JP2006273241A - 非導性船質の船舶の消磁装置および非導性船質の船舶 - Google Patents
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Abstract
【課題】 磁界のY軸成分を主とする漂流磁界の発生を阻止若しくは発生量を最小にすることが可能な、非導性船質の船舶に好適な消磁装置、および該消磁装置が設置された非導性船質の船舶を提供することを目的とする。
【解決手段】 消磁装置1a、1b・・・は、船体10の水中部分に設置された犠牲陽極材2a、2b・・・と、導電体の水中に露出する部分、たとえば、舵軸管22、プロペラ軸管32を支持するV型軸ブラケット33・・・と犠牲陽極材2a、2b・・・とを短絡する短絡線3a、3b・・・とを有する。また、短絡線3a、3b・・・は船体10の長手方向に対して略垂直方向または傾斜した方向に敷設されたり、犠牲陽極材とプロペラ軸の船体10の内部にある部分とを短絡してプロペラ軸と略平行に敷設されたりする。また、複数の導電体同士あるいは複数の犠牲陽極同士が相互に絶縁される。
【選択図】 図1
【解決手段】 消磁装置1a、1b・・・は、船体10の水中部分に設置された犠牲陽極材2a、2b・・・と、導電体の水中に露出する部分、たとえば、舵軸管22、プロペラ軸管32を支持するV型軸ブラケット33・・・と犠牲陽極材2a、2b・・・とを短絡する短絡線3a、3b・・・とを有する。また、短絡線3a、3b・・・は船体10の長手方向に対して略垂直方向または傾斜した方向に敷設されたり、犠牲陽極材とプロペラ軸の船体10の内部にある部分とを短絡してプロペラ軸と略平行に敷設されたりする。また、複数の導電体同士あるいは複数の犠牲陽極同士が相互に絶縁される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、船舶および船舶の消磁装置、特に、非導性船質の船舶および非導性船質の船舶に好適な消磁装置に関する。
船舶、特に非導性船質(非磁性)の船舶において、該船舶の周囲に形成される磁界が問題視され、消磁技術が開示されている。一般に、船舶の周囲に形成される磁気を、その発生原因から整理して、その消磁技術を簡単に説明すると、
(i)誘導磁気:地磁気によって誘起される磁気であって、地磁気の大きさや船体の方位等を常時検出して実施する追従制御、
(ii)永久磁気:船体の磁性材に着磁した磁気であって、航行中の振動や波浪による応力により着磁する磁気をいい、船体磁気を測定してこれを補正(キャリブレーション)をする際に手動設定することで実施する固定制御、
(iii)渦電流磁界:船体内の導電体が地磁気を切るときに生じる渦電流に起因する磁界であって、地磁気の大きさや船体の動揺を常時検出して実施する追従制御、
に大別されていた。
(i)誘導磁気:地磁気によって誘起される磁気であって、地磁気の大きさや船体の方位等を常時検出して実施する追従制御、
(ii)永久磁気:船体の磁性材に着磁した磁気であって、航行中の振動や波浪による応力により着磁する磁気をいい、船体磁気を測定してこれを補正(キャリブレーション)をする際に手動設定することで実施する固定制御、
(iii)渦電流磁界:船体内の導電体が地磁気を切るときに生じる渦電流に起因する磁界であって、地磁気の大きさや船体の動揺を常時検出して実施する追従制御、
に大別されていた。
また、船舶の周囲に形成される磁気(以下「周囲磁界」と称する場合がある)は、船体の長手方向(船首方向に同じ)のX軸成分、船体の幅方向(側舷方向に同じ)のY軸成分、船体の垂直方向(船底方向に同じ)のZ軸成分に、分けて捉えることができる(各成分が集合したものとして捉えることができるに同じ)。
従来、周辺磁界のX軸成分を消磁するためには、船倉の隔壁に平行する面内で閉回路を形成する消磁コイル(Lコイル)を設置して、これにX軸成分を補償中和するだけの磁界を形成する電流を流していた。同様に、Y軸成分に対しては、側舷に平行する面内で閉回路を形成する消磁コイル(ASコイル)を設置し、Z軸成分に対しては、船底に平行する面内で閉回路を形成する消磁コイル(Mコイル)を設置し、これらにそれぞれX軸成分およびY軸成分を補償中和するだけの磁界を形成する電流を流していた。
従来、周辺磁界のX軸成分を消磁するためには、船倉の隔壁に平行する面内で閉回路を形成する消磁コイル(Lコイル)を設置して、これにX軸成分を補償中和するだけの磁界を形成する電流を流していた。同様に、Y軸成分に対しては、側舷に平行する面内で閉回路を形成する消磁コイル(ASコイル)を設置し、Z軸成分に対しては、船底に平行する面内で閉回路を形成する消磁コイル(Mコイル)を設置し、これらにそれぞれX軸成分およびY軸成分を補償中和するだけの磁界を形成する電流を流していた。
しかしながら、前記ASコイルによっても、周囲磁界のY軸成分が十分に消磁されないことから、発明者等はその理由を鋭意調査し、Y軸成分が主に漂流磁界によるものであることを見出している。なお、漂流磁界とは、搭載電気機器に流れる直流電流によって発生する磁界であって、船体外部に設置された接地銅板、犠牲陽極(防食亜鉛等)、プロペラ等が、海水を介して形成する閉回路(ループ)を形成し、該ループを流れる電流に起因する磁界を指している。そして、漂流磁界に着目した消磁技術が開示されている(例えば、例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1に開示された消磁技術は、船体に搭載された電気機器に接続され、船体の水中部分に設置された電極(陰極)と、船体の水中部分に設置された電極(犠牲陽極)との間で水中に流す電流を制御して、船舶の水中電流を一定に保ち、過大な水中電流が流れることを防止し、結果として過大な水中電界および水中電界による水中磁界の発生を防ぐものである。このとき、水中電界磁界が水中から空中にも連続して広がっていることから、空中に磁気センサーを設置して水中電流を制御しているものの、測定誤差によって水中電流が変動して、十分な消磁効果が得られないという問題があった。
また、特許文献2に開示された消磁技術は、船底下に取り付けられた亜鉛板(犠牲陽極に同じ)に接続された接地線と海水とによって形成されたループに流れる防食電流を、直接検出して、その検出値によって船体の外部に表れる磁界を演算して、その演算量に応じて消磁コイルに電流を流すものである。ところが、実際に形成される周囲磁界は、必ずしも単純な分布(方向や強さ等)ではないため、演算量に基づいて消磁コイルが形成する磁界では、これを十分に中和相殺することができないという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、漂流磁界の発生を阻止若しくは発生量を最小にすることが可能な、非導性船質の船舶および非導性船質の船舶に好適な消磁装置を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る非導性船質の船舶の消磁装置は、水中に露出する導電体を装備する非導性船質の船舶に設置されるものであって、
船体の水中部分に設置された犠牲陽極材と、前記導電体の水中に露出する部分と前記犠牲陽極材とを短絡する短絡線とを有することを特徴とする。
船体の水中部分に設置された犠牲陽極材と、前記導電体の水中に露出する部分と前記犠牲陽極材とを短絡する短絡線とを有することを特徴とする。
(2)また、前記短絡線が、前記船体の長手方向に対して略垂直方向または傾斜した方向に敷設されてなることを特徴とする。
(3)また、水中に露出する導電体を装備する非導性船質の船舶に設置されるものであって、
船体の水中部分に設置された犠牲陽極材と、前記導電体の船体の内部にある部分と前記犠牲陽極材とを短絡し、前記導電体と略平行に配置された短絡線とを有することを特徴とする。
船体の水中部分に設置された犠牲陽極材と、前記導電体の船体の内部にある部分と前記犠牲陽極材とを短絡し、前記導電体と略平行に配置された短絡線とを有することを特徴とする。
(4)さらに、本発明に係る非導性船質の船舶は、水中に露出する導電体と、船体の水中部分に設置された犠牲陽極材と、前記導電体の水中に露出する部分と前記犠牲陽極材とを短絡する短絡線と、を有することを特徴とする。
(5)また、前記短絡線が、前記船体の長手方向に対して略垂直方向または傾斜した方向に敷設されてなることを特徴とする。
(6)また、水中に露出する導電体と、船体の水中部分に設置された犠牲陽極材と、前記導電体の船体の内部にある部分と前記犠牲陽極材とを短絡し、前記導電体と略平行に配置された短絡線と、を有することを特徴とする。
(7)また、前記導電体が複数であって、該導電体のうちの一方の導電体と該導電体のうちの他方の導電体とが絶縁されてなることを特徴とする。
(1)したがって、本発明に係る非導性船質の船舶の消磁装置は、導電体の水中に露出する部分と犠牲陽極材とが水中において短絡線によって短絡しているから、短絡線と海水(または淡水)とによって形成される水中電流のループは短絡線の近傍に限定される。このため、防食電流に起因する磁界の発生範囲は限定され、漂流磁界の発生を最小限に抑えることができる。また、特別の制御手段を必要とせず、さらに、犠牲陽極材を導電体の水中に露出する部分に近接して配置することができるから、装置を簡素かつ小型にすることができる。なお、本発明において「短絡」とは「2物体同士が、通電可能な状態に接続された状態、あるいは接続すること」をいう。
(2)また、短絡線が船体の長手方向に対して非平行であるから、防食電流に起因する磁界のY軸成分を消失または最小限に抑えることができるから、漂流磁界をさらに小さくすることができる。
(3)また、短絡線が、犠牲陽極材と導電体の船体の内部にある部分とを短絡し、導電体と略平行に配置されるため、短絡線を流れる電流と導電体を流れる電流とは対向(略平行で互いに反対方向)し、それぞれが形成する磁界は互いに中和相殺されることになる。
特に、導電体がプロペラ軸である場合、プロペラ軸が船体の長手方向に平行であって長尺であるため、これを流れる電流に起因する磁界は、主にY軸成分であって広い範囲に形成されるものであるところ、かかる短絡線によって、これによる漂流磁界を抑えることができる。
特に、導電体がプロペラ軸である場合、プロペラ軸が船体の長手方向に平行であって長尺であるため、これを流れる電流に起因する磁界は、主にY軸成分であって広い範囲に形成されるものであるところ、かかる短絡線によって、これによる漂流磁界を抑えることができる。
(4)さらに、本発明に係る非導性船質の船舶は、本発明に係る非導性船質の船舶の消磁装置が設置されたものであるから、該装置の防錆効果によって導電体が防錆されると共に、漂流磁界の発生が防止ないしその磁界の強さが最小に抑えられる。
(5)さらに、複数の導電体同士がそれぞれ絶縁され、各導電体は犠牲陽極材に短絡しているから、複数の導電体同士を結ぶ長い距離の電流ループが形成されることがない。このため、防食電流に起因する磁界の発生範囲は限定され、漂流磁界の発生が防止ないしその磁界の強さが最小に抑えられる。また、各導電体とこれに短絡する犠牲陽極材とによって短い電流ループが、複数箇所に形成されるから、短い電流ループを流れる防食電流によって形成される磁界が、相互に干渉して中和相殺されることによっても、漂流磁界の発生が防止ないしその磁界の強さが最小に抑えられる。
以下、実施形態1として本発明の実施形態に係る非導性船質の船舶の消磁装置を、実施形態2として非導性船質の船舶を説明する。なお、以下の図において、共通する内容の部分についてはそれぞれ符号の数字を同じにし、一部の説明を省略する。なお、非導性船質の船舶の消磁装置を「消磁装置」と称している。
[実施形態1]
(非導性船質の船舶の消磁装置)
図1および図2は、本発明の実施形態1に係る非導性船質の船舶の消磁装置を模式的に示すものであって、図1の(a)は船尾部の側面図、図1の(b)は船首部の側面図、図2は船尻部の側面視の断面図である。
(非導性船質の船舶の消磁装置)
図1および図2は、本発明の実施形態1に係る非導性船質の船舶の消磁装置を模式的に示すものであって、図1の(a)は船尾部の側面図、図1の(b)は船首部の側面図、図2は船尻部の側面視の断面図である。
図1の(a)において、船体10の外側に犠牲陽極2aが設置され、舵板20に接合された図示しない舵軸を収納する舵軸管22と犠牲陽極2aとが、短絡線3aによって短絡されている。すなわち、消磁装置1aは、犠牲陽極2aと短絡線3aとによって形成されている。犠牲陽極2aは、たとえば、亜鉛(Zn)板がボルト等によって船体に固定されたものである。また、短絡線3aは導電性を有する線材または短冊状板材等であって、その端部が、それぞれ舵軸管22と犠牲陽極2aとに冶金的(たとえば、ロウ付け)または機械的手段(たとえば、ボルト固定)によって接続されている。
このとき、犠牲陽極2aは舵軸管22の近くに設置されているから、短絡線3aは短く、また、船体の長手方向に対して非平行である(大きく傾斜している)。このため、短絡線3aとその周辺の海水(または淡水)によって電流回路が形成され、防食電流が流れた場合であっても、これによって発生する磁界は狭い範囲に限られ、かつ、磁界のY軸方向成分の強さは小さなものになる。
すなわち、消磁装置1aは、船体周囲の磁界を検知する検知手段や、該検知結果に基づいて船体周囲の磁界をアクティブに制御する制御手段等が必要でなく、簡素かつ小型の装置でありながら、前記漂流磁界の発生を防止、または発生してもその磁界の強さを最小に抑えること、並びに、舵板20および舵軸管22の防食を図ることができるものである。
なお、本発明は、犠牲陽極2aの数量、大きさ、形状等を限定するものではなく、1本の舵軸管22に対して複数の犠牲陽極2aを連結してもよい。また、船体10は、木製ないし樹脂製であって、電気伝導性や磁気透過性が劣る材質によって建造された、いわゆる「非導性船質」である。
なお、本発明は、犠牲陽極2aの数量、大きさ、形状等を限定するものではなく、1本の舵軸管22に対して複数の犠牲陽極2aを連結してもよい。また、船体10は、木製ないし樹脂製であって、電気伝導性や磁気透過性が劣る材質によって建造された、いわゆる「非導性船質」である。
また、プロペラ30に接合された図示しないプロペラ軸は、プロペラ軸管32内に収容され、プロペラ軸管32は船尾寄り(図中、左側)から、V型軸ブラケット33と、I型軸ブラケット34と、船尾軸ブラケット35とによって支持されている。
そして、船体10の外側に設置された犠牲陽極2bと、犠牲陽極2bとV型軸ブラケット33とを短絡する短絡線3aとによって消磁装置1bが構成されている。また、船体10の外側に設置された犠牲陽極2cと、犠牲陽極2cとI型軸ブラケット34とを短絡する短絡線3cとによって消磁装置1cが構成されている。このとき、短絡線3bおよび短絡線3cはいずれも、船体の長手方向に対して垂直方向に配置されているから、短絡線3bおよび短絡線3cとその周囲の海水(または淡水)との間で電流回路が形成され、これに防食電流が流れた場合であっても、これによって発生する磁界は狭い範囲に限られ、かつ、これを流れる防食電流によってY軸方向の磁界が発生することがない。
さらに、船体10の外側に設置された犠牲陽極2dと、犠牲陽極2dと船尾軸ブラケット35とを短絡する短絡線3dとを有する消磁装置1dが設置されている。
そして、船体10の外側に設置された犠牲陽極2bと、犠牲陽極2bとV型軸ブラケット33とを短絡する短絡線3aとによって消磁装置1bが構成されている。また、船体10の外側に設置された犠牲陽極2cと、犠牲陽極2cとI型軸ブラケット34とを短絡する短絡線3cとによって消磁装置1cが構成されている。このとき、短絡線3bおよび短絡線3cはいずれも、船体の長手方向に対して垂直方向に配置されているから、短絡線3bおよび短絡線3cとその周囲の海水(または淡水)との間で電流回路が形成され、これに防食電流が流れた場合であっても、これによって発生する磁界は狭い範囲に限られ、かつ、これを流れる防食電流によってY軸方向の磁界が発生することがない。
さらに、船体10の外側に設置された犠牲陽極2dと、犠牲陽極2dと船尾軸ブラケット35とを短絡する短絡線3dとを有する消磁装置1dが設置されている。
図1の(b)において、船体10内部に図示しないバウスラスタが設置され、船底(底面に同じ)11に、海水または淡水を吸い込むためバウスラスタ吸い込み口41が設けられ、舷(側面に同じ)12には海水または淡水を吹き出すためのバウスラスタ吹き出し口51が設けられている。
バウスラスタ吸い込み口41は図示しない吸い込み鋼管によって形成され、該吸い込み鋼管の端部に固定された吸い込み口フランジ42が底面11に設置されている。同様に、バウスラスタ吹き出し口51は図示しない吹き出し鋼管によって形成され、該吹き出し鋼管の端部に固定された吹き出し口フランジ52が舷12に設置されている。
バウスラスタ吸い込み口41は図示しない吸い込み鋼管によって形成され、該吸い込み鋼管の端部に固定された吸い込み口フランジ42が底面11に設置されている。同様に、バウスラスタ吹き出し口51は図示しない吹き出し鋼管によって形成され、該吹き出し鋼管の端部に固定された吹き出し口フランジ52が舷12に設置されている。
そして、船体10の外側に設置された犠牲陽極2eと、犠牲陽極2eと吸い込み口フランジ42とを短絡する短絡線3eとによって消磁装置1eが構成されている。また、船体10の外側に設置された犠牲陽極2fと、犠牲陽極2fと吹き出し口フランジ52とを短絡する短絡線3fとによって消磁装置1fが構成されている。
このとき、短絡線3eと短絡線3fとはいずれも、船体の長手方向に対して垂直方向に配置されているから、前述のように、短絡線3e、3fの周囲にY軸方向の磁界が発生することがなく、同時にバウスラスタ本体、吸い込み鋼管(図示しない)や吸い込み口フランジ42、および、吹き出し口鋼管(図示しない)や吹き出し口フランジ52の防食が図られている。
このとき、短絡線3eと短絡線3fとはいずれも、船体の長手方向に対して垂直方向に配置されているから、前述のように、短絡線3e、3fの周囲にY軸方向の磁界が発生することがなく、同時にバウスラスタ本体、吸い込み鋼管(図示しない)や吸い込み口フランジ42、および、吹き出し口鋼管(図示しない)や吹き出し口フランジ52の防食が図られている。
さらに、短絡線3eと短絡線3fとが、比較的近い位置で略平行に配置され、犠牲陽極2eが吸い込み口フランジ42よりもデッキ13に近い位置に、犠牲陽極2fが吹き出し口フランジ52よりも船底11に近い位置に設置されたいるから、短絡線3eを含む電気回路に流れる防食電流に起因する磁界と短絡線3fと含む電気回路に流れる防食電流に起因する磁界とは、反対方向になるため、相互に中和相殺されることになる。よって、Z軸方向の磁界についても低減ないし消滅させる効果が得られる。
なお、図1の(b)では、消磁装置1e、1fが船首部におけるバウスラスタに設置されたものを例示しているが、本発明の消磁装置は、船尾部におけるスタースラスタに設置することができるものである。さらに、船体の外側に露出する部分を有する装置(本発明において「導電体」と総称している)、たとえば、冷却用の海水(または淡水)を吸い込む吸い込み口等にも、同様に設置されるものである。
なお、図1の(b)では、消磁装置1e、1fが船首部におけるバウスラスタに設置されたものを例示しているが、本発明の消磁装置は、船尾部におけるスタースラスタに設置することができるものである。さらに、船体の外側に露出する部分を有する装置(本発明において「導電体」と総称している)、たとえば、冷却用の海水(または淡水)を吸い込む吸い込み口等にも、同様に設置されるものである。
図2において、プロペラ30に接合されたプロペラ軸31は、これを回転する推進手段40(推進電動機、主機、あるいは減速機をまとめて「推進手段」と称している)に接続され、船体10の内部において、プロペラ軸31には軸接地装置4g(たとえば、スリップリング)が設置されている。また、船体10の外側で、舵板20の近くに犠牲陽極2gが設置されている。そして、犠牲陽極2gと軸接地装置4gとが短絡線3gによって短絡され、犠牲陽極2gと短絡線3gと軸接地装置4gとによって消磁装置1gが構成されている。
このとき、犠牲陽極2gと、短絡線3gと、軸接地装置4gと、プロペラ軸31と、舵板20および犠牲陽極2gの近くにある海水(または淡水)と、によって電流回路が形成され、これに防錆電流が流れた場合、短絡線3gを流れる電流とプロペラ軸31を流れる電流とは、略平行で互いに反対であって、他の部位への電流の散逸や他の部位からの電流の流入がない限り、同じ大きさである。
したがって、短絡線3gを流れる電流に起因する磁界とプロペラ軸31を流れる電流に起因する磁界とは、互いに反対方向であってその強さは同じであるから、相互に中和相殺されることになる。よって、船体の長手方向に平行で、しかも、電流が流れる比較的長い直線距離があるにもかかわらず、Y軸成分を主とする漂流磁界が表れることはほとんどなく、漂流磁界が表れたとしても、その強さは小さな値に抑えられることになる。
なお、犠牲陽極2gの設置に替えて、短絡線3gを消磁装置1aの犠牲陽極2a(図1の(a)参照)に接続して、消磁装置1gを構成してもよい。
したがって、短絡線3gを流れる電流に起因する磁界とプロペラ軸31を流れる電流に起因する磁界とは、互いに反対方向であってその強さは同じであるから、相互に中和相殺されることになる。よって、船体の長手方向に平行で、しかも、電流が流れる比較的長い直線距離があるにもかかわらず、Y軸成分を主とする漂流磁界が表れることはほとんどなく、漂流磁界が表れたとしても、その強さは小さな値に抑えられることになる。
なお、犠牲陽極2gの設置に替えて、短絡線3gを消磁装置1aの犠牲陽極2a(図1の(a)参照)に接続して、消磁装置1gを構成してもよい。
[実施形態2]
(非導性船質の船舶)
図3は、本発明の実施形態2に係る非導性船質の船舶を模式的に示すものであって、(a)は側面図、(b)は側面視の断面図である。
図3において、非導性船質の船舶100には、消磁装置1a、1b、1d、1e、1f、1g(以下まとめて「消磁装置1」と称す)が設置されている。したがって、消磁装置1が前述の作用効果を奏するものであるから、非導性船質の船舶100の周囲に、漂流磁界が表れることはほとんどなく、漂流磁界が表れたとしても、その強さは小さな値に抑えられている。
(非導性船質の船舶)
図3は、本発明の実施形態2に係る非導性船質の船舶を模式的に示すものであって、(a)は側面図、(b)は側面視の断面図である。
図3において、非導性船質の船舶100には、消磁装置1a、1b、1d、1e、1f、1g(以下まとめて「消磁装置1」と称す)が設置されている。したがって、消磁装置1が前述の作用効果を奏するものであるから、非導性船質の船舶100の周囲に、漂流磁界が表れることはほとんどなく、漂流磁界が表れたとしても、その強さは小さな値に抑えられている。
図3の(b)において、主接地線60に対して、推進手段40や犠牲陽極2a、2b、2d、2e、2f、2gとは、絶縁されている。すなわち、図中、二点鎖線によって示すような支接地線がない。
したがって、船体の長い距離にわたる電気回路、すなわち、主接地線60および海水(または淡水)を経由した電気回路が形成されることがないため、主接地線60に電流が流れても、Y軸成分と主とする漂流磁界の発生は防止されている。
したがって、船体の長い距離にわたる電気回路、すなわち、主接地線60および海水(または淡水)を経由した電気回路が形成されることがないため、主接地線60に電流が流れても、Y軸成分と主とする漂流磁界の発生は防止されている。
以上より、非導性船質の船舶100では、導電体の防食が図られると共に、導電体の防食電流に起因する漂流磁界の発生と、主接地線60を流れる電流に起因する漂流磁界の発生とが、防止、若しくは最小に抑えられている。さらに、消磁装置1が簡素かつ小型であるから、船体抵抗の増加が最小に抑えられると共に、漂流磁界対策として特別の磁界検知手段や特別のアクティブ制御手段を装備する必要がない。
なお、非導性船質の船舶100に設置される消磁装置1は図示するものに限定するものではなく、たとえば、船体の外側に露出する導電体(たとえば、海水(または淡水)の吸い込み口等)に設置されてもよい。また、船体10は、いわゆる「非導性船質」であって、電導性や透磁性が劣る材質によって建造されたものであるが、その材質や建造方法を限定するものはない。
なお、非導性船質の船舶100に設置される消磁装置1は図示するものに限定するものではなく、たとえば、船体の外側に露出する導電体(たとえば、海水(または淡水)の吸い込み口等)に設置されてもよい。また、船体10は、いわゆる「非導性船質」であって、電導性や透磁性が劣る材質によって建造されたものであるが、その材質や建造方法を限定するものはない。
本発明は以上の構成であるから、非導性船質の船舶における消磁装置、および、消磁機能を具備する非導性船質の船舶として広く利用することができる。
1 消磁装置
2 犠牲陽極
3 短絡線
4g 軸接地装置
10 船体
11 船底
12 舷
13 デッキ
20 舵板
22 舵軸管
30 プロペラ
31 プロペラ軸
32 プロペラ軸管
33 V型軸ブラケット
34 I型軸ブラケット
35 船尾軸ブラケット
40 推進手段
41 吸い込み口
42 吸い込み口フランジ
51 吹き出し口
52 吹き出し口フランジ
60 主接地線
100 船舶
2 犠牲陽極
3 短絡線
4g 軸接地装置
10 船体
11 船底
12 舷
13 デッキ
20 舵板
22 舵軸管
30 プロペラ
31 プロペラ軸
32 プロペラ軸管
33 V型軸ブラケット
34 I型軸ブラケット
35 船尾軸ブラケット
40 推進手段
41 吸い込み口
42 吸い込み口フランジ
51 吹き出し口
52 吹き出し口フランジ
60 主接地線
100 船舶
Claims (7)
- 水中に露出する導電体を装備する非導性船質の船舶に設置される非導性船質の船舶の消磁装置であって、
船体の水中部分に設置された犠牲陽極材と、前記導電体の水中に露出する部分と前記犠牲陽極材とを短絡する短絡線とを有することを特徴とする非導性船質の船舶の消磁装置。 - 前記短絡線が、前記船体の長手方向に対して略垂直方向または傾斜した方向に敷設されてなることを特徴とする請求項1記載の非導性船質の船舶の消磁装置。
- 水中に露出する導電体を装備する非導性船質の船舶に設置される非導性船質の船舶の消磁装置であって、
船体の水中部分に設置された犠牲陽極材と、前記導電体の船体の内部にある部分と前記犠牲陽極材とを短絡し、前記導電体と略平行に配置された短絡線とを有することを特徴とする非導性船質の船舶の消磁装置。 - 水中に露出する導電体と、船体の水中部分に設置された犠牲陽極材と、前記導電体の水中に露出する部分と前記犠牲陽極材とを短絡する短絡線と、を有することを特徴とする非導性船質の船舶。
- 前記短絡線が、前記船体の長手方向に対して略垂直方向または傾斜した方向に敷設されてなることを特徴とする請求項4記載の非導性船質の船舶。
- 水中に露出する導電体と、船体の水中部分に設置された犠牲陽極材と、前記導電体の船体の内部にある部分と前記犠牲陽極材とを短絡し、前記導電体と略平行に配置された短絡線と、を有することを特徴とする非導性船質の船舶。
- 前記導電体が複数であって、該導電体のうちの一方の導電体と該導電体のうちの他方の導電体とが絶縁されてなることを特徴とする請求項3乃至6の何れかに記載の船舶。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005098599A JP2006273241A (ja) | 2005-03-30 | 2005-03-30 | 非導性船質の船舶の消磁装置および非導性船質の船舶 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005098599A JP2006273241A (ja) | 2005-03-30 | 2005-03-30 | 非導性船質の船舶の消磁装置および非導性船質の船舶 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=37208381
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005098599A Withdrawn JP2006273241A (ja) | 2005-03-30 | 2005-03-30 | 非導性船質の船舶の消磁装置および非導性船質の船舶 |
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JP (1) | JP2006273241A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101468168B1 (ko) * | 2013-05-07 | 2014-12-05 | 한국해양과학기술원 | 별도의 계류라인을 사용하지 않은 부이를 이용한 수중관측자료 실시간 전송방법 및 그 장치 |
CN110253401A (zh) * | 2019-06-28 | 2019-09-20 | 中船黄埔文冲船舶有限公司 | 一种船体打磨设备 |
-
2005
- 2005-03-30 JP JP2005098599A patent/JP2006273241A/ja not_active Withdrawn
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