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JP2006208168A - 流体取扱装置 - Google Patents

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JP2006208168A JP2005020069A JP2005020069A JP2006208168A JP 2006208168 A JP2006208168 A JP 2006208168A JP 2005020069 A JP2005020069 A JP 2005020069A JP 2005020069 A JP2005020069 A JP 2005020069A JP 2006208168 A JP2006208168 A JP 2006208168A
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Abstract

【課題】 多検体の測定を行う試料分析装置として使用した場合に、簡単な構造で反応効率および測定感度を向上させることができる流体取扱装置を提供する。
【解決手段】 流体取扱装置のプレート本体上に配列された複数の流体取扱部の各々は、液体試料などの流体を注入するための注入部20と、この注入部20の下側に配置されて流体を収容する第1の収容室22と、注入部20に注入された流体の自重によりその流体を注入部20から第1の収容室22に導入して第1の収容室22内を流動させる開口部20aと、第1の収容室22から排出された流体を収容する第2の収容室26と、注入部20に注入された流体の量が所定の量より多くなったときに第1の収容室22内の流体を第2の収容室26に導入する流路24とを備え、第2の収容室26の底面積が第1の収容室22の底面積より小さくなっている。
【選択図】 図2B

Description

本発明は、流体取扱装置に関し、特に、生体物質に代表される機能性物質などの試料を分析する試料分析装置として使用可能な流体取扱装置に関する。
従来、タンパク質などの生体物質を特異的に検出する方法として、特定の生体物質に対する抗体を用いて抗原抗体反応を起こさせ、その反応物を視覚的に認識または分光学的に測定することによってその生体物質を検出する様々な方法が知られている。
現在、タンパク質などの生体物質の抗原抗体反応による反応物を定量する方法として、ELISA(enzyme−linked immunosorbent assay)(酵素結合免疫吸着検定法)などの方法が広く採用されている。これらの方法では、一般にマイクロウェル(以下「ウェル」という)と呼ばれる多数の微小凹部の配列が形成されたマイクロウェルプレートと呼ばれる試料分析装置を使用し、目的物質である特定の生体物質に対する抗体を捕体としてウェルの内面にコートし、この捕体によって目的物質を捕捉し、目的物質と抗体との間の抗原抗体反応による反応物を蛍光や発光試薬などにより測定することによって目的物質を検出する。
一般に、ELISAなどのマイクロウェルプレートを用いた方法では、抗原抗体反応後の液の吸光や蛍光を測定しているが、この場合、光学測定による測定値は、希薄溶液では液量に依存する。すなわち、光学測定による測定値は、ウェルを満たす液のウェル底面から液面までの高さに比例する。例えば、蛍光を測定する場合には、以下の式に示すように、蛍光強度Fは、層長Lに比例するので、ウェルに加えた液量に比例する。
F=klfecL
(k:比例係数、l:励起光強度、f:蛍光の量子収束、e:励起光波長におけるモル吸光係数、c:蛍光物質の濃度、L:層長)
特に、蛍光測定によるELISAでは、一般に、ウェルの表面にコートした捕捉用抗体によって目的物質を捕捉した後、酵素が結合した検出用抗体をウェルに加え、最後に基質をウェルに加えて、この基質の酵素反応による蛍光を測定しているので、一定時間酵素反応させた場合に生じる蛍光物質の量は捕捉された目的物質の量によって決定され、したがって、蛍光物質の濃度はウェルに加えた液量に依存する。すなわち、ウェルに加えた液量が増加すると、一定時間に生じる蛍光物質の濃度が低下する。したがって、測定感度を高めるためにウェルに加える液量を多くすると、上記の式における層長Lは増加するが、蛍光物質の濃度cが低下することになり、測定感度を十分に向上させることができない。
このように、ELISAなどのマイクロウェルプレートを用いた従来の方法では、抗原抗体反応が捕捉用抗体をコートしたウェルの表面のみで進行するため、ウェルに加えた液体中に含まれる目的物質、抗体、基質などがウェル内で浮遊、還流、沈下してウェルの表面に到達した後に反応するまで放置しなければならず、反応効率が悪いという問題がある。また、マイクロウェルプレートは多数のウェルに細分化されているので、各々のウェルに加える液体の量が制限されるため、測定感度が低下するという問題もある。このような問題を解消する方法として、捕体として多孔質体を用いる方法が知られているが、液の流動性を制御するためにポンプなどの動力を必要とし、また、多孔質体は詰まり易いので液の流動性を連続的に制御するのは困難である。また、微小空間が形成されたマイクロチップを使用し、微小空間内の液を流動させる方法として、加圧または吸引により液を流動させる方法が知られているが、この方法も動力を必要とし、煩雑な装置を必要とする。さらに、微小空間が形成されたマイクロチップを使用し、バルブ構造により微小空間内の液を流動させる方法も知られているが、この方法もバルブを作動させるための動力またはエネルギーを必要とする。
また、ELISAなどの方法において測定感度の向上や測定時間の短縮を図る方法として、マイクロプレートの反応面(捕捉面)となるウェルの底面に微細な凹凸を設けることによって反応面の表面積を大きくして測定感度を高める方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、マイクロチップのマイクロチャネル内に反応固相として固体微粒子(ビーズ)を配置させることにより、反応面の表面積を増大して、微小空間における反応効率を高める方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−159673号公報(段落番号0009−0010) 特開2001−4628号公報(段落番号0005−0006)
しかし、特許文献1の方法では、測定感度を高めることができるものの、反応効率を高めることができないという問題がある。また、特許文献2の方法では、一般にELISAなどの方法に使用されるマイクロウェルプレートではなく、マイクロチャネル構造のマイクロチップを使用する方法であるため、反応効率を高めることができるものの、多検体の測定に適した方法ではない。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、多検体の測定を行う試料分析装置として使用した場合に、簡単な構造で反応効率および測定感度を向上させることができる流体取扱装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明による流体取扱装置は、板状の装置本体と、この装置本体上に配列された複数の流体取扱部とからなり、これらの流体取扱部の各々が、流体を注入するための注入部と、この注入部の下側に配置されて流体を収容する第1の収容室と、注入部に注入された流体の自重によりその流体を注入部から第1の収容室に導入して第1の収容室内を流動させる開口部と、第1の収容室から排出された流体を収容する第2の収容室と、注入部に注入された流体の量が所定の量より多くなったときに第1の収容室内の流体を第2の収容室に導入する流路とを備え、第2の収容室の底面積が第1の収容室の底面積より小さいことを特徴とする。
この流体取扱装置において、第1の収容部と第2の収容部の間の流路が、注入部に注入された流体の量が所定の量より多くなったときに注入部および第1の収容室内の全ての流体を第2の収容室に導入するのが好ましい。
また、上記の流体取扱装置において、第1の収容室が第2の収容室を取り囲むように配置され、開口部が第1の収容室の周縁部に沿って延びているのが好ましい。また、第2の収容室が第1の収容室の底面に形成された凹部であり、第1の収容室と第2の収容室との間に第2の収容室の開口部を取り囲む壁部が形成され、流路が壁部の上面を通って第1の収容室の底面付近から第2の収容室の底面付近まで延び、注入部に注入された流体が第1の収容室を満たした後に流体の液面の高さが壁部の上面よりも高くなったときに、注入部および第1の収容室内の全ての流体が流路を介して第2の収容室に導入されるのが好ましい。
さらに、上記の流体取扱装置において、第1の収容室の内面に微細な凹凸が形成されているのが好ましい。また、第1の収容室内に複数の板状体が互いに離間して配置されているのが好ましい。この場合、複数の板状体の表面に微細な凹凸が形成されているのが好ましい。あるいは、第1の収容室内に多数の微小粒状物を充填してもよい。
上述したような本発明による流体取扱装置を使用分析装置として使用すると、反応室として使用可能な微小空間である第1の収容室に連通する注入部(注入ポート)に液体などの流体を注入するだけで、動力を用いずに第1の収容室内の流体を簡単に流動させることができるとともに、反応液などの第1の収容室内の流体を、分析室として使用可能な底面積が小さい第2の収容室に導入して、少ない液量でも層長を長くすることができる。また、第1の収容室と第2の収容室との間の流路をいわゆるサイフォン構造とすることにより、一定量の流体を第1の収容室内に溜めた後に第2の収容室に導入することができ、あるいは流体を第1の収容室内で連続的に流動させて第2の収容室に導入することもできる。このように、本発明による流体取扱装置を試料分析装置として使用すると、流体を第1の収容室内で連続的に流動させるとともに、少ない液量でも層長を長くすることによって、反応効率を向上させて反応時間を短縮することができ、測定時間を短縮し且つ測定感度を向上させることができる。さらに、微細な凹凸が形成された複数の板状体または多数の微小粒状物を第1の収容室内に配置または充填して反応面の表面積を増大することにより、反応効率を一層向上させて反応時間を短縮することができ、測定時間を短縮し且つ測定感度を向上させることができる。
本発明の流体取扱装置によれば、多検体の測定を行う試料分析装置として使用した場合に、簡単な構造で反応効率および測定感度を向上させることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明による流体取扱装置の実施の形態について詳細に説明する。
図1〜図6は、本発明による流体取扱装置の実施の形態を示している。図1に示すように、本実施の形態の流体取扱装置10は、例えば、タンパク質などの生体物質に代表される機能性物質などを含む試料を分析する装置として使用することができ、一般にマイクロウェルプレートと呼ばれる多検体の測定を目的とした試料分析装置として使用することができる。この流体取扱装置10は、略矩形のプレート本体12と、一般にマイクロウェルと呼ばれている多数(本実施の形態では8×12の配列)の流体取扱部14とから構成されている。プレート本体12は、例えば、ポリカーボネート(PC)やポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの樹脂材料またはガラス材料により形成され、厚さが数mm程度で一辺の長さが数cm〜十数cm程度の大きさの略矩形の平板部と、この平板部の一方の面(上面)の周縁部から略鉛直方向に突出し且つこの周縁部に沿って延びる高さ数mm程度の外周側壁部12aとから構成されている。流体取扱部14は、プレート本体12上の外周側壁部12aに囲まれた部分(略矩形の凹部)内に互いに所定の間隔で離間して配置されている。このような構造により、流体取扱部14に注入された液体試料などの流体の量が多過ぎても、過剰に注入された流体が、外周側壁部12aに囲まれた略矩形の凹部内に収容され、隣接する流体取扱部14に混入するのを防止することができる。
図2A、図2B、図3A〜図3Cおよび図4A〜図4Cは、本実施の形態の各々の流体取扱部14を示している。図2Aおよび図2Bに示すように、各々の流体取扱部14は、略円筒形の外形の流体取扱下側部16と、この流体取扱下側部16上に取り付けられる流体取扱上側部18とから構成されている。流体取扱下側部16は、プレート本体12と同一の材料により一体に形成してもよいし、プレート本体12と同一の材料または別の材料により形成してプレート本体12に取り付けてもよい。
図3A〜図3Cに示すように、流体取扱下側部16は、直径および高さが数mm程度の略円筒形の下側基部16aと、この下側基部16aの上面の周縁部から略鉛直方向に突出し且つこの周縁部に沿って延びる高さ数mm程度の略円環状の外側壁部16bとからなる。下側基部16aの上面の略中央部には、下側基部16aの底面付近まで延びる略円筒形の凹部16cが形成されている。この凹部16cは、その直径よりも十分に深く形成されている。また、下側基部16aの上面には、凹部16cを取り囲むように略円環状の内側壁部16dが形成されている。この内側壁部16dは、下側基部16aに形成された凹部16cを取り囲む部分から、外側壁部16bよりも低く略鉛直方向に突出し、この凹部16cを取り囲む部分に沿って延びている。この内側壁部16dと外側壁部16bの間に形成される略円環状の凹部の底面積は、下側基部16aに形成された凹部16cの底面積よりも大きくなっている。また、外側壁部16b付近には、下側基部16aの上面から略鉛直方向に突出する複数(本実施の形態では4つ)の略円柱形の位置合わせ用支柱16eが所定の間隔で形成されている。これらの位置合わせ用支柱16eの高さは、内側壁部16dよりも低くなっている。さらに、内側壁部16d付近には、下側基部16aの上面から略鉛直方向に突出し且つそれぞれ放射状に延びる複数の突起部16fが内側壁部16dに沿って所定の間隔で形成されている。これらの突起部16fの高さは、位置合わせ用支柱16eよりも低くなっている。なお、それぞれ隣接する突起部16fの間には、流体取扱上側部18を流体取扱下側部16に取り付けたときに、スリット状の連通路16gが形成されるようになっている(図3C参照)。これらの連通路16gの幅(スリット幅)は、10μm程度であるのが好ましい。
図4A〜図4Cに示すように、流体取扱上側部18は、略円筒形の厚肉部18aと、この厚肉部18aの底面からその内周面に沿って延び、厚肉部18aよりも薄い略円筒形の内側薄肉部18bと、この内側薄肉部18bから径方向外側に離間して、厚肉部18aの底面からその外周面に沿って延び、厚肉部18aよりも薄い略円筒形の外側薄肉部18cと、この外側薄肉部18cの外周面から径方向に延びる略円板状のフランジ部18dとから構成されている。内側薄肉部18bの長さは、流体取扱上側部18を流体取扱下側部16に取り付けたときに、流体取扱下側部16の凹部16cの底面付近まで延び且つその底面から所定の間隔だけ離間する長さになっている(図2B参照)。また、外側薄肉部18cの長さは、流体取扱上側部18を流体取扱下側部16に取り付けたときに、外側薄肉部18cが流体取扱下側部16の突起部16fに当接して支持される長さになっている(図2B参照)。内側薄肉部18bと外側薄肉部18cとの間には、略円環状の凹部18eが形成されている。この凹部18eの大きさは、流体取扱上側部18を流体取扱下側部16に取り付けたときに、凹部18eの内面と内側壁部16dとの間に所定の間隙を形成する大きさになっている(図2B参照)。フランジ部18dの直径は、流体取扱上側部18を流体取扱下側部16に取り付けたときに、流体取扱下側部16の外側壁部16bとフランジ部18dとの間に略円環状の間隙(開口部20a)が形成される大きさになっている(図2B参照)。また、フランジ部18dの上面の周縁部に沿って略円環状に延びる傾斜面18fが形成されている。さらに、フランジ部18dの底面の周縁部付近には、流体取扱上側部18を流体取扱下側部16に取り付けるときに流体取扱下側部16の位置合わせ用支柱16eが嵌合して流体取扱上側部18の位置合わせをするための複数(本実施の形態では4つ)の位置合わせ用凹部18g(図2B、図4Bおよび図4C参照)が形成されている。
再び図2Aおよび図2Bを参照して説明すると、流体取扱上側部18を流体取扱下側部16に取り付ける際には、流体取扱上側部18の外側薄肉部18cが流体取扱下側部16の突起部16fに当接して支持されるようにするとともに、流体取扱下側部16の位置合わせ用支柱16eを流体取扱上側部18の位置合わせ用凹部18gに嵌合させることにより、流体取扱上側部18が流体取扱下側部16に位置合わせされて固定される。
このようにして流体取扱上側部18を流体取扱下側部16に取り付けると、流体取扱上側部18のフランジ部18dの上側には、流体取扱上側部18の厚肉部18aと流体取扱下側部16の外側壁部16bとの間に、液体試料などの流体を注入するための注入部20としての略円環状の空間が形成される。また、流体取扱上側部18のフランジ部18dの下側には、流体取扱上側部18の外側薄肉部18cと流体取扱下側部16の外側壁部16bとの間に、試料を反応させるための反応室として使用可能な略円環状の空間である第1の流体収容室22が形成される。この第1の収容室22は、流体取扱下側部16の外側壁部16bと流体取扱上側部18のフランジ部18dとの間に形成された略円環状の間隙(開口部20a)を介して、注入部20に連通している。また、流体取扱上側部18の凹部18eおよび内側薄肉部18bと流体取扱下側部16の内側壁部16dおよび凹部16cとの間には、流路24が形成される。この流路24は、多数のスリット状の連通路16g(図3c参照)を介して第1の収容室22に連通している。この流路24は、後述するようにいわゆるサイフォン機能を備えており、毛管現象を起こさない程度の横断面積(流路24が延びる方向に直交する断面の面積)を有するのが好ましい。さらに、流体取扱下側部16の凹部16cの底面と流体取扱上側部18の内側薄肉部18bによって、分析室として使用可能な空間である第2の収容室26が形成される。この第2の収容室26は、多数のスリット状の連通路16g(図3c参照)と流路24を介して、第1の収容室22に連通している。なお、第2の収容室26の上方の開口部(流体取扱上側部18の厚肉部18aの開口部)は、第2の収容室26から液体などの流体を排出するための排出口になる。
なお、第1の収容室22の高さは、流体取扱下側部16の内側壁部16d、位置合わせ用支柱16eおよび突起部16fの高さ、流体取扱上側部18の外側薄肉部18cの長さおよび凹部18eの深さなどによって、任意に設定することができるが、流路24がサイフォン機能を備えることができるように、流体取扱下側部16の内側壁部16dより低いのが好ましい。
図5Aおよび図5Bに示すように、流体取扱部14の第1の収容室22には、例えば、捕捉用抗体などの捕体を支持するための複数の円板28、好ましくは表面に微細なピラー構造加工を施した複数の円板28が略鉛直方向に互いに離間して多層に収容されている。なお、このような微細なピラー構造加工を第1の収容室22の内壁に形成してもよい。これらの円板28には、略中央部に略円形の貫通孔28aが形成され、この貫通孔28aのまわりには、流体取扱下側部16の位置合わせ用支柱16eが貫通する複数(本実施の形態では4つ)の貫通孔28bが形成されている。また、複数の円板28は、流体取扱上側部18の外側薄肉部18cおよび流体取扱下側部16の外側壁部16bに交互に当接し、流体取扱下側部16の外側壁部16bおよび流体取扱上側部18の外側薄肉部18cから交互に離間するように配置されている。すなわち、最上段の円板28は、外周面が流体取扱下側部16の外側壁部16bの内面に当接し且つ内周面が流体取扱上側部18の外側薄肉部18cから離間するように配置され、この最上段の円板28の下側に配置された第2段の円板28は、内周面が流体取扱上側部18の外側薄肉部18cに当接し且つ外周面が流体取扱下側部16の外側壁部16bの内面から離間するように配置され、この第2段の円板28の下側に配置された第3段の円板28は、外周面が流体取扱下側部16の外側壁部16bの内面に当接し且つ内周面が流体取扱上側部18の外側薄肉部18cから離間するように配置され、この第3段の円板28の下側に配置された最下段の円板28は、内周面が流体取扱上側部18の外側薄肉部18cに当接し且つ外周面が流体取扱下側部16の外側壁部16bの内面から離間するように配置されている。このように複数の円板28を配置させることにより、第1の収容室22内の流路の内面の面積を増大して、流体取扱装置10を試料分析装置として使用した場合に捕体の支持面(反応面)の表面積を増大することができる。なお、円板28は、第1の収容室22内の流路の流体との接触面積を増大するように配置されていればよく、例えば、図6Aに示すように、円板28と同様の複数の円板280を流体取扱下側部16の外側壁部16bおよび流体取扱上側部18の外側薄肉部18cから離間するように配置してもよい。また、円板28または280の代わりに、図6Bに示すように、連通路16gの幅(スリット幅)より大きい直径の微細な略球状の多数のビーズ30のような微小粒状物を第1の収容室22内に充填してもよい。
次に、図7A〜図7Eを参照して、本実施の形態の流体取扱装置10の流体取扱部14の流路24のサイフォン機能の例について説明する。まず、図7Aに示すように、注入部20に反応試薬を加えると、その反応試薬は、開口部20aから第1の収容室22に導入され、連通路16gを介して流路24の入口部分に侵入する。注入部20に加えられた反応試薬の液面が、図7Bに示すように流路24の最も高い位置よりも高くなると、図7Cに示すように、加えられた全ての反応試薬がサイフォン機能によって第2の収容室26に溜まる。その後、図7Dに示すように、第2の収容室26に溜まった反応試薬をピペットなどの器具を用いて排出口から回収し、図7Eに示すように再度注入部20に加えることにより、反応試薬を第1の収容室22に繰返し何回でも流すことができる。
また、図8A〜図8Eを参照して、本実施の形態の流体取扱装置10の流体取扱部14の流路24のサイフォン機能の他の例について説明する。まず、図8Aに示すように、注入部20に反応試薬を加えると、その反応試薬は、図8Bに示すように、開口部20aから第1の収容室22に導入され、連通路16gを介して流路24の入口部分に侵入する。このとき、反応試薬の液面を流路24の最も高い位置よりも低くなるようにすれば、図8Cに示すように、一定量の反応試薬を第1の収容室22(および連通路16gと流路24の入口部分)内に一定時間溜めておくことができる。その後、図8Cおよび図8Dに示すように、注入部20に第二の試薬(例えば反応停止液)を加えて、試薬の液面が流路24の最も高い位置よりも高くなると、図8Eに示すように、サイフォン機能によって全ての試薬が第2の収容室26に溜まる。
上述したように、本実施の形態の流体取扱装置10を試料分析装置として使用すると、第1の収容室22内に配置された複数の円板28(好ましくは表面に微細なピラー構造加工を施した複数の円板28)や、第1の収容室22内に充填された多数の微小粒状物(ビーズ30)によって、捕体の支持面(反応面)の表面積を増大し、且つ反応試薬が第1の収容室22内の微小空間を流動することから、反応効率を向上させることができる。なお、第1の収容室22と第2の収容室26の間の流路(連通路16gと流路24の入口部分)の内面も捕体の支持面(反応面)として利用すれば、反応効率をさらに向上させることができる。また、第2の収容室26の底面積が第1の収容室22の底面積より小さく且つ第2の収容室26の深さが十分な深さであることから、測定時の液層を長さ(深さ)を長くすることができ、測定感度を向上させることができる。
次に、上述した本実施の形態の流体取扱装置10を用いて生体物質を分析する方法の例について説明する。
まず、表面に捕捉用抗体(例えば、抗ヒトTNF−αマウスIgG抗体)をコートした複数の円板28が各々の第1の収容室22内に挿入された各々の流体取扱部14の注入部20に、標準サンプルまたはヒト血清サンプル40μLを加えた後、各々の流体取扱部14の中央の第2の収容室26に排出された液をピペットにより回収し、再度注入部20に加える。この工程を3回行って第2の収容室26に排出された液をピペットにより回収した後、注入部20に洗浄液60μLを加え、第2の収容室26に排出された液をピペットにより排出して洗浄を行う。その後、注入部20に新たな洗浄液を加え、第2の収容室26に排出された液をピペットにより排出して洗浄を行う。このような洗浄工程を4回行う。その後、酵素が結合した検出用抗体(例えば、抗ヒトTNF−αマウスIgG抗体)40μLを注入部20に加え、第2の収容室26に排出された液をピペットにより回収し、再度注入部20に加える。この工程を3回行って第2の収容室26に排出された液をピペットにより回収した後、上記の洗浄工程を行う。その後、注入部20に基質20μLを加え、液が第1の収容室22に満たされた状態で10分間反応させる。反応後、注入部20に反応停止液20μLを加え、第2の収容室26の長手方向(鉛直方向)に励起光を当てて、第2の収容室26に排出された反応液の蛍光を測定する。
また、上述した本実施の形態の流体取扱装置10を生体物質の分離・濃縮に適用する例について説明する。
まず、表面にストレプトアビジンをコートした多数のビーズが各々の第1の収容室22内に充填された各々の流体取扱部14の注入部20に、ビオチン化した物質を含むサンプルを加えた後、各々の流体取扱部14の中央の第2の収容室26に排出された液をピペットにより回収し、再度注入部20に加える。この工程を複数回行って第2の収容室26に排出された液をピペットにより回収した後、注入部20に洗浄液60μLを加え、第2の収容室26に排出された液をピペットにより排出して洗浄を行う。その後、注入部20に新たな洗浄液を加え、第2の収容室26に排出された液をピペットにより排出して洗浄を行う。このような洗浄工程を4回行う。その後、注入部20に溶離液20μLを加えて一定時間静置する。さらに、注入部20に溶離液20μLを加え、第2の収容室26に排出された溶離液を回収する。
なお、上述した実施の形態では、いわゆるサイフォン機能を備えた流路24を設けたが、この流路24の代わりに、第1の収容室22から第2の収容室26に流体を導入する流路を設け、この流路にバルブなどの開閉手段を設けてもよい。
また、上述した実施の形態では、多数の流体取扱部14を略矩形のプレート本体12に取り付けたが、図9に示すように、流体取扱部14の流体取扱下側部16の略円環状の外側壁部16bを除いた形状の流体取扱部114を、多数のウェルが形成された市販のマイクロウェルプレート110の各々のウェル内に嵌合させる構造にしてもよい。
さらに、上述した実施の形態では、流体取扱部14の第2の収容室26を取り囲むように略円環状の第1の収容室22を設けたが、図10に示すように、流体取扱部214内の一端側に第2の収容室226を形成し、その他の部分に第1の収容室222を形成してもよい。
本発明による流体取扱装置の実施の形態を示す斜視図である。 図1の流体取扱装置の流体取扱部を示す拡大平面図である。 図2AのIIB−IIB線断面図である。 図2Aおよび図2Bの流体取扱部の流体取扱下側部を示す拡大平面図である。 図3AのIIIB−IIIB線断面図である。 図3Aおよび図3Bの流体取扱下側部の一部を示す拡大平面図である。 図2Aおよび図2Bの流体取扱部の流体取扱上側部を示す拡大平面図である。 図4AのIVB−IVB線断面図である。 図4の流体取扱上側部の底面図である。 図2Aおよび図2Bの流体取扱部の第1の収容室内に複数の円板を挿入する状態を示す斜視図である。 図5Aの円板を第1の収容室に挿入した状態を概略的に示す断面図である。 図2Aおよび図2Bの流体取扱部の第1の収容室内に複数の円板を挿入した状態の変形例を示す斜視図である。 図2Aおよび図2Bの流体取扱部の第1の収容室内に多数のビーズを充填した状態を概略的に示す断面図である。 図1の流体取扱装置の流体取扱部のサイフォン機能の例を説明する図である。 図1の流体取扱装置の流体取扱部のサイフォン機能の例を説明する図である。 図1の流体取扱装置の流体取扱部のサイフォン機能の例を説明する図である。 図1の流体取扱装置の流体取扱部のサイフォン機能の例を説明する図である。 図1の流体取扱装置の流体取扱部のサイフォン機能の例を説明する図である。 図1の流体取扱装置の流体取扱部のサイフォン機能の他の例を説明する図である。 図1の流体取扱装置の流体取扱部のサイフォン機能の他の例を説明する図である。 図1の流体取扱装置の流体取扱部のサイフォン機能の他の例を説明する図である。 図1の流体取扱装置の流体取扱部のサイフォン機能の他の例を説明する図である。 図1の流体取扱装置の流体取扱部のサイフォン機能の他の例を説明する図である。 図1の流体取扱装置の変形例を示す断面図である。 図1の流体取扱装置の他の変形例を示す断面図である。
符号の説明
10 流体取扱装置
12 プレート本体
12a 外周側壁部
14、114、214 流体取扱部
16 流体取扱下側部
16a 下側基部
16b 外側壁部
16c 凹部
16d 内側壁部
16e 位置合わせ用支柱
16f 突起部
16g 連通路
18 流体取扱上側部
18a 厚肉部
18b 内側薄肉部
18c 外側薄肉部
18d フランジ部
18e 凹部
20 注入部
20a 開口部
22、222 第1の収容室
24 流路
26、226 第2の収容室
28、280 円板
28a、28b 貫通孔
30 ビーズ
110 マイクロウェルプレート

Claims (8)

  1. 板状の装置本体と、この装置本体上に配列された複数の流体取扱部とからなり、これらの流体取扱部の各々が、流体を注入するための注入部と、この注入部の下側に配置されて流体を収容する第1の収容室と、前記注入部に注入された流体の自重によりその流体を前記注入部から前記第1の収容室に導入して前記第1の収容室内を流動させる開口部と、前記第1の収容室から排出された流体を収容する第2の収容室と、前記注入部に注入された流体の量が所定の量より多くなったときに前記第1の収容室内の流体を前記第2の収容室に導入する流路とを備え、前記第2の収容室の底面積が前記第1の収容室の底面積より小さいことを特徴とする、流体取扱装置。
  2. 前記流路が、前記注入部に注入された流体の量が所定の量より多くなったときに前記注入部および前記第1の収容室内の全ての流体を前記第2の収容室に導入することを特徴とする、請求項1に記載の流体取扱装置。
  3. 前記第1の収容室が前記第2の収容室を取り囲むように配置され、前記開口部が前記第1の収容室の周縁部に沿って延びていることを特徴とする、請求項1または2に記載の流体取扱装置。
  4. 前記第2の収容室が前記第1の収容室の底面に形成された凹部であり、前記第1の収容室と前記第2の収容室との間に前記第2の収容室の開口部を取り囲む壁部が形成され、前記流路が前記壁部の上面を通って前記第1の収容室の底面付近から前記第2の収容室の底面付近まで延び、前記注入部に注入された流体が前記第1の収容室を満たした後に前記流体の液面の高さが前記壁部の上面よりも高くなったときに、前記注入部および前記第1の収容室内の全ての流体が前記流路を介して前記第2の収容室に導入されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の流体取扱装置。
  5. 前記第1の収容室の内面に微細な凹凸が形成されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の流体取扱装置。
  6. 前記第1の収容室内に複数の板状体が互いに離間して配置されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の流体取扱装置。
  7. 前記複数の板状体の表面に微細な凹凸が形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の流体取扱装置。
  8. 前記第1の収容室内に多数の微小粒状物が充填されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の流体取扱装置。

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