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JP2006230722A - 人工軟骨用生体材料 - Google Patents

人工軟骨用生体材料 Download PDF

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JP2006230722A
JP2006230722A JP2005050076A JP2005050076A JP2006230722A JP 2006230722 A JP2006230722 A JP 2006230722A JP 2005050076 A JP2005050076 A JP 2005050076A JP 2005050076 A JP2005050076 A JP 2005050076A JP 2006230722 A JP2006230722 A JP 2006230722A
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Yasuo Shikinami
保夫 敷波
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Takiron Co Ltd
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Abstract

【課題】柔軟で生体の軟骨に近い変形特性を備え、生体骨との結合が確実で固定力が大きく、摩耗による細粉の発生もない人工軟骨用生体材料を提供する。
【解決手段】有機繊維を3軸以上の多軸三次元織組織もくしは編組織又はこれらの複合組織とした組織構造体をコア材1とすることで、生体の軟骨に近い変形特性を具備させ、このコア材1の片面又は両面に、生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーからなるプレート2であって厚み方向に多数の貫通孔2a,2bを形成したプレート2を積層すると共に、このプレート2の貫通孔に、骨伝導性及び/又は骨誘導性を有し且つ生体内での分解が上記プレートよりも速い生体内分解吸収性材料5を充填することによって、生体骨との結合を確実にして固定力を増大させ、細粉の発生もなくす。
【選択図】図1

Description

本発明は、人工椎間板や人工半月板あるいは種々の関節軟骨などとして使用が見込まれる人工軟骨用生体材料に関する。
人工軟骨用生体材料として有力視されているものの一つに、チタン合金などの上下の金属製プレートの間に、ボールベアリングの機能を目的とする超高分子量ポリエチレンの球体を設けて椎間板としての可動性をもたせたサンドイッチ構造の人工椎間板がある。この人工椎間板は上下の椎体の動きを許容するものであるが、その動的挙動は生体の椎間板と大きく異なるものである。また、内部にスプリングをもつ全金属製の人工椎間板もあるが、その動的挙動も生体の椎間板とは大きくかけ離れ、生体の椎間板を代替できるとは考え難いものである。
そこで、本出願人は、有機繊維を3軸以上の多軸三次元織組織もしくは編組織又はこれらの複合組織とした繊維構造体よりなるコア材の両面に、連続気孔を有し且つ生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの多孔体よりなるスペーサを積層した、自立型の人工椎間板等として使用される人工軟骨用生体材料を開発して、既に提案した(特許文献1)。
かかる人工軟骨用生体材料を人工椎間板として上下の椎体の間に挿入すると、繊維構造体よりなるコア材が生体の椎間板と同程度の機械的柔軟性(可動性)を備えるため、その変形特性が極めてバイオミメティックであり、しかも、積層されたスペーサが上下の椎体と直接結合し、経時的に骨組織と置換してコア材表面と上下の椎体を固定するので、生体の椎間板の機能を有効に代替し得るものである。
けれども、上記の人工軟骨用生体材料は、スペーサが旺盛な骨伝導性ないし骨誘導性をもつため椎体との結合に極めて効果的であるものの、スペーサへの骨組織の侵入、成長と併行して荷重により圧縮され、変形するという危惧を有するため、スペーサの骨組織による置換及び椎体と人工軟骨用生体材料との結合が不完全になって上下の椎体との結合固定力が弱くなる心配があった。また、多孔体よりなるスペーサは脆弱であるため、スペーサの周縁部分が摩耗して細粉が発生する心配もあった。
特開2003−230583号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、有機繊維の組織構造体をコア材とした柔軟で生体の軟骨に近い変形特性を備え、生体骨との結合が確実で固定力が大きく、摩耗による細粉の発生もない人工軟骨用生体材料を提供することを解決課題としている。
上記課題を解決するため、本発明に係る人工軟骨用生体材料は、有機繊維を3軸以上の多軸三次元織組織もくしは編組織又はこれらの複合組織とした組織構造体よりなるコア材の片面又は両面に、生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーからなるプレートであって厚み方向に多数の貫通孔を形成したプレートを積層すると共に、このプレートの全ての貫通孔又は一部の貫通孔に、骨伝導性及び/又は骨誘導性を有し且つ生体内での分解が上記プレートよりも速い生体内分解吸収性材料を充填したことを特徴とするものである。
本発明の人工軟骨用生体材料においては、プレートの表面又は表裏両面に、骨伝導性及び/又は骨誘導性を有し且つ生体内での分解が上記プレートよりも速い生体内分解吸収性材料からなる被覆層を積層することが好ましい。生体内分解吸収性材料としては、内部に連続気孔を有する生体内分解吸収性ポリマーの多孔体であって、骨伝導能を持つバイオセラミックス粉体、及び/又は、骨誘導能を持つサイトカイン、骨誘導能を持つ薬剤、骨誘導因子のいずれか少なくとも一つを含んだものや、或いは、コラーゲンに骨伝導能を持つバイオセラミックス粉体、及び/又は、骨誘導能を持つサイトカイン、骨誘導能を持つ薬剤、骨誘導因子のいずれか少なくとも一つを含んだものが好適である。
本発明の人工軟骨用生体材料を例えば人工椎間板として頸椎あるいは脊椎(特に腰椎)の椎体間に挿入すると、有機繊維を3軸以上の多軸三次元織組織もしくは編組織又はこれらの複合組織とした組織構造体よりなるコア材が軟骨の椎間板と同程度の機械的強度及び柔軟性を備え、その変形が極めてバイオミメティックであるため、椎間板としての役目を十分に果たす。そして、コア材に積層されたプレートの貫通孔に充填されている生体内分解吸収性材料は、体液との接触によってプレートよりも速く分解し、その旺盛な骨伝導性及び/又は骨誘導性によりすみやかに骨組織が伝導形成及び/又は誘導形成され、早期に骨組織と置換して椎体と直接結合する。一方、プレートは、貫通孔内の生体内分解吸収性材料よりも強度が遥かに大きく、しかも、分解吸収の速さが骨組織の成長の速さと実質的に均衡して貫通孔内の生体内分解吸収性材料よりも遅れて分解が進行するため、椎体とコア材との界面に存在して貫通孔内の生体内分解吸収性材料が骨組織とある程度置換されるまでの期間、十分な強度を維持する。このため、上下の椎体の大きい挟圧力の下で人工軟骨用生体材料のコア材がバイオミメティックな変形を繰り返しても、プレートから細粉が発生したり、貫通孔内の生体内分解吸収性材料から細粉が発生することはない。そして、その後のプレートの分解吸収に伴ってプレートが徐々に破壊するのと同時並行的に骨組織が成長してプレートと骨組織との結合が進行し、最終的にプレートが骨組織と完全に置換してコア材と椎体が直接結合するため、十分な椎体との結合固定力が得られる。
また、プレートの表面又は表裏両面に、骨伝導性及び/又は骨誘導性を有し且つ生体内での分解がプレートよりも速い生体内分解吸収性材料からなる被覆層を積層した人工軟骨用生体材料は、これを例えば人工椎間板として上下の椎体間に挿入すると、早期に骨組織がプレート表面にほぼ均等に形成される利点があり、特に、被覆層が上述の生体内分解吸収性ポリマーの多孔体に骨伝導能を持つバイオセラミックス粉体、及び/又は、骨誘導能を持つサイトカイン、骨誘導能を持つ薬剤、骨誘導因子のいずれか少なくとも一つを含有させたものである場合は、この被覆層がクッション材の役目を果たして圧縮変形により椎体と密着し、骨芽細胞の多孔体内部への侵入が容易になるため、骨組織の伝導形成及び/又は誘導形成が一層速やかになって、短期間の内に骨組織がプレート表面に形成されるようになる。
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
図1は本発明の一実施形態に係る人工軟骨用生体材料の斜視図、図2は図1のA−A線断面図、図3は同人工軟骨用生体材料の一使用例の説明図、図4は同人工軟骨用生体材料のプレートの断面図である。
この人工軟骨用生体材料11は、前半が長方形に形成され、後半が半円形に形成された、略前方後円形の平面形状を有するブロック状の生体材料であり、図3に示すように、全置換型の人工椎間板として脊椎(特に腰椎)や頸椎の上下の椎体20,20間に前方(図3では左方)から挿入して使用されるものである。この人工軟骨用生体材料11の大きさは、頸椎用の人工椎間板として使用する場合と、腰椎用の人工椎間板として使用する場合とで異なり、また、成人用の場合と子供用の場合でも異なるが、例えば、成人の頸椎用の人工椎間板として使用する場合の標準的な大きさは、横幅寸法が18mm程度、前後寸法が15mm程度、厚み寸法が7mm程度であり、成人の腰椎用の人工椎間板として使用する場合の標準的な大きさは、横幅寸法が40mm程度、前後寸法が30mm程度、厚み寸法が15mm程度である。
この人工軟骨用生体材料11は、図1、図2に示すように、コア材1の上下両面に、大小の貫通孔2a,2bを形成したプレート2,2が積層されており、各貫通孔2a,2bに生体内分解吸収性材料5が充填されている。そして、貫通孔2a,2bを利用して3本の生体内分解吸収性のピン3がコア材1とプレート2に貫通されており、各ピン3の尖った両端がプレート2,2の表面から少し突出している。
上記のコア材1は、有機繊維を三次元織組織もしくは編組織又はこれらの複合組織とした組織構造体よりなるものであって、生体の椎間板などの軟骨と同程度の機械的強度と柔軟性を有し、変形が極めてバイオミメティック(生体模倣的)なコア材である。このコア材1の組織構造体は、本出願人が既に出願した特願平6−254515号(特開平7−148243号)に記載された組織構造体と同様のものであって、その幾何学的形状を次元数で表し、繊維配列の方位数を軸数で表すと、3軸以上の多軸−三次元組織よりなる構造体が好ましく採用される。
3軸−三次元組織は、縦、横、垂直の3軸の方向の繊維を立体的に組織したもので、その構造体の代表的な形状は、上記コア材1のような厚みのあるバルク状(板状ないしブロック状)であるが、円筒状やハニカム状とすることも可能である。この3軸−三次元組織は、組織の違いによって、直交組織、非直交組織、絡み組織、円筒組織などに分類される。また、4軸以上の多軸−三次元組織の構造体は、4,5,6,7,9,11軸等の多軸方位を配列することによって、構造体の強度的な等方性を向上させることができるものである。そして、これらの選択により、より生体の軟骨組織に酷似した、よりバイオミメティックなコア材1を得ることができる。
上記の組織構造体よりなるコア材1の内部空隙率は、20〜90%の範囲にあることが好ましく、20%を下回る場合は、コア材1が緻密になって柔軟性や変形性が損なわれるため、人工軟骨用生体材料のコア材としては不満足なものとなる。また90%を上回る場合は、コア材1の圧縮強度や保形性が低下するので、やはり人工軟骨用生体材料のコア材として不適当である。
コア材1を構成する有機繊維としては、生体不活性な合成樹脂繊維、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンなどの繊維や、有機の芯繊維を上記の生体不活性な樹脂で被覆して生体不活性とした被覆繊維などが好ましく使用される。特に、超高分子量ポリエチレンの芯繊維を直鎖状の低密度ポリエチレンの被膜で被覆した直径が0.2〜0.5mm程度の被覆繊維は、強度、硬さ、弾力性、織編のしやすさ等の点で最適な繊維である。また、これとは別に生体活性(例えば骨伝導能又は骨誘導能をもつ)のある繊維を選ぶこともできる。
なお、コア材1を構成する組織構造体については、前記の特願平6−254515号(特開平7−148243号)に詳細に開示されているので、これ以上の説明は省略する。
コア材1の上下両面に積層されるプレート2,2は、生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーからなる無孔質のプレートに大小の貫通孔2a,2bを多数穿孔したものであって、上記ポリマーを溶融成形して得られるプレートに貫通孔を穿孔したものや、溶融成形物を更に冷間(上記ポリマーのガラス転移温度以上、溶融温度未満の温度域)で鍛造して得られるプレートに貫通孔を穿孔したものが使用される。
後者の鍛造したプレートは、溶融成形物を一回鍛造したものでもよいし、複数回鍛造したものでもよいが、特に、一回鍛造したものを更に機械方向を変えてもう一回鍛造したプレートは、ポリマーの分子鎖もしくは結晶が軸方向のランダムに異なる多数の基準軸に沿って配向した構造、又は、これらのランダムに異なる多数の基準軸をもったクラスターが多数集合した構造、又は、分子鎖、結晶、クラスターが三次元方向に配向した構造となるため、外力を受けて変形を繰り返しても機械的劣化や破壊を生じにくいという長所がある。従って、このような二回鍛造のプレート2に貫通孔2a,2bを穿孔したものをコア材1の両面に積層した人工軟骨用生体材料11は、これを人工椎間板として椎体20,20間に挿入すると、上下の椎体20,20の挟圧力によってプレート2がコア材1と共に変形を繰り返しても、プレート2の大半が分解吸収されるまで機械的劣化や破壊等を生ずることはない。また、一回鍛造のプレートに貫通孔を穿孔したものでも圧縮されて緻密になり、ポリマーの分子鎖や結晶が一つの基準軸又は基準面に向かって斜めに配向した構造、或いは、上記のように多軸配向した構造となるため、溶融成形しただけのプレートに比べると機械的強度が向上して破壊し難くなる。
プレート2の原料となる生体内分解吸収性ポリマーとしては、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸、ポリ−D,L−乳酸などのポリ乳酸や、或いは、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチドのいずれかと、グリコリドによる共重合体、カプロラクトンによる共重合体、ジオキサノンによる共重合体、エチレンオキシドによる共重合体、プロピレンオキシドによる共重合体などが好適であり、これらは単独で若しくは複数混合して使用される。これらのポリマーのうちポリ乳酸は、骨組織の成長と均衡するプレート2の分解吸収の速さや期間(1年余り)、椎体の挟圧力等に耐え得る機械的強度などを考慮すると、5万〜50万程度の粘度平均分子量を有するものが好ましい。
上記の生体内分解吸収性ポリマーからなるプレート2に含有させるバイオセラミックス粉体としては、生体活性があり、良好な骨伝導能と良好な生体親和性を有する、未仮焼、未焼成のハイドロキシアパタイト、ジカルシウムホスフェート、トリカルシウムホスフェート、テトラカルシウムホスフェート、オクタカルシウムホスフェート、カルサイト、セラバイタル、ジオプサイト、天然珊瑚等の粉体が使用される。そして、これらの粉体表面にアルカリ性の無機化合物や塩基性の有機物を付着させたものも使用可能である。これらのなかでも、生体内で全吸収され骨組織と完全に置換される生体内全吸収性のバイオセラミックス粉体が好ましく、特に、未仮焼、未焼成のハイドロキシアパタイト、トリカルシウムホスフェート、オクタカルシウムホスフェートは、活性が極めて大きく、骨伝導能に優れ、為害性が低く、短期間で生体に吸収されるので最適である。これらのバイオセラミックス粉体は、10μm以下の平均粒径を有するもの、好ましくは0.2〜5μm程度の粒径を有するものが使用される。
バイオセラミックス粉体の含有量は25〜60質量%とすることが好ましく、60質量%を越えると、プレート2が脆弱化するため椎体の挟圧力によって破壊しやすくなり、25重量%を下回ると、骨組織の伝導形成が遅くなるためプレート2が骨組織と置換するのに長期間を要するといった不都合が生じる。バイオセラミックスの更に好ましい含有量は30〜50重量%である。
このプレート2には、上記のバイオセラミックス粉体の他に、骨誘導能をもつ各種のサイトカインや骨誘導能をもつ薬剤を適量含有させてもよく、その場合はプレート2の分解吸収に伴う骨組織の成長,置換が著しく促進されてコア材1と椎体20が早期に直接結合する利点がある。また、骨誘導因子(Bone Morphogenetic Protein)をプレート2に含有させてもよく、その場合は骨誘導が発現されるので結合一体化に一層効果的である。尚、必要とあらば、種々の薬効を有する薬剤(治療薬等)をプレート2に含有させてもよい。更に、プレート2の両面にコロナ放電、プラズマ処理、過酸化水素処理などの酸化処理を施してもよく、その場合は表面に露出するバイオセラミックス粉体の濡れ特性が改善され、増殖させるべき骨細胞の侵入、成長が効果的になる。
上記のバイオセラミックス粉体、サイトカイン、薬剤、骨誘導因子等は、コア材1の表面に吹き付けてもよく、その場合はコア材1の表面が生体活性化され、伝導形成された骨組織がこの活性化された表面に結合するため、椎体20とコア材1との直接結合が短期間に行われて強度が保たれる利点がある。
上記のプレート2は、その開口率が15〜60%となるように、大小の貫通孔2a,2bをほぼ均等に分散させて多数穿孔することが好ましく、このように開口率を15〜60%にした孔開きのプレート2は、上下の椎体20,20の挟圧力に耐え得る強度を備え、しかも、プレート全体の分解吸収の速さが適度で骨組織の成長の速さと均衡し、完全に骨組織で置換されて椎体20と強固に結合できる利点を有する。開口率が60%より高くなると、プレート2の強度が低下するといった不都合を生じ、また、開口率が15%より低くなると、プレート2の分解吸収に要する期間が長くなり、孔開きのプレートのわりには骨組織との置換が遅くなる傾向が見られるので好ましくない。
大小の貫通孔2a,2bの直径は特に限定されないが、0.5〜5mmの範囲内で大きい貫通孔2aと小さい貫通孔2bの直径をそれぞれ設定することが好ましい。大きい貫通孔2aの直径が5mmを越えると、成長する骨組織によって貫通孔2aが完全に埋まりにくくなり、コア材1の表面全体に骨組織を成長、形成させることが困難になる恐れがあるので好ましくない。
なお、このプレート2には、大小の貫通孔に区別しないで直径が同じ貫通孔を分散させて穿孔してもよい。また、貫通孔2a,2bの形状は、この実施形態のような真円形に限定されるものではなく、楕円形、長円形、四角形その他の多角形、不定形など、任意の孔形状とすることができる。従って、例えば四角形の大きさが同じ貫通孔を縦横に配列形成して、プレート2をネット状に構成することもできる。
プレート2の厚さは0.3〜1.2mmの範囲内とするのが適当であり、特に1mm程度とすることが好ましい。このように厚みを限定したプレート2は、上下の椎体20,20の挟圧力に耐え得る強度を有し、骨組織の成長と均衡した速さで1年余りで分解吸収されて骨組織と完全に置換し、強固に椎体20と結合できる利点がある。プレート2の厚みが0.3mmより薄くなると、強度が不足してプレート2が椎体20,20の挟圧力で破壊する恐れが生じ、1.2mmより厚くなると、プレート2の分解吸収に要する期間が長くなって骨組織との置換が遅れるといった不都合を生じる。
上記プレート2の貫通孔2a,2bに充填される生体内分解吸収性材料5は、骨伝導性及び/又は骨誘導性を有して生体活性が優れ、且つ、生体内での分解がプレート2よりも速い材料である。この生体内分解吸収性材料5は、全ての貫通孔2a,2bに充填する必要が必ずしもなく、例えば大きい貫通孔2aのみに充填するといったように、一部の貫通孔にのみ充填してもよい。
生体内分解吸収性材料5としては、内部に連続気孔を有する生体内分解吸収性ポリマーの多孔体であって、骨伝導能を持つ前記のバイオセラミックス粉体、及び/又は、骨誘導能を持つ各種サイトカイン、骨誘導能を持つ薬剤、骨誘導因子(BMF)のいずれか少なくとも一つを含有させたものが好ましく使用される。また、コラーゲンに生体活性なバイオセラミックス粉体、及び/又は、骨誘導能を持つ各種サイトカイン、骨誘導能を持つ薬剤、骨誘導因子(BMF)のいずれか少なくとも一つを含有させた多孔体又は無孔体も好ましく使用される。そして、生体内分解吸収性ポリマーにプレート2よりもバイオセラミックス粉体を多く含有させた無孔体も使用される。これらの多孔体又は無孔体におけるバイオセラミックス粉体の含有量は、60〜90質量%とするのが好ましい。骨誘導能を持つサイトカイン、骨誘導能を持つ薬剤、骨誘導因子の含有量は適量でよい。尚、必要とあらば、種々の薬効を有する薬剤(治療薬等)を上記の多孔体やコラーゲンに含有させてもよい。
生体内分解吸収性材料5の多孔体は大きい強度が要求されず、プレート2よりも速く分解して、伝導形成及び/又は誘導形成される骨組織とすみやかに置換することが必要なものであるから、その原料となる生体内分解吸収性ポリマーとしては、安全で、分解が比較的速く、あまり脆くない、非晶質あるいは結晶と非晶の混在したポリ−D,L−乳酸、L−乳酸とD,L−乳酸の共重合体、乳酸とグリコール酸の共重合体、乳酸とカプロラクトンの共重合体、乳酸とエチレングリコールの共重合体、乳酸とパラ−ジオキサノンの共重合体などが適しており、これらは単独であるいは2種以上混合して使用される。これらのポリマーは、多孔体の形成のし易さや、生体内での分解吸収の期間などを考慮すると、5万〜100万程度の粘度平均分子量を有するものが好ましく使用される。
上記ポリマーからなる多孔体は、物理的な強度、骨芽細胞の浸入及び安定化などを考慮すると、その気孔率が50〜90%で、連続気孔が気孔全体の50〜90%を占め、連続気孔の孔径が略100〜略400μmであることが望ましい。気孔率が90%を上回り、孔径が400μmより多くなると、多孔体の物理的な強度が低下して脆くなる。一方、気孔率が50%を下回ると共に、連続気孔が気孔全体の50%を下回り、孔径が100μmより小さくなると、体液や骨芽細胞の浸入が困難となり、多孔体の加水分解や骨組織の成長が遅くなって、多孔体が骨組織と置換するのに要する時間が長くなる。より好ましい多孔体は、気孔率が60〜80%で、連続気孔が気孔全体の70〜90%を占め、連続気孔の孔径が略150〜略350μmのものである。
多孔体の作製方法は特に制限がなく、どのような方法で作製してもよい。例えば、揮発性溶剤に上記の生体内分解吸収性ポリマーを溶解すると共にバイオセラミックス粉体等を混合して懸濁液を調製し、この懸濁液をスプレー等の手段で繊維化して繊維の絡み合った繊維集合体となし、積層前のプレート2の貫通孔2a,2bに上記の繊維集合体を詰め込んで、繊維の融着可能な温度に加熱することにより、繊維同士を部分的に融着して多孔質の繊維融着集合体となし、この繊維融着集合体をプレート2と一緒に揮発性溶剤に浸漬して多孔体に形態変化させる方法等によって作製することができる。
コア材1及び両面のプレート2,2を上下方向に貫通するピン3は、プレート2と同様の前述した乳酸系ポリマーからなるものであって、一回又は二回の鍛造あるいは延伸によりポリマー分子や結晶を配向させて強度を高めたピンが好ましく使用される。プレート2,2から突出するピン3の両端は、0.3〜2mm程度の高さを有する円錐状に形成されており、この人工軟骨用生体材料11を人工椎間板として椎体20,20間に挿入したとき、ピン3の両端が椎体20,20の終板に食い込んで人工軟骨用生体材料11の位置ズレ・脱転が確実に防止されるようになっている。ピン3の太さは、椎体20,20の挟圧力で折損することがないように、直径を0.5〜3mm程度、好ましくは1mm程度とするのがよい。
ピン3の本数は1本でもよいが、1本の場合は、人工軟骨用生体材料11の横方向の位置ずれを防止できても、人工軟骨用生体材料11の回転を防止できないという不都合があるので、2本以上、好ましくは図1,図2に示すように左右対称の配置で3本貫通させるのがよい。このように3本のピン3を貫通させると、3点支持により人工軟骨用生体材料11を安定良く上下の椎体20,20間に装着できる利点がある。但し、頸椎用の全置換型の人工椎間板として使用する小さいサイズの人工軟骨用生体材料11の場合は、左右2本のピン3を貫通させるだけでよい。
なお、このピン3にも前述のバイオセラミックス粉体、各種サイトカイン、薬剤、骨誘導因子などを適量含有させることが好ましい。また、場合によってはピン3とプレート2,2を接着もしくは融着などにより一体化してもよい。更に、ピン3を上下に分断し、上側のピンの上端部と下側のピンの下端部を上下のプレート2,2の表面から突出させてもよい。
以上のような構成の人工軟骨用生体材料11を例えば人工椎間板として頸椎あるいは脊椎(特に腰椎)の椎体20,20間に前方から挿入すると、図3に示すように、人工軟骨用生体材料11のプレート2,2の表面から突出するピン3の尖った両端が椎体20,20の終板に食い込んで、位置ズレ・脱転を生じることなく椎体20,20間に挟着され、生体の椎間板と同程度の機械的強度及び柔軟性を備えた有機繊維の組織構造体よりなるコア材1がバイオミメティックに変形して椎間板としての役目を十分に果たす。そして、プレート2,2の貫通孔2a,2bに充填されている生体内分解吸収性材料5が、体液との接触によってプレート2,2よりも速く分解し、その旺盛な骨伝導性及び/又は骨誘導性によってすみやかに骨組織が伝導形成及び/又は誘導形成され、早期に骨組織と置換して椎体20,20と直接結合する。一方、プレート2,2は、貫通孔2a,2b内の生体内分解吸収性材料5よりも強度が遥かに大きく、しかも、分解吸収の速さが骨組織の成長の速さと実質的に均衡して生体内分解吸収性材料5よりも遅れて分解が進行するため、椎体20,20とコア材1との界面に存在して貫通孔内の生体内分解吸収性材料5が骨組織とある程度置換されるまでの期間、十分な強度を維持する。このため、上下の椎体20,20の大きい挟圧力の下で人工軟骨用生体材料11のコア材1がバイオミメティックな変形を繰り返しても、プレート2,2から細粉が発生したり、貫通孔内の生体内分解吸収性材料5から細粉が発生することはない。そして、その後のプレート2,2の分解吸収に伴ってプレート2,2が徐々に破壊するのと同時並行的に骨組織が成長してプレート2,2と骨組織との結合が進行し、最終的にプレート2,2が骨組織と完全に置換してコア材1と椎体20,20が直接結合するため、十分な椎体との結合固定力が得られる。
上記の人工軟骨用生体材料11においては、コア材1の両面に積層する孔開きのプレートとして、図4に示すような細かい凹凸を表裏両面に形成した孔開きのプレート2を使用してもよい。このような細かい凹凸のある孔開きプレート2の貫通孔2a(2b)に前述の生体内分解吸収性材料5を充填してコア材1の両面に積層した人工軟骨用生体材料は、これを人工椎間板として椎体20,20間に挿入すると、プレート2表面の凹凸の凸部2cが椎体20の終板に食い込んで人工軟骨用生体材料の位置ズレ・脱転を阻止できると共に、凹凸により椎体20との接触面積が著しく増えて結合性が更に向上する利点があり、また、プレート2裏面の凹凸の凸部2cがコア材1に食い込んでプレート2とコア材1との相対的な位置ズレも阻止できる利点がある。従って、この場合は、ピン3を省略することも可能である。
上記の細かい凹凸は、ランダムな凹凸形状を有するものでもよいが、凹凸の凸部2cを小さな四角錘形状(例えば、正四角形底面の一辺が0.6mm程度で高さが0.3mm程度の正四角錘形状)にして前後左右に隙間をあけないで多数配列形成したものが好ましい。このような凹凸を形成すると、四角錐形状の凸部2cが椎体20の終板及びコア材1に食い込みやすいため、人工軟骨用生体材料の位置ズレ・脱転や、プレート2とコア材1との相対的位置ズレをより確実に阻止できる利点がある。
細かい凹凸を表裏両面に形成したプレート2の厚さについては、その最小厚み部分(両面の凹部と凹部の間の部分)の厚みを0.3mm以上とし、最大厚み部分(両面の凸部2cと凸部2cの間の部分)の厚みを1.2mm以下とすることが好ましい。このように厚みを限定したプレート2は、上下の椎体20,20の挟圧力に耐え得る強度を有し、骨組織の成長と均衡した速さで1年余りで分解吸収されて骨組織と完全に置換し、強固に椎体20と結合できる利点がある。
尚、上記の人工軟骨用生体材料11では、コア材1の上下両面にプレート2,2を積層しているが、このプレート2は、本発明の人工軟骨用生体材料が代替しようとする軟骨の種類や部位に対応して、コア材1の片面のみに積層してもよいものである。
図5は本発明の他の実施形態に係る人工軟骨用生体材料の斜視図、図6は図5のB−B線断面である。
この人工軟骨用生体材料12は、表裏両面に前述の細かい凹凸が形成され且つ大小の貫通孔2a,2bに生体内分解吸収性材料5が充填された前述のプレート2,2を、前述のコア材1の上下両面に積層すると共に、プレート2,2の周縁部に位置する大小の貫通孔2a,2bに糸4を通してプレート2,2の周縁部を纏うようにコア材1に縫い付け、前述のピン3を省略したものである。
この人工軟骨用生体材料12のように、プレート2,2の周縁部が糸4でコア材1に縫い付けられていると、前述のピン3を省略しても、コア材1とプレート2,2との相対的な位置ズレや、プレート2,2の剥離を生じることがなく、また、プレート2,2の表裏両面に細かい凹凸が形成されていると、前述したように、凹凸の凸部2cが椎体20,20の終板に食い込むので、前述のピン3を省略しても、人工軟骨用生体材料12の位置ズレ・脱転を阻止することができる。
上記の糸4は生体不活性な繊維や生分解性繊維などからなるものであり、前者の生体不活性なものとしては前述のコア材1を構成する有機繊維が、また、後者の生分解性のものとしては前述の乳酸系ポリマーからなる繊維が使用され、好ましくは太さが0.2〜0.3mm程度の糸(モノフィラメント)であって、更に好ましくは一軸延伸された引張り強度の大きい糸が使用される。
このような人工軟骨用生体材料12を人工椎間板として上下の椎体間に挿入すると、プレート2,2表面の凸部2cが椎体20,20の終板に食い込んで、位置ズレ・脱転を生じることなく椎体20,20間に挟着される。そして、前述の人工軟骨用生体材料11と同様に、コア材1がバイオミメティックに変形して椎間板としての役目を十分に果たし、細粉を発生することもなく、上下の椎体に直接結合して十分な結合固定力が得られる。
上記の人工軟骨用生体材料12においては、コア材1の両面に積層するプレートとして、図7に示す孔開きのプレート2や図8に示す孔開きのプレート2を使用してもよい。図7に示すプレート2は、前述の図4に示す細かい凹凸を表裏両面に形成した孔開きプレート2の表面に、細かい凹凸よりも高さが大きい複数の角錘状又は円錐状の突起2d(高さ0.5〜1.5mm)を更に形成したものであり、このような図7のプレート2の貫通孔2a(2b)に前述の生体内分解吸収性材料5を充填してコア材1の両面に積層した人工軟骨用生体材料は、これを椎体間に挿入すると突起2dが椎体20の終板に深く食い込むため、前述のピン3がなくても、人工軟骨用生体材料の位置ズレ・脱転をより確実に防止できる利点がある。また、図8に示すプレート2は、その表面に断面が鋸歯形状の凹凸2eを形成した点を除いて、前述の図4に示す孔開きプレート2と同様のものであり、このようなプレート2を鋸歯形状の凹凸2eの斜面が前向き(挿入方向前方)となるようにコア材1の両面に積層した人工軟骨用生体材料は、椎体20,20間に挿入するときの抵抗が少なく挿入作業が容易であり、挿入後、簡単に抜け出すことがないという利点を有する。図7、図8のプレート2は、前述の人工軟骨用生体材料11のコア材1の両面に積層しても勿論よい。なお、図7、図8のプレート2において、図4のプレート2と共通する部分には同一符号を付けてある。
図9は本発明の更に他の実施形態に係る人工軟骨用生体材料の断面図である。
この人工軟骨用生体材料13は、前述した人工軟骨用生体材料11において、そのプレート2,2の表裏両面に前述の骨伝導性及び/又は骨誘導性を有する生体内分解吸収性材料からなる被覆層6,6を積層すると共に、各ピン3の両端を被覆層6,6の表面から少し突出させたものである。この被覆層6は、プレート2の表裏両面に積層する必要が必ずしもなく、プレート2の表面にのみ積層してもよい。
被覆層6の厚さは特に限定されないが、被覆層6を構成する生体内分解吸収性材料が前述した生体内分解吸収性ポリマーの多孔体にバイオセラミックス粉体やサイトカインや薬剤や骨誘導因子などを含有させたものである場合には、その厚さを0.5〜2mm程度とすることが好ましい。被覆層6が0.5mmよりも薄い場合は、圧縮変形による椎体20との密着性が低下する心配があり、2mmより厚い場合は、分解吸収及び骨組織との置換に要する時間が長くなるといった不都合を生じる。
このような人工軟骨用生体材料13を人工椎間板として上下の椎体20,20の間に挿入すると、前述した人工軟骨用生体材料11の作用効果に加えて、被覆層6の分解に伴い早期に骨組織がプレート2の表面にほぼ均等に形成されて椎体20と結合するようになり、特に、被覆層6が前述の生体内分解吸収性ポリマーの多孔体にバイオセラミックス粉体やサイトカインや薬剤や骨誘導因子などを含有させたものである場合には、この被覆層6がクッション材の役目を果たして圧縮変形により椎体20と密着し、骨芽細胞の多孔体内部への侵入が容易になるため、骨組織の伝導形成及び/又は誘導形成が速やかになって、短期間の内に椎体20と結合するようになる。
次に、部分置換型の人工椎間板として使用される人工軟骨用生体材料のいくつかの実施形態について説明する。
図10に示す人工軟骨用生体材料14は、脊椎(特に腰椎)の椎間板の半分を置換する部分置換型の人工椎間板として使用されるものであって、前述の全置換型の人工軟骨用生体材料11を左右に二分割した形状を有している。この人工軟骨用生体材料14の構造は前述の人工軟骨用生体材料11と同様であって、有機繊維の組織構造体よりなるコア材1の上下両面に、生体活性なバイオセラミックス粉体を含み且つ厚み方向に大小の貫通孔2a,2bを形成した生体内分解吸収性ポリマーよりなるプレート2,2を積層して、該貫通孔2a,2bに前述の骨伝導性及び/又は骨誘導性を備えた分解の速い生体内分解吸収性材料5を充填すると共に、2本の生体内分解吸収性のピン3を上下に貫通させてピン3の両端をプレート2,2の表面から少し突出させた構造となっている。
このような部分置換型の人工軟骨用生体材料14は、腰椎の背後から椎体20,20間の片側に挿入できるので、全置換型の人工軟骨用生体材料11のように腰椎の前方(腹側)から椎体間に挿入するものに比べると、簡単に手術を行うことができる。そして、椎体間に挿入された人工軟骨用生体材料14は位置ズレ・脱転がなく、コア材1が柔軟で生体の椎間板に近い変形特性を備え、椎体20と直接結合して固定力が大きく、摩耗による細粉の発生もないので、部分置換型の人工椎間板として極めて好適である。
尚、この部分置換型の人工軟骨用生体材料14において、プレート2を鍛造体にしたり、プレート2の両面に細かい凹凸を形成したり、プレート2の表面に複数の突起2dを形成したり、プレート2の表面又は表裏両面に上記生体内分解吸収材料5からなる被覆層を設けたり、プレート2の周縁部を糸で縫い付けてピン3を省略したりしてもよいことは言うまでもない。
図11に示す部分置換型の人工軟骨用生体材料15は円弧状の生体材料であって、その一端(先端)が丸く形成されており、脊椎(特に腰椎)の椎体間に左右一対挿入されるものである。この人工軟骨用生体材料15の標準的な大きさは、例えば成人の腰椎用の人工椎間板として使用する場合には、横幅寸法が9mm程度、厚み寸法が11mm程度、円弧状の中心線の曲率半径が22〜23mm程度、円弧状の中心線に沿った長さ寸法が30mm程度である。
この人工軟骨用生体材料15は、全置換型の人工軟骨用生体材料11とは形状が異なるけれども、その構造は同様である。即ち、有機繊維の組織構造体よりなるコア材1の上下両面に、生体活性なバイオセラミックス粉体を含み且つ厚み方向に大小の貫通孔2a,2bを形成した生体内分解吸収性ポリマーよりなるプレート2,2(中心線上に大きい貫通孔2aを複数穿孔し周縁部に小さい貫通孔2bを複数穿孔したもの)を積層して、該貫通孔2a,2bに前述の骨伝導性及び/又は骨誘導性を備えた分解の速い生体内分解吸収性材料5を充填すると共に、中心線上の大きい貫通孔3aを利用して3本の生体内分解吸収性のピン3を上下に貫通させ、各ピン3の両端をプレート2,2から少し突出させた構造となっている。
このような部分置換型の人工軟骨用生体材料15は、腰椎の背後から図12に示すように椎体20間に左右一対挿入されるので、全置換型の人工軟骨用生体材料に比べると手術が簡単であり、しかも、人工軟骨用生体材料15の先端が丸く形成されているので、先端が椎体20に引掛かることなくスムーズに挿入することができる。そして、この人工軟骨用生体材料15は位置ズレ・脱転がなく、コア材1が柔軟で生体の椎間板に近いバイオミメティックな変形をし、椎体20と直接結合して固定力が大きく、摩耗による細粉の発生もないので、椎間板としての役割を充分に果たすことができる。
上記のように左右一対の人工軟骨用生体材料15,15を椎体20間に挿入する場合には、左右の人工軟骨用生体材料15,15の中間部に、この生体材料15と同様の構造を備えた部分置換型の勾玉形状の人工軟骨用生体材料16を挿入するのがよい。
なお、上記の部分置換型の人工軟骨用生体材料15,16においても、プレート2を鍛造体にしたり、プレート2の両面に細かい凹凸を形成したり、プレート2の表面に複数の突起2dを形成したり、プレート2の表面又は表裏両面に前記生体内分解吸収材料5からなる被覆層を設けたり、プレート2の周縁部を糸で縫い付けてピン3を省略したりしても勿論よい。
以上、全置換型及び部分置換型の人工椎間板として使用される人工軟骨用生体材料の主な実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明の人工軟骨用生体材料の形状や大きさは、挿入部位に応じて適宜変更され得ることは言うまでもない。また、本発明の人工軟骨用生体材料の形状や大きさを椎間板以外の半月板や各種の関節軟骨に似た形状に変更すれば、人工半月板や各種の人工関節軟骨等としても勿論使用し得るものである。
本発明の一実施形態に係る人工軟骨用生体材料の斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 同人工軟骨用生体材料の一使用例の説明図である。 本発明の人工軟骨用生体材料に用いるプレートの他の例を示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係る人工軟骨用生体材料の斜視図である。 図5のB−B線断面図である。 本発明の人工軟骨用生体材料に用いるプレートの更に他の例を示す断面図である。 本発明の人工軟骨用生体材料に用いるプレートの更に他の例を示す断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る人工軟骨用生体材料の断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る人工軟骨用生体材料の斜視図である。 本発明の更に他の実施形態に係る人工軟骨用生体材料の斜視図である。 同人工軟骨用生体材料の挿入位置を示す平面図である。
符号の説明
1 コア材
2 プレート
2a,2b 貫通孔
3 ピン
4 糸
5 生体内分解吸収性材料
6 被覆層
11,12,13,14,15,16 人工軟骨用生体材料
20 椎体

Claims (4)

  1. 有機繊維を3軸以上の多軸三次元織組織もくしは編組織又はこれらの複合組織とした組織構造体よりなるコア材の片面又は両面に、生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーからなるプレートであって厚み方向に多数の貫通孔を形成したプレートを積層すると共に、このプレートの全ての貫通孔又は一部の貫通孔に、骨伝導性及び/又は骨誘導性を有し且つ生体内での分解が上記プレートよりも速い生体内分解吸収性材料を充填したことを特徴とする人工軟骨用生体材料。
  2. 上記プレートの表面又は表裏両面に、骨伝導性及び/又は骨誘導性を有し且つ生体内での分解が上記プレートよりも速い生体内分解吸収性材料からなる被覆層を積層した請求項1に記載の人工軟骨用生体材料。
  3. 上記生体内分解吸収性材料が、内部に連続気孔を有する生体内分解吸収性ポリマーの多孔体であって、骨伝導能を持つバイオセラミックス粉体、及び/又は、骨誘導能を持つサイトカイン、骨誘導能を持つ薬剤、骨誘導因子のいずれか少なくとも一つを含んだものである請求項1又は請求項2に記載の人工軟骨用生体材料。
  4. 上記生体内分解吸収性材料が、コラーゲンに骨伝導能を持つバイオセラミックス粉体、及び/又は、骨誘導能を持つサイトカイン、骨誘導能を持つ薬剤、骨誘導因子のいずれか少なくとも一つを含んだものである請求項1又は請求項2に記載の人工軟骨用生体材料。
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