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JP2006232789A - 経口製剤用組成物及びその製造方法 - Google Patents

経口製剤用組成物及びその製造方法 Download PDF

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JP2006232789A
JP2006232789A JP2005053996A JP2005053996A JP2006232789A JP 2006232789 A JP2006232789 A JP 2006232789A JP 2005053996 A JP2005053996 A JP 2005053996A JP 2005053996 A JP2005053996 A JP 2005053996A JP 2006232789 A JP2006232789 A JP 2006232789A
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macrolide antibiotic
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preparation according
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Masaya Hizaki
雅也 樋崎
Kenji Nozawa
健児 野沢
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Sawai Pharmaceutical Co Ltd
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Sawai Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

【課題】 マクロライド系抗生物質を含有していても、苦味などの不快な味をマスキングでき、かつ薬効成分の溶出性も高い経口製剤用組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくともマクロライド系抗生物質で構成された粉粒状組成物が、pH非依存型水不溶性ポリマー及び胃溶性ポリマーで構成されたポリマー組成物により被覆されている経口製剤用組成物において、前記pH非依存型水不溶性ポリマーと前記胃溶性ポリマーとの割合(重量比)を、pH非依存型水不溶性ポリマー/胃溶性ポリマー=1/1〜1/20に調整する。前記pH非依存型水不溶性ポリマーは、例えば、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース類など)や(メタ)アクリル系重合体などであってもよい。前記マクロライド系抗生物質は、例えば、クラリスロマイシンなどの14員環系化合物であってもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質を含有する経口製剤用組成物及びその製造方法に関する。
クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質は、連鎖球菌咽頭炎や肺炎球菌肺炎などの抗生物質として繁用されている。しかし、マクロライド系抗生物質は、苦味などの不快な味を呈するため、特に、小児用として使用される場合などには、不快な味をマスキングして利用されている。そこで、このようなマクロライド系抗生物質の不快な味をマスキングするための方法が提案されている。
例えば、特開平6−116138号公報(特許文献1)には、熱溶融した低融点物質(ステアリルアルコールやグリセリンステアリン酸エステルなど)に、胃溶性高分子化合物とマクロライド系構成物質などの塩基性薬物とを分散させて得られる複合体、糖アルコール及び塩基性酸化物を配合した経口製剤用組成物が開示されている。また、WO96/34628号公報(特許文献2)には、マクロライド系抗生物質などの不快な味を呈する薬物、胃溶性高分子化合物及びβ結晶形のモノグリセリドからなる経口投与用組成物が開示されている。
しかし、これらの組成物では、いずれも低融点物質である脂肪酸又はそのエステルなどが使用されているため、熱安定性が低下するとともに、臭気が発生する。また、低融点物質を使用するため、製造条件を厳密にコントロールしなければならず、取扱いにくい。さらに、脂肪酸成分を含有しているため、水への分散性が低く、水への分散性が要求される用途、例えば、ドライシロップ剤には適していない。
また、特開2004−315424号公報(特許文献3)には、賦形成分と混合した苦味を有する薬物を顆粒全体の重量を基準にして2〜40%のエチルセルロースを結合剤として造粒してなる苦味を低減した速放性薬物含有顆粒が開示されている。しかし、この顆粒では、薬物の苦味を充分にマスキングできないため、苦味を高度にマスキングしなければならない用途、例えば、小児用製剤などには使用できない。
さらに、特開昭57−58631号公報(特許文献4)には、胃液および腸液に不溶性の高分子被覆剤または腸溶性の高分子被覆剤と、胃溶性の高分子被覆剤または水溶性の高分子被覆剤とを有してなる被覆用組成物が開示されている。この文献には、胃液および腸液に不溶性の高分子被覆剤または腸溶性の高分子被覆剤と、胃溶性の高分子被覆剤または水溶性の高分子被覆剤との比率が、100:5〜50であることが記載され、実施例では、塩酸ドキシサイクリン、アンピシリン、セファレキシンなどの薬物が被覆されている。しかし、この被覆用組成物で薬物を被覆すると、薬物の溶出性が低くなり、徐放製剤の挙動を示すため、速放性製剤には不向きである。
特開平6−116138号公報(請求項1、段落番号[0012]〜[0014]、実施例) WO96/34628号公報(請求項1、実施例) 特開2004−315424号公報(請求項1、実施例) 特開昭57−58631号公報(特許請求の範囲第1〜2項、実施例)
従って、本発明の目的は、マクロライド系抗生物質を含有していても、苦味などの不快な味をマスキングでき、かつ薬効成分の溶出性も高い経口製剤用組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、マクロライド系抗生物質を含有していても、熱安定性が高く、臭気の発生が抑制され、生産性や加工性などの取扱い性にも優れる経口製剤用組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、pH非依存型水不溶性ポリマーと胃溶性ポリマーとを特定の割合で組み合わせたポリマー組成物によりマクロライド系抗生物質を被覆することにより、マクロライド系抗生物質を含有していても、苦味などの不快な味をマスキングでき、かつ薬効成分の溶出性も高いことを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の経口製剤用組成物は、少なくともマクロライド系抗生物質で構成された粉粒状組成物が、pH非依存型水不溶性ポリマー及び胃溶性ポリマーで構成されたポリマー組成物により被覆されている経口製剤用組成物であって、前記pH非依存型水不溶性ポリマーと前記胃溶性ポリマーとの割合(重量比)が、pH非依存型水不溶性ポリマー/胃溶性ポリマー=1/1〜1/20である。前記pH非依存型水不溶性ポリマーは、例えば、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース類など)や(メタ)アクリル系重合体などであってもよい。前記pH非依存型水不溶性ポリマーと前記胃溶性ポリマーとの割合(重量比)は、pH非依存型水不溶性ポリマー/胃溶性ポリマー=1/1.5〜1/15程度である。前記粉粒状組成物は、マクロライド系抗生物質と、結合剤、賦形剤、崩壊剤、コーティング剤などの添加剤とで構成されていてもよい。前記マクロライド系抗生物質は、例えば、クラリスロマイシンなどの14員環系化合物であってもよい。前記ポリマー組成物の割合は、粉粒状組成物100重量部に対して、例えば、1〜150重量部程度である。経口製剤用組成物の平均粒径は、例えば、30〜300μm程度である。
本発明には、前記経口製剤用組成物を含むドライシロップ剤も含まれる。
また、本発明には、少なくともマクロライド系抗生物質で構成された粉粒状組成物を、前記ポリマー組成物により被覆する前記経口製剤用組成物の製造方法も含まれる。この製造方法において、前記粉粒状組成物としては、マクロライド系抗生物質と、結合剤、賦形剤、崩壊剤、コーティング剤などの添加剤と、溶媒とを用いて造粒した粉粒状組成物(特に、マクロライド系抗生物質と、前記添加剤と、溶媒とを含む造粒物を乾燥後、粉砕した粉粒状組成物)を用いてもよい。
また、本発明には、マクロライド系抗生物質の苦みをマスキングする方法であって、少なくともマクロライド系抗生物質で構成された粉粒状組成物を、前記ポリマー組成物により被覆する方法も含まれる。
さらに、本発明には、前記経口製剤用組成物を流動層造粒法によってドライシロップ化するドライシロップ剤の製造方法であって、賦形剤を含む水系分散液を噴霧して造粒するドライシロップ剤の製造方法にも含まれる。
本発明では、水不溶性ポリマーと胃溶性ポリマーとを特定の割合で組み合わせたポリマー組成物によりマクロライド系抗生物質を被覆しているため、苦味などの不快な味をマスキングでき、かつ薬効成分の溶出性も高い。さらに、油脂などの低融点成分を含んでいないため、熱安定性が高く、臭気の発生が抑制され、生産性や加工性などの取扱い性にも優れる。
本発明の経口製剤用組成物は、少なくともマクロライド系抗生物質で構成された粉粒状組成物が、pH非依存型水不溶性ポリマーと胃溶性ポリマーとを特定の割合で組み合わせたポリマー組成物により被覆されている。
[粉粒状組成物]
粉粒状組成物は、少なくともマクロライド系抗生物質で構成されており、特に、マクロライド系抗生物質と、結合剤、賦形剤、崩壊剤、コーティング剤などの添加剤とで構成されていてもよい。
(マクロライド系抗生物質)
マクロライド系抗生物質としては、例えば、14員環系化合物(エリスロマイシン、エチルコハク酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシンなど)、15員環系化合物(アジスロマイシンなど)、16員環系化合物(アセチルスピラマイシン、ジョサマイシン、プロピオン酸ジョサマイシン、キタサマイシン、アセチルキタサマイシン、酒石酸キタサマイシン、ミデカマイシン、酢酸ミデカマイシン、ロキタマイシンなど)などが挙げられる。なお、これらのマクロライド系抗生物質は、生理学的又は薬理学的に許容される塩や、エステルなどの誘導体(プロドラッグ)、光学異性体などであってもよい。これらのマクロライド系抗生物質は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の経口製剤用組成物は、これらのマクロライド系抗生物質のうち、エリスロマイシンやクラリスロマイシンなどの14員環系化合物、特に、苦味の強いクラリスロマイシンに用いると有効である。
(添加剤)
前記マクロライド系抗生物質は、流動性や付着性を向上させる点から、結合剤、賦形剤、崩壊剤、コーティング剤などの薬理学的に許容可能な添加剤と組み合わせて用いるのが好ましい。
結合剤としては、慣用の結合剤、例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、日本曹達(株)製、HPC−L)、カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、結晶セルロース・カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、旭化成(株)製、アビセルRC)、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、α化デンプンなどが挙げられる。これらの結合剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、トウモロコシデンプンなどのデンプン類、乳糖、粉糖、グラニュー糖、ブドウ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらの賦形剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
崩壊剤としては、例えば、カルメロースカルシウム(例えば、ニチリン化学(株)製、ECG505)、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム(例えば、FMC社製、アクジゾル)、架橋化ポリビニルピロリドン(例えば、BASF社製、コリドンCL)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、信越化学(株)製、L−HPC)、デンプン類などが挙げられる。これらの崩壊剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
コーティング剤としては、例えば、後述するpH非依存型水不溶性ポリマー、胃溶性ポリマーなどが挙げられる。これらのコーティング剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの添加剤のうち、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース類など)、賦形剤(トウモロコシデンプンなどのデンプン類、マンニトールなど)、コーティング剤(エチルセルロースなどのセルロースエーテル類、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体など)が好ましい。
これらの添加剤の割合は、マクロライド系抗生物質100重量部に対して、1〜300重量部程度の範囲から選択でき、通常、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、さらに好ましくは20〜100重量部(特に25〜40重量部)程度である。
粉粒状組成物は、さらに、薬理学的に許容可能な慣用の他の添加剤、例えば、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウムなど)、流動化剤又は帯電防止剤(例えば、軽質無水ケイ酸など)、界面活性剤(例えば、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンヒマシ油誘導体などの非イオン系界面活性剤など)、着色剤(例えば、タール色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタンなど)、矯味剤[例えば、甘味剤(ショ糖、乳糖、マンニトール、キシリトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオシドなど)、香料など]、湿潤剤[例えば、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、グリセリン、プロピレングリコールなど]、充填剤、増量剤、吸着剤、防腐剤などの保存剤、緩衝剤、崩壊延長剤などを含んでいてもよい。これら慣用の他の添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの成分は、特に、最終製剤中の含量に制限はない。
粉粒状組成物の平均粒径は、例えば、5〜100μm、好ましくは5〜70μm、さらに好ましくは5〜50μm(特に7〜30μm)程度である。
(粉粒状組成物の調製方法)
粉粒状組成物の調製方法としては、乾式造粒法であってもよいが、通常、マクロライド系抗生物質と、結合剤、賦形剤、崩壊剤などの添加剤と、溶媒とを用いて造粒する方法が用いられる。このような造粒法は、慣用の湿式造粒方法、例えば、押出造粒法、転動造粒法、流動層造粒法、混合・攪拌造粒法、噴霧乾燥造粒法、振動造粒法などであってもよいが、マクロライド系抗生物質、前記添加剤及び溶媒を含む造粒物を乾燥後、粉砕して整粒する方法を好ましく用いることができる。このような方法は、造粒物を粉砕して用いるので、用いるマクロライド系抗生物質の粒度に制限はなく、安価に微粒子製剤を製造することができる。
造粒物の調製において、マクロライド系抗生物質と前記添加剤と溶媒との混合方法としては、例えば、マクロライド系抗生物質と前記添加剤と溶媒とを一括して混合する方法であってもよく、マクロライド系抗生物質に、前記添加剤の一部を混合した後、残部の添加剤を含む溶液と混合してもよい。
マクロライド系抗生物質と前記添加剤と溶媒とを混合、造粒する方法としては、慣用の方法及び装置を使用できる。造粒物は、通常、乾燥後、粉砕される。粉砕には、アトマイザー(サンプルミル、ハンマーミルなど)、ピンミル、ジェットミル、ボールミルなど、通常、医薬品の粉砕に用いられる粉砕機を使用できる。
溶媒としては、特に制限されないが、水や低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノールなどのC1-4アルコールなど)、脂肪族ケトン(例えば、アセトンなど)又はこれらの混合溶媒が汎用され、安全性の面から、特に、水及び/又はエタノール(例えば、エタノールや、水とエタノールとの混合溶媒など)が好ましく使用できる。溶媒の割合は、マクロライド系抗生物質と前記添加剤との合計100重量部に対して、例えば、1〜200重量部程度の範囲から選択でき、通常、3〜100重量部、好ましくは5〜70重量部、さらに好ましくは10〜50重量部(特に15〜40重量部)程度である。
[経口製剤用組成物]
本発明の経口製剤用組成物は、前記粉粒状組成物がpH非依存型水不溶性ポリマー及び胃溶性ポリマーで構成されたポリマー組成物により被覆されている。
(pH非依存型水不溶性ポリマー)
pH非依存型水不溶性ポリマーには、セルロース誘導体[セルロースエーテル類(例えば、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、エチルプロピルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロースなどのセルロースアルキルエーテル類、ベンジルセルロースなどのセルロースアラルキルエーテル類、シアノエチルセルロースなどのセルロースシアノアルキルエーテル類など)、セルロースエステル類(例えば、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネートなどのセルロース脂肪酸エステル類、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどのセルロース芳香族カルボン酸エステル類など)など]、(メタ)アクリル系重合体[例えば、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル単量体など)の単独または共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体(ビニルエステル系単量体、N,N−ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、複素環式ビニル系単量体、重合性不飽和ジカルボン酸又はその誘導体などのビニル系単量体)との共重合体]が含まれる。
これらのうち、pH非依存型水不溶性ポリマーは、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース類)及び(メタ)アクリル系重合体から選択された少なくとも一種で構成されてもよい。また、pHによる溶解性の変化が少ない点から、エチルセルロース類、セルロースアセテートブチレート及び(メタ)アクリル系重合体から選択された少なくとも一種、特にエチルセルロース類及び(メタ)アクリル系重合体から選択された少なくとも一種が望ましい。エチルセルロース類としては、例えば、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、エチルプロピルセルロース等が例示され、これらのうち、特にエチルセルロースが好ましく使用できる。(メタ)アクリル系重合体としては、商品名オイドラギットRSPO、オイドラギットNE30D、オイドラギットRS30D、オイドラギットRL30Dなどが、デグサジャパン(株)より輸入発売されている。これらのうち、オイドラギットRSPOが好ましく使用できる。
(胃溶性ポリマー)
胃溶性ポリマーとしては、胃内における酸性下(pH5以下)で溶解するポリマーであれば特に限定されない。特に好ましい胃溶性ポリマーとしては、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体が、商品名オイドラギットE100、オイドラギットEPOとして、輸入発売元であるデグサジャパン(株)より入手でき、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートが、商品名AEAとして、三共(株)より入手できる。
これらの胃溶性ポリマー単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、オイドラギットE100、オイドラギットEPOが特に好ましい。
pH非依存型水不溶性ポリマーと胃溶性ポリマーとの割合(重量比)は、例えば、pH非依存型水不溶性ポリマー/胃溶性ポリマー=1/1〜1/20程度の範囲から選択でき、通常、1/1.5〜1/15、好ましくは1/1.5〜1/10、さらに好ましくは1/1.5〜1/8(特に1/1.5〜1/5)程度である。両者の割合がこの範囲にあると、苦味などの不快な味のマスキングと、薬効成分の高い溶出性とを両立することができる。
このようなポリマー組成物にも、前記粉粒状組成物の項で例示した添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤も単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、最終製剤中の含量に制限はない。
この組成物において、ポリマー組成物の割合は、粉粒状組成物100重量部に対して、例えば、1〜300重量部程度の範囲から選択でき、例えば、1〜150重量部、好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは20〜80重量部(特に、30〜60重量部)程度である。
経口製剤用組成物の平均粒径は、例えば、30〜300μm、好ましくは40〜250μm、さらに好ましくは50〜200μm(特に60〜150μm)程度である。被覆前後における粉粒体組成物の平均粒径の比は、例えば、被覆前の平均粒径/被覆後の平均粒径=1/1.1〜1/50、好ましくは1/1.5〜1/30、さらに好ましくは1/2〜1/20(特に1/3〜1/10)程度である。
[経口製剤用組成物の製造方法]
本発明の経口製剤用組成物は、前記粉粒状組成物を前記ポリマー組成物でコーティングすることにより製造することができる。本発明では、通常、ポリマー組成物及び溶媒で構成された溶液を用いてコーティングする。
ポリマー組成物を含む溶液は、特に制限されないが、水及び低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノールなどのC1-4アルコール)、脂肪族ケトン(アセトン)又はこれらの混合溶媒を用いた溶液、安全性の面から、特にエタノール溶液が好ましく使用できる。溶液中のポリマー組成物の濃度は、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、さらに好ましくは3〜15重量%(特に5〜10重量%)程度の範囲から選択できる。
コーティング方法としては、流動層コーティング機、転動コーティング機、転動流動コーティング機、パンコーティング機などを用いたコーティング方法が適用でき、これらのうち流動層コーティング機を用いたコーティング方法が好ましい。
なお、ポリマー組成物によるコーティングは粉粒状組成物の表面に行うが、特に全表面を被覆することが好ましい。
本発明の製造方法においては、このように、環境に優しい溶媒が使用され、かつ製造工程も単純で簡易に経口製剤用組成物を製造することができる。
[ドライシロップ剤]
本発明の経口製剤用組成物は、各種の経口製剤に対して利用できる。経口製剤は、少なくとも前記経口製剤用組成物を含んでいればよく、例えば、丸剤、液剤、散剤、トローチ剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤などの各種経口製剤であってもよい。これらの経口製剤の中でも、本発明の経口製剤用組成物は高いマスキング性及び溶出性を有するため、ドライシロップ剤として利用するのが特に有効である。
ドライシロップ剤は、少なくとも経口製剤用組成物で構成すればよく、経口製剤用組成物をさらに造粒した顆粒状製剤であってもよい。顆粒状製剤には、経口製剤用組成物に加えて、さらに薬理学的に許容可能な前記添加剤が含まれていてもよい。顆粒状製剤に含まれる添加剤は、前記添加剤の中でも、特に、賦形剤(マンニトール、酸化マグネシウムなど)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロースなど)、崩壊剤(カルメロースナトリウムなど)、帯電防止剤(軽質無水ケイ酸など)、甘味剤(サッカリンナトリウムなど)、湿潤剤(マクロゴールなど)、着色剤(タール色素など)などが好ましい。
これらの添加剤の割合は、経口製剤用組成物100重量部に対して、賦形剤10〜1000重量部(好ましくは50〜500重量部、さらに好ましくは100〜400重量部)、結合剤1〜200重量部(好ましくは3〜100重量部、さらに好ましくは5〜50重量部)、帯電防止剤0〜10重量部(特に0.1〜5重量部)、甘味剤0〜5重量部(特に0.05〜3重量部)、湿潤剤0〜10重量部(特に0.1〜5重量部)、着色剤0〜10重量部(特に0.1〜5重量部)程度である。
顆粒状製剤の製造方法としては、経口製剤用組成物と、賦形剤及び/又は結合剤などの添加剤とを用いた慣用の造粒法、例えば、前記粉粒状組成物の項で例示された造粒法などが挙げられる。本発明では、これらの造粒法のうち、経口製剤用組成物と添加剤(賦形剤、結合剤、甘味剤など)とを予め流動層造粒機で流動混合し、添加剤(賦形剤、結合剤、甘味剤など)を含む水系分散液を噴霧して造粒する流動層造粒法が好ましい。具体的には、経口製剤用組成物と、少なくとも賦形剤を含む添加剤とを予め流動層造粒機で流動混合し、少なくとも賦形剤を分散させた水系分散液を噴霧して造粒してもよい。賦形剤としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール類、白糖やトレハロースなどの少糖類、トウモロコシデンプンなどのデンプン類などが挙げられる。これらの賦形剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの賦形剤のうち、マンニトールなどの糖アルコール類や白糖が好ましい。噴霧する水系分散液中においては、賦形剤と結合剤(ヒドロキシプロピルセルロースなど)とを組み合わせてもよく、両者の割合(重量比)は、例えば、賦形剤/結合剤=100/0〜1/99、好ましくは99.99/0.01〜10/90、さらに好ましくは99.9/0.1〜30/70(特に99/1〜50/50)程度である。噴霧する水系分散液中には、さらに甘味剤が含まれていてもよい。甘味剤としては、例えば、サッカリン又はサッカリンナトリウム、アスパルテームなどの人工甘味料などが挙げられる。甘味剤の割合は、種類により異なるが、例えば、賦形剤100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部程度である。本発明では、流動層造粒機で予め経口製剤用組成物と賦形剤とを混合し、かつ噴霧する溶媒にも賦形剤を分散させることにより、経口製剤用組成物が充分に添加剤で被覆され、強固に造粒できる。造粒後には、さらに乾燥し、分級や篩により分別してもよい。
本発明は、連鎖球菌咽頭炎や肺炎球菌肺炎などの抗生物質であるマクロライド系抗生物質(クラリスロマイシンなど)を含有する経口製剤用組成物として利用でき、苦味などの不快な味をマスキングできるため、ドライシロップ剤などの小児用製剤として特に有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
まず、クラリスロマイシンを含有する粉粒状組成物を、以下の製造例に記載されているようにして調製し、得られた粉粒状組成物のコーティングにおける操作性を評価した。
製造例1
クラリスロマイシン2034g、トウモロコシデンプン366g、エチルセルロース200g及びヒドロキシプロピルセルロース200gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製、FS−GS−10、アジテーター300rpm)で混合した後、精製水及びエタノールの混合溶媒(精製水/エタノール=1/1(重量比))750gを添加して攪拌造粒を行った。その後、パワーミルにて湿式整粒し、乾燥した後、サンプルミル(不二パウダル(株)製、スクリーン径φ1.5mm)で粉砕し、クラリスロマイシンを含有する粒状組成物Aを得た。その平均粒径は約12μmであった。
製造例2
クラリスロマイシン2034g、トウモロコシデンプン300g、エチルセルロース60g、胃溶性ポリマー(オイドラギットEPO)200g及びヒドロキシプロピルセルロース200gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製、FS−GS−10、アジテーター300rpm)で混合した後、精製水及びエタノールの混合溶媒(精製水/エタノール=1/1(重量比))610gを添加して撹拌造粒を行った。その後、パワーミルにて湿式整粒し、乾燥した後、サンプルミル(不二パウダル(株)製、スクリーン径φ1.5mm)で粉砕し、クラリスロマイシンを含有する粉粒状組成物Bを得た。その平均粒径は約15μmであった。
製造例3
クラリスロマイシン101.7g、トウモロコシデンプン30g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース30g及びD−マンニトール100gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製、FS−MINI、アジテーター300rpm)で混合した後、精製水及びエタノールの混合溶媒(精製水/エタノール=1/1(重量比))75gを添加して撹拌造粒を行った。その後、パワーミルにて湿式整粒し、乾燥を行った後、サンプルミル(不二パウダル(株)製、スクリーン径φ1.5mm)で粉砕し、クラリスロマイシンを含有する粉粒状組成物Cを得た。その平均粒径は約20μmであった。
製造例4
クラリスロマイシン101.7g、トウモロコシデンプン15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース10g、胃溶性ポリマー(オイドラギットEPO)10g及びエチルセルロース3gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製、FS−MINI、アジテーター300rpm)で混合した後、精製水及びエタノールの混合溶媒(精製水/エタノール=1/1(重量比))36gを添加して撹拌造粒を行った。その後、パワーミルにて湿式整粒し、乾燥を行った後、サンプルミル(不二パウダル(株)製、スクリーン径φ1.5mm)で粉砕し、クラリスロマイシンを含有する粉粒状組成物Dを得た。その平均粒径は約14μmであった。
製造例5
クラリスロマイシン203.4g及びエチルセルロース60gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製、FS−MINI、アジテーター300rpm)で混合した後、精製水及びエタノールの混合溶媒(精製水/エタノール=1/1(重量比))91gを添加して撹拌造粒を行った。その後、パワーミルにて湿式整粒し、乾燥を行った後、サンプルミル(不二パウダル(株)製、スクリーン径φ1.5mm)で粉砕し、クラリスロマイシンを含有する粉粒状組成物Eを得た。その平均粒径は約14μmであった。
製造例6
クラリスロマイシン200g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース60gをハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製、FS−MINI、アジテーター300rpm)で混合した後、精製水及びエタノールの混合溶媒(精製水/エタノール=1/1(重量比))91gを添加して撹拌造粒を行った。その後、パワーミルにて湿式整粒し、乾燥を行った後、サンプルミル(不二パウダル(株)製、スクリーン径φ1.5mm)で粉砕し、クラリスロマイシンを含有する粉粒状組成物Fを得た。その平均粒径は約27μmであった。
[粉粒状組成物のコーティング操作性]
得られた粉粒状組成物A〜Fは、クラリスロマイシン原薬を高分子添加剤で造粒又は修飾(改質)して用いているので、クラリスロマイシン粉末の流動性や付着性が改善されて、後述するコーティングの操作が容易であった。一方、クラリスロマイシン粉末(平均粒径約9μm)100gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度60℃)に仕込み、コーティングした場合は付着性があり、流動性が悪く、コーティング操作が困難であった。
得られた粉粒状組成物を用いて、以下の方法で、ドライシロップ剤を調製した。なお、得られたドライシロップ剤の評価方法を以下に示す。
[苦味の服用試験]
健康な成人男性3名に各検体0.5gを服用させ、苦味の官能試験を行った。
[苦味の簡易試験]
摩損度試験器(富山産業(株)製、TFT−120、ドラム直径φ30cm)のドラム外周に10mLスピッツ管(栓付)をテープで固定し、スピッツ管に約37℃の精製水を9mL入れる。その中に各検体0.5gを入れ、スピッツ管に栓をした後、摩損度試験器を25rpmで30秒間回転させる。その後、PVDFフィルター(WHATMAN社製、孔径0.45μm)でろ過後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてクラリスロマイシンの溶出量を測定した。クラリスロマイシンの溶出量が多いほど苦味が強い傾向にある。
[溶出試験]
日本薬局方14局の溶出試験方法に準じて試験を実施し、90分後の溶出率をHPLCを用いて測定した。さらに、参考規格(90分後の溶出率が75%以上)と比較して、溶出性を評価した。
各検体量:0.5g
試験液:pH5.5 McIlvaine緩衝液
パドル回転数:50rpm。
[粒度分布]
篩での分級により粒度分布を求めた。
実施例1
粉粒状組成物A504gを流動層造粒機(パウレック(株)製、MP−01流動層仕様、給気温度40℃)に仕込み、胃溶性ポリマー(オイドラギットE100)241.2g及びエチルセルロース57.6g(混合比4.2:1)を含有するエタノール溶液を約4.3g/分で噴霧することにより、コーティングを約13時間行った。コーティング終了後、30号ステンレス篩で分級後に軽質無水ケイ酸3.6gを添加した。得られた微粒子製剤の平均粒径は約100μmであった。
次に、このクラリスロマイシン微粒子製剤224g、D−マンニトール207g、カルメロースナトリウム10g及び酸化マグネシウム10gを流動層造粒機(パウレック(株)製、MP−01流動層仕様、給気温度40〜50℃)に仕込み、D−マンニトール515g、ヒドロキシプロピルセルロース20g及びサッカリンナトリウム10gを精製水に分散した液を約11g/分で噴霧することにより造粒した。造粒終了後、乾燥し、22号ステンレス篩で分級及び篩過した粒状物に軽質無水ケイ酸3g及び微量の香料を添加してドライシロップ剤を製造した。このドライシロップ剤について評価した結果を表1に示す。さらに、このドライシロップ剤の粒度分布を測定した結果を表2に示す。
得られたドライシロップ剤について、造粒物の状態を顕微鏡で写真(60倍)を撮影した結果を図1に示す。図1の結果から、このドライシロップ剤は均一に造粒されている。
実施例2
粉粒状組成物B503gを流動層造粒機(パウレック(株)製、MP−01流動層仕様、給気温度40℃)に仕込み、胃溶性ポリマー(オイドラギットE100)181.4g及びエチルセルロース121g(混合比3:2)のエタノール溶液を約3.8g/分で噴霧することにより、コーティングを約17時間行った。コーティング終了後、30号ステンレス篩で分級後に軽質無水ケイ酸3.6gを添加した。得られた微粒子製剤の平均粒径は約80μmであった。
次に、このクラリスロマイシン微粒子製剤224.7g、D−マンニトール57.3g、カルメロースナトリウム10g及び酸化マグネシウム10gを流動層造粒機(パウレック(株)製、MP−01流動層仕様、給気温度40〜50℃)に仕込み、D−マンニトール664g、ヒドロキシプロピルセルロース20g及びサッカリンナトリウム10gを精製水に分散した液を約11g/分で噴霧することにより造粒した。造粒終了後、乾燥し、22号ステンレス篩で分級及び篩過した粒状物に軽質無水ケイ酸3g及び微量の香料を添加してドライシロップ剤を製造した。このドライシロップ剤について評価した結果を表1に示す。
実施例3
粉粒状組成物B503gを流動層造粒機(パウレック(株)製、MP−01流動層仕様、給気温度40℃)に仕込み、胃溶性ポリマー(オイドラギットE100)242g及びエチルセルロース60.4g(混合比4:1)のエタノール溶液を約4.3g/分で噴霧することによりコーティングを約14時間行った。コーティング終了後、30号ステンレス篩で分級後に軽質無水ケイ酸3.6gを添加した。得られた微粒子製剤の平均粒径は約75μmであった。
次に、このクラリスロマイシン微粒子製剤224.7g、D−マンニトール57.3g、カルメロースナトリウム10g及び酸化マグネシウム10gを流動層造粒機(パウレック(株)製、MP−01流動層仕様、給気温度40〜50℃)に仕込み、D−マンニトール664g、ヒドロキシプロピルセルロース20g及びサッカリンナトリウム10gを精製水に分散した液を約11g/分で噴霧することにより造粒した。造粒終了後、乾燥し、22号ステンレス篩で分級及び篩過した粒状物に軽質無水ケイ酸3g及び微量の香料を添加してドライシロップ剤を製造した。このドライシロップ剤について評価した結果を表1に示す。
実施例4
粉粒状組成物C100gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度60℃)に仕込み、胃溶性ポリマー(オイドラギットE100)40g及びエチルセルロース10g(混合比4:1)のエタノール溶液を約0.8g/分で噴霧することによりコーティングを約10時間行った。コーティング終了後、30号ステンレス篩で分級後に得られた微粒子製剤の平均粒径は約100μmであった。
次に、このクラリスロマイシン微粒子製剤39.3g、D−マンニトール54.4g、カルメロースナトリウム1g、酸化マグネシウム2g及びヒドロキシプロピルセルロース2gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度60℃)に仕込み、サッカリンナトリウム0.2gを溶解した水溶液を約1.8g/分で噴霧することにより造粒した。造粒終了後、乾燥し、22号ステンレス篩で分級及び篩過した粒状物に軽質無水ケイ酸1g及び微量の香料を添加してドライシロップ剤を製造した。
実施例5
粉粒状組成物B100gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度60℃)に仕込み、胃溶性ポリマー(オイドラギットEPO)40g及び水不溶性ポリマー(オイドラギットRS30D)33.3g(固形分10g)(混合比4:1)、ラウリル硫酸ナトリウム4g及びクエン酸トリエチル2.5gを含有する水分散液を約0.6g/分で噴霧することにより、コーティングを約13時間行った。コーティング終了後、30号ステンレス篩で分級後に得られた微粒子製剤の平均粒径は約100μmであった。
次に、このクラリスロマイシン微粒子製剤21.86g、D−マンニトール72.84g、カルメロースナトリウム1g、酸化マグネシウム1g及びヒドロキシプロピルセルロース2gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度60℃)に仕込み、サッカリンナトリウム0.2gを溶解した水溶液を約1.5g/分で噴霧することにより造粒した。造粒終了後、乾燥し、22号ステンレス篩で分級及び篩過した粒状物に軽質無水ケイ酸1g及び微量の香料を添加してドライシロップ剤を製造した。
実施例6
粉粒状組成物B100gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度60℃)に仕込み、胃溶性ポリマー(オイドラギットEPO)40g及びエチルセルロースの水性分散液33.3g(固形分10g)(混合比4:1)とラウリル硫酸ナトリウム4g及びクエン酸トリエチル2.5gの水分散液にて約0.6g/分で噴霧することによりコーティングを約13時間行った。コーティング終了後、30号ステンレス篩で分級後に得られた微粒子製剤の平均粒径は約100μmであった。
次に、このクラリスロマイシン微粒子製剤21.86g、D−マンニトール72.8g、カルメロースナトリウム1g、酸化マグネシウム1g及びヒドロキシプロピルセルロース2gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度60℃)に仕込み、サッカリンナトリウム0.2gを溶解した水溶液を約1.5g/分で噴霧することにより造粒した。造粒終了後、乾燥し、22号ステンレス篩で分級及び篩過した粒状物に軽質無水ケイ酸1g及び微量の香料を添加してドライシロップ剤を製造した。
比較例1
粉粒状組成物D100gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度60℃)に仕込み、胃溶性ポリマー(オイドラギットE100)50gのエタノール溶液にて約2g/分で噴霧することによりコーティングを約4時間行った。コーティング終了後、30号ステンレス篩で分級後に得られた微粒子製剤の平均粒径は約75μmであった。
次に、このクラリスロマイシン微粒子製剤21g、D−マンニトール72.3g、カルメロースナトリウム1g、酸化マグネシウム2g及びヒドロキシプロピルセルロース2gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度60℃)に仕込み、サッカリンナトリウム0.2gを溶解した水溶液にて約1.5g/分で噴霧することにより造粒した。造粒終了後、乾燥し、22号ステンレス篩で分級及び篩過した粒状物に軽質無水ケイ酸1g及び微量の香料を添加してドライシロップ剤を製造した。このドライシロップ剤について評価した結果を表1に示す。
比較例2
粉粒状組成物E100gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度60℃)に仕込み、エチルセルロース32g及び胃溶性ポリマー(オイドラギットE100)8g(混合比4:1)のエタノール溶液を約0.8g/分で噴霧することにより、コーティングを約11時間行った。コーティング終了後、30号ステンレス篩で分級後に得られた微粒子製剤の平均粒径は約100μmであった。
次に、このクラリスロマイシン微粒子製剤18.44g、D−マンニトール75.26g、カルメロースナトリウム1g、酸化マグネシウム2g及びヒドロキシプロピルセルロース2gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度60℃)に仕込み、サッカリンナトリウム0.2gを溶解した水溶液を約1.5g/分で噴霧することにより造粒した。造粒終了後、乾燥し、22号ステンレス篩で分級及び節過した粒状物に軽質無水ケイ酸1g及び微量の香料を添加してドライシロップ剤を製造した。このドライシロップ剤について評価した結果を表1に示す。
比較例3
粉粒状組成物A100gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度60℃)に仕込み、エチルセルロース27g及び胃溶性ポリマー(オイドラギットE100)13g(混合比2:1)のエタノール溶液を約0.7g/分で噴霧することによりコーティングを約13時間行った。コーティング終了後、30号ステンレス篩で分級後に得られた微粒子製剤の平均粒径は約100μmであった。
次に、このクラリスロマイシン微粒子製剤22.4g、D−マンニトール20g、力ルメロースナトリウム1g及び酸化マグネシウム1gを流動層造粒機(フロイント(株)製、FLO−MINI、給気温度50℃)に仕込み、D−マンニトール52.3g、ヒドロキシプロピルセルロース2g及びサッカリンナトリウム1gを精製水に分散した液を約1.8g/分で噴霧することにより造粒した。造粒終了後、乾燥し、22号ステンレス篩で分級及び篩過した粒状物に軽質無水ケイ酸0.2g及び微量の香料を添加してドライシロップ剤を製造した。このドライシロップ剤について評価した結果を表1に示す。
実施例7
実施例1でドライシロップ化する前のクラリスロマイシン微粒子製剤224g、D−マンニトール722g、カルメロースナトリウム10g及び酸化マグネシウム10gを流動層造粒機(パウレック(株)製、MP−01流動層仕様、給気温度40〜50℃)に仕込み、ヒドロキシプロピルセルロース20g及びサッカリンナトリウム10gを溶解した水溶液にて約10g/分で噴霧することにより造粒した。造粒終了後、乾燥し、22号ステンレス櫛で分級及び篩過した粒状物に軽質無水ケイ酸3g及び微量の香料を添加してドライシロップ剤を製造した。得られたドライシロップ剤の粒度分布を測定した結果を表2に示す。
得られたドライシロップ剤について、造粒物の状態を顕微鏡で写真(60倍)を撮影した結果を図2に示す。
表1の結果から明らかなように、実施例のドライシロップ剤は、苦味がなく、溶出性も高い。これに対して、比較例1のドライシロップ剤は苦味があり、比較例2、3のドライシロップ剤は溶出性が充分でない。
表2の結果から、実施例1ではシャープな粒度分布を示しているが、実施例7ではバラツキがあった。図1及び図2の結果からも明らかなように、実施例1では実施例7よりもクラリスロマイシン微粒子製剤が強固に造粒されている。
図1は、実施例1で得られたドライシロップ剤の顕微鏡写真(60倍)である。 図2は、実施例7で得られたドライシロップ剤の顕微鏡写真(60倍)である。

Claims (15)

  1. 少なくともマクロライド系抗生物質で構成された粉粒状組成物が、pH非依存型水不溶性ポリマー及び胃溶性ポリマーで構成されたポリマー組成物により被覆されている経口製剤用組成物であって、前記pH非依存型水不溶性ポリマーと前記胃溶性ポリマーとの割合(重量比)が、pH非依存型水不溶性ポリマー/胃溶性ポリマー=1/1〜1/20である経口製剤用組成物。
  2. pH非依存型水不溶性ポリマーが、セルロース誘導体及び(メタ)アクリル系重合体から選択された少なくとも一種で構成されている請求項1記載の経口製剤用組成物。
  3. セルロース誘導体がエチルセルロース類である請求項2記載の経口製剤用組成物。
  4. pH非依存型水不溶性ポリマーと胃溶性ポリマーとの割合(重量比)が、pH非依存型水不溶性ポリマー/胃溶性ポリマー=1/1.5〜1/15である請求項1記載の経口製剤用組成物。
  5. 粉粒状組成物が、マクロライド系抗生物質と、結合剤、賦形剤、崩壊剤及びコーティング剤から選択された少なくとも一種の添加剤とで構成されている請求項1記載の経口製剤用組成物。
  6. マクロライド系抗生物質が14員環系化合物である請求項1記載の経口製剤用組成物。
  7. マクロライド系抗生物質がクラリスロマイシンである請求項1記載の経口製剤用組成物。
  8. ポリマー組成物の割合が、粉粒状組成物100重量部に対して、1〜150重量部である請求項1記載の経口製剤用組成物。
  9. 平均粒径が30〜300μmである請求項1記載の経口製剤用組成物。
  10. 請求項1記載の経口製剤用組成物を含むドライシロップ剤。
  11. 少なくともマクロライド系抗生物質で構成された粉粒状組成物を、pH非依存型水不溶性ポリマー及び胃溶性ポリマーで構成されたポリマー組成物により被覆する請求項1記載の経口製剤用組成物の製造方法。
  12. 粉粒状組成物として、マクロライド系抗生物質と、結合剤、賦形剤、崩壊剤及びコーティング剤から選択された少なくとも一種の添加剤と、溶媒とを用いて造粒した粉粒状組成物を用いる請求項11記載の製造方法。
  13. 粉粒状組成物として、マクロライド系抗生物質と、結合剤、賦形剤、崩壊剤及びコーティング剤から選択された少なくとも一種の添加剤と、溶媒とを含む造粒物を乾燥後、粉砕した粉粒状組成物を用いる請求項12記載の製造方法。
  14. マクロライド系抗生物質の苦みをマスキングする方法であって、少なくともマクロライド系抗生物質で構成された粉粒状組成物を、請求項1記載のポリマー組成物により被覆する方法。
  15. 請求項1記載の経口製剤用組成物を流動層造粒法によってドライシロップ化するドライシロップ剤の製造方法であって、賦形剤を含む水系分散液を噴霧して造粒するドライシロップ剤の製造方法。
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