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JP2006213634A - フェナントレンキノン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

フェナントレンキノン誘導体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高分子材料や樹脂材料の原料、レジスト材料の原料に用いられるビスフェノール化合物を提供する。
【解決手段】9,10−フェナントレンキノンから誘導され、特定の下記化学構造式(1)で示されるビスフェノール化合物。
Figure 2006213634

(式(1)中、R、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり;m0、n0は1〜3の整数であり;m1、n1は0〜3の整数であり;2≦m0+m1≦5、2≦n0+n1≦5の条件を満たす。但し、複数個のR、Rは各々同一でも異なっていても良い。)
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な9,10−フェナントレンキノン誘導体に関し、高分子材料や樹脂材料、レジスト材料の原料、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート等の熱可塑性樹脂の原料、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の原料、硬化剤、改質剤等,または分子性レジスト用化合物として有用な新規な化合物に関する。
ポリカーボネート、ポリアリレート等の熱可塑性樹脂の原料、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の原料、硬化剤、改質剤等として種々のビスフェノールが用いられているが、耐熱性、耐水性、耐薬品性、電気特性、機械特性等の諸特性の一段の向上が求められている。また、レジスト材料のベース化合物として,ビスフェノール化合物が有用であることが報告されている(非特許文献1参照。)。しかしながら、従来のビスフェノール化合物は耐熱性が十分とはいえない。
Polymer Preprints, Japan Vol.53, No.2, 1Pc117
本発明の目的は、高分子材料や樹脂材料の原料、レジスト材料の原料に用いられるビスフェノール化合物を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、9,10−フェナントレンキノンから誘導されるビスフェノール化合物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記の[1]〜[2]の化合物、[3]の製造方法に関するものである。
[1] 一般式(1)で示される化合物。
Figure 2006213634

(式(1)中、
、Rは、炭素数1〜6のアルキル基であり;
m0、n0は1〜3の整数であり;
m1、n1は0〜3の整数であり;
2≦m0+m1≦5 、2≦n0+n1≦5の条件を満たす。但し、複数個のR、Rは、各々同一でも異なっていても良い。)
[2] 一般式(2)で示される[1]に記載の化合物。
Figure 2006213634

(式(2)中、p1、p2、q1、q2は0または1の整数である。)
[3] 9,10−フェナントレンキノンおよびフェノール化合物をチオ酢酸又はβ−メルカプトプロピオン酸、ならびに塩酸または硫酸の存在下で反応させることを特徴とする一般式(1)の化合物の製造方法。
Figure 2006213634

(式(1)中、
、Rは、炭素数1〜6のアルキル基であり;
m0、n0は1〜3の整数であり;
m1、n1は0〜3の整数であり;
2≦m0+m1≦5 、2≦n0+n1≦5の条件を満たす。但し、複数個のR、Rは、各々同一でも異なっていても良い。)
本発明のビスフェノール化合物は、高分子材料や樹脂材料の原料、レジスト材料の原料、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート等の熱可塑性樹脂の原料、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の原料、硬化剤、改質剤等、または分子性レジスト用化合物の原料として有用である。
本発明の化合物(以下、化合物(A)と称する。)は、一般式(1)で示される化合物である。
化合物(A)において、2つのフェニル基の置換基(アルキル基および水酸基)の数と位置は異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。
化合物(A)において、R1及びR2は炭素数1〜6のアルキル基である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの直鎖又は分枝を有するアルキル基が挙げられる。
中でも、R1及びR2は、好ましくはメチル基である。n1およびm1は0〜2が好ましい。
水酸基の数を示すn0、m0はともに1が好ましく、置換位置は、フェナントレン環に結合するベンゼン環の位置番号4が好ましい。
1及びR2の置換位置は、フェナントレン環に結合するベンゼン環の位置番号2および/または5が好ましい。
化合物(A)は、好ましくは一般式(2)で示される化合物である。
本発明の一般式(1)の化合物は、例えば、9,10−フェナントレンキノンおよびフェノール化合物をチオ酢酸又はβ−メルカプトプロピオン酸、ならびに塩酸または硫酸の存在下で反応させて製造できる。
本発明に用いるフェノール化合物として、フェノール、レゾルシノール、カテコール、ピロガロール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール等が挙げられる。
特にフェノール、レゾルシノール、カテコール、ピロガロール、o−クレゾール、2,6−キシレノールが好ましい。
フェノール化合物として1種類または2種類以上を用いることができる。
反応は、9,10−フェナントレンキノン1モルに対しフェノール化合物を2モル〜過剰量、チオ酢酸又はβ−メルカプトプロピオン酸及び塩酸または硫酸を0.001〜1モル使用し、70〜120℃で20分〜20時間程度反応させることにより、有利に進行する。
反応の終点は、9,10−フェナントレンキノンの残存量をガスクロマトグラフィーで追跡し、残存量を示すピーク面積が減少しなくなった時点を以って反応の終点と判断できる。
反応終了後、例えば,反応液にメタノールもしくはイソプロピルアルコールを加えて60℃まで加温し1時間撹拌を継続し、次に純水を加えて反応生成物を析出させ、室温まで冷却した後、濾過を行って一般式(1)の化合物を主成分とする固形物を分離できる。得られた固形物を濾過し、乾燥させた後、目的化合物が得られる。
本発明の一般式(2)の化合物は、フェノール化合物としてフェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノールから選ばれる1種以上を用いることにより、一般式(1)の化合物と同様に製造できる。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に特に限定はされない。
なお、化合物の評価方法は次の通りである。
<ガラス転移温度の測定>
島津製作所製DSC/TA−50WSを使用し、試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中昇温速度20℃/minで250℃まで昇温した。アルミニウム製非密封容器を急冷後、再び窒素ガス(30ml/min)気流中昇温速度20℃/minで250℃まで昇温することにより、DSC測定を行った。その際、ベースラインに不連続的部分が現れる領域の中点(比熱が半分に変化したところ)の温度をガラス転移点(Tg)とし、吸熱ピークの極小値を示す温度を融点(Tm)とした。
<実施例1>
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積100mlの容器に9,10−フェナントレンキノン(アクロスオーガニックス製)10.4g(0.05mol)とフェノール(関東化学工業製)18.8g(0.2mol)を仕込み、β−メルカプトプロピオン酸5mlと95%の硫酸5mlを加えて、反応液を85℃で6時間撹拌して反応を完結させた。反応終了後、反応液にメタノールもしくはイソプロピルアルコール50gを加えて60℃まで加温し、1時間撹拌を継続した。次に純水90gを加えて反応生成物を析出させ、室温まで冷却した後、濾過を行って分離した。得られた固形物を濾過し、乾燥させた後、目的化合物(1−1)が得られた。400MHz-H−NMRにより式(1−1)の化学構造を有することを確認した。目的化合物(1−1)のガラス転移温度を測定したところ119℃であり、融点を持たなかった。
H−NMR:(400MHz、d-DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)9.4(2H O−)、8.2〜7.3(8H Ph−Ph)、6.6(8H Ph−
Figure 2006213634
<実施例2>
フェノールをo−クレゾール21.6g(0.2mol)に代え、β−メルカプトプロピオン酸5mlをチオ酢酸3mlに代えた以外は実施例1と同様に行い、目的化合物(1−2)を得た。400MHz-H−NMRにより式(1−2)の化学構造を有することを確認した。目的化合物(1−2)のガラス転移温度を測定したところ120℃であり、融点を持たなかった。
H−NMR:(400MHz、d-DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)9.4(2H O−)、8.2〜6.7(8H Ph−Ph)、6.7〜6.4(6H Ph−)、2.0(6H Ph−C
Figure 2006213634
<実施例3>
フェノールを2,6−キシレノール24.4g(0.2mol)に代えた以外は実施例1と同様に行い、目的化合物(1−3)を得た。400MHz-H−NMRにより式(1−3)の化学構造を有することを確認した。目的化合物(1−3)のガラス転移温度を測定したところ130℃であり、融点は282℃であった。
H−NMR:(400MHz、d-DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)8.3(2H O−)、8.2〜6.7(8H Ph−Ph)、6.3(4H Ph−)、2.0(12H Ph−C
Figure 2006213634

Claims (3)

  1. 一般式(1)で示される化合物。
    Figure 2006213634

    (式(1)中、
    、Rは、炭素数1〜6のアルキル基であり;
    m0、n0は1〜3の整数であり;
    m1、n1は0〜3の整数であり;
    2≦m0+m1≦5 、2≦n0+n1≦5の条件を満たす。但し、複数個のR、Rは、各々同一でも異なっていても良い。)
  2. 一般式(2)で示される請求項1に記載の化合物。
    Figure 2006213634

    (式(2)中、p1、p2、q1、q2は0または1の整数である。)
  3. 9,10−フェナントレンキノンおよびフェノール化合物をチオ酢酸又はβ−メルカプトプロピオン酸、ならびに塩酸または硫酸の存在下で反応させることを特徴とする一般式(1)の化合物の製造方法。
    Figure 2006213634

    (式(1)中、
    、Rは、炭素数1〜6のアルキル基であり;
    m0、n0は1〜3の整数であり;
    m1、n1は0〜3の整数であり;
    2≦m0+m1≦5 、2≦n0+n1≦5の条件を満たす。但し、複数個のR、Rは、各々同一でも異なっていても良い。)
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