JP2006241433A - セルロースアシレートの製造方法、セルロースアシレート、セルロースアシレートフィルム、これを用いた光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セルロースと炭素数2〜7のカルボン酸とを接触させて20℃〜100℃に保持し、硫酸触媒の存在下でアシル化剤によりアシル化し、反応混合物を硫酸根に対して化学量論的に過剰な塩基が存在する状態で30℃〜100℃に少なくとも1時間保持することにより、特定範囲のアシル置換度を有するセルロースアシレートを製造する。
【選択図】 なし
Description
また、セルロース混合アシレートは溶融温度がセルロースアセテートに比べて低いことから、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネートを溶融製膜して光学フィルムとして用いる方法も開示されている(特許文献2)。溶融製膜は製膜の際に有機溶媒を使わないことから、溶液製膜に比べて溶解や乾燥の工程を省略できるほか、環境への負荷も少ないという特徴を有する。
このように、高温条件においても、その特性(力学特性、光学特性、着色、透明度、安定性など)が変化しないセルロースアシレートが望まれている一方で、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース混合アシレートにおいて、良好な熱安定性を有するセルロースアシレートを製造する技術は十分に知られているとは言えないのが実情であり、その解決手段が強く望まれていた。
また、該セルロースアシレートを含有するセルロースアシレートフィルムにより、高品位な位相差フィルム、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム並びに画像表示装置を提供できることを見出した。
[1] 下記式(1)〜(3)を満足するセルロースアシレートの製造方法であって、少なくとも、
1)セルロースと炭素数2〜7のカルボン酸とを接触させて20℃〜100℃に保持
する前処理工程
2)前処理工程後のセルロースを硫酸触媒の存在下でアシル化剤によりアシル化する
アシル化工程、および、
3)アシル化工程後から再沈殿の前までの工程のいずれかにおいて、反応混合物を、
硫酸根に対して化学量論的に過剰な塩基が存在する状態で、30℃〜100℃に
少なくとも1時間保持する後加熱工程、
を含むセルロースアシレートの製造方法。
式(1): 2.5≦A+B≦3
式(2): 0.05≦A≦2.5
式(3): 0.3≦B≦3
(式中、Aはアセチル基の置換度を表し、Bは炭素数3〜7のアシル基の置換度の総和を表す。)
[2] アシル化工程が下記式(4)を満足することを特徴とする、[1]に記載のセルロースアシレートの製造方法。
式(4): 0<(MA/MB)≦2.0
(式中、MAはアシル化工程中の反応混合物に含まれるアセチル基の総モル量を表し、MBはアシル化工程中の反応混合物に含まれる炭素数3〜7のアシル基の総モル量を表す。)
[3] 炭素数3〜7のアシル基としてプロピオニル基またはブチリル基を有するセルロースアシレートを製造することを特徴とする、[1]または[2]に記載のセルロースアシレートの製造方法。
[4] 前処理工程において、セルロースと炭素数2〜7のカルボン酸とを接触させて40℃〜100℃に保持することを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
[5] アシル化工程において、アシル化の際の最高到達温度を30℃以下に制御することを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
[6] 後加熱工程における塩基の量が硫酸根に対して1.2当量〜50当量であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
[7] 後加熱工程の塩基が、アンモニウム、アルカリ金属、2族金属および13族元素からなる群より選択される少なくとも1種の、炭酸塩、有機酸塩、リン酸塩、水酸化物または酸化物であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
[8] 後加熱工程において、反応混合物を40℃〜100℃に保持することを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
[9] 後加熱工程において、反応混合物を30℃〜100℃に2時間〜100時間保持することを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
[10] セルロースアシレートを40℃〜95℃において1時間〜100時間洗浄する工程を含むことを特徴とする、[1]〜[9]のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
[12] セルロースアシレートの残留硫酸根量S(Sは残留硫酸根の硫黄原子の含有量)が0ppm<S<200ppmである[11]に記載のセルロースアシレート。
[13] セルロースアシレートの残留アルカリ金属量M1および残留2族元素量M2の合計Mが0ppm<M<600ppmであることを特徴とする、[11]または[12]に記載のセルロースアシレート。
[14] セルロースアシレートの残留硫酸根量S'(S'は残留硫酸根の硫黄原子の含有量のモル換算量)、残留アルカリ金属のモル換算量M1'および残留2族元素のモル換算量M2'から下記式(5)にて与えられる金属/硫黄当量比が0.25〜3であることを特徴とする、[11]〜[13]のいずれかに記載のセルロースアシレート。
式(5): 金属/硫黄当量比={(M1'/2)+M2'}/S'
[15] セルロースアシレートの見かけ密度が0.7〜1.2g/cm3であることを特徴とする、[11]〜[14]のいずれかに記載のセルロースアシレート。
[16] セルロースアシレートの重量平均重合度/数平均重合度が1.6〜3.6であることを特徴とする、[11]〜[15]のいずれかに記載のセルロースアシレート。
[17] [11]〜[16]のいずれかに記載のセルロースアシレートを含有することを特徴とする、セルロースアシレートフィルム。
[18] 溶液流延製膜により製造されることを特徴とする、[17]に記載のセルロースアシレートフィルム。
[19] 溶融流延製膜により製造されることを特徴とする、[17]に記載のセルロースアシレートフィルム。
[20] 面内のレターデーション(Re)と厚み方向のレターデーション(Rth)が、下記式(6)〜(8)を満足する[17]〜[19]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
式(6): Re≦Rth
式(7): 0nm≦Re≦300nm
式(8): 0nm≦Rth≦500nm
[21] [17]〜[20]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを、少なくとも1方向に、0.1%〜500%延伸したセルロースアシレートフィルム。
[22] [17]〜[21]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする位相差フィルム。
[23] 偏光膜と該偏光膜を挟持する2枚の保護フィルムとからなる偏光板であって、2枚の保護フィルムの少なくとも一方が、[17]〜[21]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは[22]記載の位相差フィルムであることを特徴とする偏光板。
[24] [17]〜[21]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは、[22]に記載の位相差フィルム上に、液晶性化合物を配向させて形成した光学異方性層を有することを特徴とする光学補償フィルム。
[25] [17]〜[21]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは、[22]に記載の位相差フィルム上に、反射防止層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
[26] [17]〜[21]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、[22]に記載の位相差フィルム、[23]に記載の偏光板、[24]に記載の光学補償フィルムおよび[25]に記載の反射防止フィルムからなる群より選択される少なくとも1種を用いることを特徴とする画像表示装置。
(構造と置換度)
セルロースアシレートについて、本発明における好ましい態様に言及しながら詳細に記載する。
セルロースを構成する、β−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(100%のエステル化はそれぞれ置換度1)の合計を意味する。なお、天然のセルロース原料は由来とする生物や精製方法に対応してグルコース以外の構成糖(例えば、キシロース、マンノースなど)の重合体(ヘミセルロース)、リグニンなどのセルロース以外の成分を含有する場合があるが、本発明においては、これらを含有するセルロース原料をアシル化して製造された高分子についても、セルロースアシレートと総称する。
式(1): 2.5≦A+B≦3
式(2): 0.05≦A≦2.5
式(3): 0.3≦B≦3
(式中、Aはアセチル基の置換度を表し、Bは炭素数3〜7のアシル基の置換度の総和を表す。)
本発明において置換度がBで表される炭素数3〜7のアシル基が脂肪族アシル基である場合、炭素数3〜6であることが好ましく、炭素数3〜5であることがさらに好ましく、炭素数3または4であることが特に好ましい。これらの脂肪族アシル基の例としては、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、あるいはアルキニルカルボニル基などを挙げることができる。好ましい脂肪族アシル基の例としては、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、イソブチリル基、ピバロイル基、シクロヘキサンカルボニル基などを挙げることができる。
本発明の置換度がBで表されるアシル基が芳香族アシル基である場合、炭素数6〜7であることが好ましく、炭素数6であることが特に好ましい。好ましい芳香族アシル基の例としては、ベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、3−メチルベンゾイル基、3−メトキシベンゾイル基などを挙げることができる。
これらの中で、さらに好ましいものは、プロピオニル基、ブチリル基、ヘキサノイル基、tert−ブチリル基、ベンゾイル基などであり、特に好ましいものはプロピオニル基、ブチリル基である。
これらのアシル基は、それぞれさらに置換基を有していてもよい。また、本発明セルロースアシレートにおいては、置換度がBで表される炭素数3〜7のアシル基は複数の基が混合して置換されていても良い。(例えば、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなど。)
A+Bが2.5より小さい場合は、セルロースアシレートの親水性が増大しフィルムの透湿性が大きくなるため好ましくない。
Aが2.5よりも大きい場合は、フィルムのガラス転移温度が高くなり、延伸性が低下するため好ましくない。
Bが0.3よりも小さい場合には、フィルムのガラス転移温度が高くなり、延伸性が低下するため好ましくない。
本発明のセルロースアシレートは、残留硫酸根量S(Sは残留硫酸根の硫黄原子の含有量)が0ppm<S<200ppmであることが好ましい。残留硫酸根量Sとしてより好ましくは5ppm<S<170ppmであり、さらに好ましくは、10ppm<S<150ppmであり、さらにより好ましくは12ppm<S<100ppmであり、特に好ましくは15ppm<S<70ppmである。この範囲内であれば、セルロースアシレートの熱安定性が良好となる。残存硫酸根量が200ppm未満であれば、後述の金属量との関係によって熱安定性が低下する問題が生じにくく、高温下に置かれた場合であっても光学フィルムとして不適切な着色を生じにくい。200ppmを超える場合は光学フィルム用途としては商品として供するに耐えない場合がある。
本発明において残留硫酸根の量は、硫黄原子の含有量で定義する。すなわち、例えば、硫酸98.07gは硫黄原子32.06gに換算して、硫黄原子の含量で表記する。セルロースアシレート中の硫黄の含有量は、例えば、高周波燃焼装置あるいは電気炉にて試料を酸素気流中で燃焼させ、発生した二酸化硫黄等の硫黄酸化物を過酸化水素を含む吸収液に吸収させ、水酸化ナトリウム水溶液による容量滴定法あるいは電量滴定法によって定量することができる。
本発明においては、セルロースアシレートの残留アルカリ金属量M1ならびに残留2族金属量M2の合計Mは、好ましくは0ppm<M<600ppm、さらに好ましくは、5ppm<M<400ppm、特に好ましくは10ppm<M<200ppmである。ここでいうアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが挙げられるが、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムであり、さらに好ましくはナトリウム、カリウムである。2族金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどを挙げられるが、好ましくはマグネシウム、カルシウム、バリウムであり、さらに好ましくはマグネシウム、カルシウムである。これらの金属が存在することでセルロースアシレートの熱安定性をさらに良化することができる。残留金属の量と種類は、中和剤や安定化剤として添加する化合物の量と種類、使用する水の金属含有量、ならびに、工程上の処理によって制御することができる。
これらのセルロースアシレート中の金属の量は、セルロースアシレートを焼成して得られる残渣、あるいは、硝酸中での高周波湿式灰化を行うなどの方法で前処理した試料について、イオンクロマトグラフィー、原子吸光スペクトル分析、ICP分析、ICP−MS分析などの方法で分析することより定量できる。
式(5): 金属/硫黄当量比={(M1'/2)+M2'}/S'
次に、本発明のセルロースアシレートの製造方法について詳細に説明する。セルロースアシレートの原料綿や一般的な合成方法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)7頁〜12頁にも詳細に記載されている。
セルロース原料としては、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、綿花リンター由来のものが好ましく用いられる。セルロース原料としては、α−セルロース含量が92質量%〜99.9質量%の高純度のものを用いることが好ましい。
セルロース原料がシート状や塊状である場合は、あらかじめ解砕しておくことが好ましく、セルロースの形態は綿状、羽毛状、あるいは粉末状になるまで解砕が進行していることが好ましい。
本発明において、セルロース原料はアシル化に先立って、活性化剤と接触させる前処理(活性化)を行うことを特徴とする。本発明において、活性化剤としては、炭素数2〜7のカルボン酸を用いることを特徴とする。活性化剤はいかなる温度に調節して添加してもよく、添加方法としては噴霧、滴下、浸漬などの方法から選択することができる。
本発明におけるセルロースアシレートを製造する方法においては、セルロースにカルボン酸の酸無水物を加え、ブレンステッド酸またはルイス酸を触媒として反応させることで、セルロースの水酸基をアシル化することが好ましい。
6位置換度の大きいセルロースアシレートの合成については、特開平11−5851号、特開2002−212338号や特開2002−338601号各公報などに記載がある。
カルボン酸の酸無水物として、好ましくはカルボン酸としての炭素数が2〜7であり、例えば、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、2−メチルプロピオン酸無水物、吉草酸無水物、3−メチル酪酸無水物、2−メチル酪酸無水物、2,2−ジメチルプロピオン酸無水物、ヘキサン酸無水物、2−メチル吉草酸無水物、3−メチル吉草酸無水物、4−メチル吉草酸無水物、2,2−ジメチル酪酸無水物、2,3−ジメチル酪酸無水物、3,3−ジメチル酪酸無水物、シクロペンタンカルボン酸無水物、ヘプタン酸無水物、シクロヘキサンカルボン酸無水物、安息香酸無水物などを挙げることができる。
より好ましくは、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物などの無水物であり、特に好ましくは、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物である。
混合エステルを調製する目的で、炭素数の異なるカルボン酸や酸無水物を併用して使用する際には、その組成比は目的とする混合エステルの置換比に応じて決定することが好ましい。
本発明におけるセルロースアシレートの製造に用いるアシル化の触媒は硫酸を用いることを特徴とする。本発明においては、さらに、硫酸以外のブレンステッド酸またはルイス酸を併用することもできる。ブレンステッド酸およびルイス酸の定義については、例えば、「理化学辞典」第五版(2000年)に記載されている。好ましいブレンステッド酸の例としては、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などを挙げることができる。好ましいルイス酸の例としては、塩化亜鉛、塩化スズ、塩化アンチモン、塩化マグネシウムなどを挙げることができる。
触媒の好ましい添加量は、セルロースに対して0.1〜30質量%であり、より好ましくは1〜15質量%であり、特に好ましくは3〜12質量%である。また、触媒の好ましい濃度は、反応混合物に対して、0.001〜15質量%であり、より好ましくは0.01〜10質量%であり、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
アシル化を行う際には、粘度、反応速度、攪拌性、アシル置換比などを調整する目的で、溶媒を添加してもよい。このような溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、カルボン酸、アセトン、エチルメチルケトン、トルエン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどを用いることもできるが、好ましくはカルボン酸であり、例えば、炭素数2〜7のカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−メチルプロピオン酸、吉草酸、3−メチル酪酸、2−メチル酪酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、ヘキサン酸、2−メチル吉草酸、3−メチル吉草酸、4−メチル吉草酸、2,2−ジメチル酪酸、2,3−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、シクロヘキサンカルボン酸)などを挙げることができる。さらに好ましくは、酢酸、プロピオン酸、酪酸などを挙げることができる。これらの溶媒は混合して用いてもよい。アシル化触媒の存在によって、カルボン酸溶媒とカルボン酸無水物との間でアシル交換が進行するため、例えば、プロピオン酸無水物と酢酸との混合物を用いてセルロースのアシル化を行うことにより、セルロースアセテートプロピオネートを合成することもできる。
溶媒の量は任意に選択することができるが、好ましい添加量は、セルロースに対して0〜5000質量%であり、より好ましくは0〜3000質量%であり、特に好ましくは0〜2000質量%である。
活性化剤、アシル化剤、溶媒、触媒の合計量のセルロースに対する質量比は、1.5:1ないし100:1であることが好ましく、1.9:1ないし50:1であることがより好ましく、3:1ないし20:1であることが特に好ましい。
アシル化を行う際には、酸無水物と触媒、さらに、必要に応じて溶媒を混合してからセルロースと混合してもよく、またこれらを別々にセルロースと逐次混合してもよいが、通常は、酸無水物と触媒との混合物、または、酸無水物と溶媒と触媒との混合物をアシル化剤として調整してからセルロースと反応させることが好ましい。アシル化の際の反応熱による反応容器内の温度上昇を抑制するために、アシル化剤は予め冷却しておくことが好ましい。冷却温度としては、−50℃〜20℃が好ましく、−35℃〜10℃がより好ましく、−25℃〜5℃が特に好ましい。アシル化剤は液状で添加しても、凍結させて結晶、フレーク、またはブロック状の固体として添加してもよい。
本発明のアシル化工程は下記式(4)を満足することが好ましい。
式(4): 0<(MA/MB)≦2.0
式中、MAはアシル化工程中の反応混合物に含まれるアセチル基の総モル量を表す。具体的には、アシル化剤に含まれるアセチル基と、前処理工程に使用したカルボン酸に含まれるアセチル基と、生成したセルロースアシレートに含まれるアセチル基の合計モル量である。また、MBはアシル化工程中の反応混合物に含まれる炭素数3〜7のアシル基の総モル量を表す。具体的には、アシル化剤に含まれる炭素数3〜7のアシル基と、前処理工程に使用したカルボン酸に含まれる炭素数3〜7のアシル基と、生成したセルロースアシレートに含まれる炭素数3〜7のアシル基の合計モル量である。
このように、アセチル基の総モル量およびアシル基の総モル量は、前処理工程に用いた活性化剤、アシル化剤(酸無水物、カルボン酸)、溶媒(カルボン酸)の組成と量により決定される。本発明において酸無水物のアシル基の量は、構成するカルボン酸に換算して計算する。すなわち、酸無水物1モルあたりのアシル基は2モルであるというように計算する。同様に、生成したセルロースアシレート中のアシル基のモル数は、全てのエステル結合を加水分解した時に生じるカルボン酸に換算して計算する。セルロースのアシル化の進行によって反応混合物中の酸無水物とカルボン酸の量は逐時変化するが、このような計算を行うことにより、反応混合物中の酸無水物、カルボン酸および生成したセルロースアシレート中に含まれる全てのアシル基の総モル数は、反応系に新たに酸無水物やカルボン酸を追加しない限り、アシル化の過程を通じて一定である。
また、本発明のアシル化工程とは、セルロースの水酸基のアシル化が開始してから、実質的にセルロースのほとんどの水酸基がアシル化されるまでの間(例えば、全置換度2.0以上、好ましくは2.5以上、さらに好ましくは2.8以上、特に好ましくは2.9以上)を指し、アシル化が実質的にほとんど終了し、反応系に酸無水物やカルボン酸をさらに添加しても、もはや生成物であるセルロースアシレートのアシル組成にほとんど影響が及ばなくなった段階は含まない。
本発明において、MA/MBとして好ましくは、0<(MA/MB)≦2.0であり、より好ましくは0.001≦(MA/MB)≦1.5であり、さらに好ましくは0.01≦(MA/MB)≦1.0であり、特に好ましくは0.05≦(MA/MB)≦0.7である。MA/MBが2を超えた場合には、セルロースアシレートのアセチル置換度が高くなり過ぎることにより、延伸性が低下したり、溶融製膜において融解温度が高くなって製膜が困難になるなどの問題が発生する場合がある。
本発明のセルロースアシレートの製造方法においては、アシル化反応の後に、反応停止剤を混合することが好ましい。
本発明において反応停止剤としては、水を含む組成物を用いるが、さらに、酸無水物を分解する水以外の物質(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール)を併せて用いてもよい。反応停止剤には、後述の中和剤を含んでいても良い。
水を含む組成物の例としてはいかなる組み合わせでも良いが、セルロースアシレートが望まない形態で沈殿したりする場合があるなどの不都合を避けるため、水を直接添加するよりも、溶媒(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトンなど)との混合物を添加することが好ましく、溶媒としてはカルボン酸がさらに好ましい。カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。溶媒と水の組成比は任意の割合で用いることができるが、水の含有量が5質量%〜80質量%、さらには10質量%〜60質量%、特には15質量%〜50質量%の範囲であることが好ましい。水を含む組成物は、単一の組成のものを用いても、複数の組成のものを組みあわせて用いても良い。
反応混合物に添加する水の量は、少なくとも残存する酸無水物の当量以上あればよいが、過剰量であることが好ましい。過剰とする水の量は、目的とするセルロースアシレートの置換度、置換度分布、分子量、残存硫酸量などに応じて任意に選択できるが、酸無水物の加水分解が終了した時点で、反応混合物中のカルボン酸(セルロースにアシル基として結合したものは含まない)に対して、0.1〜50モル%であることが好ましく、0.5〜40モル%であることがさらに好ましく、1〜30モル%であることが特に好ましい。
酸無水物の加水分解は発熱反応であるが、反応停止工程中に反応混合物の温度が35℃以下であれば、反応停止工程中の発熱による解重合を無視できる程度に抑えやすい。
アシル化の反応停止工程中あるいはアシル化の反応停止工程の後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分解、カルボン酸およびエステル化触媒の一部または全部の中和、残留硫酸根量と残留金属量の調整などのために、中和剤またはその溶液を添加してもよい。
中和剤の好ましい例としては、アンモニウム、有機4級アンモニウム(例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ジイソプロピルジエチルアンモニウムなど)、アルカリ金属(好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、さらに好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、特に好ましくは、ナトリウム、カリウム)、2族の金属(好ましくは、ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、さらに好ましくは、カルシウム、マグネシウム、バリウム、特に好ましくは、カルシウム、マグネシウム)、3〜12族の金属(例えば、鉄、クロム、ニッケル、銅、鉛、亜鉛、モリブデン、ニオブ、チタンなど)または13〜15族の元素(例えば、アルミニウム、スズ、アンチモンなど)の、炭酸塩、炭酸水素塩、有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、フタル酸水素塩、クエン酸塩、酒石酸塩など)、水酸化物または酸化物などを挙げることができる。これら中和剤は混合して用いても良く、混合塩(例えば、酢酸プロピオン酸マグネシウム、酒石酸カリウムナトリウムなど)を形成していても良い。
中和剤としてさらに好ましくは、アルカリ金属または2族の金属の炭酸塩、炭酸水素塩、有機酸塩、水酸化物または酸化物などであり、特に好ましくは、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムの、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩または水酸化物である。
中和剤の溶媒としては、水、アルコール(例えばエタノール、メタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなど)、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸など)、ケトン(例えば、アセトン、エチルメチルケトンなど)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの極性溶媒、および、これらの混合溶媒を好ましい例として挙げることができる。
このようにして得られたセルロースアシレートは、全置換度がほぼ3に近いものであるが、所望の置換度のものを得る目的で、少量の触媒(一般には、残存する硫酸などのアシル化触媒)と水との存在下で、20〜90℃に数分〜数日間保つことによりエステル結合を部分的に加水分解し、セルロースアシレートのアシル置換度を所望の程度まで減少させること(いわゆる熟成)が一般的に行われる。部分加水分解の過程でセルロースの硫酸エステルも加水分解されることから、加水分解の条件を調節することにより、セルロースに結合した硫酸エステルの量を削減することができる。
部分加水分解の条件によりセルロースアセテートの置換度と置換度分布を調節する方法が、特開2003−201301号公報に記載されている。
部分加水分解の進行により所望の置換度のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を、前記のような中和剤またはその溶液を用いて完全に中和し、部分加水分解を停止させることが好ましい。反応混合物に添加する中和剤の量は、硫酸根(遊離の硫酸、セルロースの結合硫酸)に対して過剰当量であることが好ましい。中和剤は一度に添加しても、分割して添加することもできるが、部分加水分解(熟成)の完了後に、中和剤の量を硫酸根に対して過剰当量になるように添加することが好ましい。
セルロースに結合した硫酸(セルロースサルフェート)は1価の酸であるが、本発明においては、遊離した硫酸に換算して中和剤の当量を計算する。これにより、中和剤の当量は添加した硫酸の量から求めることが可能となる。本発明において、中和剤の好ましい添加量は、硫酸根に対して好ましくは1.2〜50当量であり、さらに好ましくは1.3〜20当量であり、特に好ましくは、1.5〜10当量である。
反応溶液に対して溶解性が低い塩を生成する中和剤(例えば、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなど)を添加することにより、溶液中あるいはセルロースに結合した触媒(例えば、硫酸エステル)を効果的に除去することも好ましい。
本発明は、上記部分加水分解の停止後の反応混合物を、さらに30℃〜100℃に少なくとも1時間保持すること(後加熱工程)を特徴とする。本工程を実施することにより、セルロースアシレートの結合硫酸量をさらに低下させ、熱安定性の良好なセルロースアシレートを得ることができる。本工程によって、セルロースアシレートの結合硫酸量が低下する理由については、詳細は明らかではないが、過剰の塩基の存在下でセルロースアシレート溶液を加熱することにより、アシルエステルに比べて加水分解されやすい硫酸エステルが徐々に脱エステル化され、遊離した硫酸が塩基によって中和されることで平衡が脱エステル側に偏ることが、反応を促進していると考えている。
後加熱工程において、保持する温度は好ましくは40℃〜100℃であり、さらに好ましくは50℃〜90℃であり、特に好ましくは60℃〜80℃である。温度が30℃未満であると、結合硫酸量を低減する効果が十分ではなく、100℃を超えると、操作性や安全性の点で困難になる。また、後加熱工程において保持する時間は好ましくは1時間〜100時間であり、さらに好ましくは1時間〜100時間であり、特に好ましくは1時間〜50時間である。1時間未満であると、結合硫酸量を低減する効果が十分ではなく、100時間を超えると、工業的生産性の点で問題となることがある。後加熱工程においては、反応混合物は攪拌することが好ましい。また、中和剤、水、溶媒、およびこれらの混合物を後加熱工程中に追加してもよい。
セルロースアシレート中の未反応物、難溶解性塩、その他の異物などを除去または削減する目的として、反応混合物(ドープ)のろ過を行ってもよい。ろ過は、アシル化の完了から再沈殿までの間のいかなる工程において行ってもよい。ろ過圧や取り扱い性の制御の目的から、ろ過に先立って適切な溶媒で希釈することも好ましい。
このようにして得られたセルロースアシレート溶液を、水もしくはカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸など)水溶液のような貧溶媒中に混合するか、セルロースアシレート溶液中に、貧溶媒を混合することにより、セルロースアシレートを再沈殿させ、洗浄および安定化処理により目的のセルロースアシレートを得ることができる。再沈殿は連続的に行っても、一定量ずつバッチ式で行ってもよい。セルロースアシレート溶液の濃度および貧溶媒の組成をセルロースアシレートの置換様式あるいは重合度により調整することで、再沈殿したセルロースアシレートの形態や見かけ密度、あるいは分子量分布を制御することも好ましい。
また、精製効果の向上、分子量分布や見かけ密度の調節などの目的から、一旦再沈殿させたセルロースアシレートをその良溶媒(例えば、酢酸やアセトンなど)に再度溶解し、これに貧溶媒(例えば、水もしくはカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)水溶液)などを作用させることにより再沈殿を行う操作を、必要に応じて1回ないし複数回行ってもよい。
生成したセルロースアシレートは洗浄処理することが好ましい。洗浄溶媒はセルロースアシレートの溶解性が低く、かつ、不純物を除去することができるものであればいかなるものでも良いが、通常は水または温水が用いられる。洗浄水の温度は、好ましくは15℃〜100℃であり、さらに好ましくは25℃〜90℃であり、特に好ましくは30℃〜80℃である。洗浄処理はろ過と洗浄液の交換を繰り返すいわゆるバッチ式で行っても、連続洗浄装置を用いて行ってもよい。再沈殿および洗浄の工程で発生した廃液を再沈殿工程の貧溶媒として再利用したり、蒸留などの手段によりカルボン酸などの溶媒を回収して再利用することも好ましい。
洗浄の進行はいかなる手段で追跡を行ってよいが、水素イオン濃度、イオンクロマトグラフィー、電気伝導度、ICP、元素分析、原子吸光スペクトルなどの方法を好ましい例として挙げることができる。
このような処理により、セルロースアシレート中の触媒(硫酸、過塩素酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、塩化亜鉛など)、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物または酸化物など)、中和剤と触媒との反応物、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)、中和剤とカルボン酸との反応物などを除去することができ、このことはセルロースアシレートの安定性を高めるために有効である。
洗浄後のセルロースアシレートは、安定性をさらに向上させたり、カルボン酸臭を低下させるために、弱アルカリ(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、酸化物など)の水溶液などで処理することも好ましい。
残存させる安定化剤の量と種類は、洗浄液の量、洗浄の温度、時間、攪拌方法、洗浄容器の形態、安定化剤の組成や濃度により制御できる。
本発明においてセルロースアシレートの含水率を好ましい量に調整するためには、セルロースアシレートを乾燥することが好ましい。乾燥の方法については、目的とする含水率が得られるのであれば特に限定されないが、加熱、送風、減圧、攪拌などの手段を単独または組み合わせで用いることで効率的に行うことが好ましい。乾燥温度として好ましくは0〜200℃であり、さらに好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは50〜100℃である。本発明のセルロースアシレートは、その含水率が2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.7質量%以下であることが特に好ましい。
本発明のセルロースアシレートは粒子状、粉末状、繊維状、塊状など種々の形状を取ることができるが、フィルム製造の原料としては粒子状または粉末状であることが好ましいことから、乾燥後のセルロースアシレートは、粒子サイズの均一化や取り扱い性の改善のために、粉砕や篩がけを行っても良い。セルロースアシレートが粒子状であるとき、使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子サイズを有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子サイズを有することが好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。また、本発明のセルロースアシレートは、見かけ密度が好ましくは0.5〜1.3g/cm3、さらに好ましくは0.7〜1.2g/cm3、特に好ましくは0.8〜1.15g/cm3である。見かけ密度の測定法に関しては、JIS K−7365に規定されている。
本発明のセルロースアシレートは安息角が10〜70度であることが好ましく、15〜60度であることがさらに好ましく、20〜50度であることが特に好ましい。
セルロースアシレート中の微小異物について詳細に説明する。
セルロースアシレート中の微小異物は肉眼では認識することは困難で、顕微鏡や偏光顕微鏡などを用いることで観察される。微小異物を含むセルロースアシレートから偏光板保護フィルムを作製し、画像表示装置に組み込んだ場合には、特に光を全て遮断する黒表示の場合に、光漏れによる故障の原因となる。
この微小異物は、その直径が1μm以上10μm未満で、クロスニコル下の偏光顕微鏡などで観察され、光学フィルムとして使用した場合に許容される量は、好ましくは0個/mm2〜10個/mm2、より好ましくは0個/mm2〜8個/mm2、特に好ましくは0個/mm2〜5個/mm2である。
これらの微小異物は、製膜工程において、セルロースアシレート溶液(ドープ)あるいは溶融物をろ過することによってある程度取り除くことは可能であるが、ろ過圧が上がり過ぎたり、ろ剤の交換頻度が高くなるのを防止するため、セルロースアシレートの製造段階でその大部分を除去することが好ましい。
本発明のセルロースアシレートの製造方法においては、微小異物の量を削減し、かつ、重合度を高く維持することが可能である。
本発明で用いられるセルロースアシレートの重合度は、GPC法による数平均重合度が好ましくは80〜700、より好ましくは100〜550、さらに好ましくは120〜400であり、特に好ましくは130〜350である。平均重合度は、ゲル浸透クロマトグラフィー (GPC)による分子量分布測定の他に、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)などの方法によっても測定できる。さらに特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
本発明においては、セルロースアシレートの重量平均重合度/数平均重合度が1.6〜3.6であることが好ましく、1.7〜3.3であることがさらに好ましく、1.8〜3.2であることが特に好ましい。
次に、本発明のセルロースアシレートフィルムについて説明する。本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法は、特に規定するものではないが、溶融製膜法または溶液製膜法により製造することが好ましい。
本発明において、セルロースアシレートは1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合しても良い。また、本発明のセルロースアシレート以外の高分子成分や、各種添加剤を適宜混合することもできる。混合される成分はセルロースアシレートと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの透過率が80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは92%以上であることが好ましい。
さらに溶融粘度を上記にするには、セルロースアシレートの数平均重合度が70〜250にすることが好ましく、より好ましくは90〜200、特に好ましくは120〜180である。また、重量平均重合度は150〜700にすることが好ましく、より好ましくは250〜550、特に好ましくは300〜450である。
重合度が250以下であれば、製膜が比較的容易である。一方、重合度が70以上であれば、混練中に充分な剪断を掛けられるため十分な混練を行いやすい。
本発明においては、高温溶融製膜時のセルロースエステルの安定性を保つために、安定剤を添加することが特に有効である。特に、分子量500以上であるフェノール系安定剤の少なくとも一種、および分子量500以上である亜リン酸エステル系安定剤または分子量500以上であるチオエーテル系安定剤から選ばれる少なくとも一種を添加することが好ましい。フェノール系安定剤として、公知の任意のフェノール系安定剤を使用することができる。好ましいフェノール系安定剤としては、ヒンダードフェノール系安定剤が挙げられる。特に、フェノール性水酸基に隣接する部位に置換基を有することが好ましく、その場合の置換基としては炭素数1〜22の置換または無置換のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルへキシル基がより好ましい。また、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する安定剤も好ましい素材として挙げられる。
好ましいアミン系安定剤は、旭電化からアデカスタブLA−57、同LA−52、同LA−67、同LA−62、同LA−77として、またチバ・スペシャリティーケミカルズ社からTINUVIN 765、同144として市販されている。アミン類の亜リン酸エステル類(I)に対する使用比率は、通常0.01〜25重量%程度である。
本発明の溶融セルロースエステルに可塑剤を添加すれば、セルロースエステルの結晶融解温度(Tm)を下げることができる。本発明に用いる可塑剤の分子量は特に限定されないが、好ましくは高分子量のものが挙げられ、例えば分子量500以上が好ましく、より好ましくは550以上であり、さらには600以上が好ましい。可塑剤の種類としては、リン酸エステル類、アルキルフタリルアルキルグリコレート類、カルボン酸エステル類、多価アルコールの脂肪酸エステル類などが挙げられる。それらの可塑剤の形状としては固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。溶融製膜を行なう場合は、不揮発性を有するものを特に好ましく使用することができる。
セルロースエステルフィルムには、紫外線防止剤を添加してもよい。紫外線防止剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載がある。その添加量は、調製する溶融物(メルト)の0.01〜2質量%であることが好ましく、0.01〜1.5質量%であることがさらに好ましい。
本発明におけるセルロースエステルフィルムには、微粒子を混合してもよい。微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられ、いずれでもよい。本発明におけるセルロースエステルに含まれる好ましい微粒子の平均一次粒子サイズは、5nm〜3μmであり、より好ましくは5nm〜2.5μmであり、特に好ましくは20nm〜2.0μmである。微粒子の添加量は、セルロースエステルに対して0.005〜1.0質量%を含有されることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.8質量%であり、さらには0.02〜0.4質量%が特に好ましい。
本発明における溶融セルロースエステルフィルムは、フッ素原子を有する化合物を含むことも好ましい。前記フッ素原子を有する化合物は、離型剤としての作用を発現でき、低分子量化合物であっても重合体であってもよい。重合体としては、特開2001−269564号公報に記載の重合体を挙げることができる。前記フッ素原子を有する重合体として好ましいものは、フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体を必須成分として含有してなる単量体を重合せしめた重合体である。前記重合体に係わるフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体としては、分子中にエチレン性不飽和基とフッ素化アルキル基とを有する化合物であれば特に制限はない。またフッ素原子を有する界面活性剤も利用でき、特に非イオン性界面活性剤が好ましい。
上記セルロースアシレートと添加物は溶融製膜に先立ち混合しペレット化するのが好ましい。
ペレット化は上記セルロースアシレートと添加物を2軸或いは1軸混練押出機を用い150℃〜250℃で溶融後、ヌードル状に押出したものを水中で固化し裁断することで作成することができる。水中に直接押出ながらカットするアンダーウオーターカット法でペレット化を行ってよい。混練押し出し機はベント式のものを用い減圧しながらペレットするのがより好ましい。さらに混練押し出し機中を窒素置換しながらペレット化するのもより好ましい。
好ましいペレットの大きさは断面積が1mm2〜300mm2、長さが1mm〜30mmであり、より好ましくは断面積が2mm2〜100mm2、長さが1.5mm〜10mmである。
押出機の回転数は10rpm〜1000rpmが好ましく、より好ましくは30rpm〜500rpm以下である。ペレット化における押出滞留時間は10秒〜30分、好ましくは30秒〜3分である。
本発明のセルロースアシレートフィルムの溶融製膜法の好ましい形態について説明する。
溶融製膜に先立ちペレット中の水分を乾燥して含水率を下げておくことが好ましい。含水率は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下にする。
このための乾燥温度は40〜180℃が好ましく、乾燥風量は好ましくは20〜400m3/時間で有り、特に好ましくは100〜250m3/時間である。乾燥風の露点は好ましくは0〜−60℃で有り、より好ましくは−20〜−40℃である。
乾燥したセルロースアシレート樹脂を押出機の供給口からシリンダー内に供給する。
押出機のスクリュー圧縮比は2.5〜4.5が好ましく、より好ましくは3.0〜4.0である。L(スクリュー長)/D(スクリュー径)は20〜70が好ましい。より好ましくは24〜50である。溶融温度は上述の温度でおこなうことが好ましい。
スクリューは、フルフライト、マドック、ダルメージ等を用いることができる。
樹脂の酸化防止のために、押出機内を不活性(窒素等)気流中、あるいはベント付き押出し機を用い真空排気しながら実施するのがより好ましい。
押し出し機出口にブレーカープレート式の濾過を行うことが好ましい。
高精度濾過のために、ギアポンプ通過後にリーフ型ディスクフィルター型を濾過装置を設けることが好ましい。濾過は、単段で行っても、多段で行っても良い。濾材の濾過精度は3μm〜15μmが好ましく、さらに好ましくは3μm〜10μmである。濾材はステンレス鋼,スチールを用いることが好ましく、中でもステンレス鋼が望ましい。濾材は線材を編んだもの、金属焼結濾材が使用でき、特に後者が好ましい。
厚み精度向上(吐出量の変動減少)のために、押出機とダイスの間にギアポンプを設置するのが好ましい。これにより、ダイ部分の樹脂圧変動巾を±1%以内にできる。
ギアポンプによる定量供給性能を向上させるために、スクリューの回転数を変化させて、ギアポンプ前の圧力を一定に制御する方法も好ましい。3枚以上のギアを用いた高精度ギアポンプも有効である。ギアポンプ内の滞留部分が樹脂劣化の原因となるため、滞留の少ない構造が好ましい。
押出機とギアポンプ、ギアポンプとダイ等をつなぐアダプタの温度変動を小さくすることが押出圧力安定のために好ましい。このためにアルミ鋳込みヒーターを用いることがより好ましい。
ダイ内の溶融樹脂の滞留が少ない設計であれば、一般的に用いられるTダイ、フィッシュテールダイ、ハンガーコートダイの何れのタイプでも構わない。又、Tダイの直前に樹脂温度の均一性アップのためのスタティックミキサーを入れることも問題ない。Tダイ出口部分のクリアランスは一般的にフィルム厚みの1.0〜5.0倍が良く、さらに好ましくは1.3〜2倍である。
ダイのクリアランスは40〜50mm間隔で調整可能であることが好ましく、より好ましくは25mm間隔以下である。また、下流のフィルム厚みを計測してダイの厚み調整にフィードバックさせる方法も厚み変動の低減に有効である。
機能層を外層に設けるため、多層製膜装置を用いて2種以上の構造を有するフィルムの製造も可能である。
樹脂が供給口から押出機に入ってからダイスから出るまでの樹脂の好ましい滞留時間は2分〜60分であり、好ましくは4分〜30分である。
ダイよりシート上に押し出された溶融樹脂をキャスティングドラム上で冷却固化し、フイルムを得る。この時、タッチロールを用いることも好ましい。
キャスティングドラムは1〜8本、より好ましくは2〜5本用い、徐冷する方法が好ましい。キャスティングロール、タッチロールの直径は50mm〜5000mmが好ましく、さらに好ましくは150mm〜1000mmである。複数本あるキャスティングロールの間隔は、面間で0.3mm〜300mmが好ましく、さらに好ましくは3mm〜30mmである。
この後、キャスティングドラムから剥ぎ取り、ニップロールを経た後巻き取る。このようにして得た未延伸フィルムの厚みは30μm〜400μmが好ましく、より好ましくは50μm〜200μmである。
巻き取り前に両端をトリミングすることが好ましい。トリミングされた部分はフィルム用原料として再利用してもよい。トリミングカッターはロータリーカッター、シャー刃、ナイフ等何れを用いても構わない。材質についても、炭素鋼、ステンレス鋼、セラミックを用いることができる。
好ましい巻き取り張力は1kg/m幅〜50kg/幅、より好ましくは3kg/m幅〜20kg/m幅である。巻き取り張力は、一定の巻き取り張力で巻き取っても良いが、巻取り径に応じてテーパーをつけ巻取ることがより好ましい。
またニップロール間のドロー比率を調整し、ライン途中でフィルムに規定以上の張力がかからない様にすることが必要である。
巻き取り前に、少なくとも片面にラミフィルムを付けても良い。
次に、本発明のセルロースアシレートの溶液製膜の好ましい形態について説明する。
本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延,製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、セルロースアシレートの溶媒は特に限定されない。好ましい溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエチレンなどの塩素系有機溶剤、ならびに非塩素系有機溶媒を挙げることができる。
本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例としては、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチルおよび酢酸ペンチルが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例としては、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
次に、本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法および設備は、従来セルロースアシレートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法および溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらの各製造工程については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)25頁〜30頁に詳細に記載され、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離,延伸などに分類される。
以上のようにして、溶融製膜あるいは溶液製膜によって製造した本発明のセルロースアシレートフィルムは、面状の改良、Re,Rthの発現、線膨張率の改善などを目的として、延伸することが好ましく行われる。
延伸は製膜工程中、オン−ラインで実施しても良く、製膜完了後、一度巻き取った後オフ−ラインで実施しても良い。すなわち、溶融製膜の場合、延伸は製膜中の冷却が完了しない実施しても良く、冷却終了後に実施しても良い。
延伸はTg〜(Tg+50℃)で実施するのが好ましく、より好ましくは(Tg+1℃)〜(Tg+30℃)、特に好ましくは(Tg+2℃)〜(Tg+20℃)である。好ましい延伸倍率は0.1%〜500%、さらに好ましくは10%〜300%、特に好ましくは30%〜200%である。これらの延伸は1段で実施しても、多段で実施しても良い。ここで云う延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
縦延伸、横延伸の延伸速度は10%/分〜10000%/分が好ましく、より好ましくは20%/分〜1000%/分、特に好ましくは30%/分〜800%/分である。多段延伸の場合、各段の延伸速度の平均値を指す。
このようにして延伸した後の膜厚は10〜300μmが好ましく、20μm〜200μmがより好ましく、30μm〜100μmが特に好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの残留溶媒量は、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であり、0質量%であることが特に好ましい。製膜する際に溶媒を用いない溶融製膜法によれば、残留溶媒量が好ましい範囲内にあるセルロースアシレートフィルムを製造することができる。残留溶媒の量は、ガスクロマトグラフィー分析などの方法を用いることにより定量できる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、偏光板保護フィルム、または位相差板として使用されることが好ましい。偏光板保護フィルム、または位相差板として使用した場合には、吸湿による伸張、収縮による応力により複屈折(Re,Rth)が変化する場合がある。このような応力に伴う複屈折の変化は光弾性係数として測定できるが、その範囲は、5×10-7(cm2/kgf)〜30×10-7(cm2/kgf)が好ましく、6×10-7(cm2/kgf)〜25×10-7(cm2/kgf)がより好ましく、7×10-7(cm2/kgf)〜20×10-7(cm2/kgf)であることが特に好ましい。
未延伸、または、延伸後のセルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、さらにまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
これらの表面処理、下塗り工程は、製膜工程の最後に組み込むこともでき、単独で実施することもでき、後述の機能層付与工程の中で実施することもできる。
本発明のセルロースアシレートフィルムに、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に詳細に記載されている機能性層を組み合わせることが好ましい。中でも好ましいのが、偏光膜の付与(偏光板の形成)、光学補償層の付与(光学補償シート)、反射防止層の付与(反射防止フィルム)である。
(偏光膜の素材)
現在、市販の偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素を浸透させることで作製されるのが一般的である。偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜も利用できる。偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素またはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例えば、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。例えば、発明協会公開技法(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)58頁に記載の化合物が挙げられる。
ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。
偏光膜は、偏光膜を延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がより好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸により実施することができる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸により実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。延伸はMD方向に平行に行っても良く(平行延伸)、斜め方向におこなっても良い(斜め延伸)。これらの延伸は、1回で行っても、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。より好ましいのが斜め方向に10度から80度の傾きを付けて延伸する斜め延伸である。
延伸に先立ち、PVAフィルムを膨潤させる。膨潤度は通常1.2〜2.0倍(膨潤前と膨潤後の質量比)である。この後、ガイドロール等を介して連続搬送しつつ、水系媒体浴内や二色性物質溶解の染色浴内で、通常15〜50℃、好ましくは17〜40℃の浴温で延伸する。延伸は2対のニップロールで把持し、後段のニップロールの搬送速度を前段のそれより大きくして行うことができる。前記作用効果の点より好ましい延伸倍率(延伸後/初期状態の長さ比:以下同じ)は1.2〜3.5倍、より好ましくは1.5〜3.0倍である。この後、50℃〜90℃において乾燥させて偏光膜を得る。
斜め延伸法は、特開2002−86554号公報に記載されているように、傾斜め方向に張り出したテンターを用いて延伸することにより実施することができる。この延伸は空気中で行うため、事前に含水させて延伸しやすくすることが必用である。好ましい含水率は5%〜100%、より好ましくは10%〜100%である。
延伸時の温度は40℃〜90℃が好ましく、より好ましくは50℃〜80℃である。相対湿度は50%〜100%が好ましく、より好ましくは70%〜100%、特に好ましくは80%〜100%である。長手方向の進行速度は、1m/分以上が好ましく、より好ましくは3m/分以上である。
このようにして得られる偏光膜の吸収軸は10°〜80°が好ましく、より好ましくは30°〜60°であり、特に好ましくは実質的に45°(40°〜50°)である。
上記鹸化後のセルロースアシレートフィルムと、延伸して調製した偏光膜を貼り合わせ偏光板を調製する。張り合わせる方向は、セルロースアシレートフィルムの流延軸方向と偏光板の延伸軸方向が45°になるように行うのが好ましい。
貼り合わせの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmが特に好ましい。
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するためのものであり、セルロースアシレートフィルムの上に配向膜を形成し、さらに光学異方性層を付与することで形成される。
上記表面処理したセルロースアシレートフィルム上に配向膜を設ける。この膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を作製することも可能である。
本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例えば、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、または液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
前記ラビング処理は、液晶表示装置を製造する際に行う液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムまたはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
このようにして得た配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
次に、配向膜の上に光学異方性層の液晶性分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、または架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。
光学異方性層に用いる液晶性分子には、棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子が含まれる。棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することができる。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、または配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基を有する液晶化合物に対して共重合性を示すものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報の段落番号[0018]〜[0020]に記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1質量%〜50質量%の範囲にあり、5質量%〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
円盤状液晶性分子とともに使用するポリマーは、円盤状液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
円盤状液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70℃〜170℃がより好ましい。
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることが特に好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
この光学補償フィルムと偏光膜を組み合わせることも好ましい。具体的には、上記のような光学異方性層用塗布液を偏光膜の表面に塗布することにより光学異方性層を形成する。その結果、偏光膜と光学異方性層との間にポリマーフイルムを使用することなく、偏光膜の寸度変化にともなう応力(歪み×断面積×弾性率)が小さい薄い偏光板が作成される。本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を大型の液晶表示装置に取り付けると、光漏れなどの問題を生じることなく、表示品位の高い画像を表示することができる。
このような光学補償フィルムが用いられる各液晶モードについて説明する。
(TNモード液晶表示装置)
カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許第4,583,825号、同5,410,422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。
電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向しているのが特徴であり、VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に面内に水平に配向しているのが特徴であり、これが電圧印加の有無で液晶の配向方向を変えることでスイッチングするのが特徴である。具体的には特開2004−365941号、特開2004−12731号、特開2004−215620号、特開2002−221726号、特開2002−55341号、特開2003−195333号各公報に記載のものなどを使用できる。
ECBモードおよびSTNモードに対しても、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
反射防止フィルムは、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)とを透明支持体上に設けてなる。
屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させた多層膜の形成方法として、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、金属アルコキシド等の金属化合物のゾルゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法等が挙げられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは上記いずれの方式で製造する反射防止フィルムにも適用できるが、塗布による方式(塗布型)で製造する反射防止フィルムに適用することが特に好ましい。
透明支持体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)を順に形成した層構成からなる反射防止フィルムは、屈折率が以下の関係を満足するように設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、透明支持体と中屈折率層の間には、ハードコート層を設けてもよい。さらには、中屈折率ハードコート層、高屈折率層および低屈折率層からなるものであってもよい。例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載されているものが挙げられる。
反射防止フィルムのヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。また、膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが特に好ましい。
反射防止フィルムの高い屈折率を有する層は、平均粒子サイズ100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子およびマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜からなる。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上の無機化合物が挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
また、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載される硬化性膜を挙げることができる。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層してなる層である。低屈折率層の屈折率は一般に1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。
低屈折率層は、耐擦傷性や防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させるためには表面に滑り性を付与することが有効であり、具体的には従来公知のシリコーン化合物や含フッ素化合物を導入した薄膜層の形成法を適用することができる。
シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基または重合性官能基を有し、膜中で橋かけ構造を形成しているものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)製等)、両末端にシラノール基を有するポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基を有するシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応させて硬化したゾルゲル硬化膜も好ましい。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成してもよい。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがより好ましく、60〜120nmであることが特に好ましい。
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設けることができる。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光および/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成することが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基を有する有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物であることが好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したものと同様のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層の説明で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層は、平均粒子サイズ0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが特に好ましい。又、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。
上記の層以外に、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許第2,681,294号明細書)により、塗布により形成することができる。
反射防止フィルムは、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止フィルムの表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止フィルムがアンチグレア機能を有する場合、反射防止フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがより好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
1)平均分子量
GPC装置(東ソー製HLC-8220GPC)を用いて下記条件で測定して、数平均分子量(Mn)ならびに重量平均分子量(Mw)を求めた。なお、検量線はポリスチレン(TSK標準ポリスレン:分子量1050、5970、18100、37900、190000、706000)を用いて作成した。
カラム:TSK GEL Super HZ4000、TSK GEL Super HZ2000、
TSK GEL Super HZM-M、
TSK Guard Column Super HZ-L、
カラム温度:40℃
溶離液:THF
流量:1ml/分
検出器:RI
試料濃度 0.5%(THF)
平均分子量を、下記方法で決定した置換度から求めた1繰り返し単位あたりの分子量で除して、重量平均重合度(DPw)、数平均重合度(DPn)とした。
13C−NMR法により、セルロースアシレートのカルボニル炭素の面積強度比を比較することにより、アシル置換度を決定した。
高周波燃焼装置にて試料を酸素気流中で燃焼させ、発生した二酸化硫黄等の硫黄酸化物を過酸化水素を含む吸収液に吸収させ、電量滴定法によって定量することにより硫酸根の含有量を測定した。本発明において残留硫酸根の量は、硫黄原子の含有量で定義することから、例えば、硫酸98.07gは硫黄原子32.06gに換算して、硫黄原子の含量で表記した。
試料に硝酸を加えてマルチウエーブ灰化した後に純水にて希釈し、ICP−OES法によりカルシウム、マグネシウムを、AAS/炎色法によりナトリウム、カリウムの量を測定した。
(製造例1)セルロースアセテートブチレートB−1(本発明)、B−1−2(本発明)、B−2(本発明)、B−3(比較例)の合成
セルロース(広葉樹パルプ)250gに酢酸125gを噴霧し、還流装置を付けた反応容器に取り、40℃に加熱しながら30時間放置した。その後、40℃に加熱しながら1時間攪拌した。このような前処理を行ったセルロースは膨潤、解砕されて、フラッフ状を呈した。
反応容器を0℃の氷水浴にて冷却し、約5℃に冷却した酢酸760g、次いで酢酸1198gと水219gとの混合物を1時間かけて添加した。内温を60℃まで上昇させ、4時間攪拌した(熟成)。
次いで反応容器に、酢酸マグネシウム4水和物77g、酢酸77g、水77gの混合溶液を添加し(中和)、60℃で2時間攪拌した(後加熱)。酢酸と水の混合物を徐々に水の比率を上昇させながら、合計で酢酸20L、水15L加えてセルロースアセテートブチレートを沈殿させた。得られたセルロースアセテートブチレートの沈殿は75℃の温水にて4時間洗浄を行った。洗浄後、0.005質量%水酸化カルシウム水溶液中で0.5時間攪拌し、さらに、洗浄液のpHが7になるまで水で洗浄を行った後、90℃で真空乾燥させ、セルロースアセテートブチレートB−1を得た。B−1はアセチル化度1.20、ブチリル化度1.50、重合度280であった。別途、中和後60℃で攪拌する(後加熱)時間を4時間とし、それ以外の操作はB−1と全く同様に行ったセルロースアセテートブチレートB−2を作成した。
B−1、B−2はいずれもアセチル化度1.20、ブチリル化度1.50、数平均重合度280であった。
さらに、小片に解砕したセルロース(広葉樹パルプ)250gを反応容器に収容し、特に前処理を行うことなく、−25℃に冷却したアシル化剤(酢酸346g、無水酢酸189g、酪酸1251g、酪酸無水物1123g、硫酸17.5gの混合物)を一度に加えた。1.5時間経過後、内部温度を17℃まで上昇させ、6時間反応させたが、反応は完結しなかった。さらに2時間攪拌した。反応混合物にはわずかな濁りが観察されたが、この時点でアシル化を終了させた。このアシル化工程における全アセチル基/全ブチリル基のモル比は0.333と計算される。B−1と同様の処理を行い、セルロースアセテートブチレートB−3を作成した。B−3はアセチル化度1.22、ブチリル化度1.49、数平均重合度250であった。
セルロース(広葉樹パルプ)200gに酢酸100gを噴霧し、還流装置を付けた反応容器に取り、40℃に加熱しながら30時間放置した。その後、40℃に加熱しながら1時間攪拌した。このような前処理を行ったセルロースは膨潤、解砕されて、フラッフ状を呈した。
別途、アシル化剤として酢酸161g、無水酢酸449g、酪酸742g、酪酸無水物1349g、硫酸14.0gの混合物を作製し、−25℃に冷却した後に、前処理を行ったセルロースを収容する反応容器に一度に加えた。1.5時間経過後、外設温度を17℃まで上昇させ、6時間反応させた。反応混合物から原料のセルロースが消失し、均一な溶液となった時点をアシル化の終点とした。このアシル化工程における全アセチル基/全ブチリル基のモル比は0.515と計算される。
反応容器を0℃の氷水浴にて冷却し、約5℃に冷却した次いで酢酸558gと水279gとの混合物を1.5時間かけて添加した。内温を60℃まで上昇させ、2.5時間攪拌した(熟成)。
次いで反応容器に、酢酸マグネシウム4水和物61g、酢酸61g、水61gの混合溶液を添加し(中和)、60℃で2時間攪拌した(後加熱)。酢酸と水の混合物を徐々に水の比率を上昇させながら、合計で酢酸20L、水15L加えてセルロースアセテートブチレートを沈殿させた。得られたセルロースアセテートブチレートの沈殿は75℃の温水にて6時間洗浄を行った。洗浄後、0.005質量%水酸化カルシウム水溶液中で0.5時間攪拌し、さらに、洗浄液のpHが7になるまで水で洗浄を行った後、90℃で真空乾燥させ、セルロースアセテートブチレートB−4を得た。別途、中和後60℃で攪拌する(後加熱)時間を4時間とし、それ以外の操作はB−4と全く同様に行ったセルロースアセテートブチレート、B−5を作成した。また、洗浄を20℃で6時間行った以外の操作は、B−4と全く同様に行ったセルロースアセテートブチレート、B−6を作成した。
B−4、B−5、B−6はいずれもアセチル化度1.51、ブチリル化度1.19、数平均重合度280であった。
セルロース(広葉樹パルプ)150gに酢酸75gを噴霧し、還流装置を付けた反応容器に取り、40℃に調節したオイルバスにて加熱しながら1時間攪拌した。このような前処理を行ったセルロースは膨潤、解砕されて、フラッフ状を呈した。
別途、アシル化剤として無水酢酸12.5g、プロピオン酸無水物1854g、硫酸10.5gの混合物を作製し、−25℃に冷却した後に、前処理を行ったセルロースを収容する反応容器に一度に加えた。反応の最高温度を24℃に設定して、5.5時間反応させた。反応混合物から原料のセルロースが消失し、均一な溶液となった時点をアシル化の終点とした。このアシル化工程における全アセチル基/全プロピオニル基のモル比は0.063と計算される。
反応容器を0℃に冷却し、約5℃に冷却した酢酸918gと水306gとの混合物を1.5時間かけて添加した。内温を40℃まで上昇させ、1時間攪拌した(熟成)。
1H−NMRおよび、GPC測定によれば、得られたセルロースアセテートプロピオネートP−1、P−2、P−3は、アセチル化度0.26、プロピオニル化度2.66、重合度220であった。セルロースアセテートプロピオネートP−4は、アセチル化度0.26、プロピオニル化度2.70、数平均重合度230であった。
セルロース(広葉樹パルプ)180gに酢酸90gを噴霧し、還流装置を付けた反応容器に取り、40℃に調節したオイルバスにて加熱しながら2時間攪拌した。このような前処理を行ったセルロースは膨潤、解砕されて、フラッフ状を呈した。
別途、アシル化剤として、酢酸97g、プロピオン酸658g、プロピオン酸無水物1735g、硫酸12.6gの混合物を作製し、−25℃に冷却した後に、前処理を行ったセルロースを収容する反応容器に一度に加えた。内部温度を最高22℃に設定して5時間反応させた。反応混合物から原料のセルロースが消失し、均一な溶液となった時点をアシル化の終点とした。このアシル化工程における全アセチル基/全プロピオニル基のモル比は0.101と計算される。
反応容器を0℃に冷却し、約5℃に冷却した酢酸1430g、プロピオン酸1211gと水300gとの混合物を2時間かけて添加した。内温を40℃まで上昇させ、1.5時間攪拌した(熟成)。
次いで反応容器に、酢酸マグネシウム4水和物55g、酢酸55g、水55gの混合溶液を添加し(中和)、60℃で4時間攪拌した(後加熱)。酢酸と水の混合物を徐々に水の比率を上昇させながら、合計で酢酸2L、水3Lを加えてセルロースアセテートプロピオネートを沈殿させた。得られたセルロースアセテートプロピオネートの沈殿は70℃の温水にて4時間洗浄を行った。洗浄後、0.005質量%水酸化カルシウム水溶液中で45分間攪拌し、さらに、洗浄液のpHが7になるまで水で洗浄を行った後、90℃で真空乾燥させ、セルロースアセテートプロピオネートP−5を得た。
1H−NMRおよび、GPC測定によれば、得られたセルロースアセテートプロピオネートP−5は、アセチル化度0.52、プロピオニル化度2.40、数平均重合度260であった。
セルロース(広葉樹パルプ)100gに酢酸100gを噴霧し、還流装置を付けた反応容器に取り、40℃にて1時間攪拌した。このような前処理を行ったセルロースは膨潤、解砕されて、フラッフ状を呈した。
別途、アシル化剤として酢酸875g、無水酢酸1058g、酪酸358g、酪酸無水物410g、硫酸14.0gの混合物を作製し、−20℃に冷却した後に、前処理を行ったセルロースを収容する反応容器に一度に加えた。1時間経過後、外設温度を20℃まで上昇させ、4時間反応させた。反応混合物から原料のセルロースが消失し、均一な溶液となった時点をアシル化の終点とした。このアシル化工程における全アセチル基/全プロピオニル基のモル比は3.995と計算される。
反応容器を5℃の氷水浴にて冷却し、酢酸1039g、水346gの混合物を90分間かけて添加した。内温を60℃に上昇させ、2時間攪拌した。次いで反応容器に、酢酸マグネシウム4水和物61g、酢酸61g、水61gの混合溶液を添加し(中和)、60℃で4時間攪拌した(後加熱)。酢酸と水の混合物を徐々に水の比率を上昇させながら、合計で酢酸10L、水15L加えてセルロースアセテートブチレートを沈殿させた。このセルロースアセテートブチレートの沈殿を、70℃の温水にて、6時間洗浄を行った後、0.005質量%水酸化カルシウム水溶液中で0.5時間攪拌し、洗浄液のpHが7になるまで水で洗浄を行った。得られたセルロースアセテートブチレートB−7は、70℃で真空乾燥させた。セルロースアセテートブチレートB−7はアセチル化度2.61、ブチリル化度0.20、数平均重合度295であった。
製造例1のセルロースアセテートブチレートB−1の製造において、セルロースの前処理の条件を、セルロースに酢酸を噴霧して10℃に30分間、さらに10℃で1時間攪拌した(本発明外の前処理条件)他は全く同様にしてアシル化を行ってセルロースアセテートブチレートB−8の合成を試みた。このような前処理を実施したセルロースは反応性の向上が十分ではなく、反応時間が11時間を超過しても未反応物が残存し、反応を完結させることができなかった。
また、アシル化の反応最高温度を35℃とした他はB−1と同様にしてアシル化を行った。反応は3時間で完結した。得られた本発明のセルロースアセテートブチレートB−9は残留硫酸根量が66ppmと好ましい量であったが、数平均重合度が107と低く、溶融製膜は可能であるが、溶液製膜適性がやや劣るものであった。
さらに、実施例1のB−1の製造において、熟成完了後にドープ組成物を20℃に直ちに冷却し、さらに20℃で2時間攪拌した以外は、全く同様にして本発明外の化合物B−10を合成した。このような処理を行った化合物B−10は、硫黄含量が240ppmとB−1に比べて多いものであった。
さらに、実施例1のB−1の製造において、熟成完了後に加える酢酸マグネシウム4水和物の量を34g(硫酸に対して0.9当量)とした以外は全く同様にして、本発明外の化合物B−11を合成した。このような処理を行った化合物B−11は、硫黄含量が350ppmとB−1に比べて多いものであった。
製造例1〜5の化合物は、いずれも重量平均重合度/数平均重合度は1.9〜3.05の範囲であった。
またJIS K−7365に規定される方法により、見かけ密度を測定したところ、0.7〜1.12g/cm3の範囲であった。
また、洗浄を20℃で行った試料B−6は加熱洗浄を行ったものと比較して残留硫酸根量および残金属量が多いことが分かる。
(セルロースアシレートの調製)
実施例1に記載の方法、または同様な方法によりスケールを変更して、評価に必要な種類と量のセルロースアシレートを調製した。
上記セルロースアシレートを120℃で3時間送風乾燥して、カールフィッシャー法による含水率を0.1質量%にしたものに、下記から選択した可塑剤を加え、さらに全水準に二酸化珪素部粒子(アエロジルR972V)0.05質量%を添加した。
可塑剤A: リン酸トリフェニル
可塑剤B: アジピン酸ジオクチル
これらを混合したものを2軸混練押出し機のホッパーに入れて混練した。なお、この2軸混練押出し機には真空ベントを設け、真空排気(0.3気圧に設定)を行った。
このようにして融解した後、水浴中に直径3mmのストランド状に押出し1分間浸漬した後(ストランド固化)、10℃の水中を30秒通過させ温度を下げ、長さ5mmに裁断した。このようにして調製したペレットを100℃で10分乾燥した後、袋詰した。
上記方法で調製したセルロースアシレートペレットを、110℃の真空乾燥機で3時間乾燥した。これをTg−10℃になるように調整したホッパーに投入し、195℃で5分間かけ溶融した後、表1に記載のT/D比(リップ間隔/製膜フィルムの厚み)、キャスティングドラム(CD)とダイの間隔(CD−ダイ間の間隔を製膜幅で割り百分率でしめしたもの)で製膜した。このとき、キャスティングドラムの速度を押出し速度のT/D倍にすることで所望の厚み(D)のフィルムを得た。
キャスティングドラムはTg−10℃とし、この上で固化しフィルムとした。この時、各水準静電印加法(10kVのワイヤーをメルトのキャスティングドラムへの着地点から10cmのところに設置)を用いた。固化したメルトを剥ぎ取り、巻き取り直前に両端(全幅の各5%)をトリミングした後、両端に幅10mm、高さ50μmの厚みだし加工(ナーリング)をつけた後、30m/分で3000m巻き取った。このようにして得た未延伸フィルムの幅は各水準とも1.5mであり、厚みは表2に記載した。
以下に本発明で使用した測定法について記載する。
(1)微細偏光異物
溶融製膜後、または延伸後のサンプルフィルムを、偏光子を直交させた偏光顕微鏡を用い倍率100倍で観察した。ここで観察される1μm以上10μm未満の白色の異物の数を目視で計測し、1mm2あたりの個数で表した。
セルロースエステルフィルムを25℃・相対湿度60%にて24時間調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)を用いて、25℃・相対湿度60%において、波長590nmにおける位相差を測定することにより、面内レターデーション値(Re)と膜厚方向のレターデーション値(Rth)を算出した。
このようにして得た未延伸セルロースアシレートフィルムの着色を目視で観察し、以下の5段階で評価した結果を表2に記載した。
1 着色を全く観察しない。
2 着色がわずかに見られる。
3 着色が中程度である。
4 着色が大きい。
5 著しく着色が大きい。
1,2が商品として許容されるレベルである。
これに対して、後加熱を行なわずに製造した比較用試料P−3、P−4はいずれも着色が大きく、特に残留硫酸根が多いP−4は商品として供することができないレベルである。
本発明の製造方法による試料はいずれも光学フィルムに適した微小異物が少ないセルロースアシレートが得られているが、アシル化の前処理工程を行わなかった比較用試料B−3は、B−1に比べ、微小異物が多く、光学フィルムとしての特性が劣ることが分かる。
さらに、置換度が本発明の範囲外のセルロースアセテートブチレートB−7は、融点が高いためにペレット化の際の溶融温度での着色が大きく、溶融製膜を実施することができなかった。
以上から、本発明の様態により製造されたセルロースアシレートが、良好な光学フィルムを与えることが明らかである。
(セルロースアシレートの合成)
実施例1に記載の方法、または同様な方法によりスケールを変更して、評価に必要な種類と量のセルロースアシレートを調製した。
(i)溶剤の調製
溶媒組成が、ジクロロメタン(82.0質量%)、メタノール(15.0質量%)、ブタノール(3.0質量%)からなる溶剤を調製した。
(ii)セルロースアシレートの乾燥
上述のセルロースアシレートを乾燥し含水率を0.5%以下とした。
(iii)添加剤の添加
下記組成の添加剤を前記から得られた溶剤に添加した。尚、下記添加量(質量%)は全てセルロースアシレートの絶乾燥質量に対する割合である。
〔添加剤組成〕
可塑剤A(トリフェニルホスフェート) 3.1質量%
可塑剤B(ビフェニルジフェニルホスフェート) 1質量%
光学異方性コントロール剤(特開2003−66230号公報に
記載の(化1)に記載の板状化合物) 2.95質量%
UV剤a(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,
5−トリアジン) 0.5質量%
UV剤b(2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−
ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール) 0.2質量%
UV剤c(2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−
アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール) 0.1質量%
微粒子(粒子サイズ20nm、モース硬度約7の二酸化ケイ素) 0.25質量%
クエン酸エチルエステル(モノエステル:ジエステル=1:1) 0.2質量%
前記から得られた添加剤を含んだ溶液中に、前記セルロースアシレートを撹拌しながら添加した。撹拌停止後、25℃で3時間膨潤させスラリーを作製した。該スラリーを再度撹拌し、セルロースアシレートを完全に溶解した。
この後、前記スラリーを絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)でろ過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの濾紙(ポール社製、FH025)にて濾過し、セルロースアシレート溶液を得た。セルロースアシレート溶液の濃度は25質量%(全固形分×100/(全固形分量+溶剤量)であった。
上述のセルロースアシレート溶液を35℃に加温し、下記のバンド方法で鏡面ステンレス支持体上に流延した。該バンド方法においては、セルロースアシレート溶液をギーサーに通して、15℃に保温したバンド長60mの鏡面ステンレス支持体上に流延した。使用したギーサーは、特開平11−314233号公報に記載の形態に類似するものを用いた。また、流延部の空間温度を40℃とし、さらに熱供給の為の空気を風速30m/秒で送風した。残留溶剤が100質量%となった時点でセルロースアシレートフィルムを鏡面ステンレス支持体から荷重20g/cmで剥ぎ取り、40℃〜120℃の間を昇温速度が30℃/分となるように昇温(除昇温)した。その後、120℃で5分、さらに145℃で20分乾燥した後、30℃/分で徐冷し、セルロースアシレートフィルムを得た。得られたフィルムは両端を3cmトリミングした後、両端から2〜10mmの部分に高さ100μmのナーリングを付与し、3000mロール状に巻き取った。
(溶液製膜)
実施例3における溶媒組成を、酢酸メチル(82.0質量%)、アセトン(10.1質量%)、エタノール(4.0質量%)、ブタノール(3.9質量%)に変更し、前記添加剤組成を、可塑剤A(トリフェニルホスフェート)9.3質量%、可塑剤B(ビフェニルジフェニルホスフェート)3質量%になるよう調製し、投入攪拌後のセルロースアシレート溶液を軸中心部が、40℃に加温したスクリューポンプで送液して、そのスクリュー外周部から冷却し、−75℃で3分間となるように冷却部分を通過させ、製膜時の空間温度を80℃にし、流延部の熱供給のための空気の風速を20m/秒にした以外は、実施例3と同等に実施した。この際、剥ぎ取り荷重40g/cmで剥離を行った。尚、冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒を用いて実施した。
実施例3および実施例4で製造したセルロースアシレートフィルムのRe、Rth、残留硫酸根を測定し、色調と面状を評価した。結果を表3に示す。
Re≦Rth
0nm≦Re≦300nm
0nm≦Rth≦500nm
一方、比較用化合物B−3から、得られた光学フィルムのレターデーション発現性は良好であったが、溶液のろ過に時間を要し、面状が悪く(異物)生産性と総合性能がやや劣るものであった。また、洗浄を低温で行った本発明の化合物B−6から作成した試料は、温水洗浄を行った試料に比べて若干色調が劣る傾向があり、本発明は温水洗浄を行うことによりさらに有効であることが分かる。
一方、比較用化合物P−3、P−4は熱安定性が低く、溶液調整時のセルロースアシレートの加熱乾燥工程ならびにフィルムの乾燥工程を経たことにより、好ましくない着色が起こったほか、面状もスジ故障が発生して、本発明のフィルムに性能が劣るものであった。置換度が本発明の範囲外の試料B−7から作成したフィルムは、ジクロロメタン系溶媒(実施例3)では良好なフィルムを作成できたが、非塩素系(実施例4)では、好ましくない白化が起こり、本発明の化合物に比べて溶媒の選択性が小さいことが分かる。また、本発明の範囲外の試料B−7から作成したフィルムは、Re、Rthの湿度依存性が大きかった。
さらに発明協会公開技報告(公技番号201−1745)の実施例1に従い、実施例3ならびに実施例4で調製したセルロースアシレート溶液を用いて3層共流延を実施したところ、本発明の化合物から作成した試料については、良好な結果が得られた。
製造例1の試料B−1について、再沈殿の条件を変更して、見かけ密度が0.4である試料B−1−3を製造した。得られた試料B−1−3を実施例3に従って溶液作成と製膜を試みた。セルロースアシレートの溶液を作成する際に、気泡を除去することが困難で製造適性が若干劣ったが、光学フィルムとしての性能はB−1から作成した試料と同様に優れたものであった。
また、製造例1の試料B−1について、再沈殿と溶解を繰り返すことにより重量平均重合度/数平均重合度が1.5の試料B−1−4を作成した。このときの収率は試料B−1の20%以下であり、工業的採算性の点で劣っていた。得られた試料B−1−4を実施例3に従って溶液作成と製膜を試みたところ、光学フィルムとしての性能はB−1から作成した試料と同様に優れたものであった。
(1)試料の調製
実施例1に記載の方法、または同様な方法によりスケールを変更して、評価に必要な種類と量のセルロースアシレート(表4に記載)を調製した。これに熱安定剤(住友化学製 スミライザーGP)を0.3質量%、二酸化珪素部粒子(アエロジルR972V)0.05質量%、吸収剤としてアデカスタブLA−31(旭電化工業( 株)製)1質量%を全水準に添加し良く撹拌した。
上記セルロースアシレートを直径3mm、長さ5mmの円柱状のペレットに成形した後、110℃の真空乾燥機で6時間乾燥し、残留水分を0.01質量%以下にした。これを(Tg−10℃)になるように調整したホッパーに投入し、窒素気流下、表4記載の溶融温度、GP上流圧で、圧縮比4のフルフライトスクリューを用い、L(スクリュー長)/D(スクリュー径)=30で混練溶融した。さらに、押し出し機出口にブレーカープレート式の濾過を行った後、ギアポンプ通過後に4μmのステンレス製リーフ型ディスクフィルター型濾過装置を通した。
各製膜フィルムについて、以下の評価を行った。
プレート型レオメーター(例えばPhysica社製 MCR301型)を用い、下記条件で製膜フィルムの溶融粘度を測定した。測定に際しては、熱安定剤(住友化学製、スミライザーGP)を0.3質量%添加してよく撹拌したものをサンプルとし、該サンプルセット後10分以内に測定した。
測定温度:220℃
プレート:25mmφ平行板
ギャップ:1mm
剪断速度:1sec-1
製膜フィルムの全幅に亘り35mm幅でサンプリングし(TDサンプル)、幅方向中央部を35mm幅で2m長でサンプリングした(MDサンプル)。TDサンプル、MDサンプルを連続厚み計(FILM THICKNESS TESTER KG601A、ANRITSU(アンリツ電気(株))製)で測定し、最大値、最小値、平均値を求めた。(最大値−平均値)、(平均値−最小値)の平均を厚みむらとした。
製膜フィルム(製膜全幅×MD30cm)を白色スクリーンの前に10mmの間隔を空け平行に設置した。このフィルムの中央部から32.5度の方向に1m離して設置したスライド投影機(例えばキャビン工業( 株)製Color CabinIII)から投光した。スクリーンに投影された製膜方向(MD)に平行なスジ(光の明暗)のうち、3mm幅以下のものの本数を全幅に亘って数え、幅10cmあたりの本数を求めた。
本発明ならびに比較例のフィルムを、実施例8の「(3)張り合わせと評価」に記載の方法によってVA型液晶表示装置液晶表示装置に取り付け、最も投影平行スジが見え易い斜め32度から目視評価して、スジの発生本数を計測した。
試料を1cm×10cmに裁断し、25℃、相対湿度60%の環境に1時間置いた後に、オリエンテック社製引っ張り試験装置RTC−1210Aを用いて破断伸度を測定した。
(延伸フィルムの作製と評価)
実施例2〜4および実施例7に記載の本発明の未延伸フィルムを延伸し、それぞれのセルロースアシレートフィルムのTgより10℃高い温度で、100%/秒でMD延伸、20%/秒でTD延伸をした。延伸方法は縦延伸の後横延伸を行う逐次延伸と、縦横同時に延伸する同時2軸延伸で実施した。かかる延伸方法で作製したセルロースアシレートフィルムのReおよびRth、並びにこれらの湿度依存性(ΔRe、ΔRth)、光弾性係数を測定し、実施例2〜4および実施例7に記載の本発明のセルロースアシレートフィルムはいずれも下記範囲を満足する良好な結果を得た。
0nm≦Re≦300nm
0nm≦Rth≦500nm
0%/相対湿度%≦ΔRe≦90%/相対湿度%
0%/相対湿度%≦ΔRth≦90%/相対湿度%
5×10-7cm2/kgf≦光弾性係数≦30×10-7cm2/kgf
DSCの測定パンにセルロースアシレートフィルムを20mg入れた。これを窒素気流中で、10℃/分で30℃から240℃まで昇温した後、30℃まで−50℃/分で冷却した。この後、再度30℃から240℃まで昇温してベースラインが低温側から偏奇し始める温度をTgとした。
セルロースアシレートフィルムを25℃・相対湿度10%に3時間以上調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用いて、ReおよびRthを算出した。これらをRe(10%RH)、Rth(10%RH)とする。次いで、同じセルロースアシレートフィルムを25℃・相対湿度80%に3時間以上調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用いて、ReおよびRthを算出した。これらをRe(80%RH)、Rth(80%RH)とする。これらの測定値と各セルロースアシレートフィルムのReとRthの値[これらはRe(60%RH)、Rth(60%RH)に相当する]を用いて、下記式に従いΔRe、ΔRthを求めた。各9点の測定点の平均を求めて、セルロースアシレートフィルムのΔRe、ΔRthとした。
ΔRe(%/相対湿度%)=[100×{Re(80%RH)とRe(10%RH)の差の絶対値}/Re(60%RH)]/70
ΔRth(%/相対湿度%)=[100×{Rth(80%RH)とRth(10%RH)の差の絶対値}/Rth(60%RH)]/70
(ア)1cm幅×10cm長のセルロースアシレートフィルムを、サンプルの長手方向がMD方向とTD方向になるように2種類切り出した。
(イ)これをエリプソ測定装置(日本分光製 M−150)にセットし、長手方向(10cm長)に沿って100g、200g、300g、400g、500gの荷重を掛けながら、順次25℃・相対湿度60%において632.8nmの光でReを測定した。
(ウ)横軸に応力(荷重をフィルム断面積で割った値(kgf/cm2))、縦軸にRe変化(nm)をプロットし、この傾きから光弾性(cm2/kgf)を求めた。
(エ)2種類のサンプルの測定値を平均して光弾性(cm2/kgf)とした。
(1)セルロースアシレートフィルムの鹸化
上述の本発明のセルロースアシレートフィルムについて、未延伸、延伸セルロースアシレートフィルムを下記の方法で鹸化をおこなった。
NaOHの1.5規定水溶液を鹸化液として用いた。これを60℃に調温し、セルロースアシレートフィルムを2分間浸漬した。この後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、水洗浴を通した。
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、厚み20μmの偏光膜を作製した。
このようにして得た偏光膜と、上記鹸化処理した未延伸、延伸セルロースアシレートフィルムのうちから2枚選び、これらで上記偏光膜を挟んだ後、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とセルロースアシレートフィルムとの長手方向が90°となるように張り合わせた。このうち未延伸、延伸セルロースアシレートフィルムを特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置液晶表示装置に25℃・相対湿度60%下で取り付け、これを25℃・相対湿度10%の中に持ち込んだ。本発明のセルロースアシレートフィルムを使用したものは、色調変化が小さく、表示むらの少ない良好な性能が得られた。
また、特開2002−86554号公報の実施例1に従い、テンターを用い延伸軸が斜め45°となるように延伸した偏光板についても同様に、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いて作製したものは、上記同様に良好な結果が得られた。
特開平11−316378号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムの代わりに、上述の鹸化済みの本発明の延伸セルロースアシレートフィルムを使用し、これを、特開2002−62431号公報の実施例9に記載のベンド配向液晶セルに25℃・相対湿度60%下で取り付け、これを25℃・相対湿度10%の中に持ち込んだ。本発明のセルロースアシレートフィルムを使用したものはコントラストの変化の小さい良好な表示性能が得られた。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板、位相差偏光板を、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載の20インチOCB型液晶表示装置、特開2004−12731号公報の図11に記載のIPS型液晶表示装置に用いたところ、良好な液晶表示装置を得た。
発明協会公開技報(公技番号2001−1745)の実施例47に従い、上述の延伸セルロースアシレートフィルムを用いて低反射フィルムを作製したところ、本発明のセルロースアシレートフィルムを使用したものは、良好な光学性能が得られた。
さらに上記低反射フィルムを、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載の20インチOCB型液晶表示装置液晶表示装置の最表層に貼り評価を行ったところ、良好な液晶表示装置を得た。
Claims (26)
- 下記式(1)〜(3)を満足するセルロースアシレートの製造方法であって、少なくとも、
1)セルロースと炭素数2〜7のカルボン酸とを接触させて20℃〜100℃に保持する前処理工程
2)前処理工程後のセルロースを硫酸触媒の存在下でアシル化剤によりアシル化するアシル化工程、および、
3)アシル化工程後から再沈殿の前までの工程のいずれかにおいて、反応混合物を、硫酸根に対して化学量論的に過剰な塩基が存在する状態で、30℃〜100℃に少なくとも1時間保持する後加熱工程、を含むセルロースアシレートの製造方法。
式(1): 2.5≦A+B≦3
式(2): 0.05≦A≦2.5
式(3): 0.3≦B≦3
(式中、Aはアセチル基の置換度を表し、Bは炭素数3〜7のアシル基の置換度の総和を表す。) - アシル化工程が下記式(4)を満足することを特徴とする、請求項1に記載のセルロースアシレートの製造方法。
式(4): 0<(MA/MB)≦2.0
(式中、MAはアシル化工程中の反応混合物に含まれるアセチル基の総モル量を表し、MBはアシル化工程中の反応混合物に含まれる炭素数3〜7のアシル基の総モル量を表す。) - 炭素数3〜7のアシル基としてプロピオニル基またはブチリル基を有するセルロースアシレートを製造することを特徴とする、請求項1または2に記載のセルロースアシレートの製造方法。
- 前処理工程において、セルロースと炭素数2〜7のカルボン酸とを接触させて40℃〜100℃に保持することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
- アシル化工程において、アシル化の際の最高到達温度を30℃以下に制御することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
- 後加熱工程における塩基の量が硫酸根に対して1.2当量〜50当量であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
- 後加熱工程の塩基が、アンモニウム、アルカリ金属、2族金属および13族元素からなる群より選択される少なくとも1種の、炭酸塩、有機酸塩、リン酸塩、水酸化物または酸化物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
- 後加熱工程において、反応混合物を40℃〜100℃に保持することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
- 後加熱工程において、反応混合物を30℃〜100℃に2時間〜100時間保持することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
- セルロースアシレートを40℃〜95℃において1時間〜100時間洗浄する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のセルロースアシレートの製造方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法により製造されたセルロースアシレート。
- セルロースアシレートの残留硫酸根量S(Sは残留硫酸根の硫黄原子の含有量)が0ppm<S<200ppmである請求項11に記載のセルロースアシレート。
- セルロースアシレートの残留アルカリ金属量M1および残留2族元素量M2の合計Mが0ppm<M<600ppmであることを特徴とする、請求項11または12に記載のセルロースアシレート。
- セルロースアシレートの残留硫酸根量S'(S'は残留硫酸根の硫黄原子の含有量のモル換算量)、残留アルカリ金属のモル換算量M1'および残留2族元素のモル換算量M2'から下記式(5)にて与えられる金属/硫黄当量比が0.25〜3であることを特徴とする、請求項11〜13のいずれかに記載のセルロースアシレート。
式(5): 金属/硫黄当量比={(M1'/2)+M2'}/S' - セルロースアシレートの見かけ密度が0.7〜1.2g/cm3であることを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載のセルロースアシレート。
- セルロースアシレートの重量平均重合度/数平均重合度が1.6〜3.6であることを特徴とする、請求項11〜15のいずれかに記載のセルロースアシレート。
- 請求項11〜16のいずれかに記載のセルロースアシレートを含有することを特徴とする、セルロースアシレートフィルム。
- 溶液流延製膜により製造されることを特徴とする、請求項17に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 残存溶媒量が0.1質量%以下である請求項17に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 面内のレターデーション(Re)と厚み方向のレターデーション(Rth)が、下記式(6)〜(8)を満足する請求項17〜19のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
式(6): Re≦Rth
式(7): 0nm≦Re≦300nm
式(8): 0nm≦Rth≦500nm - 請求項17〜20のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを、少なくとも1方向に、0.1%〜500%延伸したセルロースアシレートフィルム。
- 請求項17〜21のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを用いたことを特徴とする位相差フィルム。
- 偏光膜と該偏光膜を挟持する2枚の保護フィルムとからなる偏光板であって、2枚の保護フィルムの少なくとも一方が、請求項17〜21のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは請求項22記載の位相差フィルムであることを特徴とする偏光板。
- 請求項17〜21のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは、請求項22に記載の位相差フィルム上に、液晶性化合物を配向させて形成した光学異方性層を有することを特徴とする光学補償フィルム。
- 請求項17〜21のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムまたは、請求項22に記載の位相差フィルム上に、反射防止層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項17〜21のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、請求項22に記載の位相差フィルム、請求項23に記載の偏光板、請求項24に記載の光学補償フィルムおよび請求項25に記載の反射防止フィルムからなる群より選択される少なくとも1種を用いることを特徴とする画像表示装置。
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