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JP2006288604A - スキンケア用シート - Google Patents

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JP2006288604A
JP2006288604A JP2005112287A JP2005112287A JP2006288604A JP 2006288604 A JP2006288604 A JP 2006288604A JP 2005112287 A JP2005112287 A JP 2005112287A JP 2005112287 A JP2005112287 A JP 2005112287A JP 2006288604 A JP2006288604 A JP 2006288604A
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Midori Okazaki
緑 岡崎
Takuya Tsujimoto
拓哉 辻本
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
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Abstract

【課題】 柔軟で肌触り(皮膚の感触)に優れ、かつ吸液性が高いスキンケア用シート及びそのシートに液状化合物を含浸させたウエットシートを提供する。
【解決手段】 本発明のスキンケア用シートは、液状化合物を含浸可能な不織布で構成されたシートであって、前記不織布が、平均繊度0.5dtex以下であり、かつ水不溶性熱可塑性樹脂で構成された極細長繊維で形成され、かつ水溶性熱可塑性樹脂を前記不織布中0.001〜10重量%の割合で含有している。前記不織布表面の30%以上は水溶性熱可塑性樹脂で被覆されていてもよい。前記水溶性熱可塑性樹脂は、例えば、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールであってもよい。このスキンケア用シートに液状化合物が含浸されたウエットシートは、フェイスマスク、メイク除去シート、身体洗浄用シートなどに適している。
【選択図】 なし

Description

本発明は、極細長繊維で構成された不織布で形成されたスキンケア用シート及びこのシートに液状化合物を含浸させたウエットシート(例えば、フェイスマスク、メイク除去シート、汗拭きシート、油取りシートなどのスキンケア製品)に関する。
従来から、紙類や布帛などで構成された繊維シートが、フェイスマスク、メイク除去シート、汗拭きシート、油取りシートなどのスキンケア用シートとして、化粧料などの液状化合物を含浸させるために用いられてきた。このようなスキンケア用シートには、水性又は油性の液状化合物を充分に含浸できるとともに、肌触り(皮膚の感触)や肌との密着性に優れ、使用しても繊維崩れがない点などが要求される。しかし、このような特性をバランス良く充足する繊維シートは開発されていなかった。そこで、このような要求を充足するために、各種のスキンケア用シートが提案されている。
例えば、特開2003−95861号公報(特許文献1)には、断面高さ0.1〜5mmで、かつ断面積が0.01〜200mm2の凸部を有するスパンレース不織布で構成されたスキンケアシートが提案されている。この文献には、スパンレース不織布として、合成繊維や、合成繊維とレーヨン又はコットンとを組み合わせた繊維などの非パルプ繊維で構成され、かつ繊度0.01〜5.5dtexの極細繊維で構成された不織布が記載されている。
しかし、このシートは、化粧料や乳液などの液状化合物、特に親水性液状化合物の吸液性が低い。さらに、極細繊維の繊度も高いため、肌触りや肌との密着性も充分でない。
特開2003−93152号公報(特許文献2)には、疎水性成分を主成分とする繊維集合体からなる内層と、親水性繊維を主成分とする繊維集合体からなる上下外層で構成された少なくとも3層の構造を有する集合体に、化粧料を含浸したシートが記載されている。この文献には、外層を構成する親水性繊維としては、親水性官能基を有するセルロース系繊維やアルギン酸繊維、コラーゲン繊維などで構成された超極細繊維(繊維径10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下)が記載されている。
しかし、このシートは、外層が親水性繊維で構成されているため、油性の液状化合物の吸液性が低い。さらに、このシートは3層構造であるため、製造における簡便性や経済性も低い。
特開2003−95861号公報(請求項1、段落番号[0004][0005][0016][0028]、表1及び2) 特開2003−93152号公報(請求項1、段落番号[0011][0012])。
本発明の目的は、柔軟で肌触り(皮膚の感触)に優れ、かつ吸液性が高いスキンケア用シート及びこのシートに液状化合物を含浸させたウエットシートを提供することにある。
本発明の他の目的は、皮膚との密着性が高く、水性及び油性のいずれの液状化合物に対しても吸液性が高いスキンケア用シート及びこのシートに液状化合物を含浸させたウエットシートを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、繊維径が細くても機械的強度が高く、使用による繊維屑や浮きの発生も抑制できるスキンケア用シート及びこのシートに液状化合物を含浸させたウエットシートを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、水不溶性熱可塑性樹脂で構成された特定の極細長繊維で形成され、かつ水溶性熱可塑性樹脂を0.001〜10重量%の割合で含有する不織布が、柔軟で肌触り(皮膚の感触)に優れ、吸液性も高いことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のスキンケア用シートは、液状化合物を含浸可能な不織布で構成されたシートであって、前記不織布が、平均繊度0.5dtex以下であり、かつ水不溶性熱可塑性樹脂で構成された極細長繊維で形成され、かつ水溶性熱可塑性樹脂を前記不織布中0.001〜10重量%の割合で含有している。前記不織布表面の30%以上は水溶性熱可塑性樹脂で被覆されていてもよい。前記水溶性熱可塑性樹脂は、例えば、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール、例えば、炭素数4以下のα−オレフィン単位(特にエチレン単位)及びC1-4アルキル−ビニルエーテル単位からなる群より選択された少なくとも1種の単位を0.1〜20モル%(特に3〜20モル%)含有する変性ポリビニルアルコールなどであってもよい。前記水溶性熱可塑性樹脂の割合は、例えば、不織布中0.001〜4重量%程度であってもよい。前記水不溶性熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン単位を25〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコールなどであってもよい。さらに、前記不織布は、水流絡合、熱エンボス加工、及びニードルパンチ加工からなる群より選択された少なくとも1種の加工が施されていてもよい。
本発明には、前記スキンケア用シートに液状化合物が含浸されたウエットシートも含まれる。このウエットシートは、例えば、フェイスマスク、メイク除去シート、身体洗浄用シート(汗拭きシート、油取りシートなど)などのスキンケア製品として適している。
本願明細書では、「スキンケア」という用語は、化粧水や乳液などによる皮膚(肌)の手入れ(いわゆる、スキンケア)としての意味だけではなく、皮膚と関連付けることのできる他の行為を含む広い概念として用いる。従って、スキンケア用シートには、例えば、皮膚を洗浄するためのシートなど、皮膚と接触させて用いられるシートが含まれる。
本発明では、水溶性熱可塑性樹脂を0.001〜10重量%の割合で含有する極細長繊維で構成された不織布を用いるため、柔軟で肌触り(皮膚の感触)に優れ、かつ吸液性も高い。また、皮膚との密着性が高く、水性及び油性のいずれの液状化合物に対しても吸液性が高い。さらに、繊維径が細くても機械的強度が高く、使用による繊維屑や浮きの発生も抑制できる。従って、このような不織布はスキンケア用シートとして使用され、このシートに液状化合物を含浸させたウエットシートも、フェイスマスク、メイク除去シート、身体洗浄用シート(汗拭きシート、油取りシートなど)などの各種スキンケア製品に適している。
以下、本発明を詳細に説明する。
[スキンケア用シート]
本発明のスキンケア用シートは、液状化合物を含浸可能な不織布で構成されている。さらに、前記不織布は、平均繊度0.5dtex以下の極細長繊維で構成されている。
(極細長繊維)
本発明における極細長繊維は水不溶性熱可塑性樹脂で構成されている。水不溶性熱可塑性樹脂としては、親水性溶媒(特に水)によって溶解されず、かつ溶融紡糸が可能であれば、特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂[芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂など)、脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ヒドロキシブチレート−ヒドロキシバリレート共重合体、ポリカプロラクトンなどの脂肪族ポリエステル又はコポリエステルなど)など]、ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン10、ナイロン12、ナイロン6−12などの脂肪族ポリアミド又はコポリアミドなど)、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのオレフィンの単独又は共重合体など)、疎水性モノマー(特に、エチレン)単位を20モル%超70モル%以下含有する水不溶性の変性ポリビニルアルコール、熱可塑性エラストマー(ポリスチレン系、ポリジエン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系のエラストマーなど)、ハロゲン化ビニル系樹脂(例えば、塩化ビニル系樹脂、フッ素含有ビニル系樹脂など)などが挙げられる。これらの水不溶性熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの水不溶性熱可塑性樹脂のうち、水溶性熱可塑性樹脂(特に水溶性熱可塑性PVA)と複合紡糸しやすい点から、ポリエステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレートなどのポリC2-4アルキレンアリレート、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂(特に、ナイロン6、ナイロン66などの脂肪族ポリアミド系樹脂)、ポリオレフィン系樹脂(特に、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリC2-4オレフィン系樹脂)、およびエチレン単位を25〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコールが好ましい。特に、親水性溶媒で抽出後、不織布中に水溶性熱可塑性樹脂(例えば、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール(PVA))が残存し易い点からは、水不溶性熱可塑性樹脂は、水溶性熱可塑性樹脂に対する反応性又は親和性基を有する樹脂であってもよい。例えば、水溶性熱可塑性PVAの場合には、水不溶性熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂、変性ポリビニルアルコールなどであってもよい。
さらに、極細長繊維は、平均0.5dtex以下の繊度を有している必要があり、例えば、0.4dtex以下(例えば、0.001〜0.4dtex)、好ましくは0.3dtex以下(例えば、0.01〜0.3dtex)、さらに好ましくは0.25dtex以下(例えば、0.05〜0.25dtex)の平均繊度を有する。極細長繊維の平均繊度が0.5dtexよりも大きい場合には、極細化が充分でなく、繊維表面積が低下し、さらに柔軟性や吸液性などが著しく低下する。また、下限値に関しては特に限定はないが、生産のし易さの点で0.001dtex以上が好ましい。
(不織布)
本発明の不織布は、前記極細長繊維で構成されている。このような不織布は、長繊維で構成されているため、他の不織布(例えば、短繊維で構成されたウエブをニードルパンチや水流絡合させて得られる乾式不織布や、水に分散させたショートカット繊維を漉き上げて乾燥させて得られる湿式不織布など)に比べて、生産性が高く、不織布から繊維の脱落も生じにくい。更に、長繊維不織布は、短繊維で構成された不織布やショートカット繊維で構成された不織布と比べて、不織布の強度も高い。
本発明の不織布は、さらに水溶性熱可塑性樹脂を不織布中0.001〜10重量%の割合で含有している。不織布中に存在する水溶性熱可塑性樹脂の割合は、不織布中、好ましくは0.001〜4重量%(例えば、0.01〜4重量%)、さらに好ましくは0.03〜3.5重量%(特に0.05〜3重量%)程度であってもよい。水溶性熱可塑性樹脂の割合が10重量%より多い場合には、使用時に水溶性熱可塑性樹脂の溶出が高くなり、また不織布の柔軟性が低下する。一方、水溶性熱可塑性樹脂の割合が0.001重量%未満の場合は、不織布の吸液性(特に吸水性)が低下する。
本発明では、不織布表面(不織布の表層部や不織布内部の繊維表面も含む)の30%以上(例えば、30〜100%)が水溶性熱可塑性樹脂で被覆されているのが好ましく、さらに好ましくは35%以上(例えば、35〜99%)であり、より好ましくは40%以上(例えば40〜90%)である。このような被覆率は、例えば、45%以上(例えば、45〜80%)、好ましくは50%以上(例えば、50〜70%)であってもよい。水溶性熱可塑性樹脂による被覆率が低すぎると、極細長繊維不織布の吸液性(特に吸水性)が低下する。不織布表面の水溶性熱可塑性樹脂による被覆率はX線光電子分光法により測定できる。
水溶性熱可塑性樹脂としては、常温で固体であれば、120℃以下の温度で親水性溶媒(特に水)によって溶解除去できると共に、溶融紡糸が可能であれば、特に限定されない。このような水溶性熱可塑性樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂(メチルセルロースなどのC1-3アルキルセルロースエーテル、ヒドロキシメチルセルロースなどのヒドロキシC1-3アルキルセルロースエーテル、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシC1-3アルキルセルロースエーテルなど)、ポリアルキレングリコール(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリC2-4アルキレンオキシドなど)、ポリビニル系樹脂(ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなど)、アクリル系共重合体およびそのアルカリ金属塩((メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミドなどのアクリル系単量体で構成された単位を含む共重合体など)、ビニル系共重合体又はそのアルカリ金属塩(イソブチレン、スチレン、エチレン、ビニルエーテルなどのビニル系単量体と、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物との共重合体など)、可溶化置換基を有する樹脂又はそのアルカリ金属塩(スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基などを導入したポリエステル、ポリアミド、ポリスチレンなど)などを挙げることができる。これらの水溶性熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの水溶性熱可塑性樹脂の中でも、吸水性に優れ、前記水不溶性熱可塑性樹脂とともに溶融紡糸する場合には溶融紡糸安定性に優れている点から、ポリビニルアルコール(PVA)などのポリビニルアルコール系樹脂、特に、水溶性熱可塑性PVAが好ましい。
PVAは、ホモポリマーの他、例えば、共重合、末端や側鎖の変性などにより官能基を導入した変性PVAも包括する。通常の一般に市販されているPVAは溶融温度と熱分解温度が近接しているため溶融紡糸することはできず(すなわち熱可塑性ではなく)、水溶性熱可塑性PVAとするためには、種々の工夫が必要である。
水溶性熱可塑性PVAの粘度平均重合度(以下、単に「重合度」と略記する)は、例えば、200〜800程度であり、好ましくは230〜600、さらに好ましくは250〜500程度である。通常の繊維用に使用されるPVAは、重合度が高いほど高強度繊維が得られることから、1500以上の重合度(例えば、約1700や約2100の重合度など)が一般的である。そのことから考えると、本発明で用いられる水溶性熱可塑性PVAの重合度200〜800は極めて低いと言える。重合度が小さすぎると紡糸する場合に充分な曳糸性が得られず、その結果として満足な複合長繊維不織布が得られない場合がある。一方、重合度が大きすぎると溶融粘度が高すぎて、紡糸する場合に紡糸ノズルからポリマーを吐出することができず、満足な複合長繊維不織布を得られない場合がある。
水溶性熱可塑性PVAの重合度(P)は、JIS−K6726に準じて測定される。水溶性熱可塑性PVAの重合度は、水溶性熱可塑性PVAを完全に再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から次式により求められる。
P=([η]×103/8.29)(1/0.62)
本発明に用いられる水溶性熱可塑性PVAのけん化度は90〜99.99モル%の範囲が好ましく、92〜99.9モル%の範囲がより好ましく、94〜99.8モル%の範囲が特に好ましい。けん化度が低すぎると、PVAの熱安定性が悪く熱分解やゲル化によって安定な複合溶融紡糸を行うことができない場合がある。一方、けん化度が高すぎると、水溶性熱可塑性PVAを安定に製造するのが困難である。
水溶性熱可塑性PVAは、ビニルエステル系重合体のビニルエステル単位をけん化することにより得られる。ビニルエステル単位を形成するためのビニル化合物単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニルなどが挙げられる。これらのビニル化合物単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの中でも水溶性熱可塑性PVAの生産性が高い点から、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルなどの低級脂肪族カルボン酸ビニルが好ましく、通常、酢酸ビニルが用いられる。
水溶性熱可塑性PVAは、ホモポリマーであっても共重合単位を導入した変性PVAであってもよいが、複合溶融紡糸性、吸水性、繊維物性および不織布物性の観点からは、共重合単位を導入した変性PVAを用いるのが好ましい。変性PVAにおける共重合性単量体の種類としては、例えば、α−オレフィン類(エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセンなどのα−C2-10オレフィンなど)、(メタ)アクリル酸およびその塩、(メタ)アクリル酸エステル類[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピルなどの(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルなど]、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド等のN−C1-6アルキル(メタ)アクリルアミドなど]、ビニルエーテル類[メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなどのC1-10アルキルビニルエーテルなど]、ヒドロキシル基含有ビニルエーテル類[エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテルなどのC2-10アルカンジオール−モノビニルエーテルなど]、アリルエステル類(アリルアセテートなど)、アリルエーテル類[プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテルなどのC1-10アルキルアリルエーテルなど]、オキシアルキレン基を有する単量体[ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等のポリオキシC2-6アルキレン基を有するビニル系単量体など]、ビニルシラン類(ビニルトリメトキシシラン等のビニルトリC1-4アルコキシシランなど)、ヒドロキシル基含有のα−オレフィン類またはそのエステル化物[酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オールなどのC3-12アルケノール又はそのエステル化物など]、N−ビニルアミド類[N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなど]、不飽和カルボン酸類[フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸など]、スルホン酸基を有する単量体[エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など]、カチオン基を有する単量体[ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのビニロキシテトラC1-10アルキルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミンなどのビニロキシトリC1-10アルキルアミン、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドブチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのN−アクリルアミドテトラC1-10アルキルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミンなどのN−アクリルアミドジC1-10アルキルアミン、(メタ)アリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの(メタ)アリルトリC1-10アルキルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミンなどのジC1-3アルキルアリルアミン、アリルエチルアミンなどのアリルC1-3アルキルアミンなど]などが挙げられる。これらの単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの単量体の含有量は、変性PVA(又は共重合PVA)を構成する全単位のモル数を100%とした場合、通常その20モル%以下である。また、共重合されていることのメリットを発揮するためには、0.01モル%以上が上記共重合単位であることが好ましい。
変性PVAにおいて、これらの共重合性単量体の中でも、入手のしやすさなどから、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−C2-6オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなどのC1-6アルキルビニルエーテル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテルなどのC2-6アルカンジオール−ビニルエーテル、アリルアセテートで代表されるアリルエステル類、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテルなどのC1-6アルキルアリルエーテル類、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミド類、ポリオキシエチレンなどのオキシC2-4アルキレン基を有する単量体、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オールなどのC3-10アルケノール類などが好ましい。
特に、共重合性単量体は、共重合性、混合溶融紡糸性および繊維物性などの点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンの炭素数4以下のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなどのC1-4アルキル−ビニルエーテル類がより好ましい。共重合性単量体(特に炭素数4以下のα−オレフィン類およびC1-4アルキル−ビニルエーテル類に由来する単位)の含有割合は、水溶性熱可塑性PVA中、例えば、0.1〜20モル%、好ましくは0.5〜18モル%程度である。
さらに、共重合性単量体は、繊維物性を高める点から、エチレンが特に好ましい。共重合性単量体がエチレンである場合に、エチレン単位の含有割合は、特に、水溶性熱可塑性PVA中、例えば、3〜20モル%、好ましくは5〜18モル%程度であってもよい。
本発明で使用する水溶性熱可塑性PVAの製造方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、通常、無溶媒又はアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が採用される。例えば、水溶性熱可塑性PVAの溶液重合において溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)などのアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、nープロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。これらの開始剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。重合温度については特に制限はないが、0〜200℃の範囲が適当である。
本発明で使用する水溶性熱可塑性PVAにおけるアルカリ金属イオンの含有割合は、水溶性熱可塑性PVA100重量部に対して、ナトリウムイオン換算で、例えば、0.00001〜0.05重量部、好ましくは0.0001〜0.03重量部、さらに好ましくは0.0005〜0.01重量部程度である。アルカリ金属イオンの含有割合が0.00001重量部未満のPVAは工業的に製造が困難である。また、アルカリ金属イオンの含有量が多すぎると、複合溶融紡糸時のポリマー分解、ゲル化および断糸が著しく、安定に繊維化することができない場合がある。なお、アルカリ金属イオンとしては、カリウムイオン、ナトリウムイオンなどが挙げられる。
本発明において、特定量のアルカリ金属イオンを水溶性熱可塑性PVA中に含有させる方法は特に制限されない。
水溶性熱可塑性PVAについて、アルカリ金属イオンをPVA中に含有させる方法を例示すると、例えば、PVAを重合した後にアルカリ金属イオン含有の化合物を添加する方法、ビニルエステルの重合体を溶媒中においてけん化するに際し、けん化触媒としてアルカリ金属イオンを含有するアルカリ性物質を使用することによりPVA中にアルカリ金属イオンを配合し、けん化して得られたPVAを洗浄液で洗浄することにより、PVA中に含まれるアルカリ金属イオン含有量を制御する方法などが挙げられるが、後者の方法が好ましい。なお、アルカリ金属イオンの含有量は、原子吸光法で求めることができる。
けん化触媒として使用するアルカリ性物質としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。けん化触媒に使用するアルカリ性物質の割合(モル比)は、ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニル単位1モルに対して、例えば、0.004〜0.5モル、好ましくは0.005〜0.05モル程度である。けん化触媒の添加方法は、特に限定されず、けん化反応の初期に一括添加する方法であってもよいし、けん化反応の初期に添加した後、途中で追加して添加する方法であってもよい。
けん化反応の溶媒としては、例えば、メタノールなどのアルコール類、酢酸メチルなどのエステル類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒の中でもメタノールなどのアルコール類が好ましく、含水率を0.001〜1重量%(好ましくは0.003〜0.9重量%、さらに好ましくは0.005〜0.8重量%)程度に制御したメタノールがより好ましい。洗浄液としては、例えば、メタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、ヘキサンなどの炭化水素類、水などが挙げられる。これらのうち、メタノール、酢酸メチル、水又はこれらの混合液が好ましい。
洗浄液の量は、アルカリ金属イオンの含有割合を満足するように適宜選択できるが、水溶性熱可塑性PVA100重量部に対して、通常、300〜10000重量部、好ましくは500〜5000重量部程度である。洗浄温度は、例えば、5〜80℃、好ましくは20〜70℃程度である。洗浄時間は、例えば、20分間〜100時間、好ましくは1時間〜50時間程度である。
また、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、水溶性熱可塑性PVAには、融点や溶融粘度の調整などの目的で、可塑剤を添加することが可能である。可塑剤としては、従来公知の可塑剤が使用できるが、例えば、ジグリセリン、ポリグリセリンアルキルモノカルボン酸エステル類、グリコール類にエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを付加した化合物などが挙げられる。これらのなかでも、ソルビトール1モルに対してエチレンオキサイドを1〜30モル%程度付加した化合物が好ましい。
本発明の不織布は、前記水不溶性熱可塑性樹脂で構成された極細長繊維で形成され、かつ前記水溶性熱可塑性樹脂を特定割合で含むことにより、液状化合物、例えば、水性及び油性のいずれの液状化合物も含浸可能である。特に、本発明の極細繊維不織布は、不織布中(特にその表面)に水溶性熱可塑性樹脂の一部を含有するため、吸液性、特に保水性が高い。具体的には、不織布の保水率は、例えば、300%以上(例えば、300〜2000%程度)であり、好ましくは500%以上、さらに好ましくは600%以上である。吸水性が低すぎると、充分な吸水機能を果たすことができず、吸水性が要求される用途に適さない。このような吸液性は、特定太さの極細繊維で構成された不織布に水溶性熱可塑性樹脂が含まれ、必要に応じて、それが特定の条件で乾燥され、特定の条件下で乾燥することなどにより達成される。保水率についての上限値はないが、一般的に2000%を超える保水率を有する不織布は製造することが困難である。
なお、不織布の保水率は、以下のように測定される。すなわち、予め絶乾した後に秤量(a)した20cm×20cmの不織布を、20℃の純水500ml中に5分間浸漬後、不織布の四隅のうちの1箇所をピンセットで摘み上げ、水上に引き上げた状態で約30秒保持した時点で全重量を精秤(b)し、次式で得られる保水率を測定した。
保水率(%)={(b−a)/a}×100
(式中、aは絶乾した不織布の重量を示し、bは水上に引き上げた状態で約30秒間保持した時点での不織布の全重量を示す)。
本発明の不織布の縦方向および横方向の引張強度(B)(単位N/5cm)は、目付(A)(単位g/m2)に対して、B/A≧0.25の関係を充足することが好ましく、例えば、B/A≧0.3(例えば、10≧B/A≧0.3)、好ましくはB/A≧0.4(例えば、5≧B/A≧0.4)、さらに好ましくはB/A≧0.5(例えば、3≧B/A≧0.5)である。B/A<0.25の場合、不織布の強度が不充分であり、単独で充分な機能を果たすことができない。
一方で、引張強度(B)(単位N/5cm)及び目付(A)(単位g/m2)は、B/A≦10の関係を満足するのが好ましい。B/Aが大きすぎると、不織布の柔軟性が低下する場合がある。なお、B/Aの値は、平均繊度、紡糸引取速度、熱圧着・絡合条件などにより変えることが可能で、具体的には、平均繊度を大きくする、紡糸引取速度を大きくする、あるいは熱圧着・絡合条件を強化する等により、B/Aの値を高くすることができる。
本発明の不織布は、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、必要に応じて、安定剤(銅化合物などの熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、微粒子、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤などの添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、重合反応時、又はその後の工程で添加することができる。特に、熱安定剤としてヒンダードフェノール等の有機系安定剤、ヨウ化銅などのハロゲン化銅化合物、ヨウ化カリウムなどのハロゲン化アルカリ金属化合物を添加すると、繊維化の際の溶融滞留安定性が向上するので好ましい。
また、本発明の不織布を後述する方法(水溶性熱可塑性樹脂を抽出除去する方法)で製造する場合には、微粒子、特に無機微粒子などの不活性微粒子を、紡糸前の水溶性熱可塑性樹脂又は水不溶性熱可塑性樹脂に添加すると、紡糸性や延伸性を向上できる。微粒子の平均粒子径は、例えば、0.01〜5μm、好ましくは0.02〜3μm、さらに好ましくは0.02〜1μm程度である。微粒子の種類は特に限定されず、例えば、ケイ素含有化合物(シリカなど)、金属酸化物(酸化チタンなど)、金属炭酸塩(炭酸カルシウムなど)、金属硫酸塩(硫酸バリウムなど)等の無機微粒子を挙げることができる。これらの微粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの微粒子のうち、シリカなどの酸化ケイ素、特に、平均粒子径0.02〜1μm程度のシリカが好ましい。
[不織布の製造方法]
本発明の不織布の製造方法は、特に限定されず、前記割合の水不溶性熱可塑性樹脂と水溶性熱可塑性樹脂とで構成された極細繊維を紡糸して不織布を製造する方法や、水不溶性熱可塑性樹脂で構成された極細繊維で形成された不織布に前記割合の水溶性熱可塑性樹脂を添加する方法などであってもよいが、水溶性熱可塑性樹脂と水不溶性熱可塑性樹脂とで構成された複合長繊維で形成された不織布から、前記水溶性熱可塑性樹脂を親水性溶媒で溶解(抽出)除去することにより製造する方法が好ましい。
このような水溶性熱可塑性樹脂を抽出除去する製造方法において、水溶性熱可塑性樹脂と水不溶性熱可塑性樹脂とで構成された複合長繊維不織布は、溶融紡糸と不織布形成を直結した製造方法(いわゆるスパンボンド不織布の製造方法)によって効率良く製造することができる。
スパンボンド不織布の製造方法としては、例えば、次のような方法を例示できる。まず、水溶性熱可塑性樹脂と水不溶性熱可塑性樹脂とをそれぞれ別の押出機で溶融混練し、引き続きこれら溶融したポリマーの流れをそれぞれ紡糸頭に導き、合流し、流量を計量して、紡糸ノズル孔から吐出させる。次に、この吐出糸条を冷却装置により冷却せしめた後、エアジェット・ノズルのような吸引装置を用いて、目的の繊度となるように、高速気流により牽引細化させる。その後、開繊させながら移動式の捕集面の上に堆積させて不織ウエブを形成させる。最後に、このウエブを部分熱圧着して巻き取ることによって複合長繊維不織布を得ることができる。
複合長繊維不織布を構成する複合長繊維の横断面形状(繊維の長さ方向に垂直な断面形状)は、特に限定されず、異形断面[例えば、中空状、偏平状、楕円状、多角形状、3〜14葉状、T字状、H字状、V字状、ドッグボーン(I字状)など]であってもよいが、通常、丸型断面である。本発明では、横断面内部は、極細長繊維を形成するために、水不溶性熱可塑性樹脂で構成された相と水溶性熱可塑性樹脂で構成された相とで構成された複合的な構造である。
具体的には、複合長繊維は、複合長繊維の軸方向(長さ方向)に水溶性熱可塑性樹脂と水不溶性熱可塑性樹脂とが分離可能な構造、すなわち、水溶性熱可塑性樹脂が、軸方向に連続して溶解除去されて、残存する水不溶性熱可塑性樹脂による極細長繊維が得られる構造を有している必要がある。従って、複合長繊維は、軸方向に延びる水溶性樹脂相と、この水溶性樹脂相と同軸に延びる複数の水不溶性樹脂相とで構成されており、横断面形成においては、水不溶性熱可塑性樹脂で構成された極細繊維成分と、極細繊維成分を複数に分割するための水溶性熱可塑性樹脂とで構成されている。このような複合長繊維の複合断面構造としては、分割性や極細化後の長繊維の均一性を考慮すると、ミカンの横断面型の構造または扇型の構造(すなわち、水不溶性熱可塑性樹脂で構成された相と、水溶性熱可塑性樹脂で構成された相とが、断面の中心より放射状に交互に配列された構造)、貼り合せ型の構造(すなわち、水不溶性熱可塑性樹脂で構成された相と、水溶性熱可塑性樹脂で構成された相とが、短冊状に交互に配列された構造)、海島型構造(すなわち、水溶性熱可塑性樹脂で構成された海成分と、水不溶性熱可塑性樹脂で構成された島成分とからなる構造)などが好ましい。これらの構造は、組み合わされていてもよい。
複合長繊維を構成する極細繊維形成成分(すなわち、水不溶性熱可塑性樹脂成分)は、水溶性熱可塑性樹脂により、例えば、2〜800個、好ましくは3〜500個、さらに好ましくは3〜200個程度に分割されているのが好ましい。複合長繊維の複合断面構造が、例えば、ミカンの横断面型もしくは扇型構造、又は貼り合せ型の構造を有する場合には、複合長繊維を構成する極細繊維形成成分は、水溶性熱可塑性樹脂により2〜50個(好ましくは2〜20個、さらに好ましくは3〜15個)程度に分割されているのが生産性の点で好ましい。また、複合断面構造が海島型である場合には、極細繊維形成成分である島成分の数としては2〜800個の範囲が生産性の点で好ましく、より好ましくは5〜500個(特に10〜200個)程度の範囲である。特に、複合断面構造がミカンの横断面型もしくは扇型、又は貼り合せ型などの異型断面構造であり、極細繊維形成性成分が6〜15個に分割されている複合長繊維は吸水性の点で特に優れている。
スキンケア用途としての使用において、高度なふき取り性が要求される場合には、放射状に配列したミカンの横断面型または扇型の構造、短冊状に配列した貼り合せ型構造であってもよいが、優れた肌触りや皮膚との密着性が要求されるため、細い繊維が得られやすい海島型の構造が特に好ましい。
本発明に用いる複合長繊維不織布における水不溶性熱可塑性樹脂と水溶性熱可塑性樹脂との割合(重量比)は目的に応じて適宜設定されるので特に制限はないが、水不溶性熱可塑性樹脂/水溶性熱可塑性樹脂=5/95〜90/10程度の範囲から選択でき、例えば、10/90〜85/15、好ましくは20/80〜85/15、さらに好ましくは30/70〜85/15(特に50/50〜85/15)程度である。
本発明において、複合長繊維不織布を構成する複合長繊維の繊維化条件は、ポリマーの組み合せ、複合断面の構造に応じて適宜設定する必要があるが、主に、以下のような点に留意して繊維化条件を決めることが望ましい。
紡糸口金温度は、複合長繊維を構成するポリマーのうち高い融点を持つポリマーの融点をMp(℃)とするとき、例えば、Mp+10℃〜Mp+80℃程度であり、好ましくはMp+15℃〜Mp+70℃、さらに好ましくはMp+20℃〜Mp+60℃程度である。紡糸におけるせん断速度(γ)は、例えば、500〜25000sec-1、好ましくは1000〜20000sec-1、さらに好ましくは1500〜10000sec-1程度である。紡糸におけるドラフト(V)は、例えば、50〜2000、好ましくは100〜1500程度である。また、複合紡糸するポリマーの組み合わせから見た場合、紡糸時の口金温度において、ノズル通過時のせん断速度で測定した溶融粘度が近接したポリマーの組み合わせ、例えば、溶融紡糸口金温度において、せん断速度1000sec-1における溶融粘度差が2000ポイズ(poise)以内(好ましくは1500ポイズ以内)である組み合せで複合紡糸することが紡糸安定性の面から好ましい。
本発明におけるポリマーの融点Tmとは、示差走査熱量計(DSC:例えば、メトラー(Mettler)社製、商品名「TA3000」など)で観察される主吸熱ピークのピーク温度である。せん断速度(γ)は、ノズル半径をr(cm)、単孔あたりのポリマー吐出量をQ(cm3/秒)とするとき、γ=4Q/πr3で計算される。またドラフト(V)は、引取速度をA(cm/秒)とするとき、V=A・πr2/Qで計算される。
複合繊維の製造において、紡糸口金温度が低すぎると、ポリマーの溶融粘度が高すぎて、高速気流による曳糸・細化性に劣り、また高すぎると、水溶性熱可塑性樹脂が熱分解しやすくなるために安定した紡糸ができない。また、せん断速度が低すぎると断糸しやすく、高すぎるとノズルの背圧が高くなり紡糸性が低下する。さらに、ドラフトが低すぎると繊度むらが大きくなって安定に紡糸しにくくなり、ドラフトが高すぎると断糸しやすくなる。
本発明において、エアジェット・ノズルのような吸引装置を用いて吐出糸条を牽引細化させる場合には、糸条の引取速度が1000〜6000m/分(好ましくは2000〜5000m/分)程度になるように、高速気流により牽引細化させるのが好ましい。吸引装置による糸条の引取条件は、紡糸ノズル孔から吐出する溶融ポリマーの溶融粘度、吐出速度、紡糸ノズル温度、冷却条件などにより適宜選択するが、引取速度が小さすぎると、吐出糸条の冷却固化遅れによる隣接糸条間の融着が起こる場合があり、また糸条の配向・結晶化が進まず、得られる複合不織布は、粗雑で機械的強度の低いものになってしまい好ましくない。一方、引取速度が大きすぎると、吐出糸条の曳糸・細化性が追随できず糸条の切断が発生して、安定した複合長繊維不織布の製造ができない。
さらに、複合長繊維不織布を安定に製造するために、紡糸ノズル孔とエアジェット・ノズルのような吸引装置との間隔は30〜200cm(特に40〜150cm)程度であるのが好ましい。このような間隔は使用するポリマー、組成、前述の紡糸条件にもよるが、前記間隔が小さすぎる場合には、吐出糸条の冷却固化遅れによる隣接糸条間の融着が起こる場合があり、また糸条の配向・結晶化が進まず、得られる複合不織布は、粗雑で機械的強度の低いものになってしまう。一方、前記間隔が広すぎると、吐出糸条の冷却固化が進みすぎて吐出糸条の曳糸・細化性が追随できず糸条の切断が発生して、安定した複合長繊維不織布の製造ができない。
エアジェット・ノズルのような吸引装置で細化された複合長繊維は、捕集用シート面上にほぼ均一な厚さとなるように分散捕集してウエブを形成する。吸引装置と捕集面との間隔は、生産性、得られる不織布の繊維物性の観点から、例えば、30〜200cm、好ましくは40〜150cm程度である。ウエブの目付は、不織布の生産性および後加工性の点不織布の生産性および後加工性の点から、例えば、5〜500g/m2、好ましくは10〜400g/m2、さらに好ましくは50〜300g/m2程度である。吸引細化されたウエブ形成複合長繊維の太さは、生産性の点から、例えば、0.2〜8dtex、好ましくは0.5〜7dtex、さらに好ましくは1〜6dtex程度である。
本発明では、複合長繊維不織布から水溶性熱可塑性樹脂を親水性溶媒で抽出除去することにより、水不溶性熱可塑性樹脂の極細化が可能である。親水性溶媒としては、水の他、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、ケトン類(アセトンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、カルビトール類(カルビトール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルなど)などが挙げられる。これらの親水性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの親水性溶媒のうち、水、エタノールなどのC1-3アルコール類、アセトンなどのケトン類、水と他の親水性溶媒との混合溶媒などが好ましく、通常、水が使用される。
複合長繊維不織布から水溶性熱可塑性樹脂を親水性溶媒で抽出する方法としては、特に制約はなく、慣用の方法、例えば、サーキュラー、ビーム、ジッカー、ウィーンスなどの染色機やバイブロウォッシャー、リラクサーなどの熱水処理設備を使用する方法、高圧水流を噴射する方法などを適宜選択できる。これらの方法のうち、高圧水流を噴射する方法は、分割極細長繊維が相互に強く絡まされ、さらには毛細管現象により吸水性がより向上するという点で、非常に有効な方法あるが、高圧水流を噴射するだけでは、水溶性熱可塑性樹脂の付着量を本発明で規定する範囲にまで減少させることが難しい場合が多い。したがって、高圧水流で処理した後、親水性溶媒浴中で不織布を攪拌処理して水溶性熱可塑性樹脂の付着量を本発明で既定する範囲にする方法を用いるのが好ましい。親水性溶媒として水を用いる場合、抽出水は中性であってもよく、アルカリ水溶液、酸性水溶液、又は界面活性剤などを添加した水溶液であってもよい。
特に、本発明では、親水性溶媒による水溶性熱可塑性樹脂の抽出除去において、不織布内に水溶性熱可塑性樹脂の一部が残存するように、除去処理を行なう。そのためには、予め、除去処理に使用する親水性溶媒の量、処理方法、処理時間、処理温度などを適宜選択して、本発明で規定する吸液性(吸水性)が得られるように、これらの条件を決めておくのが好ましい。
具体的には、水溶性熱可塑性樹脂を親水性溶媒で抽出除去する方法として、親水性溶媒浴中で複合長繊維不織布を攪拌処理して、水溶性熱可塑性樹脂を溶解除去する方法が好ましい。親水性溶媒の割合は、複合長繊維不織布に対して100〜2000倍(重量基準)程度であり、好ましくは200〜1000倍、さらに好ましくは200〜500倍程度である。親水性溶媒の量が少なすぎると、水溶性熱可塑性樹脂の溶解除去が不十分となり、目的とする極細長繊維不織布が得られないことがある。また、親水性溶媒の量が多すぎると、複合長繊維から極細長繊維への分割性が低下することがある。なお、抽出除去が不十分な場合には、水溶性熱可塑性樹脂を含まないフレッシュな親水性溶媒を用いて、再度水溶性熱可塑性樹脂を抽出除去する方法が用いられる。
抽出処理温度は目的や溶媒の種類に応じて適宜調整すればよいが、例えば、熱水を用いて抽出する場合には、40〜120℃で処理するのが好ましく、60〜110℃で処理するのがより好ましく、80〜100℃で抽出処理を行うのが特に好ましい。処理温度が低すぎると、水溶性熱可塑性樹脂の抽出性が充分でなく、生産性が低下する。また、処理温度が高すぎると、水溶性熱可塑性樹脂の溶解時間が極端に短くなり、目的とする水溶性熱可塑性樹脂の割合での安定な生産が困難な場合がある。なお、一旦、水溶性熱可塑性樹脂が不織布から完全に抽出除去された場合には、その後で、水溶性熱可塑性樹脂を含む溶液を付与する等の方法を用いて水溶性熱可塑性樹脂を不織布に添加しととしても本発明で規定するような優れた吸水性は得られ難い。
抽出処理時間についても、目的や使用する装置、処理温度に応じて適宜調整が可能であるが、生産効率、安定性、得られる極細長繊維不織布の品質・性能等を考慮すると、バッチ処理の場合には合計で10〜200分(特に10〜150分)程度であるのが好ましく、連続処理の場合は1〜50分(特に1〜20分)であるのが好ましい。
抽出処理(特に、水による抽出処理)については、複合長繊維から極細長繊維への分割性及び分繊性を向上させる目的で、50℃以下(例えば、10〜50℃程度、通常、室温付近)の温度から抽出処理を開始し、徐々に水温を高めて、所定の温度(例えば、80〜120℃、好ましくは80〜110℃程度)まで昇温し、この温度範囲で5分〜10時間(特に10分〜5時間)程度抽出処理を行う操作を用いるのが効果的である。このような処理は、複合繊維の複合断面構造が、ミカンの横断面型又は扇型構造、貼り合せ型構造、海島型構造などである場合に特に効果的である。
徐々に昇温する速度としては0.2〜30℃/分(特に、1〜20℃/分)程度が好ましい。このような条件で徐々に昇温すると、水溶性熱可塑性樹脂成分が溶解時に収縮し、その結果、残存成分である水不溶性熱可塑性樹脂で構成された極細長繊維が微細な捲縮を有することとなり、極細長繊維の分割性が向上し、得られる極細長繊維不織布の吸水性がより向上する。好ましい収縮率としては0.1〜10%(特に、0.3〜7%)程度である。微細な捲縮の程度としては、例えば、捲縮率1〜50%、好ましくは1〜40%、さらに好ましくは1〜30%程度である。公知の長繊維不織布は、一般に、溶融紡糸した繊維を延伸して、捕集面に単に積層させているため、不織布を構成する繊維は捲縮を有していない。一方、本発明の不織布を構成している繊維は、その製造途中で水溶性熱可塑性樹脂(特に水溶性熱可塑性PVA)が収縮することが原因で捲縮を有する。そのため、スキンケア用途において、汚れや化粧料などの吸着効果を有する。
このような方法以外にも、複合長繊維の分割性を向上させる方法として、高圧水流の噴射により分割する方法、加圧ロール間を通過させることによる分割方法など、種々の方法が適用可能であり、水溶性熱可塑性樹脂を抽出除去する方法と併用して行われる。
本発明で規定する吸水性を満足するため、水溶性熱可塑性樹脂を抽出処理した後の乾燥温度は、例えば、120℃以下(例えば、30〜120℃)、好ましくは100℃以下(例えば、40〜100℃)、さらに好ましくは90℃以下(例えば、50〜90℃)程度であり、室温であってもよい。乾燥温度が高すぎると、残存する水溶性熱可塑性樹脂(特に水溶性熱可塑性PVA)の結晶化が進行することにより不織布中の含水率が低下し、吸水性能が低下する。
乾燥時間も、目的や使用する装置、乾燥温度に応じて適宜調整が可能であるが、生産効率、安定性、得られる極細長繊維不織布の品質や性能などを考慮すると、バッチ処理を行う場合には24時間以内(例えば、1分〜24時間)程度であり、連続処理の場合は1時間以内(例えば、1分〜1時間)程度である。
水溶性熱可塑性樹脂の大部分を除去した不織布は、極細長繊維の集束体である極細長繊維束から実質的に形成されている。その結果、本発明の極細長繊維不織布は、集束体であることにより、従来の一般的な個々の極細繊維がそれぞれ独立している場合と比べ、毛羽が発生しにくく、所定量の水溶性熱可塑性樹脂を残存させ易くなる。そのため、不織布の吸水性が向上し、更に不織布の形態安定性も向上する。
なお、水流絡合などの絡合方法を用いて集束状態を解き、極細長繊維を集束体から離れて独立して存在させることも可能である。このような方法は柔軟性を付与したい場合に効果的であり、絡合の程度を変更することにより、適宜調整が可能である。
更に、本発明では、残存している水溶性熱可塑性樹脂が多い場合、例えば、不織布中に水溶性熱可塑性樹脂が1重量%以上存在している場合には、不織布を構成する繊維同士を残存している水溶性熱可塑性樹脂により固定されるため、不織布の形態を保つ上からも好ましくなる。
本発明において、不織布の目付けは、生産性及び得られた不織布の加工性などの点から、例えば、5〜500g/m2、好ましくは10〜400g/m2、さらに好ましくは30〜300g/m2(特に40〜300g/m2)程度であり、例えば、50〜300g/m2程度であってもよい。
本発明で使用される水溶性熱可塑性樹脂のうち、水溶性熱可塑性PVAなどは、生分解性を有しており、活性汚泥処理したり、土壌に埋めておくと、水と二酸化炭素に分解される。PVAを溶解した後の廃液(排水)の処理には活性汚泥法が好ましい。PVAを溶解した水溶液を活性汚泥で連続処理すると2日間から1ヶ月で分解される。また、本発明に用いるPVAは燃焼熱が低く、焼却炉に対する負荷が小さいので、PVAを溶解した排水を乾燥させてPVAを焼却処理してもよい。
本発明では、このようにして得られた極細長繊維不織布(又は極細長繊維不織布ウエブ)は、水流絡合や部分的な熱圧融着(熱エンボス加工など)、機械的圧縮(ニードルパンチなど)などの処理により形態を保持する方法が適用できる。これらの処理は、単独で処理してもよく、二種以上を組み合わせて処理してもよい。これらのうち、形態保持性などの点から、水流絡合、熱エンボス加工などの熱圧融着が好ましく、特に、水流絡合と熱エンボス加工とを組み合わせてもよい。
水流絡合においては、具体的には、高圧の水流絡合機を用いて、不織布に対して、高圧水流を噴射させることにより、極細長繊維を交絡処理することにより、不織布としての形態安定性を向上させる。水流絡合における圧力としては、例えば、0.1〜300MPa、好ましくは1〜100MPa、さらに好ましくは5〜50MPa程度である。水流絡合機の通過速度としては、例えば、0.1〜50m/分、好ましくは0.5〜30m/分、さらに好ましくは1〜10m/分程度である。水流絡合は、どの段階で行ってもよいが、水溶性熱可塑性樹脂を親水性溶媒で抽出する場合には、通常、抽出前に行われる。
熱エンボス加工においては、具体的には、加熱された凹凸模様の金属ロール(エンボスロール)と加熱平滑ロールとの間に、得られたウエブを通して、部分的な熱圧融着により長繊維同士を結合させ、不織布としての形態安定性を向上させる。熱圧着処理における加熱ロールの温度、熱圧する圧力、処理速度、エンボスロールの模様などは目的に応じて適宜選択することができる。また、熱圧着をどの段階で行うかについても特に制限はなく、必要に応じて適宜実施することが可能である。例えば、水溶性熱可塑性樹脂を親水性溶媒で抽出する前であってもよいし、高圧水流の噴射による分割極細化の後でもよい。このようなエンボス模様で熱圧着された部分は、形態安定性と柔軟性、吸水性の観点から、不織布の表面積の1〜40%(好ましくは5〜30%、さらに好ましくは10〜25%)程度である。
特に、本発明では、熱エンボス加工の後、水流絡合すると、柔軟性などの不織布の特性を向上できるとともに、形態保持性も向上できる。
さらに、本発明の極細長繊維不織布は目的に応じ、プラズマ放電処理やコロナ放電処理による親水化処理などの後加工処理を行ってもよい。
また、本発明で得られる極細長繊維不織布は、単独で使用するのみではなく、他の不織布(長繊維不織布や短繊維不織布など)や、織布(織物や編物など)などと積層することにより、積層物として用いることも可能である。他の不織布や織布と積層することにより、用途に応じて、実用的な機能をさらに付与することができる。例えば、本発明の極細長繊維不織布の片面にメルトブローン不織布を積層してもよい。
このようにして得られた極細長繊維不織布は良好な吸液性能(特に吸水性能)を示すが、さらに吸水性を向上させる目的で、必要に応じて各種親水化処理を行ってもよい。親水化処理方法としては、例えば、スルホン化処理、コロナ放電やプラズマ放電などの放電処理、グラフト重合処理、フッ素ガス処理などが挙げられる。
このようにして得られた不織布は、スキンケア用シートとして用いられ、その厚みは、用途に応じて選択できるが、例えば、10μm〜5mm程度の範囲から選択でき、例えば、30μm〜3mm、好ましくは50μm〜2mm、さらに好ましくは100μm〜1mm(特に200〜500μm)程度である。
[スキンケア用シート]
本発明のスキンケア用シートは、前記不織布で構成されており、高い柔軟性及び吸液性を有している。本発明において、スキンケア用シートは、皮膚への接触を伴う用途に使用され、かつ液状化合物を含浸させて使用するためのシートである限り、特に限定されず、各種スキンケア用シートが該当する。本発明のスキンケア用シートは、使用時にこれらの液状化合物を含浸させて使用するシートであってもよく、予め液状化合物を含浸させて使用するシート(いわゆるウエットシート)であってもよい。
本発明において、液状化合物には、溶媒や液状油などの液状物質の他、有効成分などを前記液状物質に含有させた溶液又は分散液(化粧料や乳液など)も含まれる。溶媒は、親油性溶媒であってもよいが、人体への安全性などの点から、親水性溶媒が好ましい。親水性溶媒としては、例えば、水、低級脂肪族アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノールなどのC1-6アルキルアルコールなど)、アルキレングリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなど)などが挙げられる。これらの親水性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。液状油としては、例えば、不飽和高級脂肪酸類(例えば、オレイン酸、オレイルアルコールなど)、動植物系油(例えば、ホホバ油、オリーブ油、やし油、つばき油、マカデミアンナッツ油、アボガド油、トモロコシ油、ゴマ油、小麦胚芽油、アマニ油、ひまし油、スクワランなど)、鉱物系油(例えば、流動パラフィン、ポリブテン、シリコーン油など)、合成系油(例えば、合成エステル油、合成ポリエーテル油など)などが挙げられる。これらの液状油は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの液状物質は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。例えば、水やエタノールなどの親水性溶媒に対して、添加剤(油分)として液状油を組み合わせて使用してもよい。これらの液状物質のうち、通常、水、低級アルコール又はこれらの混合物が使用され、好ましくは水及び/又はエタノール(特に水)が使用される。例えば、水と低級アルコール(特にエタノール)とを組み合わせて使用する場合、両者の割合は、水/低級アルコール=100/0〜30/70、好ましくは100/0〜50/50、さらに好ましくは100/0〜70/30程度であり、例えば、99/1〜80/20程度であってもよい。
有効成分としては、慣用の添加剤、例えば、保湿剤、エモリエント剤、紫外線防止剤、界面活性剤、収斂剤、酵素類、清涼化剤、殺菌剤又は抗菌剤、皮膚軟化剤(例えば、サリチル酸又はその誘導体、乳酸、尿素など)、抗酸化剤(例えば、トコフェロール又はその誘導体、アントシアニンなどのポリフェノール類など)、美白剤(例えば、アスコルビン酸又はその誘導体、システイン、プラセンタエキス、アルブチン、コウジ酸、ルシノール、エラグ酸、カミツレ抽出物など)、制汗剤(例えば、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、タンニンなどの収斂ん剤など)、肌荒れ防止剤(例えば、グリチルリチン酸塩、ビタミン類など)、抗炎症剤(例えば、アラントイン、グアイアズレン、グリチルリチン酸又はその塩、グリチルレチン酸又はその塩、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、イブプロフェン、インドメタシンなど)、血行促進剤(例えば、シャクヤク、ローズマリー、チョウジなど)、ビタミン類(例えば、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど)、アミノ酸(例えば、トリプトファン、システインなど)、細胞賦活剤(例えば、リボフラビン、ピリドキシン、ニコチン酸、パントテン酸、α−トコフェロール、又はこれらの誘導体、ユキノシタエキスなどの植物抽出物など)、香料(例えば、合成香料、精油、精油成分など)、着色剤(例えば、レーキ、顔料、染料など)、無機塩類(例えば、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウムなど)などが挙げられる。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤のうち、スキンケア用シートには、例えば、保湿剤、紫外線防止剤、界面活性剤、収斂剤、清涼化剤、酵素類、殺菌剤又は抗菌剤などが汎用される。
保湿剤としては、例えば、アルキレングリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエステルなどのポリアルキレングリコール又はそのモノアルキルエステルなど)、多価アルコール類(例えば、グリセリン、ペンタエリスリトールなど)、有機酸類(例えば、乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなど)、アミノ酸類(例えば、セリン、グリシン、スレオニン、アラニンなど)、糖類(例えば、ソルビトールなどの糖アルコール、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロイチンヘパリンなどの多糖類など)、タンパク質(例えば、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリーなど)などが挙げられる。これらの保湿剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの保湿剤のうち、ジプロピレングリコールや1,3−ブチレングリコールなどのアルキレングリコール類、グリセリンなどの多価アルコール類、ヒアルロン酸ナトリウムなどの糖類などが好ましい。
エモリエント剤としては、例えば、高級脂肪酸又は油脂類(例えば、オレイン酸、イソステアリン酸、オキシステアリン酸、オレイルアルコール、ステアリン酸イソプロピル、オキシステアリン酸オクチル、オキシステアリン酸グリセリン、オレイン酸デシル、12−ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油など)、ワックス類(例えば、ラノリン、ラノリンアルコール、ラノリンオイル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンプロピレンラノリン、ポリオキシエチレンミツロウなど)、糖類(例えば、ポリオキシエチレンメチルグリコシド、セスキステアリン酸メチルグリコシド、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグリコシド、セスキステアリン酸ポリオキシエチレンメチルグリコシドなど)、セラミド類、スクワラン、スクワレン、ハチミツ、油性成分の乳化物(例えば、トリグリセリド油、スクワラン、エステル油などの油性成分を、モノグリセリドなどの非イオン乳化剤などにより乳化した乳化物など)などが挙げられる。これらのエモリエント剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのエモリエント剤のうち、ポリオキシエチレンメチルグリコシドなどのポリオキシエチレン基含有糖類、オキシステアリン酸グリセリンやポリオキシエチレン硬化ひまし油などの油脂類、ラノリンなどのワックス類などが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、陰イオン性界面活性剤[例えば、アルキル硫酸塩(ラウリル硫酸ナトリウムなど)、アルキルエーテル硫酸塩(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンなど)、アシルメチルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩(アシルグルタミン酸ナトリウムなど)、アミドエーテル硫酸塩、グリセリン脂肪酸エステル類(グリセリルモノステアレートなど)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレングリセリルモノステアレートなど)、スルホコハク酸塩(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸二ナトリウムなど)など]、両性界面活性剤[例えば、アルキル酢酸ベタイン、アミド酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン(アミンオキシド型半極性界面活性剤)など]、非イオン性界面活性剤[例えば、脂肪酸アルカノールアミド(ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミドなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルなど)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体など]、陽イオン界面活性剤(例えば、塩化アルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム塩など)などが挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの界面活性剤のうち、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤などが好ましい。
紫外線防止剤には、紫外線吸収剤、紫外線防御剤が含まれる。紫外線防止剤としては、例えば、ベンゾフェノン系吸収剤(例えば、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウムなど)、ケイ皮酸系吸収剤(例えば、メトキシケイ皮酸オクチル、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、ジイソプロピルケイ皮酸エチル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、ジ−p−メトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリルなど)、p−アミノ安息香酸系吸収剤(例えば、アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸オクチル、p−ジメチルアミノ安息香酸オクチルなど)、サリチル酸系吸収剤(例えば、サリチル酸オクチルなど)、ジベンゾイルメタン系吸収剤(例えば、4−t−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタンなど)、ウロカニン酸又はそのエステル、β−イソプロピルフラノン、β−カロチンなどが挙げられる。紫外線防御剤としては、紫外線を散乱する無機顔料、例えば、酸化チタン(二酸化チタン)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などが挙げられる。これらの紫外線防止剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの紫外線防止剤のうち、オキシベンゾンなどのベンゾフェノン系吸収剤、酸化チタンや酸化亜鉛などの無機顔料などが汎用される。
収斂剤としては、例えば、オキシ酸又はこれらの塩(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、酒石酸など)、アルミニウム又は亜鉛化合物(例えば、塩化アルミニウム、ミョウバン、硫酸亜鉛、スルホフェノキソ亜鉛など)、プロアントシアニジン類、タンニン酸、タンニン含有植物抽出物(例えば、ハマメリス、白樺の抽出物など)、ガイヨウエキス、ダイオウエキス、スギナエキスなどが挙げられる。これらの収斂剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの収斂剤のうち、クエン酸などのオキシ酸や、タンニン酸、ミョウバンなどが好ましい。
清涼化剤としては、例えば、メントール又はその誘導体、カンファー、チモール、ペパーミント油などが挙げられる。これらの清涼化剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの清涼化剤のうち、メントールが汎用される。
酵素類としては、例えば、脂質分解酵素(リパーゼ)、蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)などが挙げられる。これらの酵素類が、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの酵素類のうち、脂質分解酵素が汎用される。
殺菌剤又は抗菌剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ジステアリルメチルアンモニウムなど)、安息香酸類(例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステルなど)、サリチル酸類(例えば、サリチル酸、サリチル酸ナトリウムなど)、トリクロロカルバニリド、トリクロサンなどが挙げられる。これらの殺菌剤又は抗菌剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの殺菌剤又は抗菌剤のうち、安息香酸ナトリウムなどの安息香酸類やサリチル酸などのサリチル酸類などが汎用される。
これらの添加剤の割合は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、水やエタノールなどの液状物質の割合は、通常、添加剤を含む全液状化合物中30〜99重量%、好ましくは40〜95重量%、さらに好ましくは50〜90重量%程度である。
スキンケア用シートのうち、使用時に前記液状化合物を含浸させて使用するシートは、例えば、化粧水や乳液を含浸させて皮膚に塗布するためのシートとしても使用可能である。また、メイクを除去したり、汗などの分泌物を拭き取るために、前記液状物質を含浸させるシートとしても使用可能である。化粧水や乳液としては、慣用の化粧水や乳液を使用でき、水性及び油性いずれの剤であってもよい。本発明のスキンケア用シートは、親水性及び親油性のいずれの液状化合物に対しても高い吸液性を有しているが、表面に水溶性熱可塑性樹脂を有しているため、特に、親水性の液状化合物を含浸させるためのシートとして有用である。
一方、ウエットシートとしては、具体的には、フェイスマスク(フェイスパック)、メイク除去シート、身体洗浄用シート(例えば、汗拭きシート、油取りシートなど)などが挙げられる。
本発明のスキンケア用シートは、特に、親水性液状化合物に対して高い吸液性を有しているため、主として親水性成分で構成されているフェイスマスクやメイク除去シートに適している。さらに、皮膚に対する密着性が高いため、フェイスマスクとして使用する場合は、鼻の付け根など、微細な隙間にもシートが密着可能であり、フェイスマスクの有効成分を皮膚に浸透できる。また、メイク除去シートとして使用する場合は、シートの柔軟性によって、顔の微細な隙間にもシートが密着可能となり、メイク(ファウンデーション、白粉、口紅、アイメイクアップなどのメイクアップ化粧品など)を有効に除去できる。さらに、構成繊維が極細であるため、肌への刺激も極めて低い。具体的に、フェイスマスク(フェイスパック)及びメイク除去シートは、例えば、親水性溶媒中に保湿剤やエモリエント剤などを含有させた溶液を含浸させたシートであってもよい。親水性溶媒としては、例えば、水やエタノール、特に水とエタノールとの混合溶媒などを使用できる。保湿剤又はエモリエント剤としては、例えば、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリオキシメチルグリコシドなどが挙げられる。保湿剤及びエモリエント剤の合計割合は、例えば、溶液中0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%程度である。
本発明のスキンケア用シートは、表面積が大きく、汚れなどに対する吸着性にも優れることから、身体洗浄用シートにも適している。さらに、柔軟性が高く、皮膚との密着性も高いため、例えば、身体の微細な隙間にもシートが密着できるため、良好に洗浄できる。具体的に、身体洗浄用シートは、例えば、親水性溶媒中に、収斂剤(クエン酸など)酵素類(脂質分解酵素など)、清涼化剤(メントールなど)、防腐剤(安息香酸ナトリウムなど)などを含有させた溶液を含浸させたシートであってもよい。親水性溶媒は、通常、水である。収斂剤の割合は、例えば、溶液中0.01〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%、さらに好ましくは0.05〜3重量%程度である。酵素類の割合は、例えば、溶液中1〜50重量%、好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%程度である。防腐剤の割合は、例えば、溶液中0.01〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%、さらに好ましくは0.05〜3重量%程度である。清涼化剤の割合は、例えば、溶液中0.001〜1重量%、好ましくは0.005〜0.5重量%、さらに好ましくは0.001〜0.1重量%程度である。
本発明のスキンケア用シートは、柔軟で肌触り(皮膚の感触)に優れ、かつ吸液性が高いため、各種のスキンケア用シート、例えば、フェイスマスク、メイク除去シート、身体洗浄用シート(汗拭きシート、油取りシートなど)などとして有用である。
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例で使用した可塑剤及び熱可塑性ポリマー(水不溶性熱可塑性樹脂)の詳細について以下に示す。さらに、実施例において、各物性値は以下のようにして測定した。なお、実施例中の「部」及び「%」はことわりのない限り、重量基準である。
[可塑剤及び熱可塑性ポリマー]
可塑剤:ソルビトール1モルにエチレンオキサイドを平均2モル付加した化合物
PET:ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.7、融点255℃)
Nylon:6−ナイロン(固有粘度2.6、融点222℃)
PP:ポリプロピレン(温度230℃、荷重21.18Nのメルトインデックス(MI)35)
EVOH:エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン32モル%、温度190℃、荷重21.18NのMI35)。
[PVAの分析方法]
PVAの分析方法は特に記載のない限りはJIS−K6726に従った。なお、変性量は、変性ポリビニルエステル又は変性PVAを用いて、500MHz 1H−NMR(日本電子(JEOL)(株)製、GX−500)装置によって測定することにより求めた。また、アルカリ金属イオンの含有量は原子吸光法で求めた。
[融点]
PVAの融点は、示差走査熱量分析(DSC)装置(メトラー社、TA3000)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後、室温まで冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のPVAの融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を調べた。
[紡糸状態]
溶融紡糸の状態を目視で観察して、次の基準で評価した。
◎:極めて良好
○:良好
△:やや難あり
×:不良。
[不織布の状態]
得られた不織布を目視観察および手触観察して、次の基準で評価した。
◎:均質で極めて良好
○:ほぼ均質で良好
△:やや難あり
×:不良。
[不織布中のPVAの割合]
30cm×30cmの不織布試料をオートクレーブ中で2000mlの水に浸漬し、120℃で1時間加熱処理した。処理後、熱水中から不織布を取り出して軽く搾り、抽出液を取り換えて同様の操作を実施した。計3回の繰り返し処理により、不織布中のPVAを完全に抽出除去した。処理前後の重量変化より、不織布中のPVAの割合を求めた。
[不織布表面のPVAによる被覆率]
X線光電子分光法(XPS)により不織布表面の構成元素および結合状態を解析し、その結果より、不織布表面を占めるPVAの割合を算出した。
[不織布目付、厚さ]
JIS L1906「一般長繊維不織布試験方法」に準じて測定した。
[平均繊維径]
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布の表面を500倍に拡大した写真を撮影し、この写真に2本の対角線を引き、この対角線と交わった繊維の太さを倍率換算した値を用いた。そしてこれら繊維の100本の平均値を平均繊維径とし、この繊維径を直径とする円を求め、その円を断面積として繊維の繊度を算出した。
[保水率]
予め絶乾した後に精秤した20cm×20cmの不織布を、20℃の純水500ml中に5分間浸漬後、不織布を水上に引き上げた状態で約30秒間保ち、水滴が落ちなくなった時点での全重量を精秤して不織布の保水率を求めた。
[吸水性]
JIS L1906吸水速度A法(滴下法)に準じて測定した。
[フェイスマスク評価]
ジプロピレングリコール5重量%、1,3-ブチレングリコール5重量%、グリセリン5重量%、ヒアルロン酸ナトリウム0.2重量%、エタノール10重量%、及び精製水74.8重量%で構成された溶液を、実施例及び比較例で得られた不織布に含浸させて、フェイスマスクを調製し、以下の評価試験を行った。
(1)広げ易さ
フェイスマスクの広げ易さについて、以下の基準に従って4段階に官能評価した。
◎:非常に簡単に拡げることができる
○:簡単に拡げることができる
△:拡げ難い
×:破損する。
(2)密着性
フェイスマスクの顔への密着性について、以下の基準に従って4段階に官能評価した。
◎:極めて優れた密着性を示す
○:優れた密着性を示す
△:密着性が低い
×:密着しない。
(3)肌触り
フェイスマスク湿布時の肌触りを以下の基準に従って4段階に官能評価した。
◎:柔らかい
○:やや柔らかい
△:ややかたい
×:かたい。
(4)乾きにくさ
フェイスマスク湿布時の肌触りを以下の基準に従って4段階に官能評価した。
◎:非常に乾きにくい
○:乾きにくい
△:やや乾きやすい
×:すぐに乾く。
[メイク落とし評価]
1,3-ブチレングリコール10重量%、ポリオキシエチレンメチルグリコシド5重量%、エタノール15重量%、及び精製水70重量%で構成された溶液を、実施例及び比較例で得られた不織布に含浸させて、メイク落としシートを調製し、以下の評価試験を行った。
(1)化粧品除去性
アクリル板の上に口紅を均一に塗布し(塗布量0.1g)、5cm×5cmにカットしたクレンジング液を含浸した試験片上に300gの荷重を掛けた状態で口紅を除去した。この操作後のアクリル板の重量を測定し、次式に従って除去率を算出した。
除去率(%)={(W1−W2)/0.1}×100
(式中、除去前アクリル板重量はW1(g)であり、除去後のアクリル板重量はW2(g)である)。
得られた除去率について以下の基準に従って4段階で評価した。
◎:除去率90%以上
○:除去率70%以上90%未満
△:除去率50以上70%未満
×:除去率50%未満。
(2)拭取時の感触
唇に塗布した口紅を除去する試験を行い、拭取り時の感触を以下の基準に従って4段階で官能評価した。
◎:柔らかい
○:やや柔らかい
△:ややかたい
×:かたい。
[身体洗浄用シート]
皮脂分解成分(8−アセチル化ショ糖変性95°アルコール)15重量%、L−メントール0.02重量%、安息香酸ナトリウム0.2重量%、クエン酸0.1重量%、及び精製水84.68重量%で構成された溶液を、実施例及び比較例で得られた不織布に含浸させて、身体洗浄用シートを調製し、以下の評価試験を行った。
(1)人工皮脂除去性
前腕内側部に、人工皮脂(以下のモデル皮脂汚れ)を一定量塗布し、その塗布部に身体洗浄用シートを載せ、シートの上から100gf/cm2の圧力で5秒間押さえ、人工皮脂を除去した。洗浄後の肌感触を以下の基準に従って4段階に官能評価した。
(モデル皮脂汚れ)
モデル皮脂汚れとして、綿実油47重量%、ミリスチン酸24重量%、スクワラン9重量%、パルミチン酸コレステリル2重量%、コレステロール0.2重量%、ラウリン酸0.2重量%、ミリスチン酸2.5重量%、パルミチン酸6重量%、ステアリン酸0.9重量%、オレイン酸6.4重量%、トリオレイン酸1.8重量%の混合物を調製した。。
(評価基準)
◎:全くべたつかない
○:べたつかない
△:ややべたつく
×:べたつく。
(2)人工汗除去性
前腕内側部に、人工汗(以下のモデル汗汚れ)を一定量塗布し、その塗布部に身体洗浄用シートを載せ、シートの上から100gf/cm2(9800Pa)の圧力で5秒間押さえ、人工汗を除去した。洗浄後の肌感触を以下の基準に従って4段階に官能評価した。
(モデル汗汚れ)
L−ヒスチジン塩酸塩一水和物0.5g、塩化ナトリウム5g及びリン酸二水素ナトリウム二水和物2.2gを水に溶かし、これに0.1モル/リットル濃度の水酸化ナトリウム溶液15ml及び水を加えてpH5.5の人工汗を調製した。
(評価基準)
◎:全くべたつかない
○:べたつかない
△:ややべたつく
×:べたつく。
(3)拭取時の肌触り
前腕内側部に身体洗浄用シートを用いて10往復させた時の肌触りを以下の基準に従って4段階で官能評価した。
◎:柔らかい
○:やや柔らかい
△:ややかたい
×:かたい。
(4)シート強度
前腕内側部に身体洗浄用シートを用いて10往復させた後のシートの状態を使用前の状態と比較し、以下の基準に従って4段階評価した。
◎:全く変化なし
○:ほとんど変化なし
△:やや毛羽が発生
×:破断した。
実施例1
[エチレン変性PVAの製造]
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29kgおよびメタノール31kgを仕込み、60℃に昇温した後、30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで、反応槽圧力が5.9kg/cm2(5.8×105Pa)となるようにエチレンを導入した。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、前記開始剤溶液170mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9kg/cm2(5.8×105Pa)に、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて610ml/時間でAMVを連続添加して重合を実施した。10時間後に重合率が70%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで、減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。
得られたポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が50%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液200g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比(MR)0.1)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリを添加した後、約2分経過した後、ゲル化物を粉砕機にて粉砕し、60℃で1時間放置してけん化を進行させた後、0.5%酢酸濃度の水とメタノールとの混合溶液(酢酸水/メタノール=20/80(重量比))1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAに、水とメタノールとの混合溶液(水/メタノール=20/80(重量比))2000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、さらにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。その後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVA(PVA−1)を得た。
得られたエチレン変性PVAのけん化度は98.4モル%であった。また、この変性PVAを灰化させた後、酸に溶解したものを用いて原子吸光光度計により測定したナトリウムの含有量は、変性PVA100部に対して0.001部であった。続いて、前記変性PVAを50℃で10時間真空乾燥させた絶乾のPVA20gを、メタノール100mLを用いてメタノールソックスレー抽出を3日間行った。抽出液50mLに蒸留水50mLおよびフェノールフタレインを数滴加え、抽出液中の酸を1/1000Nの水酸化ナトリウム水溶液での中和滴定により測定した酢酸の含有量は、変性PVA100部に対して0.00008部であり、PVA中の酢酸とナトリウムイオンの比を表す値αは0.08であった。
また、重合後未反応酢酸ビニルモノマーを除去して得られたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をn−ヘキサンに沈殿、アセトンで溶解する再沈精製を3回行った後、80℃で3日間減圧乾燥を行って精製ポリ酢酸ビニルを得た。この精製ポリ酢酸ビニルをDMSO−d6に溶解し、500MHzプロトンNMR(日本電子(株)製、GX−500)を用いて80℃で測定したところ、エチレンの含有量は10モル%であった。
前記ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をアルカリモル比0.5で鹸化した後、粉砕したものを60℃で5時間放置して鹸化を進行させた後、メタノールソックスレーを3日間実施し、次いで、80℃で3日間減圧乾燥を行って精製されたエチレン変性PVAを得た。このPVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ330であった。さらに、この精製された変性PVAの5%水溶液を調製し、厚み10ミクロンのキャスト製フィルムを作成した。このフィルムを80℃で1日間減圧乾燥を行った後に、DSC(メトラー社製、TA3000)を用いて、前述の方法によりPVAの融点を測定したところ206℃であった。
上記で得られたPVAをラボプラストミル(東洋精機(株)製、2軸、20mmφ、L/D=28)を用いて、設定温度220℃、スクリュー回転数100rpmで溶融押出することによりペレットを製造した。得られたPVA及びそのペレットについて、表1に示す。
Figure 2006288604
上記で得られたPVA(PVA−1)ペレットと、固有粘度が0.7、融点が255℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を準備し、それぞれのポリマーを別の押出機で加熱して溶融混練し、不織布を構成する複合長繊維に占める重量比率がPET/PVA=70/30になるように280℃の海島型複合紡糸パックに導き、ノズル径0.35mmφ×1008ホール、吐出量1050g/分、せん断速度2500sec-1の条件で紡糸口金から吐出させた。吐出された紡出フィラメント群を20℃の冷却風で冷却しながら、ノズルから80cmの距離にあるエジェクターにより高速エアーで3000m/分の引取り速度で牽引細化させ、開繊したフィラメント群をエンドレスに回転している捕集コンベア装置上に捕集堆積させ長繊維ウエブを形成させた。紡糸状態は、断糸は全く見られず、断面形状も極めて良好であった。得られた複合長繊維の断面図(長さ方向に対して垂直方向の断面図)を図1に示す。繊維の断面構造は、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールで構成された相1と、熱可塑性ポリマーで構成された相2とからなる海島型である。海島型複合繊維は、繊維断面で熱可塑性ポリマーが島成分、PVAが海成分となるように導いた。
次いで、このウエブを60℃に加熱した凹凸柄エンボスロールとフラットロールとの間で、線圧50kgf/cm(490N/cm)の圧力下で通過させ、エンボス部分熱圧着させることにより、単繊維繊度3.5dtexの長繊維からなる目付83g/m2の海島型複合長繊維不織布を得た。得られた不織布は均質なもので極めて良好であった。
得られた複合長繊維不織布約50mについて、水流絡合機(150kgf/cm2(14.7MPa)、不織布通過速度5m/分)を用いて高圧水流を噴射させることにより、複合長繊維を交絡処理した。続いてサーキュラー型染色機(水浴800L、不織布重量に対する水浴比350倍、不織布回転速度約50m/分)を用い、PVA成分の抽出処理を行った。複合長繊維不織布投入後、室温から約5℃/分の速度で95℃まで昇温させ、さらに95℃にて20分間熱水処理を行った。複合長繊維不織布中のPVA成分を抽出除去した。抽出除去後の不織布中PVAの割合は0.1%であった。
次いで、このウエブを連続処理にて80℃で3分間熱風乾燥させることにより、ポリエチレンテレフタレートの極細長繊維不織布を得た。複合長繊維不織布の製造条件を表2に示す。
Figure 2006288604
このようにして得られた不織布のPVA残存率、PVA被覆率、繊度、目付及び各種基礎物性評価結果を表3に示す。
得られた不織布について、各種用途毎に異なる水性洗浄液を含浸させ、ウェットシートを作製した。このウェットシートを用いて、フェイスマスク、メイク落とし、及び身体洗浄性能評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2006288604
いずれの評価においても良好な性能を示した。
実施例2〜9
実施例1で用いたPVAの代わりに表1に示すPVAを用い、表2に示す複合紡糸用口金、熱可塑性ポリマーを用い、表2に示す紡糸条件を採用し、適宜ノズル−エジェクター間距離およびラインネット速度を調整する以外は実施例1と同じ条件下にて複合長繊維からなる不織ウエブを得た後、表2に示すエンボス処理温度にて部分熱圧着して複合長繊維不織布とした。得られた複合長繊維不織布について、実施例1と同様にサーキュラー染色機を用いてPVA成分を抽出し、80℃で3分間熱風乾燥させることにより、目的とする極細長繊維不織布を得た。複合繊維成分の重量比率はパックへのポリマー導入量を変えることで調整させた。得られた不織布のPVA残存率、PVA被覆率、繊度、目付、及び各種基礎物性評価結果を表3に示す。さらに各種ウエットシート性能についての評価結果も表3に示す。
なお、実施例2では、水流絡合処理は行わず、実施例4では、水流絡合処理の代わりにニードルパンチ処理を行った。ニードルパンチ条件として、1バーブのニードル針を用い、針深度8mm、パンチ数1000パンチ/cm2を用いた。さらに、実施例6における複合長繊維の断面図(長さ方向に対して垂直方向の断面図)を図2に示す。繊維の断面構造は、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールで構成された相1と、熱可塑性ポリマーで構成された相2とからなる16分割型(ミカン型(1))である。
比較例1〜3
表2に示す水不溶性熱可塑性樹脂、紡糸条件を適用し、適宜ノズル−エジェクター間距離およびラインネット速度を調整する以外は実施例1と全く同じ条件下にて複合長繊維からなる不織ウエブを得た後、表2に示すエンボス処理温度にて部分熱圧着して複合長繊維不織布とした。複合繊維成分の重量比率はパックへのポリマー導入量を変えることで調整させた。紡糸状態はいずれも良好であった。
得られた複合長繊維不織布について、実施例1と同様にPVA成分を抽出し、乾燥させることにより、目的とする極細長繊維不織布を得た。不織布中のPVAの割合は、熱水温度および処理時間を適宜変更することにより調整した。
極細長繊維不織布のPVA残存率、被覆率、繊度、目付、各種性能についての評価結果を表3に示す。
なお、比較例1における複合長繊維の断面図(長さ方向に対して垂直方向の断面図)を図3に示す。繊維の断面構造は、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールで構成された相1と、熱可塑性ポリマーで構成された相2とからなる8分割型(ミカン型(2))である。
比較例1については、長繊維不織布の繊度が大きく、その結果、不織布の吸液性が低下し、ウエットシートの特性が低下した。
比較例2については、熱水処理でPVAがほぼ完全に除去されたことにより、不織布の吸液性が低下し、ウエットシートの特性が低下した。
比較例3については、熱水処理後のPVA残存率が高くなり、柔軟性が低下し、ウエットシートの特性も低下した。
比較例4
固有粘度が0.7、融点が255℃のポリエチレンテレフタレートを準備し、押出機内で加熱して溶融混練し、280℃の紡糸パックに導き、ノズル径0.35mmφ×1008ホール、吐出量620g/分、せん断速度3000sec-1の条件で紡糸口金から吐出させ、紡出フィラメント群を20℃の冷却風で冷却しながら、ノズルから80cmの距離にあるエジェクターにより高速エアーで4000m/分の引取り速度で牽引細化させ、開繊したフィラメント群をエンドレスに回転している捕集コンベア装置上に捕集堆積させ、ポリエチレンテレフタレートからなる長繊維ウエブを形成した。
次いで、このウエブを180℃に加熱した凹凸柄エンボスロールとフラットロールとの間で、線圧50kgf/cm(490N/cm)の圧力下で通過させ、エンボス部分熱圧着させることにより、単繊維繊度1.56dtexの長繊維からなる目付54g/m2の長繊維不織布を得た。
得られた長繊維不織布のPVA残存率、被覆率、繊度、目付、各種性能についての評価結果を表3に示す。
ポリエチレンテレフタレートのみでは吸液性が低く、ウエットシートの特性も低下した。
比較例5
メルトフローレート(MFR)が400g/10分のポリプロピレンを溶融押出機を用いて230℃で溶融混練し、溶融したポリマー流をメルトブローダイヘッドに導き、ギヤポンプで計量し、直径0.3mmΦの孔を0.75mmピッチで一列に並べたメルトブローンノズルから吐出させ、同時にこの樹脂に240℃の熱風を噴射して吐出した繊維を成形コンベア上に捕集し、目付50g/m2のポリプロピレン系極細繊維不織布を得た。
得られた極細繊維不織布の繊度、目付、各種性能についての評価結果を表3に示す。
シート強度が小さく、ウエットシートの特性も低下した。
参考例1
市販のコットン(ユニチカ(株)製、コットンエース)の繊度、目付、各種性能についての評価結果を表3に示す。
シート強度が小さく、ウエットシートの特性も低下した。
図1は、本発明に使用される複合長繊維の断面構造の一例を示す断面図である。 図2は、本発明に使用される複合長繊維の断面構造の他の一例を示す断面図である。 図3は、本発明に使用される複合長繊維の断面構造の他の一例を示す断面図である。
符号の説明
1…水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールで構成された相
2…熱可塑性樹脂で構成された相

Claims (10)

  1. 液状化合物を含浸可能な不織布で構成されたシートであって、前記不織布が、平均繊度0.5dtex以下であり、かつ水不溶性熱可塑性樹脂で構成された極細長繊維で形成され、かつ水溶性熱可塑性樹脂を前記不織布中0.001〜10重量%の割合で含有するスキンケア用シート。
  2. 不織布表面の30%以上が水溶性熱可塑性樹脂で被覆されている請求項1記載のスキンケア用シート。
  3. 水溶性熱可塑性樹脂が、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールである請求項1記載のスキンケア用シート。
  4. 水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールが、炭素数4以下のα−オレフィン単位及びC1-4アルキル−ビニルエーテル単位から選択された少なくとも一種の単位を0.1〜20モル%含有する変性ポリビニルアルコールである請求項3記載のスキンケア用シート。
  5. 水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールが、エチレン単位を3〜20モル%含有する変性ポリビニルアルコールである請求項3記載のスキンケア用シート。
  6. 水溶性熱可塑性樹脂の割合が不織布中0.001〜4重量%である請求項1記載のスキンケア用シート。
  7. 水不溶性熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びエチレン単位を25〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコールからなる群より選択された少なくとも1種である請求項1記載のスキンケア用シート。
  8. 不織布が、水流絡合、熱エンボス加工及びニードルパンチ加工から選択された少なくとも一種で処理された不織布である請求項1記載のスキンケア用シート。
  9. 請求項1記載のスキンケア用シートに液状化合物が含浸されたウエットシート。
  10. フェイスマスク、メイク除去シート及び身体洗浄用シートから選択されたスキンケア製品である請求項9記載のウエットシート。
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