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JP2006282802A - インク組成物、これを用いた記録方法、および記録物 - Google Patents

インク組成物、これを用いた記録方法、および記録物 Download PDF

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JP2006282802A
JP2006282802A JP2005103145A JP2005103145A JP2006282802A JP 2006282802 A JP2006282802 A JP 2006282802A JP 2005103145 A JP2005103145 A JP 2005103145A JP 2005103145 A JP2005103145 A JP 2005103145A JP 2006282802 A JP2006282802 A JP 2006282802A
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原 長 寿 笠
Tetsuya Aoyama
山 哲 也 青
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】 高い光沢性の印刷画像を実現でき、しかも吐出安定性、保存安定性、および目詰まり回復性に優れるインク組成物を提供する。
【解決手段】 キナクリドン固溶体顔料と、特定鎖長を有するプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基との共重合化合物と、水とを少なくとも含んでなり、
無置換キナクリドン、3,10−ジクロロキナクリドン、2,9−ジメチルキナクリドン、および2,9−ジクロロキナクリドンからなる群から選択される2種以上のキナクリドン系化合物からなる固溶体顔料と、特定鎖長を有するプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基との共重合化合物と、水とを少なくとも含んでなるインク組成物とする。
【選択図】 なし

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、種々の記録媒体において印字品質に優れ、とりわけ、光沢紙に対して光沢性を有し、吐出安定性、保存安定性、目詰まり回復性にも優れるインクジェット記録用インク組成物、このインク組成物を用いたインクジェット記録方法、および記録物に関する。
背景技術
インクジェット記録方法は、インクの小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う記録方法である。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、インクジェット記録方法は、これまで銀塩写真やオフセット印刷によってのみ実現されてきた高精細印刷の分野にまで適用されるようになってきており、普通紙のみならず、印画紙やアート紙等のような高い光沢性を有する光沢紙に対してもインクジェット記録が行われている。さらに、近年では、インクジェットプリンターで印刷した印刷物を、広告用や観賞用として、室内のみならず屋外での掲示に用いることも多くなっており、耐光性、耐ガス性、耐水性等の優れた耐性を有するインクの開発が希求されている。このような希求に対して、近年では、耐光性、耐水性、耐ガス性等の耐久性に優れる顔料を、着色剤として用いたインクが開発されている。
例えば、特開平10−219166号公報(特許文献1)や特開平11−49998号公報(特許文献2)には、マゼンタ色に使用される顔料として、キナクリドン系顔料やキナクリドン固溶体顔料を用いた、マゼンタ染料と同等の演色性を有するとともに、耐光性、耐ガス性にも優れるインク組成物が提案されている。
また、界面活性剤や高分子分散剤を用いて顔料をインク中に分散させた水性顔料インクや、顔料を水分散可能な樹脂で被覆した着色微粒子を用いた水性顔料インクなどが提案されている。一定の粒径を有する顔料微粒子を分散させたインクは、記録媒体に付着すると顔料を含むインク皮膜が形成される。そのため、種々の記録媒体、とりわけ普通紙において優れた発色性を有する。
しかしながら、光沢紙のような表面が平滑に加工された記録媒体に印刷した場合、インク皮膜中の顔料微粒子による光の乱反射により、記録部分の光沢性が損なわれる場合があった。
また、インクが記録媒体に付着した後インクが乾燥する過程で、インク中に含まれる水分や揮発性溶剤類の蒸発に伴い、安定分散系が崩れて顔料の凝集が生じる場合もあり、凝集した顔料が記録媒体上に析出ことがあった。その結果、表面の平滑性が失われ、光沢性が低下したり、印刷画像が不均一となり、画像品質に劣ることがあった。
特開平10−219166号公報 特開平11−49998号公報
発明の概要
本発明者らは今般、特定のキナクリドン化合物からなる固溶体顔料と、特定鎖長を有するプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基との共重合体とを組み合わせることにより、種々の記録媒体を用いた場合であっても印字品質に優れ、とりわけ、光沢紙に対して光沢性を有する画像を実現できるとともに、吐出安定性、保存安定性、および目詰まり回復性に優れるインク組成物が実現できる、との知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
従って、本発明の目的は、種々の記録媒体を用いた場合であっても印字品質に優れ、とりわけ、光沢紙において光沢感のある画像を実現できるとともに、吐出安定性、保存安定性、および目詰まり回復性に優れるインク組成物を提供することにある。
そして、本発明によるインク組成物は、キナクリドン固溶体顔料と、下記式(I)
Figure 2006282802
(式中、Rは、炭素数7〜14のアルキル基を表し、POはプロピレンオキシ基を表し、EOはエチレンオキシ基を表し、mは1〜10の整数を表し、nは5〜20の整数を表し、Xは1〜3の整数を表す。)
で表される化合物と、水とを少なくとも含んでなり、
前記固溶体顔料が、無置換キナクリドン、3,10−ジクロロキナクリドン、2,9−ジメチルキナクリドン、および2,9−ジクロロキナクリドンからなる群から選択される2種以上のキナクリドン系化合物からなる固溶体顔料である。
本発明によれば、特定のキナクリドン化合物からなる固溶体顔料と、特定鎖長を有するプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基との共重合体とを組み合わせることにより、種々の記録媒体を用いた場合であっても印字品質に優れ、とりわけ、光沢紙に対して光沢性を有する画像を実現できるとともに、吐出安定性、保存安定性、および目詰まり回復性に優れるインク組成物が実現できる。
発明の具体的説明
本発明によるインク組成物は、特定のキナクリドン化合物からなる固溶体顔料と、特定鎖長を有するプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基との共重合化合物(以下、PO/EO共重合化合物ともいう)と、水とを少なくとも含んでなるものである。以下、インク組成物を構成する各成分について説明する。
キナクリドン固溶体顔料
本発明によるインク組成物に使用されるキナクリドン固溶体顔料は、無置換キナクリドン、3,10−ジクロロキナクリドン、2,9−ジメチルキナクリドン、および2,9−ジクロロキナクリドンからなる群から選択される2種以上のキナクリドン系化合物からなる固溶体顔料である。これら特定のキナクリドン化合物からなる固溶体顔料と、下記に説明する特定鎖長を有するプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基との共重合体とを組み合わせて使用することにより、種々の記録媒体を用いた場合であっても印字品質に優れ、とりわけ、光沢紙に対して光沢性を有する画像を実現できるとともに、吐出安定性、保存安定性、および目詰まり回復性に優れるインク組成物が実現できる。
上記キナクリドン化合物は、下記式(II):
Figure 2006282802
で表される無置換キナクリドン、3および10位を塩素で置換した3,10−ジクロロキナクリドン、2および9位をメチル基で置換した2,9−ジメチルキナクリドン、および2および9位を塩素で置換した2,9−ジクロロキナクリドンの四種類のキナクリドン化合物から、2種以上を組み合わせた固溶体顔料である。
上記の各キナクリドン化合物は、無置換キナクリドンがC.I.ピグメントバイオレッド19として、3,10−ジクロロキナクリドンがC.I.ピグメントレッド209として、2,9−ジメチルキナクリドンがC.I.ピグメントレッド122として、2,9−ジクロロキナクリドンがC.I.ピグメントレッド202として、市販されたものを用いてもよい。
2種以上のキナクリドン化合物の組み合わせは特に限定されるものではないが、本発明においては、無置換キナクリドンと3,10−ジクロロキナクリドンとの組み合わせ、無置換キナクリドンと2,9−ジメチルキナクリドンとの組み合わせ、または、無置換キナクリドンと2,9−ジクロロキナクリドンとの組み合わせからなる固溶体顔料であることが好ましい。これらの組み合わせからなる固溶体顔料と、以下に説明する、特定構造のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン化合物とを組み合わせて用いることにより、普通紙に対しする発色性がより向上する。
無置換キナクリドンと3,10−ジクロロキナクリドンとの固溶体顔料において好ましい混合比は、無置換キナクリドン:3,10−ジクロロキナクリドンが10:90〜90:10の範囲であり、さらに好ましくは15:85〜85:15の範囲である。また、無置換キナクリドン:2,9−ジメチルキナクリドンが10:90〜90:10の範囲であり、さらに好ましくは15:85〜85:15の範囲である。また、無置換キナクリドン:2,9−ジクロロキナクリドンが10:90〜90:10の範囲であり、さらに好ましくは15:85〜85:15の範囲である。
キナクリドン固溶体顔料の製造方法としては、特に限定されるものではなく、通常は公知の製造方法を用いることができる。具体的には、特開平11−49998号公報、特開2000−319534号公報、特開2003−253150号公報に開示されている方法が挙げられる。
本発明においては、キナクリドン固溶体顔料は、固溶体顔料の平均粒子径が10〜200nmの範囲であることが好ましい。より好ましくは、平均粒子径が50〜150nmである。平均粒子径が10nm未満になると耐候性が低下することがあり、200nmを超えると沈降して安定的に吐出しなくなる場合がある。
PO/EO共重合化合物
本発明によるインク組成物に用いられるPO/EO共重合化合物は、下記式(I)で表されるものである。
Figure 2006282802
(式中、Rは、炭素数7〜14のアルキル基を表し、POはプロピレンオキシ基を表し、EOはエチレンオキシ基を表し、mは1〜10の整数を表し、nは5〜20の整数を表し、X
は1〜3の整数を表す。)
上記式(I)において、EOはエチレンオキシすなわち−CHCHO−を表し、またPOはプロピレンオキシすなわち−CHCHCHO−または−CH(CH)CHO−を表す。このEOおよびPOは式(I)で表される化合物の分子中において(すなわち上記式(I)中の[ ]内において)、アルコール基にまずPOが付加され、次にEOが付加された構造のものが好ましい。
上記PO/EO共重合化合物は、アルキル鎖長が炭素数7〜14である。アルキル鎖がこの範囲のPO/EO共重合化合物と上記の顔料分散液とを組み合わせて用いることにより、記録媒体に光沢紙を用いた場合にあっても、光沢性に優れた印字部を有する画像が得られる。アルキル鎖は分岐していても直鎖であっても良く、炭素数は、9〜14がより好ましい。
また、上記式(I)の化合物におけるnおよびmは、n/m≧1.5を満足するものであることが好ましい。n/m、ずなわち、プロピレンオキシ基に対するエチレンオキシ基の割合を1.5以上とすることにより、より一層光沢性に優れた画像を実現できる。
インク組成部の粘度適性の観点から、上記式(I)の化合物の平均分子量は2,000以下であることが好ましい。なお、平均分子量は、日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量である。
上記式(I)で表されるPO/EO共重合化合物は、含有量がインク組成物全量に対して0.01〜5.0重量%であることが好ましい。0.01重量%以上であれば、光沢性に優れた画像を実現でき、また、5.0重量%以下であれば、インク組成物の粘度の調製を容易にすることができる。
上記式(I)の化合物は、対応する構造を有するアルコールまたは多価アルコールを出発原料として、アルカリ等の雰囲気下でエチレンオキシドやプロピレンオキシドを目標モル量付加することによって得ることができる。こうして得られた式(I)の化合物は、式(I)で表される化合物の2種以上の混合物であることが一般的である。
また、市販されているものも好適に使用できる。具体的には、青木油脂社製FINESURF 560、580、5010、9010、7045、7085、BLAUNON DAP-1008、ELP-0809B、ELP-1608B等が挙げられる。
水、その他の成分

本発明のインク組成物は、主溶媒として水を含んでなる。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより、インク組成物を長期保存する場合にカビまたはバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
pH調整剤
本発明によるインク組成物は、pH調整剤をさらに含んでなることが好ましい。pH調整剤の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミン類等が挙げられ、より好ましくはトリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
本発明にあっては、インク組成物のpHが8.0〜11であることが好ましい。このような範囲にインク組成物のpHを調整することにより、より優れた光沢感を実現できる。インク組成物を上記の範囲のpHにするには、上記のpH調整剤を用いることにより、好適に調整することができる。
水溶性有機溶媒
本発明のインク組成物は、水溶性有機溶媒をさらに含んでなることが好ましい。水溶性有機溶媒は、主として、インク組成物の浸透剤、保湿剤、粘性調整剤等として機能するものである。
水溶性有機溶媒の具体的な例としては、メタノール、エタノール、n−プロバノール、iso−プロバノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−プタノール、n−ペンタノール等の一価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル類が挙げることができる。
グリコールエーテルモノ−n−ブチルエーテル
本発明の好ましい態様によれば、例えばグリコールモノ−n−ブチルエーテルが特に好ましいものとして挙げられる。
このようなグリコールモノ−n−ブチルエーテルとしては、例えば、エチレングルコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、またはジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルから選ばれるものが好ましいものとして挙げられる。これらは単独または2種以上を混合しても良い。
水溶性有機溶媒の添加量は、好ましくは、インク全量に対して、0.25重量%以上15重量%以下であり、より好ましい上限値は10重量%であり、より好ましい下限値は0.5重量%である。
界面活性剤
本発明によるインク組成物は、界面活性剤を含んでなることが好ましい。界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤が挙げられ、発泡または起泡の発生が少ないインク組成物を得るという理由から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、ジメチルポリシロキサン等のシリコン系界面活性剤、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられ、特に、アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤はインク組成物に添加された場合、発泡性が少なく、また優れた消泡性機能を有するので好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤およびアセチレンアルコール系界面活性剤の具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどが挙げられるが、市販品で入手も可能で、例えば、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製のサーフィノール104、82、465、485、TGや日信化学社製のオルフィンSTG、オルフィンE1010、サーフィノール104PG50等が挙げられる。
界面活性剤の添加量は、好ましくは、インク組成物の全量に対して、0.05重量%以上3重量%以下であり、より好ましい上限値は2.0重量%であり、好ましい下限値は0.1重量%である。
1,2−アルカンジオール
本発明において、インク組成物は1,2−アルカンジオールをさらに含んでなることが好ましい。
このような1,2−アルカンジオールとしては、その炭素数が4〜10の1,2−アルカンジオールからなる群より選択されるものが好ましい。この場合、1,2−アルカンジオールは混合して添加してもよい。
本発明の好ましい態様において、1,2−アルカンジオールは、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、およびそれらの混合物からなる群より選択される。これらは、記録媒体への浸透性に優れている点でより好ましい。
本発明のより好ましい態様においては、前記1,2−アルカンジオールは、1,2−ヘキサンジオール、または1,2−ペンタンジオールであるのが好ましく、さらに好ましくは、1,2−ヘキサンジオールである。
1,2−アルカンジオールの添加量は、好ましくは、インク組成物の全量に対して、0.25重量%以上15重量%以下であり、より好ましい上限値は10重量%であり1,2−アルカンジオール、より好ましい下限値は0.5重量%である。
その他の成分
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は、インクジェット記録ヘッドのノズルの目詰まりを防止するためにポリオール類を含んでなることが好ましい。このようなポリオール類としては、水溶性のあるポリオール類が好ましく、その例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1、3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、チオジグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
また、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクラム類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類を用いることもできる。さらに、単糖類、二糖類、オリゴ糖類および多糖類として、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット) 、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどを添加することもできる。さらにこれらの糖類の誘導体も用いることができ、例えば、前記した糖類の還元糖、酸化糖、アミノ酸、チオ糖などが挙げられる。このうち特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。また、市販品である、林原生物化学研究所製のHS−500、HS−300等を入手して使用してもよい。これらは単独または2種以上を混合しても良い。
これらの目詰まり防止成分の添加量は、好ましくは、インク組成物の全量に対して、5重量%以上40重量%以下であり、より好ましい上限値は30重量%であり、より好ましい下限値は10重量%である。
また、これらの成分は、他のインク添加剤と合わせてインク粘度が25℃で25mPs以下になる添加量で加えることが好ましい。
本発明によるインク組成物は、必要に応じて、pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐または防カビ剤、キレート化剤等が添加されてよい。
pH緩衝剤の具体例としては、コリジン、イミダゾール、燐酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ほう酸等が挙げられる。
酸化防止剤または紫外線吸収剤の具体例としては、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類等、L−アスコルビン酸およびその塩等、チバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024等、あるいはランタニドの酸化物等が挙げられる。
防腐剤または防かび剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(Avecia社製のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が挙げられる。キレート剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)が挙げられる。
インク組成物の調製
本発明によるインク組成物は、上記した成分を、分散/混合機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミル等)に供給し、分散させることにより調製されてよい。本発明の好ましい態様によれば、上記した分散/混合機により得られたインク原液をメンブランフィルターやメッシュフィルター等のフィルターを用いて濾過し、粗大粒子を除去することが好ましい。
インクジェット記録方法および装置
本発明によるインク組成物が用いられるインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を加熱された記録媒体に付着させて印字を行うものである。インク組成物の液滴を吐出する方法の例としては、例えば電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換して、ノズルヘッド部分に貯えたインクを断続的に吐出して記録媒体表面に文字や記号を記録する方法、ノズルヘッド部分に貯えたインクを吐出部分に極めて近い箇所で急速に加熱し泡を発生させ、その泡による体積膨張で断続的に吐出することで記録媒体表面に文字や記号を記録する方法が挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物は、電歪素子を用いたインクジェット記録方法に好ましく用いられる。インク組成物の液滴を吐出は、圧電素子の力学的作用を利用してインク滴を吐出させる記録ヘッドにより行われることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の記録方法により記録された記録物も提供される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
1. 固溶体顔料の調整
固溶体顔料A
C.I.ピグメントバイオレッド19の粗顔料10部、塩化ナトリウム100部、高沸点脂環式炭化水素1部をボールミル中に充填し、10時間摩砕を行った。続いて常法に従って顔料化、濾過、洗浄等の後処理を行って、固形分、30重量%のプレスケーキを得た。
C.I.ピグメントレッド209の粗顔料10部、塩化ナトリウム100部、高沸点脂環式炭化水素1部をボールミル中に充填し、10時間摩砕を行った。続いて常法に従って顔料化、濾過、洗浄等の後処理を行って、固形分、30重量%のプレスケーキを得た。
次に、C.I.ピグメントバイオレッド19のプレスケーキの固形分2部とC.I.ピグメントレッド209のプレスケーキの固形分8部とを加えて摩砕し、固溶体顔料を、有機溶剤処理による顔料化を行い、続いて濾過、洗浄後、乾燥、粉砕してC.I.ピグメントバイオレッド19/C.I.ピグメントレッド209の固溶体顔料(2/8:重量比)を得た。色相はマゼンタ色を示した。製造された固溶体顔料の平均粒子径は200nm以下であった。
固溶体顔料B
C.I.ピグメントバイオレッド19の粗顔料10部、塩化ナトリウム100部、高沸点脂環式炭化水素1部をボールミル中に充填し、10時間摩砕を行った。続いて常法に従って顔料化、濾過、洗浄等の後処理を行って、固形分、30重量%のプレスケーキを得た。
C.I.ピグメントレッド122の粗顔料10部、塩化ナトリウム100部、高沸点脂環式炭化水素1部をボールミル中に充填し、10時間摩砕を行った。続いて常法に従って顔料化、濾過、洗浄等の後処理を行って、固形分、30重量%のプレスケーキを得た。
次に、C.I.ピグメントバイオレッド19のプレスケーキの固形分2部とC.I.ピグメントレッド122のプレスケーキの固形分8部とを加えて摩砕し、固溶体顔料を、有機溶剤処理による顔料化を行い、続いて濾過、洗浄後、乾燥、粉砕してC.I.ピグメントバイオレッド19/C.I.ピグメントレッド122の固溶体顔料(2/8:重量比)を得た。色相はマゼンタ色を示した。製造された固溶体顔料の平均粒子径は200nm以下であった。
固溶体顔料C
C.I.ピグメントバイオレッド19の粗顔料10部、塩化ナトリウム100部、高沸点脂環式炭化水素1部をボールミル中に充填し、10時間摩砕を行った。続いて常法に従って顔料化、濾過、洗浄等の後処理を行って、固形分、30重量%のプレスケーキを得た。
C.I.ピグメントレッド202の粗顔料10部、塩化ナトリウム100部、高沸点脂環式炭化水素1部をボールミル中に充填し、10時間摩砕を行った。続いて常法に従って顔料化、濾過、洗浄等の後処理を行って、固形分、30重量%のプレスケーキを得た。
次に、C.I.ピグメントバイオレッド19のプレスケーキの固形分2部とC.I.ピグメントレッド202のプレスケーキの固形分8部とを加えて摩砕し、固溶体顔料を、有機溶剤処理による顔料化を行い、続いて濾過、洗浄後、乾燥、粉砕してC.I.ピグメントバイオレッド19/C.I.ピグメントレッド202の固溶体顔料(2/8:重量比)を得た。色相はマゼンタ色を示した。製造された固溶体顔料の平均粒子径は200nm以下であった。
2.顔料分散液の調製
スチレン20部、2−エチルヘキシルメタクリレート5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、メタクリル酸2部、t−ドデシルメチルカプタン0.3部を窒素置換した反応容器に投入して70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部、およびアゾビスイソブチロニトリル1部の混合液を滴下ロートを用いて、4時間かけて反応容器に滴下して、重合反応を行った。次いで、反応容器にメチルエチルケトンを添加して分散ポリマー溶液を作製した。
上記分散ポリマー溶液40部、固溶体顔料A6.4部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、およびメチルエチルケトン30部を混合して、ホモジナイザーで30分間攪拌を行い、その後イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌を行った。次いで、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を除去し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムを滴下してpHが9になるように中和し、0.3μmのメンブランフィルター(日本ミリポア・リミテッド社製)で濾過することにより、固形分、(分散ポリマーと固溶体顔料の和)10重量%を作製した。
上記分散ポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー6.6重量部をメチルエチルケトン45.0重量部に溶かし、その中に中和剤(20%水酸化ナトリウム水溶液)を所定量加えて塩生成基を100%中和し、更に固溶体顔料A20.0重量部を加え、ビーズミルで2時間混練した。
得られた混練物に、イオン交換水120重量部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、固形分濃度が20重量%の顔料分散液Aを得た。ポリマー粒子の平均粒径は、コールターカウンターN4(コールター社製、商品名)を用いて測定した結果、100nmであった。
また、固溶体顔料Aに代えて、固溶体顔料Bおよび固溶体顔料Cを用いた以外は上記と同様にして、固形分濃度が20重量%の顔料分散液Bと顔料分散液Cを作製した。
3.PO/EO共重合化合物の準備
式(I)で表されるPO/EO共重合化合物として、FINESURF(青木油脂社製)を用いた。実施例として用いた各FINESURFについて、アルキル鎖長、およびEO/POモル比、および分子量を下記表1に示す。また、比較例として、上式(I)で表されるRが炭素数C4であり、mが6、nが4の下記式(III):
Figure 2006282802
で表されるPO/EO共重合化合物を用いた(比較例4〜6)。
Figure 2006282802
2.インク組成物の調製
下記表2に示した組成に従い、上記の顔料分散液と、PO/EO共重合化合物、溶剤類および超純水とを混合して、2時間攪拌した。続いて、孔経約8μmのメンブランフィルター(商品名)(日本ミリポア・リミテッド社製)を用いて濾過して、カラーインクを調製した。表2中、各組成物の添加量は重量%である。また、各インク組成物のpHの値を測定した。pHの測定結果は表2に示されるとおりであった。
Figure 2006282802
4.インク組成物の評価
光沢性評価試験
インクジェットプリンター〔EM−930C(セイコーエプソン社製)〕で1440dpiの解像度でベタ印字の印刷を行った。記録媒体として、EPSON写真用紙<光沢>を用いた。印刷後、記録物を24℃の環境で24時間放置した後、光沢計GM−268(コニカミノルタ社製)を用いてベタ部分の20°光沢を測定した。測定した結果を以下の基準に基づいて評価を行った。
A:20°光沢が60以上である場合
B:20°光沢が50以上60未満である場合
C:20°光沢が50未満である場合
吐出安定性試験
調製した各インク組成物を用いて、常温にてインクジェットプリンター〔EM−930C(セイコーエプソン社製)〕でベタ及び線のパターンを連続印字した。印刷100ページ内でのインクのドット抜けや飛行曲がりの際に正常印刷への復帰動作として行うプリンターノズルのクリーニングの回数を測定し、以下の基準に基づき評価を行った。
A:クリーニング0回
B:クリーニング1又は2回
C:クリーニング3回以上
保存安定性試験
アルミパックにインク組成物50gを入れた状態で70℃の環境下に1週間放置した。放置後、異物(沈降物)の発生の有無を確認した。また、異物の発生がないものについては、更に物性(粘度、表面張力、pH、樹脂粒子の粒子径)の変化を確認した。以下の基準に基づき評価を行った。
A:異物の発生がなく、物性の変化もない。
B:異物の発生はないが、物性が若干変化する。
C:異物が発生するか、物性が著しく変化する。
目詰まり回復性試験
インクジェットプリンター〔EM−930C(セイコーエプソン社製)〕を用いて、各インクをヘッドに充填し、全ノズルよりインク組成物が吐出していることを確認した後、インクカートリッジがない状態で、かつホームポジション外の位置(ヘッドがプリンタに備えたキャップの位置からずれており、ヘッドにキャップがされていない状態)で40℃の環境下に1週間放置した。放置後に、再び全ノズルよりインク組成物が吐出するまでに要したクリーニングの回数を調べた。
以下の基準に基づき評価を行った。
A:クリーニング1回。
B:クリーニング2〜5回。
C:クリーニング6回以上。
以上の結果は、下記表3に示される通りであった。
Figure 2006282802

Claims (12)

  1. キナクリドン固溶体顔料と、下記式(I)
    Figure 2006282802
    (式中、Rは、炭素数7〜14のアルキル基を表し、POはプロピレンオキシ基を表し、EOはエチレンオキシ基を表し、mは1〜10の整数を表し、nは5〜20の整数を表し、Xは1〜3の整数を表す。)
    で表される化合物と、水とを少なくとも含んでなり、
    前記固溶体顔料が、無置換キナクリドン、3,10−ジクロロキナクリドン、2,9−ジメチルキナクリドン、および2,9−ジクロロキナクリドンからなる群から選択される2種以上のキナクリドン系化合物からなる固溶体顔料である、インク組成物。
  2. 前記固溶体顔料の平均粒子径が10〜200nmの範囲である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記式(I)の化合物におけるnおよびmが、n/m≧1.5を満足する、請求項1または2に記載のインク組成物。
  4. 前記式(I)の化合物の平均分子量が、2000以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. 前記式(I)化合物が、インク組成物全量に対して0.01〜5.0重量%含まれてなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  6. pHが、8.0〜11.0の範囲である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
  7. アルカリ金属の水酸化物、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるpH調整剤をさらに含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物。
  8. 水溶性有機溶媒および/または界面活性剤をさらに含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物。
  9. 前記界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤である、請求項8に記載のインク組成物。
  10. 前記水溶性有機溶媒が、多価アルコール、グリコール系ブチルエーテル、ピロリドン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものである、請求項8または9に記載のインク組成物。
  11. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として請求項1〜10のいずれか一項に記載のインク組成物を用いる、インクジェット記録方法。
  12. 請求項11に記載のインクジェット記録方法によって記録が行われた、記録物。
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