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JP2006215537A - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

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JP2006215537A JP2005375184A JP2005375184A JP2006215537A JP 2006215537 A JP2006215537 A JP 2006215537A JP 2005375184 A JP2005375184 A JP 2005375184A JP 2005375184 A JP2005375184 A JP 2005375184A JP 2006215537 A JP2006215537 A JP 2006215537A
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JP2005375184A
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Toyoshi Sawada
豊志 澤田
Yasutaka Iwamoto
康敬 岩本
Keiko Matsumoto
桂子 松本
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

【課題】立ち上がり時間が短く、小粒径トナーの低温での定着が可能であり、かつ光沢ある異常画像のないフルカラー画像形成方法の提供及び立ち上がり時間が短く、低温での定着が可能な定着装置を提供し、これを用いた異常画像のないフルカラー画像形成装置の提供。
【解決手段】異なる色のトナー像を重ね合わせることにより多色像を形成するベルト定着方式の画像形成方法において、定着ニップ時間が30〜100msecで、定着圧が0.5〜3kgf/cmであり、かつ該トナーは少なくとも結晶性ポリエステルAと非晶質性樹脂Bとを含有するトナーであることを特徴とする画像形成方法および該方法を実施する為の画像形成装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真プロセスを用いる複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成方法および画像形成装置に関する。
従来、乾式現像方式で用いられている定着方式としては、そのエネルギー効率の良さから、加熱ヒートローラ方式が広く一般に用いられている。近年はトナーの低温定着化による省エネルギーを図るため、定着時にトナーに与えられる熱エネルギーは小さくなる傾向にある。1999年度の国際エネルギー機関(IEA)のDSM(Demand−side Management)プログラム中には、次世代複写機の技術調達プロジェクトが存在し、その要求仕様が公表され、30cpm以上の複写機については、待機時間が10秒以内、待機時の消費電力が10〜30ワット以下(複写速度で異なる)とするよう、従来の複写機に比べて飛躍的な省エネ化の達成が要求されている。この要求を達成するための方法のとして、
(1)定着部材を低熱容量化させること
(2)トナーを低温定着化すること
が必須の技術的達成事項であると考えられる。
トナー像を転写紙上に加熱定着する方法としては、大別して接触定着法と非接触定着法があり、前者は加熱ローラ定着、ベルト定着、後者はフラッシュ定着、オーブン(雰囲気)定着があげられる。ベルト定着方式はトナー像と加熱ローラが直接接触するため、極めて熱効率の良い定着方式である。特許文献1に開示されるベルト定着方式では、図1に示すように、定着ローラ100と、加熱ローラ110と、これら両ローラに張架された無端状の定着ベルト120と、この定着ベルト120を介して定着ローラ100に対向して設けられた加圧ローラ130を有する。ここでは定着ベルト120を加圧ローラ130に巻きつかせて、定着ベルト120と加圧ローラ130とによるニップNを形成し、加熱ローラ110をニップNの入口gの手前方向に配設している。この場合、熱容量の小さな定着ベルト120を予め加熱してからニップNを通過する記録材140にトナーを定着することとなり、立上り時間が比較的短く、広いニップ幅Lを有することにより、低温での定着が可能であるという特徴がある。
トナーの低温定着化という点について、従来多用されてきたスチレン−アクリル系樹脂にかえて、低温定着性にすぐれ耐熱保存性も比較的良いポリエステル樹脂の使用が試みられている。しかし、更なる低温定着化のためには、樹脂そのものの熱特性をコントロールすることが必要となるが、ガラス転移温度(Tg)を下げすぎると耐熱保存性を悪化させたり、分子量を小さくして樹脂の軟化温度〔T(F1/2)〕を下げすぎるとホットオフセット発生温度を低下させるなどの問題がある。このため、低温定着性に優れるポリエステル樹脂でも、樹脂そのものの熱特性をコントロールすることにより低温定着性に優れ、かつホットオフセット発生温度の高いトナーを得るには至っていない。
この問題を解決するために、結着樹脂中にガラス転移温度でシャープメルト性を有する特定の非オレフィン系結晶性重合体を添加する試み(特許文献2)や、結晶性ポリエステルを用いる試み(特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7)がある。
近年、デジタル式複写機、レーザープリンター等の発展により、高画質化への要求が高いものとなっている。特に、プリンターにあっては、現状では、300dpiという高画質化が主流であるが、今後は、480dpi、600dpiへと高画質化は一層進展することが予想されている。このような状況下、用いるトナーの小粒径化はさらに厳しく要求されることは必至である。トナー粒径が小さい場合、定着部材間で加圧してもトナー粒子に圧が加わり難いため、定着性が悪くなる事が知られている。特にベルト定着のように面圧を低くした定着装置の場合、この傾向が顕著となる。加熱ベルト定着方式を用いて低温定着化を図るためには、定着方式の特徴に応じて定着条件、トナー粒径、溶融特性を考慮したトナー処方設計を最適化することが必要である。
特開平10−307496号公報 特開昭62−63940号公報 特開2003−167384号公報 特許第2931899号公報 特開2001−222138号公報 特開2004−212740号公報 特開2004−279476号公報
上記問題点に鑑み、本発明は、立ち上がり時間が短く、小粒径トナーの低温での定着が可能であり、かつ光沢ある異常画像のないフルカラー画像形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、立ち上がり時間が短く、低温での定着が可能な定着装置を提供し、これを用いた異常画像のないフルカラー画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の第1は、異なる色のトナー像を重ね合わせることにより多色像を形成するベルト定着方式の画像形成方法において、定着ニップ時間が30〜100msecで、定着圧が0.5〜3kgf/cmであり、かつ該トナーは結着樹脂として少なくとも結晶性ポリエステルAと非晶質性樹脂Bとを含有するトナーであることを特徴とする画像形成方法に関する。
本発明の第2は、定着装置が、定着ローラと加熱ローラとに張架された無端状の定着ベルトと、定着ベルトを介して定着ローラに対向して設けられる加圧ローラとを備え、少なくとも定着ベルトが加圧ローラに巻き付けられた部分と定着ベルトを挟んで定着ローラと加圧ローラが当接した部分とから成るニップにより記録材上に担持されている未定着トナー像を加熱加圧することを特徴とする請求項1記載の画像形成方法に関する。
本発明の第3は、定着装置が、定着ベルトの搬送経路内側にあって同搬送経路を折り曲げるよう配備され、ニップ入口での定着ベルトの張力を上げるガイド部材を有し、ガイド部材が加圧ローラとの間に達する定着ベルトを加圧ローラより離して張架することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の画像形成方法に関する。
本発明の第4は、ベルト加熱手段が、加熱ベルトの内部または外部の何れか一方、または両方に、熱源として輻射加熱源もしくは誘導加熱熱源を設けた構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法に関する。
本発明の第5は、ベルト加熱手段が、加圧ローラ及び搬送ローラの内、少なくとも該搬送ローラ内に輻射熱源を設けた構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成方法に関する。
本発明の第6は、ポリエステル樹脂Aのガラス転移点が80〜130℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5に記載の画像形成方法に関する。
本発明の第7は、結着樹脂におけるポリエステル樹脂Aの含有率が1〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成方法に関する。
本発明の第8は、ポリエステル樹脂Aを構成するアルコール成分が1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールの中から選ばれる少なくとも1つからなり、一方、該ポリエステル樹脂Aを構成する酸成分がマレイン酸及びフマル酸の中から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成方法に関する。
本発明の第9は、非晶質性ポリエステルBを構成する酸成分がマレイン酸及びフマル酸の中から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成方法に関する。
本発明の第10は、トナーが離型剤を含有する静電荷現像用トナーであって、該離型剤が70〜90℃のガラス転移点を有するものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成方法に関する。
本発明の第11は、離型剤が脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成方法に関する。
本発明の第12は、用いられるトナーは、重量平均粒径が3〜8μmで、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の画像形成方法に関する。
本発明の第13は、請求項1〜12のいずれかに記載の画像形成方法に用いることを特徴とする画像形成装置に関する。
発明者らは低温で立ち上がり時間の短い定着方法について検討した結果、トナーとして、低温定着性に優れた結晶性ポリエステル樹脂を処方したトナーとベルト定着装置の組み合わせにおいて、定着装置の定着圧、定着ニップ時間に最適な数値範囲があることを見出した。
(1) トナー処方:
結晶性を有するポリエステル樹脂Aはガラス転移温度(Tg)において結晶転移を起こすと同時に、固体状態から急激に溶融粘度が低下し、紙などの記録媒体への定着機能を発現する。一方、通常トナー用樹脂として用いられる非晶性樹脂は、Tgから徐々に溶融粘度が低下し、Tgと定着機能を発現するほど溶融粘度が低下する温度〔たとえば軟化温度T(F1/2)〕との間には数10℃の差がある。したがって、非晶性樹脂のみを用いたトナーを低温定着にするためには、樹脂Tgを低くしたり、分子量を低くするなどして、T(F1/2)を下げる必要があるが、副作用として耐熱保存性や耐ホットオフセット性が不十分になりやすい。
そこで、結晶性を有するポリエステル樹脂と非晶性樹脂とを組み合わせることにより、非晶性樹脂だけではできなかった、耐熱保存性や耐ホットオフセット性の悪化を伴なわない溶融粘度の低下による低温定着化を達成できる。
(2) 定着圧:
定着圧が0.5〜3kgf/cmであることが好ましい。立ち上がり時間を短くくするためには定着部材の薄肉化が必須であり、薄肉化を達成するためには定着圧が低いほうが好ましく、3kgf/cm以下であることが好ましい。一方、異なる色のトナー像を重ね合わせることにより多色像を形成するフルカラー画像形成においては、多重に重なり合った異なる色のトナー層が均一に溶融して一体化し平滑なトナー層を形成している必要があり、定着圧が0.5kgf/cmより低い場合には、多重に重なり合った異なる色のトナー層が均一に溶融せず平滑なトナー層を形成しないため、画像光沢が低く、透明度の悪い画像となる。また、定着時のトナーの変形が少ないためトナーの定着性が悪い、トナーの広がりが少ないため画像濃度が低くなるなどの問題が生じる。
(3)定着ニップ時間:
定着ニップ時間が30〜100msecであることが好ましい。印刷速度を高速化、装置の小型化のためには定着ニップ時間の短縮が必須であり、100msec以下であることが好ましい。定着ニップ時間が30msecより短い場合には、トナー加熱時間が不足するために定着圧が0.5kgf/cmより低い場合と同様の不具合が発生する。
(トナー構造)
(2)(3)の定着条件、すなわち低定着圧、長定着ニップ時間で記録媒体である紙繊維に浸透し、かつトナーが融解して紙上で十分に広がりを持ち高い画像濃度を得ると同時に、耐熱保存性に優れたトナーとするための結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、低温定着性への効果を発現するために、結着樹脂全体量に対して5重量%以上必要である。この量が多くなると低温定着化への効果が大きいが、多すぎると結晶性を有する樹脂が耐ホットオフセット性が悪化する。従って、多くても50重量%以下であることが好ましい。より好ましくは40重量%以下である。
結晶性を有する樹脂は、ガラス転移温度(Tg)において急激に溶融粘度が低下するので、その含有量だけでなく、TgとT(F1/2)によっても定着下限温度を制御することが可能である。本発明においては、耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが好ましく、結晶性を有するポリエステル樹脂のTgが80〜130℃の範囲、T(F1/2)が80〜130℃の範囲にあることが好ましい。TgおよびT(F1/2)が上記範囲より低くなると、シャープメルト性を有し、低温定着性に効果を発現しやすい結晶性ポリエステルは合成が困難であり、130℃より高い場合には、定着下限温度が高くなるため低温定着性が得られなくなる。
本発明のトナーは、該トナー中に実質上相互に非相溶性の結晶性ポリエステル樹脂Aと非結晶性樹脂Bとを含有させ、両者をトナー中に非相溶の相分離状態に存在させたことから、すぐれた耐ホットオフセット性と低温定着性を有する。即ち、本発明のトナーでは、結晶性ポリエステル樹脂Aと非結晶性樹脂Bとは、相分離状態で存在することから、結晶性ポリエステル樹脂A、と非結晶性樹脂Bはそれぞれの固有の特性を発現する。即ち、高いT(F1/2)を有する非結晶性樹脂Bはトナーの弾性を高め、耐ホットオフセット性を向上させ、一方、低いT(F1/2)を有する結晶性ポリエステルAは低温定着性を向上させる。
なお、トナー中において、ポリエステル樹脂Aと樹脂Bが相分離状態で存在するか否かは、以下に示すいずれかの方法により確認することができる。
(1)トナーのDSC(示差熱分析)1回目の昇温による吸熱ピーク測定により相分離構造の形成の有無を確認できる。DSC吸熱ピーク測定において、少なくとも非晶質樹脂B、離型剤及び結晶性ポリエステル樹脂Aにそれぞれ帰属される3つの吸熱ピーク(A)、(B)、(C)が存在し、樹脂Bに帰属される吸熱ピーク(A)が40〜70℃の範囲にピークトップを有するものであり、離型剤に帰属される吸熱ピーク(B)が70〜90℃の範囲にピークトップを有するものであり、ポリエステル樹脂Aに帰属される吸熱ピーク(C)が80〜130℃の範囲にピークトップを有するものである。
(2)トナーの粉末X線回折装置によるX線回折パターン測定により、相分離構造の形成の有無を確認できる。これは、本発明のトナーの場合、結晶性を有するポリエステル樹脂Aが結晶性を保持した状態で非晶質のポリエステル樹脂Bと相分離した状態でトナー中に存在することから、ポリエステル樹脂Aに帰属される回折ピークが少なくとも2θ=20°〜25°の位置に存在する。相分離構造が形成されていない場合は、結晶性ポリエステル樹脂Aの結晶構造が維持されずに非晶質のポリエステル樹脂Bと相溶するために結晶性ポリエステル樹脂Aに帰属する回折ピークが現れない。
ここで、本発明におけるガラス転移点(Tg)や融点の測定とは、具体的に次のような手順で決定される。測定装置として島津製作所製TA−60WS、及びDSC−60を用い、次に示す測定条件で測定した。
測定条件
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
測定した結果は前記島津製作所製データ解析ソフト(TA−60、バージョン1.52)を用いて解析を行った。
解析方法は2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線のもっとも低温側に最大ピークを示す点を中心として±5℃の範囲を指定し、解析ソフトのピーク解析機能を用いてピーク温度を求めこれを融点とする。
次にDSC曲線で前記ピーク温度+5℃、及び−5℃の範囲で解析ソフトのピーク解析機能をもちいてDSC曲線の最大吸熱温度を求める。ここで示された温度がトナーのTgに相当する。
軟化温度〔T(F1/2)〕は、島津製作所製 高架式フローテスターCF−500を使用し、ダイ口径:0.50mm、ダイ長さ:1.0mm、荷重10kgf/cm、昇温速度3℃/minの条件下で荷重:30kgf/cmで加圧整形した試料を溶融流出させた時1/2法における溶融温度のことであり、例えば島津製作所製の高架式フローテスターCFT500型がある。このフローテスターのフローカーブは図5(a)、(b)に示されるデータになり、そこから各々の温度を読み取ることができる。
図中、Tsは軟化温度、Tfbは流出開始温度であり、1/2法における溶融温度とあるのが、本発明の軟化点に該当する。
《測定条件》 荷重:30kgf/cm、昇温速度:3.0℃/min、
ダイ口径:0.50mm、ダイ長さ:1.0mm
尚、
図5(a)において、
A〜B;軟化領域(試料が次第に圧縮されつつ変形し内部間隙が減少していく領域)
B;軟化温度Ts(間隙が消失して外観的均一な一個の透明体または相になる温度)
B〜C;停止領域(プランジャーの位置に明瞭な変動のない領域)
C;流出開始温度Tfbまたは溶融温度Tfb(プランジャーが明らかに降下し始め
る温度)
C〜D〜E;流出領域(試料が明らかにノズルから流出していく領域)
図5(b)において
X;流出領域〔図(a)におけるC〜D〜E〕のプランジャー位置変化量Smax−
Sminの半値
を示す。
(結晶性ポリエステルA)
本発明で用いる結晶性を有するポリエステル樹脂Aは、その分子主鎖中に下記一般式(1)で表されるエステル結合を含有する結晶性脂肪族ポリエステル樹脂からなることを特徴とする。
−OOC−R−COO−(CH− (1)
前記式中、Rは直鎖状不飽和脂肪族2価カルボン酸残基を示し、炭素数2〜20、好ましくは2〜4の直鎖状不飽和脂肪族基である。nは2〜20、好ましくは2〜6の整数である。
一般式(1)の構造の存在は固体C13NMR(核磁気共鳴分析)により確認することが出来る。
前記直鎖状不飽和脂肪族基の具体例としては、マレン酸、フマル酸、1,3−n−プロペンジカルボン酸、1,4−n−ブテンジカルボン酸等の直鎖状不飽和2価カルボン酸由来の直鎖状不飽和脂肪族基を挙げることができる。
前記一般式(1)において、(CHは直鎖状脂肪族2価アルコール残基を示す。
この場合の直鎖状脂肪族2価アルコール残基の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖状脂肪族2価アルコールから誘導されたものを示すことができる。ポリエステル樹脂Aは、その酸成分として、直鎖状不飽和脂肪族ジカルボン酸を用いたことから、芳香族ジカルボン酸を用いた場合に比べて結晶構造を形成し易いという作用効果を示す。
ポリエステル樹脂Aは、(i)直鎖状不飽和脂肪族2価カルボン酸又はその反応性誘導体(酸無水物、炭素数1〜4の低級アルキルエステル、酸ハライド等)からなる多価カルボン酸成分と、(ii)直鎖状脂肪族ジオールからなる多価アルコール成分とを、常法により重縮合反応させることによって製造することができる。この場合、多価カルボン酸成分には、必要に応じ、少量の他の多価カルボン酸を添加することができる。この場合の多価カルボン酸には、(i)分岐鎖を有する不飽和脂肪族2価カルボン酸、(ii)飽和脂肪族2価カルボン酸や、飽和脂肪族3価カルボン酸等の飽和脂肪族多価カルボン酸の他、(iii)芳香族2価カルボン酸や芳香族3価カルボン酸等の芳香族多価カルボン酸等が包含される。これらの多価カルボン酸の添加量は、全カルボン酸に対して、通常、30モル%以下、好ましくは10モル%以下であり、得られるポリエステルが結晶性を有する範囲内で適宜添加される。
必要に応じて添加することのできる多価カルボン酸の具体例を示すと、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の2価カルボン酸;無水トリメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の3価以上の多価カルボン酸等を挙げることができる。
前記多価アルコール成分には、必要に応じ、少量の脂肪族系の分岐鎖2価アルコールや環状2価アルコールの他、3価以上の多価アルコールを添加することができる。その添加量は、全アルコールに対して、30モル%以下、好ましくは10モル%以下であり、得られるポリエステルが結晶性を有する範囲内で適宜添加される。
必要に応じて添加される多価アルコールを例示すると、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ポリエチレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、グリセリン等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂Aにおいて、その分子量分布は、低温定着性の点から、シャープであるのが好ましく、また、その分子量は、比較的低分子量であるのが好ましい。ポリエステル樹脂Aの分子量は、そのo−ジクロルベンゼン可溶分のGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフ、液体クロマトグラフの一種)による分子量分布において、その重量平均分子量(Mw)が5500〜6500、その数平均分子量(Mn)が1300〜1500及びそのMw/Mn比が3.7〜5.0であることが好ましい。
ポリエステル樹脂Aについての前記分子量分布は、横軸をlog(M:分子量)とし、縦軸を重量%とする分子量分布図に基づくものである。本発明で用いるポリエステル樹脂Aの場合、この分子量分布図において、3.5〜4.0(重量%)の範囲に分子量ピークを有することが好ましく、またそのピークの半値幅が1.5以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂Aにおいて、そのガラス転移温度(Tg)及び軟化温度〔T(F1/2)〕は、トナーの耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが望ましいが、一般的には、そのTgは80〜130℃、好ましくは80〜125℃であり、そのT(F1/2)は80〜130℃、好ましくは80〜125℃である。Tg及びT(F1/2)が前記範囲より高くなると、トナーの定着下限温度が高くなるため、トナーの低温定着性が悪化する。
本発明における樹脂微粒子が結晶性を有するか否かは、粉末X線回折装置によるX線回折パターンにピークが存在するかどうかで確認できる。本発明で用いる結晶性を有するポリエステル樹脂Aは、その回折パターンにおいて、その2θが20°〜25°の位置に少なくとも1つの回折ピークが存在すること、好ましくはその2θが、少なくとも(i)19°〜20°、(ii)21°〜22°、(iii)23°〜25°及び(iv)29°〜31°の位置に回折ピークが存在することを特徴とする。
粉末X線回折測定は理学電機RINT1100を用い、管球をCu、管電圧−電流を50kV−30mAの条件で広角ゴニオメーターを用いて測定した。
(非晶質性樹脂B)
結着樹脂として、結晶性を有するポリエステル樹脂Aと併用する非晶性(非結晶性)樹脂Bは、従来公知の樹脂がすべて使用可能である。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変成マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、石油系樹脂、水素添加された石油系樹脂などがある。これら中でも芳香族化合物を成分として含有するスチレン系樹脂やポリエステル樹脂が好ましい。特に好ましいものはポリエステル樹脂である。
非結晶性ポリエステル樹脂Bは多価アルコールと多価カルボン酸から合成される。多価アルコールや多価カルボン酸は、結晶性ポリエステル樹脂Aに使われる成分が使用可能であり、これ以外にもビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、イソフタル酸、テレフタル酸およびそれらの誘導体などがある。
これらの樹脂は単独使用に限らず、2種以上併用することも可能である。
ポリエステル樹脂の分子構造については限定的でないが、特にアルコール成分がビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の少なくとも一つであり、酸成分が炭素間の不飽和二重結合を有することが望ましく、特に少なくともフマル酸、マレイン酸及びそれらの誘導体を含有することが望ましい。
ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bの酸成分が炭素間の不飽和二重結合を有する場合には、トナー製造における溶融混練工程においてポリエステルAの炭素間の不飽和二重結合とポリエステル樹脂Bの炭素間の不飽和二重結合とが相互作用を生じ、ポリエステルAおよびポリエステル樹脂Bが微分散されて混合される。これは両樹脂のドメインの界面で部分的に可塑化が生じているためである。これに対して、ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bのいずれかに炭素間の不飽和二重結合が無い場合には、部分酸化が行われず、ポリエステル樹脂Aドメインのオフセット(ホットオフセット現象として発生)およびポリエステル樹脂Bドメインのオフセット(コールドオフセット現象として発生)が発生し易いという問題がある。
本発明で用いるポリエステル樹脂Bの分子量は、そのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPCによる分子量分布において、その重量平均分子量(Mw)が3000〜100000、その数平均分子量(Mn)が1500〜4000及びそのMw/Mn比が2〜50であることが好ましい。
ポリエステル樹脂Bについての前記分子量分布は、横軸をlog(M:分子量)とし、縦軸を重量%とする分子量分布図に基づくものである。本発明で用いるポリエステル樹脂Bの場合、この分子量分布図において、2.5〜4.5(重量%)の範囲に分子量ピークを有することが好ましい。
ポリエステル樹脂Bにおいて、そのガラス転移温度(Tg)及び軟化温度〔T(F1/2)〕は、トナーの耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが望ましいが、一般的には、そのTgは45〜75℃、好ましくは50〜70℃であり、そのT(F1/2)は90〜150℃、好ましくは90〜130℃である。Tg及びT(F1/2)が前記範囲より高くなると、トナーの定着下限温度が高くなるため、トナーの低温定着性が悪化する。
(離型剤)
本発明においてトナーに使用される離型剤としては公知のものが全て使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナーバインダー中に分散した時の粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は10〜30が好ましい。その理由は本発明のトナー結着樹脂に対してこれらのワックスは適度に微分散するため後述するようにオフセット防止性と転写性・耐久性ともに優れたトナーとすることが容易なためである。これらワックス類は1種又は2種以上を併用して用いることができる。
その他の離型剤としては、固形シリコーンワックス、高級脂肪酸高級アルコール、モンタン系エステルワックス、ポリプロピレンワックス等、従来公知のいかなる離型剤をも混合して使用できる。
本発明のトナーに使用する離型剤のTgは70〜90℃が好ましい。70℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、90℃超では低温での離型性が発現されず、耐コールドオフセット性の悪化、定着機への紙の巻付きなどが発生する。これらの離型剤の使用量は、トナー樹脂成分に対し、1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部である。1重量%未満ではオフセット防止効果が不十分であり、20重量%を超えると転写性、耐久性が低下する。
着色剤:
本発明のカラートナーに用いられる着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のトナーを得ることが可能な公知の顔料や染料が使用できる。
例えば、黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキが挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
これらは、1種または2種以上を使用することができる。
帯電制御剤(CCA):
本発明のカラートナーは必要に応じ荷電制御剤をトナー中に含有させることができる。
例えば、ニグロシン、炭素数2〜16のアルキル基を含むアジン系染料(特公昭42−1627号公報)、塩基性染料、例えばC.I.Basic Yello 2(C.I.41000)、C.I.Basic Yello 3、C.I.Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.Basic Red 9(C.I.42500)、C.I.Basic Violet 1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3(C.I.42555)、C.I.Basic Violet 10(C.I.45170)、C.I.Basic Violet 14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.42025)、C.I.Basic Blue 3(C.I.51005)、C.I.Basic Blue 5(C.I.42140)、C.I.Basic Blue 7(C.I.42595)、C.I.Basic Blue 9(C.I.52015)、C.I.Basic Blue 24(C.I.52030)、C.I.Basic Blue 25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.44045)、C.I.Basic Green 1(C.I.42040)、C.I.Basic Green 4(C.I.42000)など及びこれらの塩基性染料のレーキ顔料、C.I.Solvent Black 8(C.I.26150)、ベンゾイルメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルクロライド等の4級アンモニウム塩、或いはジブチル又はジオクチルなどのジアルキルスズ化合物、ジアルキルスズボレート化合物、グアニジン誘導体、アミノ基を含有するビニル系ポリマー、アミノ基を含有する縮合系ポリマー等のポリアミン樹脂、特公昭41−20153号公報、特公昭43−27596号公報、特公昭44−6397号公報、特公昭45−26478号公報に記載されているモノアゾ染料の金属錯塩、特公昭55−42752号公報、特公昭59−7385号公報に記載されているサルチル酸、ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のZn、Al、Co、Cr、Fe等の金属錯体、スルホン化した銅フタロシアニン顔料、有機ホウ素塩類、含フッ素四級アンモニウム塩、カリックスアレン系化合物等が挙げられる。ブラック以外のカラートナーは、当然目的の色を損なう荷電制御剤の使用は避けるべきであり、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等が好適に使用される。
添加剤:
本発明のトナーにおいては、シリカや酸化チタン、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素等の無機微粒子や樹脂微粒子を母体トナー粒子に外添することにより転写性、耐久性をさらに向上させることができる。
転写性や耐久性を低下させるワックスをこれらの外添剤で覆い隠すこととトナー表面が微粒子で覆われることによる接触面積が低下することによりこの効果が得られる。これらの無機微粒子はその表面が疎水化処理されていることが好ましく、疎水化処理されたシリカや酸化チタン、といった金属酸化物微粒子が好適に用いられる。樹脂微粒子としては、ソープフリー乳化重合法により得られた平均粒径0.05〜1μm程度のポリメチルメタクリレートやポリスチレン微粒子が好適に用いられる。さらに、疎水化処理されたシリカ及び疎水化処理された酸化チタンを併用し、疎水化処理されたシリカの外添量より疎水化処理された酸化チタンの外添量を多くすることにより湿度に対する帯電の安定性にも優れたトナーとすることができる。上記の無機微粒子と併用して、比表面積20〜50m/gのシリカや平均粒径がトナーの平均粒径の1/100〜1/8である樹脂微粒子のように従来用いられていた外添剤より大きな粒径の外添剤をトナーに外添することにより耐久性を向上させることができる。これはトナーが現像装置内でキャリアと混合・攪拌され帯電し現像に供される過程でトナーに外添された金属酸化物微粒子は母体トナー粒子に埋め込まれていく傾向にあるが、これらの金属酸化物微粒子より大きな粒径の外添剤をトナーに外添することにより金属酸化物微粒子が埋め込まれることを抑制することができるためである。
また、上記した無機微粒子や樹脂微粒子はトナー中に含有(内添)させることにより外添した場合より効果は減少するが転写性や耐久性を向上させる効果が得られるとともにトナーの粉砕性を向上させることができる。また、外添と内添を併用することにより外添した微粒子が埋め込まれることを抑制することができるため優れた転写性が安定して得られるとともに耐久性も向上する。
なお、ここで用いる疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルク
ロルシラン、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジベンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、ジヘキサデシル−ジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルペンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。この他チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤も使用可能である。この他クリーニング性の向上等を目的とした外添剤として、脂肪族金属塩やポリフッ化ビニリデンの微粒子等の滑剤等も併用可能である。
(粒径分布)
600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの重量平均粒径は3〜8μmが好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。
重量平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。
重量平均粒径(D4)が8μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。
また、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。
(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
製法:
本発明のトナーの製造法は溶融混練−粉砕法、重合法など従来公知の方法が適用できる。重合法としては懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、の他重合法とは異なるが溶解懸濁法、ポリマー懸濁法等の他、伸長反応法等が使用可能である。
定着装置:
定着装置を説明する。
図1は、本発明の実施に用いる定着装置の一例を示す図である。既に詳細は背景技術で説明しているので省略する。
図2は、本発明の実施に用いる定着装置を示す図である。定着装置4は互いに対向配備される定着ローラ31及び加熱ローラ32と、両ローラに張架された無端状の定着ベルト33と、定着ベルト33に圧接することでニップNを形成する加圧ローラ34と、定着ベルト33の環状の搬送経路Rの内側であって転写ベルト側にずれた位置に配備されるローラ状のガイド部材35とを有している。定着装置4は加熱ローラ32によって定着ベルト33を加熱し、定着ベルト33を矢印方向Dに回転して、定着ベルト33と加圧ローラ34で形成されるニップNにおいて、記録材S上に担持する未定着トナー像tを加熱溶融し、記録材S上に定着するように機能する。ここで定着ローラ31、加熱ローラ32、加圧ローラ34及びローラ状のガイド部材35は搬送ユニット側に固着された定着装置用基枠に枢着され、それぞれの回転軸が相互に並列配備される。なお、搬送ガイド部材29も定着装置用基枠に支持されている。
定着ベルト33はその基材が耐熱性樹脂で成形されている。耐熱性樹脂の材質としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン(PEEK)等を使用する。基材の厚さは熱伝導と強度のバランスから30〜100μmのものが望ましい。定着ベルト33の表面は、記録材Sおよび未定着トナー像tと加圧接触するため、離型性、耐熱性に優れた表面層が必要であり、フッ素系樹脂等の表面離型層が被覆された構成になっている。
また、画像の均一性を得るために表面離型層の下に100〜300μmのシリコーンゴムやフッ素ゴムなどの耐熱ゴムからなる弾性層を設けている。加熱ローラ32は、直径がφ20〜φ30に形成され、AlまたはFe製で肉厚taがta=0.3〜1.0mmの薄肉金属ローラを成すように形成され、内側にハロゲンヒータ37を熱源として備えている。加熱ローラ32の温度は温度制御素子38で検知され、その検出温度情報は画像処理部に出力され、加熱ローラが予め設定されている一定温度となるよう制御され、これにより定着ベルト33を必要な温度に加熱する役割をしている。
また、加熱ローラ32はテンションローラの役割も兼ねており、図中破線矢印P1の方向に未図示の引張スプリングなどにより張架されている。定着ローラ31は直径がφ20〜φ30に形成され、Fe製芯金311の外周にニップ巾Lを得るために耐熱弾性体例えば発泡シリコーンゴムや液状シリコーンゴムで構成された弾性層312を備えている。弾性層312の厚さは3〜6mm程度である。定着ローラ31の表面硬度はAskerC30〜50Hs(ゴムの硬度を示す単位)程度である。
加圧ローラ34は、FeまたはAl製芯金341の外周にフッ素系ゴム、シリコーンゴム等の耐熱弾性層342と、フッ素系樹脂からなる表面離型層343が形成されたものである。本実施形態では、記録材Sとトナーの剥離性を良くするため、加圧ローラ34の表面硬度を定着ローラ31よりも硬くし、定着ベルト33と加圧ローラ34の間に両者が当接し両端部が下向きに湾曲したニップ巾Lの定着用のニップNを形成している。本実施形態では、加圧ローラ34の弾性層342の厚さは、0.5〜2mm程度であり、その表面硬度はAskerC70〜90Hsである。加圧ローラ34の中には加圧ローラの温度上昇を加速させるためのハロゲンヒータ344を設けることが望ましい。
図2に示すベルト定着装置では,定着ベルト33が加圧ローラ34に巻き付いた状態で接触するベルト加圧部分aと定着ベルト33を挟んで定着ローラ31と加圧ローラ34が当接したローラ加圧部分bとから成る比較的大きなニップ巾LのニップNを保持する。図1についても同様で比較的大きなニップ巾LのニップNを保持する。
図2における351、352は定着ベルトのテンションローラ及びローラ軸で,ベルトをはるために用いる。
図3−1および図3−2は本発明のベルト定着装置のうち,熱源の具体例の一例を示したものである。
図3−1は、加熱ベルトの内側に輻射熱源を設置し加熱ベルトを加熱したものである。一方、図3−2は、加熱ベルトの外側に輻射熱源を設置し加熱ベルトを加熱したものである。このような輻射熱源の設置位置については、装置の大きさ,加熱ベルトの周長等に応じて選択できる。
図3−3は、本発明のベルト定着装置のうち、熱源の具体例の一例を示したものであり、熱源として誘導加熱源を用いたものである。熱源種についても装置の大きさ、装置の所要動力に応じて選択できる。
図4はローラ定着装置の一例であり、本発明において使用するベルト定着装置との比較のために比較例において用いた。
41は定着ローラ、42は加圧ローラをそれぞれ表している。定着ローラ41はアルミニウム、鉄、ステンレス又は真鍮のような、高熱伝導体から構成された金属シリンダー43の表面に常温加硫(RTV)シリコンゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなオフセット防止層4が被覆されている。定着ローラ41の内部には、加熱ランプ45が配置されている。加圧ローラ42の金属シリンダー46は定着ローラ41と同じ材質が用いられる場合が多く、その表面にはPFA、PTFAなどのオフセット防止層47が被覆されている。また、必ずしも必要ではないが、加圧ローラ42の内部には加熱ランプ48が配置されている。定着ローラと加圧ローラは図示してはいないが、両端のバネにより圧接され回転する。この定着ローラ41と加圧ローラ42の間にトナー像Tの付着支持体S(紙などの転写紙)を通過させ定着を行う。
本発明の実施により、立ち上がり時間が短く、小粒径トナーの低温での定着が可能であり、かつ光沢ある異常画像のないフルカラー画像形成方法を提供することが可能となる。
また、立ち上がり時間が短く、低温での定着が可能な定着装置を提供し、これを用いた異常画像のないフルカラー画像形成装置を提供することが可能となる。
以下、本発明を下記の実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、部数はすべて重量部である。
<トナーの製造例1>
結晶性ポリエステル樹脂A1 15部
非結晶性ポリエステル樹脂B−H1 55部
非結晶性ポリエステル樹脂B−L1 30部
サリチル酸Zr塩(保土ヶ谷化学TN−105) 1部
脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス(Tg:83℃) 5部
カーボンブラック(三菱化学 #44) 10部
上記のトナー構成材料をヘンシェルミキサー中で十分撹拌混合した後、2軸押出し機にて溶融混練した。混錬条件については、混練物を低温(混練物が溶融状態になる範囲での最低温度)の状態で混錬を行うべく、混錬機の温度設定を行った結果、混練機出口での混錬品の温度が120℃となるよう混錬機の温度設定を行った。
次にこの混練物をホソカワミクロン社製APパルペライザーを用いて粒経1mm以下に粗粉砕し、続いてターボ工業社製ターボミルを用いて微粉砕し重量平均粒径6.5μmのトナー母体を得た。
得られたトナー母体を分級し疎水性シリカ(平均一次粒径20nm、かさ密度0.15mg/cm)0.5wt%と酸化チタン0.3wt%を添加混合し最終的なトナーとした。
トナーのSF1は159、SF2は160、D4/D1は1.21である。
尚、トナーのSF1、SF2について、
トナーの形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF2={(PERI)/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
SF2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入し、該トナーの粒子100個について解析して計算した。
<トナーの製造例2>
トナーの製造例1でポリエステルA1をポリエステルA2に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。トナーのSF1は156、SF2は159、D4/D1は1.22である。
<トナーの製造例3>
トナーの製造例1でポリエステルA1をポリエステルA3に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。トナーのSF1は157、SF2は158、D4/D1は1.20である。
<トナーの製造例4>
トナーの製造例1でポリエステルA1をポリエステルA4に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
トナーのSF1は160、SF2は163、D4/D1は1.22である。
<トナーの製造例5>
トナーの製造例1の脱遊離脂肪酸型カルナウバワックスを、ポリエチレンワックス(Tg110℃)に変更した以外は、トナーの製造例1と同様な方法によってトナーを得た。トナーのSF1は159、SF2は160、D4/D1は1.21である。
<トナーの製造例6>
トナーの製造例1の脱遊離脂肪酸型カルナウバワックスをポリエチレンワックス(Tg58℃)に変更した以外は、トナーの製造例1と同様な方法によってトナーを得た。トナーのSF1は158、SF2は161、D4/D1は1.19である。
<トナーの製造例7>
トナーの製造例1で、微粉砕後のトナー母体の重量平均粒径を2.7μmとした以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。トナーのSF1は149、SF2は154、D4/D1は1.42である。
<トナーの製造例8>
トナーの製造例1で、微粉砕後のトナー母体の重量平均粒径を9.0μmとした以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。トナーのSF1は163、SF2は166、D4/D1は1.10である。
<トナーの製造例9>
処方を下記のものに変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
結晶性ポリエステル樹脂A1 60部
非結晶性ポリエステル樹脂B−H1 26部
非結晶性ポリエステル樹脂B−L1 14部
サリチル酸Zr塩(保土ヶ谷化学TN−105) 1部
脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス(Tg:83℃) 5部
カーボンブラック(三菱化学 #44) 10部
トナーのSF1は154、SF2は159、D4/D1は1.22である。
<トナーの製造例10>
処方を下記のものに変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
結晶性ポリエステル樹脂A1 0.5部
非結晶性ポリエステル樹脂B−H1 64.5部
非結晶性ポリエステル樹脂B−L1 35部
サリチル酸Zr塩(保土ヶ谷化学TN−105) 1部
脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス(Tg:83℃) 5部
カーボンブラック(三菱化学 #44) 10部
トナーのSF1は158、SF2は160、D4/D1は1.20である。
<ポリエステルAの製造>
ポリエステルA1〜A4は表1に示した組成物4000gとハイドロキノン4gを、温度計、攪拌器、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた容量5Lの4つ口丸底フラスコ内に入れ、このフラスコをマントルヒーターにセットし、窒素ガス導入管より窒素ガスを導入してフラスコ内を不活性雰囲気下に保った状態で昇温し160℃に保って5時間、続いて200℃で1時間反応させたのち、8.3kPaにて1時間反応させ各ポリエステルを得た。
表1に各ポリエステルA1〜A4の成分を示し、表2に各ポリエステルA1〜A4の物性値を示す。
なお、表1に示したBPA/EOは、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(2.2モル付加物)を示し、BPA/POは、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(2.2モル付加物)を示す。
(注)ポリエステルA2のみ酸成分、アルコール成分ともに重量比
尚、結晶性の有りのものとは、粉末X線回折装置によるX線回折パターンにおいて、少なくとも2θ=19〜20°、21〜22°、23〜25°、29〜31°の位置に回折ピークが現れたものである。推定分子式有りのものとは固体C13NMRにより前記一般式(1)の分子構造の存在が確認されたものである。
<ポリエステルBの製造>
ポリエステルB−H1およびB−L1は表3に示した組成物4000gを、温度計、攪拌器、コンデンサーを備えた容量5Lの4つ口丸底フラスコ内に入れ、このフラスコをマントルヒーターにセットし、4gのジブチルスズオキシドを加えて昇温し、温度を220℃に保って8時間反応させたのち、8.3kPaにて所定の軟化点に達するまで反応させ各ポリエステルを得た。
表3に各ポリエステルB−H1およびB−L1成分を示し、表4にそれらの物性値を示す。
なお、表3に示したBPA/EOは、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(2.2モル付加物)を示し、BPA/POは、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(2.2モル付加物)を示す。
<キャリアの製造例>
(i)芯材:Cu−Znフェライト粒子(体積平均径:45μm) 5000部
(ii)コート材
トルエン 450部
シリコーン樹脂SR2400
(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50%) 450部
アミノシランSH6020
(東レ・ダウコーニング・シリコーン製) 10部
カーボンブラック 10部
上記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調製し、このコート液と芯材を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた、旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。
次いで、得られたキャリアを電気炉で250℃で2時間焼成を行い、製造例のキャリア粒子(3kOe印加時の飽和磁化65emu/g、3kOe印加時の残留磁化0emu/g、比抵抗3.2×108Ω・cm、体積平均径45μm)を得た。
<現像剤の製造例>
上記製造例1〜10のトナー2.5部と、上記製造例のキャリア97.5部をターブラーミキサーで混合し、トナー製造例1〜10に対応する各トナーに対応する現像剤(1)〜(10)を得た。
樹脂物性の評価方法
GPCによる分子量の測定
(1)ポリエステルB−H1およびB−L1、ポリエステルA2のGPCによる分子量の測定
装置としてGPC−150C(ウォーターズ社製)を用い、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、樹脂のTHF試料溶液(試料濃度0.05〜0.6%)を0.1mlを注入して測定する。
樹脂のTHF試料溶液は、樹脂濃度0.5重量%のTHF溶液を室温にてボールミルで24時間攪拌後、東洋濾紙(株)製0.2μm穴径メンブランフィルターにてろ過して作成したものである。測定機としてWaters製GPC−150C、カラムとしてShodex KF801〜807を用いることが出来る。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えばPressure Chemical Co.或いは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
(2)ポリエステルA1、A3〜A4のGPCによる分子量の測定
GPCは次のようにして測定される。
145℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶離液として0.3%ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)入りのo−ジクロロベンゼンを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.3重量%に調製した樹脂の140℃o−ジクロロベンゼン溶解液を50〜200μl注入して測定する。測定機としてWaters製150CV型、カラムとしてShodex AT−G+AT−806MS(2本)を用いることが出来る。
○樹脂の分子構造
固体C13−NMR(日本電子製のFT−NMR SYSTEM JNM−α400)を用い、観測核C13、基準物質アダマンタン、積算回数8192回、パルス系列CPMAS。IRMOD:IRLEV、観測周波数100.4MHz、OBSET:134500Hz、POINT:4096、PD:7.0sec、SPIN6088Hzの条件で行い、分子構造推定はソフトウエアとしてChem Draw Pro Ver.4.5を用いて行った。
固体C13−NMRでの分子構造解析結果を裏つける測定として、次の二つの測定を併用した。
(A)フーリエ変換赤外線分光光度(FT−IR)透過法にて試料を測定し、標準スペクトル比較から構造を推定する。
測定機 :Nicolet Magna 850
測定範囲:4000〜400cm−1
標準試料:KBr
(B)熱分解ガスクロマトグラム質量分析計による熱分解性生物の構造推定
測定機 :島津製作所 GC−17A、島津 CR−4A
熱分解温度:日本分析工業 JHB−3S
熱分解温度:試料加熱温度×時間を590℃×4秒
カラム :DB−5(JアンドW Co.)L=30m、I.D=0.2
5mm、Film=0.25mm
カラム温度:50℃(保持時間1分)から10℃/分で300℃まで昇温
インジェクション温度:320℃
キャリアガス圧力:90kPr(保持時間2分)から2kPa/分で150
kPaまで昇圧
検出器 :FID
以下に実施例における評価の方法及び条件を示す。
定着機として下記構成の定着機1および定着機2を使用した。
定着機1
定着機:図2の定着機において、下記仕様の定着装置を用いた。
定着ベルト33:基材ポリイミド、厚さ50μm、弾性層シリコーンゴム、厚み250μm、表面離型層PTFE
加熱ローラ32:芯金Fe、φ25、厚み0.6mm
定着ローラ31:芯金Fe、φ30、弾性層発泡シリコーンゴム、厚み4mm、ASKerC 40HS
加圧ローラ34:芯金Fe、φ30、弾性層シリコーンゴム、厚み1.5mm、ASKerC 80HS、表面離型層PTFE
定着機2
リコー製複写機 Imagio Neo・350を改造して、本来の定着装置を取り外して別の定着装置を取り付けられるようにし、定着装置の設定温度を変えられるようにした。これに実施例に示すトナー、現像剤、定着機、リコー製タイプ6200紙をセットし複写テストを行った。
評価に使用する定着装置は図4示す熱ローラ定着装置で、以下の構成のものである。
定着ローラの金属シリンダーがSUSで厚さ3.0mm
定着ローラのオフセット防止層がPTFEで厚さ20μm
加圧ローラの金属シリンダーがSUSで厚さ2mm
加圧ローラのオフセット防止層が厚さ4μmのシリコンゴムの上に厚さ50μmのPFA
光沢度評価方法:
1.0±0.1mg/cmのトナーが現像される様に調整を行ない、定着ローラ表面温度が160℃の時のベタ画像サンプルの光沢度を、日本電色工業株式会社製のグロスメーターを用いて、入射角度60°の条件で計測した。
なお、転写紙はリコーフルカラーPPC用紙タイプ6000<70Wを用いた。この光沢度は、値の高い程、光沢があり、鮮明で色再現性に優れた画像を得るには、約10%以上の光沢度が必要である。
オフセット性評価方法:
定着ローラの温度を5℃づつ変化させ、オフセットの発生し始める温度を測定した。なお、定着ローラには、オイルを塗布しない条件で評価を行ない、転写紙はリコーフルカラーPPC用紙タイプ6000<70Wを用いた。評価結果は以下のように表した。
低温定着性:
オフセット性の評価と同様の方法にて定着温度を変え、マクベス濃度計による画像濃度が1.2となるようなコピー画像を得た。
各温度のコピー画像を、砂消しゴムを装着したクロックメーターにより10回擦り、その前後の画像濃度を測定し、下記式にて定着率を求めた。
定着率(%)=(砂消しゴム10回後の画像濃度)/(前の画像濃度)×100
定着率70%以上を達成する温度を、定着下限温度とした。
実施例および比較例のトナーおよび定着条件を表5に示す。
評価結果を表6に示す
本発明の実施に用いる定着装置の一例を示す図である。 本発明の実施に用いる定着装置を示す図である。 本発明の実施に用いる定着装置を示す図である。 本発明の実施に用いる定着装置を示す図である。 本発明のベルト定着装置のうち,熱源の具体例の一例を示す図である。 比較例で用いる定着装置の1例を示す図である。 フローテスターのフローカーブを示す図であって、(a)は試料の溶融温度とピストンストロークの関係を示す図、(b)は1/2法における溶融温度とピストンストロークの関係を示す図である。
符号の説明
4 定着装置
31 定着ローラ
32 加熱ローラ
33 定着ベルト
34 加圧ローラ
35 ガイド部材
g ニップ入口
t 未定着トナー
N ニップ
A 定着ローラと加圧ローラとが当接した部分
C 加圧ローラに巻き付けられた部分
R 定着ベルトの搬送経路
S 記録紙
41 定着ローラ
42 加圧ローラ
43 金属シリンダー
44 オフセット防止層
45 加熱ランプ
46 金属シリンダー
47 オフセット防止層
48 加熱ランプ
T トナー像
W 付着支持体

Claims (13)

  1. 異なる色のトナー像を重ね合わせることにより多色像を形成するベルト定着方式の画像形成方法において、定着ニップ時間が30〜100msecで、定着圧が0.5〜3kgf/cmであり、かつ該トナーは結着樹脂として少なくとも結晶性ポリエステルAと非晶質性樹脂Bとを含有するトナーであることを特徴とする画像形成方法。
  2. 定着装置が、定着ローラと加熱ローラとに張架された無端状の定着ベルトと、定着ベルトを介して定着ローラに対向して設けられる加圧ローラとを備え、少なくとも定着ベルトが加圧ローラに巻き付けられた部分と定着ベルトを挟んで定着ローラと加圧ローラが当接した部分とから成るニップにより記録材上に担持されている未定着トナー像を加熱加圧することを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
  3. 定着装置が、定着ベルトの搬送経路内側にあって同搬送経路を折り曲げるよう配備され、ニップ入口での定着ベルトの張力を上げるガイド部材を有し、ガイド部材が加圧ローラとの間に達する定着ベルトを加圧ローラより離して張架することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の画像形成方法。
  4. ベルト加熱手段が、加熱ベルトの内部または外部の何れか一方、または両方に、熱源として輻射加熱源もしくは誘導加熱熱源を設けた構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. ベルト加熱手段が、加圧ローラ及び搬送ローラの内、少なくとも該搬送ローラ内に輻射熱源を設けた構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成方法。
  6. ポリエステル樹脂Aのガラス転移点が80〜130℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5に記載の画像形成方法。
  7. 結着樹脂におけるポリエステル樹脂Aの含有率が1〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成方法。
  8. ポリエステル樹脂Aを構成するアルコール成分が1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールの中から選ばれる少なくとも1つからなり、一方、該ポリエステル樹脂Aを構成する酸成分がマレイン酸及びフマル酸の中から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成方法。
  9. 非晶質性ポリエステルBを構成する酸成分がマレイン酸及びフマル酸の中から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成方法。
  10. トナーが離型剤を含有する静電荷現像用トナーであって、該離型剤が70〜90℃のガラス転移点を有するものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成方法。
  11. 離型剤が脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. 用いられるトナーは、重量平均粒径が3〜8μmで、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の画像形成方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の画像形成方法に用いることを特徴とする画像形成装置。
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