JP2006138353A - すべり軸受及びすべり軸受を備えた回転電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転電機の運転時に軸受本体に発生する熱応力を低減し、低硬度金属層の損傷を防止することにある。
【解決手段】裏金1の内周面に低硬度金属層2が形成され、該低硬度金属層2の内周面に偏心量増加用溝4を有するすべり軸受において、高温となる低硬度金属層2の周方向位置に対応する低硬度金属層2と裏金1との境界部分に軸方向に貫通する隙間7を設けると共に、該偏心量増加用溝4の底面と該隙間7との間に、該偏心量増加用溝4内を流れる潤滑油の一部を該隙間7内に導く孔を設ける。
【選択図】図4
【解決手段】裏金1の内周面に低硬度金属層2が形成され、該低硬度金属層2の内周面に偏心量増加用溝4を有するすべり軸受において、高温となる低硬度金属層2の周方向位置に対応する低硬度金属層2と裏金1との境界部分に軸方向に貫通する隙間7を設けると共に、該偏心量増加用溝4の底面と該隙間7との間に、該偏心量増加用溝4内を流れる潤滑油の一部を該隙間7内に導く孔を設ける。
【選択図】図4
Description
本発明は、回転電機の運転時に発生する軸受本体の熱応力を低減可能なすべり軸受及びこのすべり軸受を備えた回転電機に関する。
一般にタービン、発電機、電動機などの回転電機の軸受としては、すべり軸受が用いられている。
図14は従来のすべり軸受の構造を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図である。
図14に示すように裏金1の内周面に低硬度金属層2を形成して軸受本体を構成している。この軸受本体において、低硬度金属層2が形成されている理由は、万一回転電機の運転中に軸受潤滑油に異物が混入している場合、補修の容易な軸受表面を変形させることで、回転軸3の表面に損傷が発生しないようにするためである。
ここで、裏金1の材料としては、例えばSS400等の構造用鋼が使用され、また低硬度金属層2の材料としては、例えばホワイトメタル等が用いられている。
すべり軸受では、回転電機の運転中に回転軸3が自重により下側に偏心して、回転軸3と低硬度金属層2との間に潤滑油が巻き込まれ、くさび膜効果で油膜圧力が発生して回転軸3の荷重を支える構造となっている。
すべり軸受の中には、下半部の低硬度金属層2の表面に周方向に伸びる溝(偏心量増加用溝)4を設けたものもある。この溝4を設ける理由は、回転軸3の偏心量を大きくして、軸系の振動安定性を向上させるためである。
なお、低硬度金属層2の表面のうち、溝4を除き、実際に回転軸3の荷重支持に寄与する部分を軸受摺動面と呼ぶ。
このような偏心量増加用溝4を有する軸受においては、図14に示すように当該溝4によって軸方向に分けられた2つの軸受摺動面5を有する。
ところで、回転軸3と低硬度金属層2との間に生成される軸受油膜6の厚さは、軸受本体の内径と比較して非常に薄く、また回転軸3は50rpsあるいは60rpsといった高速で回転するため、軸受油膜6では大きな軸受損失が発生する。この軸受損失による発熱量は、潤滑油に取り去られるほか、軸受構造物の温度上昇に費やされる。
図15は、回転電機の定格運転時における軸受本体の周方向と半径方向の温度分布の一例を示す図である。この温度分布から明らかなように軸受損失は油膜厚さ最小位置で最大となるので、油膜厚さ最小位置を通過した高温の潤滑油で低硬度金属層2が加熱され、表面温度は油膜厚さ最小位置からやや回転後流側で最高となることが分かる。
図15の例では、油膜厚さ最小位置を基準に回転下流側25°から回転上流側10°の範囲が高温領域となっている。また、半径方向には、Hを軸受本体の内周半径と外周半径の差とすると、低硬度金属層2の表面からH/4の範囲が高温領域となっている。
図16は、回転電機の定格運転時における軸受本体の周方向と軸方向の温度分布の一例を示す図である。これは、軸受本体の軸方向中央に偏心量増加用溝4を持つすべり軸受の温度分布であり、溝4を挟んで2つの軸受摺動面5を有している。
この温度分布から明らかなように、各軸受摺動面5の軸方向長さをLとすると、各軸受摺動面5の中央で温度が最高となり、各軸受摺動面5の中央を基準として、軸方向に±L/4の範囲が高温領域となっていることが分かる。
このように回転電機の運転中に軸受本体があまり高温になると、荷重負荷能力の低下や低硬度金属層(メタル)の損傷などの問題が発生する。
因みに、軸受温度を低減させる手段として、高温の潤滑油を給油孔の手前で排出し、油膜の温度を低減させるなど種々提案されているが(例えば、特許文献1)、いずれも十分期待できる効果が得られていないのが現状である。
特開2002−122143号公報
上述したように従来のすべり軸受においては、回転電機の定格運転時に軸受構造物の温度が高くなり、軸受本体を構成する裏金と低硬度金属層が熱膨張すると、これら両者の線膨張係数の違いから熱応力が発生する。すなわち、低硬度金属層の方の線膨張係数が大きいため、裏金よりも大きく膨張しようとするが、両者は境界面にて密着しているため、低硬度金属層に圧縮応力が働く。もし、低硬度金属層に働く圧縮応力を超えると、1回の起動停止により低硬度金属層に塑性ひずみが発生する。特に、頻繁に起動停止を行うプラントでは、塑性ひずみが徐々に大きくなり、低硬度金属層が損傷するなどの問題に発展するおそれがある。
本発明は上記のような問題点を解消するため、回転電機の運転時に軸受本体に発生する熱応力を低減し、低硬度金属層の損傷を防止することができるすべり軸受及びすべり軸受を備えた回転電機を提供することを目的とする。
本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段によりすべり軸受及びすべり軸受を備えた回転電機を構成する。
(1)本発明は、裏金の内周面に低硬度金属層が形成された構造のすべり軸受において、高温となる低硬度金属層の周方向位置に対応する低硬度金属層と裏金との境界部分に軸方向に貫通する隙間を設ける。
(2)本発明は、裏金の内周面に低硬度金属層が形成され、該低硬度金属層の内周面に偏心量増加用溝を有するすべり軸受において、高温となる低硬度金属層の周方向位置に対応する低硬度金属層と裏金との境界部分に軸方向に貫通する隙間を設けると共に、前記偏心量増加用溝の底面と前記隙間との間に、前記偏心量増加用溝内を流れる潤滑油の一部を前記隙間内に導く孔を設ける。
(3)本発明は、裏金の内周面に低硬度金属層が形成された構造のすべり軸受において、高温となる裏金の周方向および半径方向位置に軸方向に貫通する放熱孔を設ける。
(4)本発明は、裏金の内周面に低硬度金属層が形成された構造のすべり軸受において、高温となる低硬度金属層の周方向および半径方向位置に裏金外周側から低硬度金属層の表面に通じて低温の潤滑油を噴射する潤滑油噴射孔を設ける。
(5)本発明は、裏金の内周面に低硬度金属層が形成され、該低硬度金属層の内周面に偏心量増加用溝を有するすべり軸受において、高温となる低硬度金属層の周方向および半径方向位置に裏金外周側から低硬度金属層の表面に通じて潤滑油を噴射する潤滑油噴射孔を設け、この潤滑油噴射孔が設けられる低硬度金属層の周方向および半径方向位置は、周方向については油膜厚さ最小位置を基準として回転下流側25°から回転上流側10°の範囲の一部であり、軸方向につていは偏心量増加溝によって分けられた各軸受摺動面の中央を基準として±L/3(Lは各軸受摺動面の軸方向長さ)の範囲の一部である。
(6)本発明は、裏金の内周面に低硬度金属層が形成され、該低硬度金属層の内周面に偏心量増加用溝を有するすべり軸受において、周方向の油膜厚さ最小位置を基準として±10°の範囲内に分岐点を定め、該分岐点から回転上流側においては偏心量増加用溝を設け、分岐点から回転下流側においては2本の偏心量増加用溝を軸方向に分岐させて設け、この2本の偏心量増加用溝は分岐点から回転上流側の各軸受摺動面の中央を基準として軸方向に±L/3(Lは各軸受摺動面の軸方向長さ)の範囲内に分岐されている。
(7)本発明は、裏金の内周面に低硬度金属層が形成され、該低硬度金属層の内周面に偏心量増加用溝を有するすべり軸受において、周方向の油膜厚さ最小位置を基準として±10°の範囲内に分岐点を定め、該分岐点から回転上流側においては偏心量増加用溝を設け、分岐点から回転下流側においては軸方向成分を持つ2本の偏心量増加用溝を分岐させて設け、この2本の偏心量増加用溝の深さは回転下流側に向かって浅くしていき、軸受軸方向端部に至る前に溝の底面が軸受摺動面と一致して溝がなくなるように加工されている。
(8)本発明は、上記(1)〜(7)の何れかに記載の発明のすべり軸受により回転子が軸支された回転電機を構成する。
本発明によれば、回転電機の運転時に軸受本体に発生する熱応力を低減し、低硬度金属層の損傷を防止することができる。
以下本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明によるすべり軸受の第1の実施形態を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図である。なお、図14と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
図1は本発明によるすべり軸受の第1の実施形態を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図である。なお、図14と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
第1の実施形態では、図1(a),(b)に示すように軸受本体の周方向で、且つ低硬度金属層2が高温となる位置の裏金1と低硬度金属層2との境界部分に軸方向に貫通する隙間7を設け、この部分での両者の接触を無くすようにしたものである。
この場合、裏金1と低硬度金属層2との境界部分に隙間7を設ける際の周方向位置としては、図2に示すように油膜厚さ最小位置を基準に回転下流側25°から回転上流側10°までの範囲の一部が選定される。
このような構成とすれば、低硬度金属層2が高温となる位置の裏金1と低硬度金属層2との境界部分が軸方向に貫通する隙間7により非接触状態となるので、特に軸方向の熱膨張を拘束する作用が小さくなり、低硬度金属層2の熱応力を低減することができる。
また、隙間7が設けられる周方向位置として、熱応力が最大となることが予想される範囲の一部が選定されているので、大きな熱応力の発生を防ぐことができる。
(第2の実施形態)
図3は本発明によるすべり軸受の第2の実施形態を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図で、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
図3は本発明によるすべり軸受の第2の実施形態を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図で、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
第2の実施形態では、図3(a),(b)に示すように第1の実施形態と同様に裏金1と低硬度金属層2との境界部分に設けた隙間7を冷却用流体通路として利用し、図示しない冷却用流体供給手段により隙間内に冷却用流体8を軸方向に流すようにしたものである。
このようにすれば、第1の実施形態と同様の作用効果が得られるのに加えて、隙間7周辺の低硬度金属層2と裏金1の温度を低減することができ、その結果、隙間7周辺での熱応力を低減することができる。
(第3の実施形態)
図4は本発明によるすべり軸受の第3の実施形態を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図で、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
図4は本発明によるすべり軸受の第3の実施形態を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図で、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
第4の実施形態では、図4(a),(b)に示すように裏金1の内周面に低硬度金属層2が形成され、この低硬度金属層2の軸方向中央部に周方向に伸びる偏心量増加用溝4を有する軸受本体において、第1の実施形態と同様に裏金1と低硬度金属層2との境界部分に軸方向に貫通する隙間7を設けると共に、偏心量増加用溝4の底面から隙間7に抜ける孔4aをあけ、この孔4aを通して偏心量増加用溝4内を流れる潤滑油の一部を隙間7内に導くようにしたものである。
このような構成とすれば、第1の実施形態と同様の作用効果が得られることに加え、偏心量増加用溝4内を流れる潤滑油の一部が孔4aを通して隙間7内に流入し、隙間7内を軸方向に流れて軸受本体の側面から排出されるので、隙間7周辺の温度が低減し、熱応力を低減することができる。この場合、偏心量増加用溝4内には比較的低温の潤滑油が流れているので、隙間7の周辺温度の低減効果は顕著である。
また、本実施形態においては、偏心量増加用溝4内を流れる潤滑油を隙間7内に導入しているので、第2の実施形態のように冷却用流体を供給するための準備や、冷却用流体の供給装置が不要である。
(第4の実施形態)
図5は本発明によるすべり軸受の第4の実施形態を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図で、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
図5は本発明によるすべり軸受の第4の実施形態を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図で、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
第4の実施形態では、図5(a),(b)に示すように軸受本体の周方向および半径方向について、裏金1が高温となる位置において、裏金1に軸方向に貫通する放熱孔9を設けるようにしたものである。この放熱孔9を裏金1に設けている理由は、低硬度金属層2に放熱孔を設けるよりも、強度上の信頼性が高いためである。
ここで、上記裏金1に軸方向に貫通する放熱孔9を設ける場合、図6に示すように周方向については、油膜厚さ最小位置を基準として回転下流側25°から回転上流側10°の範囲内に設け、且つ半径方向については、低硬度金属層2と裏金1の境界を下限、低硬度金属層2の表面からH/2の位置を上限とする範囲内に設ける。但し、Hは軸受本体の内周半径と外周半径の差である。
このように放熱孔9を設けるにあたり、軸受本体の周方向および半径方向について、それぞれ範囲を規定しているのは次のような根拠によるものである。
図15で示した回転電機の定格運転時における軸受本体の周方向と半径方向の温度分布図から明らかなように、裏金1が周方向に関して高温となる領域は、油膜厚さ最小位置を基準として、回転下流側25°から回転上流側10°の範囲である。また、半径方向に関して裏金1が高温となる領域は、低硬度金属層2からH/4までの範囲である。このうち、半径方向については、運転条件や軸受材料の変化で高温領域が移動する可能性も考慮に入れて設置範囲の上限を大きくした。その際、図15で低硬度金属層2の表面からH/2以上離れた位置では、高温領域から2段階低温の領域に入っており、これ以上外周では放熱の効果は望めないものと仮定して、低硬度金属層2の表面からH/2の位置を半径方向の上限としている。
このような構成とすれば、放熱孔9からの放熱により裏金1の温度が下がり、裏金1に接する低硬度金属層2の温度も下がり、その結果低硬度金属層2の熱応力を低減することができる。
(第5の実施形態)
図7は本発明によるすべり軸受の第5の実施形態を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図で、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
図7は本発明によるすべり軸受の第5の実施形態を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図で、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
第5の実施形態では、図7(a),(b)に示すように裏金1の内周面に低硬度金属層2が形成され、この低硬度金属層2の軸方向中央部に周方向に伸びる偏心量増加用溝4を有するすべり軸受において、軸受本体の周方向と軸方向に関して低硬度金属層2が高温となる位置で、裏金1の外周側から低硬度金属層2の表面(内周面)側に抜ける複数(図では2つ)の潤滑油噴射孔10を軸方向に適宜離間させて設け、回転電機の運転中にこれらの孔から低温の潤滑油を噴射させるようにしたものである。
ここで、上記裏金1の外周側から低硬度金属層2の表面に抜ける潤滑油噴射孔10を設ける場合、大きな熱応力低減効果を得るための潤滑油噴射孔の設置範囲について図8により説明する。
軸受本体の周方向については、油膜厚さ最小位置を基準として回転下流側25°から回転上流側10°の範囲の一部に孔を設け、且つ軸方向については偏心量増加用溝4によって2分された各軸受摺動面5の中央を基準として、±L/3の範囲の一部に孔を設ける。但し、Lは各軸受摺動面5の軸方向長さである。
以下その根拠について述べる。
図15で示した回転電機の定格運転時における軸受本体の周方向と半径方向の温度分布図から明らかなように、裏金1が周方向に関して高温となる領域は、油膜厚さ最小位置を基準として、回転下流側25°から回転上流側10°の範囲である。このうち、軸方向については、運転条件や軸受材料の変化で高温領域が移動する可能性も考慮に入れて±L/3まで設置範囲を広げている。
このような構成とすれば、回転電機の運転中に図示しない潤滑油供給手段により潤滑油噴射孔10を通して低温の潤滑油を低硬度金属層2の内周面側に噴射すると、この低温の潤滑油は軸受油膜6内の潤滑油と混合されるため、軸受油膜6の温度が下がると共に、低硬度金属層2の温度も下がり、その結果、低硬度金属層2の熱応力を低減できる。
上記実施形態では、偏心量増加用溝4を有するすべり軸受について説明したが、偏心量増加用溝4のないすべり軸受に対しても前述同様に実施できるものである。
図9は、偏心量増加用溝のないすべり軸受に対して、裏金1の外周側から低硬度金属層2の表面に抜ける潤滑油噴射孔10を設ける場合、大きな熱応力低減効果を得るための潤滑油噴射孔の設置範囲を示している。
偏心量増加用溝のないすべり軸受において、図9に示すように軸受本体の周方向については油膜厚さ最小位置を基準として回転下流側25°から回転上流側10°の範囲の一部に孔を設け、且つ軸方向については軸受摺動面5の中央を基準として±L/3の範囲の一部に孔を設ける。但し、Lは軸受摺動面5の軸方向長さである。このような設置範囲を定めた根拠は、偏心量増加溝を有するすべり軸受の場合と同様である
(第6の実施形態)
図10は本発明によるすべり軸受の第6の実施形態を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図、(c)は軸受摺動面の展開図で、図7と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
(第6の実施形態)
図10は本発明によるすべり軸受の第6の実施形態を示し、(a)は径方向断面図、(b)は軸方向断面図、(c)は軸受摺動面の展開図で、図7と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
第6の実施形態では、図10(a)〜(c)に示すように裏金1の外周側の軸方向中央位置から低硬度金属層2の表面へ向けて、孔の出口が最も近い軸方向端部に向って傾斜するように2つの潤滑油噴射孔10を設けたものである。
このような構成とすれば、傾斜する潤滑油噴射孔10を通して低硬度金属層2の表面から噴射された潤滑油は、軸方向の速度成分を持つため、潤滑油噴射孔の回転上流側から流れてくる高温の潤滑油の一部を巻き込み、軸方向端部から排出される。
従って、噴射孔10を軸方向に傾けずに設けた場合と比較して、回転下流側に流れる高温の潤滑油量が減少するため、低硬度金属層2の温度を更に低減することができ、その分発生する熱応力を低減することができる。
(第7の実施形態)
図11は本発明によるすべり軸受の第7の実施形態を示す径方向断面図で、図1と同一部分には同一符号を付して説明する。
図11は本発明によるすべり軸受の第7の実施形態を示す径方向断面図で、図1と同一部分には同一符号を付して説明する。
第7の実施形態では、図11に示すように裏金1の内周面に低硬度金属層2が形成され、この低硬度金属層2の軸方向中央部に偏心量増加用溝4を有するすべり軸受において、軸受本体の周方向の油膜厚さ最小位置を基準として±10°の範囲内に分岐点11を定め、この分岐点11から回転上流側においては従来通りの偏心量増加溝4を設け、分岐点11において偏心量増加溝4を互いに異なる軸方向に2本に分岐し、分岐点11から回転下流側においては分岐点11から回転上流側の各軸受摺動面の中央を基準として軸方向に±L/3の範囲内に分岐後の各溝12を設けるようにしたものである。
ここで、分岐点の周方向設置範囲と分岐点の回転下流側各溝の軸方向設置範囲を図12に示す。
以下、このような範囲を定めた根拠について述べる。
低硬度金属層の高温領域よりも回転下流側に分岐点があると、低温の潤滑油が高温領域を通過しないため、温度低減の効果が得られない。背景技術の項で述べたように低硬度金属層の表面温度は、油膜厚さ最小位置から下流側で最高となるため、温度低減効果については、分岐点を油膜厚さ最小位置より上流側に設置することが望ましい。
一方、あまり上流側で分岐すると、軸受油膜の圧力が下がってしまい、回転軸の偏心量に影響を与える。理論上、最小油膜厚さ位置から下流側では油膜圧力が発生しないで、偏心量に影響を与えないためには、分岐点を油膜厚さ最小位置より下流側に設置することが望ましい。
以上のことより油膜厚さ最小位置を分岐点設置の目標とし、設計余裕として±10°の範囲を分岐点設置範囲として定めている。また、分岐点から回転下流側における各溝の軸方向位置については、前述した第5の実施形態と同様の根拠により定めている。
このような構成とすれば、偏心量増加溝4内に比較的低温の潤滑油が流れているので、この溝内の潤滑油を高温領域に導くことにより、低硬度金属層2の表面温度を低減することができ、その結果、低硬度金属層2の熱応力を低減することが可能となる。
(第8の実施形態)
図13は本発明によるすべり軸受の第8の実施形態を示す径方向断面図で、図1と同一部分には同一符号を付して説明する。
図13は本発明によるすべり軸受の第8の実施形態を示す径方向断面図で、図1と同一部分には同一符号を付して説明する。
第8の実施形態では、図13に示すように裏金1の内周面に低硬度金属層2が形成され、この低硬度金属層2の軸方向中央部に偏心量増加用溝4を有するすべり軸受において、軸受本体の周方向の油膜厚さ最小位置を基準として±10°の範囲内に分岐点11を定め、この分岐点11から回転上流側においては偏心量増加溝4を従来通り設け、分岐点11において偏心量増加用溝4を、軸方向成分を持つ2本の溝12に分岐し、分岐点から回転下流側においては各溝12の深さを浅くしていき、軸受本体の軸方向端部に至る前に溝12の底面が軸受摺動面5と一致して溝がなくなるように加工を行う。
このような構成とすれば、偏心量増加用溝4内を流れてきた比較的低温の潤滑油が、分岐点より回転下流側で軸受摺動面5に軸方向の速度成分を持って流出する。この軸受摺動面5を流れてきた高温の潤滑油の一部は、溝12から流出した潤滑油に巻き込まれ、軸方向端部から排出される。
従って、回転下流側に流れる高温の潤滑油量が減少するため、低硬度金属層2と裏金1の温度を低減することができ、その結果、低硬度金属層2に働く熱応力を低減することができる。
なお、上述した第1の実施形態乃至第8の実施形態のいずれかのすべり軸受をタービン、発電機、電動機などの回転電機の回転子を軸支する軸受として用いることにより、安定した状態で回転電機を運転することができる。
1…裏金、2…低硬度金属層、3…回転軸、4…偏心量増加用溝、4a…孔、5…軸受摺動面、6…軸受油膜、7…隙間、8…冷却用流体、9…放熱孔、10…潤滑油噴射孔、11…分岐点、12…分岐後の溝。
Claims (13)
- 裏金の内周面に低硬度金属層が形成された構造のすべり軸受において、高温となる低硬度金属層の周方向位置に対応する低硬度金属層と裏金との境界部分に軸方向に貫通する隙間を設けたことを特徴とするすべり軸受。
- 請求項1記載のすべり軸受において、前記高温となる低硬度金属層の周方向位置は、油膜厚さ最小位置を基準に回転下流側25°から回転上流側10°までの範囲の一部であることを特徴とするすべり軸受。
- 請求項1又は請求項2記載のすべり軸受において、前記低硬度金属層と裏金との境界に設けられた隙間は、冷却用流体を軸方向に通流させる冷却用流体通路として利用することを特徴とするすべり軸受。
- 裏金の内周面に低硬度金属層が形成され、該低硬度金属層の内周面に偏心量増加用溝を有するすべり軸受において、高温となる低硬度金属層の周方向位置に対応する低硬度金属層と裏金との境界部分に軸方向に貫通する隙間を設けると共に、前記偏心量増加用溝の底面と前記隙間との間に、前記偏心量増加用溝内を流れる潤滑油の一部を前記隙間内に導く孔を設けたことを特徴とするすべり軸受。
- 裏金の内周面に低硬度金属層が形成された構造のすべり軸受において、高温となる裏金の周方向および半径方向位置に軸方向に貫通する放熱孔を設けたことを特徴とするすべり軸受。
- 請求項5記載のすべり軸受において、高温となる裏金の周方向および半径方向位置は、周方向については油膜厚さ最小位置を基準として回転下流側25°から回転上流側10°までの範囲の一部であり、半径方向については低硬度金属層と裏金の境界を下限、低硬度金属層表面からH/2(Hはすべり軸受の内周半径と外周半径の差)離れた位置を上限とする範囲の一部であることを特徴とするすべり軸受。
- 裏金の内周面に低硬度金属層が形成された構造のすべり軸受において、高温となる低硬度金属層の周方向および半径方向位置に裏金外周側から低硬度金属層の表面に通じて低温の潤滑油を噴射する潤滑油噴射孔を設けたことを特徴とするすべり軸受。
- 請求項7記載のすべり軸受において、潤滑油噴射孔が設けられる低硬度金属層の周方向および半径方向位置は、周方向については油膜厚さ最小位置を基準として回転下流側25°から回転上流側10°の範囲の一部であり、軸方向につていは軸方向摺動面の中央を基準として、±L/3(Lは各軸受摺動面の軸方向長さ)の範囲の一部であることを特徴とするすべり軸受。
- 裏金の内周面に低硬度金属層が形成され、該低硬度金属層の内周面に偏心量増加用溝を有するすべり軸受において、高温となる低硬度金属層の周方向および半径方向位置に裏金外周側から低硬度金属層の表面に通じて潤滑油を噴射する潤滑油噴射孔を設け、この潤滑油噴射孔が設けられる低硬度金属層の周方向および半径方向位置は、周方向については油膜厚さ最小位置を基準として回転下流側25°から回転上流側10°の範囲の一部であり、軸方向につていは偏心量増加溝によって分けられた各軸受摺動面の中央を基準として±L/3(Lは各軸受摺動面の軸方向長さ)の範囲の一部であることを特徴とするすべり軸受。
- 請求項7乃至請求項9の何れかに記載のすべり軸受において、潤滑油噴射孔はその低硬度金属層表面側の出口が該噴射孔の出口から最も近い軸受軸方向端部の方向に傾斜して設けたことを特徴とするすべり軸受。
- 裏金の内周面に低硬度金属層が形成され、該低硬度金属層の内周面に偏心量増加用溝を有するすべり軸受において、周方向の油膜厚さ最小位置を基準として±10°の範囲内に分岐点を定め、該分岐点から回転上流側においては偏心量増加用溝を設け、分岐点から回転下流側においては2本の偏心量増加用溝を軸方向に分岐させて設け、この2本の偏心量増加用溝は分岐点から回転上流側の各軸受摺動面の中央を基準として軸方向に±L/3(Lは各軸受摺動面の軸方向長さ)の範囲内に分岐されていることを特徴とするすべり軸受。
- 裏金の内周面に低硬度金属層が形成され、該低硬度金属層の内周面に偏心量増加用溝を有するすべり軸受において、周方向の油膜厚さ最小位置を基準として±10°の範囲内に分岐点を定め、該分岐点から回転上流側においては偏心量増加用溝を設け、分岐点から回転下流側においては軸方向成分を持つ2本の偏心量増加用溝を分岐させて設け、この2本の偏心量増加用溝の深さは回転下流側に向かって浅くしていき、軸受軸方向端部に至る前に溝の底面が軸受摺動面と一致して溝がなくなるように加工されていることを特徴とするすべり軸受。
- 請求項1乃至請求項12の何れかに記載のすべり軸受により回転子が軸支された回転電機。
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