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JP2006261106A - プラズマディスプレイ用部材およびその製造方法、プラズマディスプレイ用背面板の製造方法、プラズマディスプレイ - Google Patents

プラズマディスプレイ用部材およびその製造方法、プラズマディスプレイ用背面板の製造方法、プラズマディスプレイ Download PDF

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哲夫 内田
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Abstract

【課題】表示領域端部の誤放電をなくし、表示品位を向上したディスプレイを提供する。
【解決手段】基板上に少なくとも隔壁、および隔壁と垂直な方向に形成された補助隔壁とを有するプラズマディスプレイ用部材において、少なくとも基板縦方向の最上端および/または最下端の補助隔壁が、それと直交する隔壁高さより低く、その段差が4〜60μmであることを特徴とするプラズマディスプレイ用部材。
【選択図】図3

Description

本発明は、壁掛けテレビや大型モニターに用いられるプラズマディスプレイ、特にディスプレイ端部の表示品位を高めたプラズマディスプレイを実現可能なプラズマディスプレイ用部材およびその製造方法、プラズマディスプレイ用背面板の製造方法、プラズマディスプレイに関する。
薄型・大型テレビに使用できるディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略す)が注目されている。通常、PDPにおいて、表示面となる前面板側のガラス基板には、対をなす複数のサステイン電極が銀やクロム、アルミニウム、ニッケル等の材料で形成されている。また、サステイン電極を被覆してガラスを主成分とする誘電体層が20〜50μm厚みで形成され、誘電体層を被覆してMgO層が形成されている。一方、背面板側のガラス基板には、複数のアドレス電極が前記サステイン電極と垂直な方向にストライプ状に形成され、アドレス電極を被覆してガラスを主成分とする誘電体層が形成されている。さらに、誘電体層上に放電セルを仕切るための隔壁がアドレス電極と平行な方向に形成され、隔壁と誘電体層で形成された放電空間内に蛍光体層が形成されている。フルカラー表示が可能なPDPにおいては、蛍光体層は、赤(R)緑(G)青(B)の各色に発光するよう構成される。上記構成の前面板と背面板が、前面板側のガラス基板のサステイン電極と背面板側のアドレス電極が互いに直交するように封着され、それらの基板の間隙内にヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される希ガスが封入されPDPが形成される。スキャン電極とアドレス電極の交点を中心として画素セルが形成されるので、PDPは複数の画素セルを有し、画像の表示が可能になる。
PDPにおいて表示を行う際、選択された画素セルにおいて、発光していない状態からサステイン電極とアドレス電極との間に封入ガスの放電開始電圧以上の電圧を印加すると、電離によって生じた陽イオンや電子は、画素セルが容量性負荷であるために放電空間内を反対極性の電極へと向けて移動して両側のMgO層の内壁に帯電し、内壁の電荷はMgO層の抵抗が高いために減衰せずに残留する。この壁電荷により放電空間内に外部からの印加電圧とは逆極性の電界が形成されるのでセル内の電界は弱められて放電は直ちに停止する。
次に、スキャン電極間に放電維持電圧を印加することによって、壁電荷により放電開始電圧より低い電圧での放電が継続される。該放電により放電空間内のキセノンガスが励起され、147nmの紫外線が発生し、該紫外線が蛍光体を励起することにより、発光表示が可能になる。
近年、PDPの高性能化のために、従来のストライプ状の隔壁形状以外に、格子状、ハニカム状などの三叉部または交差部を有する隔壁形状が提案されている。
このように隔壁構造が複雑化した理由の一つに、ストライプ状の隔壁構造の場合、画素間の放電の干渉が生じやすいことがあげられる。特に高精細化した場合には放電の干渉が顕著となり、前面板の放電ギャップを狭くする必要があるが、その場合には、画素の放電空間が狭くなるために、輝度が大幅に低下するという問題が生じる。この問題を解消するために、ストライプ状の隔壁と交差するような画素を仕切る補助隔壁を設けることにより格子状の隔壁構造とする方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
前記隔壁パターンが形成されたプラズマディスプレイ用部材には、通常スクリーン印刷法、感光性ペースト法(フォトリソグラフィ)、ディスペンサー塗布法により蛍光体層が形成され、高精細化、歩留まり、塗布均一性などの理由からディスペンサー塗布法が近年注目されている。
ディスペンサーによる蛍光体層の形成は、ノズル内に所望の蛍光体ペーストを充填し、所望の圧力、速度で前記隔壁により構成されたセル内に塗布していく。しかし、前記補助隔壁を設ける構造、特に補助隔壁が隔壁高さとほぼ同じ高さであるセル内にディスペンサー法により蛍光体ペーストを塗布した場合、特に塗布開始部のペースト流動挙動に乱れが生じやすくなり、塗布ヌケ、他セルとの混色が発生しやすいという課題があった。
特開2003−197111号公報(請求項1等)
そこで、本発明は、上記従来技術に鑑みて、面内で隔壁及び補助隔壁の高さを調整することにより、ディスペンサー法により蛍光体ペーストを塗布した場合であっても、塗布開始部付近での塗布ヌケ、混色等を抑制できるプラズマディスプレイ用部材を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、基板上に少なくとも隔壁と、隔壁と垂直な方向に形成された補助隔壁とを有するプラズマディスプレイ用部材において、隔壁の長手方向を縦方向としたときに、少なくとも基板縦方向の最上端および/または最下端の補助隔壁の高さが、それと直交する隔壁の高さより低く、その高さの差が4〜60μmであることを特徴とするプラズマディスプレイ用部材とするものである。
また、本発明に係るプラズマディスプレイは、このようなプラズマディスプレイ部材を用いたことを特徴とするものからなる。
本発明によれば、ディスペンサーにより蛍光体ペーストを塗布する際、塗布開始部付近での塗布ヌケ、混色を抑制できるプラズマディスプレイ用部材および表示品位の高いプラズマディスプレイを提供することができる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態と共に詳細に説明する。
本発明のディスプレイ用部材に用いるガラス基板としては、ソーダガラスの他にPDP用の耐熱ガラスである旭硝子社製の“PD200”や日本電気硝子社製の“PP8”等を用いることができる。
本発明のプラズマディスプレイ用部材において、ガラス基板上に銀やアルミニウム、クロム、ニッケルなどの金属によりストライプ状のアドレス電極が好ましく形成される。アドレス電極を形成する方法としては、これらの金属の粉末と有機バインダーを主成分とする金属ペーストをスクリーン印刷でパターン印刷する方法や、有機バインダーとして感光性有機成分を用いた感光性金属ペーストを塗布し、フォトマスクを用いてパターン露光し、不要な部分を現像工程で溶解除去し、さらに、400〜600℃にて焼成することで金属パターンを形成する感光性ペースト法を用いることができる。また、ガラス基板上にクロムやアルミニウム等の金属をスパッタリングした後に、レジストを塗布し、レジストをパターン露光・現像した後にエッチングにより、不要な部分の金属を取り除くエッチング法を用いることもできる。電極の厚みは1〜10μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。電極が薄すぎる場合は抵抗値が大きくなり正確な駆動ができなくなる傾向にあり、厚すぎる場合は材料を多く要しコスト的に不利となる傾向にある。アドレス電極の幅は20〜200μmが好ましく、より好ましくは30〜100μmである。アドレス電極が細すぎる場合は抵抗値が高くなり正確な駆動が困難となる傾向にあり、太すぎる場合は隣の電極との間の距離が小さくなるため、ショート欠陥を生じやすい傾向にある。また、アドレス電極は表示セル(画素の各RGBを形成する領域)に応じたピッチで形成される。通常のPDPでは100〜500μm、高精細PDPにおいては100〜250μmのピッチで形成するのが好ましい。
また本発明のプラズマディスプレイ用部材において、前記アドレス電極を形成した基板上にガラス粉末と有機バインダーを主成分として混練してなるガラスペーストを塗布した後に、400〜600℃で焼成することにより誘電体層が好ましく形成される。誘電体層に用いるガラスペーストには、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化リンの少なくとも1種類以上を含有し、これらを合計で10〜80質量%含有するガラス粉末を用いると良い。10質量%以上とすることで、600℃以下での焼成が容易になり、80質量%以下とすることで、結晶化を防ぎ透過率の低下を防止する。有機バインダーとしては、エチルセルロース、メチルセルロース等に代表されるセルロース系化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート等のアクリル系化合物等を用いることができる。また、ガラスペースト中に、溶媒、可塑剤等の添加剤を加えても良い。溶媒としては、テルピネオール、ブチロラクトン、トルエン、メチルセルソルブ等の汎用溶媒を用いることができる。また、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジエチルフタレート等を用いることができる。
ガラス粉末以外に高融点無機粒子からなるフィラー成分を添加することにより、誘電体層の反射率が高く、輝度の高いプラズマディスプレイを得ることができる。フィラーとしては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムが好ましく、粒子径0.05〜3μmの酸化チタンを用いることが特に好ましい。フィラーの含有量はガラス粉末:フィラーの重量比で、10:1〜1:1が添加の十分な効果を得る上で好ましい。
また、導電性微粒子を含有することにより駆動時の信頼性の高いプラズマディスプレイを作製することができる。導電性微粒子は、ニッケル、クロムなどの金属粉末が好ましく、粒子径は1〜10μmが好ましい。1μm以上とすることで十分な効果を発揮でき、10μm以下とすることで誘電体上の凹凸を抑え隔壁形成を容易なものとすることができる。これらの導電性微粒子が誘電体層に含まれる含有量としては、0.1〜10質量%が好ましい。0.1質量%以上とすることで添加の効果を得ることができ、10質量%以下とすることで、隣り合うアドレス電極間でのショートを防ぐことができる。誘電体層の厚みは3〜30μmとするのが好ましく、より好ましくは3〜15μmである。誘電体層が薄すぎる場合はピンホールが発生する傾向にあり、厚すぎる場合は放電電圧が高くなり消費電力が大きくなる傾向にある。
本発明のプラズマディスプレイ用部材においては、前記アドレス電極、誘電体層などが形成された基板上に、放電セルを仕切るためのストライプ状の隔壁が前記アドレス電極に平行に形成され、さらに隔壁に直交する方向に補助隔壁が形成される。
図1に本発明のプラズマディスプレイ用部材を構成する隔壁1及び補助隔壁2の構造例を示す。
隔壁の形状で、最も単純なのはアドレス電極と平行のストライプ状の隔壁構造であり、製造工程も簡便である。しかしながら、ストライプ状隔壁の場合、画素間の放電の干渉が生じやすい。特に高精細化した場合には放電の干渉が顕著となり、前面板の放電ギャップを狭くする必要があるが、その場合には、輝度が大幅に低下するという問題が生じる。この問題を解消するために、本発明では画素を仕切る補助隔壁を上記隔壁と直交するように形成される。
図1において隔壁1及び補助隔壁2の画像表示領域Rにおける画素数および画素ピッチは、プラズマディスプレイとしての表示画素数及び画面サイズにより適宜調整される。例えば表示画素レベルがXGA、画面サイズが42インチの場合、画素数は長辺の方向(RGB3セルで1画素)に1024画素、短辺の方向に768画素、画素ピッチは長辺の方向が0.8〜1.1mm、短辺の方向が0.6〜0.8mmで調整される。尚、それぞれの画素レベルでの表示画素数は、VGAが長辺の方向に640画素、短辺の方向に480画素、SVGAが長辺の方向に800画素、短辺の方向に600画素、SXGAが長辺の方向に1280画素、短辺の方向に1024画素、それ以上のHDTVタイプについては長辺の方向に1600〜2048画素、短辺の方向に1200〜1536画素等が知られており、画素ピッチがそれぞれの画面サイズに合わせて適宜調整される。
本発明のプラズマディスプレイ用部材は、図1のように前記画像表示領域Rの上下にダミー補助隔壁形成領域(DB)が設けられる。本発明においてダミー補助隔壁の本数は1〜10本であることが好ましい。ここで画像表示領域Rの上下とは、隔壁(およびアドレス電極)の長手方向を縦方向としたときに、その画像表示領域Rの上側および下側の部分をいう。
画像表示領域Rにおける隔壁1及び補助隔壁2の高さは、80〜200μmが適している。80μm以上とすることで蛍光体とスキャン電極が近づきすぎるのを防ぎ、放電による蛍光体の劣化を抑制することができる。また、200μm以下とすることで、スキャン電極での放電と蛍光体の距離を近づけ、十分な輝度を得ることができる。
本発明においては、少なくとも基板縦方向の最上下端に存在する補助隔壁の高さを、それと直交する隔壁の高さより低くし、その高さの差を4〜60μmとすることが、後述する蛍光体層の均一塗布性の点で必要である。ここで基板の最上下端とは、隔壁の長手方向を縦方向としたときに、その上下両端となる部分をいう。前記直交する隔壁の高さより低い補助隔壁は基板縦方向の最上下端から、各々1〜5本存在することが好ましい。さらに、前記基板縦方向の最上下端に存在する補助隔壁の高さは、画像表示領域Rに存在する補助隔壁の高さより低いことが好ましく、その高さの差は4〜40μm、さらには5〜30μmとすることが好ましい。前記範囲内で補助隔壁の高さを調節することで、蛍光体層の均一塗布性がさらに向上する。
本発明は、画像表示領域R内に存在する隔壁と補助隔壁の高さが同じであるか、高さの差が5μm以下であるときに最も効果があるが、もちろん画像表示領域内の隔壁と補助隔壁の高さに差があってもよく、その高さの差は0〜30μmであることが好ましい。
本発明において隔壁1及び補助隔壁2の線幅は、半値幅で30μm以上100μm以下であることが好ましい。30μm以上とすることで強度を保ち、前面板と背面板を封着する際に破損が生じるのを防ぐことができる。また、100μm以下とすることで蛍光体の形成面積を大きくとることができ高い輝度を得ることができる。
本発明において隔壁および補助隔壁は、無機微粒子と有機バインダーからなるガラスペーストを隔壁の形状にパターン形成した後に、400〜800℃で焼成する方法が好ましく適用される。
無機微粒子としては、ガラス、セラミック(アルミナ、コーディライトなど)などを用いることができる。特に、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、または、アルミニウム酸化物を必須成分とするガラスやセラミックスが好ましい。
無機微粒子の粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、体積平均粒子径(D50)が、1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは、1〜5μmである。D50を10μm以下とすることで、パターン形成時に表面凸凹が生じるのを防ぐことができる。また、1μm以上とすることでペーストの粘度調整を容易に行うことができる。さらに、比表面積0.2〜3m/gの無機微粒子を用いることが、パターン形成において、特に好ましい。
本発明において、隔壁及び補助隔壁は、熱軟化点が比較的低いガラス基板上に形成されるため、無機微粒子として、熱軟化温度が350〜600℃のガラス微粒子を60質量%以上含むものを用いることが好ましい。さらに、熱軟化温度が600℃以上のガラス微粒子やセラミック微粒子を添加することによって、焼成時の収縮率を抑制することができるが、その量は、40質量%以下が好ましい。
用いるガラス粉末としては、焼成時にガラス基板にそりを生じさせないためには線膨脹係数が50〜90×10−7/℃、更には、60〜90×10−7/℃のガラス微粒子を用いることが好ましい。
隔壁及び補助隔壁を形成するガラス微粒子の組成としては、ケイ素および/またはホウ素の酸化物を必須成分としたものが好ましく用いられる。
酸化ケイ素は、3〜60質量%の範囲で配合されていることが好ましい。3質量%以上とすることで、ガラス層の緻密性、強度や安定性が向上し、また、熱膨脹係数を所望の範囲内とし、ガラス基板とのミスマッチを防ぐことができる。また、60質量%以下にすることによって、熱軟化点が低くなり、ガラス基板への焼き付けが可能になるなどの利点がある。
酸化ホウ素は、5〜50質量%の範囲で配合されていることが好ましい。5質量%以上とすることによって、電気絶縁性、強度、熱膨脹係数、絶縁層の緻密性などの電気、機械および熱的特性を向上することができ、50質量%とすることでガラスの安定性を保つことができる。
さらに、酸化ビスマス、酸化鉛、酸化亜鉛のうちの少なくとも1種類を合計で5〜50質量%含有させることによって、ガラス基板上にパターン加工するのに適した温度特性を有するガラスペーストを得ることができる。特に、酸化ビスマスを5〜50質量%含有するガラス微粒子を用いると、ペーストのポットライフが長いなどの利点が得られる。ビスマス系ガラス微粒子としては、例えば次の組成を含むガラス粉末を用いることが好ましい。
酸化ビスマス :10〜40質量%
酸化ケイ素 : 3〜50質量%
酸化ホウ素 :10〜40質量%
酸化バリウム : 8〜20質量%
酸化アルミニウム:10〜30質量%
また、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのうち、少なくとも1種類を合計で3〜20質量%含むガラス微粒子を用いてもよい。アルカリ金属酸化物の添加量は、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下にすることによって、ペーストの安定性を向上することができる。上記3種のアルカリ金属酸化物の内、酸化リチウムがペーストの安定性の点で、特に好ましい。リチウム系ガラス微粒子としては、例えば次に示す組成を含むガラス粉末を用いることが好ましい。
酸化リチウム : 2〜15質量%
酸化ケイ素 :15〜50質量%
酸化ホウ素 :15〜40質量%
酸化バリウム : 2〜15質量%
酸化アルミニウム: 6〜25質量%
また、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛のような金属酸化物と酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのようなアルカリ金属酸化物の両方を含有するガラス微粒子を用いれば、より低いアルカリ金属酸化物含有量で、熱軟化温度や線膨脹係数を容易にコントロールすることができる。
また、ガラス微粒子中に、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムなど、特に、酸化アルミニウム、酸化バリウムを添加することにより、加工性を改良することができるが、熱軟化点、熱膨脹係数の点からは、その含有量は、40質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下である。
有機バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重合体、ブチルメタクリレート樹脂、エチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース化合物を用いることができる。さらに、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、酸化防止剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤やレベリング剤などの添加剤を加えることも行われる。
さらに、その溶液の粘度を調整したい場合、有機溶媒を加えてもよい。このとき使用される有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチルラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
また、本発明で好ましく適用される感光性ペースト法を適用する場合には、ガラスペーストに感光性モノマー、感光性オリゴマー、感光性ポリマーのうちの少なくとも1種類から選ばれた感光性成分を含有し、更に、必要に応じて、光重合開始剤、光吸収剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤を添加すると良い。
感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物、具体例として、単官能および多官能性の(メタ)アクリレート類、ビニル系化合物類、アリル系化合物類などを用いることができる。これらは1種または2種以上使用することができる。
また、この感光性ガラスペーストには、有機バインダーとして感光性ポリマーおよび/または感光性オリゴマーを用いるのが好ましい。前記感光性ポリマーまたは感光性オリゴマーは、炭素−炭素2重結合を有する化合物から選ばれた成分の重合または共重合により得られる。さらに、ポリマーやオリゴマーに不飽和カルボン酸などの不飽和酸を共重合することによって、感光後のアルカリ水溶液での現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、または、これらの酸無水物などが挙げられる。こうして得られた側鎖にカルボキシル基などの酸性基を有するポリマーもしくはオリゴマーの酸価(AV)は、50〜180の範囲が好ましく、70〜140の範囲がより好ましい。以上に示したポリマーもしくはオリゴマーに対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させることによって、感光性をもつ感光性ポリマーや感光性オリゴマーとして用いることができる。好ましい光反応性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。
光重合開始剤の具体的な例として、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノンなどが挙げられる。これらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性成分に対し、好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜5質量%の範囲で添加される。重合開始剤の量が少な過ぎると、光感度が低下する傾向にあり、光重合開始剤の量が多すぎると、露光部の残存率が小さくなりすぎる傾向にある。
光吸収剤としては、有機系染料からなるものが好ましく用いられる、具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アントラキノン系染料、ベンゾフェノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は、焼成後の絶縁膜中に残存しないので、光吸収剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でも、アゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。有機染料の添加量は、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは、0.05〜1質量%である。添加量が少なすぎると、光吸収剤の添加効果が減少する傾向にあり、多すぎると、焼成後の絶縁膜特性が低下する傾向にある。
増感剤は、感度を向上させるために添加される。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。これらを1種または2種以上使用することができる。増感剤を感光性ペーストに添加する場合、その添加量は、感光性成分に対して通常0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。増感剤の量が少な過ぎると光感度を向上させる効果が発揮されない傾向にあり、増感剤の量が多すぎると、露光部の残存率が小さくなる傾向にある。
本発明において隔壁パターンを形成する方法としては、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光性ペースト法、フォト埋め込み法、型転写法などが適用されるが、面内でのパターン高さ調整、面内均一性、高精細化が可能などの点から感光性ペースト法が好ましく適用される。
次に感光性ペースト法を用いた隔壁及び補助隔壁の形成手順の一例を以下に示す。
ガラス基板に、感光性ペーストを塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーターなど一般的な方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度等を選ぶことによって調整できる。また、ポリエステルフィルムなどのフィルム上に感光性ペーストを塗布した感光性シートを作成して、ラミネーターなどの装置を用いて基板上に感光性ペーストを転写する方法を用いても良い。
感光性ペーストを塗布した後、露光装置を用いて露光を行う。露光は、通常のフォトリソグラフィで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的である。
用いるマスクは、感光性有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。また、フォトマスクを用いずに、レーザ光などで直接描画する方法を用いても良い。露光に使用される活性光線は、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザ光などが挙げられる。これらの中で紫外線が最も好ましく、その光源として、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は、塗布厚みによって異なるが、1〜100mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いて0.1〜10分間露光を行う。
本発明において、基板縦方向の最上下端の補助隔壁の高さを調整する方法として、前記塗布、露光を各々2回する方法が好ましく適用される。具体的には、まずダミー補助隔壁高さを形成するために必要な厚みで感光性ペーストを塗布(下層)し、ダミー補助隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して一度露光し、次いでその上に、前記下層塗布分と合わせて画像表示領域の隔壁及び補助隔壁高さを形成するために必要な厚みで感光性ペーストを塗布(上層)し少なくとも画像表示領域の隔壁及び補助隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して露光する方法である。ここで用いる感光性ペーストの組成(ガラス成分、色味、感度等)は下層、上層同組成のものであっても、別組成のものであってもよい。例えば上層の感光性ペーストに、焼成して黒色を呈するものを用いる方法などが好ましく適用される。上層の感光性ペーストに焼成して黒色を呈するものを用いることにより、プラズマディスプレイとしてコントラストを向上させることができる。感光性ペーストが焼成して黒色を呈するようにするには、Ru、Mn、Ni、Cr、Fe、Co、Cuの金属もしくはそれらの酸化物を合計で1〜15質量%含有するガラスを用いると良い。また、ガラス粉末に黒色金属又は金属酸化物を付着させるか、または被覆させても良い。
前記露光後、露光部分と非露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行うが、その際、浸漬法やスプレー法、ブラシ法等が用いられる。
現像液は、感光性ペースト中の溶解させたい有機成分が溶解可能である溶液を用いる。感光性ペースト中にカルボキシル基などの酸性基をもつ化合物が存在する場合は、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などが使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は、通常、0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。アルカリ濃度が低過ぎると可溶部が除去され難くなる傾向にあり、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離させ、また、非可溶部を腐食する傾向にある。また、現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
次に、焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や温度はペーストや基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素などの雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やローラーハース式の連続型焼成炉を用いることができる。焼成温度は、400〜800℃で行う。基板がガラスである場合は、450〜620℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行う。焼成は、先の電極、および誘電体形成について、それぞれ焼成を行うと記載したが、各電極ペースト、誘電体ペーストを変更することにより、電極/誘電体、誘電体/隔壁、電極/誘電体/隔壁を一括して焼成することも可能である。この場合にも本発明の効果は損なわれることはない。
本発明では前記隔壁及び補助隔壁を形成した後に、RGBの各色に発光する蛍光体層が好ましく形成される。蛍光体粉末、有機バインダーおよび有機溶媒を主成分とする蛍光体ペーストを所定の隔壁間に塗布することにより、蛍光体層を形成することができる。その方法としては、スクリーン印刷版を用いてパターン印刷するスクリーン印刷法、吐出ノズルの先端から蛍光体ペーストをパターン吐出するディスペンサー法、また、感光性を有する有機成分を有機バインダーとする感光性蛍光体ペーストを用いる感光性ペースト法等を採用することができるが本発明においては厚み均一性、生産性を考慮しディスペンサー塗布法が好ましく採用される。
ディスペンサー塗布法は一般的に、ノズル内に所望の蛍光体ペーストを充填し、所望の吐出圧、速度で塗布する方法である。しかし、隔壁及び補助隔壁の高さがほぼ同じ場合は、隔壁と平行方向に蛍光体ペーストを塗布した場合、塗布開始端から1〜10本目の補助隔壁に相当する部位でペースト吐出挙動に乱れが生じ、塗布ヌケや隔壁への頂部付着、さらには隣のセルに塗布された蛍光体と混色してしまうという問題が生じる。これに対し本発明では、基板縦方向の最上下端の補助隔壁の高さを、それと直交する隔壁の高さより4〜60μm低くしているため、前記蛍光体ペーストの吐出挙動の乱れによる塗布ヌケ等の欠点の発生を抑制することができる。前記補助隔壁と、それと直交する隔壁の高さの差が4μm未満の場合は、蛍光体塗布ヌケ抑制に大きな効果がなく、また60μmを越えると表示領域の補助隔壁と基板縦方向の最上下端の補助隔壁の高さの差が大きくなりすぎるため、表示領域端で塗布ヌケが発生しやすくなる。
本発明において、画像表示領域の補助隔壁は図2に示すような2〜5本1組とする構造も好ましく適用される。ここでいう2〜5本1組とは、具体的には表示領域内においては2〜5本1組で縦方向に隣り合う画素を仕切る状態を指す。2本以上の補助隔壁からなる組で縦方向に隣り合う画素を仕切ることで縦方向に隣接する表示セル間の干渉を抑制することができ、誤放電によって表示品位を落とすということが防止できる。また、1組を構成する補助隔壁単位が6本以上である場合、補助隔壁間の間隔が狭くなってしまうために補助隔壁の形成が困難となる。具体的には、1組を構成する2〜5本の補助隔壁の間隔を狭くし、2〜5本の補助隔壁から構成される各組を縦方向のセル同士の間に配置する。1組を構成する補助隔壁単位が2本の場合は、各組を構成する補助隔壁の間隔を100〜300μmとすることで、輝度を維持しつつ、縦方向の放電漏れを防ぎやすくなる。また1組を構成する補助隔壁単位が3本、4本、5本の場合は各組を構成する補助隔壁の間隔をそれぞれ50〜100μmとすることが前記理由の点で好ましい。このような場合、ダミー補助隔壁は1本ずつ配置することが前記蛍光体吐出挙動の乱れを防止する点で好ましい。ダミー補助隔壁を1本ずつ配置するとは、上記表示領域内の補助隔壁を2〜5本1組とする場合とは異なり、非表示領域において補助隔壁が略等間隔に存在するよう配置することを指す。ここで、非表示領域における補助隔壁同士の間隔は、表示領域内の縦方向の画素を仕切る補助隔壁の組同士の間隔と同等か、それよりも大きいことが好ましい。また、略等間隔とは、補助隔壁同士の間隔が全て基準値の0.8〜1.2倍の範囲内にあることを指す。
また、基板縦方向の最上下端の補助隔壁より外側に形成された隔壁の長さL(図2参照)を、2〜10mm、さらには3〜9mmとすることで、安定したディスペンサー法による塗布を行うことができる。すなわち、前記最上下端の補助隔壁より外側に形成された隔壁部分においてペーストの吐出を開始し、該隔壁部分をノズルの助走エリアとして使用することで、ノズルからのペースト吐出挙動を安定させることができる。
本発明において、直行する隔壁の高さより低い補助隔壁の本数は1〜5本であることが好ましい。画像表示領域の補助隔壁はその高さバラツキが10μm以下であることが安定したパネル特性を得るために好ましいが、低い補助隔壁の本数が5本を越えると、前記助走エリアの長さが短くなったり、助走エリア確保のために基板サイズを大きくしなければならないという問題が生じるため好ましくない。
また、この直行する隔壁の高さより低い補助隔壁は、少なくとも前記蛍光体ノズル塗布のスタート側に形成することが必要である。こうすることで塗布スタート部のペースト吐出挙動を安定化することができる。
本発明において各色の蛍光体層の厚みは、10〜50μmであることが好ましい。10μm以上とすることで十分な輝度を得ることができる。また、厚みを50μm以下とすることで放電空間を確保し、蛍光体を有効に発光できる。この場合の蛍光体層の厚みは、隣り合う隔壁の中間点での形成厚み、つまり、放電空間(セル内)の底部に形成された蛍光体層の厚みとして測定する。
使用する蛍光体粉末としては、赤色は、Y:Eu、YVO:Eu、(Y、Gd)BO:Eu、YS:Eu、γ−Zn(PO:Mn、(ZnCd)S:AgInなど、緑色は、ZnGeO:Mn、BaAl1219:Mn、ZnSiO、LaPO:Tb、ZnS:Cu、Al、ZnS:Au、Cu、Al、(ZnCd)S:Cu、Al、ZnSiO:Mn、As、YA112:Ce、CeMgAl1119:Tb、GdS:Tb、YA112:Tb、ZnO:Znなど、また、青色は、Sr(POCl:Eu、BaMgAl1423:Eu、BaMgAl1627:Eu、BaMgAl1424:Eu、ZnS:Ag、YSiO:Ceなどがある。
蛍光体層を形成した基板を必要に応じて、400〜550℃で焼成することにより、本発明のディスプレイ用部材を作製することができる。
上記のディスプレイ用部材を背面板として用いて、前面板と封着後、前背面の基板間隔に形成された空間に、ヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される放電ガスを封入後、駆動回路を装着して本発明のプラズマディスプレイを作製できる。前面板は、基板上に所定のパターンで透明電極、バス電極、誘電体、保護膜(MgO)を形成した基板であり、背面基板上に形成されたRGB各色蛍光体層に一致する部分にカラーフィルター層を形成しても良い。また、コントラストを向上するために、ブラックストライプを形成しても良い。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
(プラズマディスプレイ部材の作製)
(実施例1)
ガラス基板として、590×970mm、厚み2.8mmの42インチサイズのPD−200(旭硝子(株)製)を使用した。この基板上に、アドレス電極として、平均粒径2.0μmの銀粉末を70重量部、酸化ビスマスを69質量%、酸化珪素24質量%、酸化アルミニウム4質量%、酸化ホウ素3質量%の組成からなる体積平均粒子径2.2μmのガラス粉末を2重量部、アクリル酸、メチルメタクリレート、スチレンの共重合ポリマーを8重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート7重量部、ベンゾフェノン3重量部、ブチルカルビトールアクリレート7重量部、ベンジルアルコール3重量部からなる感光性銀ペーストを用いて、フォトリソグラフィー法により、ピッチ300μm、線幅100μm、焼成後厚み3μmのストライプ状電極を形成した。
この基板に、酸化ビスマス78質量%、酸化珪素14質量%、酸化アルミニウム3質量%、酸化亜鉛3質量%、酸化ホウ素2質量%を含有する低融点ガラスの粉末を60重量部、平均粒子径0.3μmの酸化チタン粉末を10重量部、エチルセルロース15重量部、テルピネオール15重量部を混合してなる誘電体ペーストを塗布した後、580℃で焼成して、厚み10μmの誘電体層を形成した。
隔壁用感光性ペーストは以下の組成のものを用いた。
ガラス粉末:Bi/SiO/Al/ZnO/B=82/5/3/5/3/2質量%からなる体積平均粒子径2μmのガラス粉末:67重量部
フィラー:平均粒径0.2μmの酸化チタン:3重量部
ポリマー:”サイクロマー”P(ACA250、ダイセル化学工業社製):10重量部
有機溶剤(1):ベンジルアルコール:4重量部
有機溶剤(2):ブチルカルビトールアセテート:3重量部
モノマー:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:8重量部
光重合開始剤:ベンゾフェノン:3重量部
酸化防止剤:1,6−ヘキサンジオール−ビス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]:1重量部
有機染料:ベージックブルー26:0.01重量部
チキソトロピー付与剤:N,N’−12−ヒドロキシステアリン酸ブチレンジアミン:0.5重量部
界面活性剤:ポリオキシエチレンセチルエーテル:0.49重量部。
上記隔壁用感光性ペーストを前記誘電体層が形成された基板上に乾燥後厚みが120μmになるようにダイコーターを用いて塗布した後、クリーンオーブンにて100℃、40分の乾燥を行い塗布膜を形成した。前記塗布膜において有効表示域(0.68×768=522.24mm)より外側のダミー補助隔壁形成領域にピッチ0.68mm、線幅50μmのストライプパターンが上下5本ずつ配置されたフォトマスクを介して露光した。
次いで、上記露光済みの基板上に乾燥後の厚みが70μmになるように前記隔壁用感光性ペーストをダイコーターにより塗布した後、クリーンオーブンにて100℃、40分の乾燥を行い塗布膜を形成した。前記塗布膜において有効表示域(隔壁:0.3×3×1024=921.6mm、補助隔壁:0.68×768=522.4mm)内に、ピッチ0.3mm、線幅50μmの隔壁パターンと、ピッチ0.68mm、線幅50μmの補助隔壁パターンが配置された格子状パターンを有するフォトマスクを介して露光した。
上記のようにして形成した露光済み基板を0.4質量%のエタノールアミン水溶液で現像し、隔壁パターンを形成した。パターン形成終了後の基板に対し570℃で15分間焼成を行うことにより、基板縦方向の最上下端から各々5本の非表示領域に相当する補助隔壁がそれと直交する隔壁の高さより低いプラズマディスプレイ用部材を得た(図3模式図参照)。
(実施例2)
ダミー補助隔壁を形成するための1回目の前記隔壁用感光性ペーストの塗布厚みを150μm、画像表示領域の補助隔壁及び隔壁を形成するための2回目の隔壁用感光性ペーストの塗布厚みを40μmとした以外は実施例1と同様にしてプラズマディスプレイ用部材を得た。
(実施例3)
ダミー補助隔壁を形成するための1回目の前記隔壁用感光性ペーストの塗布厚みを180μmとしダミー補助隔壁形成領域に上下各3本のストライプパターンを有するフォトマスクを介して露光を行い、画像表示領域の補助隔壁及び隔壁を形成するための2回目の隔壁用感光性ペーストの塗布厚みを8μmとした以外は実施例1と同様にしてプラズマディスプレイ用部材を得た。
(比較例1)
実施例1において誘電体層が形成された基板上に、隔壁用感光性ペーストを乾燥後厚みが190μmになるようにダイコーターにより塗布した後、クリーンオーブンにて100℃、40分乾燥を行い塗布膜を形成した。前記塗布膜において有効表示域(隔壁:0.3×3×1024=921.6mm、補助隔壁:0.68×768=522.4mm)内に、ピッチ0.3mm、線幅50μmの隔壁パターンと、ピッチ0.68mm、線幅50μmの補助隔壁パターンが配置され、かつ表示領域外の領域に上下5本ずつダミー補助隔壁パターンが配置された格子状パターンを有するフォトマスクを介して露光した。
上記のようにして形成した露光済み基板を0.4質量%のエタノールアミン水溶液で現像し、隔壁パターンを形成した。パターン形成終了済み基板を570℃で15分間焼成を行うことで、隔壁、補助隔壁、ダミー補助隔壁の高さが同じである基板を得た(図4模式図参照)。
(比較例2)
実施例1において、ダミー補助隔壁を形成するための1回目の前記隔壁用感光性ペーストの塗布厚みを185μm、画像表示領域の補助隔壁及び隔壁を形成するための2回目の隔壁用感光性ペーストの塗布厚みを3μmとした以外は実施例1と同様にしてプラズマディスプレイ用部材を得た。
(比較例3)
実施例1において、ダミー補助隔壁を形成するための1回目の前記隔壁用感光性ペーストの塗布厚みを89μm、画像表示領域の補助隔壁及び隔壁を形成するための2回目の隔壁用感光性ペーストの塗布厚みを97μmとした以外は実施例1と同様にしてプラズマディスプレイ用部材を得た。
(実施例4)
実施例1において、2回目の露光に用いたフォトマスクを補助隔壁パターンが2本1組(線幅50μm、1組の補助隔壁間の間隔150μm、隣り合った画素の補助隔壁とのピッチ:0.68mm)である格子状のパターンが配置されたものに変更した以外は同一手法により隔壁及び補助隔壁、ダミー補助隔壁が形成されたプラズマディスプレイ用部材を得た(図5模式図参照)。
(実施例5)
実施例2において、1回目の露光に用いたフォトマスクを補助隔壁パターンが有効表示域(0.68×768=522.24mm)では2本1組(線幅50μm、1組の補助隔壁間の間隔150μm、隣り合った画素の補助隔壁とのピッチ:0.68mm)であり、有効表示域より外側のダミー補助隔壁形成領域にピッチ0.68mm、線幅50μmのストライプパターンが上下5本ずつ配置されたものに変更し、2回目の露光に用いたフォトマスクをピッチ0.3μm、線幅50μmの隔壁パターンが配置されたものに変更した。それ以外は実施例2と同一手法により隔壁及び補助隔壁、ダミー補助隔壁が形成されたプラズマディスプレイ用部材を得た(図6模式図参照)。
実施例1〜5、及び比較例1〜3で形成された画像表示領域および基板縦方向の最上下端における隔壁および補助隔壁の高さをレーザー変位計(KEYENCE社製LT8010)を用いて測定した。結果を表1に示す。
(プラズマディスプレイの作製)
次いで直径100μm、0.9mmピッチで1024個の穴が設置されたノズルを用意し、粘度が50,000cpに調整された赤(R)蛍光体ペーストを前記ノズル内に充填し、一定の圧力をかけ穴からペーストを吐出し、前記実施例及び比較例によって形成された基板の表示領域にあたる隔壁−隔壁間に基板の下側から塗布速度60mm/secでディスペンサー塗布をし、130℃、20分乾燥することでR蛍光体が形成された基板を得た。
さらに同一手法で緑(G)、青(B)蛍光体を同一手法により塗布、乾燥し、表示領域内にRGB3色の蛍光体が形成されたプラズマディスプレイ用部材を得た。
次いで画像検査装置(Vテクノロジー製 ネプチューン9000)を用いて、得られたプラズマディスプレイ用部材の画像表示域内の蛍光体外観検査を実施し、隔壁/補助隔壁により形成されたセル内の蛍光体ヌケについてカウントした。結果を表1に示す。
Figure 2006261106
表1に示す通り、本発明の実施例においては、蛍光体のヌケが無いのに対し、本発明の範囲から外れる比較例は塗布スタート部分である基板の下側に蛍光体ヌケが多く、また部分的ではあるが隔壁頂部に蛍光体が付着したものであった。
次に、前面板を以下の工程によって作製した。まず、背面板と同じガラス基板上に、ITOをスパッタ法で形成後、レジスト塗布し、露光・現像処理、エッチング処理によって厚み0.1μm、線幅100μmの透明電極を形成した。また、黒色銀粉末からなる感光性銀ペーストを用いたフォトリソグラフィー法により、焼成後厚み5μmのバス電極を形成した。電極はピッチ680μm、線幅100μmのものを作製した。
次に、酸化鉛を75質量%含有する低融点ガラスの粉末を重量70%、エチルセルロース20質量%、テルピネオール10質量%を混練して得られたガラスペーストをスクリーン印刷により、表示部分のバス電極が覆われるように50μmの厚みで塗布した後に、570℃15分間の焼成を行って前面誘電体を形成した。
誘電体を形成した基板上に電子ビーム蒸着により保護膜として、厚み0.5μmの酸化マグネシウム層を形成して前面板を作製した。
得られた前面ガラス基板を、前記の実施例および比較例で得られたプラズマディスプレイ用部材と貼り合わせ封着した後、放電用ガスを封入し、駆動回路を接合してプラズマディスプレイ(PDP)を作製した。このパネルに電圧を印加して表示を観察したところ、実施例1〜5のプラズマディスプレイ用部材を用いたPDPは全面良好な表示であるのに対し、比較例1〜3のプラズマディスプレイ用部材はパネル下側に不灯部分が目立つものであった。
本発明のプラズマディスプレイ用部材の説明図 本発明のプラズマディスプレイ用部材の説明図 本発明の実施例1で得られたプラズマディスプレイ用部材の模式図 本発明の比較例1で得られたプラズマディスプレイ用部材の模式図 本発明の実施例4で得られたプラズマディスプレイ用部材の模式図 本発明の実施例5で得られたプラズマディスプレイ用部材の模式図
符号の説明
1:隔壁
2:補助隔壁
3:基板
R:画像表示領域
DB:ダミー補助隔壁形成領域

Claims (8)

  1. 基板上に少なくとも隔壁と、隔壁と垂直な方向に形成された補助隔壁とを有するプラズマディスプレイ用部材において、前記隔壁の長手方向を縦方向としたとき、少なくとも基板縦方向の最上端および/または最下端の補助隔壁の高さが、それと直交する隔壁の高さより低く、その高さの差が4〜60μmであることを特徴とするプラズマディスプレイ用部材。
  2. 前記直交する隔壁の高さより低い高さを有する補助隔壁を、基板縦方向の最上下端から各々1〜5本有することを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイ用部材。
  3. 前記補助隔壁が表示領域内においては2〜5本一組で前記縦方向に隣り合う表示セルを区切るように存在し、非表示領域においては略等間隔に存在することを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイ用部材。
  4. 前記プラズマディスプレイ用部材の、基板最下端の補助隔壁の高さが画像表示領域内に形成された補助隔壁の高さより低く、その高さの差が4〜60μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用部材。
  5. 前記プラズマディスプレイ用部材の画像表示領域における隔壁と補助隔壁の高さの差が0〜30μmであることを特徴とする請求項4記載のプラズマディスプレイ用部材。
  6. 基板に感光性ペーストを塗布し、該感光性ペーストの塗布膜を露光することにより、隔壁パターンおよび補助隔壁パターンを形成することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用部材の隔壁間に、ディスペンサー法により蛍光体ペーストを塗布することによって蛍光体層を設けることを特徴とする、プラズマディスプレイ用背面板の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用部材を用いることを特徴とするプラズマディスプレイ。
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