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JP2006219611A - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及びこれから得られる成形品 - Google Patents

ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及びこれから得られる成形品 Download PDF

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JP2006219611A
JP2006219611A JP2005035488A JP2005035488A JP2006219611A JP 2006219611 A JP2006219611 A JP 2006219611A JP 2005035488 A JP2005035488 A JP 2005035488A JP 2005035488 A JP2005035488 A JP 2005035488A JP 2006219611 A JP2006219611 A JP 2006219611A
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acid
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Tatsuya Watari
竜也 渡利
Osamu Takise
修 滝瀬
Toshiyuki Tajiri
敏之 田尻
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Abstract

【課題】
低温度での曲げ特性と弾性率のバランスが優れ、且つ、耐加水分解性に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、およびこれから得られる成形品を提供する。
【解決手段】
(A)末端カルボキシル基量が30eq/ton以下のポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、(B)重量平均分子量が400〜6000のポリアルキレンエーテルグリコールを構成単位として25〜80重量%含有するポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマーを1〜30重量部配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、及び、これを成形してなることを特徴とする成形品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、低温度での曲げ特性、および耐加水分解性に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、およびこれから得られる成形品に関する。
熱可塑性ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBT樹脂と略記することがある)は、機械的性質、電気的性質、その他物理的・化学的特性に優れ、かつ、加工性が良好であるため、エンジニアリングプラスチックとして自動車、電気・電子部品等の広汎な用途に使用されている。しかし、低温下において機械的強度が劣るという問題があり、例えば低温で曲げ変形を加えたときに、その歪量が小さい段階で破損するというトラブルが生じることがある。このためランスなどのスナップ特性により端子を固定するコネクターにおいては、低温時にランス部分が破損するなどのトラブルが発生するため、用途や成形品の形状等がかなり制限されたものとなっているのが現状である。
上述した低温における機械的強度の問題を改善するために、PBT樹脂に柔軟性の良好な樹脂、特に熱可塑性エラストマーを配合することが行われている。例えば、ポリエステル樹脂との相溶性の点から、ポリエステル・エーテル型(ポリエステルポリエーテルブロック共重合体)の熱可塑性エラストマーとのアロイが検討されている。
また、自動車用コネクター向け材料等においては、高温高湿条件下における耐加水分解性が要求されるが、上述した熱可塑性エラストマーの配合により、この特性が低下する傾向があるため、この耐加水分解性を低下させないことも重要である。
特許文献1には、PBT樹脂に、ポリエステル・エーテル型の熱可塑性エラストマー、およびポリオレフィンを配合した樹脂組成物が、耐トラッキング性を向上させることが開示されている。また、特許文献2には、ポリエステル・エーテル型の熱可塑性エラストマーと、PBT樹脂からなるポリエステル(混合物)に、無機充填剤をインサート成形して成るインサート成形品が、高低温衝撃性(耐ヒートショック性)を向上させることが開示されている。
また、特許文献3には、PBT樹脂に、ポリオレフィン、ポリオレフィン系エラストマー及びポリエステル系エラストマーのうちの1種以上と、リン系難燃剤を配合したコネクター成形用樹脂組成物が、難燃性、機械的物性および耐熱性(150℃熱処理後の引張特性保持)のバランスに優れることが記載されている。
これらの特許文献1〜3においては、低温での曲げ特性や耐加水分解性の改善については全く考慮されておらず、また、PBT樹脂の物性(末端カルボキシル基量)と低温での曲げ特性との相関については、何ら示唆されていない。曲げ強度や弾性率、引張強度に関しては、特許文献1〜3で評価されているような常温付近での評価と、本発明で着目している低温での評価とは、必ずしも結果が対応するものではなかった。
更に、特許文献4には、PBT樹脂、ポリエステルセグメント(b1)とポリオレフィン系重合体セグメント(b2)とからなるポリエステル系ブロック共重合体、およびポリオレフィンを含有するコネクター用樹脂組成物が、低温靭性(低温での引張伸度)を向上させることが開示されている。この特許文献4においては、ポリオレフィンとの併用によってはじめて低温靭性の改善が図られており、ポリエステル系ブロック共重合体は、ポリエーテルセグメントを含んでいない。
また、これら上述した特許文献においては、PBT樹脂の末端カルボキシル基量は、広い範囲の値をとり得るものであった。
特開平6−57108号公報 特開平9−262863号公報 特開平11−246744号公報 特開2000−136296号公報
本発明の目的は、低温での曲げ特性と弾性率のバランスが優れ、且つ、耐加水分解性の低下しないポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、およびこれから得られる成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、末端カルボキシル基量が特定値以下のPBT樹脂に、ポリアルキレンエーテルグリコール構成単位を特定量含有するポリエステル系熱可塑性エラストマーを配合することにより、ポリオレフィン等を併用させなくても、低温での曲げ特性と弾性率のバランスが優れ、且つ、耐加水分解性が低下しないという、従来着目されていなかった性能を有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、(A)末端カルボキシル基量が30eq/ton以下のポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、(B)重量平均分子量が400〜6000のポリアルキレンエーテルグリコールを構成単位として25〜80重量%含有するポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマーを1〜30重量部配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、及び、これを成形してなることを特徴とする成形品、に存する。
本発明により、低温での曲げ特性と弾性率のバランスが優れ、且つ、耐加水分解性の低下しないポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が得られるため、自動車、OA機器、精密機械などの各種部品への適用が可能となる。特に、本発明の樹脂組成物により得られるランス形状付きコネクターは、低温度でのランスの破損トラブルなどが低減され、品質の向上を図ることができる。従って、本発明の樹脂組成物は、自動車用部品の用途に好ましく適用でき、更には、コネクター用途に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)
本発明に使用される(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするポリエステル樹脂であり、テレフタル酸が全ジカルボン酸成分の50モル%以上を占め、1,4−ブタンジオールが全ジオールの50重量%以上を占めるポリエステル樹脂をいう。中でも、テレフタル酸が、全ジカルボン酸成分の80モル%以上を占めることが好ましく、95モル%以上を占めることがさらに好ましい。1,4−ブタンジオールは、全ジオール成分の80モル%以上を占めることが好ましく、95モル%以上占めることがさらに好ましい。
本発明の(A)PBT樹脂の末端カルボキシル基量は、30eq/ton以下である必要があり、好ましくは28eq/ton以下、更に好ましくは25eq/ton以下であり、特に好ましくは20eq/ton以下である。末端カルボキシル基量は、PBT樹脂を有機溶媒に溶解し、水酸化アルカリ溶液を用いて滴定することにより求めることができる。PBT樹脂の末端カルボキシル基量を30eq/ton以下とすることにより、理由は定かではないが、後述する(B)ポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマーとの相乗効果により、低温における曲げ特性を向上させることができる。また、耐加水分解性を著しく高め、成形滞留安定性および熱老化安定性を向上させることができる。
PBT樹脂中のカルボキシル基は、加水分解に対して自己触媒として作用するので、30eq/tonを超える末端カルボキシル基が存在すると、早期に加水分解が始まり、連鎖的に加水分解が進行し、PBT樹脂の重合度が急速に低下する。本発明の樹脂組成物は、末端カルボキシル基量が30eq/ton以下のPBT樹脂を使用することにより、高温、高湿の条件下においても、早期の加水分解および酸化劣化の進行が抑制されるため、コネクター等の自動車用部品に好ましく適用できる。
本発明の(A)PBT樹脂の固有粘度は、1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量比)の混合溶媒を用いて、温度30℃で測定した場合、通常0.50〜3.0dl/gであり、好ましくは0.6〜2.0dl/gであり、更に好ましくは0.7〜1.5dl/gである。固有粘度が、0.50dl/gより小さいと機械的強度が低下する傾向があり、3.0dl/gより大きいと、樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、流動性が低下して、成形性が低下する傾向がある。2種類以上のPBT樹脂を併用してもよいが、その場合には、併用したPBT樹脂全体の固有粘度が、上述した範囲内であるのがよい。
上述した特定の末端カルボキシル基量を有する、本発明の(A)PBT樹脂は、特に限定されるものではないが、テレフタル酸及び1,4−ブタンジオールを主原料として重合することにより製造することが出来る。ここで、主原料とは、テレフタル酸が全ジカルボン酸成分の50モル%以上を占め、1,4−ブタンジオールが全ジオール成分の50モル%以上を占めることをいう。テレフタル酸は、全ジカルボン酸成分の80モル%以上を占めることがより好ましく、95モル%以上を占めることがさらに好ましい。1,4−ブタンジオールは、全ジオール成分の80モル%以上を占めることがより好ましく、95モル%以上を占めることがさらに好ましい。一般的には、テレフタル酸及び1,4−ブタンジオール以外の共重合成分が多いと降温結晶化温度が低下するので、共重合成分の含量には上限が存在するが、共重合方法によって上限は変化する。
本発明において、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分に特に制限はなく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。
本発明において、1,4−ブタンジオール以外のジオール成分に特に制限はなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1、6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールなどの脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどの芳香族ジオールなどを挙げることができる。
本発明においては、さらに、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸などの単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトールなどの三官能以上の多官能成分などを共重合成分として用いることができる。
(A)PBT樹脂の製造方法には、回分式反応と連続式反応がある。回分式反応は、エステル交換反応又はエステル化反応と重縮合反応を回分式で行う方法であり、連続式反応は、エステル化反応と重縮合反応を連続的に行う方法である。本発明においては、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを連続的に重合する方法が好ましく、反応終了後の反応槽からの抜き出しの時間的経過に伴う分子量低下、末端カルボキシル基量の増加、残存テトラヒドロフラン量の増加を回避して、高品質の樹脂を容易に得ることができる。
本発明の(A)PBT樹脂の製造法である連続重合法としては、特に制限はないが、直列連続槽型反応器を用いて連続的に重合する方法が好ましい。例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分を、1基又は複数基のエステル化反応槽内で、エステル化反応触媒の存在下に、好ましくは150〜280℃、より好ましくは180〜265℃の温度、好ましくは6.67〜133kPa、より好ましくは9.33〜101kPaの圧力で、攪拌下に2〜5時間で連続的にエステル化反応させる。次いで、得られたエステル化反応生成物であるオリゴマーを、重縮合反応槽に移送し、1基又は複数基の重縮合反応槽内で、重縮合反応触媒の存在下に、好ましくは210〜280℃、より好ましくは220〜265℃の温度、好ましくは26.7kPa以下、より好ましくは20kPa以下の減圧下で、攪拌下に2〜5時間で連続的に重縮合反応させることができる。重縮合反応により得られたPBT樹脂は、重縮合反応槽の底部からポリマー抜き出しダイに移送されてストランド状に抜き出され、水冷されながら又は水冷されたのちに、ペレタイザーで切断されてペレット状などの粒状体とされる。
用いるエステル化反応槽の型式に特に制限はなく、例えば、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽などを挙げることができる。エステル化反応槽は、1基とすることができ、あるいは、同種又は異種の複数基の槽を直列させた複数槽とすることもできる。本発明に用いる重縮合反応槽の型式に特に制限はなく、例えば、縦型攪拌重合槽、横型攪拌重合槽、薄膜蒸発式重合槽などを挙げることができる。重縮合反応槽は、1基とすることができ、あるいは、同種又は異種の複数基の槽を直列させた複数槽とすることもできる。
本発明に用いるエステル化反応触媒に特に制限はなく、例えば、チタン化合物、錫化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物などを挙げることができる。これらの中で、チタン化合物を特に好適に用いることができる。エステル化触媒として用いるチタン化合物としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのチタンアルコラート、テトラフェニルチタネートなどのチタンフェノラートなどを挙げることができる。チタン化合物触媒の使用量は、例えば、テトラブチルチタネートの場合、PBT樹脂の理論収量に対して、チタン原子として90ppm以下(重量比)であることが好ましく、より好ましくは10〜85ppm、更には20〜70ppm、特には25〜50ppmを用いることがより好ましい。チタンは、通常PBT樹脂を製造する際の重合触媒に由来するが、PBT樹脂中のチタン原子の含有量が90ppmより多いと、耐加水分解性が低下する。その理由は定かではないが、触媒由来のチタン原子含量が多いと、高温でのPBT樹脂の分解が促進され、耐加水分解性が低下すると考えられる。一方、PBT樹脂中のチタン原子の含有量が10ppm以下であると、重合速度が低下するばかりでなく、強化充填剤との密着性が悪化し、機械的強度が低下する傾向にある。
チタン原子の含有量は、添加された触媒量から求めることもできるが、電子工業用高純度硫酸および硝酸でPBTを湿式分解し、高分解能ICP(Induced Coupled Plasma)−MS(Mass Spectrometer)(サ−モクエスト社製)を使用することにより測定できる。
本発明に好ましく使用される(A)PBT樹脂は、例えばテレフタル酸と1,4−ブタンジオールに、触媒であるテトラブチルチタネートを、PBT樹脂の理論収量に対しチタン原子として10〜90ppmとなる量添加し、温度180〜240℃の範囲で、常圧で連続的にエステル交換反応させてオリゴマーを得、次いで、そのオリゴマーを230〜270℃、減圧下で連続的に重縮合させることにより製造できる。
(A)PBT樹脂を製造する際に使用する重縮合反応触媒としては、新たな触媒の添加を行うことなく、エステル化反応時に添加したエステル化反応触媒を引き続いて重縮合反応触媒として用いることができ、あるいは、重縮合反応時に、エステル化反応時に添加したエステル化反応触媒と同じ又は異なる触媒をさらに添加することもできる。例えば、テトラブチルチタネートをさらに添加する場合、その使用量は、PBT樹脂の理論収量に対して、チタン原子として、90ppm(重量比)以下であることが好ましく、85ppm(重量比)以下であることがより好ましい。エステル化反応触媒と異なる重縮合反応触媒としては、例えば、三酸化二アンチモンなどのアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウムなどのゲルマニウム化合物などを挙げることができる。
エステル化反応及び/又は重縮合反応においては、前記の触媒の他に、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸、又は、これらのエステルや金属塩などの燐化合物、水酸化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物などの反応助剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−オクチルフェノール、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3',5'−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール化合物、ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオジプロピオネート)などのチオエーテル化合物、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどの燐化合物などの抗酸化剤、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、モンタン酸やモンタン酸エステルなどの長鎖脂肪酸又はそのエステル、シリコーンオイルなどの離型剤や他の添加剤を存在させることができる。
(A)PBT樹脂の製造方法には、テレフタル酸ジメチルなどと、1,4−ブタンジオールとのエステル交換反応を経る方法と、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの直接エステル化反応を経る方法がある。これらの中でも、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを出発原料とする直接エステル化反応方法の方が、原料コスト面から有利であり、また、エステル交換反応を経る方法に比べて、結晶化速度が高いポリブチレンテレフタレートを容易に得ることができるという点で好ましい。
(A)PBT樹脂を製造する際には、更に、PBT樹脂の高粘度化および低末端カルボキシル基化のため、固相重合を行うことも可能である。上述のようにして溶融重合により得られたペレットを、減圧下、融点より20〜3℃ほど低い温度で長時間加熱することにより、固相重合を実施可能である。
本発明で使用される(A)PBT樹脂の降温結晶化温度は、高い弾性率が得られるという観点から、160〜200℃が好ましく、170〜190℃がより好ましい。本発明において、降温結晶化温度は、示差走査熱量計で、降温速度20℃/分の条件で測定した結晶化温度を意味し、この降温結晶化温度は、PBTが溶融した状態から降温速度20℃/分で冷却したときに現れる結晶化による発熱ピークの温度である。
本発明に使用される、PBT樹脂組成物中の残存テトラヒドロフラン量は、300ppm(重量比)以下であり、より好ましくは200ppm(重量比)以下である。PBT樹脂組成物中の残存テトラヒドロフラン量は、PBTペレットを水に浸漬して120℃で6時間処理し、水中に溶出したテトラヒドロフラン量をガスクロマトグラフィーで定量することにより、求めることができる。PBT樹脂組成物中の残存テトラヒドロフラン量を300ppm(重量比)以下とすることにより、本発明樹脂組成物から得られる成形品を高温で使用してもテトラヒドロフランなどのガスの発生が少なくなる。PBT樹脂組成物中の残存テトラヒドロフラン量が300ppm(重量比)を超えると、成形品を高温で使用した際に、テトラヒドロフランなどのガスの発生が多くなり、クラックを引き起こすおそれがある。
残存テトラヒドロフラン量の下限は、特に限定されるものではないが、通常、50ppm(重量比)程度である。残存テトラヒドロフラン量が少ない方が、有機ガスの発生が少なくなる傾向はあるものの、残存量と、ガス発生量は必ずしも比例するものではない。
(B)ポリエステル系熱可塑性エラストマー
本発明に用いる(B)成分としてのポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントが芳香族ポリエステルブロック(B−1)で、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルブロック(B−2)で構成されるポリエステル・エーテル型のブロック共重合体であって、脂肪族ポリエーテルブロック(B−2)が、主としてポリアルキレンエーテルグリコールからなるものである。
本発明における芳香族ポリエステルブロック(B−1)を構成するジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−又は2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、又はそのアルキルエステルが例示でき、また低分子量グリコール又はそのエステル形成性誘導体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールが例示できる。これらの成分はそれぞれ一種又は二種以上を含有していてもよい。
これらの中で、テレフタル酸とテトラメチレングリコールから主としてなるブロック(B−1)が相溶性および耐熱性などの観点より好ましい。具体的には、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体成分中のテレフタル酸が50モル%以上、更には70モル%以上であるのが好ましく、低分子量グリコール又はそのエステル形成性誘導体成分中のテトラメチレングリコールが50モル%以上、更には70モル%以上であるのが好ましい。
脂肪族ポリエーテルブロック(B−2)の主成分であるポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとのブロック又はランダム共重合体等の炭素数1〜8、好ましくは炭素数2〜6のポリアルキレンエーテルグリコールが挙げられ、中でもポリテトラメチレンエーテルグリコールが好ましい。
ここで、ポリアルキレンエーテルグリコールが、脂肪族ポリエーテルブロック(B−2)の主成分であるとは、ポリアルキレンエーテルグリコールが、脂肪族ポリエーテルブロック(B−2)中で、50モル%以上、更には70モル%以上、特には90モル%以上であることを言う。
また、ポリアルキレンエーテルグリコールの重量平均分子量は、400〜6,000、更には500〜4,000、特には600〜3,000であるのが好ましく、(B)成分である熱可塑性エラストマー全体の中のポリアルキレンエーテルグリコール構成単位の含有量は25〜80重量%であり、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%である。この含有量が25重量%未満の場合は、PBT樹脂組成物の低温での曲げ特性が低下し、また、耐加水分解性も低下する。一方、80重量%を超えた場合には、PBT樹脂との親和性が低下し、機械特性が低下する。
更に、本発明のPBT樹脂組成物全体における、ポリアルキレンエーテルグリコール構成単位の含有量は、通常0.1〜30重量%であり、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1.0〜10重量%である。
(B)ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と低分子量グリコール又はそのエステル形成性誘導体とからポリエステルオリゴマーを生成し、このポリエステルオリゴマーに、所定分子量のポリアルキレンエーテルグリコールを所定量混合し、錫触媒などで共重合することにより製造することができ、例えば、商品名「プリマロイ」(三菱化学(株)製)、「ハイトレル」(東レ・デュポン(株)製)、「ペルプレン」(東洋紡績(株)製)などのエラストマーを使用することができる。
本発明の(B)ポリエステル系熱可塑性エラストマーの配合量は、(A)PBT樹脂100重量部に対して、1〜30重量部であり、更には1.5〜20重量部であり、特には2〜10重量部であるのが好ましい。(B)成分の配合量が1重量部よりも少ないと、低温での曲げ歪みの改善効果が少なくなり、一方、30重量部を超えると、弾性率が低下する。
本発明において使用される(B)ポリエステル系熱可塑性エラストマーの固有粘度は、1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量比)の混合溶媒を用いて、温度30℃で測定した場合、通常0.5〜3.0dl/gであり、好ましくは0.6〜2.5dl/gであり、更に好ましくは0.7〜2.0dl/gである。固有粘度が、0.5dl/gより小さくても、3.0dl/gより大きくても、いずれの場合もPBT樹脂との混和性が低下し、機械的性質が発揮されにくい傾向がある。
本発明においては、(B)ポリエステル系熱可塑性エラストマーの固有粘度に対する、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度の比[η(A)/η(B)]が、通常0.3〜3.0、更には0.5〜2.0、特には0.7〜1.5であるのが好ましい。これらの固有粘度の比[η(A)/η(B)]が、0.3より小さくても、3.0より大きくても、いずれの場合も(A)PBT樹脂との混和性が低下し、機械強度(引張強度、曲げ強度、曲げ歪み等)が低下する傾向がある。
(C)エポキシ化合物
本発明のPBT樹脂組成物には、上述した(A)及び(B)成分の他に、(C)エポキシ化合物を配合することがことが好ましい。本発明で使用できる(C)エポキシ化合物としては、単官能性、二官能性、三官能性または多官能性の何れでもよく、また、これらの2種類以上の混合物であってもよい。特に、二官能性、三官能性、多官能性のエポキシ化合物、すなわち、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。また、エポキシ化合物(C)は、アルコール、フェノール系化合物またはカルボン酸とエピクロロヒドリンとの反応から得られるグリシジル化合物、脂環式エポキシ化合物などの何れでもよい。
エポキシ化合物(C)の具体例としては、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル;安息香酸グリシジルエステル、ソルビン酸グリシジルエステル等の脂肪酸グリシジルエステル;アジピン酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル等のジグリシジルエステル;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等の脂環式ジエポキシ化合物;N−グリシジルフタルイミド等のグリシジルイミド化合物などが挙げられる。中でも、本発明の(C)エポキシ化合物としては、グリシジルエーテル又はジグリシジルエーテルが好ましく、更にはビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応から得られるグリシジルエーテル化合物が好ましく、特にビスフェノールAジグリシジルエーテルが好ましい。
(C)エポキシ化合物の配合量は、(A)PBT樹脂100重量部に対して、0.05〜10重量部、更には0.1〜8重量部、特には0.2〜5重量部が好ましい。(C)エポキシ化合物を0.05重量部以上併用することにより、曲げ特性や耐加水分解性、特に低温での曲げ特性の改善効果が、(A)及び(B)成分との相乗効果として発揮される。(C)エポキシ化合物の配合量が10重量部より多い場合には流動性が低下し、成形性が悪化する傾向にある。(B)ポリエステル系熱可塑性エラストマーに対する(C)エポキシ化合物の配合比率(C)/(B)[重量比]は、0.001〜1、更には0.005〜0.8、特には0.01〜0.5が好ましい。0.001より小さいと加水分解の改善効果が少なく、1よりも大きいと流動性が低下する傾向にある。
(D)強化充填材
本発明のPBT樹脂組成物には、上述した(A)及び(B)成分の他に、(D)強化充填材を配合することが好ましい。(D)強化充填材としては繊維状、板状、粒状物およびこれらの混合物が挙げられる。具体的にはガラス繊維、炭素繊維、鉱物繊維、金属繊維、セラミックスウイスカー、ワラストナイト等の繊維状物;ガラスフレーク、マイカ、タルクなどの板状物;シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、カーボンブラック、炭酸カルシウム等の粒状物など周知のものが挙げられる。
本発明で使用する(D)強化充填材の選定の基準は、製品の要求特性によるが、機械的強度や剛性を重視する場合には、繊維状物、特にガラス繊維が選定され、成形品の異方性およびソリの低減を重要視する場合には、板状物、特にマイカが選ばれる。また、粒状物は、成型時の流動性も加味された全体的なバランスのもとで最適なものが選ばれる。
ガラス繊維は、一般に樹脂強化用に使用されるものならば特に限定されないが、例えば、長繊維タイプ(ロービング)や短繊維タイプ(チョップドストランド)などが使用でき、繊維径は通常6〜13μmである。また、ガラス繊維は集束剤(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル等)、カップリング剤(例えば、シラン化合物、ボロン化合物等)、その他の表面処理剤等で処理されていてもよい。
(D)強化充填材の配合量は、(A)PBT100重量部に対して、通常1〜140重量部であり、剛性及び寸法安定性の観点から、更には5〜100重量部、特には10〜50重量部が好ましい。(D)強化充填材を配合しない場合でも、本発明の低温特性の改善効果は発揮されるが、強化充填材を配合した場合には破損トラブルが発生しやすいため、強化充填材を配合した樹脂組成物の場合に、本発明の効果がより発揮される。(B)ポリエステル系熱可塑性エラストマーに対する(D)強化充填材の配合比率(D)/(B)[重量比]は、0.1〜100、更には0.5〜50、特には1〜20が好ましい。0.1未満では強度向上の効果が小さく、また、100を超えると靭性が低下する傾向がある。
(E)難燃剤
本発明の樹脂組成物は、上記成分(A)、(B)、(C)及び(D)以外に、本発明の目的を阻害しない範囲内において、(E)難燃剤を使用でき、難燃剤としては、ハロゲン系又はリン系が使用できる。
本発明においては、(E)難燃剤としては、分子中にハロゲン原子を有するハロゲン系難燃剤が好ましく、特に臭素含有率が20重量%以上のものが好ましい。
ハロゲン系難燃剤の好ましい具体例としては、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールA、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、ブロム化イミド等が挙げられ、中でも、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、又は、ブロム化イミドが、(C)エポキシ化合物による効果を阻害しない点で好ましい。
(E)難燃剤の配合量は、(A)PBT樹脂100重量部に対して、通常、5〜40重量部である。(E)難燃剤が5重量部未満では、十分な難燃性が得られにくく、40重量部を越えると物性、特に機械強度が低下しやすい傾向がある。難燃剤の配合量は、難燃性と物性とのバランスの点から、PBT樹脂100重量部に対して、好ましくは7〜35重量部、より好ましくは8〜25重量部である。
本発明の樹脂組成物においては、(E)難燃剤と共に、難燃助剤としてのアンチモン化合物を併用してもよい。アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。
アンチモン化合物の配合量は、(A)PBT樹脂100重量部に対して、2〜40重量部である。アンチモン化合物が2重量部未満では、十分な難燃性が得られにくく、40重量部を越えると物性が低下しやすい傾向がある。アンチモン化合物の配合量は、難燃性と物性とのバランスの点から、PBT樹脂100重量部に対して、好ましくは2〜30重量部、より好ましくは3〜20重量部である。(E)難燃剤に対するアンチモン化合物の配合比率(アンチモン化合物)/(E)[重量比]は、0.2〜1、更には0.5〜0.8が好ましい。この範囲を外れる比率では、難燃効果が発現されにくい傾向がある。
上述した(A)〜(E)成分以外にも、周知の種々の添加剤、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸およびそのエステル、シリコンオイル等の離型剤;ヒンダードフェノール系、亜燐酸エステル系、硫黄含有エステル化合物系等の熱安定剤;結晶化促進剤;紫外線吸収剤あるいは耐候性付与剤;染料、顔料、発泡剤等を含有しても良い。
また、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロンMXD6等の各種ナイロン、各種ナイロンエラストマー、液晶ポリマー、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、ABS、AS、MS等のスチレン系樹脂、各種アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂を含有していてもよい。
更には、イソブチレン−イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム−スチレン、エチレン−プロピレンゴム、アクリル系エラストマー等のエラストマーや、アイオノマー樹脂、フェノキシ樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含有しても良い。
本発明のPBT樹脂組成物は、上述した各成分(A)〜(E)、並びに、必要に応じて用いられる各種添加成分を配合し、溶融混練することによって得ることができる。各成分の配合方法は、通常用いられる装置、例えば、リボンブレンダー、ヘンセルミキサー、ドラムブレンダー等を用いて行われる。溶融混練法としては、各種押出機、ブラベンダーブラストグラフ、ラボプラストミル、ニーダー、バンバリーミキサー等が使われる。溶融混練に際しての加熱温度は、通常230〜290℃であるが、溶融混練時に樹脂組成物が分解することを抑制するため、上述した添加剤のうちの熱安定剤を配合するのが好ましい。
上述した各成分は、任意成分を含め、溶融混練機に一括して供給することもできるし、順次供給することもできる。また、任意成分を含めた各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合しておくこともできる。ガラス繊維などの繊維状の(D)強化充填材を配合する場合には、他の成分を含む樹脂組成物を溶融させた後に、押出機の途中から添加することにより、PBT樹脂組成物の破砕を避け、引張強度、曲げ強度等の機械的強度の点で高い特性を発揮させることが出来る。
本発明のPBT樹脂組成物は、既知の種々の成形方法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形等の方法により、電機・電子機器分野、自動車分野、機械分野、医療分野等の成形品を得ることができる。特に好ましい成形方法は、流動性の良さから射出成形法であり、射出成形に当たっては、樹脂温度を240〜280℃にコントロールするのが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「重量部」を示す。
[原材料]
(A)ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂
(A−1)ポリブチレンテレフタレート樹脂1(PBT1):
固有粘度0.83dl/g、末端カルボキシル基量16eq/ton、降温結晶化温度177℃、残留THF180ppm
(A−2)ポリブチレンテレフタレート樹脂2(PBT2)
固有粘度0.85dl/g、末端カルボキシル基量35eq/ton、降温結晶化温度176℃、残留THF250ppm
(B)熱可塑性エラストマー(PTMG共重合ポリブチレンテレフタレート)
(B−1)ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、重量平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGとする)をソフトセグメントとするポリエステル・エーテル型のブロック共重合体(PTMGの含有量50重量%、固有粘度0.95dl/g)
(B−2)ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、重量平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとするポリエステル・エーテル型のブロック共重合体(PTMGの有量10重量%、固有粘度0.95dl/g)
(C)エポキシ化合物:ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(旭電化製、アデカサイザー EP−17)
(D)強化充填剤:ガラス繊維(日本電気硝子製、T−187 繊維径13μm)
[PBT樹脂の製造法]
(PBT1)
テレフタル酸1.0モルに対して1,4−ブタンジオール1.8モルの割合で、両原料をスラリー調製槽に供給し、攪拌装置で混合して調製したスラリー2,976重量部(テレフタル酸9.06モル部、1,4−ブタンジオール16.31モル部)を、ギヤポンプにより、温度230℃、圧力101kPaに調整した第一エステル化反応槽に連続的に移送するとともに、テトラブチルチタネート3.14重量部を供給し、滞留時間2時間で、攪拌下にエステル化反応させてオリゴマーを得た。
第一エステル化反応槽で得られたオリゴマーを、温度240℃、圧力101kPaに調整した第二エステル化反応槽に移送し、滞留時間1時間で、撹拌下にエステル化反応をさらに進めた。次いで、第二エステル化反応槽で得られたオリゴマーを、温度250℃、圧力6.67kPaに調整した第一重縮合反応槽に移送し、滞留時間2時間で、攪拌下に重縮合反応させ、プレポリマーを得た。
第一重縮合反応槽で得られたプレポリマーを、温度250℃、圧力133Paに調整した第二重縮合反応槽に移送し、滞留時間3時間で、攪拌下に重縮合反応をさらに進めて、ポリマーを得た。このポリマーを第二重縮合反応槽から抜き出してダイに移送し、ストランド状に引き出して、ペレタイザーで切断することにより、ベレット状のポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT1)を得た。
(PBT2)
テレフタル酸1.0モルに対して1,4−ブタンジオール1.8モルの割合で、両原料をスラリー調製槽に供給し、攪拌装置で混合して調製したスラリー2,976重量部(テレフタル酸9.06モル部、1,4−ブタンジオール16.31モル部)を、ギヤポンプにより、温度250℃、圧力101kPaに調整した第一エステル化反応槽に連続的に移送するとともに、テトラブチルチタネート3.14重量部を供給し、滞留時間1時間で、攪拌下にエステル化反応させてオリゴマーを得た。
第一エステル化反応槽で得られたオリゴマーを、温度260℃、圧力101kPaに調整した第二エステル化反応槽に移送し、滞留時間0.5時間で、撹拌下にエステル化反応をさらに進めた。次いで、第二エステル化反応槽で得られたオリゴマーを、温度270℃、圧力6.67kPaに調整した第一重縮合反応槽に移送し、滞留時間1時間で、攪拌下に重縮合反応させ、プレポリマーを得た。
第一重縮合反応槽で得られたプレポリマーを、温度270℃、圧力133Paに調整した第二重縮合反応槽に移送し、滞留時間1.5時間で、攪拌下に重縮合反応をさらに進めて、ポリマーを得た。このポリマーを第二重縮合反応槽から抜き出してダイに移送し、ストランド状に引き出して、ペレタイザーで切断することにより、ベレット状のポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT2)を得た。
[成形品の性能評価法]
(1)引張試験
ISO527に準拠して測定した。
(2)曲げ試験
ISO178に準拠して測定した。ここで、曲げ歪みの値(%)は、成形品の靭性を表し、(曲げ歪み/曲げ弾性率)の値が高いことは、成形品が硬い(変形し難い)割りに靭性が高いことを示すものである。
(3)耐加水分解性
ISO試験片を、121℃、飽和水蒸気中、203kPaで100時間湿熱処理し、処理前後の引張強度をISO527に従って測定し、次式に従って保持率を求め、耐加水分解性とした。
強度保持率(%)=(処理後の引張強度/処理前の引張強度)×100
[実施例1〜2、比較例1〜5]
表1に記載の配合割合となるよう各成分を混合し、スクリュー径30mmのベント付き二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30C)を用いて、260℃にて各成分を溶融混練し、ストランド状に押し出してPBT樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを、住友重機械(株)製射出成型機(型式SG−75SYCAP−MIII)を使用して、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、ISO試験片を成形し、上記の試験方法により性能評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006219611
(1)実施例1と比較例2、実施例2と比較例4とをそれぞれ比較すると、(A)末端カルボキシル基量が30eq/ton以下のPBT樹脂を配合する実施例1及び2においては、低温(−40℃)での曲げ歪み量が高く、且つ曲げ歪み/曲げ弾性率(一般的には数値が高いほど靭性が高いことを示す)も高く、また23℃の曲げ歪み量に対する保持率も高く、低温においても破損しにくいことを示している。また、同時に実施例1及び2は、良好な耐加水分解性を示しており、自動車向けコネクター用材料としても適していることが分かる。
(2)実施例1と比較例5とを比較すると、本発明の(B)ポリエステル・エーテル型のブロック共重合体を配合していない比較例5においては、耐加水分解性は同等であるが、23℃および−40℃における曲げ歪み量が小さく、脆い材料であることが分かる。
また、実施例1と比較例1、実施例2と比較例3とをそれぞれ比較すると、ポリエステル・エーテルブロック共重合体中のPTMGの含有量が、本発明の範囲内(25〜80重量%)にある実施例1及び2においては、低温(−40℃)での曲げ歪み量が高く、且つ曲げ歪み/曲げ弾性率(靭性)も高く、また23℃の曲げ歪み量に対する保持率も高く、低温においても破損しにくいことを示している。また、同時に実施例1及び2は、良好な耐加水分解性を示している。
従って、本発明において達成される低温での曲げ特性及び耐加水分解性は、(A)PBT樹脂の末端カルボキシル基量、および(B)ポリエステル・エーテル型のブロック共重合体中のPTMG含有量、の各々を本発明の範囲内とすることによる相乗効果であることが分かる。
(3)実施例1と実施例2とを比較すると、(C)エポキシ化合物を配合することにより、上述した本発明の(A)及び(B)成分と同様に、低温での曲げ歪み量、曲げ歪み/曲げ弾性率(靭性)、23℃の曲げ歪み量に対する保持率、及び耐加水分解性が向上することが分かる。エポキシ化合物の配合により、一般的には架橋的性質が現れるため、成形品の靭性が低下する傾向があることを考慮すると、本発明におけるエポキシ化合物の効果は意外である。

Claims (5)

  1. (A)末端カルボキシル基量が30eq/ton以下のポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、(B)重量平均分子量が400〜6000のポリアルキレンエーテルグリコールを構成単位として25〜80重量%含有するポリエステル・エーテル型のポリエステル系熱可塑性エラストマーを1〜30重量部配合してなることを特徴とするポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  2. (B)ポリエステル系熱可塑性エラストマーの固有粘度に対する、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度の比[η(A)/η(B)]が、0.3〜3.0である請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. (C)エポキシ化合物を、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、0.05〜10重量部配合する請求項1又は2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  4. (D)強化充填材を、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、1〜140重量部配合する請求項1〜3のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
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