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JP2006138628A - 冷媒凝縮器 - Google Patents

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JP2006138628A JP2006006142A JP2006006142A JP2006138628A JP 2006138628 A JP2006138628 A JP 2006138628A JP 2006006142 A JP2006006142 A JP 2006006142A JP 2006006142 A JP2006006142 A JP 2006006142A JP 2006138628 A JP2006138628 A JP 2006138628A
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Abstract

【課題】超臨界域で作動する蒸気圧縮式冷凍サイクルが効率良く運転するように、放熱器出口側温度と放熱器出口側圧力とを制御する圧力制御手段を提供する。
【解決手段】密閉空間12内には冷媒が、弁口17が閉じた状態の密閉空間12内体積に対して、冷媒の温度が0℃での飽和液密度から冷媒の臨界点での飽和液密度に至る範囲の密度で封入されている。これにより、放熱器2の出口側圧力と放熱器2の出口側温度とは、ほぼ最適制御線ηmax上に沿って制御される。したがって、超臨界域においてもCO2サイクルを効率良く運転させることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、蒸気圧縮式冷凍サイクルの放熱器出口側圧力を制御する圧力制御弁に関するもので、二酸化炭素(CO2)等の超臨界域で冷媒を使用する蒸気圧縮式冷凍サイクルに用いて好適である。
近年、蒸気圧縮式冷凍サイクルに使用される冷媒の脱フロン対策の1つとして、例えば特公平7−18602号公報に記載のように二酸化炭素(CO2)を使用した蒸気圧縮式冷凍サイクル(以下、CO2サイクルと略す。)が提案されている。
このCO2サイクルの作動は、原理的には、フロンを使用した従来の蒸気圧縮式冷凍サイクルの作動と同じである。すなわち、図1(CO2モリエル線図)のA−B−C−D−Aで示されるように、圧縮機で気相状態のCO2を圧縮し(A−B)、この高温高圧の気相状態のCO2を放熱器(ガスクーラ)にて冷却する(B−C)。そして、減圧器により減圧して(C−D)、気液2相状態となったCO2を蒸発させて(D−A)、蒸発潜熱を空気等の外部流体から奪って外部流体を冷却する。なお、CO2は、圧力が飽和液圧力(線分CDと飽和液線SLとの交点の圧力)を下まわるときから、気相状態から気液2相状態に相変化する。
しかし、CO2の臨界温度は約31℃と従来のフロンの臨界温度(例えば、R12では112℃)と比べて低いので、夏場等では放熱器側でのCO2温度がCO2の臨界点温度より高くなってしまう。つまり、放熱器出口側においてもCO2は凝縮しない(線分BCが飽和液線と交差しない)。また、放熱器出口側(C点)の状態は、圧縮機の吐出圧力と放熱器出口側でのCO2温度とによって決定され、放熱器出口側でのCO2温度は、放熱器の放熱能力と外気温度とによって決定する。そして、外気温度は制御することができないので、放熱器出口側でのCO2温度は、実質的に制御することができない。
したがって、放熱器出口側(C点)の状態は、圧縮機の吐出圧力(放熱器出口側圧力)を制御することによって制御可能となる。つまり、夏場等の外気温度が高い場合に、十分な冷却能力(エンタルピ差)を確保するためには、図1のE−F−G−H−Eで示されるように、放熱器出口側圧力を高くする必要がある。
特公平7−18602号公報
しかし、放熱器出口側圧力を高くするには、前述のように圧縮機の吐出圧力を高くしなければならないので、圧縮機の圧縮仕事(圧縮過程のエンタルピ変化量ΔL)が増加する。したがって、蒸発過程(D−A)のエンタルピ変化量Δiの増加量より圧縮過程(A−B)のエンタルピ変化量ΔLの増加量が大きい場合には、CO2サイクルの成績係数(COP=Δi/ΔL)が悪化する。
そこで、例えば放熱器出口側でのCO2温度を40℃として、放熱器出口側でのCO2圧力と成績係数と関係を図1を用いて試算すれば、図2の実線に示すように、圧力P1(約10MPa)において成績係数が最大となる。同様に、放熱器出口側でのCO2温度を35℃とした場合には、図2の破線で示すように、圧力P2(約8.0MPa)において成績係数が最大となる。
以上のようにして、放熱器出口側のCO2温度と成績係数が最大となる圧力とを算出し、この結果を図1上に描けば、図1の太い実線ηmax(以下、最適制御線と呼ぶ。)に示すようになる。したがって、上記CO22サイクルを効率良く運転するには、放熱器出口側圧力と放熱器出口側のCO2温度とを、最適制御線ηmaxで示されるように制御する圧力制御手段が必要である。
なお、図1および後述する図5のモリエル線図は、AMERICAN SOCIETY OF HEATING, REFRIGERTING AND AIR−CONDITIONING ENGINEERSより出版されたFandamenls Hndobookからの抜粋である。本発明は、上記点に鑑み、超臨界域で作動する蒸気圧縮式冷凍サイクルが効率良く運転するように、放熱器出口側温度と放熱器出口側圧力とを制御する圧力制御手段を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を用いる。請求項1〜3に記載の発明では、密閉空間(12)を形成する変位部材(11)は、上流側空間(14)内圧力が密閉空間(12)内圧力より所定量大きくなったときに変位し、弁体部(19)は、前記変位部材(11)が変位したときに前記弁口(17)を開くように構成されている。そして、密閉空間(12)内には冷媒が、弁口(17)が閉じた状態の密閉空間(12)内体積に対して、冷媒の温度が0℃での飽和液密度から冷媒の臨界点での飽和液密度に至る範囲の密度で封入されていることを特徴とする。
これにより、密閉空間(12)内の冷媒圧力と冷媒温度との特性が、後述するように最適制御線ηmaxにほぼ一致する。したがって、圧力制御弁(3)は、放熱器(2)の出口側圧力を、ほぼ最適制御線ηmax上に沿った圧力まで上昇させた後、弁口(17)を開く。つまり、放熱器(2)の出口側圧力と放熱器(2)の出口側温度とは、ほぼ最適制御線ηmax上に沿って制御される。
したがって、超臨界域においても蒸気圧縮式サイクルを効率良く運転させることができる。請求項2に記載の発明では、冷媒は二酸化炭素であって、密閉空間内の密度は、450kg/m3〜950kg/m3であることを特徴とする。請求項3に記載の発明では、圧力制御弁を放熱器(2)と蒸発器(4)との間に配置したことを特徴とする。
請求項4〜8に記載に記載の発明では、圧力制御弁(30)は、高圧側圧力検出手段(32)によって検出された高圧側冷媒圧力が、温度検出手段(31)によって検出された高圧側冷媒温度に基づいて選定された目標圧力となるように制御されることを特徴とする。これにより、放熱器(2)の出口側圧力と放熱器(2)の出口側温度とは、後述するように、最適制御線ηmax上に沿うように制御されるので、超臨界域および臨界圧力以下においても蒸気圧縮式サイクルを効率良く運転させることができる。
請求項5に記載の発明では、圧力制御弁(30)の開閉状態が全閉状態から全開状態まで連続的に変化することを特徴とする。請求項6に記載の発明では、圧力制御弁(30)は、温度検出手段(31)によって検出された高圧側冷媒温度および低圧側圧力検出手段(32a)によって検出された低圧側冷媒圧力に基づいて選定された目標圧力となるようにを制御されることを特徴とする。
これにより、後述するように、低圧側冷媒圧力が大きく変動した場合でも蒸気圧縮式サイクルを効率良く運転させることができる。請求項7に記載の発明では、圧力制御弁(3、30)の入口側での過冷却度が1℃〜10℃となるように、前記圧力制御弁(3、30)の開度を調節することを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、液相冷媒と気相冷媒とを分離して冷媒を蓄えるタンク手段(5)を、蒸発器(4)の出口側と圧縮機(1)の吸入側との間に有することを特徴とする。
以下、本発明を図に示す実施の形態について説明する。
(第1実施形態)
図3は本実施形態に係る圧力制御弁を用いたCO2サイクルを車両用空調装置に適用したものであり、1は気相状態のCO2を圧縮する圧縮機である。2は圧縮機1で圧縮されたCO2を外気等との間で熱交換して冷却する放熱器(ガスクーラ)であり、3は放熱器2出口側でのCO2温度に応じて放熱器2出口側圧力を制御する圧力制御弁である。なお、圧力制御弁3は、放熱器2出口側圧力を制御するとともに減圧器を兼ねており、CO2は、この圧力制御弁3にて減圧されて低温低圧の気液2相状態のCO2となる。
4は、車室内の空気冷却手段をなす蒸発器(吸熱器)で、気液2相状態のCO2は蒸発器4内で気化(蒸発)する際に、車室内空気から蒸発潜熱を奪って車室内空気を冷却する。5は、気相状態のCO2と液相状態のCO2とを分離するとともに、気相状態のCO2を一時的に蓄えるアキュームレータ(タンク手段)である。
そして、圧縮機1、放熱器2、圧力制御弁3、蒸発器4およびアキュームレータ5は、それぞれ配管6によって接続されて閉回路を形成している。なお、圧縮器1は、図示されていない駆動源(エンジン、モータ等)から駆動力を得て駆動し、放熱器2は、放熱器2内CO2と外気との温度差をできるだけ大きくするために車両前方に配置されている。
次に、圧力制御弁3の詳細構造について述べる。圧力制御弁3は、図3、4に示すように、配管6によって形成されるCO2流路7内のうち放熱器2と蒸発器3との間に配置されている。この圧力制御弁3の構成部品のうち、図4に示すように、球面状の弁カバー10とダイヤフラム11とにより密閉空間12が形成されており、この密閉空間12内には、CO2が弁口17が閉じた状態の密閉空間12内体積に対して、約600kg/m3の密度で封入されている。
13は弁ハウジングで、この弁ハウジング13は、CO2流路7内のうち放熱器2側の空間14と蒸発器3側の空間15とを仕切る隔壁部16を形成している。この隔壁部16には弁口17が開口しており、この弁口17と連通するように連通路18が形成され、弁口17および連通路18を介して両空間14、15が連通するように構成されている。
19は弁口17を開閉する弁体部で、この弁体部18は、ダイヤフラム11の変位に機械的に連動して可動するようにようにダイヤフラム11に連結している。なお、弁体部19の弁部20は、コイルスプリング21および密閉空間12内圧力と空間14との差圧によって弁口17に押し付けられている。そして、22はコイルスプリング21の初期荷重を調整するスペーサで、このスペーサ22によってコイルスプリング21が調整され、弁部20には所定の初期荷重が作用している。因みに、本実施形態では、コイルスプリング21の初期荷重は、ダイヤフラム11での圧力換算で約1MPaである。
以下、作動について述べる。先ず、圧力制御弁3の作動を説明する。密閉空間12内には、約600kg/m3でCO2が封入されているので、密閉空間12内圧と温度とは、図1、5に示される600kg/m3の等密度線に沿って変化する。したがって、例えば密閉空間12内温度が20℃の場合には、その内圧は約5.8MPaである。また、弁体部19には、密閉空間12内圧とコイルスプリング21の初期荷重とが同時に作用しているので、その作用圧力は約6.8MPaである。
したがって、放熱器側の空間14の圧力が6.8MPa以下の場合には、弁口17は弁部20によって閉止され、また、放熱器側の空間14の圧力が6.8MPaを越えると、弁口17は開弁する。同様に、例えば密閉空間12内温度が40℃の場合には、密閉空間12内圧は図5より約9.7MPaであり、弁体部19に作用する作用力は約10.7MPaである。したがって、放熱器側の空間14の圧力が10.7MPa以下の場合には、弁口17は弁部20によって閉止され、また、放熱器側の空間14の圧力が10.7MPaを越えると、弁口17は開弁する。
次に、CO2サイクルの作動を説明する。ここで、例えば放熱器2の出口側温度が40℃、かつ、放熱器2出口圧力が10.7MPa以下のときは、前述のように、圧力制御弁3は閉じているので、圧縮機1は、アキュームレータ5内に蓄えられたCO2を吸引して放熱器2へ向けて吐出する。これにより、放熱器2の出口側圧力が上昇していく(b’−c’→b”−c”)。
そして遂に、放熱器2の出口側圧力が10.7MPaを越える(B−C)と圧力制御弁3が開弁するので、CO2は減圧しながら気相状態から気液2相状態に相変化して(C−D)蒸発器4内に流れ込む。そして、蒸発器4内で蒸発して(D−A)空気を冷却した後、再びアキュームレータ5に還流する。このとき、放熱器2の出口側圧力が再び低下するので、圧力制御弁3は再び閉じる。
すなわち、このCO2サイクルは、圧力制御弁3を閉じるにより、放熱器2の出口側圧力を所定の圧力まで昇圧させた後、CO2を減圧、蒸発させて空気を冷却するものである。なお、放熱器2の出口側温度が20℃の場合も、前述の作動と同様に、圧力制御弁3は、放熱器2の出口側圧力を約6.8MPaまで昇圧させた後、開弁する。
次に本実施形態の特徴を述べる。上述のように、本実施形態に係る圧力制御弁3は、放熱器2の出口側圧力を所定の圧力まで昇圧させた後、開弁するものであり、その制御特性は、圧力制御弁3の密閉空間12の圧力特性に大きく依存する。ところで、図1、5から明らかなように、超臨界域での600kg/m3の等密度線は、「発明が解決しようとする課題」の欄で述べた最適制御線ηmaxにほぼ一致する。したがって、本実施形態に係る圧力制御弁3は、放熱器2の出口側圧力を、ほぼ最適制御線ηmaxに沿った圧力まで上昇させるので、超臨界域においてもCO2サイクルを効率良く運転させることができる。
また、臨界圧力以下では、600kg/m3の等密度線は、最適制御線ηmaxからのズレが大きくなるが、凝縮域なので密閉空間12の内圧は、飽和液線SLに沿って変化する。そして、コイルスプリング21によって弁体部19に初期荷重が与えられているので、約10℃の過冷却度(サブクール)を有する状態に制御される。したがって、臨界圧力以下であっても、CO2サイクルを効率良く運転させることができる。
なお、実用的には、CO2温度が0℃での飽和液密度からCO2の臨界点での飽和液密度までの範囲で、密閉空間12内に封入することが望ましい。具体的にCO2は、450kg/m3〜950kg/m3であり(図5の一点鎖線D1とD2の間の範囲)、密閉空間12内体積と封入質量との関係は、図6の斜線に示す範囲である。
ところで、上述の作動および特徴の説明からも明らかなように、圧力制御弁3の密閉空間12内温度は、放熱器2出口側温度(空間14の温度)に対して時間差無しに連動して変化することが望ましい。したがって、弁カバー10および弁ハウジング等はできるだけ熱伝導量を大きくするために熱伝導率の大きく、かつ厚みの薄いものが望ましい。因みに、本実施形態では、弁カバー10および弁ハウジングは真鍮製であり、ダイヤフラム11、弁体部19、コイルスプリング21およびスペーサ22はステンレス製である。
なお、空間14内のCO2と弁カバー10との熱伝達率を向上させるために、フィンや凹凸等を設けてもよい。
(第2実施形態)
上述の実施形態では、弁カバー10およびダイヤフラム11によって密閉空間を形成したが、本実施形態では、図7に示すように、蛇腹状のベローズ23によって形成される内部空間内にCO2を所定密度で封入したものである。なお、ベローズ23も熱伝導率の大きい真鍮である。
(第3実施形態)
上述の実施形態では、放熱器2出口側圧力を機械的に制御したが、本実施形態は電気的に制御したものである。具体的には、図8に示すように、弁口の開閉を行う電気式膨張弁25と、放熱器2出口側温度(空間14の温度)を監視して、電気式膨張弁25に制御信号を発するセンサ部24とからなる。なお、センサ部24は電気式膨張弁25より放熱器2側に配置することが望ましい。
そして、センサ部24は、図9に示すように、所定密度のCO2が封入されたベローズ23によって、電気接点26の開閉を行うものである。因みに、電気接点26が閉じた状態では電気式膨張弁25は閉じる方向へ制御され、電気接点26が開いた状態では電気式膨張弁25は開く方向へ制御される。また、電気接点26からの制御信号は、図示されていない制御アンプで増幅されて電気式膨張弁25を駆動する。
ところで、上述の実施形態では、コイルスプリング21を用いて初期荷重を与えていたが、ダイヤフラム11またはベローズ23自身の弾性力を利用しても良い。また、コイルスプリング21に替えて、密閉空間12内に冷媒とともに不凝縮ガス封入しても本発明を実施することができる。
さらに、圧力制御弁と放熱器とを一体化してもよい。
(第4実施形態)
本実施形態は、放熱器2出口側の冷媒圧力と放熱器2出口側の冷媒温度との両者をセンサ等の電気的手段によって検出し、それらの検出値を用いて放熱器2出口側圧力を制御するものである。
図10は、本実施形態に係るCO2サイクルの全体模式図を示しており、圧力制御弁として電気式圧力制御弁30を用いている。この電気式圧力制御弁30は、図11に示すように、電気式圧力制御弁30内のステップモータ301を回転させることによって針状の弁体302をその長手方向に進退させることにより、弁口303の開度を全閉状態から全開状態まで連続的に調節するものである。
また、放熱器2の出口側には、図10に示すように、放熱器2の出口側の冷媒温度を検出する温度センサ31と、放熱器2の出口側の冷媒圧力を検出する圧力センサ32とが設けられている。そして、温度センサ31および圧力センサ32からの出力信号は圧力制御装置33に入力しており、この圧力制御装置33は、後述するように、温度センサ31の検出値に基づいて電気式圧力制御弁30の開度を調節している。そして、圧力制御装置33は図示されていないCPU、RAM、ROM等によって構成されており、ROMには予め最適制御線ηmaxで示される温度と圧力との関係を記憶している。
ところで、厳密には、最適制御線ηmaxは放熱器2の出口側の冷媒温度と冷媒圧力とのみで決定されるものでなく、蒸発器側の圧力の変動によっても大きく変動する。しかし、冷房運転のみ行う単純なCO2サイクルでは、蒸発器側の圧力変動を無視するこができるので、以下の第6実施形態を除いて蒸発器側の圧力を一定として最適制御線ηmaxを算出した。
また、発明者等の種々の試験検討によれば、高い成績係数を維持してCO2サイクルを良好に運転するには、圧力制御弁3および電気式圧力制御弁30の入口側での過冷却度(サブクール)を1℃〜10℃程度とすることが望ましいとの結果を得ており、図12は蒸発器側の圧力を約3.5MPa(蒸発器温度0℃相当)とし、過冷却度が約3℃となるようにした場合の最適制御線ηmaxを直行座標系に描いたものである。
また、本実施形態では、圧縮機1は図示されていない電動モータによって駆動されており、電動モータの回転数は制御装置34によって制御されている。そして、この制御装置34は、蒸発器4の空気下流側に配置された温度センサ34aと、室内空気の温度を検出する室内温度センサ35と、室外空気の温度を検出する室外温度センサ36と、人員が希望する室内温度を設定入力する温度設定手段37とに基づいて電動モータを制御している。
また、38は放熱器2の熱交換を促進するファンで、39は車室内に向けて空気を送風する送風機である。この送風機39の送風量(ファンの回転数)は、制御装置34を介して人員の希望する室内温度または風量に基づいて制御されている。次に、図13に示すフローチャートに基づいて本実施形態の特徴部分である電気式圧力制御弁30の作動を述べる。
図示されていない始動スイッチによりCO2サイクルが起動すると、温度センサ31からの検出値(高圧側冷媒温度)が取り込まれ(ステップ100)、その取り込んだ冷媒温度に対応する圧力が、予めROMに記憶されている温度と圧力との関係から選定され、その選定された圧力(以下、目標圧力制御弁入口圧力と呼ぶ。)はRAM等のメモリで記憶される(ステップ110)。
次に、圧力センサ32からの検出値(高圧側冷媒圧力)が取り込まれ(ステップ120)、目標圧力制御弁入口圧力とステップ120で取り込んだ圧力(以下、圧力制御弁入口圧力と呼ぶ。)とが比較される(ステップ130)。そして、目標圧力制御弁入口圧力が圧力制御弁入口圧力を上回った場合には、電気式圧力制御弁30の開度を小さくし(ステップ140)、目標圧力制御弁入口圧力が圧力制御弁入口圧力以下の場合には、電気式圧力制御弁30の開度を大きくする(ステップ150)。そして、ステップ100に戻り、以後ステップ100から150まで繰り返す。
これにより、放熱器2の出口側での冷媒温度と冷媒圧力との関係が、最適制御線ηmaxで示される温度と圧力との関係となるように制御されるので、上述の実施形態と同様に超臨界域および臨界圧力以下の両領域において、効率良くCO2サイクルを運転させることができる。
(第5実施形態)
本実施形態は、図14に示すように、圧力センサ32を圧縮機1の吐出口近傍に配置したものである。
これにより、CO2サイクル内で最も圧力の高い部位での圧力を検出することができるので、CO2サイクル内圧力の異常上昇を素早く検出することができる。したがって、作動圧力の高いCO2サイクルの安全性を高めることができる。なお、本実施形態では、圧縮機1の吐出口近傍に圧力センサ32を配置しているので、圧力制御弁入口圧力の検出にあたっては、圧力センサ32での検出圧力から圧縮機1から放熱器2の出口側に至るまでの圧力損失分を差し引く必要がある。
(第6実施形態)
本実施形態は、冷暖房切り替え可能なヒートポンプサイクルにCO2サイクルを適用したものである。40は室外熱交換器で、41は室内熱交換器で、42は冷媒の流れ方向を切り替える四方弁機構である。そして、四方弁機構43を図15の実線で示すように切り替えることにより、冷媒は実線矢印で示すようにCO2サイクル内を循環して冷房運転状態となり、また、四方弁機構43を図15の破線で示すように切り替えることにより、冷媒は破線矢印で示すようにCO2サイクル内を循環して暖房運転状態となる。
つまり、冷房運転状態では、室外熱交換器40が放熱器として作動し、室内熱交換器41が蒸発器として作動する。また、暖房運転状態では、室内熱交換器41が放熱器として作動し、室外熱交換器40が蒸発器として作動する。ところで、CO2サイクルの成績係数が最大となるように放熱器出口側の冷媒圧力を決定するにあたって冷暖房切り替え可能なヒートポンプサイクルでは、単なる蒸気圧縮式冷凍サイクルに比べて蒸発器側の圧力変動が大きいため、上述の実施形態のように放熱器出口側の冷媒温度のみから決定することができない。
そこで、本実施形態では、電気式圧力制御弁30を挟んで両側に圧力センサおよび温度センサを配置し、両圧力センサ32、32aおよび温度センサ31、31aから出力信号を圧力制御装置33に入力させて電気式圧力制御弁30の開度を制御している。つまり、冷房運転時は圧力センサ32aおよび温度センサ31に基づいて、予めROMに記憶された蒸発器側圧力をパラメータとする温度と圧力との関係(図16参照)より目標圧力制御弁入口圧力を選定し、圧力センサ32からの圧力制御弁入口圧力と目標圧力制御弁入口圧力とを比較しながら電気式圧力制御弁30の開度を制御する。また、暖房運転時は圧力センサ32および温度センサ31aに基づいて、予めROMに記憶された蒸発器側圧力をパラメータとする温度と圧力との関係(図16参照)より目標圧力制御弁入口圧力を選定し、圧力センサ32aからの圧力制御弁入口圧力と目標圧力制御弁入口圧力とを比較しながら電気式圧力制御弁30の開度を制御する。
因みに、図16は蒸発器側の圧力が約2.0MPa(蒸発器温度−20℃相当)の場合と3.5MPa(蒸発器温度0℃相当)の場合との2つの場合を示しており、これら蒸発器側圧力のパラメータとしての変動範囲は、CO2サイクルの設計仕様等の諸条件に応じて適宜決定さられるべきものである。
(第7実施形態)
第4〜6実施形態では、圧力制御装置33と制御装置34とを分散させて分散制御方式を採用したが、圧力制御装置33と制御装置34とを一体化して集中制御方式としてもよい。
例えば、第5実施形態に示されたCO2サイクルを例に上記集中制御方式を採用すれば、図17に示すように、温度センサ31および圧力センサ32のからの出力信号を制御装置34に入力させ、制御装置34から電気式圧力制御弁30へ向けて電気式圧力制御弁30の制御信号を出力するものである。次に、図18のフローチャートを用いて本実施形態の作動を述べる。
先ず、図示されていないCO2サイクルの始動スイッチが入力され、冷房運転開始の支持がされると、室内温度センサ35、室外温度センサ36および温度設定手段37からの出力信号に基づいて室内に吹き出す空気の温度の目標値である目標吹出温度を演算し、記憶する(ステップ200)。次に、電気式圧力制御弁30の開度を所定の初期値に設定し(ステップ210)、送風機39を始動して室内に向けて送風するとともに(ステップ220)、圧縮機1を起動する(ステップ230)。
次に、蒸発器4の空気下流側に配置された温度センサ34aにより、実際の吹出空気温度を検出し一時的に記憶する(ステップ240)。そして、ステップ240で記憶した吹出空気温度と目標吹出温度とを比較し(ステップ250)、目標吹出温度の方が吹出空気温度より小さい場合は、圧縮機1の回転数を増加させて冷凍能力の増大を図り(ステップ260)、一方、目標吹出温度が吹出空気温度以上の場合は、圧縮機1の回転数を減少させて冷凍能力の減少を図る(ステップ270)。
そして、温度センサ31より圧力制御弁入口温度を検出し(ステップ280)、この検出に基づいて目標圧力制御弁入口圧力を選定して記憶する(ステップ290)。次に、圧力センサ32より圧力制御弁入口圧力を検出し(ステップ300)、目標圧力制御弁入口圧力と圧力制御弁入口圧力とを比較する(ステップ310)。
次に、目標圧力制御弁入口圧力が圧力制御弁入口圧力を上回った場合には、電気式圧力制御弁30の開度を小さくし(ステップ320)、目標圧力制御弁入口圧力が圧力制御弁入口圧力以下の場合には、電気式圧力制御弁30の開度を大きくする(ステップ330)。以後、ステップ240に戻り、以後ステップ240から330まで繰り返す。
ところで、本発明に係る圧力制御弁は、CO2を使用した蒸気圧縮式冷凍サイクルに使用が限定されるものではなく、例えば、エチレン、エタン、酸化窒素等の超臨界域で使用する冷媒を用いた蒸気圧縮式冷凍サイクルにも適用することができる。また、アキュームレータ5を廃止しても、前述の蒸気圧縮式冷凍サイクルを実施することができる。この場合、蒸発器4内に残存する冷媒が吸引されて、アキュームレータ5を有するCO2サイクルと同様な作動を得ることができる。
CO2のモリエル線図である。 成績係数(COP)と放熱器出口側圧力との関係を示すグラフである。 蒸気圧縮式冷凍サイクルを示す模式図である。 第1実施形態に係る圧力制御弁の断面図である。 蒸気圧縮式冷凍サイクルの作動を説明するための説明図である。 密閉空間内の体積と、この密閉空間内に封入されるCO2の質量との関係を示すグラフである。 第2実施形態に係る圧力制御弁の断面図である。 第3実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍サイクルを示す模式図である。 第3実施形態に係る圧力制御弁の断面図である。 第4実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍サイクルを示す模式図である。 電気式圧力制御弁の断面図である。 目標圧力制御弁入口圧力と制御弁入口温度との関係を示すグラフである。 第4実施形態の作動を示すフローチャートである。 第5実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍サイクルを示す模式図である。 第6実施形態に係るヒートポンプサイクルを示す模式図である。 目標圧力制御弁入口圧力と制御弁入口温度との関係を示すグラフである。 第7実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍サイクルを示す模式図である。 第7実施形態の作動を示すフローチャートである。
符号の説明
1 圧縮機
2 放熱器
3 圧力制御弁
4 蒸発器
5 アキュームレータ(タンク手段)
6 配管
7 CO2流路
10 弁カバー
11 ダイヤフラム(変位部材)
12 密閉空間
13 弁ハウジング
14、15 空間
16 隔壁部
17 弁口
18 連通路
19 弁体部
20 弁部
21 コイルスプリング
22 スペーサ
23 ベルローズ
24 センサ部
25 電気式膨張弁
26 電気接点
30 電気式圧力制御弁
31 温度センサ
32 圧力センサ
33 圧力制御装置

Claims (8)

  1. 蒸気圧縮式冷凍サイクルの放熱器(2)から蒸発器(4)まで至る冷媒流路(7)に配置され、前記放熱器(2)出口側の冷媒温度に応じて前記放熱器(2)出口側圧力を制御する圧力制御弁であって、
    前記冷媒流路(7)内に形成され、前記冷媒流路(7)を上流側空間(14)と下流側空間(15)とに仕切る隔壁部(16)と、
    前記隔壁部(16)に形成され、前記上流側空間(14)と下流側空間(15)と連通させる弁口(17)と、
    前記上流側空間(14)内に密閉空間(12)を形成し、前記密閉空間(12)内外の圧力差に応じて変位する変位部材(11、23)と、
    前記弁口(17)を開閉する弁体部(19)とを備え、
    前記変位部材(11)は、前記上流側空間(14)内圧力が前記密閉空間(12)内圧力より所定量大きくなったときに変位し、
    前記弁体部(19)は、前記変位部材(11)が変位したときに前記弁口(17)を開くように構成されており、
    前記密閉空間(12)内には前記冷媒が、前記弁口(17)が閉じた状態の前記密閉空間(12)内体積に対して、前記冷媒の温度が0℃での飽和液密度から前記冷媒の臨界点での飽和液密度に至る範囲の密度で封入されていることを特徴とする圧力制御弁。
  2. 前記冷媒は二酸化炭素であり、
    前記密閉空間内の密度は、450kg/m3〜950kg/m3であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧力制御弁。
  3. 冷媒を圧縮する圧縮機(1)と、
    前記圧縮機(1)で圧縮された前記冷媒を冷却する放熱器(2)と、
    前記放熱器(2)の出口側圧力を制御するとともに、前記冷媒を減圧する圧力制御弁(3)と、
    前記圧力制御弁(3)で減圧された前記冷媒を蒸発させる蒸発器(4)とを有し、
    前記圧力制御弁(3)は、請求項1または2に記載の圧力制御弁であることを特徴とする蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  4. 冷媒を圧縮する圧縮機(1)と、
    前記圧縮機(1)で圧縮された前記冷媒を冷却する放熱器(2)と、
    前記放熱器(2)の出口側圧力を制御するとともに、前記冷媒を減圧する圧力制御弁(30)と、
    前記圧力制御弁(30)で減圧された前記冷媒を蒸発させる蒸発器(4)と、
    前記圧力制御弁(30)上流側の高圧側冷媒温度を検出する温度検出手段(31)と、
    前記圧力制御弁(30)上流側の高圧側冷媒圧力を検出する高圧側圧力検出手段(32)と、
    前記圧力制御弁(30)の開閉状態を制御する制御装置(33)とを有し、
    前記制御装置(33)により、前記高圧側圧力検出手段(32)によって検出された高圧側冷媒圧力が、前記温度検出手段(31)によって検出された高圧側冷媒温度に基づいて選定された目標圧力となるように前記圧力制御弁(30)を制御することを特徴とする蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  5. 前記圧力制御弁(30)は、前記制御装置(33)により全閉状態から全開状態まで連続的に変化することを特徴とする請求項4に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  6. 前記圧力制御弁(30)下流側の低圧側冷媒圧力を検出する低圧側圧力検出手段(32a)を有し、
    前記制御装置(33)により、前記温度検出手段(31)によって検出された高圧側冷媒温度および前記低圧側圧力検出手段(32a)によって検出された低圧側冷媒圧力に基づいて選定された目標圧力となるように前記圧力制御弁(30)を制御することを特徴とする請求項4または5に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  7. 前記圧力制御弁(3、30)の入口側での過冷却度が1℃〜10℃となるように、前記圧力制御弁(3、30)の開度を調節することを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1つに記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  8. 前記蒸発器(4)の出口側と前記圧縮機(1)の吸入側との間に配置され、液相冷媒と気相冷媒とを分離して冷媒を蓄えるタンク手段(5)を有することを特徴とする請求項3ないし7のいずれか1つに記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
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