JP2006297465A - 不等肉厚管の成形方法、該不等肉厚管から成形する車両用ホイールリムの製造方法、及び不等肉厚管成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 略均等肉厚の円筒状素管から、部分的に薄肉化された周部を備える不等肉厚管を成形し得る不等肉厚管の成形方法、該不等肉厚管から形成する車両用ホイールリムの製造方法、及び不等肉厚管成形装置を提案する。
【解決手段】 段階的に拡幅する押圧突部22a〜22fが夫々周成された複数の押圧ロール20a〜20fを、その拡幅する順序に従って、マンドレルロール2に遊嵌して回動する円筒状素管xに、各押圧突部22a〜22fを押圧することにより、薄肉周部y1〜y6を段階的に形成し、所定幅の薄肉周部Yを有する不等肉厚管Xを成形する成形方法、この不等肉厚管Xを成形する工程を備えたホイールリムの製造方法、及びこの成形方法を具体化した装置1である。これにより、通常のホイールリムの生産性を維持しつつ、不等肉厚状のホイールリムを製造することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】 段階的に拡幅する押圧突部22a〜22fが夫々周成された複数の押圧ロール20a〜20fを、その拡幅する順序に従って、マンドレルロール2に遊嵌して回動する円筒状素管xに、各押圧突部22a〜22fを押圧することにより、薄肉周部y1〜y6を段階的に形成し、所定幅の薄肉周部Yを有する不等肉厚管Xを成形する成形方法、この不等肉厚管Xを成形する工程を備えたホイールリムの製造方法、及びこの成形方法を具体化した装置1である。これにより、通常のホイールリムの生産性を維持しつつ、不等肉厚状のホイールリムを製造することができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、ほぼ均一な肉厚の円筒状素管を、その軸方向に沿った所定部分を周方向に亘って薄肉化することにより、部分的に肉厚の異なる部位を有する不等肉厚管を成形する不等肉厚管の成形方法、該不等肉厚管から成形する車両用ホイールリムの製造方法、及び不等肉厚管を成形し得る不等肉厚管成形装置に関するものである。
例えば、車両用ホイールとして、ホイールリムとホイールディスクとを溶接してなる構成の2ピースホイールがよく知られている。ここで、ホイールリムは、通常、略均一な板厚の長方形状金属板を、その両側の短辺同士を突当てるように曲げて、ここを突当て溶接することにより円筒状素管を形成した後、該素管の内外から所定の金型で挟圧するロール加工により、所望の形状として成形されることが一般的である。尚、ホイールリムを成形する円筒状素管としては、一般的に、該素管の直径に比して軸方向長さ(管長)の短いものが用いられる。
ところで、近年、車両用ホイールは軽量化への要求が強い。このため、ホイールリムにあっては、強度的に余裕のある軸方向の部位を部分的に薄肉化(以下、不等肉厚化)して成形するようにした製造方法が種々提案されている。このように、ホイールリムを不等肉厚化する成形方法としては、円筒形状素管を形成した後、又はリム形状に成形した後に、所定部位を切削加工して薄肉化するようにした方法がある。また、強度的に余裕のある部位が形成されるところを、金属板の状態で予め薄肉化した後、当該金属板の短辺同士を突当て溶接して不等肉厚管を形成し、これをロール加工するようにした製造方法が提案されている(例えば、特許文献1)。さらにまた、略均一な円筒状素管をフロー・ターニング加工することにより、所定部位を薄肉化する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。ここで、フロー・ターニング加工としては、円筒状素管を、その外側から軸方向に沿って所定のロールをローリングすることにより部分的に減肉する加工である。
特開2004−230919号公報
特表2004−522636号公報
ところが、上述した車両用ホイールのホイールリムを不等肉厚化する成形方法にあって、切削加工する方法では、材料の歩留まりが低いこと、切削屑の処理作業を要すること、切削加工に時間を要するためリムの生産性が低下すること等の問題が生じている。また、予め部分的に薄肉化した金属板を曲げて不等肉厚管を形成する方法では、当該金属板の短辺同士を溶接した溶接部が、軸方向に沿って凹凸面状に形成される。このため、当該溶接部のトリミング加工処理を、該凹凸面に沿って実行させることが難しく、この加工処理後の溶接部形態を充分に滑らかに形成することができないという問題が生じている。さらにまた、フロー・ターニング加工により不等肉厚化する方法では、前記した切削加工のような切削屑を生じることがないため歩留まりは高いが、加工時間が長く、生産性が低いという問題がある。
したがって、車両用ホイールのリム生産工程には、上記した問題点を生ぜず、不等肉厚リムの生産工程にあって優れた歩留まりと高い生産性とを発揮し得る技術が切望されている。本発明は、このような要求に応え得る、略均一な肉厚の円筒状素管を不等厚肉化する不等肉厚管成形方法、不等肉厚管成形装置、および該不等肉厚管からホイールリムを成形するホイールリムの成形方法を提供することを目的としている。
本発明は、マンドレルロールに円筒状素管を遊嵌して、該マンドレルロールの回転により円筒状素管を回動させ、配設順序に沿って段階的に押圧幅が拡幅するように設定されている複数の押圧ロールを、その順序に従って、各押圧幅に構成された押圧突部が円筒状素管に圧接する位置に順次移動させ、かつ当該円筒状素管が少なくとも一回転する間、各押圧ロールの押圧突部を該円筒状素管に押圧維持し、この各押圧ロールの移動と押圧維持を繰り返すことにより、薄肉周部を順次段階的に拡幅するように形成して、所定幅の薄肉周部を有する不等肉厚管を成形するようにしたことを特徴とする不等肉厚管の成形方法である。ここで、各押圧ロールは、押圧突部の押圧幅の幅方向が円筒状素管の軸方向に沿うようにして、該円筒状素管に押圧加工することが好適である。これにより、円筒状素管に形成する薄肉周部の幅方向は、該素管の軸方向となる。
尚、押圧ロールは、円筒状素管を押圧加工する時に、該素管の回動を助けるようにマンドレルロールの回転方向と逆向きに該マンドレルロールの周速度とほぼ同じ周速度で駆動されていることが好適である。これにより、押圧加工を円滑に行うことができる。
かかる方法にあっては、複数の押圧ロールを、その押圧幅が拡幅する順番に円筒状素管を押圧加工することにより、薄肉周部を所定幅まで段階的に拡幅するように形成し、所望の不等肉厚管を成形することができる。
ここで、各押圧ロールの押圧突部は、薄肉周部を所定幅まで多段階に分けて形成するように設定された各押圧幅により夫々設けられているものであるから、個々の押圧ロールにより押圧加工される軸方向に沿った加工寸法(以下、加工幅)は円筒状素管の軸方向長さ(以下、管長)に比して充分に短くすることが可能である。すなわち、各押圧ロールによる押圧加工では、軸方向でみれば、加工されている部分の寸法が加工されていない部分の寸法に比して極めて小さく、全長(管長)に対して一部分だけを加工することとなっている。
したがって、押圧加工される部位の円周方向の延伸が、非加工部位により拘束されることとなるため、当該押圧加工によって円筒状素管の内径はほとんど変化し得ない。その結果、薄肉周部の形成により排除される材料は管の軸方向に流れ、該薄肉周部の軸方向の延伸を引き起こす。すなわち、当該押圧加工により、円筒状素管は、その管長が伸長することとなる。
したがって、本発明の成形方法によれば、円筒状素管の素管内径をほとんど変化させることなく、所定幅の薄肉周部を有し、かつ、管長が長尺化されてなる所望の不等肉厚管を成形することができ得る。そして、予め軸方向に伸長する長さ(以下、軸方向延伸長)を考慮して設計することにより、円筒状素管(加工前)を形成する材料サイズ(該素管の周長と管長さとを成す材料面積、以下原単位と言う)を低減することもできる。
さらに、個々の押圧ロールによる押圧加工は、その回動に従って、円筒状素管の軸方向の一部領域(加工幅)に対して周方向に圧延を実行していくこととなっている。したがって、押圧ロールの押圧突部と円筒状素管が接触する加工面積(上記した加工幅×周方向の接触長)は極めて小さくなっており、該加工面積に従って、所望の押圧加工を施すための負荷(以下、押圧加工力)も小さくなる。これにより、本発明は、この押圧加工力を発揮するための機器を比較的小型なものとすることが可能となる。さらにまた、円筒状素管を回動させる周速度を高くする等して、各押圧ロールによる押圧加工に要する加工時間を充分に短くすることも可能となるため、総じて所望の不等肉厚管を成形するまでの加工時間が短時間化される。
一方、本発明は、車両用ホイールリムを製造する方法として、マンドレルロールに円筒状素管を遊嵌して、該マンドレルロールの回転により円筒状素管を回動させ、配設順序に沿って段階的に押圧幅が拡幅するように設定されている複数の押圧ロールを、その順序に従って、各押圧幅に構成された押圧突部が円筒状素管に圧接する位置に順次移動させ、かつ当該円筒状素管が少なくとも一回転する間、各押圧ロールの押圧突部を該円筒状素管に押圧維持し、この各押圧ロールの移動と押圧維持を繰り返すことにより、薄肉周部を順次段階的に拡幅するように形成して、所定幅の薄肉周部を有する不等肉厚管を成形する不等肉厚管成形工程を備えていることを特徴とする方法である。
かかる方法にあっては、上述した不等肉厚管の成形方法と同様の成形工程により得た不等肉厚管を用いて、車両用ホイールリムを製造するようにした方法であり、車両用ホイールとして強度的に余裕の有る所定部位を部分的に薄肉化した不等肉厚形状のホイールリムを成形することができる。したがって、充分な強度及び耐久性を保持しつつ軽量化された車両用ホイールを製造することができ得る。また、上述したように、材料の原単位を低減できるため、製造コストを低くすることができる。さらにまた、比較的短時間で不等肉厚管を成形することができるため、ほぼ均一な肉厚の円筒管から成形する通常の場合と、ほぼ同等の生産性を維持することができ得る。
さらに、上記した不等肉厚管成形方法の実質的な成形装置として、本発明は、円筒状素管が遊嵌され、その回転により該素管を回動させるマンドレルロールと、該マンドレルロールに遊嵌した円筒状素管に、ロール外周面に周成された押圧突部を外側から順次押圧することにより、該素管に所定幅の薄肉周部を形成する複数の押圧ロールからなり、各押圧ロールの押圧突部が、その配設順序に沿って、所定幅の薄肉周部となるまで、段階的に押圧幅が拡幅するように設定されている押圧ロール群と、押圧ロール群を各押圧ロールの押圧突部の押圧幅が順次拡がる順列により周方向へ回動可能に支持して、全押圧ロールを一体的に周回可能とするロール公転部材と、前記マンドレルロールと略平行に設けられ、ロール公転部材が外嵌されて各押圧ロールのロール外周面が周接され、該マンドレルロールとの間で、押圧ロールを介して円筒状素管を挟圧する押圧支持ロールと、各押圧ロールを、押圧支持ロールとマンドレルロールとの間で円筒状素管に圧接する押圧位置へ、押圧幅が拡がるように順次位置変換させると共に、円筒状素管が少なくとも一回転する間、各押圧ロールが押圧位置で該円筒状素管を押圧加工するように、前記ロール公転部材を周回駆動する周回駆動制御装置とを備えていることを特徴とするものである。尚ここで、ロール公転部材は、複数の押圧ロールを一体的に公転作動させるものであり、プラネタリーミルにおけるケージと類似のものである。
かかる構成の不等肉厚管成形装置にあっては、円筒状素管をマンドレルロールに遊嵌して回動させ、押圧幅の拡幅する順番に従って各押圧ロールを押圧位置に順次変換することにより、該押圧位置で円筒状素管を押圧加工し、薄肉周部を所定幅まで順次段階的に拡幅するように形成して、所望の不等肉厚管を成形できるものである。尚、各押圧ロールは、その押圧突部の押圧幅の幅方向が円筒状素管の軸方向にほぼ沿うように、ロール公転部材に配設されていることが好適である。これにより、押圧ロールの押圧加工により形成される薄肉周部は、その幅方向が円筒状素管の軸方向となる。
ここで、本不等肉厚管成形装置は、上述したように、押圧ロール群を構成する複数の押圧ロールにより、円筒状素管を多段階に分けて押圧加工するようにしていることから、各押圧ロールにより押圧加工される加工幅(軸方向の加工寸法)を小さくできる。これにより、上述したように、円筒状素管の管長に比して加工幅が充分に短くなることから、各押圧ロールの押圧加工によって、周方向への延伸が拘束されることとなり、軸方向への延伸を引き起こすこととなる。したがって、円筒状素管の内径を変化させることなく、所定幅の薄肉周部を有し、かつ、管長(軸方向長さ)が長尺化されてなる所望の不等肉厚管を成形することができ得る。
また、上記のように、個々の押圧ロールによる押圧加工時の加工面積が小さいことから、押圧加工力を小さくでき、該押圧加工力を発揮する機器を小型化できる。すなわち、本発明の不等肉厚管成形装置は、比較的小型なものとなる。さらに、マンドレルロール及び押圧支持ロールを高速回転させ、円筒状素管の周速度を高くすると共に、この回転に応じてロール公転部材も各押圧ロールを押圧位置へ順次変換する周回駆動の速度を速くすることが可能となる。したがって、所望の不等肉厚管を短時間で成形することができ得る。而して、本発明の不等肉厚管成形装置は、上述した従来構成の成形方法に比して、高い生産性を発揮し得るものである。
本発明の不等肉厚管成形装置は、車両用ホイールのリム生産ラインに適用することにより、車両用ホイールの強度上影響の無い部分を薄肉化したホイールリムの生産に供することができる。例えば、本不等肉厚管成形装置を、金属板の短辺同士を溶接して円筒状素管を形成する工程の直後に配設し、この円筒状素管から所定部位を薄肉化した不等肉厚管を形成する。そして、この不等肉厚管を、ロール成形加工工程により、部分的に薄肉化された不等肉厚形状のホイールリムに成形する。このようなリム生産ラインにあっては、本発明の不等肉厚管成形装置が短時間で不等肉厚管を成形する高い生産性を発揮し、略均一な肉厚のホイールリムを生産する通常の生産ラインに比して、ほぼ同等の生産性を維持しつつ、軽量化されたホイールリムを成形することが可能となる。さらに、不等肉厚管は、不等肉厚管成形装置により円筒状素管の管長を長尺化して成形されることから、予め軸方向に伸長する長さ(リム幅の拡幅量)を考慮して円筒状素管の素管長を設定することにより、該円筒状素管を成形する金属板の原単位を低減することができる。また、本発明の不等肉厚管成形装置は、円筒状素管から不等肉厚管を成形するものであるから、前記のように、リム生産ラインにあって、ロール成形加工工程の直前に配設することができ得る。このため、金属板の短辺同士を溶接する工程や該溶接部位をトリミングする工程を通常の工程で行うことが可能であり、溶接部を平滑な面性状に処理することができる。
上述した不等肉厚管成形装置にあって、マンドレルロールに遊嵌する円筒状素管の軸方向位置を定めると共に、押圧ロールを押圧することにより生ずる該円筒状素管の軸方向への延伸変形を妨げないようにした位置決め手段を備えている構成が提案される。
かかる構成にあっては、位置決め手段により、押圧ロールの押圧突部に対する円筒状素管の軸方向位置を正確に定めることができ、所望の軸方向位置に薄肉周部を確実に成形し得る。また、上述したように、不等肉厚管成形装置は、押圧ロールの押圧加工により管長を長尺化する延伸変形を生ずる。ここで、仮に、軸方向への延伸変形が妨げられると、軸方向延伸長が制限されるのみならず、押圧加工時に各ロールに大きな負荷が作用したり、押圧加工している部位近傍に局部的な変形を生じる等の不具合が起こり得る。したがって、位置決め手段が管長の延伸変形を妨げないようにすることにより、所望の形状の不等肉厚管を適正に成形することができる。
また、上述した不等肉厚管成形装置にあって、マンドレルロールと、ロール公転部材により押圧ロールを装着した押圧支持ロールとを、円筒状素管を入脱可能とする離間位置と、マンドレルロールに遊嵌した該円筒状素管を、押圧位置に在る押圧ロールにより押圧加工可能とする加工位置とに変換する位置変換手段を備えた構成が提案される。
かかる構成により、離間位置でマンドレルロールに円筒状素管を遊嵌した後、加工位置に位置変換して薄肉周部を形成する押圧加工を行い、再び離間位置に位置変換して当該加工後の不等肉厚管をマンドレルロールから取り外すという一連の工程が円滑かつ容易に実行されることとなる。ここで、位置変換手段は、マンドレルロール、押圧支持ロールのいずれか一方を位置変換するものであっても良いし、又は両者を位置変換するものであっても良い。
また、上述した不等肉厚管成形装置にあって、マンドレルロールと押圧支持ロールとにより円筒状素管と押圧ロールとを挟圧する押圧位置の両側に、該円筒状素管をマンドレルロールに押え付ける管押えロールを備えた構成が提案される。
かかる構成にあっては、管押えロールが押圧位置の両側で円筒状素管をマンドレルロールに押え付けることによって、押圧位置の付近で該円筒状素管の内周面をマンドレルロールにより充分に支持させることができる。したがって、押圧加工により素管内側が変形することを充分に防ぐことができる。さらには、押圧加工によって素管が周方向へ延伸することを拘束する作用もある。また、押圧ロールによる押圧加工中にあって、マンドレルロールが円筒状素管を所定の回転速度で安定して回転させることができ、高速回転させる場合にあっても、安定して高い生産性を維持できる。
さらに、上述した不等肉厚管成形装置にあって、押圧ロールの押圧突部が、その両側に夫々に裾拡がりとなるように傾斜する傾斜周面を備えてなるものである構成が提案される。
かかる構成にあっては、各押圧ロールにより形成される薄肉周部が、その軸方向に沿った断面形状を、ロール径方向内側へ軸方向幅が狭くなる台形状としたものとなるようにしている。この台形状断面の薄肉周部を形成することにより、次の押圧ロールの押圧加工が、当該薄肉周部を軸方向に一層拡幅し易くなっている。したがって、上述したように各ロールを高速で回転させるようにした場合にあっても、複数の押圧ロールによる押圧加工を一層円滑に実行できる。尚、仮に、押圧突部を、その傾斜周面が形成されておらず、両側がロール外周面に対してほぼ直角に形成されたものとした場合には、長方形状断面の薄肉周部が形成される。この場合、次の押圧ロールが押圧加工した時に、この薄肉周部の両側部位が該周部の内側へ押付けられるように被り変形することが懸念される。本構成では、このような被り変形が生じることを防止できる。
一方、上述した不等肉厚管成形装置にあって、ロール公転部材が、各押圧ロールを、それぞれの押圧突部の一側端を揃え、他側へ押圧幅が拡がるように、押圧支持ロールの周囲に配設するようにした構成が提案される。
かかる構成にあっては、押圧加工により、円筒状素管の軸方向一側へ延伸変形するようにしている。
又は、ロール公転部材が、各押圧ロールを、それぞれの押圧突部の押圧幅が両側へ拡がるように、押圧支持ロールの周囲に配設するようにした構成が提案される。
かかる構成にあっては、押圧加工により、円筒状素管の軸方向両側へ延伸変形するようにしている。
本発明は、上述したように、マンドレルロールに遊嵌した円筒状素管を回動させ、配設順序に沿って段階的に拡幅する押圧幅を成す押圧突部が夫々周成されている複数の押圧ロールを、その順序に従って、各押圧突部が円筒状素管に圧接する位置に順次移動させ、かつ当該円筒状素管が少なくとも一回転する間、押圧突部を該円筒状素管に押圧維持し、この各押圧ロールの移動と押圧維持を繰り返すことにより、薄肉周部を順次段階的に拡幅するように形成して、所定幅の薄肉周部を有する不等肉厚管を成形するようにした成形方法であるから、素管内径をほとんど変化させることなく、略均一な肉厚の円筒状素管から、所定幅の薄肉周部を有し、かつ、管長が長尺化されてなる所望の不等肉厚管を成形することができる。また、個々の押圧ロールによる加工面積(軸方向の加工寸法×周方向の接触長)が小さいことから、押圧加工力を小さくできるため、機器を小型化できると共に、素管を回動する速度を高速化することができ、所望の不等肉厚管を成形するまでの加工時間が短時間化される。
また、本発明は車両用ホイールリムの製造方法として、マンドレルロールに遊嵌した円筒状素管を回動させ、配設順序に沿って段階的に拡幅する押圧幅を成す押圧突部が夫々周成されている複数の押圧ロールを、その順序に従って、各押圧突部が円筒状素管に圧接する位置に順次移動させ、かつ当該円筒状素管が少なくとも一回転する間、押圧突部を該円筒状素管に押圧維持し、この各押圧ロールの移動と押圧維持を繰り返すことにより、薄肉周部を順次段階的に拡幅するように形成して、所定幅の薄肉周部を有する不等肉厚管を成形する不等肉厚管成形工程を備えた方法であるから、強度的に余裕の有る所定部位を部分的に薄肉化してなる不等肉厚形状のホイールリムを製造することができる。さらに、当該ホイールリムの成形方法にあっては、材料の原単位を低減できるため、リム重量を軽量化することができると共に、製造コストを低く抑えることができる。また、不等肉厚管の成形を比較的短時間に行うことができるため、通常のホイールリムの生産性を充分に維持しつつ、不等肉厚形状のホイールリムを得ることが可能である。
また、本発明の不等肉厚管成形装置は、マンドレルロールに円筒状素管を遊嵌して回動させると共に、複数の押圧ロールからなる押圧ロール群を支持するロール公転部材を、各押圧ロールの押圧突部の押圧幅が順次拡がる順列に従って、該マンドレルロールと該ロール公転部材が外嵌された押圧支持ロールとの間で円筒状素管に圧接する押圧位置へ、各押圧ロールを順次位置変換させるように周回駆動制御装置により周回駆動することにより、各押圧ロールの押圧突部が順次押圧して、所定幅の薄肉周部となるまで段階的に拡幅するようにし、該円筒状素管を所望の不等肉厚管に成形するようにした装置であるから、円筒状素管の素管内径をほとんど変化させることなく、所定幅の薄肉周部を有し、かつ、管長が長尺化されてなる所望の不等肉厚管を成形することができる。本発明の不等肉厚管成形装置は、比較的小さな押圧加工力により成形でき、装置自体が小型化され得るものであると共に、所望の不等肉厚管を短時間に成形できるという高い生産性を発揮できるものである。したがって、車両用ホイールのリム生産ラインに容易かつ適正に配設することができるため、強度的に余裕の有る所定部位を薄肉化してなる不等肉厚リムを、略均一な肉厚のリムを成形する通常の場合とほぼ同等の生産性で成形することが可能となる。また、リム生産ラインにあって、トリミング加工処理後に不等肉厚管を成形することができるため、円筒状素管の溶接やトリミング加工を適正に行うことができ、溶接部を平滑な面性状に成形できる。さらに、円筒状素管の管長が伸長することを予め考慮して設計すれば、素管長の短い円筒状素管から所望長さの不等肉厚リムを成形することができるため、材料の原単位を低減でき、材料費の低減とリム重量の軽量化とを実現できる。
このような不等肉厚管成形装置にあって、マンドレルロールに遊嵌した円筒状素管の軸方向位置を定めると共に、押圧ロールの押圧加工により生ずる該円筒状素管の軸方向への延伸変形を妨げないようにした位置決め手段を備えている構成とした場合には、該位置決め手段により、所望の軸方向位置に薄肉周部を確実に成形できると共に、管長を長尺化する延伸変形が適正に行われることとなる。而して、リム生産ラインに適用された場合に、優れた生産性を維持できる。
また、上述した不等肉厚管成形装置にあって、マンドレルロールと押圧支持ロールとを、円筒状素管を入脱可能とする離間位置と、マンドレルロールに遊嵌した該円筒状素管を押圧位置に在る押圧ロールにより押圧加工可能とする加工位置とに変換する位置変換手段を備えた構成とした場合には、円筒状素管をマンドレルロールに遊嵌することと、押圧加工後に不等肉厚管のマンドレルロールからの取り外しとを容易に行うことができる。而して、不等肉厚管を成形するという一連の工程が円滑に進行し、高い生産性を維持できるようになっている。
また、上述した不等肉厚管成形装置にあって、マンドレルロールと押圧支持ロールとにより円筒状素管と押圧ロールとを挟圧する押圧位置の両側に、該円筒状素管をマンドレルロールに押え付ける管押えロールを備えた構成とした場合には、押圧位置で円筒状素管の内周面をマンドレルロールにより充分に支持することができるため、素管内側が変形することを防ぐことができる。また、押圧加工中にあっても、円筒状素管を所定の回転速度を維持して回転させることができ、安定して高い生産性を維持できる。
また、上述した不等肉厚管成形装置にあって、押圧ロールの押圧突部が、その両側に夫々に裾拡がりとなるように傾斜する傾斜周面を備えている構成とした場合には、次々に実行される押圧加工により、被り変形等の不具合を生じることなく、順次適正に薄肉周部を形成することができ得る。而して、リム生産ラインに配設され、高速で円筒状素管を回動させる場合にあっても、各押圧ロールによる押圧加工が円滑に行われ、高い生産安定性を発揮できる。
一方、上述した不等肉厚管成形装置にあって、ロール公転部材が、各押圧ロールを、それぞれの押圧突部の一側端を揃え、他側へ押圧幅が拡がるように、押圧支持ロールの周囲に配設するようにした場合には、押圧加工により該他側へ延伸変形することとなる。これにより、不等肉厚管としての薄肉周部の位置設計を比較的容易に行い得ると共に、押圧位置に対する円筒状素管の軸方向位置決めも容易にできる。
又は、ロール公転部材が、各押圧ロールを、それぞれの押圧突部の押圧幅が両側へ拡がるように、押圧支持ロールの周囲に配設するようにした場合には、押圧加工により軸方向両側へ延伸変形することとなる。この押圧加工では、薄肉周部の両側で夫々拡幅する加工幅が、それぞれ両側への延伸変形に寄与することとなっているため、延伸長に対して、片側の加工幅を小さくできる。したがって、押圧ロールの配設数を少なくしたり、さらに高速で円筒状素管を回動することに適する。また、比較的幅の広い薄肉周部を成形する場合に好適に用いることができる。
本発明にかかる実施の形態を添付図面を用いて詳述する。
図1,図2は、本発明の不等肉厚管成形装置1を表す概念図であり、図1が正面図、図2が側面図である。この不等肉厚管成形装置1には、円筒状素管xを遊嵌するマンドレルロール2と、周囲に複数の押圧ロール20a〜20fが配設された押圧支持ロール3とを、それぞれの中心軸が略平行となるようにして設けられている。ここで、本実施例にあっては、押圧支持ロール3の周囲に、六個の押圧ロール20a〜20fを配するようにしており、これら押圧ロール20a〜20fにより本発明にかかる押圧ロール群(図示省略)が構成されている。尚、各ロールを支持するフレーム、各ロールの回動軸や駆動軸を支持する軸受け等については、図面への記載及び説明を省略している。
図1,図2は、本発明の不等肉厚管成形装置1を表す概念図であり、図1が正面図、図2が側面図である。この不等肉厚管成形装置1には、円筒状素管xを遊嵌するマンドレルロール2と、周囲に複数の押圧ロール20a〜20fが配設された押圧支持ロール3とを、それぞれの中心軸が略平行となるようにして設けられている。ここで、本実施例にあっては、押圧支持ロール3の周囲に、六個の押圧ロール20a〜20fを配するようにしており、これら押圧ロール20a〜20fにより本発明にかかる押圧ロール群(図示省略)が構成されている。尚、各ロールを支持するフレーム、各ロールの回動軸や駆動軸を支持する軸受け等については、図面への記載及び説明を省略している。
上記したマンドレルロール2には、その中心軸に沿って駆動軸10が接続されており、該駆動軸10を回動する駆動モータ12により、該マンドレルロール2がその中心軸を中心として周方向に沿って回動するようになっている。この駆動モータ12は、図示しない制御装置によって、その駆動を制御されている。尚、本実施例にあって、このマンドレルロール2は、その外径を円筒状素管xの内径に比して少し小さくしたものとなっており、円筒状素管xを遊嵌することと、成形後の不等肉厚管Xを取り外すこととを容易に行い得るようにしている。
また、上記した押圧支持ロール3には、その中心軸に沿って前後方向に突出する駆動軸11が接続されており、該駆動軸11を回動する駆動モータ13により、該押圧支持ロール3がその中心軸を中心として周方向に沿って回動するようになっている。尚、この駆動モータ13は、図示しない制御装置によって、その駆動を制御されている。また、この押圧支持ロール3は、軸方向両外側に、押圧ロール20a〜20fのロール外周面21が周接される接触周面4,4が設けられ、該接触周面4,4間に逃げ溝5が形成されている構成となっている。
この押圧支持ロール3の周囲に配設される各押圧ロール20a〜20fには、それぞれのロール外周面21に、マンドレルロール2に遊嵌した円筒状素管xに外側から押圧加工する押圧突部22a〜22fが周成されている。この押圧突部22a〜22fが、円筒状素管xに押圧されることにより(図3参照)、当該円筒状素管xに、各押圧突部22a〜22fの軸方向幅(以下、押圧幅)t1〜t6に応じた薄肉周部y1〜y6(図3参照)を形成する。ここで、本実施例にあっては、六個の押圧ロール20a〜20fを配設するようにしており、詳しくは後述する。
これら六個の押圧ロール20a〜20fは、この押圧支持ロール3の周囲に周方向に略均等間隔となるようにして、ロール公転部材15により配設されている。ここで、ロール公転部材15は、その内周縁が駆動軸11に遊転可能に支持される前後二部材の円環状体(図示省略)から構成され、各押圧ロール20a〜20fを前後両側から遊転可能に支持するように設けられてなるものである。尚、前後両側の円環状体は、図示しない接合部材により連結されている。そして、このロール公転部材15は、各押圧ロール20a〜20fを、その前後から突成された回動軸25m,25nを前後両側から遊転可能とすると共に、各ロール外周面21を押圧支持ロール3の接触周面4,4に周接するように支持している。ここで、各押圧ロール20a〜20fの押圧突部22a〜22fは、押圧支持ロール3の逃げ溝5に挿入され、該押圧支持ロール3と接触しないようにしている。
さらに、各押圧ロール20a〜20fには、図2のように、前側の回動軸25mが上記したロール公転部材15から前方へ突出するように設けられており、該回動軸25mに自転用被回動歯車18が配設されている。また、押圧支持ロール3の駆動軸11も、上述したように、該押圧支持ロール3から前方へ突出するように設けられており、該駆動軸11の前方突出部位に自転用回動歯車19が配設されている。そして、これら自転用被回動歯車18と自転用回動歯車19とが噛み合わされていることにより、該駆動軸11の回動を回動軸25mに伝達するようにしている。すなわち、この自転用被回動歯車18と自転用回動歯車19により、駆動モータ13の回動が各押圧ロール20a〜20fに伝達されることとなっている。ここで、自転用被回動歯車18は、そのピッチ円直径が押圧ロール20a〜20fの外径と等しくなるようにすると共に、自転用回動歯車19は、そのピッチ円直径が押圧支持ロール3の外径と等しくなるように設定されている。これにより、押圧ロール20a〜20fを、押圧支持ロール3の周速度と同じ周速度で回動するようにしている。尚、これら自転用被回動歯車18及び自転用回動歯車19は、図1(及び図4)では省略している。
上記したロール公転部材15には、その後側部材の後部に公転用被歯車部27が、駆動軸11の周りに周成されている。この公転用被歯車部27は、駆動軸11の周囲に遊転可能となるように支持されている。そして、ステッピングモータ16により回動される公転用歯車17が、前記公転用被歯車部27に噛み合わされるようにして配設されている。このステッピングモータ16を駆動制御することにより、ロール公転部材15が駆動軸11の周囲を周回駆動することとなり、これに従って全ての押圧ロール20a〜20fを一体的に公転することとなる。すなわち、このロール公転部材15は、全ての押圧ロール20a〜20fを一体的に公転させると共に、個々の押圧ロール20a〜20fがそれぞれ自転できるようにもしている。尚、ステッピングモータ16は、図示しない制御装置に接続されており、所定の回転速度で制御されるものとなっている。ここで、回動伝達部材17、ステッピングモータ16、制御装置等により、本発明の周回駆動制御手段が構成されている。このようにロール公転部材15は、六個の押圧ロール20a〜20fを一体的に公転作動させるものであり、プラネタリーミルにおけるケージと類似のものである。
そして、上述したように、押圧ロール20a〜20fは、押圧支持ロール3とマンドレルロール2との間で、その押圧突部22a〜22fが、マンドレルロール2に遊嵌している円筒状素管xに圧接する位置へ、ロール公転部材15が周回駆動することによって移動されるようになっている。そして、押圧ロール20a〜20fの押圧突部22a〜22fが円筒状素管xに圧接される位置で、これら両者は押圧支持ロール3とマンドレルロール2との間で挟圧されることとなり、該押圧突部22a〜22fが該円筒状素管xをその外側から押圧する。この挟圧力の最も大きくなる位置、すなわち、押圧突部22a〜22fにより最も深く押圧加工される位置が、押圧位置Pとなる。このように、ロール公転部材15が押圧支持ロール3の周囲を周回駆動して、各押圧ロール20a〜20fを押圧位置Pへ順次位置変換することにより、該押圧位置Pに位置した押圧ロール20a〜20fが、その押圧突部22a〜22fにより円筒状素管xを押圧加工して薄肉周部y1〜y6を形成する(図3参照)。ここで、ロール公転部材15は、各押圧ロール20a〜20fを、円筒状素管xが少なくとも一回転する間、押圧位置Pで停止するようにステッピングモータ16により制御される。尚、本実施例にあっては、円筒状素管xが二回転する間、各押圧ロール20a〜20fを押圧位置Pで停止するようにしている。
また、マンドレルロール2は、該マンドレルロール2を上下方向に移動させる位置変換制御装置30に接続されている(図1)。そして、この位置変換制御装置30により、マンドレルロール2は、上記した押圧位置Pに在る押圧ロール20a〜20fと円筒状素管xとを押圧支持ロール3と共に挟圧する加工位置H1と、該押圧支持ロール3から離れて、円筒状素管xを遊嵌したり、成形後の不等肉厚管Xを取り外す離間位置H2とに位置変換される(図4参照)。ここで、位置変換制御装置30は、ステッピングモータ32と、該ステッピングモータ32に接続された移動支持杆31とを備え、該移動支持杆31の杆長を回動半径として上下方向へ所定角度だけ往復回動するように制御するものである。そして、この移動支持杆31に、マンドレルロール2が接続され、前記した加工位置H1と離間位置H2との間で往復移動するようになっている。この位置変換制御装置30により、本発明の位置変換手段が構成されている。
尚、本実施例にあっては、上述した押圧支持ロール3の位置は固定されており、上記のようにマンドレルロール2を位置変換するようにしている。
さらに、本不等肉厚管成形装置1には、マンドレルロール2に遊嵌された円筒状素管xを、上記した押圧位置Pの周方向両側で、該マンドレルロール2に押え付ける管押えロール35,35が配設されている(図1)。この管押えロール35,35は、図示しない位置変換装置により、円筒状素管xを外側から押え付ける押え位置(図4(ロ))とマンドレルロール2から離れる退避位置(図4(イ))とに位置変換されるようになっている。そして、管押えロール35,35は、円筒状素管xを遊嵌したマンドレルロール2が上記した加工位置に位置すると、押え位置に位置して円筒状素管xを押さえ付け、不等肉厚管Xが成形されると、該不等肉厚管Xから離れた退避位置に位置するように位置変換制御される。すなわち、管押えロール35,35は、マンドレルロール2を位置変換する位置変換制御装置30と連動して、位置変換作動を実行するように制御されている。
次に、上述した押圧ロール20a〜20fについて詳細に説明する。
押圧ロール群を構成する六個の押圧ロール20a〜20fは、図3のように、押圧位置Pで各押圧突部22a〜22fを順次押圧することにより、所望の不等肉厚管Xを構成する薄肉周部Yの所定幅(以下、周部幅)Tまで段階的に順次拡幅する薄肉周部y1〜y6を夫々に形成するようにしたものである。ここで、各押圧突部22a〜22fは、順次拡幅する薄肉周部y1〜y6を形成するように、その押圧幅t1〜t6が夫々設定されている。すなわち、本実施例にあっては六個の押圧ロール20a〜20fを配設するようにしていることから、最も狭い押圧幅t1を成す押圧突部22aが周成された押圧ロール20aから、最も広い押圧幅t6を成す押圧突部22fが周成された押圧ロール20fまで、順次押圧加工することによって、六段階に分けて薄肉周部Yを形成することとなっている。尚、最も幅広の押圧突部22fの押圧ロール20fにより形成される薄肉周部y6が、周部幅Tの薄肉周部Yとなる。
押圧ロール群を構成する六個の押圧ロール20a〜20fは、図3のように、押圧位置Pで各押圧突部22a〜22fを順次押圧することにより、所望の不等肉厚管Xを構成する薄肉周部Yの所定幅(以下、周部幅)Tまで段階的に順次拡幅する薄肉周部y1〜y6を夫々に形成するようにしたものである。ここで、各押圧突部22a〜22fは、順次拡幅する薄肉周部y1〜y6を形成するように、その押圧幅t1〜t6が夫々設定されている。すなわち、本実施例にあっては六個の押圧ロール20a〜20fを配設するようにしていることから、最も狭い押圧幅t1を成す押圧突部22aが周成された押圧ロール20aから、最も広い押圧幅t6を成す押圧突部22fが周成された押圧ロール20fまで、順次押圧加工することによって、六段階に分けて薄肉周部Yを形成することとなっている。尚、最も幅広の押圧突部22fの押圧ロール20fにより形成される薄肉周部y6が、周部幅Tの薄肉周部Yとなる。
ここで、各押圧ロール20a〜20fは、それぞれの押圧突部22a〜22fが順次拡幅する軸方向の加工寸法(加工幅)と周方向の接触長との積算域(加工面積)を、押圧加工することとなっている。すなわち、押圧ロール20aの押圧突部22aは、その押圧幅t1と周長とを積算した領域を押圧加工する。また、押圧ロール20bの押圧突部22bは、その押圧幅t2と押圧ロール20aの押圧幅t1との差幅に、周長を積算した領域を押圧加工する。同様に、押圧ロール20cの押圧突部22cは、その押圧幅t3と押圧ロール20bの押圧幅t2との差幅に、周長を積算した領域を押圧加工する。これ以降の押圧ロール20d〜20fにあっても、同様に押圧加工が施される。
この押圧突部22a〜22fは、軸方向両側に裾拡がりとなる傾斜周面23,23と、該傾斜周面23,23間にロール外周面21と略平行な周平面24a〜24fとから構成されている。この傾斜周面23,23は、本実施例にあって、全押圧突部22a〜22fで同じ傾斜角としており、ロール外周面21に対して約30度の傾斜角で形成している。尚、各押圧突部22a〜22fは、同じ傾斜周面23,23により構成されていることから、周平面24a〜24fの軸方向幅が押圧幅t1〜t6に応じて異なることとなっている。
また、各押圧突部22a〜22fは、ロール外周面21からの径方向外側へ突出する距離が同じとなるように設けられている。尚、各押圧ロール20a〜20fの各ロール外周面21の外径も同じとしている。これにより、各押圧ロール20a〜20fは、各薄肉周部y1〜y6をほぼ同じ肉厚に形成する。尚、この押圧突部22a〜22fの突出高さは、不等肉厚管Xの薄肉周部Yが所望の肉厚となるように設定されている。
ここで、押圧ロール20a〜20fは、上記した押圧位置Pに位置した場合に、ロール外周面21が、円筒状素管xとの間に挟圧力を生じないようにして、該円筒状素管xの外周面に近接するようにしている。すなわち、ロール外周面21は、僅かに離間するようにしても良いし、ほぼ接触するようになっていても良い。このように、上述したマンドレルロール2の加工位置H1は、該マンドレルロール2と押圧支持ロール3との間隔が、円筒状素管xの肉厚と押圧ロール20a〜20fの外径とを加算した距離とほぼ等しくなるように設定されている。これにより、押圧ロール20a〜20fが押圧位置Pで押圧加工する場合に、肉厚方向へ生じる膨張を防ぐことができ得るようにしている。尚、このように肉厚方向への延伸を防ぐことにより、軸方向へ延伸させる作用が大きく生じることともなる。
そして、このような六個の押圧ロール20a〜20fは、図1のように、押圧支持ロール3に外嵌されるロール公転部材15によって、該押圧支持ロール3の周囲に略均等間隔で配設される。ここで、ロール公転部材15には、六個の押圧ロール20a〜20fが、各押圧突部22a〜22fを徐々に拡幅する順序に従って配列されている。尚、本実施例にあって、図1の紙面上で時計回りに押圧ロール20aから押圧ロール20fまで順番に並んでいる。
ここで、本実施例にあっては、図3のように、六個の押圧ロール20a〜20fが、それぞれの押圧突部22a〜22fを、その一側端部(図面の右側端部)の軸方向位置が等しくなるように周成してなるものとしている。そして、ロール公転部材15に、最も狭い押圧幅t1の押圧ロール20aから最も広い押圧幅t6の押圧ロール20fまで、各押圧突部22a〜22fが他側へ順次拡がるように配列される。この六個の押圧ロール20a〜20fが、押圧幅t1〜t6の拡がる順に押圧加工することにより、薄肉周部y1〜y6は軸方向の一側へ拡幅するように形成されることとなる。
一方、上記したマンドレルロール2には、円筒状素管xを遊嵌した場合に、該円筒状素管xの嵌入側端部が当接して、円筒状素管xの軸方向位置を位置決めするためのフランジ部6が周成されている(図2,図3)。このフランジ部6と、上記した押圧ロール20a〜20fの押圧突部22a〜22fとの軸方向位置関係によって、円筒状素管xに形成する薄肉周部Yの軸方向位置が決まることとなる。そして、ロール公転部材15は、各押圧ロール20a〜20fを、マンドレルロール2のフランジ部6と同じ側で各押圧突部22a〜22fの一側端部が夫々整一となるように配設している。これにより、押圧ロール20a〜20fの押圧加工によって生じる管長を延伸する延伸変形を、フランジ部6と反対側へ生じさせ得るようにしている。したがって、延伸変形が、フランジ部6側へ生じようとして、該フランジ部に妨げられ、押圧ロール20a〜20fと素管との軸方向位置がズレてしまうことも防ぎ得る。
尚、このフランジ部6は、押圧ロール20a〜20fの押圧加工時にそのロール外周面21と接触しないように、マンドレルロール2の外周面から外側に突成されている。
次に、上述した本発明にかかる不等肉厚管成形装置1を、ホイールディスクとホイールリムとを接合してなる2ピースタイプの自動車用ホイールのリム生産ラインに適用した場合について、不等肉厚管Xを成形する過程に従って説明する。ここで、不等肉厚管成形装置1は、リム形状を形成するロール加工工程の前に配設し、該円筒状素管xから成形した不等肉厚管Xがロール加工工程に移送されるように生産ラインを組み立てている。
尚、本実施例で成形するホイールリム90にあっては、図10のように、表裏両側にフランジ部91,92が形成され、該フランジ部91,92に、タイヤのビードが着座する表裏両側のビードシート部93,94が夫々に連成されている。そして、表側のビードシート部93からウエル部95を介してドロップ部97が連成されており、該ドロップ部97の裏側には、ウエル部96を介してレッジ部98が形成され、該レッジ部98が裏側のビードシート部94に連成されている。このホイールリム90にあって、裏側ビードシート部94とドロップ部97との間の、レッジ部98と裏側のウエル部96とを、他の部位に比して薄肉化して成形する。このレッジ部98と裏側のウエル部96との部位は、通常のリム生産ラインで成形された場合に、肉厚が大きく、自動車用ホイールの強度上余裕を持っている。本実施例では、この部位を薄肉化したホイールリム90を成形し、総じて自動車用ホイールを軽量化するようにしている。
以下、ホイールリム90の生産工程に従って詳述する。
先ず、略均一な板厚の長方形状の金属板(図示省略)を準備する。この金属板にあって、板厚は、自動車用ホイールとなった場合にホイールリムの最も強度が求められている部位に必要な肉厚に従って設定されている。また、金属板の長辺長さは、所望のリム径に従って設定されている。また、短辺長さは、ホイールリム成形後に、所望のリム幅に成形されるように予め設定される。本実施例にあっては、不等肉厚管成形装置1の加工工程によりリム幅方向(軸方向)へ延伸変形する延伸長を考慮して、金属板の短辺長さを設定しており、当該不等肉厚管成形装置1を配設していない通常のリム生産ラインの場合に比して、短辺長さが短くなっている。すなわち、金属板の原単位が少ない。
この金属板を、両側の短辺同士が合わさるようにほぼ一様に曲げ加工して、該短辺同士を突き当てた状態で溶接することにより、円筒体とする。そして、この溶接により内側及び外側へ突成された溶接山や、両側へはみ出たバリを削るトリミング加工を行う。このトリミング加工によって溶接部を滑らかな曲面状とし、本発明にかかる円筒状素管xが形成される。ここで、円筒状素管xは、一般的に、その直径に対して管長が短いものとなっている。尚、この円筒状素管xの管長は、ホイールリムを成形する場合にあって、リム幅を示している。
上述した、所定寸法の金属板を準備し、溶接してトリミング加工を行うまでの工程は、通常のリム生産ライン上で行われている工程と同じであり、詳細は省略している。
このように形成された円筒状素管xは、不等肉厚管成形装置1へ移送され、薄肉周部Yが形成されて不等肉厚管Xとなる。本実施例にあっては、上述したように、成形後のリム90が、そのレッジ部98と裏側のウエル部96とを薄肉化したものとなるように、円筒状素管xの、これら部位が後工程のロール加工工程により成形される部分に、薄肉周部Yを形成する。このため、レッジ部98と裏側のウエル部96とを形成する部位に、薄肉周部Yを形成できるように、上述したようにマンドレルロール2のフランジ部6と、押圧ロール20a〜20fの押圧突部22a〜22fとの軸方向位置関係を設定している。
尚、不等肉厚管成形装置1にあって、円筒状素管xが移送される前には、マンドレルロール2が離間位置H2に在り、管押えロール35,35は、退避位置に在る(図4(イ)参照)。この時、ロール公転部材15は、最も狭い押圧幅t1に設定された押圧突部22aが周成されている押圧ロール20aと、最も幅広の押圧幅t6に設定された押圧突部22fが周成されている押圧ロール20fとの間に、押圧位置Pが存するようにして停止している。
不等肉厚管成形装置1まで円筒状素管xが移送されると、図4(イ)のように、該円筒状素管xを、離間位置H2に存するマンドレルロール2に遊嵌する。ここで、円筒状素管xは、フランジ部6に当接されて、その軸方向位置が決定する(図2参照)。その後、位置変換制御装置30が駆動して、円筒状素管xを遊嵌した状態でマンドレルロール2を上方移動させ、離間位置H2から加工位置H1へ位置変換する。そして、図4(ロ)のように、このマンドレルロール2が加工位置H1へ位置変換されると、管押えロール35,35を押え位置へ移動させて、当該円筒状素管xをその外側からマンドレルロール2に押さえ付ける。これにより、円筒状素管xの、両側管押えロール35,35の間の領域が、その内周面をマンドレルロール2の外周面により面支持された状態となる。さらに、マンドレルロール2を所定周速度で回動させるように、駆動軸10が接続された駆動モータ12を駆動制御する。同様に、押圧支持ロール3を所定周速度で回動させるように、駆動軸11が接続された駆動モータ13を駆動制御する。尚、この駆動モータ13を駆動させることにより、押圧支持ロール3と同期して各押圧ロール20a〜20fも所定周速度で回動することとなる。ここで、マンドレルロール2と押圧支持ロール3とは、同じ方向かつ同じ周速度となるように、それぞれの回動を制御している。また、押圧ロール20a〜20fは、逆方向に同じ周速度で回動する。尚、本実施例にあっては、図面上で、マンドレルロール2および押圧支持ロール3は時計回りに回動し、押圧ロール20a〜20fは反時計回りに回動することとしている。
上記のように、マンドレルロール2が回動すると、該マンドレルロール2に押え付けられている円筒状素管xも回動する。
そして、ステッピングモータ16を駆動して、ロール公転部材15を、押圧支持ロール3に沿って周回動させ、押圧ロール20aを押圧位置Pまで移動させる。ここで、ロール公転部材15は、図面上を反時計周りに動くこととなる。そして、押圧ロール20aが押圧位置Pに到達すると、ステッピングモータ16の駆動を停止して、ロール公転部材15の周回動を停止させる(図1参照)。この押圧位置Pで、押圧ロール20aと円筒状素管xとは、マンドレルロール2と押圧支持ロール3とにより挟圧され、該押圧ロール20aの押圧突部22aが該円筒状素管xをその外側から押圧加工する。そして、円筒状素管xがマンドレルロール2の回動に従って回動することにより、該円筒状素管xの外周に亘って、押圧突部22aの形状に応じた薄肉周部y1が形成される(図3(イ))。ここで、本実施例にあっては、マンドレルロール2が二周する間、押圧ロール20aが押圧位置Pに在るように、ロール公転部材15はその周回動を停止した状態に制御される。これにより、押圧ロール20aが、薄肉周部y1を適正な形状に安定的に形成できるようになっている。
さらに、この押圧ロール20aの押圧突部22aが円筒状素管xに押圧されると、上記した薄肉周部y1の形成に伴って、軸方向に延伸変形する(図示省略)。ここで、この押圧ロール20aは、円筒状素管xの回動に従って、円筒状素管xの周方向へ押圧加工していくこととなっている。そして、押圧突部22aの押圧幅t1は、周部幅Tを六段階に分けて形成するものの一段階であり、円筒状素管xの管長に比して極めて短く、押圧加工に伴う加工幅も小さくなる。このため、軸方向では、押圧突部22aにより押圧加工されない非加工部位に比して、押圧加工される加工部位は充分に小さくなっている。したがって、この非加工部位により、押圧突部22aの加工方向である周方向への延伸変形が拘束され、当該押圧加工によって円筒状素管xの内径はほとんど変化し得ない。そして、薄肉周部y1の形成により排除(減肉)される材料は軸方向に流れ、該薄肉周部y1の軸方向の延伸を引き起こすこととなり、円筒状素管xの管長が伸長する。尚、この軸方向への延伸変形は、円筒状素管xの軸方向位置を定めていないフランジ部6と反対側へ生じる。
ここで、押圧位置Pの両側で管押えロール35,35によってマンドレルロール2に押さえ付けられていることも、周方向への延伸変形を拘束することに寄与している。
さらに、押圧ロール20aは、上述したように、押圧加工している部位の軸方向に沿って、ロール外周面21が円筒状素管xの外周面と近接するようにしたものであることから、該円筒状素管xが肉厚方向へ膨張変形することを抑制している。これも、上述したように、軸方向への延伸変形に変換されることとなっている。
このように、押圧ロール20aの押圧加工により、円筒状素管xに薄肉周部y1を形成すると共に、該薄肉周部y1の形成に伴って素管長が軸方向へ延伸変形することとなる。そして、円筒状素管xは、内径がほとんど変化せず、薄肉周部y1が形成されたものとなっている。
また、押圧ロール20aが円筒状素管xを押圧加工している状態にあって、該押圧ロール20aは、上述したように、該円筒状素管xと逆向きに回動している。このように、押圧ロール20aと円筒状素管xとが互いに逆回転しながら押圧加工することにより、該押圧加工が進行することとなる。さらに、押圧ロール20aと押圧支持ロール3とは圧接し、両者間で押圧加工時の負荷が作用しているものの、両者が互いに逆方向へ同じ周速度で回転していることにより、押圧加工のエネルギーロスを小さくし、該押圧加工の円滑な進行に寄与している。
上述したように、押圧ロール20aが、円筒状素管xの二周回する間、押圧位置Pで押圧加工すると、再びステッピングモータ16を駆動してロール公転部材15を反時計回りに周回動させ、次の押圧ロール20bを押圧位置Pへ移動させる。そして、この押圧ロール20bの押圧突部22bが押圧され、既に形成されている薄肉周部y1を拡幅するようにして、薄肉周部y2が形成される(図3(ロ))。ここで、各押圧ロール20a〜20fの押圧突部22a〜22fは、上述したように、フランジ部6側で整一となっていることから、当該押圧ロール20bにより、薄肉周部y1はフランジ部6と反対側へ拡幅され、薄肉周部y2が形成されることとなっている。
ここで、押圧ロール20bが押圧加工する前に、押圧ロール20aにより形成された薄肉周部y1には、図3(イ)のように、その軸方向両側縁に外方へ拡がる傾斜周部z,zが形成されている。このため、押圧ロール20bの押圧突部22bが、この薄肉周部y1を押圧した場合にあって、拡幅する側の傾斜周部zは、該押圧に従って軸方向へ圧延されることとなり得る。したがって、押圧ロール20bの押圧加工によって、薄肉周部y1の傾斜周部zが被り変形する等の不具合を生じることなく、薄肉周部y2が形成される(図3(ロ))。
さらに、押圧ロール20bの押圧加工により、薄肉周部y2が形成されるに伴って、フランジ部6と反対側へ軸方向に沿って延伸変形し、管長が伸長する(図示省略)。これは、上述した押圧ロール20aと同様に、押圧幅t1に対する押圧幅t2の加工幅が管長に比して充分小さいことにより、周方向への延伸変形が拘束されることに因る。さらに、フランジ部6と反対側へ拡幅するように薄肉周部y2を形成していることからも、フランジ部6により拡幅変形を妨げられることなく、比較的容易に軸方向へ延伸変形できることとなっている。
尚、押圧ロール20bにあっても、上述した押圧ロール20aと同様に、円筒状素管xが二周回する間、押圧位置Pに停止して押圧加工するようにしており、薄肉周部y2を適正かつ安定して形成できるようになっている。
上記したように、押圧ロール20bが押圧位置Pで保持された状態で、円筒状素管xが二周回すると、再びロール公転部材15を反時計回りに周回動させ、次の押圧ロール20cを押圧位置Pへ移動させる。そして、この押圧ロール20cを、円筒状素管xが二周回する間、押圧位置Pで押圧加工させることにより、さらに拡幅した薄肉周部y3を形成する(図3(ハ))。この押圧加工によっても、上述と同様に、軸方向へ延伸変形して管長が伸長する。
さらに、押圧ロール20d、押圧ロール20e、押圧ロール20fを、順に押圧位置Pへ移送し、上述した押圧ロール20a〜20cと同様に、それぞれ円筒状素管xが二周回する間押圧加工する(図示省略)。このように順次押圧加工することにより、薄肉周部y4(図3(ニ))、薄肉周部y5(図3(ホ))、薄肉周部y6(図3(ヘ))の順に形成されると共に、各加工毎に軸方向へ延伸変形して管長が延びていく。そして、押圧ロール20fにより薄肉周部y6が形成されることにより、所定の周部幅Tを成す薄肉周部Yが形成された不等肉厚管X(図3(ヘ))が成形されることとなる。
上記のように、順次押圧加工が行われ、最も幅広の押圧幅t6を成す押圧ロール20fにより薄肉周部y6が形成されると、ロール公転部材15は、押圧ロール20fと押圧ロール20aとの間に押圧位置Pが位置するように、回動して停止する(図4(ロ)参照)。さらに、管押えロール35,35が押え位置から退避位置に位置変換される。その後、位置変換制御装置30がマンドレルロール2を加工位置H1から離間位置H2まで位置変換し(図4(イ)参照)、該マンドレルロール2から、所望の薄肉周部Yが形成された不等肉厚管Xが取り外される。このようにして、円筒状素管xから不等肉厚管Xを成形する工程が終了する。
尚、本実施例の不等肉厚管成形装置1にあって、ロール公転部材15は、ステッピングモータ16を、各押圧ロール20a〜20fを順次押圧位置Pに位置変換するように間欠的に駆動するように制御している。すなわち、ロール公転部材15は、押圧ロール20a〜20fを押圧位置Pへ移送する場合に周回駆動し、円筒状素管xが二周回する間は該押圧位置Pで停止するように作動する。
一方、このように不等肉厚管成形装置1により成形された不等肉厚管Xは、ホイールリム形状を成形するロール加工工程に移送される。このロール加工工程にあっては、不等肉厚管Xの両側開口部を拡開するフレア工程、所定のロール金型を回動しながら内側と外側から挟圧してホイールリム形状を形成するロール工程、真円度を整えるエキスパンド工程等が順次実行される。ここで、ホイールリム形状を形成するロール工程にあっては、不等肉厚管Xに形成した薄肉周部Yに、レッジ部と裏側のウエル部とが形成されるように、前記したロール金型による加工が実行されるようにしている。そして、このようなロール加工工程により、レッジ部と裏側ウエル部とが他部位に比して薄肉化された所望のホイールリム90が成形される(図10)。尚、このロール加工工程は、通常のリム生産ライン上で行われている工程と同じであり、詳細は省略している。
このように、本発明にかかる不等肉厚管成形装置1は、通常のリム生産ラインに組み込まれ、所望のホイールリム90を生産することができる。すなわち、この不等肉厚管成形装置1による不等肉厚管Xの成形工程が増加する以外は、通常の生産ラインと同じ工程でよい。したがって、ホイールリム90の生産に要する時間としては、不等肉厚管成形装置1による成形工程に要する時間が、通常のリム生産時間より増加するだけである。
ここで、上記した不等肉厚管成形装置1は、上述したように、各押圧ロール20a〜20fを所定の周部幅Tまで六段階に分けて押圧加工させるものであり、各押圧加工にあって、押圧突部22a〜22fが素管xと接触して押圧加工する加工面積(加工幅×周方向の接触長)は小さくなっている。このため、各押圧ロール20a〜20fによるそれぞれの押圧加工では、該押圧加工に要する押圧加工力も比較的小さくてよい。そして、この押圧加工力が小さいことから、成形装置1や素管xに掛かる負荷も比較的小さくなる。したがって、当該成形装置1は、比較的小型のものとなり、リム生産ラインに組み込むことを、容易かつ適正に行うことができる。
さらに、この不等肉厚管成形装置1を組み込むことにより、ホイールリム90の生産に要する時間は、通常のリム生産時間に、該不等肉厚管成形装置1による成形工程に要する時間が増加することとなる。不等肉厚管成形装置1の成形時間は、円筒状素管xを回動させるマンドレルロール2の周速度と、押圧支持ロール3の周速度とを高速化することにより、各押圧ロール20a〜20fによる押圧加工時間を短縮し、短時間化することが可能となる。上記したように、本不等肉厚管成形装置1は、押圧加工力が比較的小さく、かつ該装置1や素管xに係る負荷も小さいことから、前記したマンドレルロール2と押圧支持ロール3との周速度を高めても、円滑かつ適正に薄肉周部y1〜y6を形成でき得る。すなわち、本発明にかかる不等肉厚管成形装置1は、比較的短い加工時間しか要せず、通常のリム生産ラインから僅かに生産時間が延びる程度にしかならない。これは、上述した従来構成のように、切削工程やフロー・ターニング加工工程を組み込んだ場合に比して、リム生産に要する総時間が著しく短縮されるということである。
而して、本発明にかかる不等肉厚管成形装置1は、強度上影響のない部位を部分的に薄肉化してなるホイールリム90を生産する生産ラインに組み込まれた場合に、従来にない、高い生産性を発揮することができる。また、かかる不等肉厚管成形装置1により成形される不等肉厚管Xは、上述したように円筒状素管xの管長さが伸長されたものとなることから、該円筒状素管xを形成する金属板の原単位が低減できるため、材料費の低減とリム重量の軽量化とを実現でき得る。
次に、上述した不等肉厚管成形装置1にあって、同様の不等肉厚管Xを成形する他の構成について説明する。
例えば他の構成として、図6のように、六個の押圧ロール70a〜70fを、それぞれの押圧幅t1〜t6が軸方向両側へ順次拡がるように、各押圧突部72a〜72fが周設してなるものとする。ここでは、各押圧突部72a〜72fが、その軸方向中央位置を揃うようにして、軸方向両側への加工幅が等しくなるようにしている。そして、この六個の押圧ロール70a〜70fを、それぞれの押圧突部72a〜72fの中央位置が軸方向でほぼ同じ位置となるようにして、ロール公転部材15に配設している(図5参照)。これら六個の押圧ロール70a〜70fにより押圧ロール群(図示省略)を構成している。
また、マンドレルロール71を遊嵌した円筒状素管xの位置決めをする位置決め手段として、該円筒状素管xの初期位置を定め、かつ押圧ロール70a〜70fによる押圧加工によって軸方向両側へ管長が伸長する延伸変形を妨げないようにしたガイド装置76が、マンドレルロール71の直下に配設されている(図5参照)。このガイド装置76には、回動軸を上下方向とした二個のガイドロール77,77がマンドレルロール71の軸方向に沿って並設されており、かつ、互いに近づく方向に付勢されている。尚、両ガイドロール77,77の初期間隔は、円筒状素管xの管長に等しく設定されており、該円筒状素管xを配することにより、薄肉周部Yを所定位置に形成できるように、六個の押圧ロール70a〜70fに対する円筒状素管xの初期位置が定められる。そして、各押圧ロール70a〜70fの押圧加工により、軸方向両側へ延伸変形を生じると、両側のガイドロール77,77がその付勢力に抗して外方へ動くこととなる。また、この二個のガイドロール77,77は、それぞれ回動可能に支持されており、円筒状素管xの回動に従って回転するようになっている。尚、マンドレルロール71には、上記したフランジ部6は形成されていない。
このような構成にあっても、上述と同様に、六個の押圧ロール70a〜70fを、押圧幅t1〜t6が順に拡がるように、順次押圧位置Pへ位置変換して、図6(イ)〜(へ)のように薄肉周部y1〜y6を順に形成する。そして、所定の周部幅Tの薄肉周部Yを形成し、不等肉厚管Xを得る(図6(ヘ)参照)。ここで、六個の押圧ロールによる押圧加工では、薄肉周部y1〜y6が、徐々に軸方向両側へ拡幅するように形成される。これにより、当該押圧加工による薄肉周部y1〜y6が形成されるに従って、管長が両側へ伸長するように延伸変形する。この延伸変形による管長の延伸寸法を考慮して円筒状素管xの管長を設定することにより、材料の原単位を低減できる。
かかる構成にあっても、上述と同様に、リム生産ラインに配設し、同じホイールリム90を適正に生産することが可能であり、同じ作用効果を発揮できるものである。尚、六個の押圧ロール70a〜70fの各押圧突部72a〜72fを異なる構成とした押圧ロール群を備え、かつガイド装置76を配設した以外は、上述した押圧ロール20a〜20fを備える構成と同じ構成とし、その説明を省略している。
一方、さらに他の構成として、図8のように、それぞれ二箇所の押圧突部82a,83a〜押圧突部82d、83dが周成された四個の押圧ロール80a〜80dと、所定の周部幅Tに等しい押圧幅t6の押圧突部82eが周成された一個の押圧ロール80e(20fと同じ)と、押圧突部を有しないロール外周面87からなる平ロール81とから構成される押圧ロール群(図示省略)を備えるものとする。ここで、平ロール81のロール外周面87は、他の押圧ロール80a〜80eのロール外周面21と同じ外径からなるものとしている。そして、これら合計六個の各種ロールが、図7のように、押圧幅の拡がる順列に従って略均等間隔でロール公転部材15に配設される。
尚、この押圧ロール80a〜80eを備えた構成では、後述するように、上述した一箇所の押圧突部22a〜22fを有する押圧ロール20a〜20fを備えた構成に比して、周部幅の広い薄肉周部を容易かつ適正に形成することが可能である。これにより、本実施例では、図8に示すように、所望の薄肉周部Y’の周部幅T’が幅広となるようにした不等肉厚管X’を成形するようにしている。
ここで、各押圧ロール80a〜80dの各押圧突部82a,83a〜押圧突部82d、83dは、押圧幅t11,t12〜押圧幅t41,t42に設定されており、各押圧加工に従って、薄肉周部y11,y12〜y41,y42を順次形成する。また、押圧ロール80eの押圧突部82eは、押圧幅t51に設定されており、直前に形成された薄肉周部y41,y42をつなげ、押圧加工により薄肉周部y51を形成する。そして、押圧ロール80eの押圧突部82eの押圧幅t51は、周部幅T’と等しくなっており、該押圧ロール80eにより形成される薄肉周部y51が、所望の薄肉周部Y’となる。
また、押圧ロール80a〜80dにあっては、それぞれ二箇所の押圧突部82a,83a〜押圧突部82d、83dの間の周面を、ロール外周面21の外径に比して、僅かに小さい外径となるように形成している。これは、押圧ロール80a〜80dによる押圧加工が実行された場合に、各押圧突部82a,83a〜押圧突部82d、83dの間に生じる肉厚方向への膨張変形を許容できるようにするためである。そして、上述した平ロール81は、押圧ロール80a,80bの押圧加工によって薄肉周部y21,y22間に生じた、肉厚方向の膨れを、押しつぶすことを目的として設けられている。
かかる構成にあっては、先ず、二箇所の押圧突部82a,83aを周成した押圧ロール80aが、図8(イ)のように、円筒状素管xに押圧されて、それぞれ二箇所の薄肉周部y11,y12を同時に形成する。その後、図8(ロ)のように、次の押圧突部82b,83bを周成した押圧ロール80bが押圧されて、前記二箇所の薄肉周部y11,y12を夫々に拡幅して薄肉周部y21,y22を同時に形成する。ここで、薄肉周部y21,y22の間は、肉厚方向の内外に膨れた形態となっており、該薄肉周部y21,y22が形成された素管xは、該膨れた部位がマンドレルロール71に接触している状態である。次に、図8(ハ)のように、平ロール81を押し付けることにより、前記した薄肉周部y21,y22間に形成されている膨れた形態を押しつぶす。
さらに、押圧ロール80c,80dを順番に押圧加工して、図8(ニ),(ホ)のように、順次薄肉周部y31,y32と薄肉周部y41,y42を形成する。尚、押圧ロール80c,80dの押圧加工によっても、薄肉周部y31,y32間及び薄肉周部y41,y42間に膨れが生じるが、この膨れは極小さく、最後の押圧ロール80eにより押しつぶされる。
その後、図8(ヘ)のように、一箇所の押圧突部82eを備える押圧ロール80eにより、二箇所の薄肉周部y41,y42を連結して一体となった薄肉周部y51を形成する。こうして、所望の薄肉周部Yを備えてなる不等肉厚管Xが成形される。
ここで、各押圧ロール80a〜80dは、それぞれ二箇所の押圧突部を徐々に軸方向両側へ拡幅する形状として備えているものであるから、各押圧加工により軸方向両側へ延伸変形を生じる。また、押圧ロール80eは、二箇所の薄肉周部y41,y42を連結するように押圧加工するため、当該押圧加工によっても軸方向両側へ延伸変形することとなる。したがって、本構成にあっても、上記したように、フランジ部6を設けていないマンドレルロール71と、ガイド装置76とを備えた構成となる。
本構成の、二箇所の押圧突部が周成された四個の押圧ロール80a〜80dは、それぞれが押圧加工して、同時に二箇所の薄肉周部を形成するものである。このため、例えば、所望の薄肉周部Y’を比較的幅広な周部幅T’となるようにする場合にあっても、個々の押圧突部82a,83a〜押圧突部82d、83dの加工幅を、上述した一箇所の押圧突部22a〜22fの加工幅以下とすることが可能となる。したがって、押圧ロール80a〜80eの押圧加工力も高くなるが、一箇所の押圧突部を備えた構成に比して、ほぼ同等の生産性を維持しながら、周部幅T’の幅広な薄肉周部Y’を形成することができる。この二箇所の押圧突部を備えた構成は、比較的幅広な薄肉周部Y’を有する不等肉厚管の成形を適正に行うことができ、リム幅の広いホイールリムの生産工程に好適に用い得る。図8のように、かかる構成では、実質的に五個の押圧ロール80a〜80eにより、比較的幅広な周部幅T’まで拡幅するようにしている。
尚、上述した一箇所の押圧突部22a〜22fにより形成される薄肉周部Yと同じ周部幅Tとなるようにする場合には、該押圧突部22a〜22fの加工幅に比して、個々の押圧突部82a,83a〜押圧突部82d、83dの加工幅を、適宜ほぼ半分程度にまで小さくすることもできる。このように加工幅が小さければ、各押圧加工を一層容易かつ適正に行うことができ、さらなる生産性の向上も可能となる。
この構成では、上記した押圧ロール80a,80b、平ロール81、押圧ロール80c,80d,80eを順に押圧位置Pへ位置変換することにより、図8のように薄肉周部が順次段階的に拡幅するようにして、周部幅T’の薄肉周部Y’を備えてなる不等肉厚管Xを成形する。この不等肉厚管Xは、上述したように、円筒状素管xの管長が軸方向両側へ延伸されてなるものである。
かかる構成にあっても、上述と同様に、リム生産ラインに配設し、同じホイールリム90を適正に生産することが可能であり、同じ作用効果を発揮できるものである。尚、二箇所に押圧突部を周成した四個の押圧ロール80a〜80dと、平ロール81と、一箇所の押圧突部82eを周成してなる押圧ロール80eとを備え、かつガイド装置76を配設した以外は、上述した押圧ロール20a〜20fを備える構成と同じ構成とし、その説明を省略している。
次に、上述した二箇所の押圧突部が周成された四個の押圧ロール80a〜80dと、平ロール81と、一箇所の押圧突部が周成された一個の押圧ロール80eとを備える構成により、円筒状素管xから所望の不等肉厚管X’が成形されることを検証した。
ここで、試験に供した円筒状素管xは、管長が約210mm、肉厚が約2.8mm、外周長が約1160mmとした。
また、所望の不等肉厚管X’は、その薄肉周部Y’の周部幅T’は約40mmとなり、その肉厚を約2.0mmとなるようにしている。
そして、各押圧ロール80a〜80eの形状は、次のように設定した。また、各押圧突部の傾斜周面の傾斜角は約30度としている。
(1)押圧ロール80a;押圧突部82aの押圧幅t11を約6mm、押圧突部83aの押圧幅t12を約6mm、押圧突部82a,83a間隔を約21mm。
(2)押圧ロール80b;押圧突部82bの押圧幅t21を約9mm、押圧突部83bの押圧幅t22を約11mm、押圧突部82b,83b間隔を約15mm。
(3)押圧ロール80c;押圧突部82cの押圧幅t31を約12mm、押圧突部83cの押圧幅t32を約16mm、押圧突部82c,83c間隔を約9mm。
(4)押圧ロール80d;押圧突部82dの押圧幅t41を約15mm、押圧突部83dの押圧幅t42を約21mm、押圧突部82d,83d間隔を約3mm。
(5)押圧ロール80e;押圧突部82eの押圧幅t51を約40mm。
(1)押圧ロール80a;押圧突部82aの押圧幅t11を約6mm、押圧突部83aの押圧幅t12を約6mm、押圧突部82a,83a間隔を約21mm。
(2)押圧ロール80b;押圧突部82bの押圧幅t21を約9mm、押圧突部83bの押圧幅t22を約11mm、押圧突部82b,83b間隔を約15mm。
(3)押圧ロール80c;押圧突部82cの押圧幅t31を約12mm、押圧突部83cの押圧幅t32を約16mm、押圧突部82c,83c間隔を約9mm。
(4)押圧ロール80d;押圧突部82dの押圧幅t41を約15mm、押圧突部83dの押圧幅t42を約21mm、押圧突部82d,83d間隔を約3mm。
(5)押圧ロール80e;押圧突部82eの押圧幅t51を約40mm。
また、平ロール81は、そのロール外周面87を、上述した押圧ロール80a〜80eのロール外周面21と同じ外径にしたものである。
尚、この検証過程では、各押圧ロール80a〜80eによる押圧加工を行う毎に、管長(軸方向長さ)を測定するようにしている。
そして、円筒状素管xを、押圧ロール80a〜80eを順次押圧加工し、不等肉厚管X’を成形した(図8参照)。この不等肉厚管X’の形状を調べた結果、その薄肉周部Y’は、約39mm幅で、約2.0mmの肉厚に形成されていた。また、管長は、約222mmとなっており、当初の円筒状素管xの管長から約12mm延伸された。ここで、上記したように各押圧加工毎の管長を測定した結果、図9のように、徐々に延伸変形していた。この各延伸変形毎の軸方向への延伸寸法は、各押圧加工毎に薄肉周部を拡幅していく各押圧突部毎の加工幅と周長との積からなる加工面積に従って生じており、一定の相関関係がある。これを詳細に調べた結果、各押圧加工毎に次々形成される薄肉周部の減肉量に対して約70%〜80%が延伸変形に用いられていることがわかった。すなわち、本発明の装置は、高い歩留まりを発揮するものであることが明らかとなった。
このように、本発明の不等肉厚管成形装置によれば、所望の薄肉周部Y’を形成すると共に、管長を長尺化する。そして、薄肉周部Yの減肉量が管長の長尺化に用いられることにより、薄肉周部Y’の形状から予め管長の延伸長を算出しておくことにより、円筒状素管xの材料の原単位を低減することができる。特に、本発明の装置では、高い歩留まりを発揮できることにより、通常のリム生産ラインに組み込むことで、材料原単位の低減幅も大きくでき、リム重量を軽量化する効果も高い。
さらに、マンドレルロール71及び押圧支持ロール3の周速度を高速制御し、該周速度に応じて、ロール支持部材15の周回駆動を制御するようにして、押圧ロール80a〜80eを連続して押圧加工するようにして不等肉厚管X’を成形した結果、円筒状素管xから該不等肉厚管X’を成形するまでに要する時間は約10秒であった。このように、不等肉厚管Xを成形する生産性に優れることから、上述したように、通常のリム生産ラインに組み込んだ場合にも、略均一なホイールリムの生産性とほとんど変わらない生産性を発揮できる。
以上の検証により、本発明の不等肉厚管成形装置の有用性が充分に証明された。
上述したように、本実施例の不等肉厚管成形装置1にあっては、六個の押圧ロール20a〜20fにより順次押圧加工するようにした構成であるが、上記のように五個の押圧ロール80a〜80eにより押圧加工することも可能であり、その他、所望の周部幅Tに応じて、押圧ロールの配設個数を様々に設定することができる。また、上記した実施例では、押圧突部22a〜22fのロール外周面21からの突出高さを等しくしているものであるが、その他、この突出高さも順次高くなるように設定して、押圧加工毎に薄肉周幅y1〜y6の深さが徐々に深くなるようにすることも可能である。
また、上述の実施例にあっては、ロール公転部材15を押圧位置Pで一時停止するように間欠的に周回駆動するように制御した構成である。ところで、各押圧ロール20a〜20fは、押圧位置Pで薄肉周部y1〜y6を適正に形成できるように圧接されて押圧できれば良いことから、押圧位置Pを充分な低速で周回動するようにしても良い。すなわち、ロール公転部材15を、押圧ロール20a〜20fが押圧加工可能なところ(押圧位置P)に位置変換するまでは、高速で周回駆動し、円筒状素管xが二回転する間は、押圧加工が充分行われるように低速で周回駆動するように、周速度を二段階に交互に変換する非間欠的な制御を行うようにする。
また、上述した実施例にあって、各押圧ロール20a〜20fによる押圧加工は、円筒状素管xが少なくとも一回転する間行われるように制御すれば、薄肉周部y1〜y6を形成可能である。したがって、上述のように、円筒状素管xが二回転する間押圧加工するように制御した構成の他、例えば、円筒状素管xを三回転、四回転等する間押圧加工する構成とすることもできる。このように、円筒状素管xを回転する回数を多くすることにより、各押圧加工を一層充分に施すようにしても良い。また、円筒状素管xを一回転半や二回転半等のように設定することも可能である。
また、上述の実施例にあっては、押圧ロール20a〜20fを、押圧支持ロール3を回動する駆動モータ13により、互いに逆方向へ同じ周速度で回動するようにした構成であるが、その他の構成として、各押圧ロール20a〜20fをロール公転部材15に遊転可能に配設されるものとすることも可能である。この構成では、押圧ロール20a〜20fが、夫々に円筒状素管xを押圧加工する場合に、押圧支持ロール3とマンドレルロール2との挟圧力により回動することとなる。したがって、押圧加工を円滑かつ安定して実行するためには、この挟圧力を生ずる押圧加工力(押圧加工による負荷)を比較的大きくすることが好適な条件となる。
また、上述の実施例にあって、各押圧ロール20a〜20fの押圧突部22a〜22fには、その両側に約30度の傾斜角とした傾斜周面23,23を形成した構成であるが、この傾斜周面23,23の傾斜角を変更することも可能である。ここで、傾斜角が小さくなると、押圧突部22a〜22fの周平面24a〜24fが狭くなるため、同じ周部幅Tでは軽量化効果が低減することとなる。一方、傾斜角が大きくなり、約90度に近くなると、上述したように、次の押圧加工により被り変形を生じることが懸念される。このようなことから、この傾斜角は、約10度〜約60度の範囲が好適である。
さらに、上述した実施例にあっては、押圧支持ロール3に、押圧ロール20a〜20fの押圧突部22a〜22fが接触しないように逃げ溝5を形成するようにした構成であるが、その他の構成として、この逃げ溝5の溝深さを該押圧突部22a〜22fの突出高さと同じに設定して、逃げ溝5の溝底面と押圧突部22a〜22fの周平面24a〜24fとが当接するようにしても良い。これにより、押圧支持ロール3が、押圧加工時に各押圧突部22a〜22fに作用する負荷を一層直接的に支持することができることとなる。
本発明の不等肉厚管成形装置にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、その他の構成についても、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更可能である。例えば、薄肉周部を複数箇所設けた不等肉厚管を成形するように、各押圧ロールにそれぞれ複数の押圧突部を周成した構成とすることもできる。
1 不等肉厚管成形装置
2 マンドレルロール
3 押圧支持ロール
15 ロール公転部材
20a〜20f 押圧ロール
21 ロール外周面
22a〜22f 押圧突部
23 傾斜周面
35 管押えロール
90 ホイールリム
T 周部幅
t1〜t6 押圧幅
Y 薄肉周部
y1〜y6 薄肉周部
X 不等肉厚管
x 円筒状素管
2 マンドレルロール
3 押圧支持ロール
15 ロール公転部材
20a〜20f 押圧ロール
21 ロール外周面
22a〜22f 押圧突部
23 傾斜周面
35 管押えロール
90 ホイールリム
T 周部幅
t1〜t6 押圧幅
Y 薄肉周部
y1〜y6 薄肉周部
X 不等肉厚管
x 円筒状素管
Claims (9)
- マンドレルロールに円筒状素管を遊嵌して、該マンドレルロールの回転により円筒状素管を回動させ、配設順序に沿って段階的に押圧幅が拡幅するように設定されている複数の押圧ロールを、その順序に従って、各押圧幅に構成された押圧突部が円筒状素管に圧接する位置に順次移動させ、かつ当該円筒状素管が少なくとも一回転する間、各押圧ロールの押圧突部を該円筒状素管に押圧維持し、この各押圧ロールの移動と押圧維持を繰り返すことにより、薄肉周部を順次段階的に拡幅するように形成して、所定幅の薄肉周部を有する不等肉厚管を成形するようにしたことを特徴とする不等肉厚管の成形方法。
- マンドレルロールに円筒状素管を遊嵌して、該マンドレルロールの回転により円筒状素管を回動させ、配設順序に沿って段階的に押圧幅が拡幅するように設定されている複数の押圧ロールを、その順序に従って、各押圧幅に構成された押圧突部が円筒状素管に圧接する位置に順次移動させ、かつ当該円筒状素管が少なくとも一回転する間、各押圧ロールの押圧突部を該円筒状素管に押圧維持し、この各押圧ロールの移動と押圧維持を繰り返すことにより、薄肉周部を順次段階的に拡幅するように形成して、所定幅の薄肉周部を有する不等肉厚管を成形する不等肉厚管成形工程を備えていることを特徴とする車両用ホイールリムの製造方法。
- 円筒状素管が遊嵌され、その回転により該素管を回動させるマンドレルロールと、
該マンドレルロールに遊嵌した円筒状素管に、ロール外周面に周成された押圧突部を外側から順次押圧することにより、該素管に所定幅の薄肉周部を形成する複数の押圧ロールからなり、各押圧ロールの押圧突部が、その配設順序に沿って、所定幅の薄肉周部となるまで、段階的に押圧幅が拡幅するように設定されている押圧ロール群と、
押圧ロール群を各押圧ロールの押圧突部の押圧幅が順次拡がる順列により周方向へ回動可能に支持して、全押圧ロールを一体的に周回可能とするロール公転部材と、
前記マンドレルロールと略平行に設けられ、ロール公転部材が外嵌されて各押圧ロールのロール外周面が周接され、該マンドレルロールとの間で、押圧ロールを介して円筒状素管を挟圧する押圧支持ロールと、
各押圧ロールを、押圧支持ロールとマンドレルロールとの間で円筒状素管に圧接する押圧位置へ、押圧幅が拡がるように順次位置変換させると共に、円筒状素管が少なくとも一回転する間、各押圧ロールが押圧位置で該円筒状素管を押圧加工するように、前記ロール公転部材を周回駆動する周回駆動制御装置と、
を備えていることを特徴とする不等肉厚管成形装置。 - マンドレルロールに遊嵌する円筒状素管の軸方向位置を定めると共に、押圧ロールを押圧することにより生ずる該円筒状素管の軸方向への延伸変形を妨げないようにした位置決め手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載の不等肉厚管成形装置。
- マンドレルロールと押圧支持ロールとを、円筒状素管を入脱可能とする離間位置と、マンドレルロールに遊嵌した該円筒状素管を、押圧位置に在る押圧ロールにより押圧加工可能とする加工位置とに変換する位置変換手段を備えていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の不等肉厚管成形装置。
- マンドレルロールと押圧支持ロールとにより円筒状素管と押圧ロールとを挟圧する押圧位置の両側に、該円筒状素管をマンドレルロールに押え付ける管押えロールを備えていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の不等肉厚管成形装置。
- 押圧ロールの押圧突部が、その両側に夫々に裾拡がりとなるように傾斜する傾斜周面を備えてなるものであることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の不等肉厚管成形装置。
- ロール公転部材が、各押圧ロールを、それぞれの押圧突部の一側端を揃え、他側へ押圧幅が拡がるように、押圧支持ロールの周囲に配設するようにしたものであることを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の不等肉厚管成形装置。
- ロール公転部材が、各押圧ロールを、それぞれの押圧突部の押圧幅が両側へ拡がるように、押圧支持ロールの周囲に配設するようにしたものであることを特徴とする請求項3乃至請求項8のいずれかに記載の不等肉厚管成形装置。
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