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JP2006207506A - 過給制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、サージの発生を効果的に抑制することのできる過給制御装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の過給制御装置は、吸気通路2上にコンプレッサ4を配し、コンプレッサ4によって吸入空気の過給を行う過給機を制御するものであり、コンプレッサ4の前後をバイパスさせてコンプレッサ4下流から上流に吸入空気を環流させるバイパス通路11と、バイパス通路11を通過する空気流量を調節して、吸入空気量及び/又はコンプレッサの前後圧力比を制御する制御手段12,13とを備えており、制御手段12,13が、コンプレッサ14への流入空気量及び/又はコンプレッサの前後圧力比がコンプレッササージの影響がない値以上を示すときに、バイパス通路11の通過空気量を抑制することを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、吸気通路上に配されたコンプレッサによって過給を行う過給機の制御装置に関する。
エンジン(内燃機関)の吸気通路上にコンプレッサを配し、このコンプレッサによって過給を行って高出力(あるいは、低燃費)を得ようとする試みは以前から常用されている。このような過給機としてはターボチャージャが代表的である。ターボチャージャでは、コンプレッサホイールとタービンホイールとを一つの回転軸の両端に配設し、排気流によってタービンホイールを回転させることで吸気通路上のコンプレッサホイールで過給を行う。
JSAE 2004 Annual Congress Proceedings No.49−04 "Surge Control Centrifugal Compressor Turbocharger" Ronglei GU, Yasuo FUJIKAWA, Masahiko YASHIRO
このようなコンプレッサにおいては、流入する空気の速度に対してコンプレッサホイールの回転が速すぎると、コンプレッサホイールの流入側で空気流の剥離が生じて空気流が円滑に過給されない現象、いわゆるコンプレッササージが発生する。このコンプレッササージが発生する領域を狭め、有効に過給を行えるようにする改善が要望されている。上記[非特許文献1]にも、このような改善を目的とした過給装置が開示されている。
また、ターボチャージャにモータを組み込んで、低負荷域でターボチャージャを強制的に駆動することで、低負荷域での過給不足やターボラグを改善しようとする試みがある。このとき、低負荷で吸気流量が遅いような時にモータでコンプレッサホイールを高速回転させるとサージが発生しやすい。このようなときに、サージ発生領域を狭めて過給領域を広く確保できると都合がよい。従って、本発明の目的は、サージの発生を効果的に抑制することのできる過給制御装置を提供することにある。
請求項1に記載の過給制御装置は、吸気通路上にコンプレッサを配し、コンプレッサによって吸入空気の過給を行う過給機を制御するものであり、コンプレッサの前後をバイパスさせてコンプレッサ下流から上流に吸入空気を環流させるバイパス通路と、バイパス通路を通過する空気流量を調節して、吸入空気量及び/又はコンプレッサの前後圧力比を制御する制御手段とを備えており、制御手段が、コンプレッサへの流入空気量及び/又はコンプレッサの前後圧力比がコンプレッササージの影響がない値以上を示すときに、バイパス通路の通過空気量を抑制することを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の過給制御装置において、制御手段が、バイパス通路の通過空気量を無段階に制御可能であることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の過給制御装置において、コンプレッサを電動駆動するモータをさらに備えており、制御手段が、コンプレッサへの流入空気量及び/又はコンプレッサの前後圧力比とモータの駆動による過給アシスト量とに応じて、バイパス通路の通過空気量を制御することを特徴としている。
請求項1に記載の過給制御装置によれば、コンプレッサへの流入空気量及び/又はコンプレッサの前後圧力比がコンプレッササージの影響がある値であるときは、バイパス通路を介してコンプレッサ下流から上流に吸入空気を還流させて、コンプレッサへの流入空気量を増やし(流速を増すことにもなる)、サージの発生を抑止する。また、コンプレッサへの流入空気量及び/又はコンプレッサの前後圧力比がコンプレッササージの影響がある値以上となったときは、バイパス通路を介した吸入空気の還流を抑制し、吸入空気還流による損失を抑制して過給効果を効率よく向上させることができる。このようにすることで、コンプレッサへの流入空気量が少ない時のサージを抑制して過給領域を拡大することができると共に、流入空気量が多い時にも好適な過給効果を得ることができる。
請求項2に記載の過給制御装置によれば、バイパス通路の通過空気量を無段階で制御できるため、コンプレッサへの流入空気量が少ない時のサージの抑制を確実に行うことができると共に、流入空気量が少ない時から多い時までの全域にわたって過給効果を最大限引き出すことができる。
請求項3に記載の過給制御装置によれば、低負荷領域(コンプレッサへの流入空気が少ない時)にモータを駆動させて過給アシストを行って過給不足解消やターボラグの解消を行うことができる。このとき、低負荷領域(コンプレッサへの流入空気が少ない時)ではサージが発生しやすくなるが、制御装置によってサージを抑制でき、安定した過給を行うことができる。さらに、このとき、バイパス通路の通過空気量を、コンプレッサへの流入空気量及び/又はコンプレッサの前後圧力比とモータの駆動による過給アシスト量とに応じて制御するため、常に好適な過給効果を得ることができる。
本発明の過給制御装置の一実施形態について以下に説明する。本実施形態の制御装置が組み込まれたターボチャージャユニット(以下、ターボユニットとも言う)1を図1に示す。なお、ターボユニット1は、通常のように内燃機関(エンジン)の吸気通路2上に配されているものである。ここでは、ターボユニット1部分を抜き出して図1に図示している。ターボユニット1は、コンプレッサとタービンの機能を備えたものである。
ターボユニット1は、通常のターボチャージャと同様に吸気通路2と排気通路3との間に架けて配設されている。ターボユニット1の内部には、両端にコンプレッサホイール4及びタービンホイール5とを有する回転軸6が貫通して配されている。この回転軸6のコンプレッサホイール4寄りには、その出力軸が回転軸6に一致するようにモータ(電動機)7が内蔵されている。モータ7は、交流モータであり電動機としても発電機としても機能し得る。ターボユニット1は、排気エネルギーによってのみ過給を行う通常の過給機としても機能し得るが、モータ7によってコンプレッサホイール4を強制的に回転駆動することでさらなる過給を行うこともできる。
なお、モータ7は、排気流によってタービンホイール5を回転させることで回生発電することも可能である。即ち、回生発電によって電力を回収することも可能である。モータ7は、回転軸6に固定されたロータ(永久磁石)と、その周囲に配置されたステータ(鉄心に巻かれたコイル)とを主たる構成部分として有している。これらのコンプレッサホイール4・タービンホイール5・回転軸6・モータ7は、ハウジング8の内部に収納されている。
回転軸6は、ハウジング8に対して一対のベアリング9で回転可能に保持されている。また、ハウジング8の内部において、モータ7が収納されている部分は他の部分と隔絶されている。モータ7が収納された区画部分(モータハウジング)にも回転軸6が貫通しているが、回転軸6とハウジング8との間には隔絶区画部分(モータハウジング)内部の気密性を確保するための一対のシール部材10が配設されている。
そして、コンプレッサホイール4の下流と上流とをバイパスするバイパス通路11が配設されている。バイパス通路11は、コンプレッサホイール4の下流側圧力が上流側圧力よりも高くなることを利用して、吸入空気をコンプレッサホイール4の下流から上流に還流させるためのものである。バイパス通路11の上流側端部は、管状に形成されており、その開口がコンプレッサホイール4に向けられている。このため、還流された吸入空気は、コンプレッサホイール4に円滑に流入する。
バイパス通路11上には、バイパス通路11を通過する空気量を調節するバルブ12が配設されている。バルブ12は、その開度を無段階に調節可能なバルブである。このため、バルブ12を制御することで、バイパス通路11の通過空気量を制御することができる。あるいは、通過空気量を制御することで、コンプレッサホイール4前後の圧力比を制御することができる。なお、バルブ12の開閉をDuty制御して、バイパス通路11の通過空気量を制御するようになっていても良い。バルブ12は、制御部13に接続されており、制御部13からの駆動信号に基づいて制御されている。
制御部13には、この制御に用いる吸入空気量とターボ回転数を検出する流量センサ14とターボ回転数センサ15とが接続されている。なお、これらのセンサは、制御部13に直接接続されていなくてもよく、他の制御部(ECUなど)を介して、制御部13に検出信号を送出するようになされていてもよい。また、図示していないが、吸気管内圧を検出する圧力センサが設けられてもよい。これらの制御部13やセンサ類、及び、バルブ12によって制御手段が構成されている。流量センサ14及びターボ回転数センサ15の検出結果とバルブ12の開度(開閉Duty比)とから、バイパス通路11内を通過する空気量やコンプレッサホイール4前後の圧力比を算出することができる。
上述した機構の制御装置による過給制御について説明する。図2に、空気流量と上述した圧力比とターボ回転数との関係をグラフに示す。図2のグラフ上には、あるターボ回転数における空気流量と圧力比(コンプレッサ下流側圧力/上流側圧力)との関係を示す直線が、上下に複数本描かれている。この複数の性能曲線は、上に行くほどターボ回転数の高いものである。そして、これらの性能曲線の左側端部に、サージラインが描かれている。サージラインよりもさらに左側の領域が、サージが発生する領域となる。
実線で示したものが、後述する吸気還流制御を行うことによってサージ回避を行った本実施形態(本発明)のサージラインである。これに対して、点線で示したものが、同一のターボユニット1を用いて吸気還流制御を行わなかった場合のサージラインである。本発明では、流量センサ14及びターボ回転数センサ15の検出結果とバルブ12の開度(開閉Duty比)とから、バイパス通路11内を通過する空気量(空気流量)と圧力比を算出する。そして、求められた空気流量及び圧力比(さらにターボ回転数)から、サージが発生するかどうかを判定する。具体的には、上述した点線のサージラインよりも左側の領域であるか否かを判定する。
もし、点線のサージラインよりも左側の領域である場合は、サージの発生が懸念されるため、バルブ12の開度を開いて、コンプレッサホイール4の下流側の吸入空気をバイパス通路11を介してコンプレッサホイール4の上流側に還流させる。このようにすることで、コンプレッサホイール4に流入する空気量が、新たに吸入された空気に加えて還流された分だけ増えて流速も増加するので、サージが発生しにくくなる。このような制御を行うことで、サージラインを点線から実線のものへと改善することができる。
特に、本実施形態では、モータ7を用いて過給をアシストするため、低流量域でのコンプレッサホイール4の回転数が高くなる傾向があり、サージが発生しやすい。このため、このようにバイパス通路11を用いて吸入空気を還流させることで、サージを抑制しつつモータ7による過給促進を実現することができる。特にこの場合は、コンプレッサホイール4への流入空気量及び(又は)前後圧力比に加えて、モータ7の駆動による過給アシスト量に応じて、バイパス通路11の通過空気量(バルブ12の開度)を制御する。この結果、図2中一点鎖線で示される従来制御(吸入空気の還流を行わない)のエンジン作動ラインを、図2中実線で示される本実施形態(本発明)のエンジン作動ラインに改善する(図2中の白矢印参照)ことができる。これによって、低流量域(低負荷域・低回転域)でのトルクを増加させることができる。
さらに、本実施形態では、コンプレッサホイール4への流入空気量及び上述した圧力比がサージの影響がない値以上を示すときに、バイパス通路11の通過空気量を抑制する。具体的には、流量センサ14及びターボ回転数センサ15の検出結果とバルブ12の開度(開閉Duty比)とから、バイパス通路11内を通過する空気量(空気流量)と圧力比に基づいて算出された空気流量及び圧力比(さらにターボ回転数)が、上述した図2中の点線のサージラインよりも右側の領域であるか否かを判定する。
もし、点線のサージラインよりも右側の領域である場合は、サージの発生が懸念されないため、バルブ12の開度を閉じて、吸入空気の還流に伴う損失を抑制して良好な過給効果を実現する。このように、吸入空気の還流に伴う損失を抑制しない場合は、上述した各性能曲線は、図2中二点鎖線で示されるようになる。これは、空気流量の増加に伴って、吸入空気の環流による圧力損失が生じて上述した圧力比が減じられてしまうからである。そこで、本実施形態のように、流入空気量及び圧力比がサージの影響がない値以上を示すときにはバルブ12を閉じる(バイパス通路11の通過空気量を抑制する)ことで、図2中黒矢印で示すように圧力比の減少を抑制する。
さらに、本実施形態では、バルブ12の開度を無段階に制御可能となっている。このため、バイパス通路11の通過空気量を急激に変更するのではなく、連続的に変更することができ、安定した過給制御を行うことができるため好ましい。なお、上述した例では、従来のサージラインに基づいて、サージが発生することが懸念されるか否かを説明したが、必ずしもこの従来のサージラインを閾値として利用しなくてもよい。予め実験などによって閾値(あるいは閾となる領域)を決めておけばよい。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態においてはモータ7を内蔵したターボチャージャに本発明が適用された例が説明されているが、モータ7を内蔵しないターボチャージャなどにも適用できる。また、上述した実施形態においては、ターボチャージャに本発明が適用された例が説明されているが、ターボチャージャでないコンプレッサにも適用できる。例えば、電気モータによって過給を行うコンプレッサや、エンジン出力を用いて過給を行うコンプレッサなどにも本発明を適用できる。
さらに、上述した実施形態では、バイパス通路の通過空気量を無段階に制御可能にした。このようにすることが好ましいが、バイパス通路を開放−遮断の2段階で制御してもよい。このようにしても、サージを抑制したい時にはバイパス通路を開放し、サージの発生が懸念されない領域ではバイパス通路を遮断することで、サージ回避と全域にわたる良好な過給効果とを実現することができる。また、このような簡便な構造のバルブを用いれば、コスト的には有利である。
本発明の制御装置の一実施形態を有するターボユニットを示す断面図である。 空気流量と圧力比とターボ回転数との関係を示すグラフである。
符号の説明
1…ターボユニット(ターボチャージャ)、2…吸気通路、3…排気通路、4…コンプレッサホイール、5…タービンホイール、6…回転軸、7…モータ(電動機)、8…ハウジング、9…ベアリング、10…シール部材、11…バイパス通路、12…バルブ、13…制御部、14…流量センサ、15…ターボ回転数センサ。

Claims (3)

  1. 吸気通路上にコンプレッサを配し、前記コンプレッサによって吸入空気の過給を行う過給機を制御する過給制御装置において、
    前記コンプレッサの前後をバイパスさせて前記コンプレッサ下流から上流に吸入空気を環流させるバイパス通路と、
    前記バイパス通路を通過する空気流量を調節して、吸入空気量及び/又は前記コンプレッサの前後圧力比を制御する制御手段とを備えており、
    前記制御手段は、前記コンプレッサへの流入空気量及び/又は前記コンプレッサの前後圧力比がコンプレッササージの影響がない値以上を示すときに、前記バイパス通路の通過空気量を抑制することを特徴とする過給制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記バイパス通路の通過空気量を無段階に制御可能であることを特徴とする請求項1に記載の過給制御装置。
  3. 前記コンプレッサを電動駆動するモータをさらに備えており、
    前記制御手段は、前記コンプレッサへの流入空気量及び/又は前記コンプレッサの前後圧力比と前記モータの駆動による過給アシスト量とに応じて、前記バイパス通路の通過空気量を制御することを特徴とする請求項1に記載の過給制御装置。
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