JP2006243189A - カメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は高品質の写真を得ることができるとともに、測距時間を短縮することができるカメラを提供することを目的とする。
【解決手段】 制御部1は低輝度時に露光量を大きくする露出制御を行う。また、測光部103により検出された外光輝度が所定輝度以下である場合、出力回路15により300個の電気信号が積分されて得られたAF信号に基づいて被写体までの距離を制御部1が算出する。また、測光部103により検出された外光輝度が所定輝度より大きい場合、出力回路15により20個の電気信号が積分されて得られたAF信号に所定係数15を乗算して得たAF信号に基づいて距離を制御部1は算出する。制御部1は、このような露出制御を行うとともに、距離の算出を行って撮影を行う。
【選択図】 図12
【解決手段】 制御部1は低輝度時に露光量を大きくする露出制御を行う。また、測光部103により検出された外光輝度が所定輝度以下である場合、出力回路15により300個の電気信号が積分されて得られたAF信号に基づいて被写体までの距離を制御部1が算出する。また、測光部103により検出された外光輝度が所定輝度より大きい場合、出力回路15により20個の電気信号が積分されて得られたAF信号に所定係数15を乗算して得たAF信号に基づいて距離を制御部1は算出する。制御部1は、このような露出制御を行うとともに、距離の算出を行って撮影を行う。
【選択図】 図12
Description
本発明は、周囲の明るさに応じた高品質な撮影が行えるカメラに関する。
近年、ストロボ発光を行うことなく、高品質な写真撮影が容易に行えるカメラとして、「木村正博、カラーネガフィルムを活かす「富士フィルム『ナチュラルフォトシステム』NATURA」、写真工業、写真工業出版社、2004年11月1日、第62巻、第11号、P43−45」(特許文献1)に記載されているナチュラルフォトシステムが知られている。このナチュラルフォトシステムは、フィルム感度が所定感度以上である場合には、ストロボによる発光を行うことなく、自然光による撮影を行うことができ、高品質の写真を得ることができる。
木村正博、カラーネガフィルムを活かす「富士フィルム『ナチュラルフォトシステム』NATURA」、写真工業、写真工業出版社、2004年11月1日、第62巻、第11号、P43−45
木村正博、カラーネガフィルムを活かす「富士フィルム『ナチュラルフォトシステム』NATURA」、写真工業、写真工業出版社、2004年11月1日、第62巻、第11号、P43−45
しかしながら、このナチュラルフォトシステムにおいては、ストロボ発光による撮影までの時間がかかることを抑えることができるものの、一般のカメラと同様に被写体までの距離を測定(いわゆる測距)して、その距離に基づいた合焦制御を行う必要があるため、測距を行うための時間を短縮することは困難であった。
そこで、本発明は高品質の写真を得ることができるとともに、測距時間を短縮することができるカメラを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明のカメラは、撮像媒体の撮像感度を検出する感度検出手段と、外光輝度を検出する輝度検出手段と、前記感度検出手段により撮像媒体の感度が所定感度以上であると検出された場合であって、前記輝度検出手段により検出された外光輝度が所定の第1輝度領域にある場合には、検出された輝度に対応した露出基準値から第1の露出補正値を減じて算出された露出目標値に基づいて露出制御を行い、前記感度検出手段により撮像媒体の感度が所定感度以上であると検出された場合であって、前記輝度検出手段により検出された外光輝度が前記第1輝度領域より大きい領域に設定されている第2輝度領域にある場合には、露出基準値から前記第1の露出補正値より小さい値に設定されている第2の露出補正値を減じて算出された露出目標値に基づいて露出制御を行う露出制御手段と、被写体に向けて光束を投光する投光手段と、前記被写体に投光された前記光束の反射光を受光し、前記被写体までの距離に応じた電気信号を出力する受光手段と、、前記受光手段により出力された電気信号を複数回入力して積分する積分手段と、前記輝度検出手段により検出された外光輝度が所定輝度以下である場合、前記積分手段により電気信号が第1の回数積分されて得られた測距信号に基づいて被写体までの距離を算出し、前記輝度検出手段により検出された外光輝度が所定輝度より大きい場合、前記積分手段により電気信号が前記第1の回数より少なく設定されている第2の回数積分されて得られた測距信号に基づいて被写体までの距離を算出する距離算出手段と、前記距離算出手段により算出された距離に基づいて合焦制御を行うとともに、前記露出制御手段による露出制御を行って撮影を行う撮影手段と、を備えている。
この発明によれば、感度検出手段により撮像媒体の撮像感度が所定感度以上であることが検出された場合であって、輝度検出手段により検出された外光輝度が第1輝度領域にある場合、検出された外光輝度に応じた露出基準値から第1の露出補正値を減じて算出した露出目標値による露出制御を行い、輝度検出手段により検出された外光輝度が第2輝度領域にある場合、検出された外光輝度に応じた露出基準値から第2の露出補正値を減じて算出した露出目標値による露出制御を行う。さらに輝度検出手段により検出された外光輝度が所定輝度以下である場合、積分手段により電気信号が第1の回数積分されて得られた測距信号に基づいて距離算出手段は被写体までの距離を算出し、輝度検出手段により検出された外光輝度が所定輝度より大きい場合、積分手段により電気信号が前記第1の回数より少なく設定されている第2の回数積分されて得られた測距信号に基づいて距離算出手段は被写体までの距離を算出することができる。撮影手段は、算出された距離および露出制御に基づいて撮影を行う。これにより、低輝度時には露光量を増加する露出目標値に基づいて露出制御することにより、自然光による撮影を可能とする。一方、高輝度時には、露出基準値に基づいて露出制御するとともに、被写体までの距離を測定する際、少ない回数の電気信号を積分することにより、測距時間を短縮することができる。
つまり、高輝度時においては、輝度に応じた露出制御を行って、露出制御のF値は大きく設定されることになり、被写界深度を拡大することができる。F値が大きく設定された場合、AF線図において規定する錯乱円(および許容錯乱円)に対する被写体までの距離(フォーカスレンズのセット位置)における焦点ずれの許容幅は大きくなる。よって、被写体の測距を大まかに行ったとしても、合焦精度に対する影響は少なく、実質的に合焦精度を担保しつつ、測距時間を短縮することができる。
本発明は、高輝度時には測距における積分回数を少なくして測距処理における積分を行うことにより、実質的に合焦精度を担保しつつ、測距時間を短縮することができる。
本発明は、一実施形態のために示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解することができる。引き続いて、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態のカメラ100の斜視図である。図1に示すように、135フィルムフォーマットのパトローネを装填するレンズシャッターカメラである。このカメラ100は、その上端にレリーズボタン101が設けられている。カメラ100の前面の中央部には、フォーカスレンズ8を組み込んだ鏡胴(後述するシャッター部105を構成する)が取り付けられている。この鏡胴には、フォーカスレンズ8およびシャッターからなるオートフォーカス動作が可能な撮影レンズ鏡胴105aが用いられる。カメラ100の上部にはファインダ9、ストロボ発光部104、AF投光窓4a及びAF受光窓5aが設けられている。これらAF投光窓4aおよびAF受光窓5aを通じて発光し受光できるように、後述するIRED(赤外線発光ダイオード)4およびPSD(位置検出素子)が配置され、これらIRED4及びPSD5は、例えば三角測量の原理に基づいて被写体までの距離を測定する測距部を構成している。
また、カメラ100には、測光部103が設けられている。測光部103は、撮影視野内の外光輝度を測定する測光手段として機能する。この測光部103は、例えば中央重点平均測光センサとして一つのSPDデバイス(赤外カットフィルタを光路上に内蔵したもの)を備えたものが用いられる。このSPDデバイスは近似的に撮影レンズ光学系の光軸上に向けられている。
次に、カメラ100のブロック構成図について図2に基づいて説明する。図2は、本実施形態のカメラ100のブロック構成図である。カメラ100は、例えば、135フィルムフォーマットのパトローネを装填するレンズシャッターカメラに適用される。このカメラ100は、制御部1、メモリ部2、ドライバ3、IRED4、PSD5、AFIC(自動焦点用IC)10、レリーズボタン101、フィルム感度検出部102、測光部103、ストロボ発光部104、シャッター部105、を備えている。以下、各部について説明する。
レリーズボタン101は、ユーザが被写体を撮影しようとするときに押下するボタンである。このレリーズボタン101が押下されるとシャッター部105がシャッターの開閉動作を行う。
フィルム感度検出部102は、フィルム装填部(図示せず)に装填されたフィルムの感度を検出する感度検出手段である。フィルム感度検出部102は、フィルムパトローネに示されるCASコードのうち感度をあらわす部分を読取り、読取った情報を制御部1に出力する。制御部1では、出力された情報に基づいてフィルム感度を認識することができる。フィルム感度はISO(International Organization for Standardization)で定められている。なお、ユーザがマニュアル操作においてフィルム感度を設定するようにしてもよい。
測光部103は、被写体の輝度(外光輝度を含む)を検出する輝度検出手段である。測光部103が測定した輝度を示す情報を制御部1に出力し、制御部1では、外光輝度をAPEX単位であるBV値(Brightness Value)に変換する。なお、LV値(LightValue)(LV値=BV値+SV値)を用いてもよい。
メモリ部2は、補正制御テーブル、プログラム線図、および動作プログラムを記憶している。補正制御テーブルは、BV値とΔEV値とを対応付けて記憶する制御情報である。ΔEV値とは、露出基準値を補正するための露出補正値である。露出基準値は、例えばBV値にAPEX単位であるSV値(Film Speed Value)を加算することにより算出される。そして、露出目標値であるEV値(Exposure Value)は、BV値にSV値を加算したものから露出補正値ΔEVを減じることにより算出される。
この補正制御テーブルの具体例を示す。図3は、補正制御テーブルの概念図である。図3に示すように、BV値とΔEV値とが対応付けて記憶されている。この補正制御テーブルに記憶されている情報に基づき、測光部103が検出したBV値に対応するΔEV値が設定される。そして、BV値+SV値により算出された露出基準値からΔEV値を減算することにより、補正された露出目標値EVが算出される。
プログラム線図は、露出制御のためのAPEX単位で示されるEV値と、同じくAPEX単位であるTV値(Shutter Speed Value)およびAV値(Aperture Value)とを対応付けた制御情報である。なお、TV値とは、シャッタースピードを示し、AV値とは、F値(レンズ絞り)を示す情報である(図8参照)。
動作プログラムは、カメラ100における撮影動作に関する一連の制御処理を行うためのプログラムである。
ストロボ発光部104は、測光部103が測定した外光輝度に基づき、自動的に又はユーザの操作により、被写体にストロボ光を発光するものである。なお、本実施形態におけるストロボ発光部104は、BV値があらかじめ定めた範囲(例えばBV値<3)では使用できないよう設定されることも可能である。
シャッター部105は、制御部1による露出制御(シャッタースピードおよびF値(レンズ絞り))に基づいて、F値で示された径で開口し、シャッタースピードで示された時間経過すると閉口する動作を行うものであり、シャッター部105が開口している間レンズを通して得た画像はフィルムに転写される。
ドライバ3は、制御部1からの指示によりIRED4を投光させる制御を行うものである。
IRED4は、被写体までの距離を測定するためのものであり、被写体に対して光を照射するものである。
PSD5は、IRED4が照射した光が被写体から反射した光に基づいて被写体までの距離を算出するものである。具体的には、PSD5は、受光した光に基づいた光量を示す情報を制御部1に出力し、制御部1は、入力された光量を示す情報に基づいて被写体までの距離を算出する。これらIRED4、PSD5から測距部が構成されている。
AFIC(自動焦点IC)10は、PSD5から入力された被写体からの反射光に基づいてAF信号を生成するIC回路である。この詳細は後述する。
制御部1は、カメラ100全体の制御を行う制御手段であり、例えばCPU、ROM、RAM、入力信号回路、出力信号回路などを備えて構成されている。この制御部1は、後述する動作フローチャートを実行する。例えば、レリーズボタン101の押下を検出すると、シャッター部105を動作させるよう指示を出力する。また、フィルム感度検出部102からの情報に基づいてフィルム感度を判断する。また、測光部103から出力された被写体の光量を示す情報に基づいてBV値を算出する。また、レリーズボタン101が半押しされた状態を検出すると、測距部を動作させる。さらに、露出基準値から露出補正値(ΔEV)を減算することにより補正された露出目標値を算出する。このように、制御部1は、露出制御を行う露出制御手段としても機能する。
次に、このように構成されたカメラ100の露出制御における動作について説明する。
まず、本実施形態のカメラ100における露出制御の概要について説明する。図4は、本実施形態における露出制御の概念図であり、補正制御テーブルに記憶されているBV値とΔEV値との対応を模式的に表したものである。
図4に示すとおり、縦軸にΔEV値を、横軸にBV値をとっている。BV値が0〜3の範囲(第一輝度領域)にあるときは、ΔEV値を2としている。また、BV値が3.5〜9の範囲(第二輝度領域)にあるときは、ΔEV値を1としている。そして、ここで得たΔEV値を用いて、露出目標値を算出する。すなわち、BV値にSV値を加算して得られた露出基準値(Bv+Sv)からΔEV値を減じることにより、露出目標値を算出する。このようにして得られたEV値を用いて露出制御は行われる。なお、図4では、第一輝度領域のΔEV値を2、第二輝度領域におけるΔEV値を1として固定値で表しているが、固定値であることに限らない。つまり、図4のグラフにおいてBV値に応じてΔEV値を増減させるよう露出補正の特性に傾斜をもたせるようにしてもよい。
ここで、第一輝度領域は、室内などの人工照明下を想定した明るさを示す部分である。近年は雰囲気を重視することからタングステンや電球色の蛍光灯など、色温度の低い光源(3000K程度)が多く使われているようになってきた。よって、カメラの測光は標準比視感度に準じた分光感度により行われるため、色温度の低い照明下では青色の露出が不足しがちとなる。そのため、第一輝度領域については、青色の露出を上げることができるように、EV値で2段階露出を上げるようにする。つまり、通常の露出基準値からΔEV値を2減算することにより、露出を上げるよう露出目標値を補正する。ここで、自然な光による撮影を確実に行うため、ストロボ発光部104による発光を行わないようにすることができる。具体的には、BV値が第一輝度領域にあるときは、ストロボ発光部104の発光を禁止するようなプログラムとすることができる。ただし、この場合でも、ユーザの操作によりストロボを強制発光させることは可能である。
なお、第一輝度領域は、シャッター制御可能範囲の下限BV値からBV値を3とする値までとする。シャッター制御可能範囲の下限とは、手ぶれ規制などのシャッター速度に制限を設けている場合はその速度とする。規制がない場合は、BV値が−3から3までの範囲とする。
また、第二輝度領域は、屋外における曇天または晴天時を想定した明るさを示す部分である。第二輝度領域における色温度は中庸(約5000K(ケルビン))であり、カメラが取得したBV値が第二輝度領域の範囲内にあるときに、適正露出を与えることで大部分の撮影環境で適切な撮影を行うことができる。そのため第二輝度領域については、撮影状態における光量のばらつきをも考慮する必要がある。そして、全体的に露出不足となることを防止するため、EV値で1段階露出を上げるようにする。つまり、BV値+SV値により算出された露出基準値からΔEV値を1減算することにより、露出を上げるよう露出目標値を補正する。
なお、第二輝度領域は、BV値を3.5とする値からシャッター制御可能範囲の上限BV値までとする。シャッター制御可能範囲の上限とは、シャッター速度を限界まで速くした場合の速度であり、または、プログラムとして制御可能な範囲をいう。
また、第一輝度領域におけるΔEV値の平均補正値をΔE1、第二輝度領域におけるΔEV値の平均補正値をΔE2とすると、ΔE1−ΔE2≧0.8を満たすΔEV値をとることができれば、上述図4に示すΔEV値以外の露出補正値を設定してもよい。以下、ΔE1−ΔE2≧0.8とすることが好ましい理由を説明する。
カラーネガにおける赤感層、緑感層、および青感層における波長ごとの分光感度をSr、Sg、Sbとする。また、光源の相対エネルギー5000K(ケルビン)、3000K(ケルビン)における波長ごとの相対強度をI5000、I3000とすると、次の式(1)に示す結果が得られる。
一般的にカラーネガにおける色ごとの分光感度は、図5に示すグラフのとおりである。また、代表的な光源(屋内における光源、屋外における光源)の色温度における相対強度は図6に示すグラフのとおりである。以下の式1は、図5、および図6において示される緑感層および青感層の各波長における相対分光感度と相対強度とを乗算して累積的に加算したものの比を算出したものである。
この式(1)から、3000Kの相対エネルギーを有する光源においては、5000Kの相対エネルギーを有する光源と比べて、緑感層に対して青感層は1/2.15の光しか感光できないことがわかる。ここで算出した値に基づいて、次の式(2)を用いて露出差に換算する。
この計算結果は、カラーネガにおいては緑感層に対して青感層はEV値で1.11だけ露出が少なくなることを意味している。
カメラの測光は緑感層の分光感度に準じる標準比視感度で行われる。このため、カメラ測光値に対してEV値において+1.11の露出補正を行うと、青感層に対しても適正露出を与えることができる。一方、緑感層に対してもEV値において+1.11の露出補正がされることになる。しかし、カラーネガは露出オーバに対して大きなラチチュードを持つため、露出オーバしても問題はない。
そして、現実的な光源のばらつきなどを考慮した数値としてEV値として0.8以上の差をもって(すなわち、ΔE1−ΔE2≧0.8とする)露出補正することが好ましい数値となる。なお、第一輝度領域、第二輝度領域においてΔEV値を実質的に一定値とする場合(微小に増減する場合も含む)、ΔE1、ΔE2はそれぞれの範囲における平均値と定義する。また、ΔEV値が一定値となるような制御でない場合(各々の輝度領域においてΔEV値で0.5以上の変動がある場合)、ΔE1については第一輝度領域における最低値を採用し、ΔE2については第二輝度領域における最大値を採用することとする。
また、ΔE1−ΔE2≧0.8とする数値条件については、3000K、5000Kの光源との比較において算出した数値条件であるが、現実の世界においては様々な光源が存在する。例えば、色温度が高い光源における比較において上述式(2)を算出すると、EV値が0.5〜0.8となる場合もある。そうした場合、さらに現実に存在するあらゆる光源を想定した数値としてΔE1−ΔE2≧0.5とすることも好ましい。
次に、上述した露出制御の概念に基づいたカメラ100の具体的な動作について説明する。図7は、カメラ100の動作を示すフローチャートである。このフローチャートの制御処理はメモリ部2に格納されているプログラムに基づき制御部1によって実行される。
制御部1は、カメラ100のレリーズボタン101が押下されたことを判断すると(S1)、測光部103に対して測光処理を行うよう指示を出力する。測光部103は、外光輝度を検出し、検出信号を出力する。制御部1は、入力された検出信号に基づいて輝度値となるBV値を算出する(S2)。
制御部1は、フィイル感度に応じたSV値とBV値を加算して露出基準値を算出する(S3)。例えば、EV値=BV値+SV値からなる数式を用いてEV値を算出する。具体的に示すと、ISO1600のフィルムのAPEX単位は+9であり、BV値が3のときには、露出基準値は9+3=12となる。
そして、制御部1は、フィルム感度検出部102が検出したフィルムの感度がISO1600で示される感度以上であるか否かを判断する(S4)。
制御部1は、フィルム感度がISO1600で示される感度以上であると判断すると、露出基準値を補正する(S5)。具体的には、制御部1は、補正制御テーブルから上述算出したBV値に対応したΔEV値を取り出す。そして、制御部1は、S3において算出した露出基準値からΔEV値を減算することにより、露出基準値を補正して露出目標値を算出する。
制御部1は、露出目標値EVを用いて露出制御を行う(S6)。ここでいう露出制御とは、レンズの絞り(AV値)とシャッタースピード(TV値)とを制御するものである。この露出制御は、例えば、図8に示すようなプログラム線図を用いて行われる。
制御部1は、割り出されたシャッタースピードとF値とを用いて撮影するようシャッター部105に指示を出し、シャッター部105は撮影を行う(シャッター部105におけるシャッター部分(羽根)における開口径をF値で示された大きさだけ開口し、シャッタースピードで示された所定時間後に閉口する)(S7)。
また、S4において、フィルム感度がISO1600以上ではない場合は、通常の処理であるEV値=BV値+SV値とする露出制御を行い(S8)、その後撮影する(S7)。
このようにして、フィルム感度に基づいた露出制御を行うことができ、ストロボ発光を使用することなく、高品質の撮影を行うことができる。
次に、図4に示した露出制御とは、別の実施形態における露出制御ついて説明する。図9は、図4に示した露出制御の変形例を示す概念図である。
図9によると、BV値が0〜5を示す第一輝度領域については、EV値を2段階上げるよう制御している。また、BV値が5.5〜8を示す第二輝度領域については、EV値の補正を行わないようにしている。さらに、第2の実施形態においては、BV値が5未満のときにはストロボ発光は非発光とし、BV値が5以上のときにはストロボ発光を常時発光とするよう制御するものである。これにより、少なくとも屋内にいるときにはストロボ発光を使用することなく高品質で雰囲気のある写真を撮影することができる。また、屋外にいるときには、ストロボ発光を使用しても、ストロボ発光により被写体が浮き出てしまうといったことがあまりなく、やはり高品質の写真を撮影することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るカメラ100によれば、フィルム感度がISO1600以上の高感度である場合に、第一輝度領域の露出補正値ΔEV1を第二輝度領域の露出補正値ΔEV2に対し平均で少なくとも0.5Ev以上の大きい値とすることにより、撮影環境に応じた適切な露出制御が行え、ストロボ発光することなく、より現実に近い光による撮影を簡単に行うことができる。特に、室内の人工照明下での撮影環境において、青感層に対しても適正な露出を与えることができ、より高品質な写真撮影が行える。
その際、第一輝度領域の露出補正値ΔEV1を第二輝度領域の露出補正値ΔEV2に対し平均で少なくとも0.8Ev以上の大きい値とする場合、撮影環境に応じたより適切な露出制御が行え、ストロボ発光することなく、より現実に近い光による撮影を簡単に行うことができる。この場合も、室内の人工照明下での撮影環境において、青感層に対しても適正な露出を与えることができ、より高品質な写真撮影が行える。
また、本実施形態に係るカメラ100において、ストロボ光を発光するストロボ発光手段を備え、外光輝度が所定値以下である場合は、ストロボ発光手段による発光を行わないようにすることが好ましい。これにより、ストロボ発光による人工的な光による写真撮影を防止して、より現実に近い光による撮影を簡単に行うことができる。
本実施形態においてはフィルムを用いたカメラ100に基づいて説明したが、本発明係るカメラはフィルムを用いたカメラに限定されるものではない。例えば、CCDを用いたデジタルカメラに適用してもよい。この場合、フィルム感度を検出する代わりにCCDの設定感度を検出し、その設定感度がISO感度1600に相当する感度以上である場合に、第二輝度領域に対し低い輝度に設定される第一輝度領域において露出補正値を平均で少なくとも0.5Ev以上の大きい値に設定し、設定感度と輝度値(Bv)とに基づいて演算される露出基準値に対し露出補正値を減じて露出目標値として露出制御を行えばよい。この場合であっても、上述した実施形態係るカメラ100と同様な作用効果が得られる。
次に、上述した露出制御を行うことのできるカメラ100における測距を行う構成について説明する。図10は、測距処理を行うAFIC10の部分を詳細にしたブロック構成図である。
制御部1は、上述したようにカメラ100全体を制御するものであり、メモリ部2に予め記憶されているプログラム、パラメータおよび各種管理情報に基づいて、この測距装置を含むカメラ100全体を制御する。この図に示すカメラ100においては、制御部1は、ドライバ3を制御してIRED4からの赤外光の出射を制御し、自動焦点用IC(以下「AFIC」という。)10の動作を制御するとともに、AFIC10から出力されるAF信号を入力する。
IRED4から出射された赤外光は、IRED4の前面に配されたAF投光窓4aを介して測距対象物に投光され、その一部が反射され、そして、その反射光は、PSD5の前面に配されたAF受光窓5aを介してPSD5の受光面上の何れかの位置で受光される。この受光位置は、測距対象物までの距離に応じたものである。そして、PSD5は、その受光位置に応じた2つの信号I1およびI2を出力する。信号I1は、受光光量が一定であれば距離が近いほど大きな値である近側信号であり、信号I2は、受光光量が一定であれば距離が遠いほど大きな値である遠側信号であり、信号I1およびI2の和は、PSD5が受光した反射光の光量を表し、出力比(I1/(I1+I2))は、PSD5の受光面上の受光位置すなわち測距対象物までの距離を表す。そして、近側信号I1は、AFIC10のPSDN端子に入力し、遠側信号I2は、AFIC10のPSDF端子に入力する。ただし、実際には、外界条件により近側信号I1および遠側信号I2それぞれに定常光成分I0が付加された信号がAFIC10に入力される場合がある。
AFIC10は、集積回路(IC)であって、第1信号処理回路11、第2信号処理回路12、クランプ回路13、演算回路14および出力回路15から構成される。第1信号処理回路11は、PSD5から出力された信号I1+I0を入力し、その信号に含まれる定常光成分I0を除去して、近側信号I1を出力するものであり、また、第2信号処理回路12は、PSD5から出力された信号I2+I0を入力し、その信号に含まれる定常光成分I0を除去して、遠側信号I2を出力するものである。IRED4、PSD5、およびAFIC10が、測距手段として機能する。
クランプ回路13は、第2信号処理回路12から出力された遠側信号I2を入力し、或る一定レベルのクランプ信号Icおよび遠側信号I2それぞれのレベルを大小比較し、前者が大きいときにはクランプ信号Icを出力し、そうでないときには遠側信号I2をそのまま出力する。以下では、このクランプ回路13から出力される信号をI2cで表す。
演算回路14は、第1信号処理回路11から出力された近側信号I1と、クランプ回路13から出力された信号I2c(遠側信号I2およびクランプ信号Icの何れか)とを入力し、出力比(I1/(I1+I2c))を演算し、その結果を出力する。出力回路15は、その出力比を入力し、AFIC10のCINT 端子に接続された積分コンデンサ6とともに、その出力比を多数回積算し、これによりS/N比の改善を図る。そして、制御部1は、その積算された出力比を、AF信号として受信する。
制御部1は、AFIC10から出力されたAF信号を入力し、基準値より遠側か、近側かを判定し、判定結果を示す信号をレンズ駆動回路7に送出する。レンズ駆動回路7は、その判定結果を示す信号に基づいてフォーカスレンズ8を合焦動作させる。
このように、IRED4とPSD5とから構成される測距部、AFIC10に基づいて測距信号であるAF信号が出力され、これら測距部およびAFIC10が測距手段として機能する。また、このAF信号に基づいてフォーカスレンズ8を適切な合焦位置に移動させるかを制御部1が判断し、その位置にレンズ駆動回路7がフォーカスレンズ8を移動させ、制御部1およびレンズ駆動回路7が焦点制御手段として機能する。また、制御部1はAF信号に基づいて被写体までの距離を算出することから距離算出手段として機能する。また、制御部1は、レンズ駆動回路7を制御してレンズを移動させて合焦制御を行い、露出制御を行って、シャッター部105による撮影を行わせることで、撮影手段として機能する。
次に、AFIC10の第1信号処理回路11、クランプ回路13および出力回路15について、より具体的な回路構成について説明する。図11は、本実施形態に係るカメラ100の測距装置における第1信号処理回路11および出力回路15の回路図である。また、図12は、本実施形態に係るカメラ100の測距装置におけるクランプ回路13の回路図である。なお、第2信号処理回路12も、第1信号処理回路11と同様の回路構成である。
第1信号処理回路11は、その回路図が図11に示されており、PSD5から出力された定常光成分I0を含む近側信号I1を入力し、これに含まれる定常光成分I0を除去して、近側信号I1を出力するものである。PSD5の近距離側端子から出力される電流(I1+I0)は、AFIC10のPSDN端子を経て、第1信号処理回路11のオペアンプ20の−入力端子に入力される。オペアンプ20の出力端子はトランジスタ21のベース端子に接続されており、トランジスタ21のコレクタ端子は、トランジスタ22のベース端子に接続されている。トランジスタ22のコレクタ端子には、オペアンプ23の−入力端子が接続され、このコレクタ端子の電位が演算回路14に接続されている。さらに、トランジスタ22のコレクタ端子には圧縮ダイオード24のカソード端子が、また、オペアンプ23の+入力端子には圧縮ダイオード25のカソード端子がそれぞれ接続されており、これら圧縮ダイオード24および25それぞれのアノード端子には第1基準電源26が接続されている。
また、AFIC10のCHF端子には定常光除去コンデンサ27が外付けされており、この定常光除去コンデンサ27は、第1信号処理回路11内の定常光除去用トランジスタ28のベース端子に接続されている。定常光除去コンデンサ27とオペアンプ23はスイッチ29を介して接続されており、このスイッチ29のオン/オフは制御部1により制御される。定常光除去用トランジスタ28のコレクタ端子はオペアンプ20の−入力端子に接続されており、定常光除去用トランジスタ28のエミッタ端子は他端が接地された抵抗30に接続されている。
出力回路15は、AFIC10のCINT端子に外付けされた積分コンデンサ6を備えている。積分コンデンサ6は、スイッチ60を介して演算回路14の出力端子に接続され、スイッチ62を介して定電流源63に接続され、スイッチ64を介して接地されている。これらのスイッチ60、62及び64は、制御部1からの制御信号により制御される。
クランプ回路13は、その回路図が図12に示されている。クランプ回路13の判定用コンパレータ37の+入力端子は、第2信号処理回路12のトランジスタ22のコレクタ端子に接続されるとともに、スイッチ38を介して演算回路14の入力端子に接続されている。一方、判定用コンパレータ37の−入力端子は、+入力端子に接続されているトランジスタ22および圧縮ダイオード24と同様に、トランジスタ51のコレクタ端子と圧縮ダイオード52のカソード端子とに接続されるとともに、スイッチ39を介して演算回路14の入力端子に接続されている。
また、トランジスタ51のベース端子には、定電流源41が接続されており、これによって所定のクランプレベルが設定されて、所定の大きさの電流がトランジスタ51のベース端子に入力される。この電流はトランジスタ51のベース電流となり、その大きさに応じたコレクタ電位が判定用コンパレータ37の−入力端子に入力される。
クランプ電流源41には、定電流源42aとスイッチ43aが直列接続され、定電流源42bとスイッチ43bが直列接続され、定電流源42cとスイッチ43cが直列接続され、定電流源42dとスイッチ43dが直列接続されており、それらのスイッチ43a〜43dの他端側がトランジスタ51のベース端子に接続されている。
クランプ電流源41には、定電流源42aとスイッチ43aが直列接続され、定電流源42bとスイッチ43bが直列接続され、定電流源42cとスイッチ43cが直列接続され、定電流源42dとスイッチ43dが直列接続されており、それらのスイッチ43a〜43dの他端側がトランジスタ51のベース端子に接続されている。
例えば、定電流源42aは一定電流値0.125nAを出力し、定電流源42bは一定電流値0.25nAを出力し、定電流源42cは一定電流値0.5nAを出力し、定電流源42dは一定電流値1.0nAを出力するものが用いられる。
スイッチ43a〜43dは、クランプレベル切替回路16から出力される信号Q1〜Q4により制御されて開閉する。そして、クランプ電流源41は、その閉じられたスイッチに対応する定電流源それぞれからの電流の総和であるクランプ電流をトランジスタ51のベース端子に入力する。このクランプ電流はトランジスタ51のベース電流となり、その大きさに応じたコレクタ電位がコンパレータ37の−入力端子に入力される。なお、クランプ電流は、測距装置の製造時に適宜設定される。
また、スイッチ39には判定用コンパレータ37の出力端子が接続されており、判定用コンパレータ37の出力信号が入力される。また、スイッチ38にはインバータ40を介して判定用コンパレータ37の出力端子が接続されており、判定用コンパレータ37の出力信号が反転されてから入力される。したがって、スイッチ38および39は、判定用コンパレータ37からの出力信号により、一方がオン状態になると、他方がオフ状態となる関係にある。
また、コンパレータ37の出力信号は、CMOUT端子を通じてAFIC10から出力され制御部1に入力される。このコンパレータ37の出力信号は、+入力端子に入力される遠側信号I2が−入力端子に入力されるクランプ信号ICより大きいときには高電位の信号となり、逆に+入力端子に入力される遠側信号I2が−入力端子に入力されるクランプ信号ICより小さいときには低電位の信号となる。
以上のように構成されるAFIC10の作用について、図11および図12を参照しながら説明する。制御部1は、IRED4を発光させていないときには、第1信号処理回路11のスイッチ29をオン状態にする。このときにPSD5から出力される定常光成分I0は、第1信号処理回路11に入力して、オペアンプ20ならびにトランジスタ21および22から構成される電流増幅器により電流増幅され、圧縮ダイオード24により対数圧縮されて電圧信号に変換され、この電圧信号がオペアンプ23の−入力端子に入力する。オペアンプ20に入力する信号が大きいと、圧縮ダイオードのVF が大きくなるので、オペアンプ23から出力される信号が大きく、したがって、定常光除去コンデンサ27が充電される。すると、定常光除去用トランジスタ28にベース電流が供給されることになるので、定常光除去用トランジスタ28にコレクタ電流が流れ、第1信号処理回路11に入力した信号I0のうちオペアンプ20に入力する信号は小さくなる。そして、この閉ループの動作が安定した状態では、第1信号処理回路11に入力した信号I0の全てが定常光除去用トランジスタ28に流れ、定常光除去コンデンサ27には、そのときのベース電流に対応した電荷が蓄えられる。
制御部1がIRED4を発光させるとともにスイッチ29をオフ状態にすると、このときにPSD5から出力される信号I1+I0のうち定常光成分I0は、定常光除去コンデンサ27に蓄えられた電荷によりベース電位が印加されている定常光除去用トランジスタ28にコレクタ電流として流れ、近側信号I1は、オペアンプ20ならびにトランジスタ21および22から構成される電流増幅器により電流増幅され、圧縮ダイオード24により対数圧縮され電圧信号に変換されて出力される。すなわち、第1信号処理回路11からは、定常光成分I0が除去されて近側信号I1のみが出力され、その近側信号I1は、演算回路14に入力する。
一方、第2信号処理回路12も、第1信号処理回路11と同様に、定常光成分I0が除去されて遠側信号I2のみが出力され、その遠側信号I2は、クランプ回路13に入力する。クランプ回路13に入力した遠側信号I2は、クランプ回路13の判定用コンパレータ37の+入力端子に入力する。定電流源41から出力された信号は、トランジスタ51のベース電流として流れ、これに伴い生じるトランジスタ51のコレクタ端子の電位(クランプ信号Ic)が判定用コンパレータ37の−入力端子に入力する。近側信号I2とクランプ信号Icとは、判定用コンパレータ37により大小比較され、その結果に応じて、スイッチ38および39のうち一方がオンされ、他方がオフされる。すなわち、近側信号I2がクランプ信号Icより大きいときには、スイッチ38がオン状態となり、スイッチ39がオフ状態となり、クランプ回路13の出力信号I2cとして近側信号I2が出力される。大小関係が逆の場合には、スイッチ38がオフ状態となり、スイッチ39がオン状態となり、クランプ回路13の出力信号I2cとしてクランプ信号Icが出力される。
クランプ回路13から出力された信号I2cおよび第1信号処理回路11から出力された近側信号I1は、演算回路14に入力され、演算回路14により出力比(I1/(I1+I2c))が演算されて出力され、その出力比は、出力回路15に入力される。IRED4が所定回数だけパルス発光している時には、出力回路15のスイッチ60はオン状態とされ、スイッチ62及びスイッチ64はオフ状態とされる。そして、演算回路14から出力された出力比信号(距離演算値)は積分コンデンサ6に蓄えられ、出力比信号の積分が行われる。つまり、出力比信号が徐々に積分コンデンサ6に積分され、この積分動作の回数はメモリ部2に設定され、その積分動作の回数に応じてコントロール信号のパルス入力が行われる。このときの積分コンデンサ6の電圧値、つまり積分結果は、上述のようにAF信号(距離データ)として制御部1によって読み出される。制御部1は、AFIC10からAF信号を受信すると、このAF信号及びメモリ部2に記憶された情報等に基づいて測距対象物までの距離を検出する。なお、本実施形態では、出力回路15、積分コンデンサ6、及び制御部1によって積分手段が構成されている。
次に、このように構成されたカメラ100の測距を行うときの積分動作について図13を用いて説明する。図13は、カメラ100の測距を行うときの動作を示すフローチャートである。
写真撮影のためにレリーズボタンが押下されたことが制御部1により判断されると(S101)、被写体(および外光輝度)は測光部103により測光され、測光値が取得される(S102)。取得された測光値に対応した露出基準値が制御部1により算出される(S103)。そして、フィルム感度検出部102により検出されたフィルム感度がISO1600以上であるか否かが、制御部1により判断される(S104)。
S104において、フィルム感度がISO1600以上であると判断されると、露出基準値を補正した(つまり、露出基準値から露出補正値ΔEVを減算した)露出目標値が、制御部1により算出される(S105)。そして、測光部103により測定された測光値が所定輝度以上であるか否かが、制御部1により判断される。
S106において、測光値が所定輝度以上ではない場合は、制御部1により判断された場合、出力回路15における積分動作が、通常回数である300回行われる。なお、ここでの「所定輝度」とは予め定めた輝度をいい、一般的に高輝度といわれる値に設定されるものである。例えばEV値=14である。そして、積分して得たAF信号に基づいて被写体までの距離が、制御部1により算出される(S107)。算出された距離に基づいて、レンズ駆動回路7によりフォーカスレンズ8は移動され、合焦動作が行われる(S108)。合焦動作後、露出目標値に対応した露出制御が行われ(S109)、シャッター部105による撮影が行われる(S117)。
また、S106において、測光値が所定輝度以上の場合は、出力回路15における積分動作が、通常回数より少ない回数である20回行われる(S110)。制御部1により、積分して得た仮AF信号に予め定めた係数が乗算され、AF信号が算出される。そして、算出されたAF信号により距離が算出され(S111)、算出された距離に基づいてレンズ駆動回路7によりフォーカスレンズ8は移動され、合焦動作が行われる(S112)。合焦動作後、露出目標値に対応した露出制御が行われ(S113)、シャッター部105による撮影が行われる(S117)。
なお、乗算される係数は、測距回数の比に基づいて予め定められている。例えば、通常(所定輝度以下)の積分回数を300回とし、所定輝度以上のときの積分回数を20回とした場合、乗算すべき係数は、15(300÷20=15)と定められる。また、このように算出された係数に対して、被写界深度、測距ばらつきによる実験に基づいて調整した値を、乗算すべき係数とすることが好ましい。
また、S104において、フィルム感度検出部102により検出されたフィルム感度がISO1600以上ではないと、制御部1により判断されると、出力回路15における積分動作が、通常回数である300回行われる。そして、積分して得たAF信号に基づいて被写体までの距離が、制御部1により算出される(S114)。算出された距離に基づいて、レンズ駆動回路7によりフォーカスレンズ8は移動され、合焦動作が行われる(S115)。合焦動作後、露出基準値に対応した露出制御が行われ(S116)、シャッター部105による撮影が行われる(S117)。
次に、上述S107における積分動作(300回の積分)と、S110における積分動作(20回の積分)とを比較しながら、S110における積分動作の作用効果を説明する。
まず、S107における積分動作の詳細について説明する。図14は、積分回数を300回にした場合の積分処理におけるタイミングチャートである。
レリーズボタンの押下などのカメラ操作により、測距ルーチンの制御処理が開始され、コントロール信号に従って制御処理が順次行われる。コントロール信号は、制御部1からAFIC10のCONT端子に入力される制御信号であり、図14のCONTに示すように、先行する六つのパルス(P1〜P6)と、それに次いで入力される積分動作のためのパルス(P10、P20)とによりなる信号である。
AFIC10にドライバ3から電源供給が開始されると、その電源供給を受けて積分コンデンサ6の急速充電が行われる。ここでの急速充電は、積分コンデンサ6を活性化させるためのものであり、急速充電を長く行うことにより、積分コンデンサ6は安定する。そして、コントロール信号のパルスP1の立ち下がり時に積分コンデンサ6の急速充電を終了し、積分コンデンサ6の放電が行われる。
そして、コントロール信号のパルスP3の立ち下がり時に補正積分が行われる。補正積分は、積分コンデンサ6に一定時間に一定電流を流すことにより行われる。この補正積分は、コントロール信号のパルスP4の立ち下がりにより終了する。
そして、積分コンデンサ6の充電電圧がA/D変換され、制御部1に読み込まれる。制御部1では、A/D変換された電圧値から積分コンデンサ6の容量を算出する。この実測の容量に基づいて測距演算結果に補正を行うことにより、測距精度の向上が図られる。そして、パルスP5の入力により積分コンデンサ6が放電される。
そして、コントロール信号のパルスP10の立ち上がり時からパルスP20の立ち上がり時までの期間では定常光除去コンデンサ27の充放電がホールドされ、パルスP10の立ち下がり時からパルスP20の立ち上がり時までの期間ではスイッチ60がオンされ積分コンデンサ6へ出力比信号に応じた充電が行われる。
このコントロール信号のパルスP10、P20の入力により、IRED4による投光が一回行われ、それに従い積分コンデンサ6に充電が行われる。そして、コントロール信号のパルスP10、P20が繰り返し入力されることにより、積分コンデンサ電圧が上昇していく。図14においては、「測距動作」と記されている部分が、積分コンデンサ6に充電されていることを示す部分であり、段階的に積分されていることが示されている。つまり、このタイミングチャートから、積分回数を300回とした場合は、IRED4による投光は300回行われ、300回分の電圧が積分コンデンサ6に充電されることになることが分かる。充電された積分電圧はA/D変換され、測距信号であるAF信号が算出され、被写体までの距離が求められる。
図14で示すように、「測距動作」で示される部分で積分動作が行われ、図14では300回の積分動作が行われる。ここで、「測距動作」における積分回数と積分電圧との関係を図に示す。図15は、積分回数を300回行った場合の積分状態を示す説明図であり、図16は、積分回数を20回行った場合の積分状態を示す説明図である。図15および図16を比べた場合、積分回数を300回行った場合に比べて、積分回数を20回行った場合は、その積分時間は極端に短くなることが分かる。よって、積分回数を少なくすることにより、測距時間を短くすることができる。
さらに、本実施形態における積分回数を20回にした場合と積分回数を300回にした場合とを具体的な数値に基づいて比較する。図17は、その比較表を示す説明図である。積分回数を300回にした場合、積分コンデンサ6への急速充電時間は10msであるのに対して、積分回数を20回にした場合、急速充電時間は3msとなる。また、測距時間は、積分回数300回の場合は200msであるのに対して、積分回数20回の場合は36msとなる。さらに、ダイナミックレンジは、積分回数300回の場合は3.35Vであるのに対して、積分回数20回の安倍は、0.48Vである。
この図17からは、積分回数を20回にした場合、測距時間を短くすることができることが分かる。また、本実施形態においては、さらに測距時間を短くすることができる。すなわち、図17でもすでに示しているように、図14のタイミングチャートに示す積分コンデンサ6に対する急速充電を短くすることにより、測距時間を短くすることができる。積分コンデンサ6に対する急速充電は、コンデンサに対する活性化を行うため処理であって、測距を高精度に行うために従来においては長く行う必要があった。しかしながら、本実施形態のように測距に高精度を求める必要がなくなった場合、積分コンデンサ6に対する急速充電を短くすることができれば、測距に必要な時間を短くすることができ、レリーズタイムラグを短くすることができる。本実施形態においては、測距を行う際には、積分コンデンサ6に対する充電時間を、通常時である300回の積分回数を行うとき(所定輝度未満の場合)より短く設定することにより、測距時間をより短くすることができる。
一方、図17からはダイナミックレンジが小さくなり、測距精度が悪くなることも読取ることができる。しかしながら、本実施形態においては、積分回数を20回とした(積分回数を少なくした)場合は、所定輝度以上のときに限定することで、測距精度が悪くなることに対する問題を解消することができる。以下、この問題を解消していることについて詳細に説明する。
すなわち、測光した測光値が所定輝度以上である場合、F値による絞りが絞られることになる。よって、被写界深度が拡大することになり、測距精度の誤差を被写界深度により吸収することができる。ここで、特別なプログラム線図による露出制御を行った場合において被写界深度が拡大する様子について説明する。図18は、EV値が所定範囲(14≦EV値≦15.5)において、F値=11に設定された特別なプログラム線図である。なお、図18は、EV値が6以上の部分を抜き出したものである。
図13のS106において、EVが値所定範囲(14≦EV値≦15.5)にある場合、図18に示す特別なプログラム線図を用いて露出制御を行う場合、F値を増加させることで絞りを絞ることができ、被写界深度を拡大することができる。被写界深度を拡大した場合、錯乱円の大きさと被写体距離との関係におけるフォーカスレンズのズレ許容幅が大きくなる。ここで、錯乱円について説明する。測距装置を使ってレンズのピント合わせを行う場合、通常、レンズはリニアに移動せず、ピントのズレの許容範囲内において段階的に移動することになる。このようなカメラで、“点”を撮影した場合、レンズのピントが合っている状態であれば、そのまま“点”がフィルム面で形成される。また、ピントが許容範囲内での多少のズレをもって、撮影された“点”は、フィルム上にぼやけた状態で形成されることになる。このように、ぼやけた状態で形成されたものを、錯乱円という。
このズレ許容幅について図19および図20を用いて説明する。図19および図20は、錯乱円の大きさと被写体距離との関係におけるフォーカスレンズのズレ許容幅の関係を示すAF線図である。このAF線図は、縦軸に錯乱円の大きさを示し、横軸に被写体までの距離を示す線図である。この図19において、例えば、フォーカスレンズが723mm離れている被写体に焦点があうように制御された場合、765mm〜685mm離れている被写体に対して許容できる錯乱円の大きさであること(つまり、被写界深度内にいること)が示されている。本実施形態においては、図19が、焦点距離=24mm、F値(FNO)=2であるときのAF線図であり、図20が焦点距離=24mm、F値(FNO)=11であるときのAF線図である。
一般的なカメラにおけるAF線図の特性は、F値で示されている数値を増加させると、つまり絞りを絞ると、AF線図で示される斜線の傾斜は緩やかになるものである。すなわち、F値を増加させていくほど、フォーカスレンズによる合焦範囲が広くなり、フォーカスレンズを移動させる必要性がなくなる場合が多くなる。つまり、測距に対して高精度は要求されなくなる。
例えば、図19においては、F値=2と、小さい値にF値が設定され、絞りが開放されている状態であるため、AF線図で示されている斜線の傾斜は比較的急である。よって、フォーカスレンズによる錯乱円に対する、フォーカスレンズの位置と被写体距離とのズレ許容幅は狭くなり、被写体距離を正確に測る必要が出てくる。
一方、図20においては、F値=11と、大きい値にF値が設定され、絞りが絞られている状態であるため、AF線図で示されている斜線の傾斜は比較的緩やかである。よって、フォーカスレンズによる錯乱円に対する、フォーカスレンズの位置と被写体距離とのズレ許容幅は広くなり、許容幅が狭い場合と比べて、高精度に被写体距離を測ることは求められない。
このように、F値を増加させることにより絞りを絞ると、錯乱円と被写体の距離とにおける許容ズレ幅を大きくすることができ、被写体に対する測距に高精度を求める必要がなくなる。したがって、F値を増加させことで絞りを絞った場合、すなわち、絞りを絞った状態の所定輝度以上の場合に、積分回数を20回にすることで(少なくして)、測距時間を短くするとともに、測距精度に対する問題を解消することができる。
なお、本実施形態においては、所定輝度以上の場合として輝度が所定範囲(14≦EV値≦15.5)にある場合を想定しているが、所定範囲にあることに限らず、所定値以上である場合でも、輝度に応じてF値が増加し、絞りが絞られているように制御されている場合においては、同様の作用効果を得ることができる。また、特別なプログラム線図(図18参照)を用いたことを前提としているが、これに限るものではなく、標準のプログラム線図(図8参照)を用いた場合でも、F値で示される絞りは絞られている状態であるため同様の作用効果を得ることができる。
1…制御部、2…メモリ部、3…ドライバ、4…IRED、4a…投光窓、5…PSD、5a…受光窓、6…積分コンデンサ、7…レンズ駆動回路、8…フォーカスレンズ、9…ファインダ、100…カメラ、101…レリーズボタン、102…フィルム感度検出部、103…測光部、104…ストロボ発光部、105…シャッター部、105a…撮影レンズ鏡胴。
Claims (1)
- 撮像媒体の撮像感度を検出する感度検出手段と、
外光輝度を検出する輝度検出手段と、
前記感度検出手段により撮像媒体の感度が所定感度以上であると検出された場合であって、前記輝度検出手段により検出された外光輝度が所定の第1輝度領域にある場合には、検出された輝度に対応した露出基準値から第1の露出補正値を減じて算出された露出目標値に基づいて露出制御を行い、前記感度検出手段により撮像媒体の感度が所定感度以上であると検出された場合であって、前記輝度検出手段により検出された外光輝度が前記第1輝度領域より大きい領域に設定されている第2輝度領域にある場合には、露出基準値から前記第1の露出補正値より小さい値に設定されている第2の露出補正値を減じて算出された露出目標値に基づいて露出制御を行う露出制御手段と、
被写体に向けて光束を投光する投光手段と、
前記被写体に投光された前記光束の反射光を受光し、前記被写体までの距離に応じた電気信号を出力する受光手段と、
前記受光手段により出力された電気信号を複数回入力して積分する積分手段と、
前記輝度検出手段により検出された外光輝度が所定輝度以下である場合、前記積分手段により電気信号が第1の回数積分されて得られた測距信号に基づいて被写体までの距離を算出し、前記輝度検出手段により検出された外光輝度が所定輝度より大きい場合、前記積分手段により電気信号が前記第1の回数より少なく設定されている第2の回数積分されて得られた測距信号に基づいて被写体までの距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段により算出された距離に基づいて合焦制御を行うとともに、前記露出制御手段による露出制御を行って撮影を行う撮影手段と、
を備えるカメラ。
Priority Applications (1)
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JP2011095403A (ja) * | 2009-10-28 | 2011-05-12 | Canon Inc | 撮像装置及びその制御方法 |
WO2012124055A1 (ja) * | 2011-03-15 | 2012-09-20 | 富士通フロンテック株式会社 | 撮像装置、撮像方法及び撮像プログラム |
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2005
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