JP2006254232A - 情報処理装置およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】動画像ストリームのデコードに係るシステム負荷を適切に低減することを可能とした情報処理装置を提供する。
【解決手段】ビデオ再生アプリケーションプログラム201は、2つの画像を重ね合わせるためのブレンド処理が実行されていないかどうかを監視し、もし、実行されていなければ、全てのデコード処理(通常デコード処理)を実行する。一方、実行されていれば、そのブレンド処理に供される画像についてのデコード処理のうち、色成分のデコード処理を省略した特殊デコード処理を実行することで、システム負荷を少しでも低減させる。
【選択図】 図3
【解決手段】ビデオ再生アプリケーションプログラム201は、2つの画像を重ね合わせるためのブレンド処理が実行されていないかどうかを監視し、もし、実行されていなければ、全てのデコード処理(通常デコード処理)を実行する。一方、実行されていれば、そのブレンド処理に供される画像についてのデコード処理のうち、色成分のデコード処理を省略した特殊デコード処理を実行することで、システム負荷を少しでも低減させる。
【選択図】 図3
Description
この発明は、例えばパーソナルコンピュータなどの情報処理装置に適用して好適な動画像ストリームのデコード技術に関する。
近年、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤやテレビジョン装置のようなオーディオ・ビデオ(AV)機器と同様のAV機能を備えたパーソナルコンピュータが普及し始めている。そして、この種のパーソナルコンピュータでは、圧縮符号化された動画像ストリームをソフトウェアによってデコードするソフトウェアデコーダが用いられている。このソフトウェアデコーダを使用することにより、専用のハードウェアを別途設けることなく、圧縮符号化された動画像ストリームをプロセッサ(CPU)によってデコードすることが可能になる。
また、最近では、次世代の動画像圧縮符号化技術として、H.264/AVC(Advanced Video Coding)規格が注目されている。このH.264/AVC規格は、MPEG2やMPEG4のような従来の圧縮符号化技術よりも高能率の圧縮符号化技術である。このため、H.264/AVC規格に対応するエンコード処理およびデコード処理の各々においては、MPEG2やMPEG4のような従来の圧縮符号化技術よりも多くの処理量が必要とされる。
一方、動画像ストリームのデコード量を低減するための提案も、これまで種々なされている(例えば特許文献1等参照)。この特許文献1には、色成分のデコード処理を省略することでビデオデコーダ処理量を低減する技術が記載されている。
特開平8−339447号公報
しかしながら、いくらビデオデコーダ処理量が低減できるといっても、動画像ストリームのデコード処理において、色成分のデコード処理を省略する事は、通常ではとても許されるものではない。
ところで、最近では、ある画像の上に別の画像を重ね合わせるブレンド処理もソフトウェアで行えるようになってきている。このブレンド処理は、ただ単に2つの画像を繋ぎ合わせて合成するのではなく、重ねる側(上側)の画像を透かして重ねられる側(下側)の画像が見られるように、重ねる側の画像の透明度(または不透過度)を考慮した高度な合成を行うものである。これにより、例えばある画像を見続けながら同一の視界上で別の画像を見ることが可能となる。
そして、このようなブレンド処理が行われている最中であれば、例えば事前のユーザによる設定によっては、2つの画像の一方または両方の画像についての色成分のデコード処理を省略する事も可能である。この省略化によるシステムの負荷低減は、複数のソフトウェアが同時に利用され得るパーソナルコンピュータにおいて、その効果が特に大きい。
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、動画像ストリームのデコードに係るシステム負荷を適切に低減することを可能とした情報処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、この発明の情報処理装置は、圧縮符号化された動画像ストリームをデコードするためのデコード処理を実行するデコード処理手段と、第1の画面上に第2の画面を重ね合わせて画面を生成するブレンド処理手段と、前記第1の画面および前記第2の画面の少なくとも一方の画面に対する前記デコード処理手段による前記デコード処理における色成分のデコード処理を省略させる制御処理を実行する制御手段とを具備することを特徴とする。
また、この発明は、データ処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、圧縮符号化された動画像ストリームをデコードするためのデコード処理を前記コンピュータに実行させる手順と、第1の画面上に第2の画面を重ね合わせて画面を生成するブレンド処理を前記コンピュータに実行させる手順と、前記第1の画面および前記第2の画面の少なくとも一方の画面に対する前記デコード処理における色成分のデコード処理を省略させる制御処理を前記コンピュータに実行させる手順とを具備することを特徴とする。
この発明によれば、動画像ストリームのデコードに係るシステム負荷を適切に低減することを可能とした情報処理装置およびプログラムを提供することができる。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るコンピュータの構成について説明する。この情報処理装置は、例えば、ノートブック型パーソナルコンピュータ10として実現されている。
図1は、ノートブック型パーソナルコンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。本コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12には、LCD(Liquid Crystal Display)17から構成される表示装置が組み込まれており、そのLCD17の表示画面は、ディスプレイユニット12のほぼ中央に位置されている。
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対して開放位置と閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。コンピュータ本体11は薄い箱形の筐体を有しており、その上面にはキーボード13、本コンピュータ10を電源オン/オフするためのパワーボタン14、入力操作パネル15およびタッチパッド16などが配置されている。
入力操作パネル15は、押下されたボタンに対応するイベントをシステムに入力する入力装置であり、複数の機能をそれぞれに起動するための複数のボタンを備えている。これらボタン群には、TV起動ボタン15A、DVD(Digital Versatile Disc)起動ボタン15Bが含まれている。TV起動ボタン15Aは、デジタルTV放送番組のような放送番組データの再生及び記録を行うためのTV機能を起動するためのボタンであり、ユーザによって押下されると、このTV機能を実行するためのTVアプリケーションプログラムが起動される。また、DVD起動ボタン15Bは、DVDに記録されたビデオコンテンツを再生するためのボタンであり、ユーザによって押下されると、ビデオコンテンツを再生するためのアプリケーションプログラムが自動的に起動される。
次に、図2を参照して、本コンピュータ10のシステム構成について説明する。
本コンピュータ10は、図2に示されているように、CPU111、ノースブリッジ112、主メモリ113、グラフィクスコントローラ114、サウスブリッジ119、BIOS−ROM120、ハードディスクドライブ(HDD)121、光ディスクドライブ(ODD)122、デジタルTV放送チューナ123、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)124およびネットワークコントローラ125等を備えている。
CPU111は、本コンピュータ10の動作を制御するために設けられたプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)121から主メモリ113にロードされる、オペレーティングシステム(OS)およびビデオ再生アプリケーションプログラム201のような各種アプリケーションプログラムを実行する。
ビデオ再生アプリケーションプログラム201は、圧縮符号化された動画像データをデコードおよび再生するためのソフトウェアである。このビデオ再生アプリケーションプログラム201は、H.264/AVC規格に対応するソフトウェアデコーダである。ビデオ再生アプリケーションプログラム201は、H.264/AVC規格で定義された符号化方式で圧縮符号化されている動画像ストリーム(例えば、デジタルTV放送チューナ123によって受信されたデジタルTV放送番組、光ディスクドライブ(ODD)122から読み出されるHD(High Definition)規格のビデオコンテンツ、など)をデコードするための機能を有している。
このビデオ再生アプリケーションプログラム201は、図3に示すように、デコード制御モジュール211、デコード実行モジュール212およびブレンド処理部213を備えている。
デコード実行モジュール212は、H.264/AVC規格で定義されたデコード処理を実行するデコーダである。ブレンド処理部213は、デコード実行モジュール212によってデコードされた2つの画像を重ね合わせるためのブレンド処理を実行する。ブレンド処理は、重ねる側(上側)の画像データに付随するアルファデータに基づき、2つの画像データを画素単位で重ね合わせるものである(アルファブレンディング)。アルファデータは、重ねる側(上側)の画像データの各画素の透明度(または不透明度)を示す係数である。なお、ここでは、重ねる側(上側)および重ねられる側(下側)の双方ともデコード実行モジュール212によってデコードされた画像を例に説明するが、これに限られるものではなく、いずれか一方を、例えばユーザインタフェース用に予め用意されたメニュー画面等の描画(グラフィックス)とした重ね合わせも可能である。
そして、デコード制御モジュール211は、デコード実行モジュール212によってデコードされた画像がブレンド処理部213によるブレンド処理に用いられるか否かで、デコード実行モジュール212によって実行されるデコード処理の内容を制御する。
具体的には、デコード制御モジュール211は、デコード実行モジュール213によってデコードされた画像がブレンド処理部213によるブレンド処理に用いられない場合、H.264/AVC規格で定義されたデコード処理がCPU111によって実行されるように、デコード実行モジュール213によって実行すべきデコード処理の内容を制御する。一方、ブレンド処理部213によるブレンド処理に用いられる場合には、デコード制御モジュール211は、H.264/AVC規格で定義されたデコード処理の一部が省略された処理に置換されるように、デコード実行モジュール212によって実行すべきデコード処理の内容を制御する。
なお、このビデオ再生アプリケーションプログラム201によってデコードされた動画像データは、表示ドライバ202を介してグラフィクスコントローラ114のビデオメモリ114Aに順次書き込まれる。これにより、デコードされた動画像データはLCD17に表示される。表示ドライバ202はグラフィクスコントローラ114を制御するためのソフトウェアである。
また、CPU111は、BIOS−ROM120に格納されたシステムBIOS(Basic Input Output System)も実行する。システムBIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
ノースブリッジ112はCPU111のローカルバスとサウスブリッジ119との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ112には、主メモリ113をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ112は、AGP(Accelerated Graphics Port)バスなどを介してグラフィクスコントローラ114との通信を実行する機能も有している。
グラフィクスコントローラ114は本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。このグラフィクスコントローラ114はビデオメモリ(VRAM)114Aに書き込まれた画像データからLCD17に送出すべき表示信号を生成する。
サウスブリッジ119は、LPC(Low Pin Count)バス上の各デバイス、およびPCI(Peripheral Component Interconnect)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ119は、HDD121、ODD122を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ119は、デジタルTV放送チューナ123を制御する機能、およびBIOS−ROM120をアクセス制御するための機能も有している。
HDD121は、各種ソフトウェア及びデータを格納する記憶装置である。光ディスクドライブ(ODD)122は、ビデオコンテンツが格納されたDVDなどの記憶メディアを駆動するためのドライブユニットである。デジタルTV放送チューナ123は、デジタルTV放送番組のような放送番組データを外部から受信するための受信装置である。
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)124は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)13およびタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。このエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)124は、ユーザによるパワーボタン14の操作に応じて本コンピュータ10を電源オン/オフする機能を有している。さらに、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)124は、ユーザによるTV起動ボタン15A、DVD起動ボタン15Bの操作に応じて、本コンピュータ10を電源オンすることもできる。ネットワークコントローラ125は、例えばインターネットなどの外部ネットワークとの通信を実行する通信装置である。
次に、図4を参照して、ビデオ再生アプリケーションプログラム201によって実現されるソフトウェアデコーダの機能構成を説明する。
ビデオ再生アプリケーションプログラム201のデコード実行モジュール213は、H.264/AVC規格に対応しており、図示のように、エントロピー復号部301、逆量子化部302、逆DCT部(DCT:Discrete Cosine Transform)303、加算部304、デブロッキングフィルタ部305、フレームメモリ306、動きベクトル予測部307、補間予測部308、重み付き予測部309、イントラ予測部310、およびモード切替スイッチ部311を含む。H.264の直交変換は整数精度であり、従来のDCTとは異なるが、ここではDCTと称することとする。
各画面(ピクチャ)の符号化は、たとえば16x16画素のマクロブロック単位で実行される。各マクロブロックごとに、フレーム内符号化モード(イントラ符号化モード)および動き補償フレーム間予測符号化モード(インター符号化モード)のいずれか一方が選択される。
動き補償フレーム間予測符号化モードにおいては、既に符号化された画面(ピクチャ)からの動きを推定することによって、符号化対象画面に対応する動き補償フレーム間予測信号が定められた形状単位で生成される。そして、符号化対象画面(ピクチャ)から動き補償フレーム間予測信号を引いた予測誤差信号が、直交変換(DCT)、量子化、およびエントロピー符号化によって、符号化される。また、イントラ符号化モードにおいては、符号化対象画面(ピクチャ)から予測信号が生成され、その予測信号が直交変換(DCT)、量子化、およびエントロピー符号化によって、符号化される。
H.264/AVC規格に対応するコーデックは、さらに圧縮率を高めるために、
(1)従来のMPEGよりも高い画素精度(1/4画素精度)の動き補償
(2)フレーム内符号化を効率的に行うためのフレーム内予測
(3)ブロック歪みを低減するためのデブロッキングフィルタ
(4)4x4画素単位の整数DCT
(5)任意の位置の複数の画面(ピクチャ)を参照画面として使用可能なマルチリファレンスフレーム
(6)重み付け予測
等の技術を利用する。
(1)従来のMPEGよりも高い画素精度(1/4画素精度)の動き補償
(2)フレーム内符号化を効率的に行うためのフレーム内予測
(3)ブロック歪みを低減するためのデブロッキングフィルタ
(4)4x4画素単位の整数DCT
(5)任意の位置の複数の画面(ピクチャ)を参照画面として使用可能なマルチリファレンスフレーム
(6)重み付け予測
等の技術を利用する。
以下、図4のソフトウェアデコーダの動作を説明する。
H.264/AVC規格にしたがって圧縮符号化された動画像ストリームは、まず、エントロピー復号部301に入力される。圧縮符号化された動画像ストリームには、符号化された画像情報の他に、動き補償フレーム間予測符号化(インター予測符号化)で用いられた動きベクトル情報、フレーム内予測符号化(イントラ予測符号化)で用いられたフレーム内予測情報、予測モード(インター予測符号化/イントラ予測符号化)を示すモード情報等が含まれている。
デコード処理は、例えば16x16画素のマクロブロック単位で実行される。エントロピー復号部301は動画像ストリームに対して可変長復号のようなエントロピー復号処理を施して、動画像ストリームから、量子化DCT係数、動きベクトル情報(動きベクトル差分情報)、フレーム内予測情報、およびモード情報を分離する。この場合、例えば、デコード対象画面(ピクチャ)内の各マクロブロックは4x4画素(または8x8画素)のブロック毎にエントロピー復号処理され、各ブロックは4x4(または8x8画素)の量子化DCT係数に変換される。以下では、各ブロックが4x4である場合を想定する。動きベクトル情報は、動きベクトル予測部307に送られる。フレーム内予測情報は、イントラ予測部310に送られる。モード情報はモード切替スイッチ部311に送られる。
各デコード対象ブロックの4x4の量子化DCT係数は、逆量子化部302による逆量子化処理により4x4のDCT係数(直交変換係数)に変換される。この4x4のDCT係数は、逆DCT部303による逆整数DCT(逆直交変換)処理によって、周波数情報から、4x4の画素値に変換される。この4x4の画素値は、デコード対象ブロックに対応する予測誤差信号である。この予測誤差信号は加算部304に送られ、そこでデコード対象ブロックに対応する予測信号(動き補償フレーム間予測信号またはフレーム内予測信号)が加算され、これによってデコード対象ブロックに対応する4x4の画素値がデコードされる。
イントラ予測モードにおいては、モード切替スイッチ部311によってイントラ予測部310が選択され、これによってイントラ予測部310からのフレーム内予測信号が予測誤差信号に加算される。インター予測モードにおいては、モード切替スイッチ部311によって重み付き予測部309が選択され、これによって、動きベクトル予測部307、補間予測部308、および重み付き予測部309によって得られる動き補償フレーム間予測信号が予測誤差信号に加算される。
このように、デコード対象画面に対応する予測誤差信号に予測信号(動き補償フレーム間予測信号またはフレーム内予測信号)を加算してデコード対象画面をデコードする処理が所定のブロック単位で実行される。
デコードされた各画面(ピクチャ)は、デブロッキングフィルタ部305によってデブロッキングフィルタ処理が施された後に、フレームメモリ306に格納される。このデブロッキングフィルタ部305は、例えば4x4画素のブロック単位で、デコードされた各画面に対してブロックノイズを低減するためのデブロッキングフィルタ処理を施す。このデブロッキングフィルタ処理は、ブロック歪みが参照画像に含まれてしまい、これによってブロック歪みが復号画像に伝搬してしまうことを防止する。デブロッキングフィルタ処理のための処理量は膨大であり、ソフトウェアデコーダの全処理量の50パーセントを占める場合もある。デブロッキングフィルタ処理は、ブロック歪みが生じやすい箇所に対してはより強いフィリタリングが施され、ブロック歪みが生じにくい箇所に対しては弱いフィリタリングが施されるように、適応的に実行される。デブロッキングフィルタ処理はループフィルタ処理によって実現されている。
そして、デブロッキングフィルタ処理された各画面は、フレームメモリ306から出力画像フレーム(または出力画像フィールド)として読み出される。また、動き補償フレーム間予測のための参照画像として使用されるべき各画面(参照画面)は、フレームメモリ306内に一定期間保持される。H.264/AVC規格の動き補償フレーム間予測符号化においては、複数の画面を参照画面として使用することができる。このため、フレームメモリ306は、複数画面分の画像を記憶するための複数個のフレームメモリ部を備えている。
動きベクトル予測部307は、デコード対象ブロックに対応する動きベクトル差分情報に基づいて、動きベクトル情報を生成する。補間予測部308は、デコード対象ブロックに対応する動きベクトル情報に基づいて、参照画面内の、整数精度の画素群および1/4画素精度の予測補間画素群から、動き補償フレーム間予測信号を生成する。1/4画素精度の予測補間画素の生成においては、まず、6タップフィルタ(入力6つ、出力1つ)を用いて1/2画像を生成し、続いて2タップフィルタを用いることにより実現される。このため、高周波成分まで考慮した高精度の予測補間処理を実行できるが、その分、動き補償には多くの処理量が必要となる。
重み付け予測部309は、動き補償フレーム間予測信号に対して重み係数を乗じる処理を動き補償ブロック単位で実行することにより、重み付けされた動き補償フレーム間予測信号を生成する。この重み付け予測は、デコード対象画面の明るさを予測する処理である。この重み付け予測処理により、フェード・イン、フェード・アウトのように、明るさが時間の経過と共に変化する画像の画質を向上することができる。しかし、その分、ソフトウェアデコードに必要な処理量は増大する。
イントラ予測部310は、デコード対象画面からその画面内に含まれるデコード対象ブロックのフレーム内予測信号を生成するものである。このイントラ予測部310は、上述のフレーム内予測情報に従って画面内予測処理を実行して、デコード対象ブロックと同一画面内に存在する、当該デコード対象ブロックに近接する既にデコードされた他のブロック内の画素値からフレーム内予測信号を生成する。このフレーム内予測(イントラ予測)は、ブロック間の画素相関を利用して圧縮率を高める技術である。このフレーム内予測においては、例えば16x16画素の場合、フレーム内予測情報に従って、垂直予測(予測モード0)、水平予測(予測モード1)、平均値予測(予測モード2)、平面予測(予測モード3)を含む4種類の予測モードの内の一つが、フレーム内予測ブロック単位で選択される。平面予測が選択される頻度は他のフレーム内予測モードよりも低いが、平面予測のために必要とされる処理量は、他のどのフレーム内予測モードの処理量よりも多い。
本実施形態においては、ブレンド処理部213によるブレンド処理が行われる場合、そのブレンド処理に用いられる画像のデコード処理について、ユーザの設定に基づき、図4で説明したデコード処理(以下、通常デコード処理と称する)と、特殊デコード処理とを選択的に実行する。特殊デコード処理は、通常デコード処理から色成分(Cb/Cr)のデコード処理を省略したデコード処理である。つまり、ある画像の上に別の画像が重ね合わせられる状況下においては、下側の画像はモノクロームで構わないと考えるユーザや、下側の画像中の上側の画像が重ねられる部分についてはモノクロームで構わないと考えるユーザの場合、その旨の設定を行っておくことにより、下側の画像全体、または下側の画像中の上側の画像が重ねられる部分に対するデコード処理の中の色成分のデコード処理が省略され、その分、システムの負荷を低減させることができる。この設定は、ビデオ再生アプリケーションプログラム201が提示するユーザインタフェース用の設定画面上でユーザが所定の操作を行う等、いずれの方法によっても構わない。
ここで、ブレンド処理部213によって実行されるブレンド処理(アルファブレンディング)について簡単に説明する。
第1の画像(下側)上に第2の画像(上側)を画素単位で重ね合わせる場合、ブレンド処理部213は、次の(1)式によって、この重ね合わせ後の合成画像の各画素の色を演算する。
V=α×B+(1−α)A …(1)式
ここで、Vはアルファブレンディングで得られる合成画像の各画素の色、αは第2の画像の各画素に対応するアルファデータ、Bは第2の画像の各画素の色、Aは第1の画像の各画素の色である。
ここで、Vはアルファブレンディングで得られる合成画像の各画素の色、αは第2の画像の各画素に対応するアルファデータ、Bは第2の画像の各画素の色、Aは第1の画像の各画素の色である。
いま、図5に示すように、1920×1080画素の第1の画面(a1)上に720×480画素の第2の画面(a2)を重ね合わせた合成画面(a3)をブレンド処理(アルファブレンディング)で生成する場合を考える。
この場合、1920×1080画素の第1の画面(a1)のうち、720×480画素の第2の画面(a2)が重畳されない領域の各画素のアルファデータは0である。そのため、720×480画素の第2の画面(a2)が重畳されない領域は透明となるので、合成画面(a3)上における当該領域には第1の画面(a1)の画像データが100%の不透明度で表示される。また、720×480画素の第2の画面(a2)の画像データの各画素は、合成画面(a3)上において、第2の画面(a2)の画像データに対応するアルファデータで指定される透明度で第1の画面(a1)の画像データ上に表示される。例えば、アルファデータ=1の第2の画面(a2)の画像データの画素は100%の不透明度で表示され、当該画素位置に対応する第1の画面(a1)の画像データの画素は表示されないことになる。
このようなブレンド処理(アルファブレンディング)に用いられる画像に対するデコード処理の中の色成分のデコード処理の省略方法としては、次の2通りが適用可能である。
(省略方法1)図4で説明したデコード処理のうち、斜線で示されるすべてのデコードモジュール(逆量子化部302、逆DCT部303、デブロッキングフィルタ部305、動きベクトル予測部307、補間予測部308、重み付き予測部309、イントラ予測部310)のCb/Crデコードをスキップする。
(省略方法2)H.264では、High Profileの場合、H.264ストリーム中の後述するSPS(Sequence Parameter Set)に、chroma_format_idcと呼ばれる色成分が含まれる割合を示すフラグが存在する。このchroma_format_idcの値が0の場合、動画がモノクロームであることを示しているので、この場合はデコーダはCb/Cr成分をデコードしない。そこで、これを利用し、High Profileのとき、chroma_format_idcの値が0以外であっても、エントロピー復号部301によるエントロピー復号時に、このchroma_format_idcの値をデコードした時点で0に書き換えることで、デコーダによる色成分(Cb/Cr)のデコード処理を省略する。SPSのデコードはそれほど多くないため、このchroma_format_idcの書き換えはデコードへの負担とはならない。
次に、図6のフローチャートを参照して、ビデオ再生アプリケーションプログラム201によって実行されるデコード処理の手順を説明する。
ビデオ再生アプリケーションプログラム201は、デコード処理の実行期間中、ブレンド処理部213によるアルファブレンディングの実行有無を監視し(ステップS1)、アルファブレンディングが行われていなければ(ステップS1のNO)、CPU111に実行させるべきデコード処理として上述の通常デコード処理を選択し、これによって図4で説明した一連の処理をCPU111上で実行する(ステップS2)。
アルファブレンディングが行われていれば(ステップS1のYES)、ビデオ再生アプリケーションプログラム201は、アルファブレンディング時における色成分(Cb/Cr)のデコード処理について、ユーザの設定が省略するようになされているかどうかを調べ(ステップS3)、省略しない設定であれば(ステップS3のNO)、アルファブレンディングが行われていない場合と同様、CPU111に実行させるべきデコード処理として上述の通常デコード処理を選択し、これによって図4で説明した一連の処理をCPU111上で実行する(ステップS2)。
一方、省略する設定であれば(ステップS3のYES)、ビデオ再生アプリケーションプログラム201は、通常デコード処理から色成分(Cb/Cr)のデコード処理を省略したデコード処理をCPU111上で実行する(ステップS4)。
そして、動画像ストリーム全てのデコードが完了するまで、上述のステップS1〜S4の処理は繰り返し実行されるので(ステップS5)、その間にアルファブレンディングが開始または停止されると、その後のアルファブレンディング有無に応じて、通常デコード処理から特殊デコード処理、または特殊デコード処理から通常デコード処理への切り替えが行われる。
H.264のシーケンスの構造は、図7のように複数のアクセスユニット(AU)から構成されている。各アクセスユニットは1つの画面に対応している。各アクセスユニットは複数のNALユニットから構成されている。NALユニットには32種類あり、ヘッダ部を解析することによってその種類を判別することができる。図8は、図7に示したAUの構造に、High Profileの場合における具体的なNALユニットの種類を当てはめて示した図である。この図8中の各ブロックはNALユニットを示している。
そして、ビデオ再生アプリケーションプログラム201は、High Profileの場合、図8に示すAUの構造に当てはめられたNALユニットのうち、SPSのNALユニットに存在するchroma_format_idcを参照し、前述したように、その値を0に書き換えることで色成分(Cb/Cr)のデコード処理を省略できる。図9は、chroma_format_idcの値と色成分の割合との対応を示す図であり、図示のように、chroma_format_idcの値が0の場合には、モノクロームであることを示している。なお、1〜3の場合の3つの数字は、左から輝度Y、色差(Cb)、色差(Cr)の各データのビット数を示している。
以上のように、本実施形態によれば、ブレンド処理(アルファブレンディング)が行われている状況下において、ユーザの設定に基づき、色成分のデコード処理を省略してシステムの負荷を低減することを実現する。
なお、前述の実施形態では、別の画像が重ねられる下側の画像全体、または下側の画像中の上側の画像が重ねられる部分に対するデコード処理の中の色成分のデコード処理を省略することを例に説明したが、例えば重ねる側の上側の画像に対するデコード処理の中の色成分のデコード処理を省略することも当然に可能である。
また、前述のデコード制御処理は全てコンピュータプログラムによって実現されているので、このコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じて通常のコンピュータに導入するだけで、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
また、本実施形態のソフトウェアデコーダは、パーソナルコンピュータに限らず、PDA、携帯型電話機等にも適用することができる。
つまり、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
10…コンピュータ、11…コンピュータ本体、12…ディスプレイユニット、13…キーボード、14…パワーボタン、15…入力操作パネル、15A…TV起動ボタン、15B…DVD起動ボタン、16…タッチパッド、17…LCD、111…CPU、112…ノースブリッジ、113…主メモリ、114…グラフィクスコントローラ、114A…ビデオメモリ、119…サウスブリッジ、120…BIOS−ROM、121…ハードディスクドライブ(HDD)、121…光ディスクドライブ(ODD)、122…動画像ストリーム、123…TV放送チューナ、124…エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)、125…ネットワークコントローラ、200…オペレーティングシステム、201…ビデオ再生アプリケーションプログラム、202…表示ドライバ、211…デコード制御モジュール、212…デコード実行モジュール、213…ブレンド処理部、301…エントロピー復号部、302…逆量子化部、303…DCT部、304…加算部、305…デブロッキングフィルタ部、306…フレームメモリ、307…動きベクトル予測部、308…補間予測部、309…重み付き予測部、310…イントラ予測部、311…モード切替スイッチ部。
Claims (14)
- 圧縮符号化された動画像ストリームをデコードするためのデコード処理を実行するデコード処理手段と、
第1の画面上に第2の画面を重ね合わせて画面を生成するブレンド処理手段と、
前記第1の画面および前記第2の画面の少なくとも一方の画面に対する前記デコード処理手段による前記デコード処理における色成分のデコード処理を省略させる制御処理を実行する制御手段と
を具備することを特徴とする情報処理装置。 - 前記デコード処理における色成分のデコード処理の省略可否を設定する設定手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
- 前記制御手段は、前記第1の画面および前記第2の画面の少なくとも一方の画面全体に対する前記デコード処理手段による前記デコード処理における色成分のデコード処理を省略させる制御処理を実行することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
- 前記制御手段は、前記第1の画面と前記第2の画面とが重ね合わさる領域を対象に、前記第1の画面および前記第2の画面の少なくとも一方の画面に対する前記デコード処理手段による前記デコード処理における色成分のデコード処理を省略させる制御処理を実行することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
- 前記制御手段は、前記第1の画面および前記第2の画面に対する前記デコード処理手段による前記デコード処理における色成分のデコード処理を省略させる制御処理を実行することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
- 前記制御手段は、前記動画像ストリームに含まれる色成分の割合を示すフラグの値を零とすることで前記色成分のデコード処理を省略させることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
- 前記ブレンド処理手段は、前記第2の画面の各画素の透明度を示すアルファデータに基づき、前記第2の画面を透過して当該第2の画面が重畳された前記第1の画面上の領域を目視可能な合成画面を生成するブレンド処理を実行することを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の情報処理装置。
- データ処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
圧縮符号化された動画像ストリームをデコードするためのデコード処理を前記コンピュータに実行させる手順と、
第1の画面上に第2の画面を重ね合わせて画面を生成するブレンド処理を前記コンピュータに実行させる手順と、
前記第1の画面および前記第2の画面の少なくとも一方の画面に対する前記デコード処理における色成分のデコード処理を省略させる制御処理を前記コンピュータに実行させる手順と
を具備することを特徴とするプログラム。 - 前記デコード処理における色成分のデコード処理の省略可否を設定する設定処理を前記コンピュータに実行させる手順をさらに具備することを特徴とする請求項8記載のプログラム。
- 前記制御処理を前記コンピュータに実行させる手順は、前記第1の画面および前記第2の画面の少なくとも一方の画面全体に対する前記デコード処理における色成分のデコード処理を省略させる制御処理を前記コンピュータに実行させる手順を含むことを特徴とする請求項8記載のプログラム。
- 前記制御処理を前記コンピュータに実行させる手順は、前記第1の画面と前記第2の画面とが重ね合わさる領域を対象に、前記第1の画面および前記第2の画面の少なくとも一方の画面に対する前記デコード処理における色成分のデコード処理を省略させる制御処理を前記コンピュータに実行させる手順を含むことを特徴とする請求項8記載のプログラム。
- 前記制御処理を前記コンピュータに実行させる手順は、前記第1の画面および前記第2の画面に対する前記デコード処理における色成分のデコード処理を省略させる制御処理を前記コンピュータに実行させる手順を含むことを特徴とする請求項8記載のプログラム。
- 前記制御処理を前記コンピュータに実行させる手順は、前記動画像ストリームに含まれる色成分の割合を示すフラグの値を零とすることで前記色成分のデコード処理を省略させることを特徴とする請求項8記載のプログラム。
- 前記ブレンド処理を前記コンピュータに実行させる手順は、前記第2の画面の各画素の透明度を示すアルファデータに基づき、前記第2の画面を透過して当該第2の画面が重畳された前記第1の画面上の領域を目視可能な合成画面を生成するブレンド処理を前記コンピュータに実行させる手順を含むことを特徴とする請求項8記載のプログラム。
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