同士の間に耳部21aが存在するため、熱伝導を幾分低減させることができる。しかし、内袋21よりも大きな外包材19を用いているために耳部21aが存在しない部分(B部)も同時に存在する。
したがって、図5に示すように耳部19a、21aを折り曲げて真空断熱材16を使用する場合にはヒートブリッジの低減効果は小さくなってしまう。
そこで、このヒートブリッジの影響を小さくするため、外包材にアルミ箔等の金属層部分を保持させないラミネート構成を採用したもので作製した真空断熱材の例が図3(d)である。
以上のような図3に示した(a)〜(d)の真空断熱材を用いて、次の実施例に示すとおり、それぞれについて熱伝導率を作成時の初期値から、10年間放置相当まで加速試験を実施した際の10年相当値まで測定した。また、各サンプルを冷蔵庫を模して鉄板に貼り付けた後、一定の箱体の一面に設置して箱体内を冷却し、その際の熱漏洩量を測定することから、ヒートブリッジも加味した断熱性能(熱漏洩量)も同時に測定した。それぞれの実施例の結果を図6及び図7に示す。なお、熱伝導率は英弘精機社製、HC−071を用いて測定する。図6及び図7に示す各グラフ(a)〜(d)は、図3(a)〜(d)の各構成にそれぞれ対応している。
(a)については、熱伝導率の初期値は低く良好であるが、経時的に劣化していき、10年経過相当時では検討品の中では最も悪い数値となった。これは、芯材にバインダー成分が含まれているため、経年的に芯材からガス成分や水分が抽出し、真空断熱材内の真空度の低下を引き起こしたためと考えられる。熱漏洩量についても同様に経年的に悪化していく傾向である。
(b)については、熱伝導率は初期では(a)とほぼ同等であるが、10年経過相当時では低い状態を保っている。これは、芯材にバインダー成分を含まないため、芯材から発生するガス成分や水分が最小限でおさまっているためと考えられる。熱漏洩量についても、(a)と同様に劣化はするが、絶対値は(a)よりは良好であった。また劣化カーブも(a)よりも緩やかに推移した。
(c)については、熱伝導率は初期こそ(a)と比較すると若干高いが、10年経過相当時では最も低い数値となった。熱漏洩量についても、最も低い数値で推移しており、劣化カーブも最も緩やかになった。初期の熱伝導率が(a)(b)より高いのは、外包材と内袋の間に設置した吸着剤自身が持込んだ水分による影響であると考えられる。例えば吸着剤の管理をより厳重にしたり、使用前に再度乾燥することにより、初期の悪化分は改善できる。
(d)については、熱伝導率はやや高い数値で推移するが、鉄板に貼り付けての熱漏洩量については初期値は検討品中では抜群の数値となった。これは、外包材にアルミ箔成分が無いため、ヒートブリッジが軽減されたためだと考えられる。しかし、経年的にはやや鋭いカーブで劣化していき、最終的には(a)と(b)の中間程度の数値となった。これは、アルミ箔成分が無いため、経年的にフィルムを通して外部からガスや水分が入りやすくなっていたためであると考えられる。
以上の各実施例に示すように、吸着剤28を外包材と内袋との間に位置させることにより、真空断熱材製造工程で、内袋内に脱気された状態の芯材を外包材内に投入するまでの段取り時に付着する水分やガス成分を、吸着剤によって除去し得る可能性が高くなり、水分やガス成分の発生による真空断熱材内の圧力低下が抑制され、経時的な熱伝導率劣化が少なくなる。
従来、吸着剤は有機あるいは無機からなる芯材からなる真空断熱材中において経時的に発生するガスや水分、あるいは外部から外包材表面や溶着部より侵入してくるガスや水分を除去する目的で設置されてきた。なぜなら、これらのガスや水分によって真空断熱材中の圧力が低下し、断熱性能の悪化に繋がるからである。
しかし、芯材をバインダーを含まない状態とし、内袋内に保持する形態を採用することにより、それまで影響を受けていたバインダー起因のガスや水分が無くなったことから、経時的な断熱性能の劣化は抑制方向にあった。但し、この製法の場合、内袋21に保持した状態の芯材(内部材)を外包材に挿入し真空引きを実施するまでの間、例えば内袋表面に水分が付着し、その付着した水分が真空断熱材となったあと内部圧力の低下に寄与し、断熱性能の劣化に繋がる可能性がある。
また、内袋自体も有機物質であることから、経年的に有機ガスを供出することが考えられ、真空断熱材となったあと内部圧力の低下に寄与し、経年的な断熱性能の劣化に繋がる可能性がある。
この時、外包材と内袋の間に吸着剤を設置することにより、内袋外側に付着した水分或いは内袋が起因となり排出されるガス等を吸着し、経年的な断熱性能の劣化を抑制することが可能となる。
また、内袋21に吸着剤収納部を設け、外包材と内袋との間に位置させた吸着剤を、内袋に加工された吸着剤収納部内に設置することにより、真空断熱材製作時において振動等で吸着剤がずれてフィルム溶着部に噛み込む等の不良を阻止することが可能となる。これにより、吸着剤の形状もシート状のものから粒状、微粉体状のものまで多岐にわたり使用可能となる。特に吸着剤収納部を袋状の収納袋となるように加工すれば、製作時の取扱性も良好である。
また、バインダーレスの芯材19を用いることによって、芯材19表面の柔軟性も得られるため、様々な形状の吸着剤を用いることができる。
また、無機繊維積層体としてグラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維としたものであるから、無機繊維の積層体は再利用ができることは勿論、環境保全に貢献できる。
さらに、外箱と内箱とによって形成される断熱空間に上述の真空断熱材を配設したものであるから、従来の対流空間を通しての熱移動を押えることができ、効率の良い真空断熱材付冷蔵庫が得られる。
さらには、内袋の外側に吸着材を設置することにより吸着能力の向上を図ることから、外包材の金属箔層を削除可能とし、外包材を通しての熱伝導(ヒートブリッジ)の低減かつ外包材のコスト低減を可能とした。
本実施例の冷蔵庫の縦断面図である。 図1の要部A−A断面拡大図である。 各真空断熱材の比較説明図である。 真空断熱材の詳細を示す説明図である。 真空断熱材を外箱に配設した図である。 真空断熱材の加速試験による熱伝導率の推移の説明図である。 真空断熱材の加速試験による熱漏洩量の推移の説明図である。
符号の説明
1…冷蔵庫本体、12…箱体、13…外箱、14…内箱、15…断熱壁、16…真空断熱材、17…発泡断熱材、18…芯材、19…外包材、20…無機繊維の積層体、21…内袋、28…吸着剤。

Claims (6)

  1. 内袋内に柔軟性を有する無機繊維の積層体が収納された芯材と、この芯材を収納し金属層と溶着層とを有する外包材とを備え、前記外包材と前記内袋との間に吸着剤を備えた真空断熱材。
  2. 前記内袋は溶着部と通気部とを有し、前記外包材はその内部を減圧し溶着密封され、前記内袋内部に加え、前記外包材と前記内袋との間に吸着剤を位置させた請求項1記載の真空断熱材。
  3. 前記外包材と前記内袋との間に位置させた吸着剤が、内袋に加工された吸着剤収納袋内に設置されたことを特徴とする請求項1又は2記載の真空断熱材。
  4. 無機繊維の積層体としてグラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、またはシリカアルミナ繊維とした請求項1乃至3のいずれかに記載の真空断熱材。
  5. 前記外包材は、金属箔層或いは金属蒸着層を省いた外袋であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の真空断熱材。
  6. 外箱と内箱とによって形成される断熱空間に真空断熱材を配設してなる冷蔵庫に、請求項1乃至5のいずれかに記載の真空断熱材を配設したことを特徴とする冷蔵庫。
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