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JP2006266368A - 固定式等速自在継手 - Google Patents

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JP2006266368A JP2005084265A JP2005084265A JP2006266368A JP 2006266368 A JP2006266368 A JP 2006266368A JP 2005084265 A JP2005084265 A JP 2005084265A JP 2005084265 A JP2005084265 A JP 2005084265A JP 2006266368 A JP2006266368 A JP 2006266368A
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Manabu Hoshino
学 星野
Akira Nakagawa
亮 中川
Hiroshi Tone
宏 登根
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

【課題】固定式等速自在継手の0deg位相における内・外輪のボール溝およびケージのポケットに負荷される荷重を極力小さくする。
【解決手段】内・外輪20,10のボール溝24,14をテーパ形状にし、かつ、トラックオフセット(F)を付与せずケージオフセット(f)のみ付与する。テーパ角度αは12deg以下とする。ケージオフセット量fとPCRとの比の値f/PCRを0を越え0.12以下の範囲とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は固定式等速自在継手に関する。等速自在継手は、自動車や各種産業機械の動力伝達系において、駆動側の回転軸と従動側の回転軸を連結して等角速度でトルクを伝達するもので、固定式と摺動式があり、摺動式が角度変位と軸方向変位を許容するのに対して固定式は角度変位のみを許容するタイプである。
一般に、固定式等速自在継手は、駆動側または従動側の軸とトルク伝達可能に結合する外側継手部材と、従動側または駆動側の軸とトルク伝達可能に結合する内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在してトルクを伝達する複数のトルク伝達要素と、複数のトルク伝達要素を駆動軸と従動軸とがなす角度の二等分面内に保持するケージとを備えている。
近年、自動車の乗車空間拡大の観点からホイールベースを長くすることがあるが、それに伴って車両回転半径が大きくならないようにするため、自動車のドライブシャフト等の連結用継手として使用されている固定式等速自在継手の高角化による前輪の操舵角の増大が求められている。
高角化のニーズに対する固定式等速自在継手としては、トルク伝達要素が転動するトラックを構成する外側継手部材のボール溝と内側継手部材のボール溝の底をテーパ状にすることが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2001−153149号公報 特開2001−304282号公報 特開2001−349332号公報
特許文献1〜3に開示された固定式等速自在継手では、外側継手部材および内側継手部材のボール溝をテーパ形状にすることで高角化を容易にしている。しかしながら、軽量コンパクト化が主流となり、外側継手部材の外径が規制されている状況下、ボール溝のテーパ角度をより一層大きくしてゆくと外側継手部材の肉厚が薄くなり、外側継手部材の強度低下を招くことになる。
また、特許文献1に記載された固定式等速自在継手では、ケージオフセットを大きくすることでボールが一番飛び出す位相(位相角0deg:図3参照)においてケージポケットに負荷される荷重が少なくなるが、従来の一般的な等速自在継手は、高角になるに従って0deg位相の荷重が大きくなる。
本発明の主要な目的は、固定式等速自在継手の0deg位相における外輪および内輪のボール溝ならびにケージのポケットに負荷される荷重を極力小さくし、作動角の高角化を容易に達成し得るようにすることである。
本発明は、高角固定式等速自在継手の内部諸元の中で、0deg位相における外輪および内輪のボール溝ならびにケージのポケットに負荷される荷重を小さくする因子を内部力解析を使って調査し、それぞれの因子の範囲を最適設計することによって、課題を解決したものである。
すなわち、本発明の固定式等速自在継手は、内球面に、開口端まで軸方向に延びた複数のボール溝を円周方向等間隔に形成した外側継手部材と、外球面に、軸方向に延びた複数のボール溝を円周方向等間隔に形成した内側継手部材と、対をなす外側継手部材のボール溝と内側継手部材のボール溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在し、ボールを収容するポケットを円周方向に配設したケージとを備え、外側継手部材のボール溝の開口端側溝底を、前記開口端に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、内側継手部材のボール溝の、外側継手部材の反開口端側溝底を、前記反開口端側に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、ケージの外球面中心と内球面中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットさせてあり、外側継手部材のボール溝の曲率中心と内側継手部材のボール溝の曲率中心は継手中心に対してケージオフセット分だけオフセットさせてあることを特徴とする。
外側継手部材のボール溝の曲率中心を内球面中心に対して、内側継手部材のボール溝の曲率中心を外球面中心に対して、軸方向に等距離だけ反対側にオフセットさせた場合(このオフセットをトラックオフセットと呼ぶこととする。)、外側継手部材の奥側にゆくほどボール溝が浅くなるため、作動角をとった時に外側継手部材の最奥部に位置するボールがボール溝の肩に乗り上げるおそれがある。このトラックオフセットをなくすることにより、外側継手部材の奥側でもボール溝が浅くならず、したがって、作動角をとった時でも外側継手部材の最奥部に位置するボールの乗り上げを抑制することができる。
請求項2の発明は、請求項1の固定式等速自在継手において、外側継手部材のボール溝および内側継手部材のボール溝のテーパ角度の上限値を12°としたことを特徴とする。従来必要な基本性能である強度や耐久性を確保しながら、内部力解析、有限要素法(FEM)解析を用いて検討を進め、ボール溝のテーパ角度の範囲を絞り込んで最適設定した。そして、テーパ角度を変えたサンプルの評価結果と解析結果との整合性を確認した。ボール溝をテーパ状とすることにより、外側継手部材の外径を大きくすることなく、作動角の高角化を容易に実現する上で、外側継手部材の肉厚を薄くしてもその外側継手部材の強度および加工性を低下させないように、この固定式等速自在継手の内部諸元の中で、ボール溝をテーパ状にすることによる影響および傾向を検証し、テーパ角度の最適値としてその上限値を12°に規定した。
請求項3の発明は、請求項1または2の固定式等速自在継手において、ケージの外球面中心および内球面中心のオフセット量f(このオフセットをケージオフセットと呼ぶこととする。)と、外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRが0を越え0.12以下であることを特徴とする。ケージオフセット量fはケージの縦断面における肉厚差に関係するため、この点を考慮に入れてケージオフセット量fを設定するのが望ましい。
たとえば、ケージオフセット量fを大きく設定することにより、請求項4の発明のように、外側継手部材の開口端側のケージの肉厚を増大させて強度向上を図ることができるという利点がある。また、外側継手部材の開口端側のケージの肉厚を増大させることによって、作動角をとった時、外側継手部材の開口端から飛び出そうとするボールをケージで拘束することができる。
ただし、ケージオフセット量fが大きすぎると、ケージのポケット内におけるボールの周方向移動量が大きくなり、ボールの適正な運動を確保するため、ケージのポケットの周方向寸法を大きくする必要が生じるので、ケージの柱部が細くなり、強度面が問題となる。また、ケージの、外側継手部材の奥側つまり開口端とは反対側の肉厚が小さくなり、強度面が問題となる。
このように、ケージオフセット量fが過大であるのは好ましくなく、ケージオフセット量fを設ける意義と前述の強度面との均衡を図り得る最適範囲が存在する。ただ、ケージオフセット量fの最適範囲は継手の大きさによって変わるので、継手の大きさを表わす基本寸法との関係において求める必要がある。そこで、外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRに対するケージオフセット量fの比の値f/PCRを用いるならば、ケージオフセット量fは、f/PCRが0を越え0.12以下となるように設定することが望ましい。
f/PCRが0.12より大きいと前述の強度面での問題が生じる。逆に、0より小さいとケージオフセット量fを設ける意義がなくなる。すなわち、ケージオフセットは、高作動角の時にボールがケージのポケットから飛び出すことを防ぐのが目的の一つであるところ、0より小さい範囲ではその目的が達成できない。したがって、ケージ強度の確保、耐久性の確保の点から、f/PCRが0を越え0.12以下となる範囲が、ケージオフセット量fの最適範囲である。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの固定式等速自在継手において、外側継手部材のボール溝および内側継手部材のボール溝の仕上げ成形が冷間鍛造であることを特徴とする。テーパ状のトラック溝を冷間鍛造により仕上げ成形することにより、鍛造型が抜き易いことから冷間鍛造の加工性がよく、製造コストの低減が図れる。
本発明によれば、次のような効果が期待できる。0deg位相において外輪のボール溝に負荷される荷重(以下、外輪トラック荷重と呼ぶ)が低減する。0deg位相において内輪のボール溝に負荷される荷重(以下、内輪トラック荷重と呼ぶ)が低減する。0deg位相においてケージのポケットの外輪開口端側の荷重が低減する。つまり、当該固定式等速自在継手が、より高角域での作動において有利になるということである。
以下、図面に従って本発明の実施の形態を説明する。
図1に示す固定式等速自在継手は、外輪10と、内輪20と、ボール30と、ケージ40を主要な構成要素としている。この固定式等速自在継手によって連結すべき二軸を第一の回転軸と第二の回転軸と呼ぶならば、第一の回転軸を外輪10と結合し、第二の回転軸を内輪20と結合して、両者が角度をなした状態でも等速でトルクを伝達するようになっている。なお、図1は外輪10の回転軸Xと内輪20の回転軸Yとがなす角すなわち作動角θが0°の状態を示し、図3に作動角θが最大(52°以上)の状態を示してある。
外側継手部材としての外輪10はマウス部16とステム部(図示せず)とからなり、ステム部にて第一の回転軸とトルク伝達可能に結合する。マウス部16は一端にて開口した椀状で、その凹球面状内周面(以下、内球面という。)12に、軸方向に延びた複数のボール溝14が円周方向等間隔に形成してある。ボール溝14はマウス部16の開口端18まで延びている。
内側継手部材としての内輪20は、凸球面状外周面(以下、外球面という。)22を有し、その外球面22には軸方向に延びた複数のボール溝24が円周方向等間隔に形成してある。ボール溝24は内輪20の軸方向に切り通してある。内輪20は第二の回転軸とトルク伝達可能に結合するためのスプライン孔26を有している。
外輪10のボール溝14と内輪20のボール溝24とは対をなし、各対のボール溝14,24で構成されるトラックに1個ずつ、トルク伝達要素としてのボール30が転動可能に組み込んである。ボール30は外輪10のボール溝14と内輪20のボール溝24との間に介在してトルクを伝達する。各ボール30はケージ40の円周方向に配設したポケット46内に収容されている。ボール30の数、したがってまたボール溝14,24の数は任意であるが、例を挙げるならば6あるいは8である。
ケージ40は外輪10と内輪20との間に摺動可能に介在し、外球面42にて外輪10の内球面12と接し、内球面44にて内輪20の外球面22と接する。外輪10の内球面12の曲率中心とケージ40の外球面42の曲率中心とは一致し、図2に符号O4で示してある。同様に、内輪20の外球面22の曲率中心とケージ40の内球面44の曲率中心とは一致し、図2に符号O3で示してある。なお、図面では、外輪10の内球面12とケージ40の外球面42との間、内輪20の外球面22とケージ40の内球面44との間のすきまが誇張して示してある。
外輪10のボール溝14は円弧部分14aと直線部分14bとからなり、円弧部分14aはマウス部16の奥側つまり反開口端側に位置し、直線部分14bは開口端18側に位置する。そして、ボール溝14は、開口端18側の溝底を、開口端18に向かって直線的に拡径するテーパ角度αのテーパ状としてある。
内輪20のボール溝24は円弧部分14aと直線部分24bとからなり、円弧部分24aは外輪10の開口端18側に位置し、直線部分24bは反開口端側に位置する。そして、ボール溝24は、外輪10の奥側つまり反端面側の溝底を、反端面側に向かって直線的に拡径するテーパ角度αのテーパ状としてある。
この実施の形態では、大きな作動角θを取り得る構造とするため、図2に示すように、外輪10のボール溝14の曲率中心O1は内球面12の中心O3に対して、内輪20のボール溝24の曲率中心O2は外球面22の中心O4に対して、等距離Fだけ軸方向に逆向きにオフセットさせてある(トラックオフセット)。
同様に、ケージ40の外球面42の曲率中心O3と内球面44の曲率中心O4は、継手中心Oに対して等距離fだけ軸方向に逆向きにオフセットさせてある(ケージオフセット)。
図3に示すように、外輪10の回転軸Xと内輪20の回転軸Yが0°以外のある作動角θをとったとき、両回転軸X,Yのなす角度θの二等分線に垂直な平面すなわち継手中心面P内にすべてのボール30があれば、ボール中心から両回転軸X,Yまでの距離が相等しく、したがって、両回転軸X,Y間で等角速度で回転運動の伝達が行われる。継手中心面Pと回転軸X,Yとの交点を継手中心Oと称する。固定式等速自在継手では、作動角θに関わりなく継手中心Oは固定されている。
対をなす外輪10のボール溝14と内輪20のボール溝24とで構成されるトラックは、外輪10のマウス部16の奥側から開口端18側に向かって徐々に拡大する楔状を呈している。そして、継手が作動角θをとった状態でトルクを伝達するとき、楔状のトラックの狭い方から広い方へボール30を押し出そうとする推力が作用する。
最大作動角をとったとき、外輪10のマウス部16の開口端18から飛び出そうとするボール30をケージ40で拘束できるように、ケージオフセット量fを従来のものよりも大きく設定する。ボール30の中心軌跡半径値すなわち、外輪10のボール溝14の曲率中心O1または内輪20のボール溝24の曲率中心O2とボール30の中心O5とを結ぶ線分の長さをPCRとしたとき、ケージオフセット量fのPCRに対する比の値f/PCRが0を越え0.12以下の範囲内となるように設定する。
継手の縦断面において、外輪10のボール溝14および内輪20のボール溝24の溝底をテーパ状とすることにより、最大作動角の高角化に加えて、外輪10のボール溝14におけるボール30との接触長さを確保することができるので、外輪10と内輪20との間における安定したトルク伝達が達成される。また、作動角θをとった時にボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)(図3および図4参照)のトラック荷重およびポケット荷重が低減するので、高角域において有利である。ここで、トラック荷重とは、接触するボール30からボール溝14,24の壁面が受ける荷重を意味する。ポケット荷重とは、接触するボール30からポケット46の壁面が受ける荷重を意味する。
また、ケージ40の外球面42は外輪10の内球面12に接触案内され、ケージ40の内球面44は内輪20の外球面22に接触案内されることから、トルク伝達時にケージ40と外輪10または内輪20との間で球面力(球面同士で押し合う力)が作用するが、その球面力の最大値が低減し、継手内部での発熱の抑制につながる。さらに、鍛造型が抜きやすい形状であるため冷間鍛造による加工性がよく、製造コストの低減も図れる。
外輪10および内輪20のボール溝14,24の溝底をテーパ状とすることによって、前述のトラック荷重、ポケット荷重および球面力からなる内部力に及ぼす影響およびその傾向を検証し、有限要素法(FEM)による解析を行い、テーパ角度αの範囲を絞り込んで最適設定した。まず、テーパ角度αを大きくすることによって内部力に表1に示すような傾向が認められる。なお、表1において、ボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)と、内部力が最大値となるボール30の位相について検証した。また、球面力について変動幅とは、球面力の最大値と最小値との差を意味する。
Figure 2006266368
表1から明らかなように、テーパ角度αを大きくすると、ポケット荷重の最大値が大きくなるが、ケージオフセット量fを大きくしてケージ40の肉厚を大きくすることによって、外輪10やケージ40の強度を確保することができるので、問題にはならない。
次に、テーパ角度αの上限値を決定するために有限要素法(FEM)解析を行った。テーパ角度αが大きくなれば、ボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)では内部力(トラック荷重およびポケット荷重)が小さくなり、強度的に有利になるが、外輪10の開口端18の肉厚が小さくなるため、ボール溝14に発生する応力値を継手強度に換算して傾向を確認した。その結果は図5に示すとおりである。テーパ角度α(deg)に対する継手強度の関係を示す同図から明らかなように、テーパ角度αが12.9°で継手強度が必要強度を下回ることから、テーパ角度αの最適範囲としてその上限値を12°として規定した。
なお、上述の実施の形態はトラックオフセットを設けた場合を例示したが、トラックオフセットを設けなくてもよい。つまり、トラックオフセットが設けてあると、外輪10のボール溝14のうち、マウス部16の奥側に位置する円弧部分14aが奥側にゆくほど浅くなることから、作動角をとった時にボール溝14の最奥部に位置するボール30の乗り上げが生じる可能性がある。そこで、このトラックオフセット量を0とすることにより、外輪10のボール溝14のうちマウス部16の奥側に位置する円弧部分14aが均一な深さとなることから、作動角をとった時に外輪10のボール溝14の最も奥に位置するボール30の乗り上げを抑制することができる。
トラックオフセット量F、ケージオフセット量f、テーパ角度αの各因子を変動させて内部力解析を行った結果を次に述べる。ここで、トラックオフセットについては、高角域に入っても許容負荷トルクが落ちない超高角固定式等速自在継手の特性を考慮してトラックオフセット量F=0すなわち「トラックオフセットなし」とした。ケージオフセットについては、内部力の観点からはできるだけ小さい方がよいが、継手の機能確保のためにはある程度ケージオフセットをつけなくてはならないことから、0≦f/PCR≦0.150で変動させた。テーパ角度αについては、0degから12degまでの範囲で変動させた。
f=0(f/PCR=0)ならば、テーパ角度αが1.1deg以上のとき0deg位相のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。
一方、テーパ角度α=12degならば、f=3.94(f/PCR=0.114)以下のとき0deg位相のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。
つまり、ケージオフセット量fとテーパ角度αとの関係が図6の斜線領域内に設定されていれば、0deg位相のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。ここで、図6は内部力解析により算出したデータに基づいて作図したもので、横軸がテーパ角度α(deg)、縦軸がf/PCRを表している。
これより、0deg位相に負荷される荷重を極力小さくし、より高角作動域において有利となる内部仕様は次のようになる。
トラックオフセット:なし
ケージオフセット量f:0<f/PCR≦0.12
テーパ角度α:1deg≦α≦12deg
また、この実施の形態では、0deg位相における荷重が低減する一方、ピークの荷重は従来の等速自在継手と比較して大きくなることから、強度を確保するため、ケージ40の肉厚部を外輪10の開口端18側に向けた配置とするのが好ましい。
上記の内部仕様で寸法を設定した本発明による固定式等速自在継手(実施例)と従来の固定式等速自在継手(比較例)について0deg位相におけるトラック荷重およびポケット荷重を算出したところ、結果は図7に示すとおりであった。同図より、比較例に対して実施例が、トラック荷重とポケット荷重のいずれも8割以上減少していることが分かる。なお、このときのEWS内部力計算結果(T=T100(462.6Nm)、θ=46.5deg)は表2のとおりである。
Figure 2006266368
本発明の実施の形態を示す固定式等速自在継手の縦断面図である。 図1の要部拡大図である。 図1の継手が最大作動角をとった状態を示す縦断面図である。 ボールを収容したケージの横断面図である。 ボール溝のテーパ角度と継手強度の関係を示す線図である。 トラックのテーパ角度とf/PCRとの関係を示す線図である。 基本トルク負荷時の0deg位相荷重を示す線図である。
符号の説明
10 外輪
12 内球面
14 ボール溝
16 マウス部
18 開口端
20 内輪
22 外球面
24 ボール溝
26 スプライン孔
30 ボール
40 ケージ
42 外球面
44 内球面
46 ポケット
α テーパ角度

Claims (5)

  1. 内球面に、開口端まで軸方向に延びた複数のボール溝を円周方向等間隔に形成した外側継手部材と、
    外球面に、軸方向に延びた複数のボール溝を円周方向等間隔に形成した内側継手部材と、
    対をなす外側継手部材のボール溝と内側継手部材のボール溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、
    外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在し、ボールを収容するポケットを円周方向に配設したケージとを備え、
    外側継手部材のボール溝の開口端側溝底を、前記開口端に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、
    内側継手部材のボール溝の、外側継手部材の反開口端側溝底を、前記反開口端側に向かって直線的に拡径したテーパ状とし、
    ケージの外球面中心と内球面中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットさせてあり、
    外側継手部材のボール溝の曲率中心と内側継手部材のボール溝の曲率中心は継手中心に対してケージオフセット量だけオフセットさせてあることを特徴とする固定式等速自在継手。
  2. 外側継手部材および内側継手部材のボール溝のテーパ角度の上限値を12°としたことを特徴とする請求項1の固定式等速自在継手。
  3. ケージの外球面中心と内球面中心とのオフセット量fと、外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRが0を越え0.12以下であることを特徴とする請求項1または2の固定式等速自在継手。
  4. ケージの縦断面において、外側継手部材の開口端側を厚肉としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの固定式等速自在継手。
  5. 外側継手部材のボール溝および内側継手部材のボール溝の仕上げ成形が冷間鍛造であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの固定式等速自在継手。
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